◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- FAX-OCRの費用は従量課金型と年額ライセンス型で比べる項目が違い、どちらが安いかは自社の受信ページ数で入れ替わりうる
- 「学習」は提供元のAI学習・自社帳票の登録・現場の修正の辞書登録に分かれ、帳票登録が不要な製品もある
- 紙をスキャンし直さず複合機の受信画像を使うことが、読み取りの前提になる
- 提供元の98%などの精度は検証条件での結果で、自社のFAXでの確認・修正の手間は試験で測る
- 確認と修正の時間を手入力と比べ、費用に見合わなければ見送りや発注方法の見直しも選べる
目次

FAX-OCRの費用は何で決まるのか:初期費用のかからない従量課金型と年額ライセンス型の違い
FAXで届く注文書を毎日手で打ち直していて、FAX-OCRを入れる案が出た。
けれど上司に説明しようとすると、初期費用がいくらで、「学習」にどれだけ手間がかかるのかが答えられない。
ここで止まるのは、提供元ごとに課金の形も「学習」の意味も違うからです。
初期費用のかからない従量課金型と、処理量に上限のない年額ライセンス型では、比べる項目自体が違います。
帳票登録が要らない製品もあります。
提供元が示す精度は、自社のFAXでの結果を保証しません。
実際の注文書を受信画像のまま試し、修正の手間を測って費用と並べれば、進めるか見送るかを説明できます。
従量課金型の読み方
見積もりを集め始めると、まず金額の書き方がそろっていないことに気づきます。
ある製品は月額とページごとの処理費で示され、別の製品は年額で示されています。
この違いは表示の癖ではなく、課金の型そのものの違いです。
型が違うものを金額だけで並べても、どちらが安いかは決まりません。
従量課金型の例として、株式会社SpreadのSP-FAX AI OCRは、初期費用がかからず、月額の基本料とページごとのOCR処理費を組み合わせる形で料金を公開しています1。
OCR処理はページ単位でポイントを消費する仕組みで、読み取らせた枚数に応じて費用が増えます。
具体的な金額とプランは確認時点の提供元ページに示されています。
社内資料には確認した年と一緒に書き写しておくと、後から金額が変わっても説明の前提を追えます。
この型を読むときに大事なのは、月の請求額が自社の受信枚数でほぼ決まることです。
FAX注文が少ない月は小さく、繁忙期に注文が集中すれば請求も増えます。
そのため上司に示すのは「月いくら」という一つの数字ではなく、「基本料+ページごとの処理費×月間の読み取り枚数」という式と、自社の枚数を当てはめた結果です。
枚数は、FAXの受信履歴や紙の注文書の束から、平常月と多い月の両方を拾っておくと試算の幅が見えます。
数えるときは、注文の件数ではなくページ数で数えます。
課金がページ単位なので、複数枚にわたる注文書は枚数分が対象になります。
表紙を付けて送ってくる取引先があるなら、表紙も読み取りの対象になるのか、除外できるのかを見積もりの際に聞いておくと、試算と実際の請求のずれを小さくできます。
年額ライセンス型の読み方
年額ライセンス型の例として、株式会社PFUのDynaEye 11 Entry AI-OCRは、年額のライセンス料を税抜で示し、サポートを含み、処理量の上限を設けない形で発表されています2。
同じ発表では、生成AIと連携するオプションが別料金とされています2。
この型では、読み取る枚数が増えても年額は変わりません。
受信量が多く、繁忙期の波も大きい職場ほど、毎月の負担が読みやすくなります。
反対に受信量が少ないと、使った枚数に比べて年額の負担が重く見えます。
また税抜表示なので、社内の予算資料に税込で載せる場合は換算が必要です。
オプションを使う想定なら本体とは別の行で計上しておかないと、承認後に追加費用として扱われてしまいます。
もう一つの違いは、サポートが年額に含まれている点です。
従量課金型でサポートがどう扱われるかは、公開されている料金の範囲では確かめられない場合があります。
導入直後は、設定や読み取り結果について提供元に問い合わせたいことが出てきうる時期です。
