◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- 食材発注の検品は、注文書の品目・規格・数量・納品日・単価を基準にし、納品書だけでなく現物とも照合する
- 差異への対応は、品質・温度に関わるか、当日使うか、代わりが利くかで受領・一部受領・返品・再納品から選び、返品や通知の条件は仕入先との取り決めで確かめる
- 差異は当日中に、品目・数量・状態・希望する対応を伝え、写真と納品書への記入で残す
- 検品結果を書き込んだ納品書は請求照合の材料になり、記載事項を満たせばインボイスにもなるが、保存の要否は自社の課税方式で変わる
- 運用の道具は仕入先数・品目数・体制で選び、どの転記が減ってどの確認が残るかを比べる
目次

食材発注の検品で、届いた食材と注文書のどの項目を照合するか
仕込み前に届いた食材が、注文より少ない、規格が違う、傷んでいる。
その場で受け取るか返すかを決める基準がないと、検品する人ごとに判断が変わります。
仕入先への連絡も遅れ、月末の請求書で初めてずれに気づくことになります。
食材発注の検品では、注文書に書いた品目・規格・数量・納品日・単価を照合の基準にします。
そのうえで欠品や品質不良など差異の種類ごとに対応を先に決めておくと、判断と連絡がそろいます。
差異は納品書に書き残して請求書との突き合わせにつなげ、運用の道具は仕入先数と体制で選びます。
注文書の5項目と検品項目の対応
検品の場で判断がぶれるのは、何と比べて「違う」と言うのかが決まっていないときです。
届いた品を見て「少ない気がする」「いつもより小ぶりだ」と感じても、比べる相手が記憶や慣れであれば、受け取る人によって結論が変わります。
比べる相手を、発注のときに仕入先へ伝えた注文の内容に固定すると、誰が検品しても同じ土台で判断できます。
ここでいう注文書には、FAXで送った発注用紙だけでなく、電話で頼んだ内容を書き留めたメモや、受発注の画面に残る注文履歴も含みます。
形はさまざまでも、検品の基準として使うのは次の5項目です。
- 品目:何を頼んだか
- 規格:サイズ、等級、産地、入数、カット済みかどうかといった状態
- 数量:ケース数や個数、重量で頼む品はその重さ
- 納品日:届く日と、指定していればその時間帯
- 単価:発注の時点で確かめた価格
この5項目を、納品書の記載と、目の前の現物の両方に当てていきます。
注意したいのは、納品書は仕入先が作った書類だという点です。
納品書と現物が一致していても、注文と違っていれば差異です。
たとえば大玉を頼んだのに中玉が届き、納品書にも中玉と書かれていれば、納品書だけを見ている限りでは「合っている」ように見えてしまいます。
注文書・納品書・現物の三者を並べて初めて、どこで食い違ったのかが分かります。
照合の順番は、項目の並びどおりでなくてかまいません。
冷蔵・冷凍の品は外に置く時間を短くしたいので、先に品目と数量を数え、状態と温度を見てから保管場所へ移します。
常温の乾物や調味料はその後に回せます。
欠品や誤配送は品目と数量の確認で分かり、傷みや規格違いは状態を見たときに分かるので、この順で進めると、届いた直後に仕入先へ伝えるべきことが早くそろいます。
単価だけは、受け取りの場で判断を急ぐ項目ではありません。
品物に問題がなければ、納品書の単価が注文時と違っていても受け取ったうえで納品書に印を付け、請求書を照合する段階で仕入先と確かめる扱いにしておくと、ドライバーを待たせたまま議論が長引くことを避けられます。
納品日も同じで、時間帯が遅れた事実はその場で書き残し、仕込みへの影響があった場合に連絡の内容へ加えます。
発注者と検品者が別のときの引き継ぎ
発注する人と受け取る人が同じなら、注文の中身は頭の中にあります。
別の人になると話が変わります。
たとえば店長が前日の閉店後に青果の仕入先へ注文を出し、翌朝の納品は早番のスタッフが受け取る場合、スタッフの手元に注文の内容がなければ、照合できる相手は納品書しかありません。
