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伝票の種類はいくつ必要?業務の流れで決める整理法と、印紙税・返品通知・補助金の確認点

◆監修・編集責任者 小園 将隆 

B2B EC-COLUMN

この記事のポイント

  • 伝票の種類は書式名ではなく、受注・出荷・請求・入金・返品という業務の流れで数えると、重複と抜けが見える
  • 紙で渡す書類は名称でなく記載内容で印紙税の課税文書かどうかが決まり、「済」「了」表示の請求書が受領書に当たる例がある
  • 買う側として受け取った商品の不適合は、知った時から1年以内の通知が必要で、受領日・検品結果・通知日を残すと後から説明しやすい
  • インボイス対応類型の補助金は、補助額区分に応じて会計・受発注・決済のうち1機能以上または2機能以上が要件で、ハードウェアのみは申請できない

Businessman packing products and managing an online store from his desk with a laptop.
▽ 写真の出典元

伝票の種類は書式名ではなく業務の流れで数える

受注伝票、納品書、請求書と書式を足していくうちに、自社に本当は何種類の伝票が要るのか分からなくなっていませんか。
伝票の種類は、書式の名前ではなく、受注・出荷・請求・入金・返品という業務の流れで数えると、重複と抜けが見えてきます。
流通BMSが6業務を8種の標準メッセージに分けた例が、その区切り方の参考になります2。
そのうえで、紙で渡す書類は名称でなく内容で印紙税の課税文書かどうかが決まること1、返品・検品の記録は不適合を知ってから1年以内という通知期限とつながること4を押さえると、伝票ごとに残す項目が決まります。

書式名で数えると重複と抜けが出る

伝票の種類を書式の名前で数えると、同じ出来事を記録した紙が別々に数えられ、記録の無い業務は数に入りません。
たとえば、自社ECと卸の取引を並行している事業者を考えてみます。
EC経由の注文は注文データとして届き、卸先からの注文はメールやFAXで届くので、担当者がそれぞれ受注伝票に書き写しています。
出荷のときは、倉庫向けの出荷指示書、同梱する納品書、配送用の送り状を作ります。
月末には請求書を作り、入金があれば領収書を出します。

書式名で数えると、受注伝票、出荷指示書、納品書、送り状、請求書、領収書の6種類です。
ところが、出荷指示書と納品書と送り状は、どれも「どの商品を、いくつ、どこへ送ったか」という一回の出荷を記録したものです。
品名や数量を三つの書式へ別々に入力していれば、転記の回数はその分だけ増え、どれか一つだけ数量が違うといった食い違いも起こり得ます。
一方で、卸先から返品の連絡が来たときはメールでやり取りするだけで、伝票が一枚もありません。
書式名で数えた6種類には、返品という業務がそもそも現れないのです。

業務の流れで数えると、見え方が変わります。
受注、出荷、請求、入金、返品という出来事を順に並べ、それぞれに今どの書式が付いているかを書き込むと、出荷の行に三つの書式が重なり、返品の行が空いていることが一目で分かります。
重なっている行は、一つの記録から複数の書式を作れないかを考える候補になり、空いている行は、記録を残す仕組みを足す候補になります。
伝票の数を減らすか増やすかは、この並べ替えの後で決めれば足ります。

ここでいう業務とは、注文の内容や商品、お金が確定して次の相手へ渡る区切りのことです。
受注で注文の内容が確定し、出荷で商品が手元を離れ、請求で代金の支払いを求め、入金で代金が届き、返品で商品が戻ってきます。
一つの区切りに一つの記録が対応していれば、後から「いつ何が起きたか」をたどるときに、どの紙やデータを見ればよいかが決まります。
反対に、区切りと記録の対応が崩れていると、同じことを調べるのに複数の書類を突き合わせることになります。

