◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
目次

取引先の伝票電子化を一斉に進められないのはなぜか
取引先ごとに紙でやり取りしている伝票を電子化しようと決めたものの、いざ相手先の一覧を眺めると手が止まる、という段階かと思います。
数十社、場合によっては数百社に一斉に案内を送っても、応じてくれる先とそうでない先が必ず分かれます。
電子化が進まない理由として「取引先からの要望がある」を挙げた請求書発行担当者は36.2%にのぼり4、相手側の都合が移行の速度を決めている実態があります。
変えられるのは、全社を同時に動かすことではなく、どの順番で声をかけるかです。
取引量の多さ、取引関係の重要度、そして相手側が今すぐ対応できるかどうか。
この三つを見て並べ替え、動かしやすい先から順に切り替えていく。
そのあいだ紙と電子が併存するのは失敗ではなく、想定しておくべき通常の状態です。
取引先ごとに電子化への意識・対応にばらつきがある
自社の側で「紙をやめる」と決めることはできます。
しかし取引先とやり取りする伝票は、相手が受け取れて初めて成立します。
ここが社内文書の電子化と決定的に違うところです。
では相手側はどう考えているのか。
事業者を対象にした2025年の調査では、取引先へ発行する請求書について「電子データが理想」と答えたのは52%、取引先から受け取る請求書についても51%でした5。
全国の事業者1,236名を対象にした調査で、請求書の理想形式を尋ねた設問の結果です。
半数が電子を理想とするなら追い風のようにも読めますが、裏を返せば残りの半数は紙や別の形を理想としている、ということでもあります。
つまり案内を送った取引先のうち、そのまま「ではそうしましょう」と返ってくる先と、「うちはまだ紙で」と返ってくる先が、かなりの割合で混ざると見ておくのが自然です。
相手が消極的なのは怠慢ではなく、相手の社内でも受け取り側の処理フローや保存の仕組みを変える必要があるからです。
発行側の担当者に目を向けると、この構造はもっとはっきりします。
請求書発行業務に携わるビジネスパーソン900名への調査では、電子化が進まない理由として「取引先からの要望がある」を挙げた人が36.2%いました4。
自社が電子化したくても、取引先から紙での発行を求められて動けない、という状態です。
この数値は請求書について聞いたものであり、受発注伝票や納品書を含めた伝票全般の割合ではありません。
ただ、取引先との合意がないと形式を変えられないという点は、取引先とやり取りするどの伝票にも共通します。
ここから導かれるのは、移行計画を「自社の作業スケジュール」として引くと必ずずれる、ということです。
システムの設定が終わった日が移行日ではなく、取引先が受け入れられるようになった日が移行日になります。
だから一斉切替という発想そのものを一度手放して、どこから当たるかの順番を考える問題として捉え直す必要があります。
2024年の電子取引データ保存義務化が移行を急がせる背景
順番を考える前提として、時間的な制約も押さえておきます。
電子取引データの保存義務化は2024年1月にスタートしました3。
ここで重要なのは、この義務が「紙を電子に変えなさい」という話ではないことです。
義務の対象は、すでに電子でやり取りしているデータの保存方法です。
メールにPDFの請求書を添付して受け取ったなら、それを印刷して紙で保存するのではなく、電子データのまま一定の要件を満たして保存する必要があります。
この区別が、移行の順番を考えるときに効いてきます。
紙の伝票を紙のままやり取りしている取引先については、この義務は直接かかりません。
一方、電子化に応じてくれた取引先とのやり取りは、その瞬間から電子取引データの保存要件の対象に入ります。
つまり移行を進めるほど、保存要件を満たすべきデータが増えていくという関係です。
だから「まず取引先を切り替えて、保存の仕組みは後で整える」という順序だと、切り替えた先から保存要件を満たさないデータが積み上がります。
順番を決める作業と、受け取ったデータをどう保存するかを決める作業は、片方を終えてからもう片方に取りかかる関係ではなく、並行して用意しておくものだと考えてください。
保存側の具体的な要件は後ろの節で扱います。
移行の順番はどう決める?取引量・関係の重要度・取引先の対応状況で優先順位をつける
取引量・関係の重要度で優先順位をつける考え方
