◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- FAX-OCRの導入期間を一律に示す標準値は公開資料に無く、事前検証約2週間・トライアル60日間・F社の暫定稼働1か月/本稼働2か月は、いずれもPFU製品と1事例の条件付きの値です。
- 期間は、帳票定義・マスタ突合・出力設定・精度確認の四つの作業の量と、自社と提供元の分担で変わります。
- 見積もりは取引先数ではなく、受け取っている様式の数と枚数から始め、枚数の多い様式から順にOCRに乗せます。
- 98%・80%はPFU基準帳票での値なので、自社のFAXで検証し、入力済みデータと突き合わせて本運用への移行を判断します。
- 期間を縮めるには、サンプルFAX・マスタと取り込み形式・確認担当者を先にそろえ、検証は削らずに範囲を絞ります。
目次

FAX-OCRの「導入期間」は何を指すのか:公開されている目安と、そこから言えること
取引先から毎日届くFAXの注文書を一枚ずつ基幹システムへ打ち込みながら、OCRに置き換えたいと考えていても、「いつから使えるのか」と社内で聞かれると答えに詰まりがちです。
まず押さえたいのは、導入期間が一つの数字では決まらないことです。
公開されている目安は、PFUの事前検証が約2週間2、無償トライアルが60日間1です。
同社が掲載する建材商社の事例では、導入決定から1か月で暫定稼働、2か月で本稼働に至っています3。
期間を左右するのは、帳票定義の量、読取精度の確認、後続システムへの出力設定です。
自社が受け取る注文書の様式を数え、手元のFAXで検証を受けると、見積もりの根拠ができます。
事前検証・トライアル・暫定稼働・本稼働の4段階
社内で「いつから使えるのか」と聞かれたとき、相手が知りたいのは、FAXの注文書をOCRで読んだ結果が受注処理に乗る日でしょう。
ところが、その日までにはいくつかの段階があり、公開されている期間の目安もそれぞれ別の段階を指しています。
数字を並べる前に、どの段階の話かをそろえておくと説明がぶれません。
- 事前検証:自社のFAX注文書をサンプルとして預け、読み取れるかを評価してもらう段階です。
PFUのDynaEye 11の無償事前検証では、預けてから約2週間(10営業日)を目安に評価結果が返送されます2。 - 無償トライアル:製品を自社の環境で一定期間試す段階です。
DynaEye 11は60日間の無償トライアルを実施しています1。 - 暫定稼働:本番の注文でOCRを使い始めながら、本稼働の前に確認を続ける段階です。
PFUが掲載する建材商社F社の事例では、導入決定から1か月後に暫定稼働を始めました3。 - 本稼働:OCRの結果を通常の受注処理に組み込んで使う段階です。
同じF社は、導入決定から2か月後に本稼働を開始しています3。
この四つは、起点がそろっていません。
事前検証の約2週間はサンプルを預けた日から数えた期間で、F社の1か月・2か月は「導入決定」から数えた期間です。
導入決定が契約と同じ日を指すのかは事例からは読み取れないため、「契約から2か月」と言い換えないほうが安全です。
また、事前検証やトライアルを導入決定の前に行えば、その期間はF社の数え方の外側に来ます。
社内向けには、段階ごとに区切った線表にしておくと伝わりやすくなります。
たとえば「サンプルを集めて預ける」「評価結果を受け取る」「定義と出力設定を進める」「暫定稼働で確認する」「本稼働に切り替える」と並べ、それぞれに公開値か自社の見込みを書き入れる形です。
一つの合計値だけを示すより、どこが遅れると全体が後ろへずれるのかを、決裁する人と共有できます。
公開値は条件付きの目安にとどまる
注意したいのは、ここに並べた数字の出どころです。
事前検証の約2週間と無償トライアルの60日間は、どちらもPFUがDynaEye 11について案内している値で、FAX-OCR全般の標準期間ではありません。
契約から利用開始までの標準的な期間を製品横断で示した公開資料は、確認できた範囲では見当たりませんでした。
「業界ではだいたい何か月」という言い方は、現時点では根拠を持って使えないということです。
F社の1か月・2か月も、条件の付いた一つの事例です。
F社は日々多くの顧客から注文を受け付けている建材商社で、帳票定義の作成をトレーニングと並行して進めたことで時間を短縮したとされています3。
扱った帳票の種類数や、どのシステムと連携したかは事例から分からず、導入した年も示されていません。
