◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- 読取不能が出たら原因調査より先に1件の処理を決め、人の目で読めるなら目視入力、読めない欄があるなら原本の再送依頼か電話確認に振り分ける。
- エラーが特定の送信元に偏るなら原稿側、送信元を問わず一様なら圧縮と紙出力の再スキャンによる劣化、特定の文字や欄だけならOCRエンジンの特性を疑う。
- 紙に出さず受信データのまま読み込む、モノクロ2値と300dpi以上で取り込む、傾き補正と罫線除去を有効にする、の3点は取引先に頼まず自社だけで試せる。
- 複数エンジンの照合や疑わしい文字だけを確認する画面は誤読を減らすが、AI-OCRでも100%の識別は不可能とされるため、確認と修正の工程は残す前提で組む。
- 取引先ごとの書式のばらつきは自社側で吸収できるかを先に確かめ、書式統一の依頼は成立が保証されない上乗せの手段として、送信手順で済む範囲に絞って頼む。
目次

読取不能になった1件、まず何をすべきか
FAXで届いた注文書がOCRで読み取れず、入力も出荷手配も止まっている——そんな場面でまず決めるのは、原因ではなくこの1件の進め方です。
受信した画像を開いて人の目で品番や数量が読めるなら目視で入力して通し、読めない欄があるなら原本の再送を頼む。
そのうえで、読取不能の原因が原稿側(印字のかすれ・手書き・レイアウト)、FAX受信側(圧縮による劣化と紙出力の再スキャンによる二重劣化)、OCR設定側(エンジンの特性と照合・学習の有無)のどこにあるのかを切り分けると、打つべき手はおのずと絞られます。
原因を探す前に、この1件の締切を切り離す
「読取不能」と表示された画面の前では、つい原因から調べたくなります。
ただ、その注文書の納期や当日の入力締切は、原因が分かるまで待ってくれません。
最初に切り離しておきたいのは、「この1件をどう処理して後工程へ渡すか」と「なぜ読み取れなかったのか」という別々の問題です。
前者は今日のうちに片づける必要があり、後者は同じ帳票が次に届くまでに手を打てば間に合います。
判断の材料になるのは、OCRのエラー一覧ではなく、受信したFAXの画像そのものです。
エラー表示だけを見ていても、文字がかすれているのか、枠から数字がはみ出しているのか、そもそも紙が斜めに送られてきたのかは分かりません。
受信データを画面で開いて、人の目で読めるかどうかを確かめるところから始めます。
自分の目で読めるかどうかで、再送依頼と手動入力を分ける
画面上で品番や数量が判別できるなら、その1件は目視で入力してしまえば流れます。
読取不能は「OCRが文字を確定できなかった」という状態であって、人が読めないことを意味するわけではありません。
逆に、かすれや潰れで人にも判別できない欄があるなら、そこを推測で埋めるのは避けたいところです。
数量や単価は、誤ればそのまま出荷数や請求金額に響きます。
読めない欄が数量・品番・納期といった取引条件に関わる場合は、送信元へ原本の再送を依頼するか、電話で該当箇所だけを確認します。
このとき「もう一度送ってください」とだけ伝えると、同じ状態の紙が同じ経路でもう一度届くことがあります。
手元のコピーではなく元の書類やデータから出力して送ってほしい、と具体的に頼む方が二度手間になりにくくなります。
なぜ送り直しの経路まで結果を左右するのかは、次の原因の切り分けではっきりします。
もうひとつ、目視入力に切り替えた件は簡単でよいので記録を残しておきます。
送信元、帳票の種類、読めなかった欄の3つが分かれば十分です。
1件ごとでは偶発的な不具合にしか見えないものが、数件たまった時点で「特定の取引先だけ」「特定の欄だけ」という偏りとして見えてきます。
その偏りが、そのまま原因の切り分けの手掛かりになります。
読取不能の原因を原稿・FAX受信・OCR設定の3つに切り分ける
原稿側の原因(画質・手書き・レイアウト)
1つ目の系統は、送信元の手元で状態がほぼ決まってしまうものです。