取引先の一覧を前にして最初に見るのは、伝票の枚数です。
月に何百枚も伝票が行き来する取引先と、年に数回しか発生しない取引先とでは、電子化で減る手間の大きさがまったく違います。
同じ調整の労力をかけるなら、枚数の多い先から着手したほうが、早い段階で効果が出ます。
二つ目の軸が、取引関係の重要度です。
これは金額の大きさとも、付き合いの長さとも重なりますが、判断としては「その取引先とのやり取りが止まると自社の業務がどれだけ困るか」で見るとぶれません。
重要度が高い取引先は、慎重に進める必要がある一方で、先方の担当者と日常的に連絡を取れている分、話を持ちかけやすいという面もあります。
三つ目が、取引先側の対応状況です。
すでに何らかのシステムで伝票を電子的に扱っている取引先なら、こちらの形式に合わせてもらう話し合いだけで済むことがあります。
逆に、伝票の処理を紙の回覧で組み立てている取引先だと、先方の社内の運用を変える話になり、返事が来るまでの時間も、実際に切り替わるまでの時間も長くなります。
この三つの軸は、掛け合わせると迷いが出ます。
取引量は多いが対応が遅そうな先と、取引量は中くらいだがすぐ動けそうな先と、どちらを先にするか。
実務的には、最初の数社は「対応状況」を重く見て選ぶのが無難です。
移行の手順や案内文、社内の受け入れ体制は、一社目を通してしか磨けません。
動きの速い先で一度通してから、取引量の大きい本命に取りかかったほうが、大きな取引先とのやり取りでつまずく確率を下げられます。
一方で、ある程度回り始めたら軸の重みは変えていきます。
手順が固まった後は、取引量の多い先を優先したほうが、残った紙の処理量を早く減らせます。
つまり優先順位の付け方は最初から最後まで一定ではなく、序盤は進めやすさ、中盤以降は効果の大きさ、という具合に見る軸が移っていきます。
EDI移行の事例に見る取引先1社ごとの段階移行
取引先ごとに個別に進めるとどれくらいの手間になるのか。
参考になるのが、ISDN網の終了に伴ってEDIの通信方式を移行した企業の事例です。
この事例では、EDIの切り替えは取引先の小売店1社ずつとスケジュールを合わせて取り組まなければならない、とされています1。
相手先ごとに調整の場を持ち、都合の合う時期に合わせて切り替えていく形です。
この事例は紙の伝票を電子化したものではなく、すでに電子でやり取りしていた通信方式を別の方式に変える移行です。
そのまま自社の状況に当てはめられる数字ではありません。
ただ、取引先が関わる形式変更は相手の社内スケジュールに合わせて一社ずつ進むという構造は、紙から電子への切り替えでも変わりません。
相手の決算期、繁忙期、担当者の異動時期といった事情が、こちらの希望日より優先されます。
この一社ずつという前提を置くと、取引先数が多い企業ほど一斉切替が非現実的になることがはっきりします。
たとえば工業用粘着テープなどの提案・販売を手掛ける日東電工CSシステム株式会社は、全国約3,000社の販売店と取引しています6。
この規模で全社に同じ案内を送り、同じ期日で切り替えるというのは、返ってくる問い合わせの量だけでも受け止めきれません。
数百社、数千社という規模になると、優先順位は個社ごとではなくグループ単位で考えることになります。
取引量の上位何社かは個別に担当者が話を進め、中位の層は業種や取引形態ごとにまとめて案内し、下位の層は当面紙のまま置いておく。
個別調整の手間をかける相手を絞り込むこと自体が、優先順位付けの目的になります。
優先順位を整理するときに見る情報
実際に一覧を作るとき、取引先ごとに埋めておくと判断しやすい項目を挙げます。
このうち三つ目の「取引先側の電子化対応状況」だけは、こちらで調べても分からないことがほとんどです。
先方がどんなシステムを使っているか、電子データでの受け取りが可能かは、聞いてみないと確定しません。
だから優先順位付けは、一覧を完璧に埋めてから始めるのではなく、分かる範囲で並べて上位から声をかけ、返ってきた回答で順位を組み替えていく進め方になります。

最初に作った一覧が数か月後には形を変えているのが普通です。
対応できると思っていた先が社内調整で止まり、期待していなかった先から前向きな返事が来る。
この入れ替わりを織り込んで、一覧は固定した計画表ではなく、都度更新する管理表として扱ってください。
対応が早い取引先と遅い取引先が混在する期間、紙と電子の伝票はどう併存させるか
電子データで受け取った伝票は検索要件を満たして保存する
