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FAX受注OCRの誤読はなぜ起きる?原因の切り分けと運用改善・システム対応の進め方

◆監修・編集責任者 小園 将隆 

B2B EC-COLUMN

この記事のポイント

  • FAX注文書の誤読は、原稿・帳票側の要因(くせ字、狭い記入枠、枠線との重なり)と、FAX画像の劣化やエンジン側の要因(圧縮によるぼやけ、かすれ、罫線接触、特殊フォント)に分けて捉えると、手を付ける先が決まる
  • 手書き欄に誤読が偏るなら記入枠の拡大・裏写り対策・記入ルールの共有と帳票定義の見直しから着手でき、これらは製品を替えずに取り組める範囲にあたる
  • 印字欄でも読み違いが散る場合はエンジンの認識力や受信データの扱い方が関わり、基準帳票での検証では従来型OCR80%に対しAI-OCR98%という差が示されている
  • 複合機の受信データを紙に出して再スキャンする経路は劣化を重ねるため、直接渡せる構成や傾き・拡大縮小の自動補正の有無を先に確認する価値がある
  • 条件を整えた検証でも認識率は98%、自治体実証の正読率は約93%と100%には届かないため、全件目視ではなく数量・金額・品番・納期・届け先など社外に影響が出る項目へ確認を寄せる設計にする

60代前半の日本人男性が倉庫事務所での受注対応をしている場面

FAX注文書のOCR誤読はどこで起きているか──原稿側とエンジン側の切り分け

FAX注文書をOCRに通しているのに、結局は画面と紙を全件見比べている——。
その状態から抜け出す最初の一歩は、誤読を「様式や記入ルールで直せるもの」と「OCRの性能や設定に左右されるもの」に分けることです。
記入枠の狭さやくせ字のように原稿・帳票側に原因があるものは、帳票様式や記入の頼み方を見直すことで減らせます。
一方、FAX送受信時の画質圧縮によるぼやけや罫線への文字の接触は、エンジンの認識力や補正機能に左右され、製品・設定の見直しが必要になります。
そのうえで、AI-OCRでも誤読がゼロにはならない前提に立ち、全件確認ではなく金額・数量など取り違えの効かない項目へ確認を寄せる。
この順で手を入れると、手作業が段階的に減っていきます。

誤読の原因を原稿・帳票側とエンジン側に分けた図(模式図)
原稿・帳票側の要因とエンジン側の要因を並べた図

原稿・帳票側の要因(手書き・くせ字・非定型フォーマット)

FAXでの受注をやめればいい、という話にはなりにくいのが実情です。
食品業の小売・卸売で受注業務を担当する人への調査では、受注方法としてFAXを挙げた割合が67%にのぼり、FAX・電話での受注をやめると取引に支障が出ると考える担当者は58.8%でした3。
中小企業全体を対象にした報道でも、受発注の7〜8割がFAXでやり取りされていると紹介されています4。
いずれも業種や時点の限られた調査で、そのまま自社の取引構成に当てはまるわけではありませんが、取引先の都合でFAXが残り、受け手側では注文書の手入力に手間がかかる(同じ調査で60%)3という構図は、OCRを導入した現場の出発点とよく重なります。

OCRを入れたのに手直しが減らないとき、まず見るべきは原稿そのものの状態です。
NTTデータが6自治体・73種類の帳票を対象に行ったAI-OCRの実証では、雑字・くせ字・悪筆といった書き方が誤読になりやすく、罫線や枠線に文字が重なる、枠線から文字がはみ出すといったケースも誤読の要因になると報告されています2。
これは自治体の窓口帳票を対象とした検証であり、注文書での誤読率をそのまま示すものではありません。
ただ、人が枠のなかに手で書き込む書類という点では、FAX受注の注文書と条件が重なります。

この種の要因は、誤読の出方に偏りとして表れます。
たとえば、ある取引先から届く注文書だけ数量欄の読み違いが続いているなら、原因はその会社の記入の仕方か、使っている注文用紙の枠の作りにある可能性が高くなります。
数字の「1」と「7」、「0」と「6」のように、書き方の癖が出やすい文字で誤りが集中しているかどうかも手がかりです。
逆に、取引先を問わず同じ欄で読み違いが起きるなら、原稿の書き方ではなく、その欄の位置や枠のデザイン、あるいは後述する画像側の条件を疑うことになります。