サポートの有無と範囲は、金額と同じ重さで比べる項目になります。
見積もりで揃える比較項目
型の違う候補を同じ表に並べるには、比べる項目を先に固定します。
下の表は、公開情報から読み取れる範囲で両製品を共通の項目に当てはめたもので、確認できなかった欄はそのことを明記しています。
表を見ると、確認できなかった欄が少なくないことが分かります。
これは片方が劣るという意味ではなく、公開されている料金の書き方が型によって違うためです。
見積もりを依頼するときは、この欄を質問としてそのまま送ると、回答が同じ項目でそろって返ってきます。
総額については、型が違う以上、どちらが安いかは受信枚数で入れ替わりえます。
枚数が少なければ従量課金型の請求が小さく、枚数が増えるほど年額型との差が縮まり、どこかで逆転する可能性があります。
その境目は、自社の枚数と確認時点の単価・年額を当てはめて初めて出る数字です。
一般的な相場や他社の例から借りてくることはできません。
また、表に載っているのは製品の利用料です。
読み取った注文データを受注システムや販売管理へ取り込む作業、その仕組みを作る費用、導入時の設定支援などは、公開の料金表からは確認できません。
こうした費用が要るかどうかは、取り込み先のシステムや求める連携の深さで変わります。
見積もりの段階で「読み取り結果をどの形式で受け取れるか」「取り込みに追加の作業や費用は要るか」を項目として聞いておくと、承認後に予算が足りなくなる事態を避けやすくなります。
| 比較項目 | 従量課金型(SP-FAX AI OCR) | 年額ライセンス型(DynaEye 11 Entry AI-OCR) |
|---|---|---|
| 初期費用 | かからない | 公開情報で確認できず |
| 基本料・年額 | 月額の基本料(金額は提供元ページ) | 年額ライセンス・税抜表示(金額は提供元の発表) |
| ページ単価 | ページごとにポイントを消費 | 公開情報で確認できず |
| 処理量上限 | 公開情報で確認できず | 上限なし |
| サポート | 公開情報で確認できず | 年額に含む |
| 別料金オプション | 公開情報で確認できず | 生成AI連携オプション |
| 無料体験 | 期間とページ数の上限つきで提供 | 公開情報で確認できず |
▼ 図の内容を文字で読む
- 従量課金型
- 初期費用がかからない
- 基本料+ページごとの処理費×月間の読み取り枚数
- 繁忙期に注文が集中すれば請求も増える
- 年額ライセンス型
- 年額のライセンス料(税抜表示)
- 読み取る枚数が増えても年額は変わらない
- 生成AI連携のオプションは別の行で計上する
- 受信枚数による総額の入れ替わり
- 枚数が少なければ従量課金型の請求が小さい
- 枚数が増えるほど差が縮まり、逆転する可能性がある
- 境目は自社の枚数と確認時点の単価・年額で初めて出る
「学習」とは何か:帳票登録・AI学習・修正の登録を分けて考える
提供元側のAI学習
費用の次に上司から聞かれやすいのが、「学習させるのにどれくらいかかるのか」という問いです。
ところがFAX-OCRの説明で「学習」と書かれているものは、製品によって中身が違います。
提供元が事前に済ませている学習、自社の帳票を製品に覚えさせる登録、使いながら修正を覚えさせる補正は、誰が・いつ・どれだけ手を動かすかがまったく別です。
これを分けずに「学習が必要」とだけ伝えると、上司は導入担当者が長い時間をかけて教え込む作業を想像します。
逆に「学習は不要」とだけ伝えると、運用中の修正の手間が見えなくなります。
一つ目は、提供元側でAIを学習させておく段階です。
PFUは、AI-OCRの精度は学習データに大きく左右され、FAX画像で学習したものでないと十分な精度が出ないという見方を示しています3。
FAXで届く画像は、紙の書類を直接読み取った画像とは文字の見え方が違います。
そうした画像に合わせて学習しているかどうかが、読み取りの土台になるという趣旨です。
この段階は自社の作業ではありません。
導入担当者が受け持つのは、候補製品がFAX画像を前提に作られているかを提供元に確かめることです。
