◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- 取適法の対象かどうかは、発注した時点の資本金か常時使用する従業員数のどちらかで判定し、従業員基準の新設で範囲が広がった
- EC運営の外注は成果物の用途で取引類型が分かれ、Q&Aの例示にない商品ページ・バナー・撮影は公取委に確認する
- 支払期日は受領後60日以内の具体的な日付で定め、検収が長引いても期日は動かない
- 手形払いは禁止され、満額を受け取りにくい電子記録債権・ファクタリングや、振込手数料を受託側に負担させることも禁止される
- 値上げ要請を受け入れる義務はないが、協議に応じて理由と根拠を説明し、経過を記録に残す
目次

外注先への支払いは取適法の対象になるのか:まず確かめる2つの基準
制作会社から商品ページやバナーの納品を受けても、社内の確認が終わるまで請求処理を止めている。
この運用は、取適法(旧下請法)の対象取引では見直しが必要です。
取適法は2026年1月に施行されました3。
対象かどうかは、資本金か常時使用する従業員数のどちらかが基準に当てはまるかで決まります。
従業員基準が新設されたため、対象の範囲は広がっています1。
対象であれば、検収の有無にかかわらず、受領後60日以内の具体的な日付で支払います2。
あわせて、発注内容は記録に残る形で示し、手形払いはやめ、価格協議の求めには理由を説明して応じます。
資本金基準と従業員基準はどちらかで足りる
取適法は、下請法を改正して名称を改めた法律です。
発注する側は「委託事業者」、受ける側は「中小受託事業者」と呼び方が変わりました3。
EC運営会社が制作会社やフリーランスに仕事を出す場面では、まず自社が委託事業者に、外注先が中小受託事業者に当たるかどうかを確かめます。
当事者の規模は、資本金と常時使用する従業員数の二つで判断します2。
下請法は資本金で線を引いていましたが、改正で従業員数の基準が加わりました。
資本金の基準に当てはまらなくても、従業員数の基準に当てはまれば対象になります1。
従業員数の区分は、製造委託等が300人、役務提供委託等が100人です1。
見落としやすいのは、資本金が小さいので下請法とは無縁だったと考え、そのまま外注を続けている会社です。
資本金だけで見れば対象外でも、従業員数で見ると基準を超えていることがあります。
外注先の側も同じです。
資本金で見ると基準から外れる相手でも、従業員数で見れば中小受託事業者に当たる組み合わせがありえます。
二つの物差しのどちらかで当てはまれば足りるため、資本金だけで外注先を区切ってきた一覧は、そのままでは判定に使えません。
資本金で判定する場合の金額は、公取委が公表している取適法の基準表で確かめます。
自社と外注先の資本金を、取引の種類と照らし合わせて照合してください。
基準表のどの欄を使うかは、外注がどの取引類型に当たるかで変わります。
この点は次の節で整理します。
従業員数の数え方と判定する時点
従業員数は事業者ごとに数え、グループ会社の従業員は含めません2。
たとえばEC事業を子会社に切り出し、その子会社が制作会社に発注している場合を考えます。
このとき数えるのは、発注者である子会社の従業員だけです。
親会社の人数を足して基準を超えるかどうかを考える必要はありません。
その代わり、同じグループ内でも、どの法人の名前で発注しているかによって判定結果が変わりえます。
判定の時点は、委託をした時点です2。
採用や組織変更で人数が動く会社では、以前は対象外だった外注先との取引が、ある時点の発注から対象になることがありえます。
外注先の人数が変わった場合も同じです。
年に一度の見直しだけでは、この変化に気づくのが遅れます。
自社の人数が基準の近くにある会社や、取引先が成長している会社では、規模が変わったときに判定し直す運用が向いています。
外注先の資本金や従業員数は、自社からは見えにくい情報です。
取引を始めるときや契約を更新するときに、相手に規模を申告してもらう欄を取引先登録の書式に設けておく方法があります。
そうすれば、判定のたびに相手へ問い合わせる手間が減ります。
