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EDIとは?電子データ交換の和訳と範囲|メール添付のPDFは含まれるのか

◆監修・編集責任者 小園 将隆 

B2B EC-COLUMN

この記事のポイント

  • EDIはElectronic Data Interchange(電子データ交換)の略で、異なる企業間で取引情報を、合意された規約に基づきコンピュータ間で交換することを指す
  • 人が開いて読み、入力し直すメール添付のPDFは、「合意された規約」と「コンピュータ間」の要件に照らすとEDIの中心から外れる
  • EDIの中心は電子で送ることより形式を取り決めることにあり、中小企業共通EDIは取引先ごとに異なる形式の共通化を目指している
  • 自分の取引は、形式の取り決め、受け手のシステムでの読み取り、送り方の手順の3つで判断し、取引先には対象の書類や方式を具体的に確かめる
  • EDIに当たらなくても、メール添付を含む電子取引のデータには保存のルールがかかる

An older gentleman with a beard types on a computer in a well-lit office setting.
▽ 写真の出典元

「EDIで送って」と言われたら:EDIの略称・和訳と定義の核

取引先から「EDIで送ってください」と言われ、いつものようにPDFをメールに添付すればよいのか迷っていませんか。
EDIはElectronic Data Interchange(電子データ交換)の略です。
異なる企業間で、受発注や請求などの取引情報を、広く合意された規約に基づいてコンピュータ間で交換することを指します3。
人が開いて読むPDFを送るだけでは、この定義の要件を満たすとは言い切れません。
返事をする前に、相手と決める形式や手順があるか、相手のシステムがそのまま読み取れるデータなのかを確かめると、判断できるようになります。

EDIはElectronic Data Interchangeの略

EDIは英語のElectronic Data Interchangeの頭文字をとった言葉で、日本語では「電子データ交換」と訳されます3。
Electronicが電子、Dataがデータ、Interchangeが交換に当たるので、和訳はほぼ直訳です。
中小企業庁の解説も、EDIは電子データ交換のことであり、企業間では受発注などの商取引をネットワークを通じて電子的に行うことだと説明しています1。

ただ、「電子データ交換」という和訳だけを見ると、電子データをやり取りすることなら何でも含まれそうに感じられます。
メールにPDFを添付して送るのも、共有フォルダにExcelのファイルを置くのも、電子データの交換には違いありません。
和訳から範囲を判断しようとすると迷うのはこのためです。
どこまでがEDIなのかを見分けるには、訳語ではなく、定義に書かれている条件まで見る必要があります。

定義の核は「異なる企業間」「取引情報」「合意された規約」「コンピュータ間」

農林水産省の用語集は、EDIを「異なる企業間で、受発注や決済などの取引に関する情報を広く合意された規約に基づきコンピュータ間で交換すること」と説明しています3。
この一文には、和訳だけでは見えない条件が4つ含まれています。

  • 異なる企業間:社内の部署同士ではなく、発注する会社と受注する会社のように、別々の企業の間でやり取りすること
  • 取引に関する情報:見積、受発注、請求、決済など、取引そのものの内容を扱うこと
  • 広く合意された規約:どの項目を、どの形式で送るかといった約束事が、あらかじめ当事者の間で決まっていること
  • コンピュータ間:人が紙や画面で読むことを前提にせず、送る側と受け取る側のシステム同士がデータを受け渡すこと

ここでいう規約は、法律の条文のようなものではなく、データの書き方の約束事と考えると分かりやすいでしょう。
たとえば注文のデータなら、商品を表すコードをどの欄に入れるのか、数量や納期をどんな書き方で表すのかが決まっていなければなりません。
この約束事がそろっていないと、受け取ったコンピュータは届いたデータのどこが品名でどこが数量なのかを判別できないからです。

4つのうち、前の2つは多くのやり取りで自然に満たされます。
取引先へ請求書をメールで送るのも、異なる企業の間で取引情報をやり取りしていることに変わりはありません。
迷いが生まれるのは残りの2つ、「合意された規約」と「コンピュータ間」のほうです。

