◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- 食品の小売・卸売の受注担当者への調査では、負担の筆頭は注文書の手入力(60%)、次が注文確認の連絡(41.1%)だった。ただし手間と感じる割合で、作業時間の長さではない。
- 電話を残したまま録音・文字起こしを使う手は聞き取りと記録を助けるが、受注システムへの入力、確認連絡、変更対応は残る。
- 受注方法をデータでの受発注へ移す手は手入力をなくす方向に効き、企業間の実証では中小企業平均51.4%の業務時間削減が示されたが、取引先との共通認識が前提になる。
- 取引先を電話を残す相手と移せる相手に分け、一部で試し、数週間の記録と同じ項目で前後を比べて広げるかを決める。
目次

電話受注の工数は、注文の流れのどこに溜まりやすいか
電話が鳴るたびに手元の入力が止まり、聞き取ったメモの転記と、在庫や納期を確かめてからの折り返しで一日が埋まる。
そんな状態でも、受注の作業を流れごとに分けて見れば、工数を減らす場所は絞れます。
食品の小売・卸売の受注担当者への調査では、負担の筆頭は注文書の手入力(60%)、次が注文確認の連絡(41.1%)でした1。
電話を残したまま聞き取りと記録を楽にする手と、取引先と合意して受注方法そのものを移す手があり、後者は相手の協力が前提です。
自社の作業時間を測り、どちらから試すかを決めるのが近道です。
受電から出荷手配までを作業ごとに分ける
工数とは、ある作業に人がどれだけの時間を使ったかを表す言葉です。
電話受注の負担は「電話が多い」とひとまとめに語られがちですが、一本の注文の中には性質の違う作業が重なっています。
受電して内容を聞き取る、メモを受注システムや台帳へ入力する、在庫や納期を確かめて相手へ折り返す、後から入る変更や取消に対応する、注文の控えを保管する、そして出荷や手配の担当へ引き渡す、という流れです。
仮に、食品を卸している会社の受注担当者が、取引先の飲食店から朝に追加注文の電話を受けたとします。
担当者は品名と数量、納品日を聞き取りながらメモを取り、電話を切ってから受注システムへ入力します。
在庫が足りるかを倉庫に確かめ、納品できる日を伝えるために折り返しの電話をかけます。
夕方になって同じ店から「数量を一つ減らしたい」と電話が入り、入力を直して出荷の担当にも伝え直します。
注文は一件でも、担当者の手は少なくとも四回止まっています。
こうして作業を分けておくと、後で比べる手の違いが見えやすくなります。
聞き取りを楽にする手は最初の段階に効き、受注方法を移す手は入力の段階そのものをなくす方向に効きます。
どの段階に時間が溜まっているかが分からないまま手を選ぶと、効く場所と困っている場所がずれてしまいます。
調査で負担が大きいと答えられた作業の順
では、受注担当者はこのうちどの作業を負担と感じているのでしょうか。
受注支援ソフトを提供する株式会社ハンモックが、IDEATECHの調査企画「リサピー」として、食品の小売・卸売業で受注業務に携わる106名に行ったインターネット調査(2023年3月)があります1。
受注業務の課題として挙がった割合は次のとおりです。
手入力が60%で突出し、注文確認の連絡(41.1%)と注文の変更対応(40%)がほぼ並んで続きます1。
先ほどの例に当てはめると、手入力は電話を切った後の打ち込み、確認連絡は在庫を確かめてからの折り返し、変更対応は夕方の数量変更にあたります。
上位三つのうち二つは、注文を受け付けた後も相手とのやり取りが続く作業だという点は、後で手を選ぶときに効いてきます。
オペレーションの属人化(38.9%)は、どの取引先がどんな頼み方をするかを特定の担当者しか知らない状態を指し、その人が休むと聞き取りも入力も滞りやすくなります。
ただし、この数字の読み方には注意が要ります。
これは各作業を「手間がかかる」と答えた人の割合で、作業にかかった時間の長さではありません。
また、電話だけの課題ではなく受注業務全体について尋ねたもので、電話を受注方法として使う担当者は回答者の50%でした1。
