◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- 電話受注は即応性と関係づくりという効果を持ちますが、聞き間違い・受注担当者への集中・記録の残りにくさという3つの負担と対になっています。
- 受注チャネルは電話・FAX・メール・Web受注・EDIの5つで、データの入り方と受付時間と記録の残り方という3つの観点で性格が分かれます。
- 下請代金支払遅延等防止法は中小受託取引適正化法として2026年に施行され、取引条件の明示と記録の扱いが受注体制に関わります。
- 移行は棚卸しから効果測定までの5段階で進め、4つの指標で導入前後の1か月を比べると効果が見えます。
目次

電話受注とは何か、BtoB取引における位置づけ
電話受注とは、取引先からの注文を電話での口頭のやり取りで受け付け、受注担当者が伝票や基幹システムへ入力して確定させる受注方法です。仕様が固まらない注文にその場で答えられる即応性が、効果として挙げられます。半面、やり取りが記録に残りにくく、入力の工数が受注側に集中します。BtoB取引の受注チャネルは電話受注・FAX受注・メール受注・Web受注・EDIの5つに整理でき、電話受注はこのうち発注側の手間が軽い方法に当たります。
電話受注の流れは、着信の応対から始まり、5つの工程を経て出荷へつながります。取引先の特定、商品と数量の聞き取り、在庫と納期の確認、伝票または基幹システムへの入力、注文内容の復唱による確認という並びです。関わる部門は受注管理部門にとどまりません。在庫を押さえる物流部門、与信と価格を握る営業部門、締め日の請求を担う経理部門が、同じ1件の注文に順につながります。
FAX受注とメール受注は、注文の内容が文字として残る点で電話受注と異なります。ただし、受け取った内容を人が読み取って入力する工程は残ったままです。Web受注は発注側が画面へ直接入力するため、入力の主体が受注側から発注側へ移ります。EDIは企業間で注文データそのものを送受信する方式で、人の入力を介さずに基幹システムへ取り込めます。
受注チャネルは、データの入り方・受付時間・記録の残り方という3つの観点で並べると、性格の違いがはっきりします。電話受注は、この3つの観点のいずれでも人手・営業時間・口頭の側に寄ります。だからこそ即応性が生まれ、同時に工数と記録の課題も生まれます。効果と負担が同じ性質から出ている点が、判断を難しくしている理由でしょう。
商取引の電子化は企業間取引でも進み、標準化の取り組みが土台を作ってきました。消費財流通の分野では流通BMSという標準仕様が整備され、発注・出荷・受領・返品・請求・支払の6種類の標準メッセージが定められています*5。これは業界標準のEDIであり、自社で用意するWeb受注とは目的が異なります。前者は取引先と共通の形式をそろえる仕組みで、後者は自社の受注窓口を画面として開く仕組みです。
企業間電子商取引の市場規模とEC化率は、電子商取引に関する市場調査として毎年公表されています*1。自社の位置づけを測るときは、この公表資料を出発点にすると議論がぶれません。ただし、業種によって電子化の進み方には差が出ます。消費財流通の標準を全業種へそのまま当てはめると、実態と合わない判断になりかねません。
自社の受注チャネルの構成は、件数と金額の2つで数えると判断がぶれません。件数では少数でも金額の大きい取引先があり、逆の取引先もあるためです。企業間電子商取引の市場規模とEC化率は毎年公表され、業種別の内訳も示されます*1。全体の平均値ではなく、自社の属する業種の数値と並べてください。
電話受注をどう扱うかは、廃止か存続かの二択で決める話ではありません。受注チャネルの組み合わせをどう設計するかという話です。続く2つの節では、電話受注の効果と、その裏側にある負担を対の形で整理します。効果だけを見て残す判断も、負担だけを見てやめる判断も、実務では長く続きません。
| 受注チャネル | データの入り方 | 受付時間 | 記録の残り方 |
|---|---|---|---|
| 電話受注 | 受注側が人手で入力 | 営業時間内 | 音声のみで残りにくい |
| FAX受注 | 受注側が人手で入力 | 終日 | 紙として残る |
| メール受注 | 受注側が人手で入力 | 終日 | 文字として残る |
| Web受注 | 発注側が画面へ入力 | 終日 | データとして残る |
| EDI | システム間で送受信 | 終日 | データとして残る |
