◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- 電話受注のクレームは、聞き取り・記録・確認・社内伝達・出荷指示のどこで最初にずれたかによって打つ手が変わる
- 復唱・定型の受注票・照合はそれぞれ別の段階の食い違いを拾う手順で、手入力の手間そのものはなくならない
- 受注方法を変えると受注側の打ち直しはなくなるが取引先の入力誤りへの確認は残り、中小企業庁の51.4%は業務時間の削減率でクレーム件数の減少ではない
- FAX・電話受注をやめると取引に支障が出ると見る受注担当者が約6割おり、取引先ごとに受注手段を分けて電話は急ぎ・例外・変更に絞るのが現実的
- 効果は同じ期間・同じ定義で前後を比べ、段階別の内訳と出荷前に見つかった食い違いで確かめる
目次

電話受注のクレームは「聞く・書く・確認する・伝える」のどこで起きているか
「数量を聞き間違えた」「納期の伝え方が違った」というクレームが続くと、電話受注そのものをやめたくなります。
ただ、同じ聞き間違いでも、電話口で聞き取れていないのか、メモから受注入力へ移すときにずれたのか、出荷担当へ伝わる途中で落ちたのかで、効く対策は違います。
手入力による人為的なミスは受発注のデータ連携でなくせると中小企業庁は整理しています3。
一方で、電話・FAX受注をやめると取引に支障が出ると見る受注担当者も約6割います1。
まず直近のクレームを段階別に数え、電話の確認手順の改善と、取引先ごとの受注手段の切り替えを組み合わせるのが現実的です。
受注業務の負担として挙がるのは手入力・確認・変更対応
取引先から「頼んだ数と違う」と連絡が来ると、社内では「電話の聞き間違い」とまとめて扱われがちです。
ところが、たとえば飲食店の店長が「生クリームを10ケース」と言ったのに担当者が「10本」とメモしたなら、食い違いは電話口で起きています。
メモには正しく「10ケース」と書いたのに、受注入力の画面で単位を「本」のまま登録したなら、起点は記録の段階です。
入力も合っていたのに、出荷担当に渡った指示書が前回の注文のまま残っていたなら、社内の伝達で落ちています。
取引先から見ればどれも同じ誤納品ですが、直す場所はそれぞれ違います。
受注担当者がどの作業に手間を感じているかを聞いた調査があります。
受注システムを提供する株式会社ハンモックが2023年に行ったネット調査で、FAX・メール・電話で受注している担当者90人に負担を尋ねたところ、「注文書の手入力に手間がかかる」が60%、「注文確認の連絡に手間がかかる」が41.1%、「注文の変更対応に時間がかかる」が40%でした1。
回答者は食品の小売・卸売業で受注業務に携わる106人で、卸売業だけの数字ではありません。
また、手間を感じるかどうかを聞いたもので、クレームや誤納品の件数を数えた調査でもありません。
それでも、この結果から一つの見方は得られます。
負担として挙がった手入力・確認の連絡・変更対応は、どれも電話を切ったあとの作業です。
手間がかかり、急ぎの電話や割り込みで作業が途切れやすい場所は、食い違いが入り込む候補になります。
電話での話し方だけを直しても、受注後の転記や変更の反映でずれていれば、クレームは同じように続きます。
変更対応はとくに見落とされやすい場所です。
たとえば午前中に受けた「10ケース」の注文を、取引先が午後の電話で「やっぱり8ケースに」と変えた場合、受注メモ、入力済みのデータ、出荷担当に渡した指示の三つを直す必要があります。
どれか一つが古いままだと、正しく聞き取っていても誤った数が届きます。
この種の食い違いは、電話を受けた担当者に聞いても「聞き間違えていない」という答えになり、原因がうやむやになりがちです。
直近のクレームを5段階に振り分ける
起点を見分けるために、受注から出荷までを次の5段階に分けて考えます。
どこで区切るかは会社の業務に合わせて変えてよく、ここでの分け方は編集部の提案です。
- 聞き取り:取引先が言った内容を、担当者が電話口で受け取る段階
- 記録:受け取った内容を受注メモや受注票、受注入力の画面へ書き残す段階
- 確認:記録した内容を取引先に返し、合っているかを確かめる段階
- 社内伝達:受注内容を在庫・仕入れ・配送などの担当へ渡す段階
- 出荷指示:ピッキングや配送の指示書に落とし込み、現場が動く段階
振り分けは、クレームになった注文を一件ずつさかのぼって行います。
取引先が本来頼みたかった内容を起点に、受注メモ、入力データ、確認の記録、出荷指示書を順に並べ、最初に内容がずれた書類を探します。
