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FAX-OCRの繁忙期運用|確認・修正の詰まりを減らす振り分けと準備の考え方

◆監修・編集責任者 小園 将隆 

B2B EC-COLUMN

この記事のポイント

  • 繁忙期のFAX-OCRで詰まりやすいのは読み取りより確認・修正の工程で、認識率が高くても全件確認なら枚数に比例して確認が増える
  • 自動で通す・確認する・手入力するは、項目ごとの信頼度と、品番・数量・納期・単価の誤りが出荷や請求へ及ぶ影響の大きさで分ける
  • しきい値に共通の推奨値はなく、過去のFAXと正しい登録内容の突き合わせで決め、確認に回った率と修正件数で見直す
  • 繁忙期前に、取引先ごとの帳票設定、受信データの扱いと補正、応援者の作業範囲と例外ルールを整えておく
  • 書式統一やEDIへの移行は取引先の対応が前提で、件数と修正の多い取引先から変更の小さい方法で相談する

20代後半の日本人女性が窓際での書類確認をしている場面

繁忙期に詰まるのは「読み取り」ではなく確認・修正の工程であることが多い

繁忙期に注文FAXが普段より大幅に増えると、FAX-OCRが読み取った結果の確認・修正に人が張り付き、登録待ちの注文が積み上がります。
その間に納期回答や出荷手配が後ろへずれ、急いで直した数量や品番の誤りが誤出荷につながりかねません。
認識率の高い製品でも、読み取り結果を全件見直す運用のままでは、この詰まりは繁忙期のたびに起きます。
変えられるのは確認の対象です。
読み取りの信頼度と、誤ったときに出荷や請求へ及ぶ影響の大きさで、自動で通す注文、人が確認する項目、最初から手入力する注文を分けます。
その振り分けを繁忙期の前に準備しておくことが中心の答えです。

FAX-OCRの認識率98%の見方と検証条件

FAX-OCRの精度を示す数字として、PFUのコラムは、PFU基準帳票を用いたFAX注文書の読み取りで、従来OCRの認識率が80%だったのに対し、同社のAI-OCR(DynaEye 11)では98%だったと紹介しています1。
80%と98%の差は大きく、読み取りの段階では技術の進歩が確かに効いていることが分かります。
ただし、この値は同社が用意した基準帳票での結果で、検証した時期の記載もありません。
自社に届くFAXの画質や、取引先ごとに違う注文書の書式で同じ値が出るとは限らないため、製品を比べる目安として受け取るのが妥当です。

同じコラムは、AI-OCRを使っても認識結果の校正・修正の手間は発生するとしています1。
LINE WORKSのコラムも、認識精度が100%でない以上、目視で確認する作業は残ると述べ、FAXや手書きの誤読が利用者の不満として最も多いことを挙げています3。
そのうえで、認識率の数字の高さではなく、確認・修正まで含めた処理時間で効果を判断するよう勧めています3。
どちらも提供元の見解を述べたコラムで、製造業の受注業務を対象にした調査ではありません。
それでも、繁忙期の詰まりを考える出発点としては十分です。

ここから言えるのは、繁忙期の処理能力を決めているのは読み取りの速さより、人が結果を見て直す工程だということです。
認識率が98%でも、残りの誤りがどの注文のどの項目に潜んでいるか分からなければ、担当者は結局すべての注文を開いて見比べることになります。
OCRの読み取りは枚数が増えても機械が処理しますが、全件確認の作業は枚数に比例して増え、担当者の人数と時間で上限が決まります。
普段は回っていた確認が、注文が集中する時期にだけ溢れるのはこのためです。

反対に言えば、確認の対象を誤りが疑われる箇所と、誤ったときの影響が大きい項目に絞れれば、注文が増えても確認の量は全件ほどには増えません。
どこまで絞れるかは、自社のFAXで実際にどの程度の誤りが出ているかによって変わります。
工程ごとの所要時間は会社ごとに違うため、まず自社の詰まり方を確かめるところから始めます。

詰まりを4工程に切り分ける

繁忙期に「OCRが追いつかない」と感じたとき、原因はひとつとは限りません。
受注処理を次の4つに分けて見ると、手を打つ場所がはっきりします。

  • 読み取り精度:FAXの画質や書式が原因で誤読が多く、修正する項目そのものが多い状態
  • 確認の手順と人数:誤読は多くないのに、全件を同じ手順で見ているため確認待ちが溜まる状態
  • 取引先ごとの書式差:特定の取引先の注文書だけ読み取り位置がずれ、毎回手で直している状態
  • 基幹への登録:確認は済んでいるのに、販売管理や基幹システムへの登録・転記で止まっている状態