電話受注の見直しで先に着手する5項目(順位の根拠:着手の順序の依存関係)
- 1か月分の受注を、チャネル別・取引先別・注文の型別に件数で数えます。棚卸しをしないまま移行先を決めると、電話でしか成立しない注文まで移すことになります。
- 残す取引と移す取引を2つに分けます。仕様の相談や価格の交渉を含む注文は残す側、同じ商品を同じ数量で繰り返す注文は移す側の候補です。
- 移行方式を決めます。取引先が多数で注文が定型なら自社のWeb受注、少数で大口ならEDIが候補になり、2つの併用も選べます。
- 取引条件の明示と記録の残し方を運用へ組み込みます。改正法が2026年に施行されるため、入力結果の控えを返す工程を移行の設計に含めます。
- 効果測定の指標を4つ決めます。Web受注の比率、入力時間、訂正件数、営業時間外の受注件数を、導入前後の1か月で比べます。
電話受注がもたらす効果
電話受注の効果は、3つに整理できます。第一に、仕様が固まらない注文や例外への即応性です。第二に、取引先との関係づくりと提案の接点になることが挙げられます。第三に、発注側の手間が軽く、受注の機会を取りこぼしにくい点です。いずれも、注文が確定するまでの往復を1回の通話へ畳み込める性質から生まれています。
仕様が固まらない注文では、確認の往復が発生します。数量の刻み、納品の指定、代替品の可否、価格の適用条件という4つの論点が、1件の注文の中で同時に動くためです。文字のやり取りでは、この往復が1論点あたり1通ずつ積み上がります。通話であれば、4つの論点をまとめて詰められます。
例外対応でも同じことが言えます。急な数量変更、出荷済み分の取り消し、納品先の差し替えといった依頼は、定型の入力欄に収まりません。画面の選択肢に無い依頼を文字で伝えるには、前提の説明から書き起こす必要があります。電話であれば、相手の状況を聞きながら、実現できる範囲をその場ですり合わせられるでしょう。
関係づくりの接点としての価値も見落とせません。通話の中では、注文そのもの以外の情報が交わされます。在庫の逼迫、季節要因、取引先の販売状況といった話題は、注文票には現れないものです。この情報が次の提案や欠品の予防につながる場面があります。
発注側の視点で見ると、電話は準備がほとんど要りません。画面を開く、ログインする、商品を検索するという3つの手順を踏まずに、思いついた時点で発注できるためです。取引先の担当者が現場や移動中にいる場合、この差は小さくありません。受注の機会を取りこぼさないという意味で、電話受注は今も働いています。
効果の出方は、取引先の規模によっても変わります。従業員数の少ない取引先ほど、発注のためだけに画面を開く体制を持ちにくいためです。国内の企業のデジタル化の推進状況は毎年調査され、規模別の差が示されています*4。自社の取引先を規模で3つに分けて数えると、電話を残す範囲の見当がつきます。
ただし、これらの効果には条件が付きます。効果が出るのは、注文の内容が定型から外れる場合や、判断を伴う場合に限られます。同じ商品を同じ数量で繰り返す定期発注では、通話の往復は確認だけの手続きに変わります。効果の出る注文と出ない注文を分けて数えることが、次の設計の土台になります。
効果を測るなら、通話の中身で分けるとよいでしょう。相談・交渉・例外処理を含む通話と、内容が定型の反復にとどまる通話の2種類です。前者は電話受注の効果が出ている通話で、後者は他のチャネルへ移せる候補になります。この2つの比率が、自社にとっての電話受注の値打ちを表します。

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電話受注に伴う負担とリスク
電話受注の負担は、聞き間違いと転記ミス、受注担当者への集中、記録の残りにくさという3つに現れます。3つは別々の問題ではなく、口頭のやり取りを人手で入力する1つの工程から生まれます。誤出荷が起きれば、返品・再出荷・請求訂正という3つの手戻りが連鎖します。前節の効果と裏表の関係にあるため、同じ通話を対象に両面から見る必要があります。
聞き間違いは、商品コードと数量で起きやすいものです。似た読みの品番、単位の違い、ケースとバラの取り違えが典型でしょう。復唱で防げる範囲はありますが、着信が重なる時間帯には省かれがちです。いったん入力してしまえば、その誤りは出荷指示として下流へ流れていきます。
