◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- 納品書の導入は作成・送付・保管に分け、取引先に影響する送付は相手ごとに切り替える。
- 電子で授受した納品書のデータは発行した自社も保存の対象になり、改ざん防止の措置をいずれか選ぶ必要がある。
- 取引先は受け取り方と受領後の保存体制で分け、紙を希望する理由を台帳に残す。
- 導入方式は5つの軸で比べ、補助金は補助期間が終わった後の負担も含めて見る。
- 紙の件数・問い合わせ・再発行を毎月数え、紙が残る理由別に対応を決める。
目次

納品書を電子化したいが紙が残りそう、という迷いはどこから整理するか
納品書をPDFで送れるようにしたのに、一部の取引先からは紙を求められ、社内でも結局いつもの手順で印刷してしまう。
電子化を進めたい担当者がつまずきやすいのは、ツール選びよりも、どこを電子に変えて誰に紙を残すかが決まっていない点です。
まず作成・送付・保管のうち変える工程を決め、取引先ごとに電子か紙かを分けます。
電子で渡した納品書のデータは発行側にも保存義務がかかります1。
その前提で導入方式を選び、紙の例外と併用期間を先に決めておくと、残った紙を数えて減らしていけます。
作成・送付・保管のどこを置き換えるか
「納品書の電子化」や「システム導入」という言葉は、ひとまとめに使われがちです。
けれども実際の作業を追うと、三つの工程に分かれます。
受注内容から納品書を作る作成、取引先へ届ける送付、控えを残して後から探す保管です。
どの工程で手間がかかっているかによって、置き換えるべきものは変わります。
たとえば、月末にまとめて印刷し、封入して郵送する作業に時間を取られているなら、負担の中心は送付です。
取引先から「先月分をもう一度送ってほしい」と頼まれるたびに、棚のファイルから控えを探して再発行しているなら、困っているのは保管と検索のほうです。
販売管理の画面から納品書の様式へ数字を書き写しているなら、作成の段階で転記が発生しています。
どこから着手するかを決めるには、現状を工程ごとに書き出すのが近道です。
1か月ほどの間、作成・送付・保管それぞれにかかった作業時間と、取引先からの問い合わせや再発行の件数を記録しておくと、手間の偏りが見えてきます。
この記録は、導入後に変化を確かめるときの比較の起点にもなります。
導入前に一度取っておく価値があります。
取引先に影響する工程と、しない工程
三つの工程を並べると、取引先の目に触れるのは送付だけだと分かります。
作成を電子にしても、出来上がった納品書を印刷して郵送すれば、取引先が受け取るものは以前と同じ紙です。
控えを社内でどう整理するかも、取引先の業務には影響しません。
送付を電子に変えると事情が変わります。
電子帳簿保存法では、取引情報の授受を電磁的方式で行う取引を電子取引と呼び、電子データで授受した事業者が保存義務の対象になります1。
メールでPDFを送る、取引先のシステムへ登録するといった方法で納品書を渡せば、受け取った取引先にもデータの保存が求められ、送った自社もそのデータを保存する立場になります。
送付の電子化は、自社だけの判断では完結しない工程です。
この違いを踏まえると、取引先との調整が要らない作成と保管の整理を先に進め、送付は相手ごとに切り替えていく順序が取りやすくなります。
作成を一つの画面にまとめておけば、電子で送る相手にも紙で送る相手にも同じデータから納品書を出せます。
そのため、送付方法が混在する期間でも転記が増えにくくなります。
▼ 図の内容を文字で読む
- 作成(社内で完結)
- 受注内容から納品書を作る
- 電子で作っても紙で渡せば取引先が受け取るものは同じ
- 送付(取引先に影響)
- 電子で授受すると電子取引になる
電子で渡せる取引先と紙が残る取引先は、何で分けるか
受け取り方と保存体制で分ける
自社が電子で送る準備を整えても、取引先がそれを受け取って使える状態にあるとは限りません。
中小企業庁のミラサポplusが紹介している日本公庫総研の2018年の調査では、中小の商業・サービス業で「電子文書での商取引や受発注情報管理」を導入していた割合は18.5%でした3。
時点も業種も限られた数字で、いまの取引先にそのまま当てはめることはできません。
