◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- 20万円の初期費用に、初回のみの8万円を足した額が、標準のプランを始めるときの入口です1
- 10万円の初期費用と月額で回す小規模な構成なら、作り込みを伴う導入とは費用の桁が一つ以上変わります2
- 400万円からのカスタマイズは下限であって上限ではなく、要件が広がれば1500万円からの規模へ移ります1
- 30000SKUという商品数の上限に届くかどうかが、小規模な構成で足りるかを分ける最初の目安です2
目次

中小企業の7〜8割はFAXで受発注
注文書自動読込とは、届いた注文書の文字を機械が読み取り、受注データへ流し込む仕組みを指します。注文書自動読込の費用は、読込機能だけを取り出しても値が付きません。受発注システムの料金プランに載せて見るのが実際的で、「月額で回す小規模な構成か、作り込みを伴う構成か」で金額の桁が変わります。単体の価格は個別見積もりのため、まず自社の受注件数と連携先を書き出すところから始めます。
朝八時半、受注課の島に置かれた複合機が低く唸り、まだ温かい紙の束を吐き出します。担当者は一枚目を手に取り、にじんだ品番を目で追いながら入力欄へ打ち込みます。読み取れない桁があれば「これは6か8か」と隣席へ尋ね、確認の電話を一本入れます。紙が届いてから受注データになるまでに、人の手が三度も四度も触れています。
この光景は、特定の会社に固有の事情ではありません。70〜80%の中小企業が受発注をFAXで行っていると報じられており、10社のうち7社から8社という割合です5。ただしこれは2019年に公表された調査に基づく数字で、現在の実態とは異なる可能性があります。それでも「紙で届く注文をどう捌くか」という問いが受注現場の入口に残っている点は変わりません。
打ち直しと確認の電話に溶けていく時間は、給与の中に紛れているだけで、毎月きちんと請求されている費用です。
注文書自動読込とは何か
注文書自動読込とは、届いた注文書の文字を機械が読み取り、受注データへ流し込む仕組みを指します。人が見て打つ工程を、読む工程と直す工程へ組み替えるものだと考えると分かりやすいところです。全自動で「一枚も触らずに終わる」わけではなく、読めなかった箇所だけを人が直す形が現実的です。ここを取り違えると、費用対効果の見積もりが大きく外れます。
紙の様式は、放っておくと取引先の数だけ増えていく習性を持っています。読込の対象になるのはFAXだけではなく、メールに添付されたPDFや取引先独自の伝票も同じ入口に乗ります。「様式がどれだけ揃っているか」で手間は大きく変わり、様式が数種類に収まる会社と、取引先ごとにばらばらな会社とでは、同じ機能を入れても手応えが違うと見ます。
FAX-OCR・スマホdeOCRの仕組み
FAX-OCRは、受信したFAXの画像をそのまま読み取り、品番と数量の欄を切り出して受注データの形へ整えます。回線から届いた時点で電子の画像になっているため、紙を改めてスキャンする手間が要りません。スマホdeOCRのほうは、手元に届いた紙の注文書をカメラで撮り、その画像から同じように文字を起こします。「FAXが先か、紙が先か」で入口が分かれるだけで、後ろの工程は共通になります。
読み取った文字は、そのままでは注文になりません。自社の商品コードと取引先コードへ照合して初めて、基幹システムが受け取れるデータになります。ここで効くのは、取引先ごとの「いつもの品番の書き癖」をどれだけ辞書に持てるかだと見ます。同じ商品を別々の書き方で送ってくる先が混じる現場では、照合の作り込みが費用の内訳を左右すると考えられます。
8.8万円という月額は、いまの形を続ける限り、打ち直しと確認の電話という別の形で毎月払い続ける金額でもあります2。
料金プランと初期費用の内訳
ここまで挙げた費用をさらに詳しく見る前に、押さえておきたい区切りがあります。注文書自動読込という機能だけを取り出した価格は公表されておらず、個別の見積もりになります。社内で示すときは「読込はいくらか」ではなく「この受注の形を回すのにいくらか」と問い直すほうが、話は早く進みます。
以下に挙げる金額は、いずれも2026年時点で公表されている料金プランの値です12。税や個別の要件によって実際の請求額は動きますし、読込そのものの費用は別途の見積もりとなります。「自社の場合はどの行に乗るか」を確かめる材料として読んでください。
