◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- 食品ECの産地表示対応は、容器包装への義務表示とEC画面上の表示を切り分けて考える必要があります。
- 義務の有無は食品表示法・米トレーサビリティ法・景品表示法という3つの制度で扱いが異なります。
- 実務では掲載項目の決め方に加えて、産地情報を最新の状態でEC画面へ届け続ける運用設計が課題になります。
目次
食品ECの産地表示対応とは、制度の谷間をどう埋めるか
食品ECの産地表示対応とは、食品表示基準が義務づける容器包装の表示とは別に、EC商品ページでどこまで産地情報を提供するかを制度ごとに切り分ける取り組みです。掲載内容と更新の運用まで含めて設計します。
食品表示基準そのものはECサイト上の食品表示情報の掲載を対象外としています*5。ただし、この「対象外」という一点だけを見て何も表示しなくてよいと判断するのは早計です。景品表示法はEC画面の表示にも及ぶため*4、義務ではないからこそ何をどこまで書くかの判断基準が必要になります。
結論:EC画面の表示は食品表示基準の対象外、ただし景品表示法は及ぶ
消費者庁のガイドブックは「食品表示基準においてECサイトの食品表示情報の掲載は対象外」と明記した上で、位置づけを「事業者等向けの参考ツール」としています*5。つまりEC画面に産地情報を書かなくても食品表示基準違反にはなりません。
一方で、EC画面に実際と異なる産地情報を掲載すれば、景品表示法の優良誤認表示(第5条第1号)に該当し得ます*4。義務がないことと、書いた内容に責任が生じないことは別問題です。
「義務の有無」で3階層に分かれる制度構造
産地表示に関わる規律は、容器包装(義務)・EC画面(義務対象外、ただしガイドブックが推奨)・広告表示規制(EC画面にも適用)という3階層で整理できます。この3階層を分けて理解しておくと、どこまでを制度対応として固定し、どこからを自社の判断で決めるべきかが見えてきます。
着手前に確認すべき3つの問い
自社の産地表示対応を検討する際は、着手前に次の3点を商品ごとに確認しておくと、以降の判断が早くなります。第一に自社商品が生鮮食品か加工食品か、第二に米・米加工品を含むか、第三に産地が入荷ロットや季節で変動するかです。この3点によって、次章で扱う制度の適用範囲と、記載する項目の作法が変わります。
産地表示に関わる3つの制度とECへの適用範囲
食品ECの産地表示に関わる制度は、食品表示法・米トレーサビリティ法・景品表示法の3つです。それぞれ対象商品とEC画面への適用の有無が異なるため、まず制度ごとの違いを押さえます。
食品表示法・食品表示基準:容器包装への義務
食品表示基準(平成27年内閣府令第10号、2015年3月20日公布)は、生鮮食品の原産地と加工食品の原料原産地について、容器包装への表示を義務づけています*1。生鮮食品のうち農産物は国産である旨または都道府県名等、輸入品は原産国名を表示します*1。畜産物は最も飼養期間が長い場所(主たる飼養地)が属する都道府県名等を表示する定めです*1。
加工食品については、対象原材料の原料原産地名を原材料名に対応させて表示する必要があります*1。この加工食品の原料原産地表示制度は2017年9月1日に施行され、対象を全ての加工食品に広げています*2。この基準はあくまで容器包装への表示を対象としており、EC画面上の表示までは義務づけていません*5。
米トレーサビリティ法:通販でも産地情報の伝達義務が及ぶ類型
米・米加工品には、他の食品と異なる規律が及びます。米穀等の取引等に係る情報の記録及び産地情報の伝達に関する法律(平成21年法律第26号)は、通称「米トレーサビリティ法」と呼ばれます。事業者間の取引記録の作成・保存に加えて、一般消費者への産地情報の伝達を義務づけています*3。
記録作成・保存義務は2010年10月1日に、産地情報の伝達義務は2011年7月1日にそれぞれ始まりました*3。記録の保存期間は原則3年ですが、消費期限が付された商品は3か月、賞味期限が3年を超える商品は5年です*3。
一般消費者への伝達方法は、商品への直接表記のほか、ウェブサイトでの情報提供や電話等での問い合わせ対応でも足りるとされています*3。通信販売・インターネット販売であっても、これらの方法で産地情報を購入前に確認できる状態にしておけば、米トレーサビリティ法上の伝達義務を満たせます*3。ただし玄米・精米・もちは食品表示法で原料原産地情報の表示義務があるため、これらは同法に従って容器包装に表示する必要があります*3。米・米加工品を扱う食品ECは、この点で他の一般食品と扱いが異なることを押さえておく必要があります。