対象は食品の小売・卸売に限られ、調査を行ったのが受注支援ソフトの提供元であることも踏まえると、他の業種や規模にそのまま当てはめず、優先順位を考える手がかりとして使うのが妥当です。
自社の所要時間と手戻りを数週間測る
調査の順位が、そのまま自社の順位になるとは限りません。
決まった品を決まった量だけ受ける取引先が多ければ、確認連絡はほとんど発生しないかもしれません。
反対に、発注量が日々動く取引先が多ければ、変更対応が手入力より重いこともありえます。
どちらに当たるかは、自社の受注を記録してみないと分かりません。
そこで提案したいのが、数週間分の受注を作業ごとに記録することです。
一件ごとに、受け付けた方法、通話にかかった時間、入力にかかった時間、確認連絡の回数、変更や取消の有無、入力の誤りを直した回数を書き留めます。
入力の誤りを直すような、一度終えた作業をやり直すことを手戻りと呼びます。
手戻りは件数が少なくても、一回ごとに出荷の差し替えや相手へのお詫びの連絡を伴うことがあり、時間だけでは見えない負担を拾えます。
専用の道具がなくても、受注票の余白に分数と回数を書く程度で始められます。
期間を一週間でなく数週間にするのは、曜日や月末によって注文の入り方が変わる事業では、一週間だけだと偏った姿しか見えないからです。
この記録は、手を打った後に同じ項目で測り直し、前後を比べるための基準にもなります。
| 受注業務の課題 | 回答の割合 |
|---|---|
| 注文書の手入力に手間がかかる | 60% |
| 注文確認の連絡に手間がかかる | 41.1% |
| 注文の変更対応に時間がかかる | 40% |
| オペレーションの属人化が発生している | 38.9% |
| 注文書の管理(保管義務)が煩雑である | 30% |
電話を残したまま減らせる工数と、減らせない工数
通話の録音と文字起こしでできること
取引先が電話で注文したいと考えている限り、受電そのものは残ります。
その前提で手を打てるのは、前節で上位だった手入力と確認連絡のうち、聞き取りと記録の部分です。
具体的には、通話中に慌ててメモを取ること、聞き逃した数量を相手に聞き返すこと、後から「言った・言わない」を確かめることが対象になります。
一例として、株式会社アイブリーの機能ページでは、同サービスを経由した通話をすべて自動で録音し、AIがテキストにすると説明されています3。
音声はMP3、文字起こしはCSVの形式でダウンロードでき、保存期間はスターターとスタンダードのプランが過去6ヶ月、アドバンスのプランが無制限です3。
これは一製品の仕様であり、同種のサービスがすべて同じ条件を備えているわけではありません。
朝の追加注文の例に戻ると、通話を録音とテキストで残せれば、担当者は通話中に要点だけを押さえ、電話を切った後でテキストを見ながら入力できます。
数量を聞き逃したと気づいても、相手にかけ直す前に録音を聞き直せます。
記録をほかの担当者も見られる状態にしておけば、休んだ人の代わりに受けた担当者が、その取引先の過去の頼み方を確かめる材料にもなります。
誤変換と、転記まで自動化されない部分
ただし、文字起こしをそのまま注文として信じることはできません。
同じページには、通話環境や滑舌、専門用語の多用によって誤変換が生じる場合があると書かれています3。
食品の受注では、似た名前の品や規格、ケースと個といった単位の違い、そして数量の数字そのものが注文の中身を左右します。
テキストに「3ケース」と出ていても、それが「30ケース」でないかを録音で確かめる場面は残ると考えておくほうが安全です。
もう一つの限界は、テキストになった通話が自動で注文データになるわけではない点です。
この機能ページには、文字起こしの内容を受注システムへ取り込む仕組みについての記載はありません3。
CSVで文字が手に入ることと、それが品番や数量の欄に入った注文として登録されることは別の話です。
つまり、調査で最も多くの担当者が負担に挙げた手入力は、聞き取りが楽になっても、人が受注システムへ打ち込む作業として残ります。
この手が効きやすいのは、記録を取ってみて、通話の長さや聞き返し、メモの取り違えによる手戻りが目立った場合です。