もう一つ、様式そのものがばらばらであるという要因もあります。
取引先が自社の注文用紙をそのまま使ってFAXしてくる場合、品名・数量・納期の並び順も、罫線の引き方も会社ごとに違います。
この状態では、OCRに「どこを読むか」を教える設定が取引先の数だけ必要になり、設定が追いついていない様式ほど取りこぼしが増えます。
誤読ではなく「そもそも欄を拾えていない」という症状が出ていれば、これは字の読み取り精度の問題ではなく、様式と設定の対応関係の問題です。

FAX画像伝送・OCRエンジン側の要因(画質圧縮・罫線接触・特殊フォント)

手書き欄だけでなく、印字された部分でも誤読が出ているなら、原因は紙の上ではなく画像のほうにあります。
FAXは送受信の過程で画像を圧縮するため、文字や罫線がぼやけ、かすれや薄い印字、罫線に接した文字、特殊なフォントが誤読の要因になると指摘されています1。
手元の原本ではきれいに印字されている伝票でも、相手先の送信機と自社の受信機を通った時点で、OCRが見る画像は別物になっているということです。

ここに、現場でよくある操作が重なります。
複合機で受信したFAXをいったん紙に出力し、それをスキャナーで読み込んでからOCRにかける運用です。
この経路では、圧縮によって劣化した画像を印刷し、それをもう一度撮り直すことになるため、劣化が二重にかかります。
複合機が受信したデータをそのままOCRに渡せる場合、この一往復を省けることが認識率向上につながる要素として挙げられています1。

原稿が斜めに入っている、送信時に縮小されている、といった条件も無視できません。
相手がFAX機にセットした紙が少し傾いていれば、届く画像も傾き、枠の位置を基準に読み取っている設定とずれます。
傾きや拡大縮小を自動で補正する機能はこうしたずれを吸収するために用意されているもので、製品側で対応できる範囲です1。
つまり、同じ「読めていない」という症状でも、記入者に協力を求めて解決する話と、機器やソフトの仕様で解決する話が混ざっているのです。

切り分けの材料は、すでに手元にあります。
直したところで捨ててしまっている修正済みの伝票こそ、どの欄で、どの取引先で、どんな文字が誤読されたかを教えてくれる記録です。
一週間分でもよいので、誤読した箇所に印を付けて残すところから始めると、次の節以降の判断が推測ではなく実物に基づくものになります。

誤読の見直し先を見分ける確認順序
誤読伝票を集める、並べる、分ける、見直し先を決める、の四段階

帳票様式・運用ルールの見直しだけで改善できる範囲

運用側で取り組める二つの改善対象(模式図)
帳票様式の改善と帳票定義作業の習熟度向上を並べた図

記入枠の拡大・裏写り対策などの帳票様式改善

原稿側に原因が偏っているとわかったら、先に試せるのは様式と記入ルールの見直しです。
先の自治体実証では、記入枠の拡大や裏写り対策といった帳票様式の改善によって、AI-OCRの精度改善が期待できると整理されています2。
枠が狭ければ文字は罫線にかかり、はみ出します。
枠を広げるのは、記入者に丁寧さを求めるのではなく、多少崩れた字でも枠のなかに収まるようにする、という発想の対策です。

裏写りは、用紙の裏面や下敷きの印字が透けて画像に写り込み、文字と重なってしまう現象です。
FAXに通した段階でコントラストが変わるため、目で見ればうっすら見える程度の写り込みでも、読み取りの邪魔になることがあります。
用紙や印刷面の作りで軽減できる部分があり、様式改善の一項目として挙げられています2。
ただしこの実証は自治体窓口の手書き帳票73種を対象としたもので、どの程度改善するかは帳票の性質によって変わります。
自社の注文書で同じ幅の効果が出ると約束するものではない、という前提で取り組むほうが安全です。