低品質なプリンターでの印刷、コピーの繰り返し、FAX受信時に生じる文字のギザギザなどは、OCRが文字の形を正しく認識するのを妨げます3。
同じ取引先から届く注文書だけ毎回エラーになるなら、まずこの系統を疑うことになります。
手書き欄も原稿側の要因です。
書き手ごとの筆跡のクセによって文字の形が一定にならないため、手書き文字は認識精度が100%に達しにくいとされています3。
先方の担当者が交代した時期から急に誤読が増えた、という現れ方をすることもあります。
書式そのものも効いてきます。
発行元によってレイアウトが異なる非定型帳票は、OCRの精度を低下させる原因になります3。
加えて、スキャン時の原稿の傾きや、スキャナのガラス面に付着したホコリ・ゴミがノイズとなって誤認識を招きます3。
この最後の2つは自社の機器で起きるので、原稿側と受信側のちょうど境目にある要因だと考えておくと切り分けが早くなります。
FAX受信側の原因(圧縮劣化・二重劣化)
2つ目は、FAXという経路そのものが持つ性質です。
FAXは送信・受信時に画像が圧縮されるため画質が劣化し、文字や罫線がぼやけます1。
送信元がきれいな原本を送っていても、回線を通った時点で情報はすでに削られている、というのが出発点になります。
ここに自社の運用が重なると、劣化は二重になります。
紙で出力されたFAXを再度スキャンして画像化すると、すでに低解像度の状態からさらに劣化し、OCR精度が著しく低下するとされています1。
受信した注文書を複合機で紙に出し、その紙をスキャナに載せてOCRへ渡す、という流れが定着している職場では、経路そのものが原因になっている可能性があります。
原稿に傾きや拡大・縮小がある場合も、文字認識の精度は下がります1。
見分け方は単純で、エラーが送信元を問わず一様に出ているかどうかです。
取引先を問わずどの帳票でも認識率が低いなら、個々の原稿ではなく受信経路の側を先に確認する方が近道になります。
OCR設定側の原因(照合・学習の限界)
3つ目は、読み取る側の仕組みに由来するものです。
一般的なOCRは線が交差する箇所を数える仕組みのため、シンプルな文字ほど誤認率が高くなる傾向があるとされています5。
画数の少ない数字や似た字形が毎回同じように取り違えられるなら、原稿の状態ではなく読み取る側の特性を見ている可能性が高くなります。
AI-OCRは機械学習やディープラーニングによって文字の補正結果を学習し、文字認識率を高められるとされています5。
一方で、AI-OCRであっても100%の識別ができるわけではなく、理論上100%の達成は不可能とされています5。
つまりこの系統の原因は「ゼロにする」ものではなく、どこまで減らし、残った分をどう確認するかを決める対象です。
3系統のどこにいるのかを判断する材料は、結局のところエラーの偏り方です。
特定の送信元だけで起きているのか、送信元を問わず起きているのか、あるいは帳票を問わず特定の欄や文字だけで起きているのか。
この3つの見え方は重なることもあり、たとえば手書き欄のある帳票が紙出力を経てスキャンされている場合は、原稿側と受信側の両方が効いています。
そのときは、自社だけで変えられる受信側から先に手を付けると、原稿側の影響がどれだけ残るかを見極めやすくなります。
今すぐの代替対応:手動入力と再送依頼をどう使い分けるか
原稿由来の劣化は、OCR側の設定では戻せない
対応の優先順位を決めるうえで効いてくるのは、原稿の傾きや拡大・縮小、画質の劣化が認識精度を下げるという性質です1。
いったん失われた情報は、OCR側の設定をどう調整しても元に戻るわけではありません。
だから原稿側が疑わしい1件では、同じ画像を何度も読み直させるより、状態の良い原稿を手に入れる方が早い、という整理になります。
ただし再送依頼が効くのは、送信元の手元により状態の良い原本やデータが残っている場合に限られます。
先方が同じコピーを同じ複合機から送り直しただけなら、届くものは今と大差ありません。