見分けるには、繁忙期に近い時期の数日分について、注文1件ごとに「受信した時刻」「確認を始めた時刻」「確認で直した項目」「登録が終わった時刻」を控えておくのが手軽です。
確認を始めるまでの待ちが長ければ確認の手順と人数、直した項目が多ければ読み取り精度、直した注文が特定の取引先に偏っていれば書式差、確認後から登録までが長ければ登録の工程が詰まりどころです。
実際には複数が重なっていることもありますが、どこが一番長いかが分かれば、次の繁忙期までに優先して変える場所を選べます。

読み取り精度と書式差は、帳票の設定や受信データの扱いを見直す準備で改善を狙えます。
確認の手順と人数は、確認の量そのものを減らす振り分けが中心になります。
登録の工程が詰まっている場合は、OCRの結果を基幹へ取り込む方法が手入力か連携かによって打ち手が変わるため、OCRの設定とは別に検討します。

注文ごとの記録から詰まりどころを見分ける見方(模式図)
確認開始までの待ち、直した項目の多さ、取引先への偏り、登録までの長さから手を打つ場所を分けた図確認開始までの待ち、直した項目の多さ、取引先への偏り、登録までの長さから手を打つ場所を分けた図確認を始めるまでの待ちが長い確認の手順と人数直した項目が多い読み取り精度直した注文が特定の取引先に偏る取引先ごとの書式差確認後から登録までが長い基幹への登録

▼ 図の内容を文字で読む
  • 確認を始めるまでの待ちが長い
    • 確認の手順と人数
  • 直した項目が多い
    • 読み取り精度
  • 直した注文が特定の取引先に偏る
    • 取引先ごとの書式差
  • 確認後から登録までが長い
    • 基幹への登録

自動で通す・確認する・手入力するの振り分けは、信頼度と誤りの影響の大きさで決める

信頼度スコアで確認対象を絞る仕組み

確認の対象を絞るには、OCRが「この読み取りはどのくらい確からしいか」を示してくれると役に立ちます。
その仕組みの例として、MicrosoftのAzure Document Intelligenceでは、読み取った項目(フィールド)ごとに、予測が正しい推定確率を0から1の値で返す「信頼度」が用意されています2。
同社の説明では、正確性が重要な場面で、予測をそのまま自動で受け入れるか、人のレビューに回すかを決めるのにこの値を使えるとされています2。

ただし、これは汎用の文書読み取りサービスの仕様で、国内で使われているFAX-OCR製品が同じ仕組みを持つとは限りません。
Azureでも、すべてのフィールドが信頼度を返すわけではないとされています2。
自社の製品で、項目ごとの確からしさが数値で出るのか、自信のない文字に色や印が付くだけなのか、その値で確認画面への振り分けを設定できるのかは、製品のマニュアルや提供元に確かめる必要があります。
数値が出ない製品でも「要確認」の目印が付くなら、その目印を振り分けの入口として使えます。

信頼度は便利ですが、それだけで振り分けると落とし穴があります。
信頼度は「読み取りが正しそうか」を示す値で、「間違えたときにどれだけ困るか」は表していません。
備考欄の読み違いと数量の読み違いが同じ信頼度でも、出荷や請求への影響はまったく違います。
そこで、信頼度と誤りの影響の大きさの2つを組み合わせて、次の3つに分けて考えます。

  • 自動で通す:信頼度が十分に高く、誤っても影響が小さい項目だけの注文
  • 確認する:影響の大きい項目の信頼度が低い注文、または影響の大きい項目を信頼度に関わらず見ると決めた注文
  • 手入力する:画質が悪い、書式が登録されていないなどで、多くの項目が読めていない注文

どの値を境に確認へ回すかという「しきい値」には、どの製品にも当てはまる推奨値はありません。
同じ値でも、取引先の書式や画質によって、その値の項目がどのくらい実際に間違っているかが変わるからです。
決め方としては、過去に受けたFAX注文をOCRに読ませ、正しい登録内容と突き合わせて、信頼度の値ごとに誤りがどれだけあったかを並べる方法が分かりやすいでしょう。
手順にすると次のとおりです。

