◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- 電話受注の数量ミスは聞き取りだけでなく、聞いた数量を手で写す記録や後工程への受け渡しでも起こり得るため、原因を聞き間違いに決め打ちしない。
- 過去の事例で通話録音・注文メモ・入力値・出荷指示を並べ、最初に数量が変わった地点から段階を判断し、件数が少ないうちは記録が残る仕組みを先に整える。
- 電話のまま減らす手順は、誤りが集まる段階に合わせて言い方の統一・品目ごとの復唱・受付票への直接記入・変更の照合から選び、効果は注文件数あたりの誤りで自社が確かめる。
- 通話録音は個人を識別できれば利用目的の通知・公表が要るが、録音の告知自体は個人情報保護法上の義務ではない。
- 受け方の変更は取引先が対応できることが前提で、FAXでは転記が残るため、電話を残したまま取引先ごとに受け方を併設する形から考える。
目次

電話受注で数量が食い違った注文は、聞き取り・復唱・記録・受け渡しのどこで起きたのか
出荷の直前や取引先からの連絡で、電話で受けた注文の数量が違っていたと分かる。
そのとき多くの担当者はまず「聞き間違えたのか」と考えます。
ただ、電話受注には聞いた数量をメモし、受注システムや伝票へ手で写す工程も含まれていて、食い違いはそのどこでも起こり得ます。
まず過去の事例で、聞き取り・復唱・記録・受け渡しのどこで数字がずれたかを確かめ、電話のまま直せる手順から試します。
それでも減らない場合に受け方の変更を考えますが、取引先が新しい受け方に対応できなければ成り立ちません。
「聞き間違い」と決め打ちしない理由
数量違いが見つかると、注文を受けた担当者が「聞き間違えました」と謝り、次から気をつけるという話で終わることがよくあります。
しかし電話で受けた数量は、出荷指示になるまでに何度か形を変えています。
相手の声で伝えられた数字が担当者の耳に入り、手元のメモに書かれ、受注システムや伝票へ入力され、さらにピッキングリストや仕入先への発注として後工程へ渡ります。
中小企業基盤整備機構のミラサポplusは、電話やFAXによる受発注は手入力での転記が必要なため、ミスや書類紛失のリスクがあると説明しています3。
つまり電話受注の誤りは、耳で聞く場面だけでなく、聞いた内容を書き写す場面にも潜んでいます。
原因を聞き取りに決め打ちして復唱を徹底しても、転記でずれていたのなら同じ誤りは残ります。
そこで、数量が通る道筋を聞き取り・復唱・記録・受け渡しの4段階に分けて考えます。
この分け方は原因を探すための整理であり、どの段階で誤りが多いかを示した統計があるわけではありません。
自社でどこが多いかは、次の節で扱う実際の事例で確かめます。
聞き取りの段階
相手が言った数量と、担当者が受け取った数量が最初からずれている状態です。
たとえば「12ケース」と言われたのを12個と受け取る単位の取り違えや、「百二十」と「十二」のような桁の受け違いが考えられます。
「10、いや12で」と言い直された後にどちらを採ったか曖昧になる場合や、複数の品目を続けて言われて品目と数量の組み合わせが一つずれる場合も、この段階に入ります。
この段階の誤りには、通話直後のメモの時点ですでに数字が違っているという特徴があります。
後の工程では正しく写されているため、出荷の段階まで誰も気づきません。
復唱・確認の段階
復唱は、聞き取りの誤りを通話中に止めるための段階です。
ここで起きる問題は、復唱自体が誤りを生むことではなく、聞き取りでずれた数量を相手が気づけないまま通話が終わることです。
品名だけを繰り返して数量を省く、最後に「以上でよろしいですね」とまとめて確認を済ませる、相手が忙しく復唱を聞き流す、といった場面が典型です。
聞き取りの誤りと見分けにくいのですが、「復唱していれば相手が気づけたか」という問いを立てると分けられます。
復唱をしていなかった、あるいは数量を含めずに復唱していたなら、聞き取りと同時にこの段階にも手を入れる余地があります。
記録(手入力)の段階