ただ、説明を聞くだけでは判断しきれないため、最終的には自社のFAXを読ませた結果で確かめることになります。
自社帳票の登録
二つ目が、多くの担当者が「学習」と聞いて思い浮かべる作業です。
製品によっては、帳票ごとに「どこに何の項目が書かれているか」をテンプレートや帳票定義として登録してから読み取ります。
注文書なら、取引先名、品番、数量、納期といった項目の位置と名前を製品に教える作業です。
この作業の量は、受け取っている注文書の書式の数で変わります。
自社指定の注文用紙を全取引先に使ってもらっていれば登録は少なくて済みます。
取引先ごとに自前の書式で送ってくる場合は、登録の対象がその書式の数だけ増ええます。
取引先が書式を変えれば、登録をやり直す場面も出てきます。
見積もりの前に「受け取っている書式はいくつあるか」を数えておくと、登録型の製品を選んだ場合の作業量を見通しやすくなります。
一方で、帳票登録を前提にしない製品もあります。
SP-FAX AI OCRは帳票フォーマットの事前登録を不要とし、ページ全体を読み取る仕組みを示しています1。
注文書・請求書・見積依頼などのプリセットや、業種別の業務ルールも用意されています1。
この型なら導入時に書式を一つずつ登録する作業は生じません。
ただし、ページ全体から読み取った内容が、自社で使いたい項目に正しく振り分けられているかは、試験で確かめる必要が残ります。
登録が要る製品でも、その作業に専門知識が必須とは限りません。
NTTデータが自治体と行ったAI-OCRの実証では、帳票定義をAI-OCRに習熟していない人が作業する想定で進めています4。
ただしこれは自治体の帳票での実証で、FAX注文書ではなく、製品も別です。
言えるのは、帳票定義を現場の担当者が受け持つ設計の製品もある、というところまでです。
自社の注文書で登録に何時間かかるかの目安にはなりません。
現場の修正の辞書登録
三つ目は、運用を始めてから現場で生じる補正です。
SP-FAX AI OCRには、読み取り結果を修正した内容を辞書に登録する学習機能があります1。
公式ページの説明から読む限り、これは使うたびに必ず行う作業ではなく、繰り返し誤る取引先名や品番などを登録しておくための機能と考えられます。
この作業を担うのは、見積もりを取った導入担当者ではなく、毎日の読み取り結果を確認する現場の人です。
確認の画面で誤りを直し、同じ誤りが続くものを辞書に入れる、という流れが日々の業務に加わります。
導入時にまとまった時間を取られる帳票登録とは違い、負担は運用の中に少しずつ分散して現れます。
上司への説明では、この作業を「導入時の負担」ではなく「運用中の確認作業の一部」として分けて示すと、誰の時間がいつ使われるのかが伝わります。
辞書登録でどれだけ改善するかは、公開情報からは分かりません。
登録すれば同じ誤りが減る方向に働く仕組みですが、その程度は取引先の書式や誤り方によって変わります。
試験の期間中によく誤る語を実際に登録してみて、その後の読み取りがどう変わったかを記録しておくと、運用中の負担を見積もる材料になります。
▼ 図の内容を文字で読む
- 提供元側のAI学習
- 提供元が事前に済ませていて自社の作業ではない
- 導入担当者はFAX画像を前提に作られているかを確かめる
- 自社帳票の登録
- 導入時に導入担当者が受け持つ
- 作業量は受け取る注文書の書式の数で変わる
- 登録を前提にしない製品もある
- 現場の修正の辞書登録
- 運用中に現場の確認担当者が行う
- 繰り返す誤りだけを登録する任意の補正
- 負担は日々の運用の中に少しずつ現れる
FAXの画質・帳票の種類・手書きで、立ち上がりはどう変わるか
受信画像の扱い
学習の中身が分かると、次に気になるのは「自社の場合、使えるようになるまでに何が手間になるのか」です。
公開されている料金や仕様だけでは、使い始めて安定するまでの期間は分かりません。
それでも、手間を増やす方向と減らす方向に働く条件は見分けられます。
最初に効いてくるのが、FAXの画像をどうやって製品に渡すかです。
FAXを紙で受けて手入力していた職場なら、届いた紙をスキャナーで読み込めばよいと考えることもできます。