定義の要素 指している内容
異なる企業間 発注する会社と受注する会社など、別々の企業の間のやり取り
取引に関する情報 見積・受発注・請求・決済などの取引の内容
広く合意された規約 どの項目をどの形式で送るかの約束事
コンピュータ間 送る側と受け取る側のシステム同士の受け渡し
EDIの定義に含まれる4つの条件(模式図)
異なる企業間、取引に関する情報、広く合意された規約、コンピュータ間の4つの条件を並べた図異なる企業間、取引に関する情報、広く合意された規約、コンピュータ間の4つの条件を並べた図異なる企業間発注する会社と受注する会社など、別々の企業の間のやり取り取引に関する情報見積、受発注、請求、決済など取引の内容広く合意された規約どの項目をどの形式で送るかの約束事コンピュータ間送る側と受け取る側のシステム同士の受け渡し

▼ 図の内容を文字で読む
  • 異なる企業間
    • 発注する会社と受注する会社など、別々の企業の間のやり取り
  • 取引に関する情報
    • 見積、受発注、請求、決済など取引の内容
  • 広く合意された規約
    • どの項目をどの形式で送るかの約束事
  • コンピュータ間
    • 送る側と受け取る側のシステム同士の受け渡し

メール添付のPDFやExcelはEDIか:定義の要件と資料による範囲の違い

「合意された規約」と「コンピュータ間」で見る

取引先から注文書のPDFがメールで届く場面を考えてみます。
受け取った担当者はPDFを開き、品名・数量・単価・納期を目で読み取って、自社の受注システムや台帳へ入力します。
このとき中身を読んでいるのは人で、コンピュータはファイルを運んで画面に表示しているだけです。
また、注文書のレイアウトは取引先ごとに違うのが普通で、どこに何を書くかを両社で取り決めていることはあまりありません。

定義の要件に照らすと、この流れは「コンピュータ間」の交換とは言いにくく、「合意された規約」に基づく形式でもありません。
そのため、人が読むための添付ファイルを送るだけのやり取りは、EDIの中心からは外れると考えるのが自然です。
PDFだけでなく、取引先ごとに書式の違うExcelの注文書を添付して送り、受け手が見ながら打ち直している場合も同じです。

一方、同じメール添付でも、取引先と項目の並びや書式を決めたCSVファイルを送り、受け手がそのファイルを受注システムへそのまま取り込んでいるなら、事情は変わります。
形式の取り決めがあり、受け手のコンピュータが中身を読み取って処理しているので、定義の要件に近づきます。
分かれ目になるのは、ファイルを運ぶ手段がメールかどうかではなく、データの形式が合意されていて、機械がそのまま読み取れるかどうかです。

ただし、ここで述べたのは定義の要件に照らした考え方です。
公的な定義がメール添付を名指しで除外しているわけではなく、社内や業界によっては、電子的な受発注全般を広くEDIと呼ぶこともあります。
相手がどちらの意味で「EDI」と言っているのかは、言葉の定義を議論するより、具体的に何を求めているかを聞いたほうが早く確かめられます。

国税庁がEDI取引とメール添付を分けて挙げている

別の角度からの手掛かりもあります。
国税庁の電子帳簿保存法の一問一答は、電子取引の具体例として、取引先とのEDI取引、電子メールによる取引情報の授受(添付ファイルによる場合を含む)、インターネット上のサイトを通じた取引情報の授受を並べて挙げています4。

この並べ方から読み取れることは2つあります。
1つは、税務上の電子取引という枠には、EDI取引もメール添付も両方入るということです。
もう1つは、同じ枠の中でも、両者が別々の例として呼び分けられていることです。
メールでの添付ファイルのやり取りがEDIの一種なのであれば、わざわざ別の例として挙げる必要はありません。
少なくともこの資料では、メールでのファイル授受とEDI取引は区別して扱われていると読めます。

とはいえ、この一問一答は電子帳簿保存法でいう電子取引の範囲を示した資料で、EDIそのものを定義したものではありません。
国税庁が「メール添付はEDIではない」と定めたわけではないので、2つの呼び方が別々に使われているという手掛かりとして受け止めるのが適切です。
この資料が示す保存のルールとの関係は、最後の節で補足します。

中小企業共通EDIは「形式の共通化」を中心にしている

中小企業共通EDIは、取引先ごとに異なっていたEDIのデータ形式を、国際標準に沿って共通化することを目指した標準です1。
平成28年度の中小企業庁事業「次世代企業間データ連携調査事業」で策定され、効果の実証も行われました2。