流通BMSは6業務を8種のメッセージに分けている

業務の区切り方には、参考になる業界の標準があります。
流通BMSは、流通業の企業間取引でやり取りするデータを標準化した仕様で、GS1 Japan(一般財団法人流通システム開発センター)の流通BMS協議会が公開しています。
2007年に公開された基本形Ver.1.0は、発注、出荷、受領、返品、請求、支払の6業務を対象に、8種の標準メッセージを定めています2。
ここでいうメッセージとは、企業間で送受信する電子データの種類のことで、紙の伝票の代わりにやり取りする記録の単位と考えると分かりやすいでしょう。

この区切り方で目を引くのは、出荷と受領が別の業務になっていることです。
売る側が「送った」記録と、買う側が「受け取った」記録は、同じ商品の動きでも別の出来事として扱われています。
返品と支払も、それぞれ独立した業務として並んでいます。
先ほどの例で返品の行が空いていたことを思い出すと、標準の側では返品が最初から一つの業務として数えられている点は、自社の一覧を見直すときの手掛かりになります。
また、業務は6つでもメッセージは8種あり、一つの業務に複数の種類の記録が対応する場合があることも読み取れます。

ただし、8種という数を自社の目標にする必要はありません。
流通BMSには百貨店業界向けの版もあり、2010年の公開時には26種の標準メッセージで構成されていました2。
基本形も、2018年公開のVer2.0で請求をとりまとめる請求鑑のメッセージが加わっています2。
業界や取引の形によって必要な記録の種類は変わり、同じ標準でも版を重ねて見直されているわけです。
流通BMSは流通業の企業間取引のための標準仕様であり、EC事業者に伝票の種類数を課す決まりではありません。
借りるべきなのは数ではなく、業務ごとに記録を分けるという考え方です。

発注側と受注側のどちらの伝票かを決める

業務の流れで並べるとき、もう一つ決めておきたいのが、自社がどちらの立場でその伝票を扱うかです。
流通BMSが出荷と受領を分けているように、同じ取引でも売る側と買う側では記録する出来事が違います。
ネットショップや卸を運営していると、お客様や卸先に対しては売る側ですが、仕入先に対しては買う側になります。

売る側としては、受注、出荷、請求、入金、返品の受付という流れで伝票を出したり受け取ったりします。
買う側としては、仕入先への発注、商品の受領と検品、代金の支払、仕入先への返品という流れになります。
一つの表にまとめる場合でも、売る側の行と買う側の行を分けておくと、同じ「返品」でも、お客様から戻ってくる返品と、仕入先へ戻す返品を取り違えずに済みます。

この区別は、後の確認点にもそのまま関わります。
印紙税は、自社が紙で作って相手に渡す書類で問題になります。
一方、受け取った商品の不備をいつまでに伝えるかという通知期限は、買う側に立ったときの記録で問題になります。
どちらの立場の伝票かを先に決めておけば、どの行にどの確認を付ければよいかが自然に決まります。

書式名を業務に結び付けると、重複と抜けが見える(仮定の例の模式図)
受注・出荷・請求・入金・返品の五つの業務に書式名を結び付けた図。出荷には出荷指示書・納品書・送り状の三つが重なり、返品には書式が結び付いていない。
▼ 図の内容を文字で読む
  1. 受注
    • 受注伝票
  2. 出荷
    • 出荷指示書
    • 納品書
    • 送り状
  3. 請求
    • 請求書
  4. 入金
    • 領収書
  5. 返品
    • 書式なし(メールのみ)

紙で出す伝票は内容次第で印紙税の課税文書になる

課税文書は20種類の文書のいずれかに当たるもの

業務ごとに伝票を並べたら、次は紙で相手に渡している書類に目を向けます。
印紙税は、印紙税法で定められた課税文書を作ったときにかかる税です。
国税庁のタックスアンサーNo.7100によると、課税文書に当たるのは、印紙税法別表第1(課税物件表)に掲げられた20種類の文書によって証明されるべき事項が記載された文書です1。
つまり、伝票だから課税される、伝票だから課税されない、という決まり方はしません。
その紙にどんな事項が書かれているかが、20種類のどれかに当たるかどうかで判断が分かれます。