そのため、この期間は「条件がそろえばこのくらいで暫定稼働に届いた例がある」という参考にはなっても、自社が約束できる期日にはなりません。
では、この数字を社内説明でどう使うか。
公開値は条件付きの一例として置き、自社の見込みは、受け取っている帳票の種類数や連携の有無といった自社の条件から積み上げるのが筋です。
その積み上げに何が入るのかは、作業単位に分けると見えてきます。
| 項目 | 導入決定からの月数 |
|---|---|
| 暫定稼働 | 1 |
| 本稼働 | 2 |
▼ 図の内容を文字で読む
- サンプルを預けた日から数える
- 事前検証 約2週間(10営業日)で評価結果が返送される
- 導入決定から数える
- 暫定稼働 1か月後(建材商社の1事例)
- 本稼働 2か月後(同じ事例)
- 一定期間を試す
- 無償トライアル 60日間
期間を左右する4つの作業:帳票定義・マスタ突合・システム連携・精度確認
帳票定義とトレーニングの並行
導入決定から暫定稼働までの間に、社内とOCRの提供元で進める作業は、おおむね次の四つに分けられます。
どれに時間がかかるかは会社ごとに違い、期間の見積もりはこの四つを自社に当てはめるところから始まります。
- 帳票定義:注文書のどこに得意先名・品番・数量・納期などが書かれているかをOCRに設定する作業。
- マスタ突合:読み取った品名や品番を、自社の商品コード・得意先コードに結び付ける作業。
- システム連携(出力設定):読み取り結果を、販売管理や基幹システムが取り込める形式に変換する設定。
- 精度確認:自社のFAXで読み取り結果を確かめ、誤りの出方を把握する作業。
帳票定義は、取引先ごとに様式が違う注文書を扱うほど重くなります。
FAXの注文書は、得意先名や品番、数量といった項目は共通でも、どの位置に書くかが取引先ごとに違うことがあります。
こうした「項目はほぼ同じで配置が違う」帳票は準定型帳票と呼ばれ、PFUのDynaEye 11 Entry AI-OCRは、この準定型帳票のOCRに対応する製品として発売されています4。
F社の事例で時間短縮につながったのは、この帳票定義の進め方です。
担当者が操作を学ぶトレーニングと定義の作成を並行させ、定義作成を連携して進めたことで、時間を短縮したとされています3。
操作を覚えてから定義を作り始める順番にすると、トレーニングが終わるまで定義の作業が始まりません。
学びながら実際の注文書で定義を作れば、その待ち時間を重ねずに済むという理屈です。
後続システムに合わせた出力設定
OCRが読み取った結果は、そのままでは受注データになりません。
読み取り結果が一覧の形で出てきても、販売管理システムや基幹システムが受け取れる列の並び、日付の書き方、コードの形式に合っていなければ、受注担当者が結局その一覧を見ながら画面に打ち直すことになります。
出力データを後続システムの取り込み形式に合わせる設定は、この打ち直しを減らすための作業です。
マスタ突合もこの流れの中にあります。
取引先のFAXには、自社の商品コードではなく、取引先側の品名や略称が書かれていることがあります。
読み取った文字を自社の商品コードや得意先コードに置き換える対応表がなければ、受注担当者が一件ずつコードを探して当てはめる作業が残ります。
この作業の量は、自社の商品数と、取引先がどれだけ自社のコードで書いてくれているかで変わります。
手元のFAXを見て、コードで書かれた注文書と品名だけの注文書がどのくらいあるかをつかんでおくと、見積もりに使えます。
連携をせず、OCRの結果を人が確かめながら基幹システムに入れる形で始めることも考えられます。
その場合、出力設定の分だけ立ち上げの作業は軽くなる一方、読み取り結果から基幹システムへの転記は人の手に残ります。
どこまでを最初の稼働に含めるかで、期間と、減らせる作業の範囲の両方が変わります。
自社でやる作業とベンダーに任せる作業
ここまでの作業を、すべて自社で抱える必要はありません。
PFUは、OCR定義の作成、運用環境のセットアップ、後続システムに合わせた出力データの変換設定などを技術者が代行する起動支援サービスを用意しており、導入トレーニングやテクニカルサポートも含まれるとしています4。
帳票定義と出力設定という、期間を左右しやすい作業を提供元に任せられる形です。
任せた場合でも、社内に残る作業はあります。