景品表示法:EC画面の産地表示も優良誤認表示の対象になる
景品表示法は、実際のものよりも著しく優良であると一般消費者に示す表示を優良誤認表示として禁じており、この規定は景品表示法第5条第1号に定められています*4。原産国に関する不当な表示は、同法第5条第3号にもとづく指定表示の対象にもなります*4。あわせて不実証広告規制があり、表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料が提出されない場合、その表示は措置命令との関係では不当表示とみなされ(第7条第2項)、課徴金納付命令との関係では不当表示と推定されます(第8条第3項)*4。
この規制には容器包装かEC画面かという区別がなく、EC画面上の産地表示が実際と異なれば規制の対象になり得ます*4。食品表示基準の対象外であることと、景品表示法の対象外であることは、まったく別の話です。
| 制度 | 対象商品 | 容器包装表示 | EC画面表示 |
|---|---|---|---|
| 食品表示法・食品表示基準*1 | 生鮮食品・加工食品全般 | 義務。原産地・原料原産地名を表示。 | 対象外。ガイドブックが参考ツールとして掲載を推奨*5。 |
| 米トレーサビリティ法*3 | 米・米加工品 | 義務。産地情報の記録・伝達が必要。 | 伝達義務あり。ウェブサイト掲載または電話対応で満たせる。 |
| 景品表示法*4 | 全商品(表示する場合) | 優良誤認表示を禁止(第5条第1号)。 | 同様に禁止対象。容器包装かEC画面かを問わない。 |
EC商品ページに掲載する産地情報の項目と書き方
EC商品ページに産地情報を掲載する場合、消費者庁のガイドブックはどのような項目を・どのような形で書けばよいかの考え方を具体的に示しています*5。ここでは義務ではない部分の「望ましい書き方」を整理します。
ガイドブックが示す4つの基本方針
ガイドブックは、ECサイトの食品表示情報提供にあたって4つの基本方針を掲げています*5。第一にできるだけ食品表示基準に準じて情報提供すること。第二に消費者の安全を第一に、正しく分かりやすく情報を伝達することです*5。
第三に消費者が見やすいサイトを構築すること。第四に問合せに適切に回答できる体制を整えることです*5。産地情報の書き方は、この4方針のうち特に1番目と関わります。
生鮮食品と加工食品で異なる記載の考え方
産地情報について、ガイドブックは4点を示しています*5。生鮮食品の原産地情報は食品表示基準に準じて情報提供すること。加工食品は原料原産地もわかる範囲で掲載することです。
原材料名欄と原料原産地名は欄を分けて記載すること。季節などにより産地が変わる食品の場合は複数併記することです*5。
生鮮食品であれば「国産(都道府県名)」「輸入品(原産国名)」のように、容器包装表示と同じ考え方をEC画面にもそのまま使えます*1。加工食品は、原材料名の欄と原料原産地名の欄を分けて表示すると、消費者が両者を混同しにくくなります*5。
産地が変わる商品は複数併記と注記で対応する
入荷ロットや季節によって産地が変わる商品への対応として、ガイドブックは複数の産地を併記する提供例を挙げています*5。表示例としては、想定される産地を列挙した上で、実際の産地は入荷時期により変わる旨と、確定した産地は容器包装表示を確認してほしい旨を注記する形が考えられます。この注記があることで、EC画面の表示が確定情報ではなく参考情報であることを、消費者に事前に伝えられます。
| 商品区分 | 望ましくない書き方 | ガイドブックに沿った書き方 |
|---|---|---|
| 生鮮食品(国産) | 「産地:日本」とだけ記載。 | 「国産(〇〇県)」のように都道府県名等まで示す*1。 |
| 加工食品 | 原材料名と原料原産地名を1行にまとめて記載。 | 原材料名欄と原料原産地名欄を分けて記載する*5。 |
| 産地変動商品 | 特定の1産地のみを固定的に記載。 | 想定産地を複数併記し、変更の可能性がある旨と容器包装表示確認の旨を注記する*5。 |
産地表示対応を進める実務手順5ステップ
制度と項目を理解した後の課題は、それを自社の商品点数に対してどう回すかです。ガイドブックの整理をもとに、実務手順を5つのステップに分けます*5。