入力時間の大半が品番の検索や打ち込みに使われているなら、録音を導入しても入力の時間はあまり変わらないかもしれません。
確認連絡と変更対応は電話を残すと残りうる
確認連絡と変更対応は、記録の問題というより、受けた後のやり取りの問題です。
在庫や納期を確かめてから相手に伝える折り返しは、録音があっても必要です。
夕方の数量変更も、電話でかかってくる以上、受けて、入力を直して、出荷の担当へ伝え直す一連の作業は変わりません。
録音が助けるのは、誰がいつ何を頼んだかを後から確かめる場面で、連絡の回数そのものを減らすわけではありません。
整理すると、電話を残す手は、取引先の発注方法を変えずに聞き取りと記録の負担を軽くする手です。
手入力そのものや、受けた後のやり取りを減らしたい場合は、注文が届く形を変える必要があります。
受注方法を移すと何が変わり、何が前提になるか
企業間の電子受発注の実証で見られた削減
受注方法を移すとは、注文を声や紙ではなくデータで受け取る形に変えることです。
代表的なのがEDI(電子データ交換)で、企業間で受発注の情報をデータでやり取りする仕組みを指します。
発注側が送った品名や数量が受注側のシステムにデータとして届くため、聞いて打ち込むという工程そのものがなくなります。
中小企業庁の記事でも、メリットとして手入力によるミスがなくなること、過去の取引を検索しやすくなることが挙げられています2。
効果の大きさについては、同じ記事が紹介する国の実証があります。
平成28年度補正で行われた実証で、自動車、水インフラ、農林水産、輸出、卸・小売、サービスの6業界にわたる12のプロジェクトにおいて、中小企業は平均51.4%の業務時間の削減効果が得られたとされています2。
この数字は、発注する企業と受注する企業がそろって参加した企業間の実証の平均です。
業務項目ごとの内訳は示されていないため、社内の転記がどれだけ減ったかを表す値でも、自社で見込める削減率でもありません。
読み取れるのは、手入力をなくす方向の手は、取引先と組んで進められれば受発注の業務時間に大きく効く可能性がある、というところまでです。
1社だけでは効果が出ない理由
中小企業庁の記事は、EDIは1社だけが導入しても効果が得られず、取引先の状況や環境を考慮して導入の要否を判断し、共通認識を持って連携する必要があると述べています2。
受注する側だけで決められる通話の録音とは、ここが根本的に違います。
朝に電話をくれる飲食店で考えてみます。
受注側が注文用の画面やデータの受け口を用意しても、店の担当者が仕込みの合間には電話のほうが早いと感じれば、注文は電話で届き続けます。
すると受注担当者は、データで届く注文と電話で届く注文の両方を見ることになり、受け口が増えた分だけ確認の手間が増えることさえあります。
相手にとって移行は、慣れた発注のやり方を変える作業です。
何が楽になるのか、いつから切り替えるのか、困ったときにどこへ連絡すればよいのかを相手と共有できて初めて、受注側の手入力が減ります。
電話を止めると支障が出ると想定する担当者の割合
受注担当者自身も、この難しさを感じています。
先の食品業の調査では、FAXや電話での受注を止めると取引に支障が出ると想定する担当者が58.8%でした1。
これは受注担当者の見立てであり、取引先自身に電話を続けたいかを尋ねた結果ではありません。
また、FAXと電話をまとめて尋ねた結果で、電話だけの数字でもありません。
企業間の実証の51.4%と、この58.8%は、対象も調べ方も異なるため、組み合わせて「移行すれば何割減る」といった計算はできません。
それでも二つを並べると、進め方の手がかりは見えてきます。
移行は手入力をなくす方向に効く可能性がある一方で、一律に電話を止めることには半数を超える担当者が不安を感じています。
そこで編集部としては、全取引先を一度に移すのではなく、取引先ごとに電話を残す相手と移せる相手を分け、移せる相手から段階的に進めることを提案します。
選択肢を並べて比べる:減る作業・残る作業・相手の協力・費用
同じ4軸で並べた比較表
ここまでの二つの手に、もう一つの考え方を加えて並べます。