PFUはこれを避けるよう勧めています。
紙に印刷されたFAXをスキャンすると画質がさらに劣化するため、複合機が受信した画像を転送して使うことを基本としています3。
受信した時点の画像を印刷してもう一度読み取ると、かすれや潰れが重なるからです。
この推奨に沿うと、導入担当者の作業は製品の設定だけでは終わりません。
複合機の受信画像を、OCRへ渡す先へ転送する設定が要ります。
複合機の管理を総務や情報システムの担当が持っている職場なら、その部署との調整も立ち上がりの工程に入ります。
受信した紙を保管する運用を続けるのか、画像を正本として扱うのかも、現場と決めておく事柄です。
さらにPFUは、傾き補正の有無を導入時に確認するよう勧めています3。
送信側が原稿を斜めに差し込めば、受け取る画像も傾きます。
製品側で補正されるのか、されないなら傾いた注文書がどれくらい届いているのかは、試験で見ておきたい点です。
準定型・定型・手書き
次に効くのが、注文書の種類です。
自社指定の用紙のように、項目の位置が毎回同じ帳票を定型と呼びます。
これに対し、取引先名・品番・数量といった項目は共通していても、並び方や位置が取引先ごとに違う帳票を準定型と呼びます。
取引先がそれぞれの書式で送ってくるFAX注文書は、準定型にあたります。
製品側もこの違いを前提にしています。
DynaEye 11 Entry AI-OCRは準定型帳票のOCRに対応し、伝票やFAX注文書を扱う流通業などを想定しています2。
SP-FAX AI OCRは、注文書・請求書・見積依頼などのプリセットと、業種別の業務ルールで対応する形をとっています1。
自社の注文書がほぼ定型なのか、取引先ごとにばらばらなのかを把握しておくと、候補製品の想定と自社の帳票が合っているかを判断しやすくなります。
手書きの扱いは、さらに条件が分かれます。
印字された注文書の数量だけを手書きで直したもの、すべて手書きの注文書、余白に追記があるものなど、同じ手書きでも読み取りの難しさは違います。
手書きの混じり方は取引先によって違うため、他社の結果から推し量れる部分は小さく、自社に届く手書きの注文書を試験に含めて確かめるのが確実です。
受信画像を直接取り込めるか、書式がどれだけばらけているか、手書きがどれだけ混じるかの三つが、立ち上がりの手間を左右します。
画像を直接渡せて、書式の数が少なく、手書きが少ない職場ほど、導入担当者と現場の作業は軽くなる方向に働きます。
反対の条件が重なるほど、確認と修正に時間がかかる期間が長引く可能性があり、その長さは試験で見えてきます。
▼ 図の内容を文字で読む
- 画像の渡し方
- 紙のスキャンし直しは画質がさらに劣化する
- 受信画像の転送には複合機の設定と部署の調整が要る
- 傾き補正の有無を導入時に確かめる
- 書式のばらつき
- 定型か準定型か
- 登録が要る製品では書式の数だけ登録が増えうる
- 手書きの混じり方
- 数量の書き直し、全面手書き、余白の追記で難しさが違う
- 現場の確認と修正の量
- 三つの条件が重なるほど増える方向に働く
- 長さは自社の注文書での試験で見えてくる
精度の数字をどう読むか:98%という結果と、人の確認が残る前提
PFUの検証の読み方
製品を比べていると、精度の数字が目に入ります。
上司への説明でも数字があると説得力が出るように感じますが、その数字が何を測ったものかによって、使える範囲は大きく変わります。
PFUは、FAX注文書に対して従来型のOCRの認識率が80%だったのに対し、AI-OCRでは98%という結果が出たと紹介しています3。
これはPFUの基準帳票を使い、同社のDynaEye 11で行った自社検証で、第三者による検証ではありません3。
検証日は記載されておらず、紹介しているコラムは2025年に公開されたものです。
PFU自身も、導入前に実際の業務のFAX注文書で精度を確認するよう勧めています3。
この数字から読み取れるのは、同じ帳票・同じ条件で比べたとき、従来型のOCRとAI-OCRの間に差が出たということです。
FAX画像で学習したAIが効くという見方とも筋が通ります。
一方で、自社に届く注文書の書式や画質、手書きの混じり方は、PFUの基準帳票とは違います。