最初にずれた段階が、その件の起点です。
後ろの段階でも食い違っていても、それは最初のずれが運ばれただけなので、数えるのは一か所にします。
さかのぼろうとしても、受注メモが残っていない、誰が受けたか分からないという注文もあるはずです。
その場合は無理に段階を決めず、「判別できない」として数えます。
判別できない件が多いこと自体が、記録の段階が弱いという手掛かりになります。
次に手を打つ場所が、聞き取りの改善より先に「受けた内容を残す仕組み」だと分かるからです。
件数は多くなくてかまいません。
直近の数か月分のクレームを並べ、段階ごとの偏りが見えれば、どこから手を付けるかの判断材料になります。
電話のまま直すのか、受注方法を変えるのかという問いも、この偏りを見てから考えるほうが外れにくくなります。
| 段階 | 食い違いの例 | 照らし合わせる記録 |
|---|---|---|
| 聞き取り | 「10ケース」を「10本」と受け取った | 取引先の申し出と受注票 |
| 記録 | 受注票は正しいが入力で単位を誤った | 受注票と入力データ |
| 確認 | 確認の連絡で訂正を受けたが入力に反映されなかった | 確認の連絡と入力データ |
| 社内伝達 | 変更後の数量が在庫・配送の担当へ届かなかった | 入力データと社内への連絡 |
| 出荷指示 | 指示書が前回の注文のまま残っていた | 入力データと出荷指示書 |
電話を続けたままできる改善と、確認できていない効果
聞き取り: 復唱と数量・単位・納期の読み上げ
振り分けで聞き取りの段階が多かった場合、まず見直すのは電話を切る前の復唱です。
復唱はどの職場でも行われていますが、注文の一部だけを繰り返して「承りました」で終わっていることもあります。
食い違いが起きやすい項目を決めて、毎回同じ順で読み上げるほうが漏れを拾えます。
- 取引先名と届け先:同じ取引先でも店舗や現場が複数ある場合に取り違えやすい
- 商品名と品番:似た名前の商品や容量違いがある場合に取り違えやすい
- 数量と単位:ケース・箱・個・kgなど、単位の取り違えが起きやすい
- 納期と時間帯:「来週の火曜」などの言い方を日付に直して返す
- 新規か変更か:既に受けた注文の差し替えか、追加の注文かを確かめる
数量と単位は分けずに一続きで言うのがこつです。
「10ですね」とだけ返すと、相手は自分が言った単位で聞き取ってしまい、食い違いに気付きません。
「10ケース、1ケース24個入りなので240個ですね」のように、単位と中身の数まで言い直すと、相手の想定と違えばその場で止まります。
納期も同じで、「来週火曜」を「○日の火曜日」と日付で返せば、週の数え方のずれを拾えます。
一方で、復唱が効くのは聞き取りの段階だけです。
電話口で正しく合意しても、そのあとメモから画面へ打ち込むときにずれれば、復唱の効果は届きません。
記録と確認: 定型メモと注文確認の連絡
記録の段階で起きる漏れには、受注メモの形をそろえることで対処します。
担当者ごとに裏紙や手帳へ書く形だと、届け先や納期を書き忘れても、入力するときまで気付けません。
復唱する項目と同じ欄を並べた受注票を電話の横に置けば、空いている欄が通話中に目に入り、聞き漏らしをその場で尋ねられます。
受注票の欄の順と復唱の順をそろえておくと、書きながら読み上げられるので、手間も増えにくくなります。
確認の段階は、入力した内容を取引先へ返して確かめることです。
入力後の内容をFAXやメールで送り返す、大口の注文だけ折り返し電話をかけるといったやり方があります。
ただし、先の調査では注文確認の連絡を負担と感じる担当者が41.1%いました1。
全件に確認の連絡を入れると、手間が増えて続かなくなるおそれがあります。
初めて扱う商品、普段より極端に多いか少ない数量、納期の指定がある注文、変更の注文など、食い違ったときの影響が大きいものに絞るのが現実的です。
属人化を減らす分担
同じ調査では、FAX・メール・電話で受注する担当者の38.9%が「オペレーションの属人化が発生している」と答えています1。
属人化とは、特定の人しか手順や判断の勘所を知らず、その人がいないと回らない状態のことです。
電話受注では、「いつものやつ」で通じる取引先の定番品や、相手特有の言い回しが担当者の頭の中にしかない、という形で現れやすくなります。
ベテランが休んだ日に限って食い違いが出るなら、原因は個人の注意力より、その人の知識が共有されていないことにあります。