どの取引先のどの注文書を対象にするかを決めてサンプルを集めること、基幹システムの取り込み形式を提供元に伝えること、そして読み取り結果が正しいかを判断することは、受注業務を知っている社内の人にしかできません。
とくに取り込み形式は、基幹システムの担当部署や保守先に確認しないと分からない場合があり、その回答待ちが期間を延ばす原因になりえます。
もう一つ見ておきたいのが、稼働した後の分担です。
F社では、稼働後に新しい帳票の定義を追加したり、読み取りを調整(チューニング)したりする作業は、IT部門が担当する想定とされています3。
導入時に定義を提供元に任せた場合でも、取引先が増えたり様式を変えたりしたときに誰が定義を足すのかを決めておかないと、新しい様式のFAXだけが手入力に戻ることになります。
どこまでを任せられるかは提供元やプランによって異なるため、導入時の作業と稼働後の作業を分けて確かめておくと、自社の負担を見誤りません。
| 作業 | 自社で進める場合 | 起動支援を使う場合 |
|---|---|---|
| OCR定義の作成 | 社内の担当者がトレーニングを受けながら作る | 技術者が代行する |
| 出力データの変換設定 | 基幹システムの形式を調べて社内で設定する | 技術者が代行する(形式は社内から伝える) |
| 読み取り結果の確認 | 受注担当者が行う | 受注担当者が行う |
| 稼働後の様式追加 | 社内で定義を足す | 誰が担うかを導入時に決めておく |
▼ 図の内容を文字で読む
- 技術者に任せられる作業
- OCR定義の作成
- 運用環境のセットアップ
- 後続システムに合わせた出力データの変換設定
- 社内に残る作業
- 対象の注文書を決めてサンプルを集める
- 基幹システムの取り込み形式を伝える
- 読み取り結果が正しいかを判断する
- 導入時に決めておくこと
- 稼働後に新しい様式の定義を足す担い手
取引先の帳票が多い場合の見積もり方:レイアウト数を数える
取引先数×帳票の種類数を数える
帳票定義は注文書の様式ごとに作ります。
そのため、自社のFAX-OCRの見積もりで最初に数えたいのは、取引先の数そのものより、受け取っている注文書の様式(レイアウト)の数です。
取引先が多くても、自社が配布した注文書を多くの取引先が使っていれば、様式は少なくまとまります。
反対に、取引先が少なくても、同じ取引先から通常の注文書と追加注文用の書式が別々に届くなら、その分だけ様式は増えます。
数え方の一つとして、次の手順を提案します。
- 直近の受信FAXを取引先ごとに分ける。
- 取引先ごとに、届いている注文書の様式が何種類あるかを見る。
- 自社が配布した様式など、複数の取引先で共通している様式を一つにまとめる。
- 様式ごとに受信枚数を数え、枚数の多い順に並べる。
- 手書きの多い様式や、品名だけでコードの無い様式に印を付ける。
この一覧ができると、見積もりの話が具体的になります。
枚数の多い様式から順に定義すれば、暫定稼働の時点ですべての様式がそろっていなくても、受信量の大きい部分からOCRに乗せられます。
また、PFUの無償事前検証で評価できるのは最大2帳票なので2、一覧の上位にある様式と、印を付けた読み取りにくそうな様式から選ぶと、検証の結果を自社全体の見込みに当てはめやすくなります。
ここでの手順は資料から導いた提案で、様式が何種類なら何週間という換算表があるわけではありません。
大量のFAXを扱う事例が示すレイアウト数の規模
様式の数がどこまで増えうるかは、受注量の大きい現場の例が参考になります。
ミツカングループの物流・受注部門を担い、大阪と名古屋の受注センターで全国からの注文を処理しているMizkan Logitecは、月間約1万2000枚のFAX発注書を扱っていました5。
FAXの発注書は手入力とダブルチェックが必要で、DXの推進やBCPの面でもボトルネックになっていたと報じられています5。
同社は発注書向けのAI-OCR(invox)を受発注のプラットフォームと連携させて2026年1月に導入し、1400件以上のFAXレイアウトを登録・運用しています5。
取引先の多い受注センターでは、登録すべきレイアウトが千を超える規模になりうることを示す例です。
受け取る側が取引先に様式の統一を求められない以上、取引先ごとのばらつきは、そのまま登録の件数になって積み上がります。
ただし、この報道には導入にかかった期間が書かれていません。
製品もPFUとは別のため、F社の1か月・2か月と並べて「レイアウトが多いと何か月延びる」と読み取ることはできません。