「取引先ごとに形式が違う」ことが課題として取り上げられた点に、EDIの性質がよく表れています。
EDIでは、送る側と受け取る側が同じ形式を前提にしなければ、データを正しく読み取れません。
受注する会社から見ると、取引先Aの形式、取引先Bの形式と、相手ごとに別々の約束事へ合わせて準備するのは大きな負担です。
共通化は、この約束事をそろえて、導入の手間とコストを減らそうとするものです1。

ここから分かるのは、EDIの中心にあるのが「電子で送ること」よりも「形式を取り決めること」だという点です。
人が読むPDFは、形式を決めておかなくても読めてしまうため、そもそもこの取り決めを必要としません。
メール添付とEDIの違いは、ここにいちばんはっきり表れます。

比べる点 人が読む添付ファイル(PDFなど) 形式を取り決めたデータ交換(EDI)
形式の取り決め 取引先ごとにレイアウトが異なり、通常は決めない 項目と形式を当事者の間で合意する
中身を読むのは 受け取った担当者 受け手のシステム
受け手の作業 開いて読み、自社システムへ入力する 取り込まれたデータを確認する
定義の要件との関係 「合意された規約」「コンピュータ間」を満たしにくい 要件に沿う
メール添付で比べるEDIの要件との距離(模式図)
人が読む添付ファイルと、形式を取り決めたCSVの違いと、その分かれ目を示した図人が読む添付ファイルと、形式を取り決めたCSVの違いと、その分かれ目を示した図人が読む添付ファイル取引先ごとにレイアウトが違う担当者が読んで自社システムへ入力するEDIの中心からは外れる形式を取り決めたCSV項目の並びや書式を取引先と決めている受け手が受注システムへそのまま取り込む定義の要件に近づく分かれ目メールかどうかではないデータの形式が合意され、機械がそのまま読み取れるか

▼ 図の内容を文字で読む
  • 人が読む添付ファイル
    • 取引先ごとにレイアウトが違う
    • 担当者が読んで自社システムへ入力する
    • EDIの中心からは外れる
  • 形式を取り決めたCSV
    • 項目の並びや書式を取引先と決めている
    • 受け手が受注システムへそのまま取り込む
    • 定義の要件に近づく
  • 分かれ目
    • メールかどうかではない
    • データの形式が合意され、機械がそのまま読み取れるか

EDIで何をやり取りし、受け手の作業はどう変わるか

見積から請求・決済までの取引データ

日本大百科全書は、EDIで交換されるデータは見積り作成に始まって受発注、請求・決済に至るまで、取引のあらゆる領域に及ぶとしています3。
「EDIで送って」と求められる書類が注文書のこともあれば、請求書のこともあるのはこのためです。

取引の流れに沿って見ると、発注する会社が見積を依頼し、受注する会社が見積を返し、注文と受注の確認を経て、納品のあとに請求し、支払いへと進みます。
それぞれの段階で紙やPDFの書類を送る代わりに、取り決めた形式のデータとして送るのがEDIです。
ただ、どの書類をEDIの対象にするかは取引先との取り決めによるため、「EDIで」と言われたときには、まず対象の書類を確かめておくと話が食い違いません。

受け取ったあとの転記と照合が減る

前の節で考えた、注文書のPDFをメールで受け取る受注担当者の作業を、もう一度たどってみます。
メールを開き、添付ファイルを保存し、品名・数量・単価・納期を読み取って受注システムへ入力し、入力した内容が注文書と合っているかを見比べます。
取引先が多ければ、レイアウトの違う注文書ごとに、どこに何が書いてあるかを探すところから始まります。

EDIで受け取る場合、注文データは取り決めた形式で届くため、受け手のシステムはそれを読み取って受注データとして取り込めます。
人が読み取って打ち直す工程がなくなるので、転記の手間と、打ち間違いを見つけるための照合が減ります。
残るのは、取り込まれた注文を自社の在庫や納期で受けられるかといった判断や、うまく取り込めなかったデータの確認です。
EDIにしたからといって確認の仕事がすべてなくなるわけではなく、減るのは主に「読んで打ち直す」部分だと考えると、実際の変化に近いはずです。