取引先を順番に切り替えていけば、必ず紙と電子が混ざる期間が生まれます。
数社だけ電子に切り替わり、残りは紙のまま、という状態です。
この期間にまず確認しておきたいのが、電子に切り替わった分の保存方法です。
電子取引データの保存では、検索の条件として設定できるようにすることが求められる項目が三つあります。
取引年月日、取引金額、取引先です2。
つまり受け取った電子データを保存フォルダに放り込んでおくだけでは足りず、この三つで探し出せる状態にしておく必要があります。
ファイル名にこれらを含めて命名規則を決めるか、要件を満たすシステムで保存するか、いずれかの形になります。
混在期間で厄介なのは、同じ月の同じ取引先の伝票が、紙と電子に分かれて存在しうる点です。
たとえば受発注は電子に切り替わったが請求書はまだ紙、という中途半端な状態は十分に起こります。
後から探すときに、どちらを見ればよいか分からなくなるのはこの局面です。
取引先ごとに「どの伝票がいつから電子になったか」を記録しておくと、探す先を迷わずに済みます。
5,000万円以下なら検索要件は不要
ただし、この検索要件には例外があります。
基準期間における売上高が5,000万円以下である場合には、検索機能を確保することが不要とされています2。
該当するなら、保存の仕組みを整えるための負担はかなり軽くなります。
移行の順番を考える前に、自社がこの基準に当てはまるかどうかを確認しておく価値があります。
注意したいのは、この判定が誰について行われるかです。
基準期間の売上高で判定されるのは保存義務者、つまり自社であって、取引先の規模ではありません2。
取引先が小規模だから要件が緩くなる、という話ではないということです。
自社が基準を超えていれば、相手がどんな規模でも検索要件を満たして保存する必要があります。
逆に、自社が5,000万円以下に該当する場合でも、取引先が多く伝票の量が多いなら、検索できる形で保存しておくこと自体には実務上の意味があります。
要件として求められるかどうかと、後から探せて困らないかどうかは別の問題です。
制度上不要でも、問い合わせのたびにフォルダを開いて探すことになるなら、命名規則くらいは決めておいたほうが手間は減ります。
紙伝票が残る取引先への対応
まだ電子化に応じていない取引先とのやり取りは、これまでどおりの方法で続けることになります。
電子取引データの保存義務は、電子でやり取りしたデータにかかるものだからです。
紙でやり取りしている伝票を、電子化に応じない取引先がいるという理由で慌てて変える必要はありません。
混在期間で実際に負担が増えるのは、保存のルールが二本立てになることです。
電子で受け取った分は要件を満たしてデータで保存し、紙で受け取った分は従来の保管方法で残す。
この振り分けを誰がどの時点で行うかを決めておかないと、電子で届いたものを印刷して紙のファイルに綴じてしまい、元データがどこにあるか分からなくなる、という取り違えが起きます。
現場の担当者が迷うのは、多くの場合「この取引先は電子だったか紙だったか」の一点です。
だから混在期間の運用で用意すべきものは、複雑なフローチャートではなく、取引先ごとの現在の状態が一目で分かる表です。
切り替え済みの取引先が増えるたびにその表を更新していけば、判断が分かれる場面そのものを減らせます。
この混在期間がどれくらい続くかは、取引先数と相手側の動き次第で、はじめから見通すことはできません。
ただ、混在を一時的な異常事態ではなく一定期間続く通常運転として扱っておけば、途中で「まだ終わらないのか」と焦らずに済みます。
移行の完了は全社が切り替わった日ではなく、切り替わっていない先が残っていても業務が回る状態を作れた時点だと考えたほうが、計画としては現実的です。

取引先へ電子化移行を依頼・案内する進め方とスケジュールの目安
取引先との個別スケジュール調整の進め方
優先順位が決まったら、上位の取引先から順に声をかけていきます。
ここで見込む期間の目安として、先ほどのEDI移行の事例では、事前調整から利用開始までは1カ月ほどかかるとされています1。
繰り返しになりますが、これは通信方式の移行の事例であり、紙からの電子化に当てはまることを確認した期間ではありません。
ただ、相手の社内で話を通し、テストをして、切り替え日を決めるという流れを踏む以上、日単位では済まないことの目安にはなります。
仮に一社あたり1カ月かかり、同時に進められるのが数社だとすると、数十社を回すだけで一年近くかかる計算になります。
