◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- EC受発注システムが定着しない原因は機能不足ではなく、取引先が画面で商品を探せない状態にあることが多い
- 商品マスタ・カテゴリと取引先ごとの取引条件を移行前に整えた卸売企業では、EC経由の受注店舗が増え、電話・メールの手入力とFAX注文が減っている
- 卸・メーカーの電子データ化は進行しているが、流通BMSや中小企業共通EDIの数値は別規格の実績であり、自社導入時の効果を保証するものではない
- 業務時間の削減見込みは他社平均ではなく、電話・FAXで届く受注件数と1件あたりの入力・確認時間から自社で見積もる
- IT導入補助金2026通常枠は対象プロセス数で補助額の区分が分かれ、導入研修やマニュアル作成などの役務費用も対象経費に含まれる
目次

「導入したのに定着しない」EC受発注システムの壁はどこにあるか
EC受発注システムを入れて取引先にIDも配ったのに、朝いちばんに鳴るのは電話で、FAXの受信トレイも相変わらず——受注担当者は結局その内容を画面に打ち直している。
こうなると「機能が足りないのでは」と別のシステムを探し始めたくなりますが、注文がECに乗らない理由は、取引先が画面上で目的の商品にたどり着けないことにある場合が少なくありません。
商品マスタとカテゴリ、取引先ごとの条件を先に整えた卸売企業では、整備のあとでEC経由の受注店舗が増え、電話・メールの手入力とFAX注文が減っています。
データ整備には人手も費用もかかりますが、そこには公的な補助制度を充てられる余地があります。
電話・FAXの注文がなくならない典型的な原因
導入から数か月、EC受発注システムの利用状況を見ると、ログインはしているのに注文まで進んでいない取引先が並んでいる。
一方で受注担当者の席では、電話を取りながら伝票に書き取り、そのあと同じ内容を受注画面に入力する作業が続いている。
この段階でまず疑われるのは画面の使いにくさや機能不足ですが、取引先に理由を聞くと、返ってくるのはもっと素朴な言葉であることが多いものです。
「探すのに時間がかかる」「これで合っているか自信が持てない」。
卸売の商品は型番が近く、同じ製品でもサイズや色、年式で枝番が分かれます。
その状態で、旧システムから引き継いだ表記ゆれや、すでに扱いを終えた商品の登録がそのまま残っていると、検索結果には似た名前が何行も並びます。
注文する側は、間違えて発注すれば返品交渉の手間を自分で負うことになるため、迷った時点で画面を閉じ、確実な方法に戻ります。
その確実な方法が、これまでどおりの電話とFAXです。
カテゴリの切り方も同じ働きをします。
社内の管理都合で作ったカテゴリと、取引先が日々の商談で使っている分け方がずれていると、目的の棚にたどり着けません。
電話なら「いつものあれを」で通じるものが、画面では通じない。
ここで起きているのは操作の習熟不足ではなく、注文に必要な情報が画面側に揃っていない状態です。
加えて、受注側の丁寧さが移行を遅らせる面もあります。
電話で受けた注文をその場で正確にさばき続けている限り、取引先にとってECへ切り替える差し迫った理由は生まれません。
機能を足すかどうかを検討する前に、注文がどこで止まっているのかを、実際の検索履歴や問い合わせ内容から確かめるほうが早く原因に届きます。
移行時に発生する現場負担の実例
データの未整備が表面化する場面としてわかりやすいのが、システムの移行です。
ヨーロッパのスポーツ自転車部品を扱う専門卸売業者である株式会社ポディウムでは、EC-Rider B2B Ⅱへの移行にあたり、商品マスタやカテゴリの整理からやり直すことになり、移行時の現場負担は大きかったと述べられています1。
これは自転車部品卸という商品点数も枝番も多い業種での実例であり、移行元のシステムや商品点数が違えば負担の重さも変わります。
ただ、この負担を「移行にともなう想定外の作業」と捉えると、見誤ります。
旧システムで動いていたときも、同じ不揃いなデータのまま運用されていたはずです。
電話とFAXで注文を受け、人が読み替えて入力していたからこそ、表記ゆれや残ったままの登録が問題として顕在化しなかっただけです。
取引先自身に画面から商品を選んでもらう仕組みに変えた瞬間、その読み替えを担っていた人が経路から外れ、データの不揃いがそのまま注文の止まりどころになります。
つまり、移行時に発生する整理作業は追加で発生した仕事というより、それまで人の記憶と経験が肩代わりしていた分の棚卸しです。