  1. 前の繁忙期など、注文が多かった時期のFAXを数日分集める
  2. OCRに読ませ、項目ごとの読み取り結果と信頼度を書き出す
  3. 実際に登録した正しい内容と突き合わせ、誤っていた項目に印を付ける
  4. 項目ごとに、信頼度の値と誤りの出方を並べて境を決める
  5. 繁忙期の前に通常期の注文で試し、自動で通した注文に後から誤りが見つからないかを確かめる

誤りが集中して出始める値の少し上に境を置き、影響の大きい項目ほど境を高くしておけば、確認に回る量と見逃しの危険の釣り合いを、自社のデータで判断できます。
試行で決めた境は一度で正解になるものではなく、繁忙期を終えたあとの記録で動かしていく前提の値です。

品番・数量・納期・単価ごとの影響の整理

誤りの影響の大きさは、その項目が受注の後でどの作業に使われるかで考えると整理しやすくなります。
製造業の受注では、品番と数量は出荷や生産の手配、在庫の引当にそのまま使われ、納期は手配の順番を決め、単価は請求の金額になります。
同じ1文字の誤読でも、どの作業に流れ込むかで、気付く時点と取り返しにかかる手間が変わります。

品番と数量を信頼度に関わらず確認に回すのは、誤ったまま進むと、取引先に品物が届くまで気付かれないことがあるためです。
とくに数量は、10と100のような桁違いなら目立ちますが、8と6、1と7のような読み違いは見た目に不自然さがなく、そのまま出荷数になりかねません。

とはいえ、品番と数量を全件目で見ると、確認の量はあまり減りません。
販売管理や基幹システムに品番マスタがあるなら、読み取った品番がマスタに存在するか、その取引先が過去に注文した品番かを照合するだけでも、明らかな誤読は機械的に拾えます。
数量も、その取引先のその品番で普段の注文数から大きく外れていないかを照合できれば、人が見るのは照合で引っかかった注文だけで済みます。
こうした照合ができるかどうかは、使っているシステムとOCR結果の取り込み方によって違うため、できる範囲から組み合わせます。

単価は、取引先との契約単価が登録されていれば、読み取った単価との差を請求前に照合する方法が取れます。
受注の時点では品番・数量と納期を優先し、単価は請求前の照合で拾うと決めておけば、繁忙期の確認を受注の段階に集中させずに済みます。
どの項目をどの段階で見るかは会社の取引条件によって変わりますが、項目ごとに「誰が・いつ・何と照らして」確認するかを決めておくことが、全件確認から抜け出す前提になります。

項目 誤ったときに起きること 気付きやすさ 扱いの考え方
品番 違う品物を手配・出荷する 出荷後に取引先からの連絡で気付くことがある 信頼度に関わらず確認する
数量 過不足のある出荷や在庫引当のずれ 桁違いでなければ気付きにくい 信頼度に関わらず確認する
納期 手配が遅れる、または早すぎる 納期回答や手配の段階で気付けることがある 信頼度が低ければ確認する
単価 請求金額の差異 請求や照合の段階で気付くことが多い 信頼度が低ければ確認し請求前の照合でも見る
信頼度と誤りの影響の大きさで注文を3つに振り分ける判断の順序
多くの項目が読めていなければ手入力、影響の大きい項目に不安があれば確認、それ以外は自動で通す判断の順序1画質が悪い・書式が登録されていないなどで多くの項目が読めていない → 手入力する2影響の大きい項目の信頼度が低い、または見ると決めた項目がある → 確認する3信頼度が十分に高く、誤っても影響が小さい項目だけ → 自動で通す

▼ 図の内容を文字で読む
  1. 画質が悪い・書式が登録されていないなどで多くの項目が読めていない → 手入力する
  2. 影響の大きい項目の信頼度が低い、または見ると決めた項目がある → 確認する
  3. 信頼度が十分に高く、誤っても影響が小さい項目だけ → 自動で通す
過去のFAXからしきい値を決めて試す手順
過去のFAXを集めて読ませ、正しい登録内容と突き合わせ、境を決めて通常期の注文で試すまでの手順1注文が多かった時期のFAXを数日分集める2OCRに読ませ、項目ごとの結果と信頼度を書き出す3正しい登録内容と突き合わせ、誤りに印を付ける4信頼度の値と誤りの出方を並べて境を決める5通常期の注文で試し、自動で通した注文の誤りを確かめる