メモは正しいのに、受注システムや伝票へ入力するときに数字が変わる状態です。
走り書きの「1」と「7」を自分で読み違える、隣の行の品目へ数量を入れる、単位欄がバラを前提にした画面にケース数をそのまま入れる、といったことが起こり得ます。
通話が立て込んで入力を後回しにするほど、メモの意味を通話の記憶で補えなくなります。
株式会社ハンモックが2023年に実施したインターネット調査では、食品の小売・卸売で受注業務に携わる106名のうち、60%が注文書の手入力に手間がかかると答えています1。
手間がかかるという回答は誤りの件数を示すものではありませんが、手入力が受注担当者にとって負担の大きい作業として意識されていることは分かります。
対象は食品の小売・卸売に限られ、回答者数も多くないため、他の業種の現場にそのまま当てはまるとは言えません。
後工程への受け渡しの段階
入力までは正しく、その先でずれる状態です。
たとえば数量変更の電話を受けて受付票は直したものの、すでに印刷されていたピッキングリストが差し替わらずに出荷された場合がこれにあたります。
倉庫や仕入先へ口頭で伝え直した、別の担当者が受けた変更が元の注文に結び付かなかった、という経路もあります。
受け渡しの誤りは、受けた担当者の手元を見ても見つかりません。
入力値と出荷指示を並べて初めて分かるため、原因を一人の聞き取りに帰すと見落とされやすい段階です。
自社の数量ミスがどの段階で起きたかを、過去の事例で確かめる
突き合わせる記録
前の節の4段階は、実際に起きた数量違いに当てはめて初めて役に立ちます。
直近で起きた数量違いを数件選び、それぞれの注文について残っている記録を一列に並べます。
並べる順は、数量が流れた順と同じです。
表の上から順に見て、最初に数字が変わった場所が起点です。
メモと入力値が違えば記録の段階、入力値と出荷指示が違えば受け渡しの段階と判断できます。
迷うのは、メモの時点ですでに数量が違っている場合です。
このときは聞き取りの誤りか、復唱で止められなかったのか、あるいは相手が言い間違えたのかを分ける必要があります。
通話録音があれば、相手が何と言い、担当者がどう復唱したかを聞き直して分けられます。
録音を確認に使う場合の条件は、後の節で扱います。
録音がない場合は、受けた担当者にその注文で数量を復唱したかを尋ねることになりますが、数週間前の一本の電話を正確に思い出すのは難しいものです。
取引先が主張する数量が正しいとも限らないため、裏付けがなければ無理に決めず「不明」と分類しておきます。
件数が少ないときの見方
数件を並べただけでは、どの段階が多いという傾向は読めません。
1件が聞き取り、1件が記録なら、両方に対策の余地があるというところまでが言えることです。
並べてみて「不明」が多い場合は、それ自体が分かったことの一つです。
録音もなく、メモが捨てられ、入力の時刻も残っていなければ、次に誤りが起きても原因は分かりません。
受付票に「数量を復唱した」のチェック欄を設ける、メモを出荷まで保管する、入力した時刻と担当者を残す、といった記録の整備を先に行うと、次からの事例は段階を分けやすくなります。
この表は一度作って終わりにせず、新しく数量違いが起きるたびに同じ形で行を足していきます。
件数がたまれば、段階ごとの偏りが見えてきます。
対策の効果を後で確かめるときにも、この記録が導入前の基準になります。
| 並べる記録 | その記録で分かること | 前の記録と食い違ったときに疑う段階 |
|---|---|---|
| 通話録音(ある場合) | 相手が実際に口にした数量と復唱の有無 | 相手の伝え方(取引先が主張する数量と違う場合) |
| 注文メモ・受付票 | 担当者が受け取った数量 | 聞き取り・復唱 |
| 受注システムの入力値 | 入力された数量と単位 | 記録(手入力) |
| 出荷指示・発注データ | 後工程へ渡った数量 | 受け渡し |
電話のまま減らす:数字・単位の言い方、復唱、注文書への直接記入から始める
段階に合わせて手順を選ぶ