なお、常時使用する従業員に、短時間勤務の人や業務委託で関わる人を含めるかどうかで迷う場合があります。
この記事の範囲では個別の扱いを確認できていないため、公取委のQ&Aの該当項目で確かめるのが確実です。
サイト制作・デザイン・コンテンツ作成の外注は対象取引か
情報成果物作成委託とは何か
前の節で見た規模の基準は、取引類型によって区分が異なります1。
EC運営の外注で中心になるのは「情報成果物作成委託」です。
これは、ソフトウェアやコンテンツのように情報として納品される成果物の作成を、他社に任せる取引を指します。
公取委のQ&Aは、次の二つをこの類型の例に挙げています。
一つは、ソフトウェアのコーディングを他社に委託する取引です。
もう一つは、販売する目的で作る情報成果物の作成を委託する取引です2。
ホームページについては、有償で提供するコンテンツを作成する場合に対象になるとしています2。
ここで判断を分けるのは、成果物を何に使うかです。
Q&Aの例は、販売するため、あるいは有償で提供するためという使い道と結び付けて示されています。
そのため、「ウェブ制作だから対象」「社内で使うから対象外」と作業の名前だけで決めることはできません。
同じデザイナーに頼む仕事でも、有料で提供するコンテンツの制作と、自社サイトの装飾とでは、Q&Aの例との距離が変わります。
判定は外注先ごとではなく、発注ごとに行う必要があります。
ECの外注を種類別に見る
EC運営会社の外注を、Q&Aの例示に照らして並べると次のようになります。
システムのコーディングや有償で提供するコンテンツの制作は、例示とそのまま重なります。
判断が難しいのは、自社サイトの商品ページ、バナー、商品撮影のように、ECの運営では日常的に発生するのに、確認したQ&Aの例示には直接出てこない外注です。
例示に直接ない外注は、対象外と決めつけないことが大切です。
まず、その成果物を何に使い、誰に提供するのかを社内で整理します。
そのうえで、公取委のQ&Aや相談窓口で確認します。
用途の説明が書いてあれば、相談するときも判断の材料を示しやすくなります。
物流の委託も一覧に入れておきます。
改正で特定運送委託が対象取引に加わりました1。
これは、発荷主が元請運送事業者に、目的物の引渡しに必要な運送を委託する取引です。
購入者への配送を運送会社に任せているEC運営会社では、その配送契約がこの類型に当たるかを確かめる必要があります。
制作の外注とは別の担当者が契約を管理していることが多いため、棚卸しで抜けないよう注意してください。
| 外注の種類 | Q&Aでの手掛かり | 判定の進め方 |
|---|---|---|
| ECシステムのコーディング | ソフトウェアのコーディング委託は対象(Q29) | 規模の判定へ進む |
| 有料で提供するコンテンツの制作 | 有償提供のホームページコンテンツ作成は対象(Q43) | 規模の判定へ進む |
| 販売目的で作る情報成果物 | 販売目的の情報成果物作成は対象(Q29) | 規模の判定へ進む |
| 自社サイトの商品ページ・バナー制作 | 確認したQ&Aの例示には直接ない | 用途を整理して公取委のQ&A・相談窓口で確認 |
| 商品撮影 | 確認したQ&Aの例示には直接ない | 用途を整理して公取委のQ&A・相談窓口で確認 |
▼ 図の内容を文字で読む
- 資本金で見る
- 公取委の基準表で照合する
- 取引の種類で使う欄が変わる
- 従業員数で見る
- 製造委託等は300人
- 役務提供委託等は100人
- どちらかで足りる
- 資本金で当てはまらなくても従業員数で対象になる
- 資本金だけで区切った外注先の一覧は判定に使えない
支払期日は受領後60日以内:検収が遅れても期日は動かない
期日は具体的な日付で決める
対象取引だと分かった後、最初に変わるのが支払いの数え方です。
支払期日は、受領後60日以内に、具体的な日付が特定できる形で定めます2。
検査をするかどうかにかかわらず、受領後60日以内に支払う必要があります2。
起点は受領した日であり、検収が終わった日ではありません。