依頼するときに「元の書類から」「コピーを重ねずに」と一言添えるのは、この差を埋めるためです。
受信側が疑わしいときは、再処理の前に経路を確認する
どの取引先の帳票でも同じように潰れているなら、再送を頼んでも状況は変わりません。
この場合に当日できるのは、紙に出力してから読み込むのをやめて、受信データをそのままOCRへ渡してみることです。
紙出力の再スキャンは劣化を二重にするとされているため1、経路を一段減らすだけで読み取れる欄が増えることがあります。
これは設定変更の稟議も取引先への連絡も要らず、その場で試せる範囲です。
判別できないときは、目視入力で締切を守る
原因がどの系統かはっきりしないまま調査を続けると、当日の締切に間に合わなくなります。
人の目で読める帳票なら目視入力でその注文を通し、原因の追跡は同じ送信元から次の注文が届くまでに済ませる、という割り切りが現実的です。
ここで示した「原稿が疑わしければ再送、受信経路が疑わしければ経路の確認、判別できなければ目視入力」という順序は、原稿由来の劣化がOCR側で取り戻せないという性質から導いた進め方であって、決まった業界標準の手順ではありません。
自社の締切の厳しさや取引先との距離感によって、優先順位は入れ替わります。
もうひとつ判断が分かれるのは、読めるけれど自信が持てない欄の扱いです。
品名のように後工程で気づける欄と、数量や単価のように誤ったまま出荷・請求へ流れる欄では、確認にかけるべき手間が違います。
後者は「たぶんこう書いてある」で通さず、電話1本で確定させた方が結果的に早く終わります。

原稿とFAX受信設定を見直して画質劣化を防ぐ
紙に出さず、受信データのままOCRへ渡す
当日しのぎで効果があった経路の見直しは、そのまま恒久対策になります。
紙で出力したFAXを再度スキャンする運用は、すでに低解像度になった画像をさらに劣化させ、OCR精度を著しく下げるとされています1。
受信したデータを画像やPDFのまま保存し、それをOCRの入力にする経路へ切り替えられるなら、送信元に何も頼まずに劣化を一段減らせます。
この切り替えができるかどうかは、使っている複合機やFAXサーバに受信データを保存する仕組みがあるかに左右されます。
紙で回覧する運用が業務に組み込まれている場合は、紙は紙で出しつつ、OCRへ渡す入力だけを受信データに切り替える、という分け方も取れます。
解像度とカラーモードの設定を確認する
読み込み設定も見直しどころです。
白黒(モノクロ2値)でスキャンすることで文字と背景のコントラストが明確になり認識率が上がるとされ、解像度は300dpi以上が推奨されています3。
カラーやグレースケールの方が情報量が多く有利に思えますが、文字の輪郭をはっきりさせるという目的では、設定の方向が違います。
設定を変えたときは、同じ帳票を1枚使って前後を読み比べるのが確実です。
読取不能が出た実物の注文書を保存しておけば、それが自社にとっての試験用紙になります。
基準となる1枚があると、今後製品や機器を入れ替えるときにも同じ比較ができます。
傾き補正・罫線除去で原稿のばらつきを吸収する
原稿が毎回まっすぐ届く前提は置けません。
傾き補正(デスキュー)機能を有効にすれば、手作業で置き直す手間なく最適な状態で読み取れるとされ、罫線除去・クリーニング機能によって不要な情報を除去できるとされています3。
枠線に文字が触れている注文書や、送信時に少し斜めになった帳票で効いてくる部分です。
これらはOCRソフト側に画像の前処理機能がある場合に使えるもので、製品によって備えの有無は変わります。
自社の製品に該当する設定が見当たらないなら、スキャナのガラス面の清掃や原稿の揃え方といった、機器を扱う側の手順でノイズと傾きを減らすことになります3。
地味ですが、送信元との調整を要さずに自社だけで完結する対策が、この節の範囲にはひととおり揃っています。
OCRエンジンの照合・学習機能で誤読を減らす
同じ文字を繰り返し間違えるときに見ている場所