20種類の内訳をすべて覚えておく必要はありません。
先に必要なのは、伝票一覧の上で紙で相手に渡している書類を拾い出し、それぞれに何が書かれているかを確かめる対象を絞ることです。
電子で送っている書類と紙で渡している書類が混ざったままでは、どれを確かめればよいかが定まりません。

名称ではなく内容で判断される

同じページは、課税文書に当たるかどうかを、文書の名称や形式的な文言ではなく、記載された内容で判断するとしています1。
この点は、伝票一覧を作るときの書式名の扱いと重なります。
最初の節で、書式名で数えると同じ出来事が別々に数えられると述べましたが、印紙税でも名前は判断の決め手になりません。
「納品書」と名付けた紙でも、「お買上げ明細」と名付けた紙でも、実際に何を証明する書き方になっているかが見られます。

実務で迷いやすいのは、一枚の紙に複数の役割を持たせている場合です。
出荷のときに渡す納品書に代金を受け取ったことを示す書き込みを加える運用や、請求書の控えに入金の印を押して渡す運用がそうです。
名前は変わらなくても、書かれている内容が変われば、判断の前提も変わります。
伝票一覧の紙の行には、書式名だけでなく、その紙に普段どんな書き込みをして相手に渡しているかまで書いておくと、確認すべき書類を見落としにくくなります。

「済」表示のある請求書の例

国税庁のページには、具体的な例も示されています。
売掛金の請求書に「済」や「了」と書かれていて、その表示が代金を受け取ったという意味だと当事者の双方が理解している場合、その請求書は売上代金の受領書(第17号の1文書)に当たるとされています1。
書式の名前は請求書のままでも、内容としては受領書として扱われるということです。

卸の取引で、納品時に集金し、その場で請求書の控えに「済」の印を押して渡している場面を考えると分かりやすいでしょう。
担当者にとっては請求書の延長でも、受け取った側にとっては代金を払った証拠の紙になります。
伝票一覧では、この紙は請求の行ではなく入金の行に置くほうが実態に合います。
入金の行に「済」の請求書が現れたら、それは受領書としての扱いを確かめる対象になる、という読み方ができます。

ただし、この例は国税庁のページが示す一つの場面です。
ほかの表示や書類に一律に当てはまるわけではなく、個別の書類が課税文書に当たるか、印紙税がいくらかかるかは、記載された金額や取引の内容を踏まえて判断されます。
判断に迷う書類は伝票一覧で印を付けておき、税務署に確認するのが確実です。

電子データの扱いは相談窓口で確認する

請求書や領収書をPDFにしてメールで送ったり、取引先のシステムへデータで渡したりする運用もあります。
こうした電子データの扱いについて、No.7100のページには説明がありません。
そのため、この記事では電子データで出す書類が印紙税の対象になるかどうかの結論は出しません。
紙と電子を併用している場合は、伝票一覧の「紙か電子か」の欄で電子の行を拾い出し、その書類について税務署や国税の相談窓口に確認してください。
紙で渡すものと電子で送るものが一覧の上で分かれていれば、問い合わせるときにも対象を具体的に伝えられます。

観点 「済」の表示がない請求書 「済」「了」の表示がある請求書
書式の名称 請求書 請求書
記載が示す内容 代金の支払いを求める 代金を受け取ったことを示す
双方の理解 請求として扱う 受領済みの意味と理解している
国税庁No.7100の例 例として示されていない 売上代金の受領書(第17号の1文書)に該当
名称は同じ請求書でも、内容で判断が分かれる一例(模式図)
「済」の表示がない請求書、「済」「了」の表示があり双方が受領の意味と理解している請求書、判断の基準を分けた図。名称ではなく記載内容で判断され、個別の書類は税務署に確認する。「済」の表示がない請求書、「済」「了」の表示があり双方が受領の意味と理解している請求書、判断の基準を分けた図。名称ではなく記載内容で判断され、個別の書類は税務署に確認する。「済」の表示がない請求書代金の支払いを求める内容「済」「了」の表示がある請求書双方が代金を受け取った意味と理解している売上代金の受領書(第17号の1文書)に当たる例判断の基準名称ではなく記載された内容で判断個別の書類は税務署に確認