冒頭の場面に当てはめてみます。
制作会社がセール用のバナー一式を納品したものの、EC担当者がセール準備に追われ、確認を後回しにしたとします。
修正依頼を出したのは納品からしばらく経ってからで、検収が終わってから請求書を受け付ける社内ルールになっていました。
この場合、社内では検収日を起点に支払いを数えていても、法律上の60日は受領日からすでに進んでいます。
検収が長引くほど、支払いまでの余裕は削られていきます。
支払いを検収完了に連動させる決め方は、日付が特定できないという点でも問題があります。
検収がいつ終わるかは、その時点では決まっていないからです。
受領日を起点として、支払日が何日になるのかが前もって分かる形にしておく必要があります。
社内の締めと支払いのルールも、受領日を起点に点検します。
たとえば月末締め翌々月払いの場合、月の初めに受領した分は、受領から60日を大きく超えて支払うことになります。
また、締めの基準が検収日や請求書の受領日になっていると、受領日からの期間が見えなくなります。
発注管理の台帳に受領日の欄を設け、そこから60日目と実際の支払予定日を並べておく方法があります。
そうすれば、経理が検収日から受領日を逆算する作業が減ります。
社内の検収基準は、品質を確かめるための基準として残してかまいません。
ただし、検収基準を厳しくしても支払期日は延びません。
確認の工程は、60日の中に収まるように組み直す必要があります。
データで納品される成果物について、どの時点を受領とみるかは、成果物や納品方法によって判断が分かれる可能性があります。
社内ルールに書き込む前に、公取委のQ&Aの該当項目を確かめてください。
発注内容は直ちに記録に残る形で示す
受領日から支払期日を数えるには、何を、いつ、いくらで頼んだのかが記録されている必要があります。
発注内容は直ちに明示する必要があり、電話だけの発注は明示義務違反になります2。
明示の方法は、書面や電子メールなど記録に残るものが望ましいとされています2。
EC運営の現場で記録が抜けやすいのは、追加の依頼です。
最初のバナー制作はメールで発注したのに、「このサイズ違いもお願いします」という追加を電話や口頭で伝えてしまうことがあります。
そうすると、追加分の代金や納期が記録に残りません。
後から受領日と支払期日を突き合わせようとしても、どの納品がどの依頼に対応するのかが分からなくなります。
追加や変更も、最初の発注と同じ方法で記録に残すことが大切です。
受発注のシステム(EDI)で、記号を使って発注内容を示す運用もあります。
この場合は、記号の意味を事前に書面や電磁的方法で伝えていれば、記号による明示ができます2。
発注の書式を作り直すときは、作業内容、代金、納期、支払期日を書く欄を最初から用意しておくと、担当者ごとに書き方がばらつきにくくなります。
これは法律が定める様式ではなく、記入漏れを減らすための工夫です。
▼ 図の内容を文字で読む
- 例示と重なる外注
- ソフトウェアのコーディング
- 有償で提供するコンテンツの制作
- 販売目的で作る情報成果物
- 例示に直接ない外注
- 自社サイトの商品ページ・バナー
- 商品撮影
- 用途を整理して公取委に確認する
- 物流の委託
- 特定運送委託が対象取引に加わった
- 購入者への配送契約が当たるか確かめる
手形払い・振込手数料・ファクタリング:支払手段で変わること
手形払いの禁止
支払期日を整えたら、次は何で支払うかを確かめます。
対象取引では、手形での支払いが禁止されます1。
改正前は手形の期間(サイト)が問題とされてきましたが、施行後は手形で払うこと自体ができません3。
手形払いを続けてきた会社は、対象取引について支払手段から切り替える必要があります。
制作会社への支払いは振込が中心という会社でも、別の取引で手形が残っていることがあります。
たとえば、自社で企画した商品の製造を外部に委託している場合です。
こうした取引は経理の別の担当者が管理していることが多いため、外注先ごとに支払手段を一覧に並べて確認します。
電子記録債権・ファクタリングと振込手数料
