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食材発注の前日業務の進め方:確認の順番・締め時間・引き継ぎ表まで

◆監修・編集責任者 小園 将隆 

B2B EC-COLUMN

この記事のポイント

  • 前日の食材発注は、在庫確認・需要見込み・数量決定・送信・納品確認の5段階に分けると、欠品や余りの原因がどこにあるかが見えてくる。
  • 在庫は発注と同じ単位で数え、需要は翌日だけでなく次の納品までに使う量として見込む。
  • 仕入先ごとの締め時間・納品曜日・修正期限を書き出し、品目を前日の夜・前々日以前・当日対応の三つに分ける。
  • 送り方は、仕入先の対応・閉店後の送信・送信の記録・手元の転記の4軸で比べ、いま何回書き写しているかを数えて判断する。
  • 判断の理由を添えたチェック表を代理担当で試し、欠品・廃棄の記録を理由ごとに表へ戻して直していく。

A chef in a restaurant kitchen tends to large pots of steaming soup, creating a cozy atmosphere.
▽ 写真の出典元

前日の食材発注で「足りない・余る」が続くのはなぜか。5段階に分けて考える

閉店後に在庫と予約を見て発注数を決めたのに、翌日は足りない食材が出る。
別の日には余って捨てる。
しかも、どう数を決めたのかは担当者の頭の中にしかない。
前日の食材発注がこの状態なら、変えられるのは勘の精度より手順の形です。
発注業務を「在庫確認→需要見込み→数量決定→仕入先への送信→納品確認」の5段階に分け、段階ごとに見る項目をチェック表に固定します。
同じ表に品目ごとの締め時間と、欠品・廃棄の記録も加えます。
そうすれば、担当が替わっても同じ順番で回り、結果を次の発注へ返せます。

在庫確認から納品確認までの5段階

食材が足りなかった日や、余って捨てた日を振り返ると、「数を読み違えた」とひとことでまとめてしまいがちです。
けれども発注は、数を決める一瞬だけでできているわけではありません。
冷蔵庫の中身を数え、明日以降の客数を見込み、頼む数を決め、仕入先へ伝え、届いた物を確かめる。
このどこかで確認が抜けても、最後に表に出る結果は「足りない」か「余る」のどちらかです。
そのため、原因がどこにあったのかが見えにくくなります。

そこで、前日の発注業務を次の5段階に分けて見直すことを提案します。
作業を点検するための一つの整理で、どの店にも当てはまる決まった標準手順というわけではありません。

  • 在庫確認:いま店にある食材を、発注と同じ単位で数える
  • 需要見込み:翌日以降、次の納品までに使う量を、予約や曜日、直近の実績から見込む
  • 数量決定:見込んだ量から在庫を差し引き、頼む数を決める
  • 送信:仕入先ごとの締め時間までに、決めた数を正しく伝える
  • 納品確認:届いた品目・数・状態を、注文した内容と照らし合わせる

段階に分けると、同じ欠品でも原因の場所が違って見えてきます。
見込みが外れたのか、そもそも在庫を数え間違えていたのか、正しい数を決めたのに伝え方で崩れたのか。
原因の場所が分かれば、直すべき確認項目も一つに絞れます。

どの段階で読み違いが生まれやすいか

在庫確認では、単位のずれと数え漏れが起きがちです。
仕入先にはケースや袋で頼むのに、在庫を「半分くらい」と覚えていると、差し引きの計算ができません。
開封済みの袋や、仕込み済みで翌日に使う半製品、冷凍庫の奥の予備を数えるかどうかが日によって違えば、同じ在庫でも出てくる数が変わります。

需要見込みでは、目に見える手掛かりだけに頼る傾向があります。
予約表は確実な数字ですが、予約なしで来る客の分は含まれていません。
反対に、予約が入っている日ほど多めに頼みたくなり、その日に限って予約外の客が少ないと余りが出ます。