この事例から受け取れるのは期間ではなく規模感です。
自社の一覧が数十件なのか数百件なのかによって、定義を提供元に任せるか、稼働後の追加を誰が担うかの判断が変わってきます。
▼ 図の内容を文字で読む
- 取引先ごとの様式の種類
- 通常の注文書と追加注文用の書式が分かれると増える
- 共通様式の利用
- 自社が配布した様式を使う取引先が多いと少なくまとまる
- 登録するレイアウトの数
- 導入時に定義を作る件数
- 稼働後に追加・調整する件数
- 試行で確かめる様式の数
試行期間は何を見て終えるか:読取精度の前提と本運用への移行判断
98%と80%は何の条件での値か
様式の一覧ができ、定義の見通しが立っても、本運用に移ってよいかは読み取りの精度で決まります。
精度について公開されている数字としては、PFUのコラムが示す比較があります。
FAX注文書を対象に、従来のOCRで80%だった認識率が、AI-OCR(DynaEye 11)では98%だったというものです1。
この数字はPFUが用意した基準帳票で測った結果で、AI-OCRの精度は学習するデータ次第で大きく左右される、と同じコラムが断っています1。
つまり、AI-OCRと従来OCRの差を示す材料にはなりますが、自社に届くFAXで98%が出ることを示すものではありません。
取引先の手書き、かすれた印字、何度も複写された注文書などが多ければ、結果は変わりえます。
また98%は100%ではないので、どの方式を選んでも、読み取り結果を人が確かめる工程はなくなりません。
自社のFAX画質で確認する項目
同じコラムは、導入前に実際の業務のFAX注文書で試して精度を確かめることが大切だとしています1。
精度を上げるための要点として挙げられているのは、FAXを紙に印刷してからスキャンするのではなく複合機の受信データを活用すること、そして画像の傾きや拡大・縮小を補正することです1。
今の受注業務が「受信したFAXを印刷して手元で見る」流れになっているなら、OCRに渡すのは紙ではなく受信データにできるかを、導入前に確かめておく意味があります。
試行の段階で自社のFAXについて見ておきたいのは、次のような点です。
- 受信の経路:今は紙で受け取っているか、受信データとして保存できているか。
- 誤りの場所:品番・数量・納期・届け先など、間違えると出荷や請求に響く欄で誤りが出ていないか。
- 様式ごとの差:読み取りやすい様式と、修正の多い様式はどれか。
- 手書きの量:手書きで追記される欄が、どの様式に多いか。
PFUの無償事前検証では、技術者コメント付きの評価結果のPDFと、サンプル帳票をOCRにかけた結果のCSVが返送されます2。
このCSVを、同じ注文書について受注担当者が実際に入力したデータと突き合わせると、どの項目でずれが出たかを自社の目で確かめられます。
評価のコメントを読むだけで終わらせず、自社の入力結果と並べるところまで進めておくと、トライアルで何を重点的に見るかが決まります。
本運用へ移る前の確認基準の置き方
では、試行をどこで終えて本運用に移るか。
どの水準なら移ってよいかは帳票の性質や後工程によって変わるため、自社で決めることになります。
ここからは、その決め方についての提案です。
まず、誤りの重さで欄を分けます。
品番や数量の読み違いはそのまま誤出荷につながりますが、備考欄の一文字違いなら受注処理への影響は小さいかもしれません。
重い欄は本運用に移ってからも人が原本のFAXと照らし合わせ、軽い欄は抜き取りで確かめる、というように確認の深さを決めておくと、「何%なら合格」という一つの数字に頼らずに済みます。
次に、暫定稼働の間に修正の件数と傾向を記録します。
同じ様式で同じ欄の誤りが続くなら定義の調整で減らせる可能性があり、様式ごとにばらばらなら画質や手書きの問題かもしれません。
修正の件数が落ち着き、確認担当者が受信量に合わせて無理なく見られる状態になったら、その様式から本運用に移すという判断ができます。
60日間の無償トライアル1のような試行期間は、こうした記録を取る場として使えます。
全様式を一斉に切り替えず、様式単位で移行していけば、試行が終わるのを待たずに、受信量の多い部分から手入力を減らし始められます。
| 方式 | 認識率(%) |
|---|---|
| 従来OCR | 80 |
| AI-OCR(DynaEye 11) | 98 |
▼ 図の内容を文字で読む