電子記録債権やファクタリングは、一律に禁止されるわけではありません。
禁止されるのは、支払期日までに、手数料等を含めた満額に相当する額を受け取ることが難しいものです1。
判断の軸は、受け取る側の外注先が、期日に代金をまるごと手にできるかどうかです。
期日前に現金に換えようとすると手数料で目減りするような条件では、外注先は満額を受け取れません。
今の支払条件がこの点でどうなっているかを、契約と実際の運用の両方で確かめます。
振込手数料を中小受託事業者に負担させることも禁止されます1。
EC運営会社で見直しが必要になりやすいのは、請求額から振込手数料を差し引いて振り込む慣行です。
また、契約書に「振込手数料は受託者負担」と書かれている場合も見直しの対象になります。
銀行に登録している振込データで手数料の負担先がどう設定されているかも、外注先ごとに確かめておきます。
契約書だけを直しても、振込データの設定が古いままだと、差し引いた振込が続いてしまうためです。
| 支払手段 | 対象取引での扱い | 経理で確認する点 |
|---|---|---|
| 手形 | 禁止 | 手形以外の支払手段へ切り替える |
| 電子記録債権 | 期日までに満額相当を得ることが難しいものは禁止 | 期日に満額相当を受け取れる条件か |
| ファクタリング | 期日までに満額相当を得ることが難しいものは禁止 | 期日に満額相当を受け取れる条件か |
| 振込 | 振込手数料を受託側に負担させることは禁止 | 差し引き振込の設定と契約条項 |
▼ 図の内容を文字で読む
- 受領:60日を数える起点になる
- 検収・修正のやりとり:長引いても起点は動かない
- 支払期日:受領後60日以内で、日付が特定できる日
値上げ要請が来たら:協議に応じず一方的に価格を決めない
協議で求められること
支払いのルールを整えても、代金そのものを決める場面が残ります。
中小受託事業者から価格協議を求められたのに応じない、あるいは必要な説明をしないまま一方的に代金を決めることは、改正で新たに禁止されました13。
Q&Aでは、代金引上げの求めがあったのに実質的な協議をせず一方的に決めると問題になるとしています。
要請をすべては受け入れない場合でも、その理由や考え方の根拠を十分に説明するよう求めています2。
協議に応じることと、値上げを受け入れることは別の話です。
協議の結果として、要請どおりの値上げを受け入れる義務があるわけではありません。
問題になるのは、話し合いの場を持たずに断ることや、理由を示さずに従来の単価を押し通すことです。
たとえば制作会社から単価の見直しを求められ、「予算がないので」と一言だけ返して終わらせると、実質的な協議をしたとは言いにくくなります。
受け入れられないなら、予算をどう決めているのか、どの部分なら検討の余地があるのかなど、判断の根拠を相手に示すことになります。
EC運営会社でつまずきやすいのは、要請がどこに届くかです。
外注先は普段やりとりしている制作担当者に値上げを切り出しますが、担当者が予算の決裁者や経理に伝えないままになることがあります。
その場合、会社として回答しないまま従来の単価で次の発注を出し、結果として一方的に決めた形になりかねません。
値上げの要請を誰が受け、誰が判断し、誰が回答するのかを決めておくと、要請が担当者のところで止まる事態を防ぎやすくなります。
回答までの目安の期間も社内で決めておくとよいでしょう。
ただし、その期間の長さを法律が定めているかどうかは、この記事では確認できていません。
記録の残し方
協議の求めとその経過は、メールなど形に残る方法で記録しておくことが望ましいとされています2。
電話や打ち合わせで話した場合も、その後にメールで要点を送っておけば記録になります。
記録しておきたいのは、要請を受けた日と内容、自社の回答と理由、次に話し合う予定です。
これは公取委の示す項目ではなく、後から経過をたどれるようにするための整理です。
記録が役立つのは、担当者が替わったときや、同じ外注先から再び要請があったときです。
前回どのような理由で何を回答したのかが分かれば、説明が前回と食い違うことを避けられます。