受注業務で難しいのは、書類に記入するのが自社の社員ではなく取引先だという点です。
枠を広げた注文書を用意しても、相手が長年使っている自社様式でFAXしてくれば様式改善は届きません。
そこで現実的なのは、全取引先に一斉に切り替えを求めるのではなく、誤読の記録で上位に出てきた取引先から順に、新しい注文用紙を渡して使ってもらえないか相談することです。
「読み取れず電話で確認する回数を減らしたい」という理由は相手にも利があり、切り出しやすい話でもあります。

記入ルールの共有も、様式と同じ効果を狙う手です。
数量欄に「10ケース」と単位まで書き込まれる、品番欄に社内呼称が書かれる、訂正が二重線と手書きで入る——こうした書き方の揺れは、字の読み取り以前に項目の解釈を狂わせます。
記入例を一枚添えるだけで揃う部分は少なくありません。
それでも揃わない相手が残るのは織り込んでおき、その分は人が見る前提で残すほうが、運用としては破綻しません。

OCR帳票定義作業の習熟度向上

様式の話と並んで、同じ実証でもう一つ挙げられているのが、AI-OCRの帳票定義作業の習熟度です2。
帳票定義とは、この様式のこの位置にある枠を「品番」、この位置を「数量」として読む、と対応付ける設定作業のことです。
つまり、誤読に見えている症状の一部は、字の認識ではなく「どこを何として読むか」の設定精度の問題だということになります。

この視点は、導入直後に手直しが多かった現場ほど効いてきます。
初期に作った定義は、届いた見本の一枚を基準に組んでいることが多く、実際の運用で出てくるばらつき——欄外への追記、複数行にまたがる品目、社判の重なり——を織り込めていません。
定義を作り直せる人が社内に一人でもいて、誤読が出たときに設定側を直せる状態になっているかどうかで、同じ製品でも数か月後の手直し量が変わります。

そのため、運用改善で決めておきたいのは「誰が直すか」です。
誤読を見つけた担当者が修正して終わりにすると、記録は残らず、定義は初期のままになります。
誤読の記録を月に一度でも定義担当が見て、設定で吸収できるものと吸収できないものを仕分ける。
この往復があって初めて、運用改善の効果は積み上がっていきます。

ここまでが、製品を入れ替えずに取り組める範囲です。
枠と記入ルールで原稿の状態を整え、定義で拾い方を合わせる。
ただし、これらはいずれも「読み取る対象の画像がある程度きれいであること」を前提にしています。
画像そのものが潰れている誤読は、この範囲では届きません。

OCR設定・製品仕様の見直しが必要になるケース

従来型OCRとAI-OCRの認識率の違い

印字欄でも読み違いが出る、罫線にかかった文字がことごとく落ちる、フォントによって結果が安定しない。
こうした症状が残るなら、次に見るのはエンジンそのものの認識力です。
PFUが自社の基準帳票を用いて行った検証では、従来型OCRの認識率が80%だったのに対し、AI-OCR(DynaEye 11)では98%という結果が示されています1。
同じ原稿を同じ条件で読ませた比較なので、原稿の状態ではなくエンジンの違いだけで結果がここまで動くということになります。

読み取りの種類 認識率
従来型OCR 80%
AI-OCR(DynaEye 11) 98%

注意したいのは、この80%と98%が製品提供者の基準帳票での数字だという点です。
劣化したFAX原稿や手書きの多い注文書で同じ差が再現されるとは限りません。
この数値から読み取るべきは「乗り換えれば98%になる」ということではなく、原稿が同じでも読み取り側の世代によって結果が大きく変わる領域がある、ということです。
運用改善をやり尽くしても手直しが減らないなら、その差の側に原因が残っている可能性を検討する価値があります。

判断の順番としては、前の節で挙げた様式・記入ルール・定義の見直しを先に当てるほうが費用も交渉も軽く済みます。
ただし、導入しているのが古い世代のOCRで、印字部分ですら安定しないという状態であれば、様式を整えても伸びしろは限られます。
切り分けの記録を見て、手書き欄の誤読が大半なら運用側から、印字欄にも広く散っているなら製品側から——という当て方が現実的です。