それでも、受け取る側の準備がそろっていない状態は想定しておく必要があります。
同じ資料は、企業間のデータのやり取りが進みにくい理由を挙げています。
発注側がそれぞれ独自のシステムを使っているために取引先ごとの対応が必要になること、複数の画面を使い分ける負担、小規模な取引先ほど電話やFAXでのやり取りが多いことです3。
EDI(企業間で受発注などのデータを決まった形式でやり取りする仕組み)は1社だけでは効果が得られず、取引先の状況を考慮して導入を判断する必要があるとも述べています3。
受発注全般についての整理ですが、納品書を渡す場面にも同じ構図があります。
そこで取引先を、受け取り方と、受け取った後の保存体制の二つで分けます。
受け取り方は、メールでファイルを受け取れるか、先方が指定するシステムやEDIで受け渡すか、紙でなければ困るかの違いです。
保存体制が問題になるのは、電子で受け取った取引先にも保存義務がかかるためです1。
PDFを開くことはできても、受け取ったデータを保存する仕組みが先方で整っていなければ、紙で送ってほしいという返事が返ってくることは考えられます。
先方指定のシステムで受け渡す相手は、取引先側の負担が小さい反面、自社の担当者が相手ごとの画面へ入力する作業を抱えます。
こうした取引先が増えるほど、使い分ける画面の数も増えていきます。
この区分の相手が多い場合は、導入方式を比べるときに社内の操作負担を重く見ることになります。
確認項目の記録のしかた
区分を決めるときは、取引先ごとに同じ項目を確かめて残しておくと迷いが減ります。
確かめる項目は、たとえば次のとおりです。
- 受け取り方(メールの宛先とファイル形式、先方指定のシステム、紙のいずれか)
- 受け取った後に、先方でデータを保存できるか
- 紙を希望する場合、その理由
- 確認した日と、先方の担当者
- 次に見直す時期
確認はメールや書面で行い、返事をそのまま取引先ごとの台帳に残します。
電話で聞いた内容だけで済ませると、担当者が替わったときに、なぜこの相手には紙で送っているのかが分からなくなり、改めて問い合わせることになります。
理由まで記録してあれば、先方の体制が変わったときに切り替えを打診するきっかけにもなります。
この台帳は、相手ごとの扱いを社内でそろえるためのものです。
取引基本契約などで書類の受け渡し方法を定めている場合は、台帳とは別に、その定めに沿って変更の手続きを取ります。
台帳を作った後は、月ごとに紙で送る相手が減っているかを見ていくと、区分が実態に合っているかが分かります。
▼ 図の内容を文字で読む
- メールで受け取れる
- 受け取ったデータを先方で保存できる
- 案内を送って電子へ切り替える
- 先方指定のシステムやEDI
- 先方の負担は小さい
電子で発行・送付した納品書は、法令上どう保存するか
電子データで授受した場合の保存義務
送付を電子に切り替えた取引先については、送った納品書のデータを自社でも保存します。
国税庁の一問一答では、電子データで授受した事業者は法人・個人を問わず保存義務の対象とされ、電子取引を始めるにあたって税務署へ申請する必要はないとされています1。
受け取った側だけの義務ではない点は、発行する側が見落としやすいところです。
対象になるのは、注文書、契約書、送り状、領収書、見積書など、取引で通常記載される事項を含むデータです1。
一問一答の例示に納品書という名前は挙がっていません。
ただ、品名・数量・金額などを記した納品書は、送り状と同じく取引の内容を伝える書類です。
そのため、送り状などに相当するデータとして保存の準備をしておくのが安全です。
一方、電子メールの本文など取引情報を含まないものは対象外とされています1。
「添付の納品書をご確認ください」とだけ書いたメール本文ではなく、納品書のファイルそのものを残すと考えると整理しやすくなります。
保存期間は各税法の定めによるため1、自社に適用される期間を確かめたうえで、データの置き場所と、期間中に消さない運用を決めます。
改ざん防止の措置の選び方
データで保存するときは、後から書き換えられていないことを示す措置が必要です。
国税庁は、真実性の確保のために、タイムスタンプの付与や、訂正・削除を防止する事務処理規程の整備などの措置のうち、いずれかを行うよう示しています2。