取引先ごとの定番品と単位、届け先、よく使う言い回しを一覧にしておけば、誰が電話を取っても受注票の欄を埋められます。
担当者が替わったときに起きる聞き取りと記録のずれを、個人の頑張りに頼らず抑えるための準備です。
もう一つは、作業を一人で完結させない分担です。
電話を受けて入力した人とは別の人が、受注票と入力画面を見比べてから出荷指示に回すと、記録の段階の転記ずれを後ろの段階へ運ぶ前に止められます。
人手が足りない職場で全件に行うのは難しいため、確認の連絡と同じく、影響の大きい注文から始める考え方が使えます。
効果が確認できていない部分の扱い
復唱や定型の受注票、照合の分担によって、電話受注のクレームが何割減るかを示した公的なデータや調査は確認できていません。
言えるのは、それぞれの手順がどの段階の食い違いを拾うかという仕組みの部分です。
復唱は聞き取りのずれ、定型の受注票は書き漏らし、照合は転記のずれを、後ろの段階へ進む前に見つけるための手順です。
逆に、これらの手順は手入力そのものをなくしません。
確認や照合を足すぶん、受注1件にかかる手間はむしろ増えます。
振り分けで記録の段階のクレームが多く、手入力の負担も重いと感じているなら、電話を残した改善だけで抑えようとするより、受注の手段を変えて打ち直しの回数を減らす方向を検討する価値があります。
どちらを選んでも、効果は自社のクレーム件数を実施前と後で比べて確かめることになり、その方法は最後の節で扱います。
受注方法を変えると何が減り、何が負担として残るか
転記ミスが減る仕組み
電話やFAXで受けた注文は、誰かが内容を読み取り、受注の画面へ打ち直して初めてデータになります。
この打ち直しが転記で、聞き取りが正しくても、数字の打ち間違いや行のずれが入り込む余地があります。
取引先が自分で注文を入力する方法や、EDI(企業間で受発注を決まった形式の電子データで交わす仕組み)に移ると、取引先が入力した内容がそのまま受注データになり、間に入る打ち直しがなくなります。
中小企業庁も、企業間のデータ連携によって手入力による人為的なミスがなくなり、データで管理することで検索や相手との意思疎通がしやすくなると整理しています3。
電話で起きる「言った・言わない」の食い違いも、注文が文字のデータで残っていれば、どちらの認識が正しかったかを後から確かめやすくなります。
ただし、なくなるのは受注側の打ち直しであって、ミスの起点がすべて消えるわけではありません。
取引先が数量を打ち間違えたり、似た商品を選んだりすれば、その誤りはそのまま受注データに入ります。
起点が自社の転記から取引先の入力へ移るので、普段と大きく違う数量の注文に気付く目や、入力内容を取引先に返す確認は、方法を変えたあとも残ります。
FAXやメールで届いた注文書の画像を読み取ってデータに起こす方法を検討する場合も、読み取った結果を人が確かめる工程が残る点は同じです。
51.4%は何の削減か
データ連携の効果として紹介されることが多い数字に、中小企業庁の実証事業の結果があります。
平成28年度補正の事業で12のプロジェクトを選び、受発注のデータ連携を導入した効果を測ったところ、中小企業では業務時間が平均51.4%減りました3。
この51.4%は業務時間の削減率で、クレームや誤納品の件数がどれだけ減ったかではありません。
対象も発注側と受注側の企業をつなぐデータ連携で、電話の聞き取りを改善した結果ではありません。
「受注方法を変えればクレームが半分になる」という読み方はできない点に注意が必要です。
もう一つ読み取れるのは、効果の大きさが業務の流れを変えられるかどうかに左右されるということです。
中小企業庁は、中小企業のほうが限られた期間でも既存の業務フローを変えやすく、データ連携に取り組みやすかったため削減率が高かったと説明しています3。
この説明からは、新しい仕組みを入れても、受けたデータを紙に印刷して打ち直すような流れが残れば、時間も転記ミスも思ったほどには減らないと考えられます。
表で判断が分かれるのは、取引先の受け入れやすさと、減らせる段階の広さが逆向きになりやすいところです。
電話は取引先にとって最も手軽ですが、聞き取りから出荷指示まですべての段階に人の手が入ります。
データ連携は転記をなくせる一方で、取引先にも準備を求めます。
どれか一つを全取引先に当てはめるのではなく、取引先ごとに選ぶ発想が必要になるのはこのためです。
導入前に取引先と社内で確かめる項目
受注方法を変えるために必要な条件のうち、取引先の対応状況や社内の仕組みとのつなぎ方は、会社ごとに違うため一般論では決められません。