数量決定と送信の段では、正しく考えた数が伝える途中で変わってしまうことがあります。
メモに書いた数を発注用紙へ写す、電話で読み上げる、仕入先が書き取る。
書き写す回数だけ、品名・数・単位を取り違える余地が生まれます。
締め時間を過ぎていたせいで、翌日に届かなかったという形の欠品もここに入ります。

見落とされやすいのが、納品確認から翌日の在庫確認へのつながりです。
届いた数が注文より少なかったのに気づかず棚へしまうと、翌晩の担当は「頼んだのだからあるはず」という前提で在庫を数えます。
一度の見逃しが次の発注の土台を崩し、欠品が二日続く原因になります。

どの段階が重くなるかは店によって違います。
たとえば仕入先が多い店では送信の段が、日替わりの料理が中心の店では需要見込みの段が、手間も迷いも大きくなるでしょう。
担当者の勘で回している店では、本人もどの段階を省いているかに気づきにくいものです。
まずは5段階のどこで判断しているのかを書き出すことが、勘を手順に置き換える最初の作業になります。

前日発注の5段階と、確認が抜けたときの現れ方(模式図)
在庫確認、需要見込み、数量決定、送信、納品確認の5段階で確認が抜けたときの影響を並べた図。納品確認での見逃しは、翌日の在庫確認が「あるはず」の数で狂う原因につながる。1在庫確認2需要見込み3数量決定4送信5納品確認

▼ 図の内容を文字で読む
  1. 在庫確認
    • 単位がそろわず差し引きを誤る
    • 開封済み・仕込み済みを数え漏らす
  2. 需要見込み
    • 予約外の客の分を見落とす
    • 予約が多い日に頼みすぎる
  3. 数量決定
    • 見込みと在庫の差し引きを誤る
  4. 送信
    • 書き写しや読み上げで品名・数・単位を取り違える
    • 締め時間を過ぎて翌日に届かない
  5. 納品確認
    • 届いた数の違いを見逃す
    • 翌日の在庫確認が「あるはず」の数で狂う

前日の夜に確認する項目と、数量を決める順番

在庫を数える

前日の夜にまずやるのは、いまある食材を数えることです。
ここで大事なのは、数える単位を発注の単位にそろえることです。
キロで頼む食材はキロで、袋で頼む食材は袋で数えておけば、あとの差し引きが一回の計算で済みます。

開封済みの袋や使いかけの食材は、品目ごとに扱いを決めておきます。
「半分以上残っていれば一袋と数える」「開封済みは数えず、翌日の仕込みで使い切る前提にする」など、店に合った決め方で構いません。
大事なのは、誰が数えても同じ扱いになることです。
仕込み済みの半製品も同じで、元の食材に換算して数えるのか、別の品目として数えるのかを決めておきます。

数える順番は、保管場所の並びに合わせると漏れに気づきやすくなります。
冷蔵庫、冷凍庫、乾物の棚というように、チェック表の品目を置き場所の順に並べておけば、表を上から追うだけで店内を一周できます。
表に載っていない食材が棚にあれば、それ自体が「表の更新が要る」という合図になります。

予約・曜日・直近の実績を見る

在庫が分かったら、次は需要の見込みです。
前日に発注した食材が届くのは翌日以降です。
そのため、見込む範囲は「明日の営業で使う量」ではなく「次の納品までに使う量」になります。
翌日に届いた食材を、その次の納品日まで使い続ける品目なら、その間の営業日すべてが見込みの対象です。

見込みの手掛かりは、主に次のようなものです。

  • 予約:人数とコースの内容。
    確実だが、予約なしの客は含まれない
  • 曜日:同じ曜日の混み方の傾向
  • 直近の実績:最近の同じ曜日に、その料理や食材がどれだけ出たか
  • 店の外の予定:近隣の行事や、店が実施する企画など

予約で確定している分を先に積み上げ、そこに曜日と実績から読む予約外の分を足す。
この順で考えると、何を根拠にした数なのかが分かれて見えます。
どの手掛かりをどれだけ重く見るかに、決まった計算式はありません。
数週間、見込んだ数と実際に出た数を並べて記録すれば、自店ではどの手掛かりが当たりやすいかが見えてきます。
予約の多い店では予約の比重が大きく、通りがかりの客が多い店では曜日と実績の比重が大きくなる、というように、答えは店ごとに変わります。