協議の経過を、発注一覧の外注先ごとの欄から参照できるようにしておくと、棚卸しのときにも確認しやすくなります。
▼ 図の内容を文字で読む
- 手形
- 対象取引では禁止
- 手形以外の支払手段へ切り替える
- 電子記録債権・ファクタリング
- 満額を期日までに受け取りにくいものは禁止
- 外注先が期日に代金をまるごと受け取れるかを見る
- 振込
- 振込手数料を受託側に負担させることは禁止
- 契約条項と振込データの設定を直す
自社の外注取引を棚卸しして、取適法に合わせる手順
外注一覧の作り方
ここまでの確認は、同じ外注取引を1件ずつ追う作業にまとめると進めやすくなります。
規模、取引類型、支払いをそれぞれ別の担当者が別の台帳で見ていると、受領日が経理に届かなかったり、追加の発注が一覧から漏れたりするためです。
次の順に進めるのが一つの方法です。
手順1:発注している法人、外注先、成果物、その用途、現在の支払条件を、取引ごとに書き出します。
手順2:取引類型を見ます。
Q&Aの例示に当たらない外注は、用途を書き添えて確認待ちとします。
手順3:発注した時点の規模を照合します。
資本金を公取委の基準表で確かめ、当てはまらなければ従業員数の区分でも見ます。
手順4:対象と判定した取引について、発注内容の明示、支払期日、支払手段、協議の記録を点検します。
一覧に受領日の欄を設けておくと、経理は検収日から受領日を逆算せずに支払予定日を確かめられます。
ただし、一覧を作るだけでは判断がつかない点も残ります。
例示にない外注の取引類型や、データ納品の受領時点がその例です。
こうした取引は、一覧の中で確認待ちと分かるようにしておき、公取委のQ&Aや相談窓口で確かめてから運用を決めます。
中小企業の定義と取適法の基準は別物
判定の途中で混同しやすいのが、中小企業の定義です。
中小機構法上の中小企業者は、業種ごとの資本金と従業員数の表で定められています。
施策によって支援の対象が異なる場合もあります4。
どちらも「資本金か従業員数」で見る形のため似て見えますが、取適法の適用を判定する基準ではありません。
たとえば補助金の申請で自社が中小企業者に当たると確認していても、それをもって取適法上の委託事業者に当たらないとは判断できません。
外注先が中小企業だから中小受託事業者に当たる、と考えることもできません。
取適法の判定は、公取委が示す取適法の基準で行います。
この節で示した手順は、点検を漏れなく進めるための提案です。
個々の取引の適用判断は、公取委の資料で確かめてください。
| 点検項目 | 確認する内容 | 見直しの例 |
|---|---|---|
| 規模 | 発注した時点の資本金と従業員数 | 規模が変わったら判定し直す |
| 取引類型 | 成果物の用途とQ&Aの例示 | 例示にない外注は公取委に確認する |
| 発注内容の明示 | 追加・変更を含め記録に残っているか | 電話だけの依頼をなくす |
| 支払期日 | 受領日から60日以内の具体的な日付か | 検収日起点の締めを改める |
| 支払手段 | 手形・満額を得にくい支払手段・手数料の差し引き | 振込データと契約条項を直す |
| 協議の記録 | 要請と回答の経過が残っているか | 窓口と記録の方法を決める |
▼ 図の内容を文字で読む
- 求められること
- 求めに応じて実質的な協議をする
- 受け入れない場合も理由と根拠を説明する
- 義務ではないこと
- 要請どおりの値上げを受け入れること
- 問題になること
- 話し合いの場を持たずに断る
- 理由を示さず従来の単価を押し通す
外注先が多いEC運営会社では、取引ごとの用途や発注した法人、支払条件が担当者ごとに分散しています。そのため、一覧を作る段階で手が止まりがちです。
現在の外注取引と受発注・支払いの流れを整理し、受領日や発注記録がどこで途切れているかを一緒に洗い出せます。無料相談で要件を整理する
要点の整理
| 軸 | 基準 |
|---|---|
| 対象かどうか | 資本金か常時使用する従業員数のどちらかが基準に当てはまるか(発注した時点で判定) |