誤出荷の影響は、出荷費用の二重負担にとどまりません。取引先の在庫計画が狂い、欠品や過剰在庫の原因になります。返品の受け入れ、再出荷の手配、請求の訂正という3つの作業が、通常の受注業務へ上乗せされます。取引先からの信頼が下がれば、次の商談の条件にも響くでしょう。
手戻りの費用は、1件あたりで見積もると比較しやすくなります。返品の引き取り、再出荷の送料、請求訂正の事務という3つを足し、月間の発生件数を掛ける形です。件数の記録が無い場合は、訂正伝票の枚数を1か月分数えるところから始めてください。金額に直すと、工程そのものを見直す判断が社内で通りやすくなります。
受注担当者への集中も見過ごせません。取引先ごとの呼び方の癖、価格の適用条件、納品先の指定といった知識が、通話の中でしか使われない形で蓄積していきます。特定の担当者しか受けられない電話が生まれると、休暇や離職が業務の停止に直結します。この知識は書き出されない限り、引き継ぎの対象になりません。
時間の使われ方にも負担が出ます。着信は締め日や午前中に偏り、その時間帯は他の作業が進みません。1件あたりの通話が短くても、割り込みのたびに集中は途切れます。入力の正確さは、この断片化した時間の中で保たれています。
記録の残りにくさは、後から効いてきます。口頭で伝えた納期、口頭で認めた値引き、口頭で受けた変更は、当事者2人の記憶にしか残りません。認識の食い違いが起きたとき、確かめる手段がないまま押し問答になります。取引条件を明示することが制度として求められる流れの中では、この状態は説明が難しくなるでしょう。
ここまでの負担は、内製の努力だけでは減りにくいものです。復唱の徹底、ダブルチェック、担当者の増員はいずれも人手の追加であり、通話の件数が増えれば効き目が薄れます。工程そのものを見直すという選択肢が、ここで浮かびます。次の節では、その判断に影響する制度面の変化を先に押さえます。

制度面の変化が電話受注に与える影響
制度の側では、取引条件の明示と、電話窓口で働く人を守る対応という2つが、受注体制に関わってきます。下請代金支払遅延等防止法は改正され、中小受託取引適正化法として2026年に施行されます2。労働施策総合推進法等の改正では、顧客等からの著しい迷惑行為への対応が事業主の措置として位置づけられます3。口頭のやり取りを後から確認できる状態にしておくことが、双方への備えになります。
取引条件の明示は、注文の内容を当事者が同じように理解するための手続きです。改正では、書面の交付に代えて電磁的方法による提供を用いる扱いが定められています*2。電話だけで完結した注文は、この明示をどの記録で満たすのかがあいまいになりがちです。注文の受領後に控えを送る運用があるかどうかで、対応の手間は変わってきます。
電磁的方法による記録は、送った側と受け取った側の双方に残ります。Web受注やEDIでは、注文の内容がそのまま記録になります。電話受注では、入力した結果を控えとして返す工程を足さない限り、記録は自社の中にしか残りません。この差は、書面の交付を求められたときの対応速度に表れます。
窓口の担当者保護は、電話受注と直接つながる論点です。改正では、顧客等からの著しい迷惑行為に関して、事業主が雇用管理上必要な措置を講じることが求められます*3。相談に応じる体制の整備や、対応方針の周知といった取り組みが想定されます。受注の電話は交渉の場でもあるため、窓口の担当者が矢面に立ちやすい場所と言えます。
通話の記録が無い状態では、この対応は難しくなります。何が起きたかを本人の記憶だけで説明させることになるためです。通話の録音や、対応履歴を残す運用は、担当者を守る手段として働きます。同じ記録が、注文内容の確認手段にもなります。
準備の順序は、施行日から逆算して決めます。中小受託取引適正化法は2026年に施行されるため*2、記録の残し方を変えるなら、それまでに運用と様式を固める必要があります。着手の対象は、注文の控えを返す工程、対応履歴を残す工程、相談窓口を周知する工程の3つです。
制度の変化は、電話受注を禁じるものではありません。求められているのは、やり取りを後から確認できる状態にすることです。電話を残す場合も、入力結果の控えを返す工程と、対応履歴を残す工程という2つを足せば、要件との距離は縮まります。工程を足す以上、その分の手間はどこかで回収する必要があります。
制度対応と業務改善を別々に進めると、同じ工程を2回作り直すことになります。受注チャネルの設計を見直す時期と、制度への対応を求められる時期が重なるためです。なお、施行日や明示の範囲は資料によって記載が分かれる場合があるため、原典の条文で確かめてください。次の節では、Web受注へ移した場合に何がどう変わるのかを整理します。
