日本企業の海外進出が活発化する中、Webの世界においても海外への進出が盛んに行われるようになってきています。また、これに伴い海外に向けたWebマーケティングにも注目が集まってきています。
この記事では、ECサイトの海外戦略についてお話します。
グローバル戦略とマルチドメスティック戦略
海外向けのマーケティング戦略は、大きく二つに分類されます。
一つはグローバル戦略、もうひとつはマルチドメスティック戦略です。
グローバル戦略は、全世界を一つの市場と捉えて展開していくマーケティング戦略です。グローバル戦略では、「世界」という広い市場の中に共通するセグメントを抽出し、各々に対してマーケティングを展開していきます。
これに対してマルチドメスティック戦略では、一つひとつの国をそれぞれ個別の市場として捉えます。国ごとに異なる戦略を立案し、個別にマーケティングを行います。
グローバル戦略、マルチドメスティック戦略ともにそれぞれのメリットとデメリットがあり、どちらがより優れているか、といった視点で比較するものではありません。取り扱う商材の性質や自社の持つリソース、市場の状況などを見極めた上で、適切な戦略を採用します。
ECサイトのグローバル戦略/マルチドメスティック戦略
さて、この2つの戦略をECサイト構築にあてはめて考えるとどうなるでしょう?
グローバル戦略に基づいてECサイトを構築する場合、どの国のユーザーに対しても基本的には同じデザイン・レイアウト・コンテンツで構成されたECサイトを提供することになります。もちろん、言語の問題がありますので、閲覧者の環境にあわせて商品説明や画像内の文言などを翻訳する必要は出てきます。しかし、原則としては全世界のユーザに対して同じ情報を提供する、というのがグローバル戦略の基本方針となります。
これに対してマルチドメスティック戦略をとる場合は、対象国のユーザーが好みそうな配色、レイアウト、コンテンツ構成などを研究し、国ごとに最適化されたWebサイトを提供していくことになります。こちらは、対象国ごとに異なるECサイトを用意するようなイメージですね。
サイト構築の難易度としては、グローバル方式よりもマルチドメスティック戦略の方がやや高くなるといえるでしょう。
グローバル戦略を採る場合、商品説明等のテキストを翻訳する必要はあるものの、サイトのデザインやコンテンツは全ての市場に対して一律で流用することが可能です。マルチドメスティック戦略を採る場合は、対象市場に合わせてデザインやコンテンツを最適化する必要がありますので、その分、サイト構築の工数や費用がかさみます。
また、アクセス元の国や言語によって最適化されたページを表示するには、大前提としてECサイト構築・運用ツールに「市場ごとに異なるページを表示する」という機能がなくてはなりませんが、このような機能を備えたECサイト構築システムは非常に少ないのが現状です。
EC-Rider B2B には、訪問者の言語や地域に応じて所定のページを表示する機能が標準で搭載されています。
EC-Rider B2Bの多言語機能を利用すれば、一つのページ(URL)に対して、言語・地域別に複数のページ・テンプレートを作成し、訪問者の環境に合わせて適切なページへ誘導するような仕組みを実現可できます。また、すべての言語に対して同じデザインのテンプレートを適用すれば、グローバル戦略に基づくサイトを構築することも可能です。
グローバル戦略とマルチドメスティック戦略のどちらを採用すべきかは、販売する製品・サービスの性質や市場の状況、企業の戦略によっても異なってくるでしょう。ECサイトを含めて自社のビジネスを総合的に捉え、適切な方針を選択していくことが重要です。