数量決定で迷うところ

見込みから在庫を差し引けば、頼む数の目安は出ます。
それでも迷うのは、多めと少なめのどちらに寄せるかです。
ここは、品目ごとに「足りないときに困ること」と「余ったときに困ること」を比べると判断しやすくなります。

看板メニューの主材料は、欠品すればその料理を出せなくなります。
一方で、日持ちの短い葉物や生鮮品は、余ればそのまま廃棄につながりやすいものです。
同じ迷いでも、前者は多めに、後者は少なめに寄せる理由があります。
品目ごとに「迷ったら多め」「迷ったら少なめ」をチェック表に書いておけば、担当が替わっても寄せる方向がぶれません。

少なめに寄せられるかどうかは、足りなくなったときの手当てがあるかで変わります。
近くで買い足せる、別の料理に切り替えられる、当日に追加で届けてもらえる。
こうした手当てが決まっている品目は、余りを減らす方向に寄せやすくなります。
手当てのない品目で少なめに寄せると、欠品のリスクをそのまま抱えることになります。

大口の予約が入った日は、通常の見込みとは別枠で積み上げます。
普段の実績に上乗せするだけだと、その予約の料理で使う食材が通常の出方とずれているときに読み違えます。
また、迷った末に決めた数は、なぜその数にしたのかを一言だけ残しておくと、あとで結果と見比べるときに役立ちます。

頼む数を決める材料の内訳(模式図)
頼む数の目安を、次の納品までに使う量、いまの在庫、迷ったときの寄せ方の三つに分け、それぞれの中身を示した図。頼む数の目安を、次の納品までに使う量、いまの在庫、迷ったときの寄せ方の三つに分け、それぞれの中身を示した図。次の納品までに使う量予約で確定している分を先に積み上げる曜日と直近の実績から予約外の分を読む大口の予約は別枠で積み上げるいまの在庫発注と同じ単位で数える開封済み・仕込み済みの数え方を決めておく迷ったときの寄せ方足りないと困る品目は多めに寄せる日持ちが短い品目は少なめに寄せる足りないときの手当てがあれば少なめに寄せやすい

▼ 図の内容を文字で読む
  • 次の納品までに使う量
    • 予約で確定している分を先に積み上げる
    • 曜日と直近の実績から予約外の分を読む
    • 大口の予約は別枠で積み上げる
  • いまの在庫
    • 発注と同じ単位で数える
    • 開封済み・仕込み済みの数え方を決めておく
  • 迷ったときの寄せ方
    • 足りないと困る品目は多めに寄せる
    • 日持ちが短い品目は少なめに寄せる
    • 足りないときの手当てがあれば少なめに寄せやすい

前日発注で間に合う品目と、前々日・当日の対応が要る品目の仕分け方

仕入先ごとの締め時間を書き出す

数量の決め方が整っても、注文が届かなければ意味がありません。
前日の夜に数を決める店でも、仕入先の注文の締めがそれより前なら、その品目は前日の夜には決められません。
まずは仕入先ごとに、次の項目を一枚の表に書き出します。

  • 仕入先名と連絡先
  • 注文の締め時間
  • 受け付けている注文の手段
  • 納品できる曜日と時間帯
  • 休業日と、連休前の扱い
  • 注文後の修正をいつまで受け付けるか
  • 最小の注文単位

締め時間や納品までの日数は、仕入先ごとに違います。
同じ仕入先でも、品目によって締めが早いことがあります。
相場の時刻で表を埋めるのではなく、取引先に直接聞いて書き込むのが確実です。
聞くときは「何時までに頼めば、いつ届くか」に加えて、「頼んだ後に数を直せるのはいつまでか」もそろえて確かめておくと、予約が前日に変わったときの判断がしやすくなります。