▼ 図の内容を文字で読む
  1. 注文が多かった時期のFAXを数日分集める
  2. OCRに読ませ、項目ごとの結果と信頼度を書き出す
  3. 正しい登録内容と突き合わせ、誤りに印を付ける
  4. 信頼度の値と誤りの出方を並べて境を決める
  5. 通常期の注文で試し、自動で通した注文の誤りを確かめる

繁忙期の前に整える準備:帳票設定・確認体制・例外ルール

帳票設定と書式のバリエーション

振り分けの基準を決めても、読み取りの段階で誤りが多ければ、確認に回る注文は減りません。
LINE WORKSのコラムは、導入時につまずきやすいのは読み取り項目や位置の初期設定だとしています3。
導入時に設定した帳票のまま運用を続けていると、取引先が注文書の書式を変えたり、新しい取引先が増えたりしたときに、読み取り位置がずれたまま毎回手で直していることがあります。

書式のばらつきについては、Azureの説明でも、文書の書式の違いが信頼度に影響するとされています2。
そのうえで、書式のバリエーションを学習データに含めるか、見た目が大きく違う文書はモデルを分けることが示されています2。
国内のFAX-OCR製品で同じ考え方を取るには、製品によっては取引先ごとに帳票を分けて登録する形になり、操作の方法は製品ごとに違います。

繁忙期の前にやっておきたいのは、取引先ごとの注文書の棚卸しです。
前の繁忙期に注文が多かった取引先から順に、現在届いている注文書の書式と、OCRに登録されている帳票の設定が合っているかを見比べます。
同じ取引先でも、部署や担当者によって別の書式で送ってくる場合があり、それをひとつの帳票設定で読ませていると、片方の書式だけ誤りが増えます。
見た目が違う書式は別の帳票として分けておくと、取引先ごとの書式差から来る修正を繁忙期に持ち越さずに済みます。

受信データの扱いと画質の補正

PFUのコラムは、FAX注文書の読み取り精度を上げるポイントとして、FAXに対応したAI-OCRを使うこと、紙に出力したFAXをスキャンせず複合機の受信データをそのまま活用すること、傾きや拡大縮小を補正することの3点を挙げています1。
このうち、すでにFAX-OCRを使っている受注担当者が運用で見直せるのは、後ろの2点です。

紙で回覧していた頃の手順を残していると、受信したFAXをいったん印刷し、それをスキャンしてOCRにかける流れになっていることがあります。
印刷とスキャンを挟むと、その分だけ画像に傾きやかすれが加わる機会が増え、元の受信画像より読み取りにくくなるおそれがあります。
複合機やFAXサーバーが受信した画像データを、そのままOCRの読み込み先へ送れるかどうかは、機器の設定と社内の仕組みによって違いますが、繁忙期の前に一度確かめておく価値があります。

傾きや拡大縮小の補正は、OCR製品の機能として備わっている場合と、読み込み前の画像処理で行う場合があります。
取引先の送信機の設定によっては、毎回少し傾いた画像や縮小された画像が届き、それが特定の取引先だけ誤りが多い原因になっていることもあります。
修正の多い取引先の受信画像を並べてみると、書式の違いなのか、画質や傾きの問題なのかの見当が付き、帳票設定を直すべきか、補正の設定を見直すべきかを選べます。

確認の応援体制と例外ルール

読み取りと帳票を整えても、繁忙期には確認に回る注文が増えます。
そのときに応援を頼めるかどうかで、溜まり方は大きく変わります。
応援の体制に一般的な正解はなく、取引先の数とFAXの量、社内で受注の内容が分かる人がどこにいるかで組み立て方が変わりますが、準備しておくと効く点はいくつかあります。

ひとつは、応援者が見る範囲を絞っておくことです。
振り分けができていれば、応援者は確認に回った注文の、印が付いた項目だけを原本の画像と見比べれば済みます。
注文全体の妥当性を判断させるのではなく、「画像の数字と画面の数字が同じか」に作業を限定すると、受注業務に慣れていない人でも手伝いやすくなります。
手書きの追記や取消線があるものなど判断が要る注文は、元の担当者へ戻す流れにしておきます。