送る側の作業も変わります。
注文書を作ってPDFにし、メールに添付して送る代わりに、自社のシステムにある注文データを決められた形式で出力して送ることになります。
その一方で、相手の形式に合わせてデータを出せる仕組みを用意しなければなりません。
この準備を取引先ごとに繰り返すことが負担になるからこそ、中小企業共通EDIは形式の共通化を目指しました1。

中小企業庁の実証で見た業務時間の削減

中小企業庁の実証事業では、受発注の電子データ連携に取り組む12のプロジェクトを選び、6業界・5地域で導入効果を測定しました1。
その結果、中小企業は大企業より業務時間の削減率が高く、平均で51.4%の削減効果が得られたと報告されています1。

この数値は、2016年度(平成28年度)の実証事業に参加した中小企業の平均です。
取り組んだ業務の範囲や取引の量はプロジェクトによって異なり、EDIを導入すれば自社でも業務時間が半分になる、という意味ではありません。
読み取れるのは、受発注のデータ連携によって中小企業の業務時間が減った例が、複数の業界で確かめられたというところまでです。

自社に当てはめて考えるなら、いま注文書や請求書の転記と照合にどれだけの時間を使っているかを把握しておくと、EDIで変わる部分の大きさを見積もりやすくなります。
取引先の数が少なく、届く書類も月に数件なら、変わる部分は小さいかもしれません。
反対に、多くの取引先からレイアウトの違う書類が届き、そのたびに打ち直しているなら、データで受け取る仕組みに変えたときに減る作業ははっきり見えてきます。

注文書の受け取り方による作業の違い(模式図)
PDFで受け取る場合とEDIで受け取る場合の受け手の作業、および送る側の準備を比べた図PDFで受け取る場合とEDIで受け取る場合の受け手の作業、および送る側の準備を比べた図注文書のPDFで受け取る場合添付ファイルを保存し、品名・数量・単価・納期を読み取って入力する入力した内容が注文書と合っているか見比べるEDIで受け取る場合取り決めた形式のデータをシステムが取り込む在庫や納期で受けられるかを判断する取り込めなかったデータを確認する送る側の作業注文データを決められた形式で出力して送る相手の形式に合わせて出せる仕組みを用意する

▼ 図の内容を文字で読む
  • 注文書のPDFで受け取る場合
    • 添付ファイルを保存し、品名・数量・単価・納期を読み取って入力する
    • 入力した内容が注文書と合っているか見比べる
  • EDIで受け取る場合
    • 取り決めた形式のデータをシステムが取り込む
    • 在庫や納期で受けられるかを判断する
    • 取り込めなかったデータを確認する
  • 送る側の作業
    • 注文データを決められた形式で出力して送る
    • 相手の形式に合わせて出せる仕組みを用意する

自分の取引がEDIに当たるかの判断と、取引先と決めておくこと

EDIに当たるかどうかを確かめる3つの問い

ここまでの定義と違いを、自分の取引に当てはめてみます。
いま行っているやり取り、あるいは取引先から求められているやり取りについて、次の3つを順に考えると判断しやすくなります。

  1. 相手とデータの形式を取り決めているか:どの項目を、どの順番や書式で送るかが、取引先との間で決まっているか
  2. 受け手のシステムがそのまま読み取れるか:受け取った側が人の目で読み直さずに、システムへ取り込んで処理できるか
  3. 送り方の手順が決まっているか:どの経路で、どのタイミングで送り、届いたことをどう確かめるかが決まっているか

3つとも当てはまれば、定義に沿ったEDIと考えてよいでしょう。
PDFをメールで送り、受け手が読んで入力しているなら、1つ目と2つ目が当てはまらず、EDIの中心からは外れます。

判断が難しいのは、その中間にあるやり取りです。
たとえば、取り決めた書式のCSVをメールで送り、受け手がそれを取り込んでいる場合、形式と読み取りの条件は満たしていても、送り方の手順はメール任せになっています。
こうしたやり取りをEDIと呼ぶかどうかは会社や業界の使い方によって分かれます。
呼び名にこだわるより、相手が求めている形式と送り方を具体的に確かめたほうが、対応すべきことがはっきりします。