FAX対応機能・傾き補正など製品仕様で吸収できる誤読

製品選びで見るのは、認識率の数字だけではありません。
FAX受注に固有の劣化に対しては、FAXに対応したAI-OCRを使うこと、複合機が受信したデータを紙に出力せず直接活用すること、傾きや拡大縮小を自動で補正する機能を使うことが、認識率の向上に寄与する要素として挙げられています1。
いずれも、前の節で見た「画像側の要因」を製品仕様で吸収しようという方向の対策です。

現行の環境を確かめる順番としては、まず経路を見ます。
受信したFAXを紙に出してスキャンし直しているなら、複合機の受信データをそのままOCRに渡せる構成に変えられるかを、複合機とOCRの双方の仕様で確認します。
次に補正です。
傾きや縮小が原因と見られる誤読が出ているなら、いま使っている製品に自動補正の設定があるか、あるとして有効になっているかを見ます。
機能が備わっていても既定で切れている、あるいは初期設定のまま調整されていない、という状態は珍しくありません。

ここで一つ区別しておきたいのは、「FAXの画像を扱えること」と「FAX原稿の劣化に強いこと」は別だという点です。
ファイル形式として受け取れるかどうかは入口の話で、圧縮で潰れた文字や罫線に接した数字を拾えるかは認識側の話になります。
検討時に試すなら、きれいな見本ではなく、実際に手直しが多かった注文書を何枚か通してみるほうが、自社での挙動がわかります。
どの製品がどこまで対応するかは仕様と実機での確認が要る部分で、一般論で置き換えられるものではありません。

運用側の対策と製品側の対策は、どちらかを選ぶ関係ではありません。
様式と記入ルールで原稿の質を上げ、定義で拾い方を合わせ、そのうえで画像の経路と補正を整える。
それぞれが別の要因に効くため、片方だけを進めても手直しは途中までしか減らない、というのがここまでの見立てです。

製品仕様で吸収できる三つの対応(模式図)
FAX対応OCR、受信データの直接活用、自動補正機能を並べた図

修正後も残る誤読を前提にした確認体制・承認フローの設計

確認体制を組み替える三段階の進め方
現状を測る、優先順位を決める、分担を組み替える、の三段階

残存誤読率を前提にした抜き取りチェックの設計

ここまでの見直しをすべて行っても、確認作業がゼロになることはありません。
製品提供者の基準帳票を用いた検証でAI-OCRの認識率は98%1、自治体の実証で6自治体・73帳票の手書きサンプルを対象に測った正読率は約93%でした2。
この二つは対象の帳票も時点も測り方も異なるため、優劣を比べる数字ではありません。
それでも共通して言えるのは、条件を整えた検証でも100%には届いていないということです。
誤読が残る前提で確認の仕組みを組まない限り、結局は全件を見るしかなくなります。

設計の出発点は、他社の検証値ではなく自社の実績です。
同じAI-OCRでも、読ませる原稿が手書き中心か印字中心か、様式が揃っているかで結果は変わります。
一定期間、修正した項目を記録しておけば、自社の帳票でどの欄にどれだけ誤読が出るかが見えてきます。
この記録がないまま確認を減らすと、どこを手放したのかが説明できず、問題が起きたときに全件確認へ戻す以外の手がなくなります。

抜き取りに移すときは、「件数を何割見るか」よりも「どの条件の伝票を見るか」で組むほうが機能します。
新規の取引先、様式を変えたばかりの取引先、手書きの比率が高い伝票、前月に誤読が集中した項目——こうした条件に当たるものを厚く見て、安定している経路は薄くする。
読み取り結果ごとの確からしさを出力できる製品であれば、その値が低い項目を優先して見る組み立ても考えられますが、そうした出力があるかどうかは製品の仕様を確かめる必要があります。

金額・数量など誤読が許容できない項目の優先確認

残る誤読の重さは、項目によってまったく違います。
数量が一桁違えば出荷も請求も狂い、取引先との関係に直接響きます。
一方、備考欄の文字の取り違えは、後工程で気づいて直せる場合があります。
確認体制を組み替えるというのは、確認の総量を減らすことではなく、限られた確認の手を重い項目に寄せることです。