表を作ると、これまで担当者が感覚で覚えていた「この業者は早めに電話しないと間に合わない」といった知識が、誰にでも読める形になります。
前日発注の業務を引き継ぐときに、いちばん抜けやすいのがこの部分です。

日持ちと納品日で品目を分ける

締め時間の表ができたら、品目を三つに分けます。
決め手になるのは、仕入先の締めと納品日、そして食材の日持ちです。

一つ目は、前日の夜の発注で間に合う品目です。
締めが閉店後の作業時間に間に合い、翌日に届く。
こうした品目は、前の節で見た在庫確認と需要見込みの流れで毎晩決めます。

二つ目は、前々日以前に決めておく品目です。
納品できる曜日が限られている、取り寄せに日数がかかる、仕入先の休業日をまたぐ。
こうした品目は、前日の夜に気づいても間に合いません。
日持ちが長く、まとめて頼む乾物や冷凍品もここに入ることが多いでしょう。
週に一度など、決める日をあらかじめ表に書いておきます。

三つ目は、当日の対応を用意しておく品目です。
日持ちが短く、需要も読みにくいものは、前日に多めに頼むと余りが出やすく、少なめにすると欠品が心配になります。
こうした品目は、少なめに頼んだうえで、足りないときの手当てを決めておくという組み合わせが考えられます。
当日の追加注文を受けてくれる仕入先があるのか、近くで買い足せるのか、代わりの料理を出すのかを、品目の横に書いておきます。

日持ちの目安は、商品の表示や仕入先の案内に従って確かめます。
保存温度や期限の扱いは食材ごとに違うので、表には「どこに保管し、どの表示を見るか」を書いておくと、引き継いだ人が迷いません。

この区分は固定ではありません。
連休の前や仕入先の休業日の前は、普段は前日発注で足りる品目が前々日の区分へ移ります。
表に「例外の日」の欄を設けておけば、毎年同じ時期に慌てずに済みます。

締め時間・納品日・日持ちで分ける三つの品目区分(模式図)
前日の夜の発注で間に合う品目、前々日以前に決める品目、当日の対応を用意する品目の三区分と、それぞれに入る条件を示す図。前日の夜の発注で間に合う品目、前々日以前に決める品目、当日の対応を用意する品目の三区分と、それぞれに入る条件を示す図。前日の夜に決める締めが閉店後の作業時間に間に合う翌日に届く前々日以前に決める納品できる曜日が限られる取り寄せに日数がかかる仕入先の休業日をまたぐ連休の前は前日発注の品目も移る当日の対応を用意する日持ちが短く需要が読みにくい当日の追加注文・買い足し・代わりの料理を決めておく

▼ 図の内容を文字で読む
  • 前日の夜に決める
    • 締めが閉店後の作業時間に間に合う
    • 翌日に届く
  • 前々日以前に決める
    • 納品できる曜日が限られる
    • 取り寄せに日数がかかる
    • 仕入先の休業日をまたぐ
    • 連休の前は前日発注の品目も移る
  • 当日の対応を用意する
    • 日持ちが短く需要が読みにくい
    • 当日の追加注文・買い足し・代わりの料理を決めておく

電話・FAX・メッセージ・受発注システム。ミスと手間で自店に合う送り方を選ぶ

電話・FAXで起きやすい誤り

品目を仕分けると、多くの店では複数の仕入先へ、それぞれのやり方で注文を送ることになります。
ここで考えたいのが送り方です。

中小企業庁のミラサポplusは、電話やFAXによる受発注では受け取った内容を経理システムへ手入力で転記する必要があり、ミスや書類紛失のリスクがあると指摘しています1。
これは企業間の受発注全般についての記述で、飲食店の発注に限った話ではありません。
ただ、紙や声で伝えた内容を、誰かが別の場所へ書き写すという構造は、飲食店の食材発注でも同じです。