事例を並べて起点の段階が見えてきたら、その段階に合った手順から変えます。
すべてを同時に始める必要はなく、誤りが集まっている段階を優先します。
どの手順も何かの確認や転記を減らす一方で、別の手間を増やします。
手順ごとにどれだけ誤りが減るかを示した公的な統計はありません。
以下は仕組みから考えた提案であり、効果は導入前後の件数で自社が確かめることになります。
数字・単位の言い方を決める
聞き取りの誤りが目立つなら、数量の言い方を社内で決めておきます。
まず、数字と単位を必ずセットで言い、受ける側も単位を聞き取るまで数字を書かないようにします。
ケースとバラの両方で注文を受ける商品なら、単位を省くと取り違えの余地が残るためです。
桁が大きい数量は「百二十」のように位取りで言う、取引先ごとに通常どの単位で注文が来るかを受付票に印字しておく、といった工夫も考えられます。
取引先側の言い方は自社だけでは変えられないため、取引先に依頼する場合は、相手の負担が増えない範囲にとどめます。
受ける側が単位を聞き返す習慣だけでも、自社の中で始められます。
復唱と承認
復唱は、品目ごとに数量と単位を区切って返し、そのたびに相手の「はい」を得る形が基本です。
最後にまとめて読み上げると、品目数が多いほど相手は全体を聞き流しやすくなります。
相手が言葉で承認することで、受け取った数量が正しいことを双方で確定させます。
ただし復唱を丁寧にするほど、通話は長くなります。
先のハンモックの調査でも、食品の小売・卸売の受注担当者の41.1%が注文確認の連絡に手間がかかると答えています1。
全品目を一律に念入りに確認するより、数量が普段と大きく違う注文や、単位が混在する品目に重点を置くと、手間の増え方を抑えられます。
注文書への直接記入
記録の段階で誤りが起きているなら、転記の回数を減らします。
電話を受けながら走り書きのメモを取り、後で清書し、さらに受注システムへ入力する流れでは、数字を写す機会が少なくとも2回あります。
通話中に所定の受付票へ直接書く、あるいは受注画面へ直接入力すれば、そのうち1回を省けます。
受付票の項目を受注システムの入力画面と同じ並びにしておくと、入力時に行を取り違える余地も減ります。
それでも、受付票から入力する転記が残る場合はその確認が、通話中に直接入力する場合は入力した値を復唱で確かめる作業が残ります。
直接記入は転記を減らす方法であって、確認を不要にする方法ではありません。
受け渡しの照合
受け渡しの誤りには、変更や取消を元の受付票に書き込み、出荷指示を出す前に最新の受付票と照合する手順が向いています。
変更の電話を別の担当者が受けても、元の注文に結び付けて記録されていれば、照合の際に気づけます。
出荷指示の前に一度見比べる作業が増えるため、変更が多い取引先から始めると負担を見極めやすくなります。
効果の確かめ方
効果は、前の節で作った事例の表を導入前の基準にして確かめます。
導入後も同じ期間だけ、同じ分類で数量違いを記録します。
月によって注文件数は変わるため、件数そのものより注文件数あたりの誤りで比べるほうが実態に近くなります。
比べるときは、全体の件数だけでなく、狙った段階の誤りが減ったかを見ます。
復唱を変えたのに記録の段階の誤りしか減っていなければ、別の要因が働いた可能性があります。
一部の担当者や取引先から試し、通話時間などの負担と合わせて見ると、続けるかどうかを判断しやすくなります。
| 段階 | 手順の案 | 減る確認・転記 | 増える負担 |
|---|---|---|---|
| 聞き取り | 数字と単位の言い方を社内で決める | 単位や桁を取り違える余地 | 取引先に協力を頼む場面がある |
| 復唱・確認 | 品目ごとに数量と単位を区切って復唱し承認を得る | 聞き取りの誤りを通話中に止められない状態 | 通話時間と確認の手間 |
| 記録 | 聞きながら受付票へ直接記入する | メモから清書・再入力する転記 | 様式の整備と慣れるまでの時間 |