▼ 図の内容を文字で読む
  • 「済」の表示がない請求書
    • 代金の支払いを求める内容
  • 「済」「了」の表示がある請求書
    • 双方が代金を受け取った意味と理解している
    • 売上代金の受領書(第17号の1文書)に当たる例
  • 判断の基準
    • 名称ではなく記載された内容で判断
    • 個別の書類は税務署に確認

返品・検品の記録は不適合の通知期限と結びつく

不適合を知った時から1年以内の通知

ここまでは、自社が作って相手に渡す書類の話でした。
返品や検品の記録は、立場を変えて、自社が買う側として商品を受け取ったときに意味を持ちます。
仕入先から届いた商品の種類や品質が、注文した内容と合っていなかった場合を考えてみます。

民法566条は、種類や品質が契約の内容に適合しない目的物の引渡しを受けた買主が、その不適合を知った時から1年以内に売主へ通知しないと、権利を主張できなくなると定めています4。
ここでいう権利は、代わりの品の引渡しや修理を求める追完請求、代金減額請求、損害賠償請求、契約の解除です4。
法律上の「契約不適合」とは、注文と違う種類の商品や、約束した品質に届かない商品が届いた状態を指します。

注意したいのは、期間の数え始めが商品を受け取った日ではなく、不適合を知った時になっている点です。
たとえば、仕入れた商品をしばらく在庫として保管し、出荷の準備で箱を開けたときに色違いが混じっていると気付いた場合、数え始めは気付いた時になります。
逆に言えば、いつ受け取り、いつ検品し、いつ気付いたのかが記録に残っていないと、期間の数え始めそのものが曖昧になります。

例外と契約による別の定め

この1年の制限には例外があります。
売主が引渡しの時点で不適合を知っていた場合や、重大な過失によって知らなかった場合は、1年以内に通知しなかったとしても、この制限は適用されません4。

また、民法566条は売買一般の規定です。
仕入先との間で取引基本契約を結び、検品の期限や返品の条件を定めている場合は、その定めが優先される可能性があります。
実務では、法律の1年より先に、契約書の返品条件や検品期限の条項を確かめることになります。
契約にどう書かれているかによって、伝票に残すべき日付や、期限の管理の仕方も変わるからです。

受領日・検品結果・通知日を残す提案

条文が定めているのは通知の期限であり、伝票に何を書くべきかまでは定めていません。
そのうえで、編集部としては、受領、検品、返品の各段階で次の日付と内容を伝票か一覧に残しておくことを提案します。

  • 受領日:商品を受け取った日と、受け取った数量
  • 検品日と結果:検品した日と、注文と合っていた点・合っていなかった点
  • 通知日:不適合を売主に伝えた日と、伝えた方法・相手

これらが残っていれば、返品の交渉が長引いたときに、メールの履歴や担当者の記憶をたどって日付を探し直す手間が減ります。
気付いた日と通知日がそろって見えるので、期限まであとどれくらいあるかも把握しやすくなります。
ただし、記録を残したからといって、相手との交渉が必ず有利に進むわけではありません。
記録が支えるのは、いつ何が起きたかを後から説明できる状態までです。

最初の節で見た流通BMSが、受領と返品をそれぞれ独立した業務として扱っていたことも、ここでつながります。
自社の伝票一覧でも、受領と返品に専用の行を設けて日付の欄を置いておけば、この記録を残す場所が決まります。
先ほどの例で空いていた返品の行は、売る側の返品受付だけでなく、買う側として仕入先へ戻す返品の記録にも使えます。