どれを選ぶかは、誰がその措置を担うかで考えると決めやすくなります。
タイムスタンプ(ある時刻にそのデータが存在し、その後変更されていないことを示す仕組み)を発行や保存の仕組みが自動で付けるなら、担当者は普段どおり送るだけで済みます。
事務処理規程を選ぶ場合は、納品書を訂正・削除するときに誰が承認し、どう記録するかを社内で決め、担当者がその手順を守ることで要件に対応します。
仕組みに頼らない分、運用の手間は人の側に残ります。
担当者に手順を使い続けてもらえるかが、そのまま保存の確かさに関わります。
検索についても、発行に使っているシステムで検索できなくても差し支えなく、同等の要件を満たす別のシステムで対応する方法が示されています2。
納品書を作る仕組みと、データを保存して探す仕組みを分けてもよいということです。
どこまでの検索機能が必要かは自社の取引の状況によって確かめる点が残るため、導入前に一問一答の現行の内容と照らし合わせておくと、方式を選び直す手戻りを防げます。
紙で渡す場合との違い
紙で渡す取引先については、授受が電磁的方式ではないため電子取引に当たらず1、ここまで説明した電子取引データの保存要件はかかりません。
社内で納品書を電子で作っていても、渡す手段が紙であれば、この区別は変わりません。

気をつけたいのは、電子と紙を併用する期間の保管です。
電子で送った相手の分はデータを要件に沿って保存し、紙で送った相手の分は紙の控えを残すと、同じ納品書でも相手によって置き場所と手順が二通りになります。
担当者がどちらの相手なのかを毎回思い出して判断する運用では、紙の控えだけを残してデータを消してしまう、といった取り違えが起きやすくなります。
取引先ごとの台帳を保管の手順と結び付け、相手ごとに保存先が決まっている状態にしておくと、併用期間の判断が減ります。
| 観点 | 紙で渡す | 電子で渡す |
|---|---|---|
| 電子取引に当たるか | 当たらない | 当たる |
| 発行側が保存するもの | 紙の控え | 授受したデータ |
| 改ざん防止の措置 | 電子取引データの要件の対象外 | タイムスタンプや事務処理規程などから選ぶ |
| 取引先側の保存 | 従来どおり | 先方にもデータでの保存義務 |
導入方式は負担と利用条件でどう比べるか
比較する5つの軸
取引先の区分と保存の条件がそろったところで、導入方式を選びます。
候補としては、すでに使っている販売管理や会計のシステムで納品書をPDFにして送る方法、納品書の発行と送付を扱うサービスを新たに使う方法、取引先が指定するシステムやEDIにつなぐ方法、表計算ソフトなどで作ったPDFを手作業でメール送付する方法などがあります。
製品の名前より先に比べる軸を固定しておくと、判断がぶれにくくなります。
比べる軸は、取引先の負担、社内の操作負担、保存要件への対応、費用の構造、補助金の対象になるかの五つです。
五つすべてで優れた方式を探すより、自社の取引先の区分に照らして、どの軸を重く見るかを先に決めるほうが選びやすくなります。
判断が分かれやすいのは、取引先の負担と社内の操作負担がぶつかる場面です。
取引先が指定するシステムで受け渡す方法は、先方にとっては自社の仕組みのまま受け取れる形ですが、自社は相手ごとに画面を使い分けることになります3。
中小企業共通EDIのように双方が同じ標準に対応する仕組みでは、受注側は標準に対応したプロバイダーと業務アプリを使えば大きな費用はかからないとされ、発注側は独自のシステムを使い続けられると説明されています3。
ただし双方が標準対応のプロバイダーと契約することが前提で3、取引先が対応していなければ効果は出ません。
手作業でPDFを送る方法は始めやすい反面、保存要件への対応を事務処理規程と担当者の手順で支えることになり、送付と保存の両方が人の作業として残ります。
電子で送る相手が少ないうちは成り立っても、相手が増えるにつれて、保存漏れや送付先の取り違えを人の確認で防ぐ負担が大きくなります。
費用の構造は、初期にかかる費用と、クラウドの利用料のように続けてかかる費用を分けて比べます。
導入時の金額が小さくても、利用料が続く方式では、何年使う前提かで総額の見え方が変わるためです。
補助金を使える場合の見方
導入費用に補助金を使える場合は、中小企業基盤整備機構が案内しているデジタル化・AI導入補助金の通常枠が候補になります。