Step1:商品マスタを制度区分でタグ付けする
最初に行うのは、商品マスタ上で各商品を生鮮食品・加工食品・米や米加工品のいずれかに区分してタグ付けすることです。この区分がなければ、どの商品に食品表示基準の考え方を適用し、どの商品に米トレーサビリティ法の伝達義務が及ぶかを個別に判断できません*1*3。商品点数が多いほど、この区分タグは以降の全工程の土台になります。
Step2:産地情報の入手経路を決める
次に、産地情報をどの経路で入手するかを決めます。ガイドブックは入手方法を3類型に整理しています。紙やPDFでの入手、表計算ソフト等の所定フォーマットでの入手、データ連携による自動入手です*5。
どの類型を選ぶかによって、後続のEC画面反映の設計が変わります。
Step3:EC画面への反映方法を決める
入手した情報をEC画面へどう反映するかも、ガイドブックが4類型で整理しています。手入力での更新、自社システムとの連携、外部委託、メーカーからの一気通貫でのデータ連携です*5。手入力は特別なシステムがなくても始められる一方、誤変換や更新漏れが起こりやすく、商品点数が増えるほど工数負担が膨らみます*5。
Step4:産地変動時の更新ルールと注記テンプレートを定める
産地が季節や入荷ロットで変わる商品については、更新のタイミングと担当者、そして前章で触れた複数併記・注記の文言をテンプレート化しておきます。テンプレートを事前に用意しておけば、産地が切り替わるたびに文言を一から考える必要がなくなります。
Step5:問合せ対応の窓口・回答基準を整備する
最後に、産地情報についての問合せに答える窓口と回答基準を整えます。ガイドブックの基本方針の4番目にある「問合せに適切に回答できる体制」は、EC画面の表示だけでは伝えきれない情報を補う役割を持ちます*5。特に米・米加工品では、ウェブサイト掲載に加えて電話等での問合せ対応も、産地情報伝達義務を満たす手段として認められています*3。
自社の商品構成で5ステップのどこに時間がかかりそうかを無料相談で整理すると、着手順序を決めやすくなります。
運用が崩れる原因は容器包装とECの情報同期
制度の理解や書き方のルールを整えても、実際に運用が続かなければ意味がありません。ガイドブックが示す入手・管理方法の整理を見ると、産地表示対応の実務的な壁は法解釈そのものではないことが分かります*5。壁になるのは、商品情報を正確に・最新の状態でEC画面へ届け続ける仕組みです。
入手・管理方法4類型のメリットとデメリット
ガイドブックは、データの管理方法についても4類型のメリット・デメリットを整理しています。手入力での更新はITリテラシーを問わず着手できますが、誤変換・誤入力のヒューマンエラーとサイト反映遅延が課題です*5。自社システムとの連携は社内最新情報を反映できる一方、更新頻度によっては反映が遅れます*5。
外部委託は自社の業務負担を軽減できますが、データ入手からサイト反映までの関係者間の連携と、責任の所在が課題として残ります*5。メーカーからの一気通貫でのデータ連携は、最新情報の反映とヒューマンエラー回避に強みがあります。仕様変更時にメーカー側のデータ修正が漏れたまま放置されるおそれもあります*5。
手入力運用が抱える限界
商品点数が数百・数千に及ぶ食品ECでは、手入力運用はいずれ限界を迎えます。誤変換や更新漏れといったヒューマンエラーは、担当者の注意力だけでは完全に防ぎきれません*5。
入荷のたびに産地が変わる商品を抱えている場合、更新作業自体が恒常的な業務負担になります*5。容器包装の表示とEC画面の表示がずれたまま公開され続ければ、景品表示法上のリスクにもつながりかねません*4。
データ連携で解けること・連携しても残るリスク
ガイドブック自身が「システム連携による自動的なデータの入手・管理を推奨する」としています*5。データ連携は、ヒューマンエラーの回避、最新情報への迅速な反映、双方担当者の業務負担軽減という効果が見込める領域です*5。
ただしガイドブックは同時に、「メーカー側の記載ミスや修正忘れが放置されるリスクにも留意」するよう注意を促しています*5。データ連携は運用の手間を減らす手段であって、産地情報そのものの正確性を保証する仕組みではありません。
連携の仕組みを整えた上で、どの段階で誰が最終確認するかという運用ルールをあわせて設計しておく必要があります。