そこで、項目を「誤ると外部に影響が出るもの」と「社内で気づいて直せるもの」に分けます。
前者に当たるのは、たとえば数量、単価や金額、品番、納期、届け先といった欄でしょう。
これらは誤読の記録に出てこなくても、確認の対象から外さない扱いにしておく。
後者は、抜き取りと後工程での突合に委ね、目視の手を毎回かけないようにする。
この線引きを文書にして承認フローに反映しておかないと、担当者の判断で結局すべて見てしまう状態に戻ります。

承認のかけ方も合わせて決めておきます。
誤読を修正した伝票は誰の目を通すのか、修正前後の値を残すのか、金額の大きい注文は別扱いにするのか。
ここを決めておけば、確認を絞ったあとでも「なぜこの値になったか」をたどれます。
手直しの履歴が残っていることは、次に様式や定義を見直すときの材料にもなります。

一点、範囲を確かめておきたいことがあります。
受発注データの正確性について契約や社内規程がどこまで求めているかは、業種や取引条件によって異なり、今回参照した資料の範囲では確認できていません。
確認を減らす方向に運用を変える前に、取引基本契約や社内の承認規程に定めがないかを当たっておくほうが確実です。
技術側でどこまで読めるかという話と、業務として誰がどこまで責任を負うかという話は、別に詰める必要があります。

どの見直しから手を付けるかは、自社の誤読がどこに偏っているかで変わります。

誤読の記録を並べても、記入枠や帳票定義で吸収できる範囲と、読み取り側の仕様に踏み込まないと届かない範囲の境目は、自社の伝票だけを見ていると判断がつきにくいところです。

手直しの多い注文書を数枚お持ちいただければ、どの症状が運用の見直しで減り、どこから設定や仕組みの側の話になるのかを一緒に切り分けられます。無料相談で要件を整理する

誤読の出方から見直し先を判断する観点

誤読がどの欄・どの取引先に偏っているかという観点で、運用側の見直しと製品・設定側の見直しのどちらから手を付けるかを並べています。

  • 特定の取引先の伝票だけで誤読が続く:その会社の記入の仕方と、使っている注文用紙の枠を見直す
  • 取引先を問わず同じ欄で誤読が出る:その欄の位置・枠の作りと、帳票定義の設定を見直す
  • 手書き欄だけで誤読が出て、印字欄は安定している:記入枠の広さと記入ルールの共有から着手する
  • 印字欄でも読み違いが散らばる:画像の経路(受信データの扱い方)とOCRエンジンの世代を確認する
  • 欄そのものを拾えていない・空欄になる:字の認識ではなく、様式と帳票定義の対応が追いついていない
  • 伝票の傾きや縮小が目立つ:自動補正の設定があるか、有効になっているかを確認する

同じ取引先の伝票でも、手書き欄と印字欄で出方が違うときは、欄ごとに分けて当てはめます。

誤読の出方の傾向ごとに見直す先を分けた図(模式図)
手書き欄中心、印字欄にも及ぶ、様式・設定の対応不足、の三つの傾向

要点の整理

判断の軸 見るところ
誤読の発生源 手書き欄に偏るか、印字欄にも散るか
運用側で直せる範囲 記入枠の広さ、裏写り、記入ルール、帳票定義の設定
製品側で吸収する範囲 エンジンの認識力、受信データの扱い方、傾き・拡大縮小の自動補正
残る誤読の前提 条件を整えた検証でも認識率は100%に届いていない
確認を寄せる先 数量・金額・品番・納期・届け先など社外に影響が出る項目
進める前の確認 受発注データの正確性に関する契約・社内規程の定め

確認を全件から絞る段になると、どの項目を残しどこを抜き取りに回すかという線引きと、受注データが後工程でどう使われるかを合わせて考える必要が出てきます。 現在の受注処理の流れと手直しの実態をうかがったうえで、確認の手を残す項目と、転記や突合のどこを減らせる見込みがあるのかを整理してお伝えできます。

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よくある質問

FAX-OCRの誤読率はどの程度まで下げられるのか

到達点を一律に示せる数字はありません。
参考になるのは、製品提供者の基準帳票を用いた検証でAI-OCRの認識率が98%(従来型OCRは80%)とされていること1、6自治体・73帳票の手書きサンプルを対象とした実証で正読率が約93%だったこと2です。
この二つは対象も条件も異なるため並べて優劣を論じることはできませんが、条件を整えた検証でも100%には届いていない点は共通しています。
自社でどこまで下がるかは、手書きの比率、様式の揃い具合、FAX画像の劣化度合いによって変わるため、修正した項目を一定期間記録して実測するのが近道です。