取り決める事項:データ項目・フォーマット・接続仕様

取引先から「EDIで」と求められたとき、実際に決める必要があるのは何でしょうか。
中小企業共通EDIを例にとると、取引データの項目と形式を定めた共通EDI標準フォーマット、EDIのサービスを提供するプロバイダの仕様、業務アプリが共通EDIに接続するための仕様、データの構造を定めたXMLスキーマが提供されています2。
プロバイダ同士をつなぐESP間連携プロトコルは、平成29年度の別の事業で策定されました2。

聞き慣れない言葉が並ぶので、少しかみ砕いておきます。
標準フォーマットは、注文や請求のデータにどんな項目を入れ、それぞれをどう表すかを決めたものです。
XMLスキーマは、その項目をデータの中でどんな名前と入れ子の形で書くかを定めたひな形です。
業務アプリの接続仕様は、自社が使っている販売管理などの業務アプリが、EDIの仕組みとデータを受け渡すための約束事を指します。

業界ごとのEDIや、取引先が独自に定めた方式では、別の標準や手順が使われることがあり、決める事項の名前や細かさも変わります。
送受信の通信手順を含め、具体的な中身は相手が採用している方式によって異なるため、中小企業共通EDIの仕様をそのまま他の方式に当てはめることはできません。
それでも、「データを何の項目でどう表すか」「どの仕組みを通じて受け渡すか」「自社のシステムがどうつながるか」を決める必要がある、という考え方は、定義にある「合意された規約」と「コンピュータ間」から見て共通しています。

取引先やシステム担当に聞く質問例

取引先にEDIを求められても、相手がどの方式を指しているのか分からないうちは、対応できるかどうかを返事できません。
相手の言う「EDI」の中身を具体的にする質問を用意しておくと、話が早く進みます。
以下は編集部が考えた質問の例です。

  • 対象の書類:EDIでやり取りしたいのは、注文、出荷、請求のどの書類か
  • 方式と標準:採用しているのは業界の標準か、中小企業共通EDIか、取引先独自の形式か
  • 送受信の方法:専用のサービスやプロバイダを使うのか、どの経路でデータを受け渡すのか
  • 自社側の受け取り方:受け取ったデータを自社の業務アプリへ取り込めない場合、内容を確認する方法が用意されているか
  • 切り替えの時期:いまの紙やPDFでのやり取りと並行して運用する期間があるか

社内のシステム担当に相談するときは、取引先から得た答えを持っていき、「この形式のデータを今の業務アプリで受け取れるか」「受け取れない場合に何が足りないか」を確かめます。
取引先の要望と自社のシステムの両方を見なければ、EDIに対応できるかどうかは決まらないからです。
受け取る側の業務アプリが形式に合わないまま始めると、データは届いても結局人が読み直して入力することになり、EDIにした意味が薄れてしまいます。

取り決めの対象 中身(中小企業共通EDIの場合)
共通EDI標準フォーマット 取引データの項目と形式
XMLスキーマ データの構造を表すひな形
プロバイダの仕様 EDIのサービスを提供する事業者側の仕様
業務アプリの接続仕様 業務アプリが共通EDIに接続するための仕様
ESP間連携プロトコル プロバイダ同士の連携(平成29年度の別事業で策定)
EDIに当たるかを確かめる3つの問い(判断の目安)
形式の取り決め、受け手のシステムでの読み取り、送り方の手順の3つの問いを並べた図形式の取り決め、受け手のシステムでの読み取り、送り方の手順の3つの問いを並べた図相手とデータの形式を取り決めているかどの項目をどの順番や書式で送るかが決まっている受け手のシステムがそのまま読み取れるか人の目で読み直さずにシステムへ取り込める送り方の手順が決まっているかどの経路で、どのタイミングで送り、届いたことをどう確かめるかが決まっている

▼ 図の内容を文字で読む
  • 相手とデータの形式を取り決めているか
    • どの項目をどの順番や書式で送るかが決まっている
  • 受け手のシステムがそのまま読み取れるか
    • 人の目で読み直さずにシステムへ取り込める
  • 送り方の手順が決まっているか
    • どの経路で、どのタイミングで送り、届いたことをどう確かめるかが決まっている
中小企業共通EDIの場合に取り決める対象の例(模式図)
標準フォーマット、XMLスキーマ、プロバイダの仕様、業務アプリの接続仕様の4つの取り決め対象を示した図標準フォーマット、XMLスキーマ、プロバイダの仕様、業務アプリの接続仕様の4つの取り決め対象を示した図共通EDI標準フォーマット取引データの項目と形式XMLスキーマデータの中で項目をどんな名前と入れ子の形で書くかのひな形プロバイダの仕様EDIのサービスを提供する事業者側の仕様業務アプリの接続仕様自社の販売管理などの業務アプリがEDIとデータを受け渡すための約束事