電話を受ける窓口や時間帯を絞り、電話そのものを減らす手です。
たとえば注文の電話を午前中に限るといった方法ですが、この手の効果を示す資料は見当たらないため、編集上の考え方として置き、数値は入れていません。
比べる軸は、減る可能性のある作業、残る作業、取引先の協力が要るか、確認できた費用と補助の4つです。
表で判断が分かれるのは、取引先の協力の欄です。
電話を残して記録を補助する手は、受注側の判断だけで始められますが、減るのは聞き取りまわりに限られ、調査で負担の筆頭だった手入力は残ります。
電子受発注への移行は、その手入力をなくす方向に効く一方で、相手が発注のやり方を変えてくれなければ効果が出ません。
同じ「受注の効率化」でも、自社だけでどこまで動けるかがまったく違います。
電話そのものを減らす手は、一件ごとの作業を軽くするものではありません。
減らせるとすれば、いつ鳴るか分からない電話のために、入力や出荷手配の作業が何度も中断されることです。
受付時間を絞ることは取引先の習慣を変えることでもあるため、移行と同じく相手への説明と合意が要ります。
記録を取ってみて、通話の長さより作業の中断が負担だと分かった場合に検討する価値があります。
確認できた費用と、一般化できない範囲
表の費用欄で確認できた具体的な料金は、アイブリーの基本料金が3,317円/月からで、これに利用料が加わるというものだけです(税抜、年払いの場合、電話番号維持費は別)3。
これは一製品の下限であり、通話録音サービスの相場ではありません。
利用料が加わる分、実際に支払う月額は基本料金より高くなり、どれだけ上乗せされるかは使い方と契約条件で決まります。
電子受発注への移行や受付時間の見直しについては、比較に使える料金の資料がないため、相場の金額は示しません。
見積りを取る際は、月額だけでなく、初期の設定、件数や利用量に応じて変わる部分、取引先の側に費用や作業が発生するかを分けて聞くと比べやすくなります。
移行の場合は、取引先への説明や、しばらく電話とデータの両方を受ける並行期間の社内の時間も、費用として見込んでおく必要があります。
補助金の対象となる条件
受注の効率化に使うソフトの導入には、デジタル化・AI導入補助金2026の通常枠が使える可能性があります。
補助率は1/2以内で、一定の賃金要件を満たす場合は2/3以内です4。
補助額は対象となる業務プロセスの数で区分され、4プロセス以上の場合は150万円以上450万円以下です4。
対象経費として必ず含まれるのは、ソフトウェアの購入費とクラウドの利用料(最大2年分)です4。
機能拡張、データ連携ツール、導入コンサルティング、導入設定、保守サポートはオプションとして対象になります4。
ただし、1種類以上の業務プロセスを持つソフトウェアが前提で、汎用的なプロセスだけのものは対象外です4。
迷いやすいのは、「受注に使うソフトなら対象になる」とは言えない点です。
個々の通話録音サービスや受注システムがこの枠の対象かどうかは、製品ごとに異なります。
申請枠や要件、公募の時期は公募回ごとに変わりうるため、検討している製品が対象かどうかとあわせて、事務局の最新のページで確かめる必要があります。
申請しても採択されるとは限らないため、補助金を前提にしない費用の見積りも用意しておくと、採択の結果で計画が止まりません。
| 選択肢 | 減る可能性のある作業 | 残る作業 | 取引先の協力 | 確認できた費用・補助 |
|---|---|---|---|---|
| 電話を残して記録を補助 | 通話中のメモ・聞き返し・聞き取りの手戻り | 受電・受注システムへの入力・確認連絡・変更対応 | 発注方法は変えずに済む | 一製品の例で基本料金3317円/月〜+利用料(税抜・年払い・電話番号維持費別) |
| Web・電子受発注へ移行 | 手入力・入力の誤りによる手戻り | 移れない取引先の電話・在庫や納期の確認・移行時の説明 | 必要(取引先との共通認識が前提) | 費用は見積りで確認・補助金の通常枠は要件次第で対象になりうる |
| 電話そのものを減らす | 時間を問わない受電による作業の中断 | 一件ごとの聞き取り・入力・確認連絡 | 必要(受付ルールの変更を伝える) | 確認できた資料なし |