補助額は、1プロセス以上で5万円以上150万円未満、4プロセス以上で150万円以上450万円以下です4。
補助率は原則1/2以内で、賃金に関する条件を満たす場合は2/3以内とされています4。
対象経費には、ソフトウェア購入費とクラウド利用料(最大2年分)が含まれます4。
オプションとして機能拡張・データ連携・セキュリティ、役務として導入コンサルティング・導入設定・マニュアル設定・導入研修・保守サポートも対象です4。
申請するITツールは業務プロセスを1種類以上持つ必要があり、汎用プロセスだけのツールは対象になりません4。
費用を見るときに注意したいのは、補助の範囲と期間です。
クラウド利用料が対象になるのは最大2年分なので、3年目以降の利用料は全額を自社で負担します。
補助率が1/2であれば、補助の期間中も残りの半分は自社負担です。
補助がない年も含めて払い続けられるかで方式を比べておくと、導入後に費用を理由に紙へ戻る事態を避けやすくなります。
対象となる事業者、申請の時期、賃金の条件などは公募ごとに変わる可能性があります。
申請を考える場合は、最新の公募要領で条件を確かめてから導入の計画に組み込みます。
▼ 図の内容を文字で読む
- 取引先指定のシステムで受け渡す
- 先方は自社の仕組みのまま受け取れる
- 自社は相手ごとに画面を使い分ける
- 中小企業共通EDI
- 受注側は標準対応のプロバイダーと業務アプリを使う
担当者と取引先に使ってもらうには、導入時に何を決めて案内するか
紙で受ける例外の条件と担当
導入した後に紙が残る場面の一つは、例外の扱いが決まっていないときです。
ある取引先から電話で「今月は紙で送ってほしい」と頼まれた担当者が、その場で印刷して郵送すれば、その月の控えは紙のまま残ります。
翌月も同じ対応が続けば、その相手は台帳の上では電子なのに、実際には紙で送っている状態になります。
ミラサポplusの資料は、電話やFAXによる受発注では手入力での転記が必要になり、ミスや書類紛失のリスクがあると指摘しています3。
納品書の送付でも、紙や電話の経路が残れば、その分だけ転記と確認の作業が続きます。
そこで導入時に、紙で送る例外として認める条件と、その場合の担当を決めておきます。
決めておくのは、紙で送る相手を台帳で紙に区分した相手に限るのか、一時的な依頼にも応じるのか、応じる場合は誰が印刷・郵送し、控えをどこに残すのか、といったことです。
取引先から受領印付きの控えが郵便やFAXで戻ってくる運用があるなら、それを誰が記録に反映するのかも決めます。
例外の条件と担当が決まっていれば、依頼のたびに担当者がどう扱うか迷うことが減り、紙で送った件数も後から数えられます。
取引先への案内3点
取引先への案内は、切り替えの事情を長く説明するより、先方の担当者が受け取るときに迷わない情報に絞ります。
伝えるのは次の3点です。
- 受け取り方法:どのメールアドレスに、どの形式のファイルで届くのか、または先方のどのシステムに登録するのか
- 送付時期:いつの納品分から電子に切り替えるのか、納品ごとに送るのか月末にまとめるのか
- 紙を希望する場合の連絡先:社内の担当部署と連絡方法
紙を希望する場合の連絡先を明記しておくと、紙を求める連絡が営業担当や現場の担当者にばらばらに届きにくくなり、例外の扱いを一か所で判断できます。
また、電子で受け取った取引先にも保存義務がかかります1。
先方が受け取ったデータの保存方法を決めるまでの時間を見込み、切り替え日より前に余裕を持って案内を送ると、先方も準備を進めやすくなります。
併用期間の区切り方
紙と電子の併用期間に、すべての事業者に当てはまる決まった長さはありません。
ただ、終わりを決めずに始めると、紙で送る手順と電子で送る手順の両方を担当者が覚え続けることになり、どちらが正式な手順なのかがあいまいになります。
そこで、併用期間は全体で一つの期限を置くのではなく、取引先の区分ごとに見直しの日を決めます。
メールで受け取れる区分の相手は切り替え日以降は電子のみにする、紙を希望する区分の相手は3か月後に理由を確かめ直す、といった形です。
期限が来た相手から順に台帳を更新していけば、併用の範囲が少しずつ狭まっていきます。