店の側で考えてみます。
担当者は在庫を数えながらメモに数を書き、それを発注用紙へ写すか、電話で読み上げます。
仕入先はそれを書き取るか、FAXの手書き文字を読んで、自社の仕組みへ入力します。
請求書が届けば、店の側でも注文の控えと照らし合わせます。
一つの注文が届くまでに、数字は何度も書き写されています。

電話にはもう一つ弱点があります。
話した内容が手元に残らないため、納品された数が違っていたとき、店の伝え間違いなのか、仕入先の聞き違いなのかを確かめにくいことです。
前の節で触れた納品確認は、注文の控えがあってはじめて照合ができます。

送り方を比べる共通の軸

送り方は、費用や見た目の便利さより、次の四つの軸でそろえて比べると判断しやすくなります。
仕入先が対応できるか、閉店後に送れるか、送信の記録が残るか、手元での転記が要るか、の四つです。

四つの軸のうち、最初に決まるのは仕入先の対応です。
店がどれだけ便利な送り方を望んでも、相手が受け付けなければ使えません。
そのため、一つの店で電話とFAXとメッセージが混在するのは珍しいことではないでしょう。
無理に一つへそろえるより、前の節で作った締め時間の表に、仕入先ごとの送り方を書き加えておく方が引き継ぎには役立ちます。

閉店後に送れるかどうかは、締め時間と合わせて考えます。
FAXやメッセージは夜に送れても、仕入先が内容を見るのは翌朝かもしれません。
その翌朝が締め時間より後なら、送ったのに間に合わないということが起こります。
送れる時刻と、相手が受け付けたことになる時刻は、別の項目として確かめておく必要があります。

記録と転記の軸は、5段階のうち送信と納品確認に関わります。
記録が残る送り方なら、届いた物と注文の控えをその場で照らし合わせられます。
転記が少ない送り方なら、数を決めた後に数字が変わってしまう機会が減ります。

データ連携の実証結果をどう読むか

転記を減らす仕組みの一つに、EDIがあります。
EDIとは、企業間で受発注などの取引をネットワークで電子的にやり取りすることです。
中小企業共通EDI標準は、取引先ごとに異なっていたデータ形式を、国際標準に沿って共通化したものと説明されています1。

同じ記事によると、中小企業共通EDIの12の実証プロジェクトでは、中小企業の受発注業務の時間が平均で51.4%削減されました1。
この数字を飲食店の発注に当てはめるときは、条件に注意が要ります。
実証は6つの業界で行われたもので、飲食や外食が含まれているかは記事からは読み取れません。
51.4%は企業間のデータ連携の実証での平均値であり、飲食店が送り方を変えれば同じだけ時間が減る、という見込みとしては使えません。

この結果から読み取れるのは、手入力や書き写しを減らすことが業務時間の削減につながりうる、という方向です。
自店で判断するなら、削減率を借りるより、いまの発注で数字を書き写している回数を数える方が確かです。
在庫メモから発注用紙へ、用紙から電話の読み上げへ、届いた請求書と控えの照合へ。
送り方を変えたときにどの書き写しがなくなり、どの確認が残るのかを、仕入先ごとに並べてみると、変える価値のある相手が見えてきます。

送り方 仕入先が対応できるか 閉店後に送れるか 送信の記録が残るか 手元での転記が要るか
電話 受付時間内なら仕入先を問わず使いやすい 受付時間の外は難しい 自分でメモしない限り残らない 仕入先が聞き取って書き写す
FAX 仕入先が受信機を置いている場合 送信はできるが確認は翌朝になることがある 送信した用紙と控えが残る 手書きなら仕入先が読み取って入力する
メッセージ 仕入先がそのアプリやメールを使っている場合 送れるが読まれる時刻は相手次第 送った文面の履歴が残る 文面を仕入先が転記することがある
受発注システム 仕入先が同じ仕組みを使っている場合 締め時間までなら送れる 注文の履歴が残る 品目を選ぶ形なら転記が減る
電話・FAXの発注で数字が書き写される流れ(模式図)
在庫を数えてメモに書く、発注用紙へ写すか電話で読み上げる、仕入先が書き取って入力する、請求書を控えと照合するという流れで、数字が書き写される場面を示した図。1店でメモに書く2用紙に写す・読み上げる3仕入先が入力する4請求書と控えを照合する