98%を自社の注文書にそのまま当てはめて、転記の手間がどれだけ減るかを計算することはできません。
もう一つ見落としやすいのは、認識率が高くても確認の作業はなくならないという点です。
読み取り結果のどの項目が誤っているかは、画像と見比べなければ分かりません。
誤りが少なければ直す手間は小さくなりますが、誤りを探すための確認は、読み取ったすべての注文書に残ります。
数量や品番の誤りがそのまま出荷につながる業務なら、なおさらです。
NTTデータ実証の読み方
AI-OCRの精度を確かめた資料には、NTTデータが複数の自治体と行った実証もあります。
自治体の実帳票と手書きのサンプルをDX Suiteで読み取ったもので、2018年度に実施され、2019年に公表されました4。
ただし、この実証の対象は自治体の手書き帳票で、FAX注文書ではありません。
製品も時期も、PFUの検証とは違います。
そのため両者の結果を並べて平均をとったり、どちらの製品が優れているかを比べたりすることはできず、どちらからも自社でFAX-OCRを入れた後の精度は予測できません。
二つの資料を並べて分かるのは、精度の数字は帳票の種類、画質、製品、検証の条件によって意味が変わる、ということです。
この実証で目を向けたいのは、数字よりも参加した自治体から出た意見です。
ミスが許されない業務では複数の担当者で入力している例があり、その入力の一部にAI-OCRを使うことを検討できる、という声が紹介されています4。
これは検証結果ではなく意見で、人の確認がどれだけ減ったかを測った数字も示されていません。
それでも、AI-OCRを人の確認をなくす道具としてではなく、入力の一部を置き換え、確認は人が持つ前提で考える見方の例にはなります。

ここまでをふまえると、精度の数字は導入を決める根拠ではなく、候補として試す価値があるかを見る手がかりにとどまります。
自社で知りたいのは、現場の担当者が読み取り結果の確認と修正に、注文書一枚あたり何分かけることになるかです。
その数字はどの資料にも載っていないので、自社の注文書を使って測ることになります。
| 観点 | PFUの検証 | NTTデータの実証 |
|---|---|---|
| 対象の帳票 | PFU基準帳票のFAX注文書 | 自治体の実帳票と手書きサンプル |
| 製品 | DynaEye 11 | DX Suite |
| 時期 | 2025年公開のコラム(検証日の記載なし) | 2018年度に実施 |
| 実施者 | 提供元の自社検証(第三者検証ではない) | 提供元と自治体による実証 |
| 読み取れること | 同じ条件での従来型OCRとの差 | 帳票定義を未習熟者が担う想定と入力の一部を置き換える意見 |
| 自社のFAX注文書への当てはめ | できない | できない |
導入前に何を試し、どの条件なら進める・見送るか
試験で記録する項目
費用の型、学習の中身、立ち上がりを左右する条件、精度の数字の限界と見てくると、残った不確かさはどれも自社の注文書を読ませてみないと埋まらないことが分かります。
SP-FAX AI OCRでは、メールアドレスの確認後に、期間とページ数に上限のある無料体験が案内されています1。
体験の条件は提供元ごとに違い、変わることもあるため、申し込む時点の案内が前提になります。
上限があるということは、手元の注文書を手当たり次第に流すと、知りたい条件を試す前に枠を使い切ってしまうということです。
試すページは、次の観点で選んでおくと無駄が出にくくなります。
- 受け取り件数の多い取引先の注文書を、書式ごとに数枚ずつ
- 数量や納期を手書きで書き込んだもの、全面手書きのもの
- 画質が悪いもの、傾いて届いたものなど、現場がいま読みにくいと感じているもの
- 複数ページにわたる注文書
画像は紙からスキャンし直さず、複合機の受信画像のまま渡します。
試験だけスキャンで済ませると、本番と違う画質で結果を見ることになり、判断の前提が崩れます。
記録する項目は、上司への説明でそのまま使える形にしておきます。
- 注文書ごとに、読み取りを誤った項目と件数(取引先名・品番・数量・納期など項目別に)