社内の担当者には、納品書をどこで作り、どう送り、どこに保存し、訂正が必要になったときにどうするかを、一枚の手順書にまとめて渡します。
改ざん防止の措置として事務処理規程を選んだ場合は、この訂正の手順がそのまま要件に対応するための手順にもなります。
補助金の対象経費にはマニュアル設定や導入研修も含まれますが4、それは費用の区分として対象になるという意味であり、研修を受ければ定着するという意味ではありません。
手順書が日々の操作に沿っているかは、導入後の数字で確かめていきます。
導入後に紙や手作業が残る場面は、何を見て調整するか
毎月数える3つの指標
導入後に見る数字は、多く集めるより、毎月同じ数え方で続けられるものに絞ります。
目安になるのは次の三つです。
- 紙で出した納品書の件数(取引先の区分別)
- 取引先からの問い合わせの件数(届いていない、ファイルが開けない、再送してほしいなど)
- 再発行・修正の件数
紙で出した件数は、電子への切り替えがどこまで進んだかを示します。
問い合わせの件数は、案内が伝わっていない取引先や、受け取り方が先方の業務に合っていない取引先を見つける手掛かりになります。
再発行・修正の件数は、社内の作成や送付の手順のどこかで誤りが起きていないかを見るためのものです。
導入前に工程ごとの手間を記録してあれば、その数字と並べて変化を比べられます。
目標の立て方には注意が要ります。
ミラサポplusの資料によると、2016年度補正の実証事業では、12の実証プロジェクトで中小企業の受発注業務の時間が平均51.4%削減されたとされています3。
これは企業間でデータをつないだ受発注業務全体の結果で、納品書の電子化だけで同じ効果が見込めるわけではなく、自社の目標値には使えません。
この数字から自社に引き寄せられるのは、効果が企業間でデータがつながった状態で生まれているという見方までです。
取引先の側に紙が残っている間は自社の作業も減りきらないため、自社の数字は紙が残る件数を中心に見ていきます。
紙が残る理由別の対応
紙で出した件数が減らないときは、件数だけを見ても次の手が決まりません。
紙が残っている相手を、台帳に記録した理由ごとに分けて見ます。
案内が先方の担当者に届いていない、切り替えを知らなかったという理由なら、案内を再送し、宛先が正しいかを確かめます。
受け取り方法が先方の業務に合わない、たとえば先方は自社のシステムで受け取りたいのにメールで送っている、という理由なら、受け渡しの方式を変えることを検討します。
先方の保存体制が整っていない、社内の決まりで紙が必要だといった理由ですぐには変わらない相手は、例外として固定し、次の見直しの時期だけを決めておきます。
例外として固定した相手には、無理に切り替えを迫るより、紙で送る手順を安定させるほうが双方の手間は少なくて済みます。
自社の側に理由がある場合もあります。
台帳では電子の相手なのに紙で送っている件数があれば、担当者が慣れた手順に戻っている可能性があります。
手順書のどこで止まっているのか、訂正の手順が分かりにくくて紙で出し直していないかを、操作の流れに沿って聞き取ると、直すべき箇所が具体的になります。
数える、理由で分ける、対応を決める、台帳と手順を更新する、という流れを毎月繰り返します。
3か月ほど推移を見てから方式や例外の範囲を見直すと、一度の結果に振り回されずに判断できます。
▼ 図の内容を文字で読む
- 毎月3つの件数を数える
- 紙で出した件数
- 問い合わせの件数
- 再発行・修正の件数
- 紙が残る相手を理由別に分ける
取引先ごとの受け取り方と、電子で送った分の保存の手順は、自社の取引先の構成と納品書の流れを並べてみないと決めにくいためです。
自社の納品書を作成・送付・保管のどこから変えるか、取引先をどう分けて切り替えるかを確かめられます。無料相談で要件を整理する
納品書の導入方式を比べるときの5つの軸
取引先と自社の担当者がともに使い続けられるかを判断する観点で並べた。
- 取引先の負担:先方が今の受け取り方や保存の仕組みのまま使えるか
- 社内の操作負担:相手ごとに画面や手順を使い分ける作業が残るか
- 保存要件への対応:改ざん防止の措置と検索を、仕組みと人のどちらで支えるか
- 費用の構造:初期費用と、利用料のように続く費用を払い続けられるか