▼ 図の内容を文字で読む
  1. 店でメモに書く
    • 在庫を数えながら数をメモする
  2. 用紙に写す・読み上げる
    • 発注用紙へ写すか、電話で読み上げる
    • 電話は話した内容が手元に残らない
  3. 仕入先が入力する
    • 書き取りや手書きFAXの読み取りから、自社の仕組みへ入力する
  4. 請求書と控えを照合する
    • 店で注文の控えと照らし合わせる

担当が替わっても回る手順書とチェック表に残す項目

チェック表に載せる項目

ここまでで、前日の夜の作業順、数量の決め方、品目の区分、仕入先ごとの送り方がそろいました。
これらが担当者の頭の中にあるうちは、その人が休んだ日に発注が止まります。
次の担当が同じ判断をできるように、紙一枚、多くても表裏に収まるチェック表へまとめます。
載せる項目は、たとえば次のとおりです。

  • 前日の夜の作業順:在庫確認から納品確認までの5段階と、各段階で見るもの
  • 品目一覧:保管場所の順に並べ、発注単位と、開封済み・仕込み済みの数え方を添える
  • 品目ごとの区分:前日の夜に決めるか、前々日以前に決めるか、当日の対応を用意するか
  • 締め時間の表:仕入先ごとの締め時間、注文の手段、納品曜日、修正を受け付ける期限、連絡先
  • 需要見込みの手掛かり:予約・曜日・直近の実績のどれを見るか
  • 品目ごとの寄せ方:迷ったら多めか少なめか
  • 足りないときの手当て:買い足し先、代わりの料理、当日追加の可否
  • 注文の控えの置き場所と、納品時の照合のしかた
  • 結果の記録欄

項目を並べるだけでなく、判断の理由を短く書いておくことが大切です。
「この品目は迷ったら少なめ」とだけ書いてあると、引き継いだ人は理由が分からず、状況が変わったときに直せません。
「日持ちが短く、足りなければ近くで買える」と添えてあれば、買い足し先が使えない日には多めに寄せる、という判断が自分でできます。

品目ごとの「ここまで減ったら頼む」目安を表に書く方法もあります。
ただ、その目安も需要の見込みと同じく店ごとに違い、記録を見ながら直していくものです。
最初から正しい値を決めようとせず、仮の値を置いて結果で調整する前提で書き込みます。

代理担当で試して直す

チェック表ができたら、普段は発注をしていないスタッフに、1週間ほど代理で担当してもらいます。
1週間あれば、平日と週末、予約の多い日と少ない日がひと通り入ります。
本来の担当者は横で見ていても構いませんが、表に書いていないことを口で補うのは控えます。
口で補った部分こそ、表から抜けている項目だからです。

代理担当が手を止めた箇所や、質問した内容を、その場で書き留めます。
「この袋は開けてあるけど数えるのか」「この業者は何時まで電話していいのか」。
こうした問いの一つ一つが、表に足りない記述です。
単位の読み違いや、品目と置き場所の対応が分からないといったつまずきも、本人が慣れている担当者には見えません。

試した後は、出てきた問いを表に書き足し、もう一度別のスタッフに試してもらう方法もあります。
試すたびに出てくる問いが減っていけば、表が手順として機能し始めたと判断できます。
反対に、同じ箇所で何人もつまずくなら、その段階の書き方か、作業の順番そのものを見直す合図です。

40代後半の日本人男性が町工場の資材棚の確認をしている場面

欠品・廃棄が出たとき、次の発注に反映する記録のつけ方

記録する項目

チェック表は、作った時点がいちばん粗い状態です。
使うほど良くするには、発注の結果を記録して表へ戻す仕組みが要ります。
記録は、欠品や廃棄が出た日だけ書けば十分です。
項目は次のように絞ります。