▼ 図の内容を文字で読む
  • 共通EDI標準フォーマット
    • 取引データの項目と形式
  • XMLスキーマ
    • データの中で項目をどんな名前と入れ子の形で書くかのひな形
  • プロバイダの仕様
    • EDIのサービスを提供する事業者側の仕様
  • 業務アプリの接続仕様
    • 自社の販売管理などの業務アプリがEDIとデータを受け渡すための約束事

EDIでなくても電子データを受け取れば保存ルールがかかる(補足)

電子取引にはEDIもメール添付も含まれる

自分のやり取りがEDIに当たらないと分かっても、それで電子データの扱いを気にしなくてよくなるわけではありません。
前に触れた国税庁の一問一答では、EDI取引も、添付ファイルを含む電子メールでの授受も、電子帳簿保存法の電子取引の例に入っています4。
そして、令和6年(2024年)1月には電子取引データの保存が義務化されています5。

実務に置き換えると、メールで届いた請求書のPDFも、EDIで受け取った請求データも、電子データのまま保存する対象になり得ます。
EDIかどうかは取引先との仕組みの呼び方の問題で、保存のルールがかかるかどうかは電子取引に当たるかで決まります。
この2つを分けて考えておくと、「EDIではないから保存は関係ない」という思い込みを避けられます。

売上高5,000万円以下の事業者の検索要件の扱い

電子取引データを保存するときは、原則として、日付・金額・取引先で検索できること、日付や金額の範囲を指定して検索できること、日付・金額・取引先を組み合わせて検索できることが求められます5。

ただし、基準期間(2課税年度前)の売上高が5,000万円以下の保存義務者は、税務職員からのダウンロードの求めに応じられることを条件に、この検索要件が不要になります5。
不要になるのは検索の仕組みで、保存そのものが不要になるわけではありません。
ダウンロードの求めに応じられるように、受け取ったデータを取り出せる状態で残しておくことが前提です。

ここで紹介したのは、2024年の財務省の広報誌が説明している制度です。
保存方法の細かな要件は見直されることもあるため、実際の保存方法を決めるときは、国税庁の最新の資料や顧問の税理士に確かめてください。
EDIに当たるかどうかの判断とは別に、電子で受け取った取引データには保存のルールがある、という点を押さえておけば、取引先との話し合いでも社内の準備でも迷いにくくなります。

電子取引に含まれるやり取りの例
EDI取引、添付ファイルを含む電子メールでの授受、サイトを通じた授受の3つが電子取引の例であることを示した図EDI取引、添付ファイルを含む電子メールでの授受、サイトを通じた授受の3つが電子取引の例であることを示した図取引先とのEDI取引EDIで受け取った請求データも保存の対象になり得る電子メールによる授受(添付ファイルを含む)メールで届いた請求書のPDFも保存の対象になり得るサイトを通じた授受電子取引の例として挙げられている

▼ 図の内容を文字で読む
  • 取引先とのEDI取引
    • EDIで受け取った請求データも保存の対象になり得る
  • 電子メールによる授受(添付ファイルを含む)
    • メールで届いた請求書のPDFも保存の対象になり得る
  • サイトを通じた授受
    • 電子取引の例として挙げられている

取引先が求めるEDIの方式と、自社の業務アプリで受け取れるデータの形式が合うかどうかは、双方の仕様を並べて見ないと判断しにくいためです。

取引先から届いた依頼内容や仕様をもとに、いまのやり取りとの違いと、返事の前に確かめておく点を一緒に整理できます。無料相談で要件を整理する

要点の整理

軸 基準
略称と和訳 Electronic Data Interchangeの略で、和訳は電子データ交換
定義の核 異なる企業間・取引に関する情報・広く合意された規約・コンピュータ間
メール添付のPDF 人が読んで入力するやり取りは、定義の要件に照らすとEDIの中心から外れる
当たるかの判断 形式の取り決め、受け手のシステムでの読み取り、送り方の手順
取引先への確認 対象の書類、方式や標準、送受信の方法、自社アプリでの受け取り
保存のルール EDIでなくても電子取引なら保存の対象。売上高5,000万円以下は条件付きで検索要件が不要