自社ではどの手から始め、効果をどう測るか
取引先を電話維持と移行可能に分ける
ここまでの内容を自社に当てはめる順番を、四つの手順にまとめます。
いずれも調査で裏付けられた方法ではなく、ここまでの整理をもとにした編集部の提案です。
①の記録と③の取引先の仕分けは、並行して進められます。
記録を取りながら、どの取引先がどの方法で、どれくらいの頻度で注文してくるかも一緒に書き留めておけば、仕分けの材料がそろいます。
②では、記録で大きかった作業に合う手を選びます。
聞き返しやメモの取り違えが目立つなら電話を残して記録を補助する手、手入力の時間が大きいなら移行、作業の中断が負担なら受付の見直しが候補になります。
確認連絡が多い場合は、なぜ折り返しが必要になっているのか、たとえば在庫や納期をその場で答えられないのかを記録から読み取ると、手の選び方が変わります。
取引先を分けるときは、注文の頻度、いま使っている発注方法、相手の担当者が画面やデータで発注できる環境にあるか、注文の内容がその場で相談しながら決まるものかを見ます。
毎日決まった品を発注してくる相手は移行の候補になりやすく、その都度相談しながら品を決める相手は電話を残すほうが双方にとって自然かもしれません。
仕分けの結果を担当者間で共有しておくことは、調査で38.9%が挙げた属人化1への手当てにもなります。
どの取引先がどう注文してくるかが一人の頭の中にしかない状態を、記録として残せるからです。
一部で試して前後を比べる
手を選んだら、いきなり全体に広げず、一部で試します。
移行なら、③で移せると分けた取引先のうち数社に声をかけ、合意できた相手から始めます。
電話を残す手なら、特定の時間帯や担当者から始める方法が考えられます。
一部で試すのは、効果の有無を測るためだけでなく、取引先の反応や社内の手順の詰まりを、影響の小さい範囲で見つけるためでもあります。
比べるときは、①で記録したのと同じ項目を、同じくらいの期間で測り直します。
注意したいのは、試し始めた直後は新旧の方法が並ぶうえに使い方に慣れていないため、一時的に作業が増えて見えることです。
移行の場合は、データで届いた注文と電話で届いた注文の両方を見る期間が必ず生じます。
切り替え直後の数字だけで判断せず、慣れた後の期間も含めて比べるほうが実態に近づきます。
比べる相手は自社の試す前の記録であり、調査の割合や実証の削減率を目標値に置き換えないことも大切です。
測る指標と見直しの時期
記録の項目は、選んだ手が減らそうとしている作業に合わせて絞ると続けやすくなります。
目安として、次のような項目が使えます。
- 1件あたりの通話時間と入力時間
- 確認連絡の回数
- 変更・取消への対応件数
- 入力の誤りを直した回数(手戻り)
- 電話以外の方法で届いた注文の割合(移行を試す場合)
電話を残す手を試すなら、通話時間、聞き返しの回数、手戻りの変化が中心になります。
移行を試すなら、データで届いた注文の割合と、それに応じて入力時間がどう変わったかを見ます。
移行した取引先からの問い合わせや、データの不備で結局電話をかけて確かめた回数も記録すると、移行が相手とのやり取りを増やしていないかが分かります。
見直しの時期は、試した期間が終わった時点と、注文の入り方が変わる繁忙期を一度経た時点が考えやすい区切りです。
試した範囲で入力や確認の時間が減っていれば、次の取引先へ広げます。
思ったほど減らなかった場合も、どの作業が残ったかが記録に出ているため、別の手へ切り替える判断材料になります。
電話受注の工数を減らす近道は、一つの正解を探すことより、測って、試して、比べる手順を自社の中で回せるようにすることです。
記録を取って負担の大きい作業が見えても、電話を残す手と受注方法を移す手のどちらから始めるか、どの取引先に声をかけるかは、社内だけでは決めにくいことがあります。
記録した作業時間と取引先ごとの注文の受け方をもとに、最初に試す手と、試す範囲の決め方を整理できます。無料相談で要件を整理する
要点の整理
| 軸 | 基準 |
|---|---|