手書き文字が多い帳票は運用改善だけでは限界があるのか

運用改善で効く部分は確かにあります。
記入枠の拡大や裏写り対策といった帳票様式の改善、帳票定義作業の習熟度向上は、精度改善が期待できる対策として挙げられています2。
一方で、雑字・くせ字・悪筆は誤読になりやすいとも報告されており2、記入する人の書き方まで完全に揃えることはできません。
受注の場合、書くのは取引先なので、様式の切り替えも相談ごとになります。
枠と記入例で拾える分は拾い、それでも残る分は人が確認する前提で体制を組むのが現実的です。

OCR製品を乗り換える前に確認すべき自社の誤読原因の切り分け方は

手直しした注文書を一定期間まとめ、取引先別・項目別に並べるところから始めます。
手書き欄だけで起きているなら記入枠と記入ルール、取引先を問わず同じ欄で起きているなら帳票定義の設定が先に疑われます。
印字された部分でも読み違いが出ているなら、画像側の条件です。
FAX送受信時の画質圧縮によるぼやけ、かすれ、罫線との接触、特殊フォントは誤読要因として挙げられており1、複合機で受信したデータを紙に出して再スキャンしていれば劣化が二重にかかります。
この経路と自動補正の設定を先に見直すと、乗り換えの要否を判断しやすくなります。

複合機で受信したFAXを紙に出力してからスキャンする運用は見直したほうがよいのか

見直す価値のある部分です。
複合機が受信したデータを紙に出さずそのまま活用することは、認識率の向上に寄与する要素として挙げられています1。
紙に出して読み直すと、圧縮で劣化した画像を印刷し、それをもう一度撮り直すことになるためです。
ただし実際に変更できるかは、使っている複合機とOCRの双方が受信データの受け渡しに対応しているかによります。
現行機の仕様を確認したうえで判断してください。

確認体制を全件チェックから抜き取りチェックへ移行する際、まず何を優先して確認すべきか

誤ると社外に影響が出る項目を優先します。
数量、単価や金額、品番、納期、届け先といった欄は、取り違えると出荷や請求に直結し、後工程で気づいても取り返しがつきにくいためです。
そのうえで、新規の取引先、様式を変えたばかりの取引先、手書きの比率が高い伝票など、誤読が出やすい条件に当たるものを厚く見ます。
件数の割合から決めるのではなく、条件から決めるほうが運用として機能します。
なお、受発注データの正確性に関する契約上・規程上の要件は今回参照した資料では確認できていないため、確認を絞る前に自社の契約書と社内規程を当たってください。

◆監修・編集責任者

小園 将隆

株式会社フライトソリューションズ ECサービス部 マネージャー

BtoB通販のパッケージシステム「EC-Rider B2B Ⅱ」の導入支援をはじめ、製造業、卸売業をはじめとした法人向け通販サイト構築を多数手掛ける。卸売領域の専門知識をもとに、日本の商習慣に固有の課題をパッケージシステムの機能追加によって解決。BtoB流通の販路拡大を支援する。

> プロフィールの詳細を見る

  1. 1 出典:株式会社ピーエフユー(リコーグループ)「FAX注文書はOCRできる?精度を向上させる3つのポイント(デジタラクル コラム)」(2025年)
  2. 2 出典:株式会社NTTデータ「町田市、郡山市、市川市、つくば市、横浜市、福岡市におけるAI-OCR実用性の検証結果について」(2019年)
  3. 3 出典:株式会社ハンモック「食品業の受注業務に関する実態調査」(2023年)
  4. 4 出典:日経BP(日経クロステック)「中小企業の8割が「ファクスで受発注」の現実、DX時代に日本の競争力が失われる」(2019年)

◆この記事について

独自調査以外の一次情報は、省庁・公的機関を中心とした信頼性の高い情報源から引用し、出典を明記しています。
年次更新される統計については、引用元の最新版を確認したうえで掲載しています。

※この記事は上記の監修・編集責任者がAIの協力を得て制作しています。

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