この試算が示すのは、期限を先に決めて全社に同じ日付を通知するやり方が成り立ちにくいということです。
切り替え日は取引先ごとに違ってよく、むしろ違うのが前提です。
並行して進められる社数は、社内で調整に当たれる人数で決まります。
担当者が一人で全取引先を回すなら、同時に進められるのはせいぜい数社です。
だから優先順位付けは「どれを先にやるか」であると同時に、「どこまでを個別調整の対象にするか」の線引きでもあります。
下位の取引先まで一社ずつ話を通そうとすると、担当者の時間が上位の取引先に割けなくなります。
移行依頼で伝えるべきこと
取引先への案内で書く内容は、こちらの都合の説明よりも、相手が返事をしやすい形になっているかで決まります。
相手の担当者は、案内を受け取った時点で自社の中の誰に相談すればよいかを判断しなければなりません。
そこで詰まると、返事が来ないまま時間だけが過ぎます。
最低限伝えたいのは、こちらが希望する移行時期と、対応が難しい場合にどうなるかです。
希望時期を書かないと相手は優先度を判断できず、後回しにされます。
一方、対応できない場合の代替を書いておかないと、相手は「断ると取引に影響するのか」と身構えて、返事そのものを保留します。
当面は紙で継続できると明示しておけば、相手は状況を正直に返しやすくなります。
これは相手への配慮というより、こちらが順番を組み直すための情報を早く得るための書き方です。
「対応できません」という返事が早く来れば、その取引先を後回しにして次に進めます。
返事が来ないまま待つ時間が、移行全体の進みを一番遅くします。
もう一つ、案内には先方の窓口を尋ねる一文を入れておくと後が楽になります。
紙の伝票をやり取りしている相手は営業や購買の担当者でも、電子化の話は経理やシステムの担当者に移ることがあります。
最初の案内で窓口が確定すれば、二度目以降のやり取りが直接つながります。
案内から切り替えまでの流れ
ここまでの内容を、一社に対する動きとして並べると次のようになります。
この流れを一社ずつ回していくあいだ、切り替え済みの取引先と未対応の取引先が並行して存在します。
だから最後の「運用を開始する」段階は、一社の移行が終わったという意味であって、全体の移行が終わったという意味ではありません。
混在の運用ルールを先に決めておく理由はここにあります。
三社目、四社目と進むにつれて、案内文も調整の段取りも精度が上がります。
最初の一社でかかった時間が、そのまま全社分の見積もりになるわけではありません。
逆に言えば、最初の一社で時間がかかったからといって計画を組み直す必要はなく、二社目以降の実績が出てから全体の見通しを引き直せば十分です。
取引先ごとの対応状況は聞いてみるまで分からず、優先順位は返ってきた回答で組み替えることになります。取引先数が多い場合、どこまでを個別調整の対象にするかの線引きは、自社だけでは判断材料が揃いにくいところです。
取引先数と伝票の種類を前提に、個別に調整する層とまとめて案内する層をどう分けるか、進め方の整理からご相談いただけます。無料相談で要件を整理する
優先順位を決める3つの軸(取引量・関係の重要度・取引先の対応状況)
移行の着手しやすさと、切り替えたときに減る作業量という二つの見方で並べています。
- 取引量:年間の伝票枚数が多いほど、電子化で減る処理の量が大きい
- 関係の重要度:やり取りが止まったときの業務への影響が大きい取引先ほど、慎重かつ早期に話を始める必要がある
- 取引先の対応状況:すでに電子で伝票を扱っている先は調整が短く済み、紙の運用が固まっている先は社内調整に時間がかかる
序盤は手順を固めるために対応状況を重く見て、手順が固まった中盤以降は取引量を重く見る、というように重みを移していきます。
要点の整理
| 軸 | 基準 |
|---|---|
| 取引量 | 年間の伝票枚数が多い取引先ほど、切り替えで減る作業量が大きい |
| 関係の重要度 | やり取りが止まったときの業務への影響で判断する |
| 取引先の対応状況 | すでに電子で伝票を扱っているかどうかで、調整にかかる時間が変わる |
| 軸の重みの変え方 | 序盤は対応状況、手順が固まった中盤以降は取引量を重く見る |
| 混在期間の保存 | 電子で受け取った分は取引年月日・取引金額・取引先で検索できる形にする |
| 検索要件の免除 | 基準期間の売上高5,000万円以下なら検索機能の確保は不要(判定対象は自社) |