Web受注への移行で得られる効果
Web受注へ移すと、変わるのは3つです。受注データが最初からデジタルで入ること、受付時間が営業時間の枠を外れること、基幹システム連携によって転記作業の削減が進むことです。効果の大きさは、定型の反復注文がどれだけあるかで決まります。電話受注をやめれば自動的に効率が上がるわけではなく、移す注文の選び方が結果を分けます。
変化の起点は受注の入口です。Web受注では、発注側が画面で商品コードの選択をして、在庫と価格の表示を見ながら数量を決めます。聞き取りと入力が1つの操作にまとまるため、転記の機会そのものが消えます。品番の読み違いは、一覧から選ぶ方式では起きにくくなります。
受付と確認の段階も変わります。24時間の受付が可能になり、取引先は自社の作業が終わった時間帯に発注できます。注文内容の自動確認によって、受注の直後に控えが相手へ届きます。電話では復唱が担っていた確認が、記録の残る形へ置き換わるわけです。
基幹システム連携が入ると、転記作業の削減が件数に表れます。受注データの取り込みが自動で走れば、受注担当者の作業は例外の処理へ絞られます。在庫の引き当て、与信の確認、出荷指示までの工程が同じデータの上で進みます。1件の注文を2回入力する場面が無くなる点が、負担の軽減につながります。
問い合わせ対応の中身も変わります。在庫と納期が画面で見えれば、確認だけの電話は減っていきます。過去の注文履歴から再発注できる仕組みがあれば、定型の注文は数分で終わるでしょう。空いた時間は、例外処理と提案の通話へ振り向けられます。
自社のWeb受注と業界標準のEDIは、目的が異なります。EDIは取引先とデータの形をそろえる仕組みで、消費財流通では流通BMSのような標準仕様が整備されています*5。ただしこれは分野を限った標準であり、全業種の受注へそのまま広げられるものではありません。取引先の規模や業種に応じて、Web受注とEDIを併用する設計が現実的です。
併用の設計では、取引先を3つの層に分けると整理できます。標準EDIへ対応済みの層、Web受注の画面を使える層、電話以外の手段を持たない層です。第一の層とは発注から支払までの一連のメッセージをデータで往復できるため*5、受注側の入力は原則として発生しません。残る2つの層へWeb受注と電話をどう割り当てるかが、設計の中身になります。
移行の効果は、導入した時点では出ません。取引先が使い始めて初めて、電話の件数が動きます。国内の企業のデジタル化の推進状況は毎年調査され、公表されています*4。自社の進み方を測るときは、社内の実感ではなく件数の推移で見るほうが確かです。
電話受注を残す設計と、効果の測り方
電話受注を残すかどうかは、取引先ごと・注文の型ごとに決める話です。判断軸は3つあり、注文が定型かどうか、判断や交渉を伴うかどうか、取引先に画面入力の手段があるかどうかになります。移行は、受注チャネルの棚卸しから効果測定まで5つの段階で進めます。効果は件数の指標で測り、社内の誰もが同じ数字を見る状態を作ります。
残すべき取引の見極めは、件数の多寡だけでは決まりません。仕様の相談を伴う注文、価格の交渉を含む注文、納期の調整が前提の注文は、電話の効果が出る側です。逆に、同じ商品を同じ数量で繰り返す注文は、移す側の候補になります。取引先の設備や体制も判断に入れてください。
最初の段階は受注チャネルの棚卸しです。1か月分の受注を、チャネル別・取引先別・注文の型別に数えます。電話が多いという感覚で語るのではなく、件数で並べるところから始めます。この作業をしないまま移行を決めると、電話でしか成立しない注文まで移すことになりかねません。
次に、残す取引と移す取引の切り分けに進みます。棚卸しの結果を2つに分け、移す側から順に着手します。続く移行方式の選定では、自社のWeb受注を用意するか、取引先が求めるEDIに合わせるかを決めます。取引先が多数で注文が定型であれば前者、少数で大口であれば後者が候補になります。
取引先への案内は、移行の成否を分ける段階です。電話をやめると伝えるのではなく、選べる手段が増えると伝えるほうが受け入れられます。画面の操作説明、初回の同席、電話窓口の当面の維持という3つの支えを用意してください。締め日や繁忙期を避けて案内する配慮も要ります。