- 現場の担当者が画像と見比べて確認し、修正し終えるまでにかかった時間
- 同じ注文書をこれまでの手入力で転記した場合の時間
- 読み取れなかった、または大きく崩れた注文書の特徴(書式、手書き、画質、傾き)
- 辞書登録を試した場合、その前後で同じ誤りがどう変わったか
時間を測るのは、見積もりを取った導入担当者ではなく、実際に毎日の注文を処理する現場の担当者です。
操作に慣れた人と慣れていない人では時間が違うため、誰が測ったのかも一緒に残しておくと、結果の読み違いを防げます。
手入力の時間を並べておくのは、OCRの修正時間だけを見ても、それが速いのか遅いのか判断できないからです。
進める条件と見送る条件
試験の記録がそろったら、費用と並べます。
注文書あたりの確認と修正の時間に月の受信枚数を掛ければ、現場が確認と修正に使う時間の見込みが出ます。
これをいまの転記にかかっている時間と比べた差が、FAX-OCRで現場から外せる作業の量です。
その量を、従量課金型なら基本料とページごとの処理費、年額型なら税込の年額とオプション代と比べると、上司に「この費用で、この作業が減る」という形で説明できます。
どこで線を引くかに決まった基準はなく、閾値は自社で決めるものです。
そのうえで、記事としての提案を挙げると、次のような結果なら導入を進める判断がしやすくなります。
- 確認と修正の時間が、手入力での転記の時間をはっきり下回る
- 誤りが特定の項目や取引先に偏っていて、辞書登録や運用の工夫で手当てできる見込みがある
- 受信画像を直接取り込む経路を、複合機の設定で用意できる
- 自社の受信枚数で試算した費用が、減る作業の量に見合う
反対に、確認と修正の負担が手入力の転記とほとんど変わらない、読み取れない注文書が多く人の入力に戻る割合が高い、といった結果なら、見送るか別の候補で試し直すのが妥当です。
読めなかった注文書の特徴を記録しておけば、原因が書式なのか手書きなのか画質なのかによって、別の製品で改善が見込めるのか、OCRそのものが合わないのかを分けて考えられます。
もう一つの選択肢は、FAXで受け取ること自体を変えることです。
取引先に書式の変更やFAX以外の発注方法をお願いできる関係なら、Web受注やEDIのように、注文をデータで受け取る方法も検討の対象になります。
どの方法が合うかは取引先の事情と自社の受注の仕組みで違うため、ここで一律には比べられません。
ただ、試験でOCRの修正負担が大きいと分かった場合でも、その記録があれば「FAX-OCRは見送り、発注方法の見直しを検討する」と代わりの道を添えて報告できます。
▼ 図の内容を文字で読む
- 試すページを選ぶ
- 受け取りの多い取引先の書式ごとに数枚
- 手書き、画質の悪いもの、複数ページも含める
- 受信画像のまま読ませる
- 紙からスキャンし直さない
- 確認と修正の時間を測る
- 現場の担当者が測り、誰が測ったかも残す
- 手入力での転記の時間も並べて記録する
- 費用と並べて判断する
- 進める:修正の時間が手入力をはっきり下回り、費用に見合う
- 見送る:負担が手入力とほぼ変わらない、または読めない注文書が多い
- 発注方法の見直しも代わりの道として検討する
費用の型と学習の中身は整理できても、自社の受信枚数や取引先の書式にどの型が合うかは、受注の流れ全体を見ないと判断しにくいところです。
いまFAXの注文がどこで転記されているかを伺いながら、試算に使う枚数の拾い方や、試験に入れる注文書の選び方を整理できます。無料相談で要件を整理する
上司への説明に持っていく材料
費用、導入時の作業、画像の条件、試験の実測、代わりの手段という説明の流れで並べた。
- 候補製品の課金の型と、自社の月間受信ページ数を当てはめた試算
- 帳票登録の要否と、登録する場合に対象となる注文書の書式の数
- 複合機の受信画像を直接渡せるか、傾き補正があるか
- 試験で測った項目別の誤りと、確認・修正にかかった時間と手入力の時間
- 見送る場合の別の道(別製品での再試験、取引先への発注方法の見直し)
試験で修正の負担が手入力と変わらないと分かった場合は、最後の項目を中心に説明を組み立て直す。
要点の整理