作り込みを伴う場合は、桁が変わります。400万円が小規模なカスタマイズの初期費用の下限で、月額は7万円からとされています1。さらに要件が広がると、1500万円からの規模へ移ります1。いずれも「ここから始まる」という下限であって、上限ではありません。要件を足すほど上へ動く前提で読む必要があります。
小規模プランの初期費用
取扱商品が絞られていて、まずは紙を減らすところから始めたい会社向けの構成があります。10万円の初期費用に月額8.8万円を加えた形が、税抜の金額として公表されています2。受注担当を一人増やす人件費と並べると、月額の側は抑えた水準に見えます。気をつけたいのは「扱える商品数に上限が置かれている」点です。
30000SKUというのが、有料プランで扱える商品数の上限です2。色やサイズの違いをすべて別立てで持つ会社なら、この線に届くかどうかを先に数えておきたいところです。「安いから機能が足りない」という話にはならず、超える見込みが立つなら最初から次の段の構成で見積もるほうが、後の作り直しを避けられると考えられます。
標準プランの初期費用
取引先が増え、価格や納期の出し分けが必要になると、標準のプランが視野に入ります。この段の初期費用としては、20万円という金額が公表されています1。小規模な構成の初期費用と並べると開きがありますが、月額に上乗せされる性質のものではなく、初期に一度きり乗る金額です。「毎月の負担は増えない」という点は、社内の説明で効いてきます。
全プラン共通の初期費用
どのプランを選んでも、初回だけ別に乗る費用があります。8万円が、全プラン共通の初期費用として初回のみ請求される金額です1。見積書を並べたときにこの行を見落とすと、社内で通した予算と請求額がずれます。「プランの初期費用と共通の初期費用と月額」の三つを足して初年度の総額を先に出しておくと、社内の説明が一度で済みます。
| 区分 | 初期費用の扱い | 月額や条件 |
|---|---|---|
| 小規模プランの初期費用 | プランに応じて発生 | 扱える商品数に上限がある |
| 標準プランの初期費用 | 初期費用が一度だけ乗る | 月額の負担は増えない |
| 全プラン共通の初期費用 | 初回のみ別に請求される | どのプランでも共通で乗る |
導入事例に見る効果
その総額を示すだけでは、社内の説明はまだ通りません。「同じくらいの受注をしている会社が、どこまで進んだか」を添えると話が具体になります。ここでは公表されている二つの事例から、取扱品目数とロット単位、そして立ち上げに要した期間を見ていきます。
取扱品目数とロット単位
日東電工CSシステム株式会社は、法人向けの販売サイトで幅広い品種を扱っています。3800品種というのが、そのサイトで取り扱う品種の数です3。取扱品目が数十に収まる会社と比べれば、品番の読み違いが起きる場所はそれだけ増えます。「どの品番か」を人が判断する回数が多い現場ほど、読み取りと照合の仕組みが効いてくると見ます。
ロットの単位も、費用対効果を左右します。200巻が、通常注文における最小ロットである1ケースの巻数です3。2018年時点で公表された事例の数字ですが、ケース単位で動く商材では注文書の一行が大きな金額になります。「一行の読み違いが返品へ及ぶ商材か、それとも小額の消耗品か」で、必要な精度の水準が変わります。
食品卸の事例に見る開発期間
フーヅフリッジ株式会社は、食品を扱う卸として法人向けの受発注サイトを立ち上げました。4か月が、そのサイトの実質的な開発期間です4。予算取りから稼働まで一年がかりになる案件と並べると、短い部類に入ります。費用対効果を語るときは、削減できる時間だけでなく「効果が出始めるまでの月数」も分母に入れます。
フーヅフリッジ株式会社の開発期間は2017年時点で公表されたもので、いまの構成なら条件が変わっている可能性があります。それでも、初期費用と月額の合計に効果の出ない期間の人件費を足したものが、実際に負担する金額です。選ぶときは機能表からではなく、扱う品目数と取引先ごとの様式の数、そして繁忙期に届く注文書の枚数を数えるところから始めます。
ここから先は、見積もりを取る前の数え上げと、受注体制ごとの費用の見方を詳しく見ていきます。
公表されている事例の数字はそのまま自社には当てはまらず、品目数と様式の数を初年度の総額へ落とす作業は、受発注の現場を数多く見てきた相手と進めるほうが精度が上がります。
手元の注文書を数枚持ち寄って、どの段の費用に乗るかを一度見てもらうのが近道です。無料相談で要件を整理する
見積もりを依頼する前に数え上げる項目
- 読込機能だけの価格ではなく、受発注システムのプランに載せた初年度の総額で見積もりを依頼する