  • 日付
  • 品目
  • 欠品か、余り・廃棄か
  • おおよその量(発注単位で)
  • 理由:見込みの読み違い、予約の変更、納品の遅れ、在庫の数え間違い、その他
  • 次回の対応

いちばん大事なのは理由の欄です。
理由を選択肢にしておけば、書く人が迷わず、あとで集計もしやすくなります。
「その他」が続くようなら、選択肢に足りない理由があるということなので、新しい選択肢を加えます。

廃棄の記録を付ける背景として、国の推計にも触れておきます。
環境省の公表では、令和6年度の食品ロスの発生量は約461万トンで、そのうち事業系は約237万トンと推計されています2。
消費者庁が公表した令和5年度の推計でも、事業系は231万トンでした3。
どちらも外食に限らない事業系全体の値で、飲食店が発注を見直したときにどれだけ減るかを示すものではありません。
ただ、一店ごとには見えにくい廃棄が、全体ではこれだけの規模になるということは、自店で記録を付ける意味を考える手掛かりになります。

次の発注への反映のしかた

記録は、週に一度など決まった間隔でまとめて見返します。
その際は、件数を数えるより理由ごとに並べるのが要点です。
理由によって、直すべきチェック表の場所が違うからです。

  • 見込みの読み違いが多い:需要見込みで見る手掛かりや、品目ごとの寄せ方を見直す
  • 予約の変更が多い:予約を確かめる時刻と、仕入先の修正期限の関係を見直す
  • 納品の遅れが多い:その品目の区分を前々日以前へ移すか、仕入先との締め時間を確かめ直す
  • 在庫の数え間違いが多い:品目一覧の数え方や、置き場所の順番を見直す

同じ品目で、欠品と廃棄が交互に出ている場合は注意が要ります。
量を少し増やす、少し減らすという調整を繰り返しても、どちらかに偏るだけです。
この場合、見込みに使っている手掛かりそのものがぶれている可能性があります。
数量決定の段で残した「なぜこの数にしたか」の一言と、結果を見比べてみると、どの手掛かりが外れたのかが分かります。

見直しで表を直したら、直した日付と内容を表の隅に書いておきます。
次の担当者が表を見たとき、なぜその項目があるのかをたどれるからです。
こうして、記録が表を直し、直した表で次の発注をするという一巡が回り始めると、前日の発注業務は特定の人の勘ではなく、店の手順として積み重なっていきます。

仕入先ごとに締め時間も送り方も違う店では、どの品目から手順を固めるかを一人で決めるのは難しいためです。

自店の仕入先と品目の並びを見ながら、品目の区分と、チェック表に載せる項目を一緒に整理できます。無料相談で要件を整理する

要点の整理

軸 基準
作業の分け方 在庫確認・需要見込み・数量決定・送信・納品確認の5段階で、どこで確認が抜けたかを見る
数量の決め方 発注単位で在庫を数え、次の納品までに使う量を予約・曜日・直近の実績から見込む
迷ったときの寄せ方 欠品と余りのどちらが困るかを品目ごとに比べ、足りないときの手当ての有無で決める
品目の区分 締め時間・納品日・日持ちで、前日の夜・前々日以前・当日対応の三つに分ける
送り方 仕入先の対応、閉店後の送信、送信の記録、手元の転記の4つの軸で比べる
引き継ぎ 判断の理由を添えたチェック表を作り、代理担当に1週間ほど試してもらう
記録と見直し 日付・品目・量・理由・次回の対応を残し、理由ごとに直すべき箇所へ戻す
Masked delivery driver reading clipboard in a van during the day.
▽ 写真の出典元

記録を付け始めても、理由ごとにどこを直せばよいかの判断は、表を作った本人だけでは偏りやすいためです。 記録の内容をもとに、送り方を変える価値のある仕入先や、見直すべき確認項目を一緒に確かめられます。