原稿も受信経路も整えたのに、特定の文字や記号だけ誤読が残ることがあります。
ここまでで画質の要因を潰しているので、残っているのは読み取る側の特性です。
一般的なOCRは線が交差する箇所を数える仕組みのため、シンプルな文字ほど誤認率が高くなる傾向があるとされています5。
この種の誤読は、再送を頼んでも解像度を上げても同じように再発します。
2つのエンジンで照合し、疑わしい文字だけを人が見る
エンジン側の対策としては、複数のエンジンで結果を突き合わせる方式があります。
特性の異なる2つのOCRエンジンで処理し、結果を照合するWOCR技術(特許第5464474号)によって認識精度を高めているとする製品があります4。
同じ文字を別々の特性で読ませ、一致しないところを浮かび上がらせる発想です。
浮かび上がった箇所をどう扱うかも、現場の負担を左右します。
要再検査対象の文字のみを抽出して確認できる専用画面(キャラクターモード)を用意し、従来より生産性向上を図れるとしている製品もあります4。
読取不能をゼロにするのではなく、人が目で追う対象を絞る、という設計です。
同じ認識率でも、全件を突き合わせるか疑わしい文字だけを見るかで、1日の確認時間はまったく違ってきます。
こうした機能は当然ながら、使っている製品が備えている場合に限って選べます。
備えていない場合は、金額や数量など誤りの影響が大きい欄に絞って目視のダブルチェックを置く、という人手側の工程で代替することになります。
学習しても100%にはならない前提で確認工程を残す
AI-OCRは、機械学習やディープラーニングによって文字の補正結果を学習し、認識率を高められるとされています5。
誤読を見つけたときに修正内容を戻していく運用が、そのまま翌月以降の精度につながる仕組みです。
ただし、AI-OCRであっても100%の識別ができるわけではなく、理論上100%の達成は不可能とされています5。
確認と修正の工程は、精度が上がっても残る前提で組んでおく必要があります。
どれだけ差が出るのかは、公開されている検証値がひとつの手掛かりになります。
FAXとOCRを扱う機器メーカーが自社の基準帳票を用いて行った検証では、従来OCRの認識率が80%だったのに対し、AI-OCRでは98%という結果が示されています1。
これはその提供元が定めた基準帳票での値であり、かすれや傾きを含む自社のFAX注文書で同じ数値が再現されると読むことはできません。
製品を比べるときは、公表されている数値が何を母数にしたもので、どんな帳票で測られたのかまで確かめておくと、導入後の落差を避けやすくなります。
読取不能の頻発を防ぐために送信元とどう取り決めるか
レイアウトの違いは、どの段階で読み取りを止めるのか
最後に残るのが、取引先ごとに書式が違うという問題です。
発行元によってレイアウトが異なる非定型帳票は、OCRの精度を低下させる原因になるとされています3。
品番がどの位置にあるか、数量欄がどの列かが帳票ごとに違えば、読み取る側は毎回別の紙として扱うことになります。
やっかいなのは、この書式が先方にとっても動かせないことがある点です。
取引先のシステムから出力される帳票はレイアウトの変更ができず、従来のOCR製品では帳票設計が困難だったとする事例が報告されています6。
つまり「統一してください」と頼んでも、先方の担当者に裁量がない場合があります。
自社側でレイアウト差異を吸収できるかを先に見る
そのため、まず確認すべきは自社のOCR製品がフォーマットの違いをどこまで吸収できるかです。
先ほどの事例では、レイアウトを変更できない帳票にも対応できるとする製品が使われており、各メーカーごとに注文書フォーマットが異なることを理由にOCR導入を見送っていた製造業(従業員300名、全国2拠点の受注センター、社名非公開)の例が紹介されています6。
同社では仕分業務の自動化によって、後工程の遅れや顧客からのクレームが解消したとされています6。