| 受け渡し | 変更を元の受付票に書き込み出荷指示前に最新版と照合する | 変更が後工程に届かない状態 | 出荷前の照合作業 |
通話録音を確認に使うときの法的な条件
個人情報としての扱い
通話録音は、相手が実際に何と言ったかを後から確かめられる記録です。
聞き取りと復唱のどちらで誤りが起きたかを分けるうえで、他の記録では代わりになりにくいものです。
一方で、録音には個人情報保護法上の扱いがあります。
個人情報保護委員会のQ&Aは、通話内容から特定の個人を識別できる場合、その通話内容は個人情報に該当するとしています2。
企業間の注文でも、通話の中で取引先の担当者の氏名などが分かれば、該当するかを考える必要が出てきます。
利用目的の通知・公表
通話内容が個人情報に該当する場合、個人情報取扱事業者は利用目的を通知または公表する義務を負います2。
たとえば、受注内容の確認や記録のために通話を録音することを、自社が公表している個人情報の取扱いの中に書いておく方法が考えられます。
数量の聞き直しに使うのであれば、その用途が利用目的に含まれていることが前提になります。
同じQ&Aは、録音していること自体を相手に伝える義務までは負わないとしています2。
ただしこれは個人情報保護法上の扱いであり、他の法令や取引先との契約上の取り決め、自社の規程で別の定めがある場合は、そちらも確認が要ります。
法的な義務とは別に、取引先との関係を考えて録音を伝えておくと、後で聞き直した内容を示して話し合う場面で行き違いが起きにくいという考え方もあります。
録音を確認に使い始めるなら、誰が聞けるのか、どれくらいの期間保存するのかも社内で決めておきます。
数量違いの調査のたびに担当者が個別に聞き直す運用では、扱いが人によってばらつきます。
自動文字起こしを検討するときの注意
録音を文字にする自動文字起こしを使えば、通話を一本ずつ聞き直す手間を減らせる可能性があります。
ただ、数字や単位をどの程度正しく文字にできるかを示した確かな資料はなく、使う製品や通話の音質によっても変わり得ます。
文字起こしの数量をそのまま入力値として使うのではなく、食い違いが疑われる箇所は録音と照合する前提で考えます。
文字起こしで録音の内容を扱う場合も、前述の利用目的の扱いは同じように関わります。
手順改善で足りないときに、受け方を変える条件と限界
変更を検討する目安
言い方・復唱・直接記入・照合を試しても同じ段階の誤りが続く場合や、手順は守れても受注件数に対して聞き取りと入力の手間が追いつかない場合に、受け方の変更を考えます。
電話受注を続ける限り、口頭で伝わった数量を誰かが文字に起こす工程は残ります。
手順の改善は、その工程の誤りを減らすことはできても、工程そのものをなくすことはできません。
受け方を変えると、どの段階が減るかは方法によって違います。
FAXやメールに変えれば、相手が書いた数量が届くため、聞き取りと復唱の段階はなくなります。
しかしミラサポplusが指摘するように、FAXによる受発注も手入力での転記が必要です3。
記録の段階の誤りが多い現場では、FAXに変えても課題の中心は残ります。
Web受注や、企業間で注文データを決まった形式でやり取りするEDI(電子データ交換)であれば、相手が入力した数量がデータとして届きます。
受注システムへそのまま取り込める仕組みであれば、転記も減らせます。
ただし取り込めず、画面を見ながら入力し直す運用になれば、記録の段階は残ります。
取引先の環境という条件
受け方の変更は、自社だけでは完結しません。
注文を送る取引先が新しい方法を使えて初めて成り立ちます。
ミラサポplusは、EDIは1社だけが導入しても効果が得られず、取引先の状況や環境を考慮して導入の要否を判断する必要があるとしています3。
中小企業共通EDI標準仕様書が注文メッセージだけで135項目を定めているように3、データでの受発注は双方が同じ取り決めに合わせることが前提です。
取引先の側の意識も、変更のしやすさに関わります。
先のハンモックの調査では、食品の小売・卸売の受注担当者のうち、受注方法として電話を利用している割合が50%でした1。