定着しない状態を機能で解こうとすると、この棚卸しがいつまでも先送りされます。
次に見るのは、その整備を実際にどこから手を付け、何がどう変わったのかという話です。
定着の最初の一歩:商品マスタ・取引先データの整備
商品マスタ・カテゴリ整理の進め方
整備といっても、登録されているすべての商品を一行ずつ見直す作業を想像すると手が止まります。
先の株式会社ポディウムの例では、導入時に2万点ほどあった商品登録を精査したと語られています1。
この点数は同社の取扱商品にもとづくもので、業種や品目が違えば規模も期間も変わりますが、数の多さそのものより、何を判断すれば1件の整理が終わるのかを先に決めておくことが作業量を左右します。
判断の材料になるのは、おおむね次のような点です。
<ul><li>同じ商品が別の登録として重複していないか</li><li>すでに扱いを終えた商品が、注文可能な状態で残っていないか</li><li>メーカー名・シリーズ名・サイズ表記の書き方が登録ごとにばらついていないか</li><li>カテゴリが、取引先が商談で使う分け方と対応しているか</li><li>取引先ごとの掛率・出荷単位・最低発注数が、実際の取引条件と一致しているか</li></ul>
このうち最初の二つは、受注実績を見れば機械的に絞り込めます。
直近で一度も注文が入っていない登録と、注文が集中している登録を分け、後者から名称とカテゴリを整える進め方であれば、全点を終える前に取引先の体感は変わります。
これは資料に示された手順ではなく、注文の止まりどころから逆算した組み立て方ですが、整備を「終わるまで効果が出ない作業」にしないための現実的な順序だと考えています。
取引先データの側で見落とされやすいのは、条件の持ち主が誰かという点です。
掛率や出荷単位は営業担当者の頭の中と個別のやり取りで運用されていることがあり、システムに登録されている値と食い違うと、取引先が画面で見た金額と請求額がずれます。
一度でもずれれば、その取引先は以後、金額を電話で確認してから注文するようになります。
商品の整理と同時に、条件が誰の判断で決まっているのかを洗い出しておくと、この種の後戻りを減らせます。
整備後に起きた変化(受注チャネルの実例)
整備を経たあと、注文の入り口は実際に変わります。
株式会社ポディウムでは、移行後にEC経由の受注店舗数が増え、電話・メールでの手入力作業とFAX注文が減少したとされています1。
これは登録商品約2万点を精査した同社の運用実感であり、他社が同じ整備をすれば同じ比率で移るという保証ではありません。
それでも、注目したいのは変化の順序です。
機能を追加したから注文が移ったのではなく、探せる状態にしたあとで、注文を出す側が自分の判断で画面を使い始めています。
受注側で減るのは、聞き取った内容を画面へ移す転記です。
電話で品番と数量を控え、伝票に書き、受注画面に打ち直すという流れのうち、最後の打ち直しが不要になります。
FAXの場合も、手書き文字を読み解いて商品を特定する工程が外れます。
この二つが減ると、受注締切前の時間帯に集中していた入力の山が崩れ、確認に回せる時間が生まれます。
一方で、残る仕事もあります。
特別価格の相談、納期の前倒し依頼、欠品時の代替品の提案といった、判断をともなうやり取りは電話のままです。
むしろ、定型的な注文がECに移るほど、電話は判断が必要な用件に絞られていきます。
定着を測るときに「電話が何本減ったか」だけを見ると、この質の変化を見落とします。
EC経由で注文した取引先の数と、電話で受けた用件の内訳を分けて記録しておくと、整備のどこが効いたのかを次の判断に使えます。
自社だけではない:卸・メーカーの受発注デジタル化の潮流
流通BMS導入企業数の推移
社内でデータ整備の工数を確保しようとすると、「そこまでして取引先が本当に移るのか」という問いが必ず出ます。
自社の事例だけでは説得の材料が足りないと感じるとき、業界全体で電子的な受発注がどこまで広がっているかを示す資料が手がかりになります。
流通システム開発センター(GS1 Japan)の推計では、流通BMSを導入した卸・メーカーは2025年6月1日時点で21,600社以上、この半年間で700社以上増加したとされています2。
流通BMSは、小売業界が主導して標準化された受発注のEDI(企業間で発注・納品などのデータをやり取りする仕組み)の規格です。
EC受発注システムとは目的も接続の形も異なり、この数字がEC受発注システムの普及率を表すわけではありません。