これは提供元が公開する1社の事例なので、同じ効果がどの現場でも出ると読むことはできません。
見ておきたいのは結果の数字より、フォーマットが揃わないこと自体は導入を諦める理由にならない、という点です。
自社の製品でどこまで対応できるかは仕様によるため、現に読取不能が多い取引先の帳票を数種類そろえて、実際に読ませてみるのが確実です。
取引先へ書式統一を頼めるかは、関係次第
そのうえで、送信元への依頼をどう位置づけるかです。
書式統一に応じてもらえるかは取引関係や力関係で変わり、一般にどの程度成立するかを示せる裏づけはありません。
本記事でも、これは確実な手段ではなく、自社側で吸収できる範囲を固めたうえで上乗せする提案として扱います。
依頼するなら、範囲を絞る方が通りやすくなります。
帳票全体の作り替えではなく、数量や品番を枠内に収めてもらう、手書きの箇所だけを印字にしてもらう、コピーではなく原本から送ってもらう、といった単位です。
いずれも先方のシステム改修を伴わず、送信時の手順で済む範囲に収まります。
読取不能が続いている取引先ほど、こちらから電話で確認する回数も増えているはずなので、その手間を減らしたいという言い方であれば、相手にとっても利のある相談になります。
逆に、先方のシステム出力で書式が固定されている取引先には、依頼そのものを諦めて自社側で吸収する方向に絞ります。
どちらに倒すかは、これまでのやり取りで先方に帳票の裁量があるかどうかを聞けば判断できます。
その一言を先に確かめておくと、交渉に時間をかけるか、製品側の対応力を見直すかの選択がはっきりします。
ここまでが、1件を止めずに処理する手順と、原因の系統ごとの手当てです。
最後に、読取不能への対処がなぜ手入力へ戻りやすいのか、その背景にある受注業務の実態を数字で見ておきます。

原稿・受信経路・OCR設定のどこに原因があるかは、実際の受信画像とエラーの出方を並べて見ないと絞り込みにくく、社内だけで判断すると製品の入れ替えまで手戻りすることがあります。
読取不能が出た注文書と現在の受信経路を見ながら、どの工程で情報が落ちているのか、自社側の設定変更だけで改善が見込める範囲はどこまでかを一緒に確認できます。無料相談で要件を整理する
FAX受注が依存され続ける背景(利用率・手入力負担の実態)
2023年3月に食品業(小売・卸売業)の受注業務担当者へ行った調査から、FAXの利用状況と手入力の負担に関する回答割合を設問ごとに並べたもの。
- 受注方法としてFAXを利用する食品業(小売・卸売業)の受注業務担当者は67%(n=106、2023年3月)
- FAX・メール・電話で受注業務を行う担当者のうち、注文書の手入力に手間がかかると回答したのは60%(n=90、同調査)
- FAX・電話で受注する担当者のうち、その受注業務を止めると取引に支障が出ると想定したのは58.8%(n=80、同調査)
- 読取不能への対処がしばしば手入力へ戻るのは、FAX受注そのものを止める選択が取りにくい業務事情と重なっている
設問ごとに回答者の母数が異なるため、3つの割合を横並びで比べるのではなく、それぞれの設問の対象を見ながら読む。

要点の整理
| 軸 | 基準 |
|---|---|
| 今日の1件の進め方 | 人の目で読めるなら目視入力で通し、数量・品番・納期が判別できないなら原本の再送依頼か電話確認 |
| 原因の切り分け | 特定の送信元だけ=原稿側/送信元を問わず一様=FAX受信側/特定の文字・欄だけ=OCR設定側 |
| 自社だけで試せる対策 | 紙に出さず受信データのまま読み込む、モノクロ2値と300dpi以上、傾き補正と罫線除去 |
| OCR設定側の見直し | 複数エンジンでの照合、修正結果の学習、疑わしい文字だけを確認できる画面の有無 |
| 取引先との調整 | 書式統一は確実な手段ではなく、自社側で吸収できる範囲を固めたうえでの上乗せとして依頼する |