また、FAXや電話による受注を止めると取引に支障が出ると想定する回答が58.8%ありました1。
この調査は食品の小売・卸売の受注担当者を対象とした2023年の意識調査であり、他の業種に同じ割合が当てはまるとは言えません。
それでも、電話やFAXをやめれば取引先が困るという見方が受注側に根強いことはうかがえます。
二つの資料を合わせると、言えるのは、受け方の変更は自社の都合だけで決められないということです。
受け方を変えたことで数量の誤りがどれだけ減るかまでは、これらの資料からは分かりません。
電話を残したまま併設する
そこで現実的な選択肢になるのが、電話を残したまま、対応できる取引先から別の受け方を追加する併設です。
取引先ごとに、どの方法で注文を受けるかを受付の台帳に記録しておき、Webやメールを使える取引先には案内し、電話しか使えない取引先は電話で受け続けます。
併設には注意点もあります。
受け方が複数になると、注文ごとに確認の方法が変わり、同じ取引先から電話とメールで重ねて注文が来たときに二重に受ける、あるいは変更がどちらの経路で来たか分からなくなる、といった受け渡しの段階の照合が増えます。
併設を始めるときは、どの受け方で来た注文も同じ受付票や受注番号に集める決まりを先に作っておきます。
数量ミスの損失を見積もり、対策の負担と比べる
損失の構成
どこまで手間や費用をかけて対策するかは、数量ミスで何を失っているかと比べて決めます。
損失は一つの金額としてではなく、発生した作業ごとに分けると見積もりやすくなります。
再出荷や返品の送料のように請求書で分かる実費と、担当者が修正や連絡に費やした時間とは、記録の取り方が違います。
実費は伝票から拾えますが、時間は意識して残さないと分かりません。
前の節までで作った事例の表に、1件ごとの対応時間の欄を足しておくと、見積もりの材料がそろいます。
取引先からの信用が損なわれることは、金額にしにくい損失です。
無理に金額へ換算せず、指摘を受けた回数や取引条件が変わったかどうかを別に記録しておき、金額の比較とは別の判断材料として扱います。
自社記録での見積もり方
見積もりの基本は、月あたりの数量違いの件数に、1件あたりの対応時間と社内の時間単価を掛け、そこに送料などの実費を足す形です。
たとえば記録を見て、1件の対応に担当者と倉庫が合わせて何時間使ったかが分かれば、件数を掛けるだけで月の負担の大きさが見えてきます。
数量違いの損失に業界の相場はないため、この見積もりは自社の記録だけで行います。
次に、対策の側の負担を同じ単位で並べます。
復唱を丁寧にすれば通話時間が増え、受付票の様式を作り直せば準備の時間がかかり、受け方を追加すれば取引先への案内や受注の照合が増えます。
件数が少なく損失も小さいうちは、言い方の統一や復唱の形のように負担の軽い手順で足りる場合があります。
反対に、手順を改善しても損失が対策の負担を上回り続けるなら、受け方の併設を検討する根拠になります。
見積もりは一度で正確に出す必要はありません。
対策を始めた後も同じ形で記録を続ければ、損失が減ったかどうかと、対策にかけた負担が見合っているかを、同じ物差しで見直せます。
| 損失の種類 | 自社の記録で見る項目 | 金額に含めるか |
|---|---|---|
| 再出荷 | 追加の送料・運賃 | 含める |
| 返品処理 | 引き取りの送料・在庫へ戻す作業・戻せない商品の処分 | 含める |
| 作業時間 | 再ピッキング・梱包・入力の修正にかかった時間 | 時間×社内の単価で含める |
| 取引先対応 | 連絡・説明・謝罪にかかった時間 | 時間×社内の単価で含める |
| 信用への影響 | 取引先からの指摘や取引条件の変化 | 金額に含めず別に記録 |
事例を並べても、メモの段階で数量が違う注文を聞き取りと復唱のどちらに分けるか、受付票や入力画面のどこを変えるかは、社内だけでは判断が付きにくいことがあります。