導入前に、少なくとも次の点を自社と主な取引先について確かめておくと、移ったあとに別の場所で転記が増えるのを防げます。
- 取引先が注文を入力する端末と時間帯:店舗のパソコンか、現場のスマートフォンか、営業中に入力する余裕があるか
- 商品と単位の呼び方:取引先が使う商品名と自社の品番、ケースと個の単位をどう対応させるか
- 在庫・出荷の仕組みへの取り込み:受けたデータを在庫や出荷指示の仕組みへそのまま渡せるか、人が打ち直すか
- 変更・取り消しの受け方:入力後の変更を画面で受けるのか、電話で受けて担当者が直すのか
- 急ぎの注文の扱い:当日出荷の締め時刻の前後で、電話を受け付けるか
中でも見落としやすいのは三つ目です。
取引先の入力を受け付けても、そのデータを担当者が在庫・出荷の仕組みへ打ち直すなら、転記は取引先との間から社内へ場所を移しただけになります。
二つ目の商品と単位の対応も重要で、取引先の呼び名と自社の品番がずれたままだと、入力画面で選ばれた商品が意図と違うという新しい食い違いを生みます。
| 受注方法 | 減らせるミスの段階 | 現場の負担 | 取引先の受け入れやすさ |
|---|---|---|---|
| 電話のまま手順を整える | 聞き取りと記録の漏れを復唱・受注票・照合で拾う | 確認と照合のぶん手間が増える | 取引先の手順は変わらない |
| FAX・メールで注文書を受ける | 聞き取りの食い違い | 注文書からの打ち直しが残る | 普段から使う取引先なら移りやすい |
| 取引先が画面で入力する | 聞き取りと受注側の転記 | 取引先の入力誤りへの確認が残る | 操作に慣れてもらう必要がある |
| 企業間データ連携(EDI) | 受注側の転記 | 品番の対応づけと社内の仕組みの準備が要る | 取引先側にもシステムの対応が必要 |
取引先が電話を手放さない場合の併用設計
電話を廃止すると支障が出ると見る担当者が約6割
受注方法を変えようとすると、最初にぶつかるのが「取引先が電話をやめてくれない」という壁です。
先のハンモックの調査では、FAX・電話で受注している担当者80人のうち58.8%が、FAX・電話受注をやめると取引に支障が出ると想定していました1。
同じ調査で受注方法を尋ねると、回答した106人の50%が電話を挙げています1。
発注する側から見た調査もあります。
株式会社SBペイメントサービスが2025年に、BtoB取引で買い手の立場にある企業・組織の387人に尋ねた調査では、卸売業での発注の約7割が、メール・FAX・対面など取引専用ではないコミュニケーションの手段によるものでした2。
この数字は買い手側の回答で、卸売業について答えた人数は示されていません。
受注側の調査とは対象も聞き方も違うため、二つを合わせて割合を出すことはできません。
それでも、受ける側の担当者は電話・FAXをやめると支障が出ると考え、発注する側でも専用の仕組み以外の手段が多く使われている、という傾向はそれぞれの調査から読み取れます。
全取引先へ一斉に新しい受注方法を求めると、使えない取引先の注文が結局電話に戻ってきたり、取引先との関係にひびが入ったりするおそれがあります。
電話は残るものとして受注の流れを組むほうが現実的です。
取引先ごとに受注手段を分ける考え方
電話を残しつつ転記を減らすには、取引先ごとに受注手段を分けます。
どの取引先をどの手段へ移すかに決まった基準はなく、以下は段階別の振り分け結果を使う編集部の考え方です。
移る効果が大きいのは、定番品を繰り返し注文する取引先、1回の注文の品目や数量が多い取引先、変更の連絡が多い取引先です。
定番品が多ければ取引先は前回の注文を手直しするだけで済み、品目が多いほど電話での読み上げと打ち直しの量が減ります。
変更が多い取引先では、注文が一か所のデータにまとまっていれば変更をそこへ反映するだけで済み、古い指示が出荷に回る食い違いを防ぎやすくなります。
クレームが特定の取引先に集中している場合も、その取引先から相談を始める理由になります。
反対に、注文の頻度が低い取引先や、品目が少なく電話で十分に確かめられる取引先、端末を使う環境がない取引先は、電話を残しても無理はありません。
その場合も、電話の役割を急ぎの注文、例外の相談、変更の受け付けに絞り、復唱と定型の受注票を組み合わせます。
FAXやメールで注文書を送ってもらう取引先は、聞き取りの食い違いは減りますが打ち直しは残るので、記録の段階の照合を続けます。