前の項で見たとおり、納品書だけでは規格違いや数量の過不足を見落とします。
引き継ぎで最低限そろえたいのは、注文した5項目を、検品する人が納品の場で見られる状態にしておくことです。
FAXで発注しているなら送信した用紙の控えを、電話で頼んだなら内容を注文書の形に書き起こしたものを、納品を受ける場所に置きます。
受発注の画面や共有の表で注文しているなら、検品の担当者がその画面を開けるようにしておきます。
もう一つ、発注のあとに変わった内容も残します。
仕入先から「品薄なので別の産地でもよいか」と電話があり、発注者が了承したなら、その事実が検品者に伝わっていないと、届いた品を規格違いとして返してしまうかもしれません。
注文書の控えに、了承した変更と、誰がいつ了承したかを書き足しておくと、検品者は注文書を見るだけで判断できます。
仕入先が複数ある場合は、注文書を仕入先ごとにまとめ、納品の時間帯が早い順に並べておくと、届いた便に対応する注文をすぐに探せます。
検品者が見るものを一か所に集めておくことが、発注者と検品者が分かれた体制での照合の前提になります。
| 項目 | 注文書で決めたこと | 納品書で見ること | 現物で見ること |
|---|---|---|---|
| 品目 | 頼んだ品名 | 記載された品名 | ラベルと中身 |
| 規格 | サイズ・等級・産地・入数・状態 | 記載された規格 | 大きさ・入数・カットなどの状態 |
| 数量 | 頼んだケース数や重さ | 記載された数量 | 数えたケース数・量った重さ |
| 納品日 | 指定した日と時間帯 | 記載された納品日 | 実際に届いた時刻 |
| 単価 | 発注時に確かめた価格 | 記載された単価 | 現物では見ない |
▼ 図の内容を文字で読む
- 納品書と現物だけを見る
- 納品書は中玉、現物も中玉で一致する
- 「合っている」ように見えてしまう
- 注文書・納品書・現物を並べる
- 注文書は大玉、納品書と現物は中玉
- 注文と違う規格違いの差異だと分かる
欠品・数量差・品質不良・温度逸脱は、受領・一部受領・返品・再納品のどれにするか
差異の種類と対応の早見表
照合で注文と違う点が見つかったときに選べる対応は、受領・一部受領・返品・再納品の四つです。
受領は差異を承知のうえですべて受け取ること、一部受領は問題のない分だけを受け取ること、返品は受け取らずに持ち帰ってもらうこと、再納品は正しい品を改めて届けてもらうことです。
返品と再納品は組み合わせて使うことが多く、問題のある分を返品し、その分を再納品してもらう形になります。
どれを選ぶかは、品質や温度に関わる差異か、その食材を当日使うか、代わりの品で間に合うか、この三つで分かれます。
品質と温度を最初に見るのは、使い道があるかどうかより前に、受け取ってよい状態かどうかが決まるからです。
傷んでいる品や、受け入れの基準から外れた温度で届いた品は、当日どれほど必要でも、受け取らない判断が先に来ます。
品質に問題がない差異、つまり数が足りない、規格が違う、といった場合に初めて、当日使うか、代わりが利くかで選び方が変わります。
次の表は、差異の種類ごとに確かめることと、選ぶ対応の候補をまとめた一つの案です。
自店の品目や仕入先との取り決めに合わせて書き換えて使うことを想定しています。
| 差異の種類 | まず確かめること | 対応の候補 |
|---|---|---|
| 欠品(品目ごと届いていない) | 当日使う品か、代わりの品で間に合うか | 再納品を依頼する。 間に合わなければその品の注文を取り消し、請求から外してもらう |
| 数量不足 | 入数の数え直し、重量物は計量 | 届いた分を一部受領し、不足分は再納品か請求から外す |
| 数量過多 | 注文書の数量と納品書の数量 | 注文分だけ受け取り超過分は返品する。 受け取るなら追加の注文として仕入先と合意する |
| 規格違い | 使い道で代わりになるか、単価が変わるか | 代わりになるなら仕入先と合意して受領し単価を確かめる。 ならなければ返品して再納品 |