| 入手方法 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 紙・PDF等での入手*5 | ITリテラシーがなくても入手しやすい。 | 誤読・誤入力のリスク。更新の遅れが生じやすい。 |
| 所定フォーマットでの入手*5 | ヒューマンエラーの発生確率が下がる。更新履歴を確認しやすい。 | 手打ち入力時の誤変換は残る。取引先ごとのファイル管理が必要。 |
| データ連携による自動入手*5 | 正確性が高く、最新情報を迅速に反映できる。 | 連携体制の構築とシステム導入・運用コストが必要。 |
2025年12月の分科会取りまとめといま備えること
食品表示のデジタル化をめぐる議論は、2025年12月に一つの区切りを迎えました。消費者庁の食品表示へのデジタルツール活用検討分科会が「取りまとめ」を公表し、令和6年10月から令和7年11月にかけての議論の結果を整理しています*6。
方向性:データは分散管理、アクセス手段は二次元コード
分科会は、表示のためのデータを国等が一元管理するか、事業者が自らのデータベースで管理する分散管理にするかを議論しました。既存のデータベースを活用できることなどから、分散管理により制度設計していくことが適当としています*6。
消費者がデジタル表示にアクセスする手段については、JANコードと二次元コードを比較しています。分散管理を前提とすると、消費者が所有するスマートフォンを用いた二次元コードの利用が妥当であると結論づけています*6。
国際基準との関係
この議論の背景には国際的な動きもあります。コーデックス委員会は、国際的な食品規格を策定する政府間組織です。同委員会は2024年10月の第48回食品表示部会で「食品表示における食品情報の提供のためのテクノロジーの使用に関するガイドライン」を策定しました*6。
文書番号はCXG105-2024で、通称テクノロジーガイドラインと呼ばれます。同年11月末の第47回総会で採択しています*6。日本の検討も、この国際的な議論との整合性を踏まえて進められています。
令和8年度以降の進め方といま備えること
取りまとめの公表をもって分科会での議論は一区切りとなり、データの保管方法のルールについては、消費者庁において詳細なガイドライン等の作成を検討していくとされています*6。容器包装への表示を義務とする事項と、デジタルツールによる代替表示を認める事項の具体的な線引きは、今後の検討課題として残っています*6。
この制度化がいつどの範囲で実現するかは、現時点で確定していません。ただし産地情報を含む商品情報を正確なマスタとして管理しておくことは、今後にも現在にも共通して役立つ備えです。二次元コードによる代替表示が制度化された場合にも、EC画面の任意表示として運用している現在にも活きます。
産地表示の運用整備で優先すべき3点/順位根拠:制度上の優先度
- 米・米加工品を扱う場合は、産地情報の伝達手段(ウェブサイト掲載または問合せ対応)を先に確保する。米トレーサビリティ法上の義務が及ぶ範囲のため*3。
- EC画面と容器包装の産地表示が食い違わないよう、商品マスタを基準データとして一元管理する。景品表示法の優良誤認表示リスクに直結するため*4。
- 産地が変動する商品には複数併記と注記のテンプレートを整備する。ガイドブックが推奨する具体的な提供方法であるため*5。
まとめ|食品ECの産地表示対応チェックリスト
本稿では、食品ECの産地表示対応を「義務の範囲」「掲載項目」「運用手順」の3点から整理しました。要点を集約すると次の3つです。
第一に、EC画面の表示は食品表示基準の対象外です。ただし景品表示法は容器包装かEC画面かを問わず適用され、米・米加工品には米トレーサビリティ法上の伝達義務が別途あります。
第二に、掲載する場合はガイドブックが示す生鮮食品・加工食品・産地変動時それぞれの書き方に沿って記載します。第三に、運用の持続性は入手・管理方法の選び方に左右されるため、商品点数と更新頻度に見合った方法を選ぶ必要があります。
自己診断チェックリスト/順位根拠:着手順序
- 自社商品を生鮮食品・加工食品・米(米加工品)に区分できているか。
- 米・米加工品を扱う場合、産地情報の伝達手段(ウェブサイト掲載または問合せ対応)を用意しているか。
- 生鮮食品の原産地表示を、容器包装表示と同じ考え方でEC画面にも反映しているか。
- 加工食品の原材料名欄と原料原産地名欄を分けて記載しているか。
- 産地が変動する商品に複数併記と注記のテンプレートを用意しているか。