読み取れるのは、卸・メーカーの側で取引データを電子的に扱う企業が、いまも増え続けているという事実です。
増加のペースにも意味があります。
半年で700社以上という増え方は、すでに導入が一巡して止まった市場の動きではありません。
取引先企業が別の取引でEDIに対応していれば、電子的な受発注そのものへの心理的な抵抗は、数年前より下がっていると考えられます。
取引先から電子データ対応を求められる可能性
この潮流は、自社の立場を二通りに変えます。
ひとつは、取引先にECでの発注をお願いする側としての立場です。
相手の企業が他の取引で電子的なやり取りを始めているなら、「紙で慣れているから」という理由は徐々に弱まります。
導入時に断られた取引先へ、時期を置いて再度声をかける判断にも根拠が生まれます。
もうひとつは、自社が求められる側に回る可能性です。
卸・メーカーで導入が進むということは、取引の相手方から電子データでの受発注を前提にした運用を打診される場面も増えうるということです。
ただし、これがいつ自社に及ぶか、どの取引先から求められるかは、この推計からは分かりません。
断定できるのは導入企業数の推移までで、そこから先は自社の取引構成を見て判断する話になります。
社内説明で使うなら、「業界がこう動いているから急ぐべきだ」と一足飛びに結論づけるより、整備した商品データが規格を問わず使えるという点を添えるほうが通りやすいはずです。
商品コード、名称、規格、取引条件が揃っている状態は、ECでの受注にも、電子的なデータ連携にも共通して必要になります。
いま手を付ける整備は、どちらの方向へ進む場合でも無駄になりにくい投資です。

データ連携で見込める効果とコスト感
中小企業共通EDIの業務時間削減効果
では、注文が電子的に届くようになると、業務時間はどの程度変わるのか。
自社の実績だけでは幅が読めないため、公的な実証結果を手がかりにします。
中小企業庁のミラサポplusでは、中小企業共通EDIを導入した12の実証プロジェクトについて、中小企業のほうが業務時間の削減率が高く、平均して51.4%の削減効果が得られたと紹介されています3。
この数字を自社に当てはめる前に、条件を押さえておく必要があります。
中小企業共通EDIは中小企業向けに定められた受発注データの規格で、EC受発注システムとは別の仕組みです。
示されているのは2018年時点の実証プロジェクトでの平均であり、対象となった12件の業種も取引形態もそれぞれ違います。
自社が同じ削減率になるという読み方はできません。
それでも参考になるのは、削減の対象が何かという点です。
電子的に届いたデータをそのまま処理できる状態では、受け取った内容を人が読み取り、別の画面へ入力し直す工程が不要になります。
この転記と確認にかかっていた時間が、削減の主な中身です。
自社で見積もるなら、月間の受注件数のうち電話・FAXで届く割合と、1件あたりの入力・確認時間を掛け合わせるほうが、他社の平均値を借りるより実態に近い数字になります。
受注側企業の導入コスト感
費用の負担がどちらに寄るのかも、導入判断では気になるところです。
同じ資料では、受注側の企業は中小企業共通EDI規格に対応したプロバイダーや業務アプリを利用するだけで済み、大きな費用はかからないとされています3。
これは中小企業共通EDIに対応したシステムを使う受注側企業についての記述であり、あらゆる受発注の仕組みに共通する話ではありません。
この記述をそのまま自社の予算計画に持ち込むと、抜け落ちる項目があります。
資料が指しているのは、仕組みを使うための費用です。
これまで見てきたとおり、定着を左右するのは商品マスタと取引先データの状態であり、その整備にかかる人件費や外部支援の費用は別に発生します。
登録点数が多いほど、また旧システムからの引き継ぎで表記が混在しているほど、この部分が大きくなります。
予算を立てるときは、ソフトウェアの利用料と、データ整備・移行にかかる費用を分けて見積もるのが実務的です。
前者は契約条件から比較的読みやすく、後者は自社の登録点数と現状の揃い方で決まります。
そして、後者にこそ制度の助けを使える余地があります。
次の節で、その対象範囲を確認します。
導入・移行コストを抑えるIT導入補助金2026の活用
補助額はプロセス数で決まる
データ整備と移行の費用を自社だけで抱えると、着手の判断が鈍ります。
IT導入補助金2026の通常枠では、補助の対象となる業務プロセスの数によって補助額の区分が分かれており、1プロセス以上で5万円以上150万円未満、4プロセス以上で150万円以上450万円以下とされています4。