もうひとつは、取引先ごとの癖を短くまとめておくことです。
品番の書き方に独自の略号を使う取引先、納期欄に日付ではなく週番号を書く取引先など、普段の担当者が頭の中で補っている知識は、応援者には分かりません。
繁忙期の前に、修正が多い取引先について一行ずつでも書き出しておけば、確認の迷いと担当者への問い合わせが減ります。

応援をいつから何人入れるかは、通常期に計った確認のペースから見積もるのが現実的です。
担当者が1時間に確認できる注文の件数と、繁忙期に1日に確認へ回る見込みの件数が分かれば、何人で何時間かかるかの目安が出ます。
確認へ回る見込みは、前の繁忙期の受注件数に、振り分けを試したときの確認率を掛けて置くことができます。
この見積もりは仮定の積み重ねなので、繁忙期に入ってから確認待ちの件数を毎日見て、前提とずれていれば早めに人を動かします。

例外ルールは、迷ったときに誰が何を決めるかを先に決めておくものです。
決めておきたいのは、たとえば次のような場面です。

  • 画質が悪く、品番や数量が判読できないとき:取引先へ再送を依頼するか、電話で確かめるか、誰が連絡するか
  • 同じ注文が二度届いたように見えるとき:重複か追加注文かを誰が判断し、登録を止めるか
  • 訂正のFAXが届いたとき:元の注文がすでに登録済みなら、どこを修正し、誰に知らせるか
  • 登録されていない書式で届いたとき:手入力に回すか、その場で帳票を追加するか

繁忙期には、こうした例外を担当者がその場で判断し、扱いが人によって違ってしまうことが誤受注につながります。
判断の担当と連絡の手順が決まっていれば、確認担当は例外を所定の置き場に移して次の注文へ進めます。

繁忙期の前に整える準備の内訳(模式図)
帳票設定、確認体制、例外ルールについて、繁忙期の前にやっておく内容を分けて示した図帳票設定、確認体制、例外ルールについて、繁忙期の前にやっておく内容を分けて示した図帳票設定取引先ごとの注文書の棚卸し見た目が違う書式は別の帳票に分ける確認体制応援者が見る範囲を絞る取引先ごとの癖を一行ずつまとめる例外ルール再送依頼・重複・訂正FAX・未登録書式の判断の担当と連絡の手順を決める

▼ 図の内容を文字で読む
  • 帳票設定
    • 取引先ごとの注文書の棚卸し
    • 見た目が違う書式は別の帳票に分ける
  • 確認体制
    • 応援者が見る範囲を絞る
    • 取引先ごとの癖を一行ずつまとめる
  • 例外ルール
    • 再送依頼・重複・訂正FAX・未登録書式の判断の担当と連絡の手順を決める

繁忙期の最中に溜まったときの処理順と例外処理

処理順の考え方

準備をしても、注文が一度に集中すれば確認待ちは溜まります。
そのときに受信した順に処理していると、納期の近い注文が、確認に時間のかかる注文の後ろで待たされることがあります。
溜まったときの処理順に決まった型があるわけではありませんが、項目ごとに整理した誤りの影響の大きさと、納期までの余裕を組み合わせて考えると筋が通ります。

この表は処理順の一例で、どの注文を先にするかは、取引先との納期の約束や、即日出荷が必要な品番があるかによって変わります。
納期回答の期限を取引先ごとに決めている場合は、納期の近さより回答期限の近さで並べるほうが実態に合います。

大事なのは、自動で通せる注文を確認待ちの列に並べないことです。
全件確認の運用から切り替えたばかりの時期は、自動で通る注文まで念のため見たくなりますが、繁忙期にそれをすると確認の量は元に戻ります。
自動で通した注文の誤りが心配なら、繁忙期の間だけ一日の終わりに数件を抜き取って見直すなど、確認の場所を処理の流れの外へ移すほうが、納期への影響を抑えられます。

基幹システムがなく、受注を表計算や紙の台帳で管理している場合は、確認待ちと確認済みの区別が見えにくく、同じ注文を二人が確認したり、どれも手を付けられていなかったりします。
確認待ちの束や一覧を、状態ごとに分けて置く場所を決めておくだけでも、溜まっている量が見え、応援を頼む判断が早くなります。
処理順を変えた効果は、繁忙期の間の納期回答や出荷手配の遅れの件数を日ごとに数え、前の繁忙期と比べると確かめられます。