- 誤りの重さで欄を分ける
- 品番・数量などの重い欄は原本のFAXと照合する
- 備考などの軽い欄は抜き取りで確かめる
- 暫定稼働で修正の件数と傾向を記録する
- 同じ様式・同じ欄で誤りが続くなら定義の調整を検討する
- 様式ごとにばらばらなら画質や手書きを確かめる
- 修正が落ち着いた様式から本運用へ移す
- 確認担当者が受信量に合わせて無理なく見られる状態になったら移す
期間を縮めるために先に用意するもの、急ぐと何が起きるか
サンプルFAX・マスタ・確認担当者
ここまでの段階を順に並べると、事前検証、定義と出力設定、トライアルや暫定稼働での確認、本稼働となります。
このうち提供元の作業は依頼や契約をしてから動き出しますが、社内の準備は導入を決める前から始められます。
期間を縮めたいときに効きやすいのは、提供元を急がせることより、社内で用意するものを先にそろえておくことだと考えられます。
先に用意しておきたいものは、次の三つです。
- サンプルFAX:様式の一覧から、枚数の多い様式と読み取りにくい様式を選び、できれば受信データの形で集めておく。
- マスタと取り込み形式:商品コード・得意先コードの一覧と、基幹システムが受け取れるデータの形式を、担当部署から入手しておく。
- 確認担当者:暫定稼働の間に読み取り結果を原本と照らす人と、稼働後に新しい様式の定義を足す人を決めておく。
サンプルFAXを先頭に置いたのには理由があります。
PFUの無償事前検証は、サンプル帳票を預かってから約2週間(10営業日)を目安に結果を返すとしています2。
この2週間は預けた日から数え始めるので、社内でサンプルを集めるのに手間取れば、その日数がそのまま結果の受け取りを遅らせます。
また、法人向けのサービスで、評価できるのは最大2帳票という条件があります2。
どの2様式を出すかを一覧で決めておけば、集める段階で迷いません。
F社の事例と合わせて考えると、事前検証で精度の見通しを得ながら、定義の作成とトレーニングを並行させる進め方は、暫定稼働までの期間を短くする方向に働く可能性があります23。
ただ、どちらもPFUの資料で互いを独立に裏付けるものではなく、F社が扱った様式の数や連携の条件も分かりません。
この組み合わせで1か月に届くと約束できるわけではない点は、社内説明でも添えておくべきでしょう。
検証を削った場合の確認工数
急ぐときに削りたくなるのが、事前検証やトライアルでの確認です。
しかし、検証で見つけるはずだった読み取りの誤りは、検証を省いても消えるわけではありません。
見つかる場所が、本番の注文が流れている受注の現場に移るだけです。
検証の段階なら、誤りは評価結果のCSVや試行の記録の中で、時間をかけて傾向を調べられます。
本番で見つかった誤りは、その日の出荷に間に合わせるために、受注担当者が原本のFAXを見直して修正しなければなりません。
どの様式のどの欄が誤りやすいかが分かっていないと、すべての注文を同じ深さで確かめることになり、手入力のときより確認の手間が増えることも考えられます。
これは実測に基づく数字ではなく、作業の流れから考えられる見通しです。

急ぐ必要があるなら、検証を省くより範囲を絞るほうが筋がよいでしょう。
枚数の多い様式に絞って事前検証と定義を進め、暫定稼働ではその様式だけをOCRに乗せ、残りは当面これまでどおり手入力にする。
こうすれば、確認の手間を把握できる範囲に抑えたまま、使い始めの時期を早められます。
そのうえで、様式を追加するたびに同じ確認を繰り返す流れを決めておけば、本稼働後に取引先が増えたときにも同じ手順で広げられます。
様式の数え方や、どの様式を検証に出すか、OCRの結果をどの段階で受注データに取り込むかは、受注業務の流れ全体を見ないと決めにくいところです。
取引先別の様式の一覧と現在の受注入力の流れを持ち寄れば、どこで転記が減り、どの確認が残るかを整理し、社内説明に使う段階ごとの見込みを組み立てられます。無料相談で要件を整理する
要点の整理
| 軸 | 基準 |
|---|---|
| 期間の起点 | 事前検証は預けた日から、F社の事例は導入決定から数える。契約日と同じとは限らない |
| 公開されている目安 | 事前検証約2週間・トライアル60日間・F社の暫定稼働1か月/本稼働2か月。いずれもPFU製品と1事例の値 |
| 見積もりの単位 | 取引先数ではなく、受け取っている様式(レイアウト)の数と受信枚数 |
