ECサイトと基幹システムのデータ連携を行う上で検討すべき3つのポイント

多言語ECサイトを構築する際には、サイトの内容を対象商圏の言語に翻訳するという作業が発生しますが、この際の手法として、「自動翻訳ツールの利用」「人の力による翻訳」の二つの方向性が考えられます。
昨今は自動翻訳ツールが搭載されたカートシステムやCMSが色々と登場し、これらを利用することで、比較的手軽に多言語対応ECサイトを構築することも可能となってきています。

しかし、BtoB向けECサイトの翻訳に自動翻訳ツールをそのまま利用するのは、次の4つの理由で推奨できません。

理由1:「売るためのコンテンツ」を作るのが難しい

ひとつ目の理由は、自動翻訳ツールによる翻訳では、「売るためのコンテンツ」を作るのが難しいということ。
Google翻訳などの翻訳ツールを利用した経験のある方にはイメージがつくと思いますが、残念ながら自動翻訳はまだまだ実用のレベルには至っていません。日本語は英語などに比べて自然言語処理の難易度が高く、自動翻訳で違和感のない文章を組み上げるのが難しいのです。

ECサイトは顧客に商品を販売する場であり、サイト上では商品の魅力を的確に顧客に伝えることのできる「売るためのコンテンツ」が求められます。また、BtoBサイトの場合、顧客は「自社の顧客に売るための商品」を探しているわけですから、商品の特徴やスペックなどを正確に伝えなくてはなりません。
翻訳ツールでそうした魅力と正確性を兼ね備えたコンテンツを自動生成するのは、現時点では困難であるというのが実情です。

理由2:「きめ細かい配慮」が難しい

「売るためのコンテンツ」とあわせてもう一つ気をつけなくてはならないのが、国や地域ごとの慣習などを踏まえてコンテンツを作成する必要があるということ。
世界には様々な国があり、国や地域によって、我々日本人には思いもよらないような文化や習慣が根付いていることが多々あります。ビジネスとは最終的には人と人とのやり取りですから、取引き相手の文化や習慣をきちんと理解した上で接客をすることが重要です。

たとえば、欧米とアラブ諸国では、言語もさることながら習慣や物の考え方も大きく異なります。言葉の使い方一つとっても、一方の地域では普通に使われているのにもう一方の地域ではタブー視されているようなものがいくつもあります。そうしたことも考慮した上でコンテンツを作成しなければ、訪問者の心を捉えることができないばかりか、最悪の場合は悪印象を与えてしまう恐れすらあります。
原文をそのまま翻訳する自動翻訳ツールにそこまでの配慮を期待するのは、現時点では事実上不可能に近いといえます。

理由3:企業イメージの低下を招く

3つめの理由は、自動翻訳では企業イメージの低下を招く恐れがあるということ。
インターネットの黎明期には、「自社のホームページはとりあえず出しておけばよい」という風潮がありました。比較的大手の企業でも、サイトの質などにはさほどこだわらず、デザインや内容も間に合わせのようなものでお茶を濁しているようなケースがちらほら見られたものです。

しかし2016年現在、企業のホームページは国内外を問わず「会社の玄関」と言っても過言ではないほどの重要なツールとなりました。
企業の担当者が取引相手について調べる際、真っ先に参照するのはその会社のホームページだといわれますが、これは海外においても同じです。アクセスしたホームページの品質が著しく低ければ、取引以前に、ファーストサイトで悪印象を与え兼ねません。デザインはもとより、そこに掲載されている文章の品質にも細心の注意を配るべき理由がここにあります。

自動翻訳ツールは使い方次第では非常に便利なツールでもありますが、企業のホームページの多言語化を自動翻訳ツール任せにするのは、現時点では避けた方が無難だといえるのではないでしょうか。
海外向けECサイトは、世界という市場で戦うためのホームグランドともいえる大切なツール。
デザインやサイト構造設計はもとより、翻訳を含めて国・地域別のコンテンツ設計にも力を入れて、満足のいくものを創りあげたいものですね。


※なお、特定の既存顧客に対して限られた商品を販売するようなクローズドECサイトを構築する場合は、翻訳品質の重要性がさほど問われないケースもあります。このようなケースについては、別の機会に改めてお話したいと思います。

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