自社が売る側として、卸先から返品の連絡を受ける場面でも、日付の記録は役に立ちます。
このとき1年の期限が関わるのは買主である卸先の権利なので、自社が残しておきたいのは、連絡を受けた日と、相手がいつ不適合に気付いたと伝えてきたかです。
出荷した日だけを見て受け付けるかどうかを決めると、数え始めを取り違えるおそれがあります。
売る側と買う側のどちらの行でも、日付の欄の意味をそろえておくと、担当者が替わっても同じ読み方ができます。

通知期限の数え始めと、各段階で残す記録(提案を含む模式図)
商品を受け取る、検品する、不適合を知る、売主へ通知するという流れの図。1年の期間は不適合を知った時から数え始め、各段階に受領日、検品日と結果、通知日を残す記録欄が付いている。1商品を受け取る2検品する3不適合を知る4売主へ通知する

▼ 図の内容を文字で読む
  1. 商品を受け取る
    • 記録:受領日・数量
  2. 検品する
    • 記録:検品日と結果
  3. 不適合を知る
    • 1年の数え始め
  4. 売主へ通知する
    • 知った時から1年以内
    • 記録:通知日・方法・相手

伝票をシステムにまとめるときの補助金の機能条件

会計・受発注・決済の機能数と補助額の区分

伝票の範囲が決まると、それをシステムにまとめる費用が気になってきます。
受発注の伝票をシステムに移す場合に検討できる制度の一つが、独立行政法人中小企業基盤整備機構の「デジタル化・AI導入補助金2026」のインボイス枠(インボイス対応類型)です。
この類型で対象になるソフトウェアは、インボイス制度に対応し、会計、受発注、決済のうち1種類以上の機能を持つものです3。

必要な機能の数は、補助額の区分によって変わります。
公式ページの表と注記では、補助額が50万円以下なら会計・受発注・決済のうち1機能以上、50万円超350万円以下なら2機能以上が機能要件とされています3。
この対応は表の配置と注記から読み取れるもので、申請を考える段階では公募要領の該当箇所で確かめておくと安心です。

ここで、前の節までに作った伝票一覧が役に立ちます。
受注、出荷、返品の受付といった行をまとめたいのであれば受発注の機能、請求や入金の行をまとめたいのであれば会計や決済の機能が関わる、というように、まとめたい行と機能の区分を照らし合わせられるからです。
この対応づけは編集部の整理で、補助金のページが業務と機能の対応を定めているわけではありません。
それでも、受発注の行だけをシステム化したいのか、請求や入金まで含めたいのかが決まっていれば、必要な機能が1種類で済むのか2種類以上になるのか、つまりどちらの補助額区分を検討するのかを考えやすくなります。
反対に、受発注の機能だけを入れる計画で補助額が50万円を超える見込みになった場合は、機能要件と補助額区分が合っているかを見直すことになります。

補助率と対象外の費目

補助率は、50万円以下の部分と50万円を超える部分で異なります。
50万円以下の部分は中小企業が3/4以内、小規模事業者が4/5以内で、50万円を超える部分は2/3以内です3。
全体に一つの率がかかるのではなく、区切りの前後で率が変わる仕組みなので、見積額によって自己負担の割合が変わる点に注意が必要です。

また、ハードウェアだけを申請することはできません3。
伝票を印刷するプリンターや、倉庫で使うタブレットだけを買い替えたいという計画では、この類型は使えないということです。
申請できるかどうかは、機能の数のほかに、事業者としての要件、どの公募回に申請するか、導入したいツールが補助の対象として登録されているかによっても決まります。
補助金ありきで機能を増やすのではなく、伝票一覧で手作業の多い行を決めてから、その行に必要な機能と制度の条件を突き合わせる順番が無理のない進め方です。