| 従業員数の区分 | 製造委託等300人、役務提供委託等100人。事業者ごとに数え、グループ会社は含めない |
| 取引類型 | 成果物の用途で判断する。例示にない外注は公取委に確認する |
| 支払期日 | 受領後60日以内の具体的な日付。検収の有無は関係しない |
| 発注内容の明示 | 直ちに、記録に残る方法で示す。電話だけの発注は違反 |
| 支払手段 | 手形は禁止。満額を受け取りにくい電子記録債権・ファクタリングや、振込手数料を受託側に負担させることも禁止 |
| 価格協議 | 求めに応じて理由と根拠を説明し、経過を記録する |
▼ 図の内容を文字で読む
- 取引ごとに書き出す:発注法人、外注先、成果物、用途、支払条件
- 取引類型を見る:例示に当たらない外注は用途を添えて確認待ちにする
- 発注時点の規模を照合する:資本金を基準表で確かめ、当てはまらなければ従業員数でも見る
- 対象取引を点検する:発注内容の明示、支払期日、支払手段、協議の記録
判定が曖昧な取引を確認待ちとして残したまま発注を続けると、受領日の管理や協議の記録を後から追い直す手間が増えます。 棚卸しの一覧をもとに、どの取引から発注書・支払期日・協議記録を見直すかの順序を確認できます。なお、個々の取引の法的な判断は公取委の資料や窓口で確かめてください。
よくある質問
フリーランスのデザイナーやライターへの外注も取適法の対象になるのか
相手が個人であっても、取引類型と規模の組み合わせで判断するという考え方は同じです。
販売目的のコンテンツや有償で提供するコンテンツの作成であれば、情報成果物作成委託の例に当たります2。
個人の相手について規模をどう扱うかなどの細かな点は、公取委のQ&Aで当事者の扱いを確かめてください。
検収が終わらないまま60日を過ぎそうなときはどうすればよいか
検査をするかどうかにかかわらず、受領後60日以内に支払う必要があります2。
検収が終わっていないことは、期日を延ばす理由になりません。
定めた支払期日に支払ったうえで、修正のやりとりは別に進めることになります。
同じことが繰り返し起きるなら、確認の工程を60日の中に収まるよう組み直します。
メールやチャットでの発注は、取適法が求める発注内容の明示になるのか
電子メールは、記録に残る方法の例として示されています2。
電話だけの発注は明示義務違反になります2。
チャットについては、この記事では個別の扱いを確認できていません。
発注内容が欠けずに伝わっているか、記録が残るかという観点から、公取委のQ&Aで確かめてください。
制作会社から値上げを求められたが、受け入れられない場合はどう回答すればよいか
要請を受け入れる義務はありません。
ただし、協議に応じずに断ったり、説明なしに従来の価格を押し通したりすることは禁止されています1。
全部は受け入れない場合でも、理由や考え方の根拠を十分に説明します2。
協議の求めと回答の経過は、メールなど形に残る方法で記録しておくことが望ましいとされています2。
従業員数にグループ会社や業務委託の人員は含まれるのか
従業員数は事業者ごとに数え、グループ会社の従業員は含めません2。
業務委託で関わる人を常時使用する従業員に含めるかどうかは、この記事では確認できていません。
公取委のQ&Aの該当項目で確かめてください。
- 1 出典:公正取引委員会「取適法・振興法(特設ページ)」(2026年)
- 2 出典:公正取引委員会「よくある質問コーナー(取適法)」(2026年)
- 3 出典:公正取引委員会「「下請代金支払遅延等防止法及び下請中小企業振興法の一部を改正する法律」の成立について」(2025年)
- 4 出典:独立行政法人中小企業基盤整備機構「中小企業・小規模企業者の定義」(2026年)
画像の出典元
- A modern computer screen displaying web design work, showcasing creative visuals in a workspace./Photo by Tranmautritam on Pexels