受発注だけを対象にするのか、在庫管理や請求まで含めて申請するのかで、入る区分が変わる構造です。
ここで判断が分かれるのは、対象を広げるかどうかです。
区分が上がれば補助額の上限も上がりますが、申請に含めた業務は導入後の運用対象になります。
受発注の定着すら道半ばの段階で、同時に複数の業務を動かすと、現場で確認すべきことが一度に増えます。
金額の大きさだけで区分を選ばず、いま整備できるデータの範囲と、運用を担う人員で無理なく回せる業務の数から逆算するほうが、結果として定着に近づきます。
なお、補助額の区分も要件も年度ごとに見直されます。
ここに示したのは2026年度の通常枠の内容であり、申請の前には必ずその時点の公募要領を確認してください。
データ整備やマニュアル作成は対象になるか
補助金というとソフトウェアの購入費だけを想像しがちですが、通常枠の補助対象経費には、ソフトウェア購入費やクラウド利用料に加えて、導入コンサルティングや導入研修・マニュアル作成などの役務費用が含まれるとされています4。
これは、定着のために必要な作業の一部に費用を充てられる可能性があるということです。
定着を阻んでいたのは、これまで見てきたとおり、探せない商品データと、取引先が操作を覚える段階での離脱でした。
前者に対しては整備の設計や進め方を外部に相談する費用、後者に対しては取引先向けの操作手順書や社内向けマニュアルを用意する費用が、それぞれ役務の範囲として想定できます。
ただし、個別の作業が対象経費として認められるかどうかは、申請する製品・サービスの登録内容と公募要領の定義に左右されます。
「マニュアル作成が例示されているから、自社のデータ整備作業も当然に対象になる」とは読めません。
実務としては、導入を依頼する事業者に対して、整備支援や研修が申請上どの費目に当たるのかを見積段階で確認しておくのが確実です。
費目の切り分けが後から変わると、申請内容と実際の支出が合わなくなります。
申請の準備そのものが、自社の整備範囲と運用体制を言語化する作業にもなるため、補助を受けるかどうかにかかわらず、対象業務を書き出してみる価値はあります。
整備の範囲と補助の対象をどう組み合わせるかは、自社の登録点数と取引先の構成によって変わります。

整備が必要だと分かっても、自社の登録商品のどこから手を付ければ注文が動き出すのかは、実際のデータを見ないと判断できません。
現在の商品登録や取引条件の持ち方をお聞かせいただければ、移行前に整えるべき範囲と、後回しにしてよい部分の切り分けをご一緒に確認できます。無料相談で要件を整理する
IT導入補助金2026 通常枠のプロセス数別補助額
申請時に補助対象とする業務プロセスの数の区分ごとに、補助額の範囲を並べています。
- 1プロセス以上:補助額5万円以上150万円未満
- 4プロセス以上:補助額150万円以上450万円以下
- 対象経費:ソフトウェア購入費・クラウド利用料・導入コンサルティング・導入研修・マニュアル作成などの役務費用
自社の申請が何プロセスに当たるかで見る区分が変わり、区分ごとに上限額と運用対象になる業務の範囲が違います。
要点の整理
| 軸 | 基準 |
|---|---|
| 定着しない原因を見る場所 | 機能の不足ではなく、取引先が画面で商品を探せるかどうか |
| 整備の着手順 | 受注実績の多い商品の名称・カテゴリから整え、取引条件の持ち主を洗い出す |
| 業界動向の読み方 | 卸・メーカーの電子データ化は進行中だが、別規格の普及であり自社効果の根拠にはしない |
| 効果の見積もり方 | 他社平均を借りず、電話・FAXで届く受注件数と1件あたりの入力時間から算出する |
| 補助金の区分選び | 上限額ではなく、整備できるデータ範囲と運用できる業務数から対象プロセスを決める |

補助制度の区分選びは、上限額よりも自社が運用しきれる業務範囲で決まるため、導入内容と申請範囲を同時に見る必要があります。 対象にしたい業務と整備が必要なデータ量をうかがえば、申請上どの費目に当たるのかを見積の段階で整理し、無理のない導入範囲を検討できます。
よくある質問
EC受発注システムへの移行中、電話・FAX注文をすぐ廃止してよいか
一斉に止める判断は勧めません。
整備を経た卸売企業の例でも、変化として語られているのは電話・メールの手入力やFAX注文の「減少」であり、廃止ではありません1。