| 品質不良 | 傷み・破損・異物の範囲 | 該当分を返品して再納品を依頼し、問題のない分は一部受領 |
| 温度逸脱 | 受け入れ時の温度、包装の状態 | 自店の衛生管理の基準に照らし、外れていれば受け取らずに返品して再納品 |
表の中で見落としやすいのは数量過多です。
多く届いた分は困らないように見えますが、受け取れば納品書の数量どおりに請求に乗ります。
使い切れない量を抱えるか、月末に請求の内訳を確かめ直すことになるので、受け取る場合も追加の注文として扱ったことを書き残しておきます。
温度逸脱の判断に使う基準は、自店の衛生管理計画で決めている受け入れの温度や確認の方法に合わせます。
具体的な温度の目安は、所管の保健所や業界団体の手引書の最新版で確かめ、店内の誰が検品しても同じ値で判断できるよう、検品の場所に掲示しておくとぶれが減ります。
返品を受け付ける条件や、返品した品の送料をどちらが持つかは、仕入先によって扱いが違うことがあります。
取引基本契約や取引条件の書面に検品や返品の条項があれば、それが出発点になります。
書面に定めがない場合は、表のような対応案を仕入先に示し、どの差異ならどう扱うかを事前にすり合わせておくと、納品の場で一から交渉せずに済みます。
扱いが折り合わず法的な判断が必要になりそうなときは、専門家に相談してください。
当日使う食材と在庫用の食材の違い
同じ欠品でも、その日のランチで使う葉物と、週末の宴会用に置いておく乾物とでは、困り方がまったく違います。
当日使う食材は、再納品が仕込みに間に合うかどうかが判断の中心になります。
間に合うなら再納品を頼み、間に合わないなら店側で別の手段で調達し、仕入先にはその品を請求から外してもらうよう伝えます。
在庫用の食材なら時間に余裕があるので、次回の納品で補ってもらうか、注文を取り消すかを仕入先と落ち着いて決められます。
規格違いでも同じ差が出ます。
当日使う品は、使い道で代わりになれば受け取る判断に傾きます。
たとえばサラダに使うトマトの大きさが違っても、切り方を変えれば使えるなら、仕入先に連絡して単価を確かめたうえで受け取るほうが、営業への影響は小さくなります。
在庫用なら、正しい規格の再納品を待つ余地があります。
一方、品質不良や温度逸脱は、当日使うかどうかで結論が変わりません。
違いが出るのは、その後の扱いです。
当日使う品は、受け取らずに返品したうえで、すぐに代わりを手配する動きになります。
在庫用の品で、傷みの範囲を写真で仕入先に見せて判断を待つことになった場合は、通常の在庫と混ざって使われないよう、返品待ちと分かる表示をして別の場所に置いておきます。
この違いを踏まえると、仕入先と事前に決めておくと楽になることも見えてきます。
当日使う品については、代わりの品を連絡なしで受け入れてよい品目を決めておくと、欠品のたびに電話でやり取りする手間が減ります。
在庫用の品については、補充をどれくらい待てるかと、待てないときに注文を取り消す扱いを決めておくと、在庫の見込みが立てやすくなります。
| 観点 | 当日使う食材 | 在庫用の食材 |
|---|---|---|
| 欠品・数量不足 | 再納品が仕込みに間に合うかで決め、間に合わなければ店側で調達して請求から外す | 次回の納品で補うか注文を取り消すかを仕入先と決める |
| 規格違い | 使い道で代わりになれば合意して受け取り、単価を確かめる | 正しい規格の再納品を待つ余地がある |
| 品質不良・温度逸脱 | 受け取らずに返品し、すぐ代わりを手配する | 受け取らずに返品し再納品を依頼する。判断待ちの品は返品待ちとして分けて置く |
| 仕入先と事前に決めておくこと | 代わりの品を連絡なしで受け入れてよい品目 | 補充を待てる期間と取り消しの扱い |
▼ 図の内容を文字で読む
- 品質・温度に関わる差異か
- 傷みや温度の逸脱があれば受け取らず返品して再納品
- 当日使う食材か
- 当日使う品は再納品が仕込みに間に合うかで決める
- 在庫用の品は次回の納品か注文の取り消しを仕入先と決める