- 取引先ごとの注文書の様式が何種類あるかを数え、品番の書き方の揺れを一覧にする
- 色やサイズ違いを含めた商品数が、有料プランの上限に収まるかを確かめる
- 繁忙期に届く注文書の枚数と、いま入力に充てている人数と時間を記録する
- 稼働までにかかる月数を見込み、効果の出ない期間の人件費を総額へ足す
この並びに優劣の順序はありません。
同じ手順を踏んでも、受注の形が違えば行き着く金額は変わります。次に、二つの受注体制ごとに見方を分けて整理します。
受注体制ごとに変わる費用の見方
| 受注体制 | 費用を押し上げる要因 | 先に確かめること |
|---|---|---|
| 小ロット多品種の受注体制 | 品目数と取引先ごとの様式の数 | 有料プランの商品数の上限 |
| 基幹システム連携を伴う刷新 | 連携する範囲と既存の作り | 作り込みの下限額と稼働までの月数 |

小ロット多品種の受注で費用が動くところ
品目が多く、一回の注文が小さい受注では、注文書の行数そのものが負荷になります。3800品種を扱う法人向けサイトのように品番の候補が多い現場では、読み取りの精度よりも照合の辞書づくりに手間がかかると見ます3。「読めた」で終わらず「正しい品番に当たった」まで到達して初めて、入力の手が空きます。
この体制では、初期費用と月額の合計だけで判断すると足を踏み外します。200巻を1ケースとする最小ロットのように一行が大きな金額になる商材では、取り違え一件の重さが比較の前提を変えます3。判断は「毎月いくら浮くか」ではなく「一件の取り違えでいくら失うか」に置きます。
まずは直近一か月の注文書を集め、取引先ごとの様式と品番の書き方を並べます。その一覧を持って見積もりを依頼すると、照合の作り込みがどこまで必要かが具体的に返ってきます。難易度は中くらいで、工数の大半は「社内で様式を集める作業」に寄ると見ておくと、見積もりが外れにくくなります。
| 確かめる項目 | 小ロット多品種の受注での見方 |
|---|---|
| 取扱品目数 | 色やサイズ違いを別立てで数える |
| 最小ロット | 注文書の一行あたりの金額を出す |
| 注文書の様式 | 取引先ごとの品番の書き方を一覧にする |
| 照合の辞書 | 書き癖をどこまで登録できるかを確かめる |
品番の書き癖が取引先ごとに散らばる受注では、読み取りの精度よりも照合の作り込みがどこまで要るかで費用が動くため、現物を見たうえでの判断が欠かせません。
直近一か月ぶんの注文書を添えて、照合にどこまで手が要るかを確かめてもらうのが近道です。無料相談で自社の条件を持ち込む
基幹システム連携を伴う刷新で見る費用
既存の販売管理や在庫の仕組みへ受注データを流し込む段になると、話は読み取りだけで終わりません。既存側の項目に合わせる作業、締め処理との折り合い、出荷指示までの経路まで含めて設計することになります。「読める」ことと「流れる」ことの間には、それなりの距離があります。
この場合、費用の重心は月額から初期費用へ移ります。先に挙げた大規模な作り込みの下限額は、あくまで出発点として示された金額で、連携先が増えれば上へ動きます1。加えて、稼働までの月数を予算計画へ織り込む必要があります。4か月で立ち上がった事例が公表されていますが、連携の範囲が広がるほど期間も伸びると考えられます4。
着手の前に、繋ぐ範囲を箇条書きで確定させます。受注の取り込みで止める場合と、在庫引き当てと出荷指示まで含める場合とで、見積もりの桁が変わります。難易度は高く、工数は情報システム部門だけでなく「基幹システムを動かしている担当者」の時間を押さえられるかに左右されると見ます。
| 確かめる項目 | 連携を伴う刷新での見方 |
|---|---|
| 繋ぐ範囲 | 受注の取り込みから出荷指示までのどこまでを含めるか |
| 初期費用 | 作り込みの下限額を出発点として積み上げる |
| 稼働までの期間 | 公表事例の開発期間を下敷きに見込む |
| 社内の体制 | 基幹システムの担当者の時間を確保する |


既存の基幹システムとどこまで繋ぐかで初期費用の下限が大きく動き、稼働までの月数も予算計画へ直結するため、要件を並べた段階で相場観を持つ相手に当たる必要があります。
連携したい範囲を箇条書きにして、初期費用と稼働までの月数の見当を早めに聞いておくのが近道です。無料相談で自社の条件を持ち込む
要点の整理
| 判断する場面 | 目安にする金額と確かめどころ |
|---|---|
| まず紙を減らしたい | 商品数が有料プランの上限に収まるなら、小規模な構成で始める |