| 軸 | 基準 |
|---|---|
| 費用の型 | 従量課金型は基本料+ページごとの処理費×受信ページ数、年額型は税込の年額+オプションで試算する |
| 見積もりの項目 | 初期費用・基本料/年額・ページ単価・処理量上限・サポート・別料金オプション・無料体験を揃え、確認できない欄は質問として送る |
| 学習の中身 | 提供元のAI学習、自社帳票の登録、現場の修正の辞書登録を分け、誰の作業かを示す |
| 画像の扱い | 紙をスキャンし直さず、複合機の受信画像を渡す |
| 精度の数字 | 提供元の検証条件での結果として読み、自社の注文書で測り直す |
| 判断 | 確認・修正の時間を手入力の時間と比べ、費用に見合うかで進めるか見送るかを決める |

試験の結果をどう読み、導入・見送り・発注方法の見直しのどれを選ぶかは、取引先との関係や受注後の業務にも関わります。 試験で記録した誤りと修正時間をもとに、受注業務のどこで転記が減り、どこに確認が残るかを一緒に確かめられます。
よくある質問
初期費用がかからないFAX-OCRなら、追加費用は発生しないのか
初期費用がかからないのは導入時に一度払う費用がないという意味で、月額の基本料やページごとの処理費は使う量に応じて発生します1。
読み取ったデータを受注システムへ取り込む仕組みや、導入時の設定支援が別途必要になるかは、公開の料金からは分かりません。
年額型でも、生成AI連携のようにオプションが別料金になる例があります2。
見積もりでは取り込み先と連携の方法を伝え、利用料以外にかかるものがあるかを項目として尋ねると、比較の抜けを減らせます。
FAXをスキャンし直して読み取らせると精度は下がるのか
下がる方向に働きます。
PFUは、紙に出したFAXをスキャンすると画質がさらに劣化するとして、複合機の受信画像を転送して使うことを基本としています3。
試験でも本番と同じく受信画像のまま読ませないと、結果が実際の運用と食い違います。
帳票ごとのテンプレート登録は必ず必要か
製品によります。
SP-FAX AI OCRのように、帳票フォーマットの事前登録を不要とし、ページ全体を読み取る製品もあります1。
登録が要る製品では、受け取っている注文書の書式の数だけ作業が増えうるため、書式の数を数えてから見積もりを比べると負担の差が見えます。
手書きの注文書はどこまで読めるのか
FAXで届く手書きの注文書がどこまで読めるかを一般的に示す資料は、公開情報からは示せません。
NTTデータの実証は手書き帳票を対象にしていますが、自治体の帳票でFAXではなく、製品も別です4。
手書きの混じり方は取引先ごとに違うので、自社に届く手書きの注文書を試験に入れ、項目別に誤りを数えるのが確実です。
無料体験のページ数が限られる場合、何を優先して試せばよいか
SP-FAX AI OCRの無料体験は、期間とページ数に上限があります1。
枠が限られるなら、件数の多い取引先の書式、手書きの入った注文書、画質が悪いものや傾いたものを優先し、受信画像のまま流します。
同じ注文書を手入力したときの時間も記録しておくと、修正の時間と比べられます。
FAX-OCRを入れず、Web受注やEDIに切り替える判断はどんな場合か
試験で確認と修正の負担が手入力とあまり変わらないと分かった場合や、取引先に発注方法の変更をお願いできる関係がある場合は、注文をデータで受け取る方法も検討の対象になります。
どちらが合うかは取引先の事情と自社の受注の仕組みで変わるため、FAX-OCRの試験結果をその検討の材料として使うのが現実的です。
- 1 出典:株式会社Spread「SP-FAX AI OCR サービスページ」(2026年)
- 2 出典:株式会社PFU(リコーグループ)「DynaEye 11 Entry AI-OCR 発売ニュースリリース」(2025年)
- 3 出典:株式会社ピーエフユー(リコーグループ)「FAX注文書はOCRできる?精度を向上させる3つのポイント(デジタラクル コラム)」(2025年)
- 4 出典:株式会社NTTデータ「町田市、郡山市、市川市、つくば市、横浜市、福岡市におけるAI-OCR実用性の検証結果について」(2019年)