| 精度の見方 | 98%・80%はPFU基準帳票の値。自社のFAXで検証し、入力済みデータと突き合わせる |
| 本運用への移行 | 重い欄と軽い欄で確認の深さを分け、修正が落ち着いた様式から移す |
| 先に用意するもの | サンプルFAX、マスタと取り込み形式、確認担当者 |

検証や暫定稼働の結果を本運用の判断につなげるには、修正の記録をどう読み、どの様式から切り替えるかを決める必要があります。 試行で取った修正の記録をもとに、本運用へ移す様式の順番と、残すべき確認の範囲を確かめられます。
よくある質問
FAX-OCRの無償トライアルや事前検証では何を確認すればよいですか。
PFUの無償事前検証は法人向けで、評価できるのは最大2帳票です。
サンプルを預けてから約2週間(10営業日)を目安に、技術者コメント付きの評価PDFとOCR結果のCSVが返送されます2。
返ってきたCSVを、同じ注文書を受注担当者が入力したデータと突き合わせ、品番・数量・納期など間違えると影響の大きい欄でずれがないかを見ると、自社の見込みに使えます。
60日間の無償トライアル1のような試行では、様式ごとの修正件数を記録し、どの様式から本運用に移せるかを判断する材料にします。
取引先のFAXの画質が悪い場合、導入期間や精度にどう影響しますか。
公開されている認識率はPFUの基準帳票での値で、AI-OCRの精度は学習するデータ次第で大きく左右されるとされています1。
画質の悪いFAXが多ければ公開値どおりの精度は期待できず、確認と修正の手間が増えたり、試行を長めに取る必要が出たりします。
どれだけ延びるかを示す資料は無いため、複合機の受信データをそのまま使う、傾きや拡大・縮小を補正するといった方法1で画質側を整えたうえで、自社のFAXで検証して見込みを立てます。
帳票定義を自社で行う場合とベンダーに任せる場合で、何が変わりますか。
PFUの起動支援サービスでは、OCR定義の作成や運用環境のセットアップ、後続システムに合わせた出力データの変換設定を技術者が代行します4。
任せると社内の設定作業は減りますが、サンプルの選定、基幹システムの取り込み形式の提示、読み取り結果の確認は社内に残ります。
稼働後に新しい様式を足す作業をどちらが担うかも、別に決めておく必要があります。
F社では、稼働後の定義追加とチューニングをIT部門が担う想定でした3。
分担の範囲は提供元やプランによって異なります。
暫定稼働の間は、手入力とOCRをどう併用して確認しますか。
決まった方法があるわけではないため、ここでは一つの進め方を提案します。
試行で精度を確かめた様式だけをOCRに乗せ、それ以外の様式はこれまでどおり手入力にします。
OCRに乗せた様式は、品番・数量・納期などの重い欄を受注担当者が原本のFAXと照らし合わせ、修正した件数と欄を記録します。
修正の傾向が落ち着いた様式から確認を抜き取りに切り替え、本運用へ移していきます。
取引先が増えたとき、新しい帳票の追加にはどの程度の手間がかかりますか。
新しい取引先が独自の様式で注文書を送ってくる場合は、その様式の帳票定義を追加し、読み取り結果を確かめる作業が必要になります。
1件あたりの所要時間を示す公開資料は無く、様式の複雑さや手書きの量で変わります。
Mizkan Logitecのように1400件以上のレイアウトを登録・運用している例もあり5、取引先が増えれば様式も積み上がりえます。
F社のように稼働後の追加を社内の誰が担うかを決めておくと3、新しい様式だけ手入力に戻る状態を避けやすくなります。
- 1 出典:株式会社PFU「FAX注文書はOCRできる?精度を向上させる3つのポイント(デジタラクル コラム)」(2025年)
- 2 出典:株式会社PFU「DynaEye 11 無償事前検証サービス」(2025年)
- 3 出典:株式会社PFU「導入事例 建材商社F社(PFU ワークスタイル)」(掲載年不明)
- 4 出典:株式会社PFU「DynaEye 11 Entry AI-OCR 発売ニュースリリース」(2025年)
- 5 出典:LNEWS「Mizkan Logitec/AI-OCR導入、持続可能な物流体制構築へDXを加速」(2026年)
画像の出典元
- Business professionals discussing documents in a modern office environment./Photo by RDNE Stock project on Pexels