特別価格の相談や納期の前倒し、欠品時の代替品提案といった判断をともなう用件は、電話のほうが早く片づきます。
現実的には、定型的な補充注文からECへ移し、電話で受けた用件の内訳を記録して、どの種類の連絡が残っているかを見ながら締切や受付方法を調整していく形になります。
期限を切って締め出すより、ECで注文したほうが早いと相手が感じる状態を先に作るほうが、結果として戻りが少なくなります。
商品マスタの整備はどの部署が主導すべきか
資料で定まった正解がある論点ではないため、判断の基準を示します。
整備で決めることは、商品の名称表記とカテゴリ、そして取引先ごとの掛率や出荷単位です。
前者は商品情報を管理している部署、後者は取引条件を決めている営業部門が実質的な持ち主で、情報システム部門が単独で決めきれる範囲は限られます。
主導そのものは進行を管理できる部署が担い、名称やカテゴリの最終決定は誰が行うのかを着手前に一つずつ決めておくのが、差し戻しを減らす進め方です。
とくに掛率や最低発注数が個別のやり取りで運用されている場合、その洗い出しには営業部門の協力が欠かせません。
取引先の高齢の担当者がECに移行できない場合はどう並行運用するか
移行できない取引先を無理に動かすより、社内の負担がどこに残るかを整理して受け入れる形になります。
電話やFAXで届いた注文は、これまでどおり受注担当者が入力することになりますが、商品マスタが整っていれば、品番の特定と単価の確認にかかる時間は以前より短くなります。
並行運用で気をつけたいのは、ECと電話で価格や在庫の見え方が食い違わないようにすることです。
同じ取引先条件を参照している状態を保てば、どちらの経路で受けても後工程は同じになります。
そのうえで、担当者が交代する機会や、先方の他部署が電子的な受発注を始めた時点は、あらためて案内する良い機会になります。
IT導入補助金はデータ整備やマニュアル作成の費用にも使えるか
IT導入補助金2026通常枠の補助対象経費には、ソフトウェア購入費やクラウド利用料のほか、導入コンサルティングや導入研修・マニュアル作成などの役務費用が含まれるとされています4。
マニュアル作成や研修が例示されている点は、定着に必要な作業に費用を充てられる可能性を示します。
ただし、自社で行うデータ整備作業そのものが対象経費として認められるかは、申請する製品・サービスの登録内容と公募要領の定義によります。
見積の段階で、整備支援や研修が申請上どの費目に当たるのかを導入事業者に確認してください。
要件やスケジュールは年度ごとに変わるため、申請前にその時点の公募要領を確認することが前提になります。
- 1 出典:株式会社フライトソリューションズ「EC-Rider B2B Ⅱ 導入事例(株式会社ポディウム様)」(2025年)
- 2 出典:一般財団法人流通システム開発センター(GS1 Japan・流通システム標準普及推進協議会)「第28回 卸・メーカーの流通BMS導入企業数推計」(2025年)
- 3 出典:中小企業庁(ミラサポplus)「企業間のデータ連携で、受発注の業務コストを削減する!」(2018年)
- 4 出典:独立行政法人中小企業基盤整備機構(IT導入補助金2026事務局)「IT導入補助金2026 通常枠」(2026年)
画像の出典元
- Wide aisle in a spacious warehouse filled with industrial metal shelving units./Photo by Engin Akyurt on Pexels
- From above of pair of closed white cardboard boxes for postal or courier delivery arranged on white marble tabletop for sending preparation/Photo by https://kaboompics.com/ on Pexels
- Close-up of hands labeling a cardboard box for online shipping from a home office./Photo by Kampus Production on Pexels
- Close-up of hands exchanging a shopping bag indoors, symbolizing modern retail and technology./Photo by Mikhail Nilov on Pexels