取引先に移ってもらうよう頼むときは、受注側の都合だけでなく、取引先にとって何が変わるかを伝えます。
頼んだ内容が文字で手元に残り、あとから見直せることや、電話がつながるのを待たずに注文を出せることなどです。
移行の途中は電話でも受け付けると伝え、いきなり電話を断らないことが、取引先の不安を減らします。
電話で受けた変更も、担当者が同じ受注データに反映してから取引先へ変更後の内容を返すようにしておけば、手段が混ざっても注文の記録は一つにまとまります。
最初の一手と効果の測り方
段階別・取引先別にクレームを数える
最初の一手は、新しい仕組みを選ぶことではなく、直近のクレームを段階別に数えることです。
そのとき、段階だけでなく取引先と受注手段も一緒に残しておくと、手を打つ場所と、移行を相談する取引先が同時に見えてきます。
記録しておく項目は、たとえば次のとおりです。
- 発生した日と取引先
- 受注手段(電話・FAX・メール・取引先入力など)
- 起点の段階(聞き取り・記録・確認・社内伝達・出荷指示・判別できない)
- 食い違った内容(品目・数量と単位・納期・届け先など)
- 見つかった場所(取引先からの連絡か、出荷前の社内か)
集計したら、最も多い段階から手を打ちます。
聞き取りが多ければ復唱の項目と受注票、記録が多ければ照合の分担や受注手段の見直しが先です。
社内伝達や出荷指示が多ければ、受注の外側にある指示の渡し方を直す必要があります。
この場合は電話受注をいくら直してもクレームは減らないので、ここで切り分けておく意味があります。
取引先別に見て、特定の取引先にクレームが集中していれば、その取引先が受注手段を移す候補になります。
受注手段別に見て、電話の注文とFAXの注文で起点の段階が違えば、手段ごとに打つ手を変える根拠になります。
前後比較の見方
対策の効果は、実施前と実施後で同じ長さの期間を取り、同じ決め方で数えて比べます。
途中で「どこまでをクレームと数えるか」を変えると、件数の増減が対策によるものか、数え方によるものか区別できなくなります。
比べるときは総数だけでなく、段階別の内訳を見ます。
復唱を見直したあとに聞き取りの段階の件数が減り、出荷指示の段階は変わらないなら、対策は狙った場所に効いていると読めます。
総数が減っていなくても、狙った段階が減って別の段階が増えていれば、食い違いの起点が移っただけかもしれません。
繁忙期と閑散期では注文の数自体が違うので、受注件数あたりの件数に直して比べると、季節の影響を受けにくくなります。
クレームがもともと少なく、数か月では増減が読めない場合は、期間を長めにまとめて見るか、取引先に届く前に社内で見つかった食い違いも数えます。
確認の連絡で訂正された件数、照合で見つかった転記のずれ、出荷前に止まった誤りは、クレームになる手前の食い違いです。
これらが記録されていれば、件数の少ないクレームより早く対策の手応えをつかめます。
ただし、確認や照合を強めた直後は見つかる件数が増えるので、増えたことを悪化と読まないようにします。
段階別に振り分けても、記録の段階の食い違いを手順で抑えるか、受注手段を変えて打ち直しを減らすかは、取引先の構成や在庫・出荷の仕組みとのつながり方で判断が分かれます。
振り分けた結果をもとに、どの取引先から受注手段を見直す余地があるか、受けた注文を打ち直さずに在庫・出荷の流れへ渡せるかを整理できます。無料相談で要件を整理する
要点の整理
| 軸 | 基準 |
|---|---|
| 起点の切り分け | クレームを聞き取り・記録・確認・社内伝達・出荷指示に振り分け、最初にずれた段階で数える |
| 電話を残す改善 | 復唱は聞き取り、定型の受注票は書き漏らし、照合は転記のずれを拾う。手入力の手間は減らない |
| 受注方法の変更 | 受注側の打ち直しはなくなるが、取引先の入力誤りへの確認は残る |
| 51.4%の読み方 | 中小企業庁の実証での中小企業の業務時間の削減率で、クレーム件数の減少ではない |
| 併用の決め方 | 定番品・品目が多い・変更が多い取引先から移し、電話は急ぎ・例外・変更に絞る |
| 効果の測り方 | 同じ期間・同じ定義で前後を比べ、段階別の内訳と出荷前に見つかった食い違いも見る |
取引先ごとに受注手段を分けると、電話・FAX・取引先入力が混ざった注文を、どう一つの記録にまとめるかが次の課題になります。 手段が混在する前提で、受注データをどこに集め、どの確認を残すかを相談の中で確かめられます。
よくある質問
電話受注の聞き間違いを減らす復唱は、どの項目をどう確認すればよいですか?