効果測定では、4つの指標を追います。受注件数に占めるWeb受注の比率、受注1件あたりの入力にかかる時間、誤出荷や訂正の件数、営業時間外に受け付けた注文の件数です。導入前の1か月と導入後の1か月を、同じ条件で比べます。指標が動かない場合は、移した注文の選び方を見直してください。
指標には目標値を置いてください。Web受注比率を何割まで上げるか、入力時間を何分減らすかを先に決めておくと、途中の判断が鈍りません。目標は取引先の層ごとに分けるほうが実態に合い、定型の反復注文が多い層には高い比率を割り当てます。3か月ごとに見直し、動かない層があれば案内の方法と画面の使い勝手の2点から原因を確かめます。
この設計を内製で進めるには、受注業務の知識、基幹システムの連携仕様、取引先との調整という3つの領域を同時に扱う必要があります。担当者を1人立てて兼任させる形では、棚卸しの段階で止まりがちです。外部の支援を使う判断は、難しいから任せるという話ではなく、移行の失敗と手戻りを避けるための選択と言えます。移行に要する期間は取引先の反応で変わるため、計画の際は [要追加:移行支援の平均期間と実施件数] を踏まえてください。
よくある質問
電話受注はゼロにする必要がありますか。
ゼロにする必要はありません。判断軸は3つで、注文が定型かどうか、判断や交渉を伴うかどうか、取引先に画面入力の手段があるかどうかです。仕様の相談や価格の交渉を含む注文は電話の効果が出る側で、同じ商品を同じ数量で繰り返す注文が移す候補になります。1か月分の受注を件数で棚卸ししてから決めてください。
取引先がWeb受注に切り替えてくれない場合はどうすればよいですか。
電話窓口を当面残したうえで、電話をやめるのではなく選べる手段が増えると伝える案内に切り替えてください。画面の操作説明、初回の同席、締め日を避けた案内という3つの配慮で、受け入れられやすくなります。切り替えを条件にした値引きなどの誘導は取引上の問題になりかねないため、避けるほうが安全です。
自社のWeb受注と業界標準のEDIは、どちらを選べばよいですか。
目的が異なるため、併用が現実的です。EDIは取引先とデータの形をそろえる仕組みで、消費財流通の分野では発注から支払までの6種類の標準メッセージを定めた流通BMSが整備されています。取引先が少数で大口ならEDI、取引先が多数で注文が定型なら自社のWeb受注が候補になります。
電話で受けた注文の記録は、どこまで残せばよいですか。
注文の内容と、確認した結果という2つを残す運用が土台になります。入力した内容を控えとして相手へ返せば、双方に記録が残ります。取引条件の明示を電磁的方法で扱う範囲は法令で定められているため、自社の運用が要件に届いているかは原典で確かめてください。対応履歴を残す運用は、窓口の担当者を守る手段としても働きます。
移行の効果は、どの指標で経営層へ説明できますか。
4つの指標を導入前後の1か月で比べる形が、説明しやすい方法です。受注件数に占めるWeb受注の比率、受注1件あたりの入力時間、誤出荷や訂正の件数、営業時間外に受け付けた注文の件数を並べます。金額へ換算する前に件数の推移を示すと、現場の実感と数字が一致しやすくなります。
- *1 出典:経済産業省「令和6年度 電子商取引に関する市場調査(結果公表資料・報告書)」(2025年) 経路
- *2 出典:公正取引委員会「中小受託取引適正化法(取適法)関係(下請代金支払遅延等防止法の改正)」(2025年) 経路
- *3 出典:厚生労働省「令和7年労働施策総合推進法等の一部改正について(カスタマーハラスメント対策の措置義務化)」(2025年) 経路
- *4 出典:独立行政法人情報処理推進機構「DX動向2026(企業等におけるDX推進状況調査分析)」(2026年) 経路
- *5 出典:一般財団法人流通システム開発センター「流通BMS標準仕様(発注・出荷・受領・返品・請求・支払の標準メッセージ)」(2018年) 経路
画像の出典元
- Silhouetted figures fishing on a calm beach at dawn, a seren/Photo by Ayşegül Aytören on Pexels
- Soldiers in uniform stand in perfect alignment during a mili/Photo by Bello Olatunde on Pexels
- A group of police officers stands in formation outdoors, obs/Photo by Heru Dharma on Pexels