電話を受けてから出荷指示が出るまでの流れを一緒に書き出し、どこで数量の転記が起きていて、電話のまま減らせる転記がどれかを確かめられます。無料相談で要件を整理する
要点の整理
| 軸 | 基準 |
|---|---|
| 原因の切り分け | 通話録音・注文メモ・入力値・出荷指示を数量が流れた順に並べ、最初に数字が変わった地点を起点とする |
| 件数が少ないとき | 傾向を決めず、復唱の記録やメモの保管など記録が残る仕組みを先に整える |
| 電話のまま直す | 誤りが集まる段階に合わせて言い方・復唱・直接記入・照合を選び、注文件数あたりの誤りで比べる |
| 通話録音 | 個人を識別できれば利用目的の通知・公表が要る。他の法令・契約・社内規程は別に確認する |
| 受け方の変更 | FAXでは転記が残る。取引先が対応できることが前提で、電話を残した併設から考える |
| 対策の費用 | 自社記録の件数×対応時間と実費で損失を見積もり、対策の負担と同じ単位で比べる |
受け方を追加するかどうかは、自社の損失の見積もりだけでなく、取引先ごとに使える方法や、追加した後の照合の手間まで見ないと決めにくいものです。 取引先ごとの受け方の併設を考えるときに、どの注文をどの経路で受け、どこで一つの受付記録にまとめるかを整理できます。
よくある質問
電話で数量を復唱するとき、数字と単位はどのように言えば取り違えにくいですか。
数字と単位を必ずセットで言い、品目ごとに区切って返し、そのたびに相手の承認を得る形が基本です。
桁が大きい数量は位取りで言う、取引先ごとに通常の単位を受付票に印字しておく、といった工夫も考えられます。
どの言い方がどれだけ誤りを減らすかを示した統計はないため、導入前後の件数で自社が確かめる提案として考えてください。
通話録音をしていることは、相手に必ず伝える必要がありますか。
個人情報保護委員会のQ&Aでは、録音していること自体を伝える義務までは負わないとされています2。
ただし通話内容から特定の個人を識別できる場合は個人情報に該当し、利用目的を通知または公表する義務があります2。
これは個人情報保護法上の扱いで、他の法令や取引先との契約、社内規程に別の定めがあれば、そちらも確認が要ります。
取引先がFAXや電話しか使えない場合、数量ミスを減らすには何ができますか。
電話の場合は、数字と単位の言い方の統一、品目ごとの復唱と承認、受付票への直接記入、変更の照合といった手順を、誤りが集まっている段階に合わせて選びます。
FAXの場合は聞き取りの誤りはなくなりますが、手入力での転記は残るため3、受付票と入力画面の並びをそろえる、入力値を見直すといった記録の段階の対策が中心になります。
FAXに切り替えれば、数量ミスはなくなりますか。
FAXでは相手が書いた数量が届くため、聞き取りと復唱の段階はなくなります。
一方で、FAXによる受発注も手入力での転記が必要で、ミスのリスクがあるとされています3。
自社の事例で記録の段階の誤りが多い場合は、FAXに変えても課題の中心は残ります。
数量ミスが月に何件なら、受け方の変更を考えるべきですか。
何件という共通の基準はありません。
注文件数や1件あたりの損失の大きさは事業ごとに違うためです。
手順を改善した後も同じ段階の誤りが続くか、自社の記録で見積もった損失が対策の負担を上回り続けるかを判断の目安にします。
そのうえで、受け方の変更は取引先が対応できることが前提になります。
- 1 出典:株式会社ハンモック「食品業の受注業務に関する実態調査」(2023年)
- 2 出典:個人情報保護委員会「個人情報保護法ガイドラインQ&A(Q1-10)」(2022年更新)
- 3 出典:中小企業基盤整備機構(ミラサポplus)「企業間のデータ連携で、受発注の業務コストを削減する!」
画像の出典元
- Black and white image of an employee working at a desk with papers and computer./Photo by Ruslan Burlaka on Pexels