補助額の区分 必要な機能数(会計・受発注・決済のうち) 補助率
50万円以下 1機能以上 中小企業3/4以内・小規模事業者4/5以内
50万円超350万円以下 2機能以上 50万円以下の部分は上と同じ・50万円超の部分は2/3以内
補助額の区分で、必要な機能の数と補助率が変わる(インボイス対応類型・2026年)
補助額50万円以下は会計・受発注・決済のうち1機能以上で補助率は中小企業3/4以内・小規模事業者4/5以内、50万円超350万円以下は2機能以上で50万円超の部分は2/3以内。ハードウェアのみの申請はできない。補助額50万円以下は会計・受発注・決済のうち1機能以上で補助率は中小企業3/4以内・小規模事業者4/5以内、50万円超350万円以下は2機能以上で50万円超の部分は2/3以内。ハードウェアのみの申請はできない。補助額が50万円以下会計・受発注・決済のうち1機能以上中小企業3/4以内・小規模事業者4/5以内補助額が50万円超350万円以下会計・受発注・決済のうち2機能以上50万円以下の部分は同じ率、50万円超の部分は2/3以内申請できないものハードウェアのみの申請

▼ 図の内容を文字で読む
  • 補助額が50万円以下
    • 会計・受発注・決済のうち1機能以上
    • 中小企業3/4以内・小規模事業者4/5以内
  • 補助額が50万円超350万円以下
    • 会計・受発注・決済のうち2機能以上
    • 50万円以下の部分は同じ率、50万円超の部分は2/3以内
  • 申請できないもの
    • ハードウェアのみの申請

自社の伝票一覧を作る手順

業務を行、確認項目を列にした作業表

ここまでの確認点を、一枚の作業表にまとめます。
表計算ソフトでも紙でも構いません。
行には業務を、列には各節で見てきた確認項目を置きます。
以下は編集部が提案する作り方で、決まった様式があるわけではありません。

  1. 行に業務を並べる(売る側は受注・出荷・請求・入金・返品の受付、買う側は発注・受領と検品・支払・仕入先への返品)
  2. 各行に、今使っている書式名をすべて書き込む
  3. 書式ごとに、紙で渡すか電子で送るかを書く
  4. 紙で渡す書式について、普段の書き込みや印も含めて、何を示す内容になっているかを書く
  5. 受領・検品・返品の行に、受領日、検品日と結果、通知日の欄を設ける
  6. システムでまとめたい行に、受発注・会計・決済のどの機能が関わるかを書く

書き込みが終わったら、表を行ごとに読みます。
一つの行に複数の書式名が並んでいたら、同じ出来事を何度も記録している可能性があります。
最初の節の例でいえば、出荷の行に出荷指示書・納品書・送り状が並びます。
三つとも必要な場合でも、品名や数量をそれぞれ手で入力しているのか、一つの出荷データから作っているのかで、転記の手間と食い違いの起こりやすさは違ってきます。

逆に、書式名の欄が空いている行は、記録が残っていない業務です。
例の事業者では返品の行が空いていました。
返品をメールだけで処理していると、受け取った日や返金の有無を後から確かめるたびにメールを探すことになります。
空欄を見つけたら、新しい書式を作るのか、既存の書式に返品の欄を足すのか、システム上の記録で代えるのかを決めます。

紙の行と「何を示す内容か」の列は、印紙税の確認に使います。
入金の行に「済」の印を押した請求書が並んでいれば、受領書として扱われる可能性がある書類として印を付けます。
電子で送っている行は、電子データの扱いを税務署などに確認する対象として拾い出せます。
表の上で対象が絞られていれば、確認する書類の数も、問い合わせの内容もはっきりします。

日付の列は、返品・検品の記録に使います。
受領と検品の行で日付が空欄になりがちなら、検品をいつ誰が記録するかを決める必要があるという合図です。
仕入先との契約に検品の期限が定められている場合は、その期限も同じ行に書き添えておくと、日付と期限を並べて見られます。