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よくある質問

発注の締め時間に間に合わなかったときは、どう対応すればよいですか。

まず、その仕入先に締め後の注文を受け付けてもらえるかを電話で確かめます。
受け付けの可否は仕入先によって違うため、締め時間の表に「締め後の相談先」を書いておくと慌てずに済みます。
受け付けてもらえない場合は、チェック表の「足りないときの手当て」に沿って、別の仕入先や近くでの買い足し、代わりの料理で補います。
そのうえで、間に合わなかった理由を記録に残します。
同じ品目で何度も起きるなら、その品目を前々日以前に決める区分へ移すことを検討します。

予約が前日に変わったとき、発注数はどこまで直せますか。

注文を送る前なら、需要見込みの段に戻って予約分を積み直します。
送った後に直せるかどうかは、仕入先が修正を受け付ける期限によって決まります。
締め時間の表に修正の期限を書いておけば、その場で判断できます。
期限を過ぎていて直せない場合、日持ちの長い品目は在庫として次の営業で使い、日持ちの短い品目は翌日以降の料理で使い切る段取りを考えます。
予約の変更が理由の欠品や余りが続くなら、予約を確かめる時刻を修正期限より前に置けるかを見直します。

仕入先がFAXや電話しか受け付けない場合、ミスを減らす工夫はありますか。

FAXなら、品名と単位をあらかじめ印字した発注用紙を仕入先ごとに用意し、数だけを書き込む形にします。
品名や単位を書き写す手間がなくなり、取り違えの余地が減ります。
電話なら、伝えた後に相手に数を読み返してもらい、店の側でも話した内容を控えに書いておきます。
どちらの場合も、注文の控えを決まった場所に置き、納品時に照らし合わせることで、違いがあればその日のうちに気づけます。

新しく発注を引き継ぐスタッフには、最初の1週間で何を伝えればよいですか。

5段階の作業順と、品目一覧の数え方、締め時間の表の読み方、記録の付け方の四つです。
最初の数日は、前任者と一緒にチェック表を上から順に進め、各項目の理由を説明します。
その後は本人に進めてもらい、手が止まった箇所や質問をチェック表に書き足します。
数量の判断を任せるのは、寄せ方と手当ての考え方を理解してからにすると、迷ったときに理由をたどって判断できます。

在庫の数え方は、品目ごとにどう変えればよいですか。

基本は、発注と同じ単位で数えることです。
そのうえで、開封済みや使いかけの扱い、仕込み済みの半製品を元の食材に換算するかどうかを品目ごとに決めて、品目一覧に書いておきます。
毎晩数える品目と、残りが目で見て分かる程度でよい品目を分けておけば、作業の時間も抑えられます。
保管温度や期限の確認が必要な食材は、数えるときに商品の表示も合わせて見るよう、手順に入れておきます。

◆監修・編集責任者

小園 将隆

株式会社フライトソリューションズ ECサービス部 マネージャー

BtoB通販のパッケージシステム「EC-Rider B2B Ⅱ」の導入支援をはじめ、製造業、卸売業をはじめとした法人向け通販サイト構築を多数手掛ける。卸売領域の専門知識をもとに、日本の商習慣に固有の課題をパッケージシステムの機能追加によって解決。BtoB流通の販路拡大を支援する。

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  1. 1 出典:中小企業庁(ミラサポplus)「企業間のデータ連携で、受発注の業務コストを削減する!」(2020年)
  2. 2 出典:環境省「令和6年度の食品ロス量の推計値の公表」(2026年)
  3. 3 出典:消費者庁「2023(令和5)年度食品ロス量推計値の公表について」(2025年)

画像の出典元

  1. A chef in a restaurant kitchen tends to large pots of steaming soup, creating a cozy atmosphere./Photo by Timur Saglambilek on Pexels
  2. Masked delivery driver reading clipboard in a van during the day./Photo by Pavel Danilyuk on Pexels

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◆この記事について

独自調査以外の一次情報は、省庁・公的機関を中心とした信頼性の高い情報源から引用し、出典を明記しています。
年次更新される統計については、引用元の最新版を確認したうえで掲載しています。

※この記事は上記の監修・編集責任者がAIの協力を得て制作しています。

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