- EC画面と容器包装の表示内容がずれていないか、定期的に確認しているか。
- 産地情報の入手経路(紙・所定フォーマット・データ連携)を把握しているか。
- 産地情報のEC画面反映方法(手入力・システム連携・外部委託・一気通貫連携)を決めているか。
- データ連携を導入している場合も、メーカー側の記載ミス・修正忘れを確認する体制があるか。
- 産地情報についての問合せ窓口と回答基準を整備しているか。
ご不明な点はお問い合わせフォームからもご連絡いただけます。
よくある質問
食品ECの商品ページに産地を書く法律上の義務はありますか。
生鮮食品・加工食品では、EC画面上の産地表示そのものを義務づける規定はありません。食品表示基準はECサイトの食品表示情報の掲載を対象外としているためです*5。ただし米・米加工品は米トレーサビリティ法により産地情報の伝達義務があり、ウェブサイト掲載や問合せ対応でこれを満たす必要があります(玄米・精米・もちは食品表示法により容器包装への表示が必要です)*3。表示する場合は景品表示法の優良誤認表示規制の対象にもなります*4。
産地が入荷ロットで変わる商品はどう表示すればよいですか。
消費者庁のガイドブックは、季節等により産地が変わる食品について複数の産地を併記する提供例を示しています*5。あわせて、実際の産地は入荷時期により変わる旨を注記します。確定した産地は容器包装表示で確認してほしい旨も添えると、EC画面の表示が参考情報であることを消費者に伝えられます。
米や米加工品をネット販売する場合、産地の扱いは他の食品と違いますか。
異なります。米トレーサビリティ法は、一般消費者への産地情報の伝達を義務づけており、通信販売でもウェブサイト掲載や電話等の問合せ対応により同法上の義務を満たせます*3。ただし玄米・精米・もちは食品表示法で原料原産地情報の表示義務があるため、同法に従った容器包装への表示が別途必要です*3。他の一般食品にはEC画面上の伝達義務そのものが存在しないため、米・米加工品を扱うECでは別途この対応が必要です。
ECの産地表示を誤ると、どの法律に基づく処分の対象になりますか。
実際と異なる産地を表示すると、景品表示法の優良誤認表示(第5条第1号)に該当し得ます。その場合は措置命令や課徴金納付命令の対象になり得ます*4。表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料を提出できない場合には、不実証広告規制により、措置命令との関係で不当表示とみなされることもあります(第7条第2項)*4。個別の事案が処分の対象になるかどうかは所管官庁の判断によるため、疑義がある場合は消費者庁や弁護士等の専門家に確認することをおすすめします。
容器包装の表示とECの表示が食い違った場合、どちらが優先されますか。
法令上の義務表示は容器包装の表示であり、消費者が実際に受け取る商品の表示として機能します*1。一方でEC画面の表示に誤りがあれば、それ自体が景品表示法上の問題になり得るため*4、「容器包装が正しければEC画面は誤っていてもよい」とはいえません。商品マスタを基準データとして両者を同期させる運用が、食い違いを防ぐ基本的な対応です*5。
- *1 出典:デジタル庁 e-Gov法令検索「食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)」(公布2015年、最終改正2026年4月1日施行)
- *2 出典:消費者庁「新たな加工食品の原料原産地表示制度に関する情報」(2017年)
- *3 出典:農林水産省「米トレーサビリティ法の概要」
- *4 出典:消費者庁「表示規制の概要(景品表示法)」
- *5 出典:消費者庁「インターネット販売における食品表示の情報提供に関するガイドブックについて(概要)」(2022年6月)
- *6 出典:消費者庁 食品表示へのデジタルツール活用検討分科会「食品表示へのデジタルツール活用検討分科会 取りまとめ」(2025年12月)
画像の出典元
- 各種の食品パッケージが市場に陳列されている様子/Photo by EMANUELE Ricciardi on Unsplash
- 運用のイメージ/Photo by Tim Cooper on Unsplash
- 原因のイメージ/Photo by Douglas Lopes on Unsplash
- チェックリストのイメージ/Photo by Annie Spratt on Unsplash