作業表は一度作って終わりではありません。
取引先が増えて伝票の受け渡し方法が変わったときや、紙から電子へ切り替えたときには、該当する行の書式名や紙・電子の欄が変わります。
そのたびに行を見直せば、印紙税の確認対象や日付の記録欄も合わせて更新できます。

システム化する機能を決める

最後に、どの行をシステムでまとめるかを決めます。
判断の手掛かりになるのは、行と行の間で同じ情報を書き写している箇所です。
例の事業者では、卸先からメールやFAXで届いた注文を受注伝票へ書き写し、その内容を出荷指示書と納品書へもう一度入力し、月末に請求書へ集計しています。
受注の情報が一つの受発注の仕組みに入り、出荷や請求の書式をその情報から作れるのであれば、受注から出荷、請求へ移るたびの書き写しが減ります。

一方で、システムにまとめても残る確認があります。
届いた商品が注文どおりかを確かめる検品は、人が商品を見て判断する作業です。
入金を請求と突き合わせる作業も、会計や決済の機能を含めなければ手作業のまま残ります。
どの書き写しが減り、どの確認が残るのかを行ごとに書き出しておくと、導入後に何を仕組みに任せ、何を引き続き人が担うのかを関係者と共有しやすくなります。

Efficient paper organizing and management in a home office setting.
▽ 写真の出典元

まとめる行が決まれば、必要な機能の数が見えてきます。
受発注の行だけなら1機能、受発注に加えて請求や入金まで含めるなら会計や決済の機能も関わり、2機能以上になります。
補助金を検討する場合は、この機能の数を、前の節で見た補助額の区分と照らし合わせることになります。
ただし、流通BMSの8種のメッセージは、受発注・会計・決済という補助金の機能区分とは対応していません。
業界の標準に沿った区切り方をしても補助金の要件を満たすことにはならず、標準に合わせる義務が生じるわけでもありません。
伝票一覧は、自社の業務の流れを見える形にし、仕組みにする範囲を決めるための道具です。

伝票一覧を作ってみると、重なっている書式をどうまとめるか、空いている業務にどんな記録を足すかで判断が分かれやすくなります。

作業表を持ち寄っていただければ、業務の流れに沿った重複と抜けの見方や、システムでまとめる範囲の考え方を一緒に整理できます。無料相談で要件を整理する

要点の整理

軸 基準
伝票の数え方 書式名ではなく、受注・出荷・請求・入金・返品の業務ごとに数える
立場 売る側で出す伝票と、買う側で受け取る・出す伝票を行で分ける
印紙税 紙の書類は名称でなく記載内容で判断。電子データは税務署などで確認
返品・検品 不適合を知った時から1年以内の通知。受領日・検品結果・通知日を残す
補助金 会計・受発注・決済の機能数と補助額区分を照合。ハードウェアのみは不可
Close-up of a professional arranging tied documents inside a box, symbolizing organization and efficiency.
▽ 写真の出典元

印紙税の個別判断や補助金の申請可否は税務署や事務局での確認が必要ですが、その前に確認する書類と範囲を絞っておくと問い合わせが具体的になります。 一覧のどの行を確認の対象にするか、まとめたい行に受発注・会計・決済のどの機能が関わるかを、相談しながら整理できます。

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よくある質問

小規模なネットショップでも、流通BMSの8種のメッセージに合わせる必要はありますか。

合わせる必要はありません。
流通BMSは流通業の企業間取引でやり取りするデータの標準仕様で、EC事業者に伝票の種類数を課す決まりではありません2。
8種という数も2007年公開の基本形Ver.1.0のもので、その後の版ではメッセージが追加されています2。
参考にしたいのは、発注・出荷・受領・返品・請求・支払と業務ごとに記録を分ける考え方です。
自社の受注から返品までを同じように行に並べれば、規模に関係なく重複と抜けを確かめられます。