取引先名と届け先、商品名と品番、数量と単位、納期と時間帯、新規か変更かの5項目を、毎回同じ順で読み上げるのが基本です。
数量は「10ケース、240個ですね」のように単位と中身の数まで言い直し、納期は「来週火曜」を日付に直して返すと、相手の想定とのずれがその場で表に出ます。
受注票の欄を同じ順に並べておくと、書きながら復唱できます。
なお、復唱が拾えるのは聞き取りの段階のずれだけで、入力時の転記ずれには照合など別の手当てが必要です。
取引先がITに不慣れな場合、電話受注を残したまま入力の手間を減らすにはどうしますか?
取引先側の手順は変えずに、受ける側の準備で手間を減らします。
取引先ごとの定番品・単位・届け先の一覧を用意しておけば、通話中に品番を探す時間と、ベテランしか分からない言い回しの聞き返しが減ります。
定番品をあらかじめ並べた受注票を使い、数量欄だけを埋める形にするのも一つの方法です。
FAXに慣れた取引先なら、自社で注文書の書式を用意して送ってもらうと聞き取りの食い違いは減りますが、打ち直しは残るので照合は続けます。
受注方法を変えた効果は、クレーム件数以外に何で確かめられますか?
出荷前に社内で見つかった食い違い、確認の連絡で訂正された件数、照合で見つかった転記のずれは、クレームになる手前の指標として使えます。
受注1件にかかる時間も手掛かりになり、中小企業庁の実証事業でもデータ連携の効果は業務時間の削減率で示されています3。
ただし時間が減ったことと、クレームが減ったことは別の結果なので、両方を分けて記録します。
クレームが少なく件数で評価しにくい場合、どう効果を判断しますか?
集計する期間を長めにまとめ、実施前と実施後で同じ長さ・同じ数え方にそろえます。
あわせて、取引先に届く前に社内で見つかった食い違いも数えると、件数の少ないクレームより早く変化が見えます。
総数よりも、対策を打った段階の件数が減ったかどうかを見るほうが、効果の有無を判断しやすくなります。
電話の通話録音は受注ミスの原因調べにどう使えますか?
クレームになった注文の通話を聞き直し、取引先が実際に言った内容と受注票を照らし合わせると、ずれが電話口で起きたのか、記録以降で起きたのかを切り分けられます。
取引先の言い方があいまいだった場合は、どの項目を復唱していれば拾えたかを確かめる材料にもなります。
これは運用上の使い方の提案で、録音の保存期間や取引先への伝え方は、自社の方針として決めておく必要があります。
- 1 出典:株式会社ハンモック「食品業の受注業務に関する実態調査」(2023年)
- 2 出典:株式会社SBペイメントサービス「BtoB取引を行う事業者の決済・購買状況に関する調査」(2025年)
- 3 出典:中小企業庁「企業間のデータ連携で、受発注の業務コストを削減する!」(平成28年度補正事業)
画像の出典元
- Side view serious female in stylish sweater and eyeglasses having conversation via mobile phone and writing down notes on papers while working at desk with modern gadgets/Photo by https://kaboompics.com/ on Pexels