受信から基幹システムへの入力までのどこに転記と確認が残っているかは、業務の流れ全体を並べないと見えにくく、OCRの精度だけを追っても確認作業が減らないことがあります。 取引先ごとの帳票の種類と現在の入力手順を整理したうえで、どの転記を減らせるのか、どの確認は人が残すべきかの線引きを確かめられます。
よくある質問
FAX-OCRの認識率はどのくらいが目安ですか
すべての現場に当てはまる目安の数値はありません。
公開されている検証値は、その提供元が定めた基準帳票で測られたものであり、かすれや傾きを含むFAX受信画像でそのまま再現されるとは限らないためです1。
実務上は、実際に読取不能が出た注文書を数枚保存しておき、設定変更や製品比較のたびに同じ紙で読み比べる方が判断に使えます。
なお、AI-OCRであっても理論上100%の識別は不可能とされているため5、目標は「100%」ではなく「人が確認する量をどこまで減らせるか」に置くことになります。
手書きの注文書はAI-OCRでも問題なく読み取れますか
書き手ごとの筆跡のクセによって文字の形が一定にならないため、手書き文字は認識精度が100%に達しにくいとされています3。
AI-OCRは補正結果を学習して認識率を高められるとされていますが5、100%に届かない前提は変わりません5。
したがって、手書き欄を含む帳票では、数量・単価・納期など誤りの影響が大きい項目に絞って目視確認を残す組み方が現実的です。
送信元に相談できる関係であれば、手書き部分だけを印字に切り替えてもらう依頼は、帳票全体の変更より通りやすい範囲に収まります。
OCRの読取結果を基幹システムへ自動連携できますか
指定したデータベースへODBC等を介して直接データを出力できるとする製品があります4。
ただし、読み取ったデータが手元にあることと、自社の基幹システムがその形式で受け取れることは別の話です。
連携を検討するときは、出力できる形式・接続方式と、受け側のシステムが取り込める項目・桁数・コード体系が合うかを突き合わせる必要があります。
読取結果には確認・修正の工程が残る前提なので5、確定前のデータをそのまま流さない仕組みも合わせて設計しておくと安全です。
読取不能が続く場合、OCR製品の乗り換えを検討すべき判断基準は何ですか
先に確かめたいのは、原因が製品側にあるかどうかです。
原稿の傾きや拡大・縮小、画質の劣化による情報の欠落は、製品を替えても元の情報が戻るわけではありません1。
紙出力の再スキャンをやめる、モノクロ2値と300dpi以上で読み込む、傾き補正や罫線除去を有効にする3、といった手当てを一通り試してもなお誤読が残る場合に、製品側の検討へ進みます。
その際の比較軸になるのは、複数エンジンでの照合や疑わしい文字だけを確認できる画面の有無4、そしてレイアウトを変更できない取引先帳票に対応できるか6です。
- 1 出典:株式会社ピーエフユー(リコーグループ)「FAX注文書はOCRできる?精度を向上させる3つのポイント」(2025年)
- 2 出典:株式会社ハンモック「食品業の受注業務に関する実態調査」(2023年)
- 3 出典:株式会社ハンモック「OCRの精度を上げる方法とは?99%の壁と限界を超える改善策」(2025年)
- 4 出典:株式会社ハンモック「注文書FAX OCR受注ソリューション(TeleForm製品ページ)」(2025年)
- 5 出典:キヤノン株式会社「AI OCRとは?成功のポイントは認識精度を理解し業務全体を見直すこと」(2025年)
- 6 出典:株式会社ハンモック「製造業導入事例|FAX注文書入力業務を効率化|AnyForm OCR」(2025年)
画像の出典元
- Close-up of a grinding machine in action with sparks flying/Photo by Darry Lin on Pexels
- Close-up of freshly roasted coffee beans in a cooling tray s/Photo by Ahmet Yüksek ✪ on Pexels