電子データで出す請求書や領収書は、印紙税の対象になりますか。

国税庁のタックスアンサーNo.7100には、電子データで出す請求書や領収書の扱いについての説明がありません。
そのため、この記事では対象になるかどうかを断定しません。
電子で送っている書類を伝票一覧で拾い出し、税務署や国税の相談窓口に具体的な書類を示して確認してください。

「済」の印を押した請求書は、領収書として扱われますか。

国税庁のページでは、売掛金の請求書に「済」や「了」と記載され、双方がその表示を代金の受領の意味と理解している場合、売上代金の受領書(第17号の1文書)に当たる例が示されています1。
ただし、ほかの表示や書類に一律に当てはまるわけではありません。
実際に印紙税がかかるかどうかは、記載された金額や取引の内容を踏まえて判断されるので、迷う場合は税務署に確認してください。

返品の連絡が1年を過ぎた商品は、受け付けなくてよいのですか。

民法566条の1年は、買主が不適合を知った時から数える期間で、購入日や引渡し日から数えるものではありません4。
購入から1年が過ぎていても、気付いたのが最近であれば期間内ということがあります。
また、売主が引渡し時に不適合を知っていた場合や、重大な過失で知らなかった場合は、この制限が適用されません4。
契約や自社の返品規定に別の定めがあれば、その内容も関わります。
一律に断らず、連絡を受けた日、相手が気付いた時期、契約の条件を確かめたうえで判断し、迷う場合は専門家に相談してください。

受発注の機能だけを導入する場合でも、補助金を申請できますか。

インボイス対応類型では、インボイス制度に対応し、会計・受発注・決済のうち1種類以上の機能を持つソフトウェアが対象です3。
公式ページの表と注記からは、補助額50万円以下の区分なら1機能以上、50万円超350万円以下の区分なら2機能以上が要件と読み取れます3。
受発注だけの導入であれば、50万円以下の区分で検討することになります。
実際に申請できるかどうかは、事業者の要件、公募回、ツールの登録状況でも変わるので、公募要領と事務局の案内で確認してください。

◆監修・編集責任者

小園 将隆

株式会社フライトソリューションズ ECサービス部 マネージャー

BtoB通販のパッケージシステム「EC-Rider B2B Ⅱ」の導入支援をはじめ、製造業、卸売業をはじめとした法人向け通販サイト構築を多数手掛ける。卸売領域の専門知識をもとに、日本の商習慣に固有の課題をパッケージシステムの機能追加によって解決。BtoB流通の販路拡大を支援する。

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  1. 1 出典:国税庁「No.7100 課税文書に該当するかどうかの判断(タックスアンサー)」(2026年)
  2. 2 出典:GS1 Japan(一般財団法人流通システム開発センター)流通BMS協議会「流通BMS標準仕様」(2025年)
  3. 3 出典:独立行政法人中小企業基盤整備機構「デジタル化・AI導入補助金2026 インボイス枠(インボイス対応類型)」(2026年)
  4. 4 出典:法務省(e-Gov法令検索)「民法第566条(目的物の種類又は品質に関する担保責任の期間の制限)」(2026年確認)

画像の出典元

  1. Businessman packing products and managing an online store from his desk with a laptop./Photo by Kampus Production on Pexels
  2. Efficient paper organizing and management in a home office setting./Photo by https://kaboompics.com/ on Pexels
  3. Close-up of a professional arranging tied documents inside a box, symbolizing organization and efficiency./Photo by cottonbro studio on Pexels

Photos provided by Pexels

◆この記事について

独自調査以外の一次情報は、省庁・公的機関を中心とした信頼性の高い情報源から引用し、出典を明記しています。
年次更新される統計については、引用元の最新版を確認したうえで掲載しています。

※この記事は上記の監修・編集責任者がAIの協力を得て制作しています。

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