| 品目が多く様式もばらばら | 照合の作り込みが費用を押し上げるため、様式の一覧を先に作る |
| 基幹システムと繋ぐ | 作り込みの初期費用は下限であり上限ではないと社内へ伝える |
| 社内で費用対効果を説明する | 月額7万円からの運用費に、稼働までの人件費を足して総額で示す1 |
| 紙の前提そのものを疑う | 70〜80%という割合は公表時期が古く、自社の注文枚数を数え直す5 |
注文書自動読込の費用対効果は、機能表の比較ではなく、自社の受注件数と様式の数を数えたうえでの総額の比較でしか判断できません。 数え上げた結果を持ち込んで、どの構成なら回るかを一緒に組み立ててもらうのが近道です。
よくある質問
注文書自動読込だけを単体で導入できますか。
機能としては読み取りの部分だけを切り出せますが、公表されている料金は受発注システムのプランとして示されており、読込単体の価格は個別の見積もりになります。読み取った先の照合と基幹システムへの受け渡しまで含めて初めて「入力がなくなる」状態になるため、単体で考えるより受注の流れ全体で見積もるほうが実態に合います。
初期費用を抑えたいときは、どこから削ればよいですか。
削るのは機能ではなく、作り込みの範囲です。取引先ごとの特殊な様式への対応や、既存システムとの細かな項目合わせを後回しにすると、初期費用は大きく下がります。まず標準の形で動かし、運用しながら「本当に困った箇所」だけを足していくと、使わない作り込みへの支払いを避けられます。
手書きの注文書でも読み取れますか。
手書きは活字に比べて読み取りの精度が落ちるため、人が確認する工程を前提に組みます。取引先ごとに書き癖が決まっている場合は、その癖を辞書として登録することで確認の回数を減らせると見ます。「全部を機械に任せる」という前提を外し、確認する箇所を絞る道具として使うと、手応えが出やすくなります。
月額費用は注文件数で増えますか。
公表されている小規模な構成の月額は、定額として示されています。7万円からという下限が作り込みを伴う場合の月額として示されており、連携する仕組みや保守の範囲によって上へ動きます1。注文件数そのもので自動的に増える形かどうかは契約条件によるため、「何が増えると月額が動くか」を見積もりの段階で確かめておくと安全です。
取引先にWebで注文してもらうほうが安く済みますか。
受注側の手間だけを見れば、取引先が直接入力する形が最も軽くなります。ただし取引先の運用を変えてもらう必要があり、全社が一斉に移ることは稀です。「Webへ移る先」と「紙のまま残る先」が並走する期間が長く続くため、読込の仕組みは移行の途中を支える道具としても意味を持つと見ます。
費用対効果を社内で説明するとき、何を並べればよいですか。
初期費用と月額の合計、稼働までにかかる月数、その間の人件費、この三つを足した総額が出発点です。そこへ入力に充てている時間と、取り違えによる再出荷や返品の実績を添えると、削減の話だけで終わりません。「いくら浮くか」と「どこまで失わずに済むか」を分けて示すと、決裁の場で論点が整理されます。
- 1 出典:株式会社フライトソリューションズ「EC-Rider(BtoB EC受発注システム)料金プラン・費用ページ」(2026年) 経路
- 2 出典:株式会社フライトソリューションズ「EC-Rider Primo サービス紹介ページ・料金プラン条件」(2026年) 経路
- 3 出典:株式会社フライトソリューションズ「EC-Rider B2B 導入事例(日東電工CSシステム株式会社)」(2018年) 経路
- 4 出典:株式会社フライトソリューションズ「EC-Rider B2B 導入事例(フーヅフリッジ株式会社)」(2017年) 経路
- 5 出典:日経クロステック「中小企業の8割が『ファクスで受発注』の現実、DX時代に日本の競争力が失われる」(2019年) 経路
画像の出典元
- Teacher sitting at desk during class in a school gymnasium./Photo by cottonbro studio on Pexels
- 50代前半の日本人女性が倉庫事務所での受注対応をしている場面/画像:生成AI(自社)
- A couple shopping at a supermarket checkout, holding a pinea/Photo by Jack Sparrow on Pexels
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