| 案内に書くこと | 希望する移行時期と、対応が難しい場合は当面紙で継続できること |

移行が進むほど、電子で受け取った伝票と紙のまま残る伝票が並行して増えていきます。混在期間の保存や取引先ごとの状態管理は、切り替えが始まってから作り込むと取り違えが起きやすい部分です。 約3,000社の販売店と取引する企業での導入を含め、取引先数の多い環境で段階的に切り替えていく際に何を先に決めておくべきかをお伝えできます。
よくある質問
電子化に応じてくれない取引先とは、いつまで紙伝票でやり取りしてよいか
期限は決まっていません。
2024年1月に始まった保存義務3は、電子でやり取りしたデータの保存方法についてのもので、紙のやり取りを電子に変えることを求めるものではないからです。
紙で受け渡ししている伝票は、従来どおりの方法で保存して差し支えありません。
ただし、途中で一部の伝票だけ電子に切り替わると、その分は電子取引データの保存要件の対象になります。
取引先ごとに、どの伝票がいつから電子になったかを記録しておくと取り違えを防げます。
取引先ごとにシステムやフォーマットが異なる場合はどう対応すればよいか
相手ごとに形式が違うこと自体は避けられません。
移行を進めるほど、こちらが受け取るデータの種類は増えます。
このとき優先して決めるべきは、形式をどう統一するかよりも、どの形式で受け取っても取引年月日・取引金額・取引先で検索できる形に保存できるかです2。
保存の入口を揃えておけば、形式の違いは受け取り方の違いにとどまります。
逆に保存側が形式ごとにバラバラだと、取引先が増えるたびに探し方が増えていきます。
電子化の優先順位を社内でどう合意すればよいか
取引量・取引関係の重要度・取引先の対応状況という軸を先に共有してから、個別の取引先名を出すのが進めやすい順序です。
先に社名から議論を始めると、営業は関係の重要度を、経理は伝票枚数を基準に話すため、噛み合わないまま結論が出ません。
軸を合意しておけば、個々の取引先について意見が分かれたときも、どの軸を重く見るかという話に整理できます。
また、最初の数社は手順を固めるために対応の早い先を選ぶ、という位置づけを共有しておくと、「なぜあの大口から始めないのか」という疑問が出にくくなります。
移行スケジュールが取引先都合で遅れた場合、どう調整すればよいか
取引先が関わる移行は、相手の社内スケジュールに合わせて一社ずつ進むものです1。
遅れを取り戻そうとして期日を押し込むより、その取引先を後ろに送り、次の取引先の調整を先に進めるほうが全体は早く進みます。
遅れが起きたときに確認したいのは、先方の社内で話が止まっているのか、窓口までたどり着いていないのかの区別です。
後者なら、窓口を改めて確認するだけで動き出すことがあります。
EDIの移行と請求書の電子データ保存は同じ対応でよいか
別の話です。
EDIは取引先とデータをやり取りする仕組みの話で、電子取引データの保存は、受け取ったデータを自社でどう保存するかの話です。
ただし、この二つは順番につながっています。
EDIなどで電子的に伝票を受け取るようになると、その受け取ったデータが保存要件の対象になります2。
やり取りの仕組みだけ先に切り替えて保存側を後回しにすると、要件を満たさないデータが溜まります。
切り替えた取引先の分から保存の運用に乗せていく形にしてください。
- 1 出典:日経BP(日経クロステック)「ISDN移行のハードルは業界によって様々、EDIなどは早期対応が必要」(2016年)
- 2 出典:国税庁「電子帳簿保存法 Ⅱ適用要件【基本的事項】」(2024年)
- 3 出典:財務省「広報誌「ファイナンス」令和6年8月号」(2024年)
- 4 出典:Sansan株式会社「請求書発行の電子化に関する実態調査」(2023年)
- 5 出典:株式会社インフキュリオン「ビジネス決済総合調査2025」(2025年)
- 6 出典:株式会社フライトソリューションズ「EC-Rider B2B 導入事例(日東電工CSシステム株式会社様)」
画像の出典元
- High stacks of organized, bound paper bundles create a struc/Photo by Božo Gunjajević on Pexels
- A hand interacting with a tablet next to blank paper on a wh/Photo by cottonbro studio on Pexels