例外の手入力に回す条件

OCRの結果を直すより、最初から手で入力したほうが早い注文もあります。
読み取り結果の大半が誤っている注文を項目ごとに直していくと、画像と画面を何度も見比べることになり、手入力より時間がかかるうえ、直し漏れも起きやすくなります。
手入力に回す目安は、たとえば次のような状態です。

  • 画質が悪く、品番や数量など影響の大きい項目の多くが読めていない
  • OCRに登録されていない書式で届き、読み取り位置が合っていない
  • 手書きの追記や訂正が多く、どれが有効な内容か人が判断しないと決まらない
  • 複数ページにわたり、ページごとに書式が違う

手入力に回すと決めた注文は、OCRの結果を誤って登録しないよう、OCR側で処理済みか対象外の扱いにしておく必要があります。
同じ注文がOCRの結果と手入力の両方から登録されると、二重の出荷手配になります。
手入力に回した注文は、取引先名と理由を簡単に控えておくと、繁忙期の後に帳票設定を直す対象や、取引先に送り方を相談する対象を選ぶ材料になります。

注文の状態 処理の順番の考え方 理由
納期が近く、確認に回った項目がない 先に登録まで進める 確認を待たずに手配へ渡せる
納期が近く、品番・数量などに確認がある 最優先で確認する 遅れも誤りも出荷に直結する
納期に余裕があり、確認がある 納期の近い注文の後に確認する 誤りの影響は大きいが時間の余裕がある
画質不良・未登録の書式など 例外の置き場へ移して担当者がまとめて扱う 確認の流れを止めない
確認待ちが溜まったときの処理順の一例(模式図)
納期が近い注文、納期に余裕のある注文、例外の注文に分けて処理の順番の考え方を示した図納期が近い注文、納期に余裕のある注文、例外の注文に分けて処理の順番の考え方を示した図納期が近い注文確認に回った項目がなければ先に登録まで進める品番・数量などに確認があれば最優先で確認する納期に余裕がある注文納期の近い注文の後に確認する画質不良・未登録の書式などの注文例外の置き場へ移して担当者がまとめて扱う

▼ 図の内容を文字で読む
  • 納期が近い注文
    • 確認に回った項目がなければ先に登録まで進める
    • 品番・数量などに確認があれば最優先で確認する
  • 納期に余裕がある注文
    • 納期の近い注文の後に確認する
  • 画質不良・未登録の書式などの注文
    • 例外の置き場へ移して担当者がまとめて扱う

繁忙期後の見直しと、書式統一・EDIへ進む判断

見直しの指標

繁忙期が終わると詰まりの記憶は薄れ、次の繁忙期の直前まで運用が変わらないことがあります。
見直しは、繁忙期の記録が残っているうちに、数字で行うのが確実です。
LINE WORKSのコラムが勧めるように、効果は認識率の数字ではなく、確認・修正まで含めた処理時間で見ます3。
具体的な指標としては、次の3つを残しておくと、どこを直すべきかが読み取れます。

  • 確認に回った率:受け付けた注文のうち、確認へ回った注文の割合
  • 修正件数:確認で実際に直した件数を、項目別・取引先別に数えたもの
  • 受注から登録までの時間:FAXを受信してから基幹や台帳への登録が終わるまでの時間

この3つは組み合わせて読みます。
確認に回った率が高いのに修正件数が少なければ、しきい値が厳しすぎて、正しく読めている注文まで人が見ている可能性があります。
反対に、確認に回った率が低いのに、出荷後や請求時に誤りが見つかっているなら、しきい値が緩すぎるか、確認すべき項目の指定が足りていません。
その判断のために、自動で通した注文に後から見つかった誤りも、どの項目だったかと合わせて記録しておく必要があります。

修正件数を取引先別に並べると、特定の取引先に修正が偏っていることが分かる場合があります。
その取引先については、帳票設定や受信画像の補正で直るのか、手書きが多いなど注文書の作り方そのものに原因があるのかで、次の打ち手が変わります。
受注から登録までの時間は、どの指標を改善しても最終的に縮んでいるかを確かめる物差しで、ここが縮んでいなければ、詰まりが登録の工程など別の場所に移っていると考えられます。