EDIに切り替える書類と、メールやPDFのまま残る書類が混在すると、受け取り方や確認の手順を書類ごとに分けて考える必要が出てくるためです。 取引先ごとのやり取りの方法を洗い出し、どの書類からデータで受け渡せそうかを確かめるきっかけにできます。

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よくある質問

EDIとWeb受発注(画面入力型)は同じですか

同じとは言い切れません。
取引先のサイトの画面に人が注文内容を入力する方式では、受け手側にはデータとして入りますが、送る側は人が打ち込んでいます。
定義にある「コンピュータ間」の交換という要件に照らすと、双方のシステムが取り決めた形式でデータを受け渡すEDIとは仕組みが異なります。
国税庁の一問一答でも、EDI取引とサイトを通じた取引情報の授受は別の例として挙げられています4。
ただし呼び方には会社ごとに幅があるため、取引先がどちらを指しているかを確かめるのが確実です。

EDIを使うには、取引先と事前に何を確認すればよいですか

対象の書類、採用している方式や標準、送受信の方法、自社の業務アプリで受け取れるかの4点を中心に確かめます。
中小企業共通EDIの場合は、取引データの項目と形式、プロバイダの仕様、業務アプリの接続仕様などが定められています2。
業界ごとのEDIでは決める事項が異なることがあるので、相手の方式に沿って確認します。

メールで送ったPDFの請求書は、電子帳簿保存法の「電子取引」に当たりますか

国税庁の一問一答は、電子取引の例として、添付ファイルを含む電子メールでの取引情報の授受を挙げています4。
EDIに当たるかどうかとは別に、電子取引として保存の対象になり得ると考えておく必要があります。
保存方法の細かな要件や個別の判断は、国税庁の最新の資料や税理士に確認してください。

中小企業共通EDIは、通常のEDIと何が違いますか

中小企業共通EDIは、取引先ごとに異なっていたEDIのデータ形式を、国際標準に沿って共通化することを目指した標準です1。
平成28年度の中小企業庁事業で策定され、効果の実証も行われました2。
取り決めた形式でデータを交換するという点は他のEDIと同じで、違いは、相手ごとにばらばらだった形式をそろえ、導入の手間とコストを減らそうとしている点にあります1。

EDIの略称は英語でどう書き、和訳は他にどんな言い方がありますか

英語ではElectronic Data Interchangeと書き、日本語では「電子データ交換」と訳されます3。
中小企業庁の解説では、企業間のデータ連携という文脈で、受発注などの商取引をネットワークで電子的に行うことと説明されています1。

◆監修・編集責任者

小園 将隆

株式会社フライトソリューションズ ECサービス部 マネージャー

BtoB通販のパッケージシステム「EC-Rider B2B Ⅱ」の導入支援をはじめ、製造業、卸売業をはじめとした法人向け通販サイト構築を多数手掛ける。卸売領域の専門知識をもとに、日本の商習慣に固有の課題をパッケージシステムの機能追加によって解決。BtoB流通の販路拡大を支援する。

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  1. 1 出典:中小企業庁(ミラサポplus)「企業間のデータ連携で、受発注の業務コストを削減する!」(2020年公開・2026年更新)
  2. 2 出典:つなぐITコンソーシアム「中小企業共通EDIとは」
  3. 3 出典:農林水産省(農林水産関係用語集)・日本大百科全書「EDI」(コトバンク掲載)
  4. 4 出典:国税庁「電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】」(2022年)
  5. 5 出典:財務省「ファイナンス」令和6年8月号 特集 電子帳簿等保存制度の内容と中小企業の対応策(2024年)

画像の出典元

  1. An older gentleman with a beard types on a computer in a well-lit office setting./Photo by RDNE Stock project on Pexels

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◆この記事について

独自調査以外の一次情報は、省庁・公的機関を中心とした信頼性の高い情報源から引用し、出典を明記しています。
年次更新される統計については、引用元の最新版を確認したうえで掲載しています。

※この記事は上記の監修・編集責任者がAIの協力を得て制作しています。

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