| どの作業が重いか | 数週間の記録で、入力・確認連絡・変更対応の時間と回数を比べる |
| 電話を残す手 | 聞き取りと記録の負担が中心で、取引先の発注方法を変えにくい場合 |
| 受注方法を移す手 | 手入力が重く、合意できる取引先がいる場合。相手ごとに段階的に |
| 費用 | 一製品の料金を相場にせず、利用料・設定・並行期間を含めて見積りで比べる |
| 補助金 | 通常枠は補助率1/2以内。対象製品と公募回の要件を最新情報で確かめる |
試し方や測り方が決まっても、見積りの比べ方や補助金の要件に照らした導入計画は、製品ごとの条件が絡むため判断が分かれやすいところです。 検討中の方法について、見積りで確かめる項目と、取引先への説明で押さえる点を整理できます。
よくある質問
電話受注を完全にやめても取引先は困らないか。
困るかどうかは取引先ごとに違い、一律には言えません。
食品業の受注担当者への調査では、FAXや電話での受注を止めると取引に支障が出ると想定する担当者が58.8%でした1。
これは担当者の見立てで取引先の意向そのものではありませんが、軽視できない数字です。
企業間の電子受発注も、取引先と共通認識を持って進めることが前提とされています2。
電話を残す相手と移せる相手を分け、合意できた相手から段階的に移すほうが、取引への影響を抑えやすいと考えます。
電話の聞き取りをAIで文字起こしすれば、転記の手間はなくなるか。
なくなるとは言えません。
確認した製品の機能ページでは、通話の録音とテキスト化、CSVでのダウンロードは説明されていますが、文字起こしを受注システムへ注文として取り込む仕組みの記載はありません3。
誤変換が生じる場合があることも明記されており3、品名や数量を人が確かめて入力する作業は残ります。
減るのは、通話中のメモや聞き返し、聞き取りの誤りによる手戻りの部分です。
FAXやメールの注文は、電話受注と同じ方法で減らせるか。
減らす手の一部は共通しますが、同じではありません。
通話の録音や文字起こしは電話のための手で、文字で届くFAXやメールには当てはまりません。
一方、紙や文面を見ながら受注システムへ打ち込む手入力は、電話と同じように残ります。
データで注文を受け取る形へ移す考え方や、取引先との合意が前提になる点は共通です。
先の調査でも、受注を止めると支障が出ると想定する割合は、FAXと電話をまとめて尋ねたものでした1。
受注業務の工数は、まず何を記録すれば比べられるか。
受注一件ごとに、受け付けた方法、通話時間、入力時間、確認連絡の回数、変更や取消の有無、入力の誤りを直した回数を書き留めるのが出発点です。
曜日や月末で注文の入り方が変わる事業では、数週間続けると偏りが減ります。
手を打った後に同じ項目で測り直せば、前後の比較ができます。
受注の効率化に使うソフトに補助金は使えるか。
デジタル化・AI導入補助金2026の通常枠では、1種類以上の業務プロセスを持つソフトウェアの購入費やクラウド利用料(最大2年分)が対象経費になり、補助率は1/2以内(一定の賃金要件を満たす場合は2/3以内)です4。
ただし汎用的なプロセスだけのソフトは対象外で、検討している製品が対象かどうか、公募回ごとの要件や時期は事務局の最新のページで確かめる必要があります。
採択されるとは限らないため、補助金がなくても成り立つ費用計画にしておくと安心です。
- 1 出典:株式会社ハンモック「食品業の受注業務に関する実態調査」(2023年)
- 2 出典:中小企業庁(ミラサポplus)「企業間のデータ連携で、受発注の業務コストを削減する!」(2020年)
- 3 出典:株式会社アイブリー「全通話録音とAI文字起こし」(2026年)
- 4 出典:独立行政法人中小企業基盤整備機構「デジタル化・AI導入補助金2026 通常枠」(2026年度)
画像の出典元
- Businesswoman reviewing important documents at her desk with a laptop in a modern office setting./Photo by https://kaboompics.com/ on Pexels