移行を検討する条件

見直しを重ねても修正の多い取引先が残るなら、FAXの読み取りを良くするのではなく、FAXで受けること自体を減らす選択肢が視野に入ります。
取引先に自社指定の注文書の書式で送ってもらう書式の統一、Web上の受注画面から注文してもらう方法、企業間で受発注データをやり取りするEDI(電子データ交換)などです。

どの方法も、受注側だけでは決められない点が共通しています。
注文を送るのは取引先で、書式を変えるにも、Web画面で入力するにも、EDIでデータを送るにも、取引先の発注の手順を変えてもらうことになります。
取引先にとっては、自社のために社内の手順や担当者の作業を変える話であり、受注側が便利になるという理由だけでは進みにくいことを前提に考える必要があります。
移行に伴う取引先側の具体的な負担は、取引先の規模や使っているシステムによって違うため、一律には言えません。

相談の相手を選ぶときは、見直しの記録が役に立ちます。
注文の件数が多く、修正件数も多い取引先は、移行したときに受注側で減る確認の量が大きく、話を持ちかける理由をはっきり示せます。
一方で、件数が少なく、毎回きれいに読める取引先は、FAXのままでも確認に回ることが少ないため、移行を急ぐ必要は小さいでしょう。
まずは書式の統一のように取引先の変更が小さい方法から相談し、受け入れられた取引先から順に広げていく進め方なら、取引先との関係を損なわずに進めやすくなります。

移行を進めても、すべての取引先が同時に切り替わるわけではなく、しばらくはFAXと他の方法が混ざった受注が続きます。
FAXで受ける取引先が残る限り、FAX-OCRの振り分けと繁忙期の準備は、移行の検討と並行して見直し続けることになります。

見直しの指標の読み合わせと、直す場所の判断(模式図)
確認に回った率、修正件数、受注から登録までの時間の組み合わせごとに、見直す場所を示した図確認に回った率、修正件数、受注から登録までの時間の組み合わせごとに、見直す場所を示した図確認に回った率が高く、修正件数が少ないしきい値が厳しすぎる可能性確認に回った率が低く、後から誤りが見つかるしきい値が緩すぎる、または確認すべき項目の指定が足りない修正件数が特定の取引先に偏る帳票設定や画像の補正か、注文書の作り方かを見分ける受注から登録までの時間が縮まない詰まりが登録の工程など別の場所に移っている

▼ 図の内容を文字で読む
  • 確認に回った率が高く、修正件数が少ない
    • しきい値が厳しすぎる可能性
  • 確認に回った率が低く、後から誤りが見つかる
    • しきい値が緩すぎる、または確認すべき項目の指定が足りない
  • 修正件数が特定の取引先に偏る
    • 帳票設定や画像の補正か、注文書の作り方かを見分ける
  • 受注から登録までの時間が縮まない
    • 詰まりが登録の工程など別の場所に移っている

自社のFAX注文で、どの工程が詰まり、どの項目をどこまで自動で通せるかは、取引先の書式やOCR製品の設定、基幹への取り込み方によって変わり、担当者だけでは切り分けにくいことがあります。

次の繁忙期の前に、届いているFAX注文と現在の確認手順をもとに、確認の対象を絞れる箇所と、準備しておく帳票設定や例外ルールを整理できます。無料相談で要件を整理する

要点の整理

軸 基準
詰まりの場所 受信・確認開始・修正・登録の時刻を控え、一番長い工程から手を打つ
自動で通す範囲 項目ごとの信頼度と、誤ったときに出荷や請求へ及ぶ影響の大きさで決める
しきい値 過去のFAXと正しい登録内容を突き合わせて決め、繁忙期後に調整する
繁忙期前の準備 取引先ごとの帳票設定、受信データの扱いと補正、応援者の作業範囲と例外ルール
溜まったときの順番 納期の近さと確認の有無で並べ、自動で通せる注文を確認待ちに並べない
見直しの指標 確認に回った率、項目別・取引先別の修正件数、受注から登録までの時間
移行の判断 取引先の対応が前提。件数と修正の多い取引先から、変更の小さい方法で相談する

繁忙期後の記録を見ても、しきい値を動かすべきか、帳票設定を直すべきか、取引先に移行を相談すべきかは、複数の要因が重なって判断に迷いやすいところです。 確認に回った率や修正件数の記録をもとに、次の繁忙期までに変える運用と、取引先に相談する候補を整理できます。