- 補助金の対象:業務プロセスを持つITツールか、補助の期間が過ぎた後の負担はどうなるか

先方指定のシステムで受け渡す取引先が多い場合は、社内の操作負担の軸を重く見る。
要点の整理
| 着手する工程 | 作成・保管は社内で先に整え、取引先に影響する送付は相手ごとに切り替える |
|---|---|
| 取引先の分け方 | 受け取り方と受領後の保存体制で分け、紙を希望する理由を台帳に残す |
| 電子で送った分の保存 | 自社もデータで保存し、改ざん防止の措置をいずれか選ぶ |
| 導入方式の比較 | 取引先の負担・社内の操作負担・保存要件・費用の構造・補助金の5軸で見る |
| 定着の確認 | 紙の件数・問い合わせ・再発行を毎月数え、紙が残る理由別に対応を決める |
導入後に紙が残る理由は取引先ごとに異なり、件数だけでは次の対応を決めにくいためです。 紙が残る相手の理由別の分け方と、案内の再送・方式の変更・例外の固定のどれを選ぶかを確かめられます。
よくある質問
納品書を電子で送ったら、自社にも保存義務はありますか。
あります。
電子帳簿保存法では、電子データで取引情報を授受した事業者が保存義務の対象とされており、送った側の自社も含まれます1。
電子取引を始めるときに税務署へ申請する必要はありません1。
保存の際は、タイムスタンプの付与や事務処理規程の整備など、改ざんを防ぐ措置のいずれかを行います2。
取引先が紙を希望する場合、電子と紙のどちらで保存すればよいですか。
紙で渡した取引は電磁的方式での授受ではないため電子取引に当たらず1、電子取引データの保存要件はかかりません。
同じ取引先でも、電子で送った回の分はデータで保存します。
どちらの方法で渡したかを取引先ごとに台帳で管理し、保存先を分けておくと取り違えを防ぎやすくなります。
電子納品書の保存に専用システムは必須ですか。
改ざん防止の措置は、タイムスタンプの付与のほか、訂正・削除を防止する事務処理規程の整備などから選べます2。
検索も、発行に使っているシステムでできなくても、同等の要件を満たす別のシステムで対応する方法が示されています2。
ただし専用の仕組みを使わない場合は、規程に沿った訂正・削除の手順や保存の作業を担当者が担うため、電子で送る相手が増えるほど人の負担が大きくなります。
導入時に補助金を使うには何を確認しますか。
デジタル化・AI導入補助金の通常枠では、補助額が1プロセス以上で5万円以上150万円未満、4プロセス以上で150万円以上450万円以下、補助率は原則1/2以内です4。
申請するITツールは業務プロセスを1種類以上持つ必要があり、クラウド利用料の対象は最大2年分です4。
対象者や時期、賃金の条件は最新の公募要領で確かめ、補助が終わった後の利用料も含めて負担を見積もります。
紙と電子の併用期間はどのくらいが目安ですか。
すべての事業者に当てはまる決まった長さはありません。
全体で一つの期限を置くより、取引先の区分ごとに見直しの日を決め、期限が来た相手から台帳を更新していく方法が進めやすくなります。
件数の推移は3か月ほど見てから、例外の範囲や方式を見直すと判断が安定します。
担当者が電子の運用を使わないときは、何から見直しますか。
まず、台帳では電子の相手なのに紙で送っている件数を数え、どの工程で紙に戻っているかを担当者に聞き取ります。
訂正の手順が分かりにくい、例外の条件が決まっていない、手順書が実際の操作と合っていないといった原因が見つかれば、その箇所を直します。
紙で受ける例外の条件と担当を決めておくと、依頼のたびの迷いが減ります。
- 1 出典:国税庁「電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】 Ⅰ 通則」(2026年)
- 2 出典:国税庁「電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】 Ⅱ 適用要件」(2026年)
- 3 出典:中小企業庁(ミラサポplus)「企業間のデータ連携で、受発注の業務コストを削減する!」(2020年)
- 4 出典:独立行政法人中小企業基盤整備機構「デジタル化・AI導入補助金 通常枠」(2026年)
画像の出典元
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