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よくある質問

FAX-OCRの認識率は何%あれば繁忙期に自動で通してよいですか

何%なら自動で通してよいという一律の基準はありません。
公開されている値として、PFUの基準帳票を使ったFAX注文書の読み取りでAI-OCRが98%だった例がありますが、同社の基準帳票での結果で、自社のFAXや書式に当てはまるとは限りません1。
認識率が高くても誤りは残るため、注文全体の認識率ではなく、項目ごとの信頼度と、誤ったときの影響の大きさで自動で通す範囲を決めるほうが安全です。

信頼度のしきい値はどう決めて見直せばよいですか

どの製品にも当てはまる推奨値はないため、過去のFAX注文を読ませて正しい登録内容と突き合わせ、信頼度の値ごとの誤りの出方から境を決めます。
影響の大きい項目ほど境を高くし、繁忙期の後に、確認に回った率と修正件数、自動で通した注文に後から見つかった誤りを見て調整します。
自社のOCR製品が項目ごとの信頼度を出し、それで振り分けを設定できるかは製品によって違うため、先に確かめておきます。

品番・数量・納期・単価のうち、必ず人が確認すべき項目はどれですか

誤ったまま進むと出荷や生産の手配に直結する品番と数量は、信頼度に関わらず確認の対象にしておくのがひとつの考え方です。
ただし全件を目で見る必要はなく、品番マスタや過去の注文数との照合ができるなら、照合で引っかかった注文に絞れます。
納期は信頼度が低いときに確認し、単価は契約単価が登録されていれば請求前の照合で拾うなど、項目ごとに確認する段階を分けると繁忙期の負担を抑えられます。

繁忙期だけ確認担当を増やす場合、何を基準に増員を決めればよいですか

通常期に計った「担当者が1時間に確認できる件数」と、繁忙期に1日で確認へ回る見込みの件数から、必要な人数と時間を見積もります。
見込みは前の繁忙期の受注件数と、振り分けを試したときの確認率から置けますが、仮定にもとづく目安なので、繁忙期中は確認待ちの件数を毎日見て調整します。
応援者の作業を、印の付いた項目を画像と照らすことに絞ると、受注に慣れていない人でも入りやすくなります。

FAXの画質が悪い取引先の注文はどう扱えばよいですか

まず、紙に印刷してスキャンし直していないか、複合機の受信データをそのまま使えているかを確かめます。
PFUのコラムも、受信データの活用や傾き・拡大縮小の補正を精度向上のポイントに挙げています1。
それでも品番や数量が読めない注文は、無理にOCR結果を直さず手入力に回し、判読できないときに誰が取引先へ再送や確認を依頼するかを例外ルールとして決めておきます。
修正が続く取引先は、繁忙期の後に送り方や書式を相談する候補になります。

EDIやWeb受注への移行は、取引先側にどんな負担が出ますか

注文を送るのは取引先なので、EDIやWeb受注への移行は、取引先の発注の手順や担当者の作業を変えてもらうことになります。
具体的な負担は取引先の規模や使っているシステムによって違い、一律には言えません。
受注側の都合だけでは進みにくいため、件数と修正の多い取引先から、書式の統一のように変更の小さい方法も含めて相談すると進めやすくなります。

◆監修・編集責任者

小園 将隆

株式会社フライトソリューションズ ECサービス部 マネージャー

BtoB通販のパッケージシステム「EC-Rider B2B Ⅱ」の導入支援をはじめ、製造業、卸売業をはじめとした法人向け通販サイト構築を多数手掛ける。卸売領域の専門知識をもとに、日本の商習慣に固有の課題をパッケージシステムの機能追加によって解決。BtoB流通の販路拡大を支援する。

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  1. 1 出典:株式会社ピーエフユー「FAX注文書はOCRできる?精度を向上させる3つのポイント(デジタラクル コラム)」(2025年)
  2. 2 出典:Microsoft「モデルの正確性スコアと信頼度スコアの解釈と改善(Azure Document Intelligence)」(2026年)
  3. 3 出典:LINE WORKS Corp.「AI-OCRの限界(LINE WORKS PaperOnコラム)」(2026年)

◆この記事について

独自調査以外の一次情報は、省庁・公的機関を中心とした信頼性の高い情報源から引用し、出典を明記しています。
年次更新される統計については、引用元の最新版を確認したうえで掲載しています。

※この記事は上記の監修・編集責任者がAIの協力を得て制作しています。

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