- 代わりの品で間に合うか
- 代わりになるなら合意して受領し単価を確かめる
- ならなければ返品して再納品
差異を仕入先へどう伝え、何を残せば揉めずに処理できるか
当日中に伝える最小の項目
差異への対応を決めたら、その日のうちに仕入先へ伝えます。
時間がたつほど、届いた時点の状態だったのか、店で保管している間に変わったのかの区別がつきにくくなります。
仕入先にとっても、どの便で何を積んだかを確かめやすいうちのほうが、再納品や請求の調整を決めやすいはずです。
伝える内容は、次の項目がそろっていれば、相手が聞き返さずに処理へ進めます。
- 納品日と便(時間帯)、納品書の番号
- 品目と規格
- 差異の内容と数量(足りない数、傷んでいた数など)
- 状態(写真があること、温度を測っていればその記録)
- 希望する対応(返品、再納品、請求から外す、など)
- 再納品なら、いつまでに必要か
このうち抜けやすいのが、希望する対応です。
「トマトが傷んでいました」と状況だけを伝えると、仕入先は再納品するのか、値引きでよいのか、店側の返事を待つことになります。
その間に次の納品や月末の締めが来ると、どう処理したのかが曖昧なまま請求に入り、照合のときに改めて確かめ直すことになります。
前の節で差異ごとの対応を決めておいたのは、この場面で迷わず希望を言えるようにするためでもあります。
連絡の手段は、仕入先が受け付けている方法に合わせます。
電話は早く伝わりますが、話した内容が手元に残りません。
急ぎの差異は電話で伝え、同じ内容をFAXやメールで送るか、差異を書き込んだ納品書の写しを送っておくと、言った・言わないの行き違いを防げます。
何日以内に伝えれば対応してもらえるかという期限は、取引の取り決めによって違います。
取引基本契約や取引条件の書面に検品や通知の期限が書かれていれば、その範囲で動く必要があります。
定めがなければ、当日中に連絡するという運用を自店の側で決め、仕入先にも伝えておくと、遅れて見つかった差異の扱いで揉めにくくなります。
写真・納品書への記入で残す
口頭の連絡と同じくらい大事なのが、後から誰が見ても確かめられる記録です。
差異の記録は、写真と納品書への記入の二つで残すと、連絡と請求照合の両方に使えます。
写真は、何が写っていれば後で役に立つかを決めておくと、撮る人によって差が出ません。
品名や産地のラベルが読める状態で納品書と並べた全体の写真、傷みや破損の部分に寄った写真、箱の外装の写真があると、どの便のどの品の話かが一目で分かります。
温度を測ったなら、温度計の表示も写しておきます。
納品書には、受け取った数量、差異の内容、選んだ対応、検品した人の名前と時刻を書きます。
ドライバーに差異を確認してもらえるなら、その場で控えに確認の印をもらう方法もありますが、できるかどうかは仕入先の運用によります。
問題がなかった納品にも「差異なし」と検品者名を書いておくと、検品が済んだ納品と、まだ見ていない納品の区別がつきます。
写真と記入済みの納品書は、日付と納品書の番号で探せる形にまとめておきます。
連絡した記録も、誰が仕入先の誰に何時に伝えたかを納品書の余白に書き足しておけば、一枚で経緯をたどれます。
こうしておくと、月末に請求書のずれを見つけたとき、電話の記憶をたどったり当日の担当者を探したりする手間が減り、記録を見せて仕入先と話を進められます。

検品記録を請求書との突き合わせに使うには何を残すか
納品書への検品結果の記入
締めごとにまとめた請求書が届く取引では、請求書の明細は、その期間に届けた納品の記録を積み上げたものになります。
突き合わせでは、検品の結果として受け取った数量に単価を掛けた額と、請求書の明細を、納品ごとに比べます。
前の節で納品書に受領数や差異を書き残しておけば、この比較に必要な情報は、すでに手元の納品書にそろっています。
照合で見つけたいのは、納品の場で対応を決めた差異が、請求にどう反映されたかです。
たとえば次のようなずれは、検品記録がなければ気づきにくいものです。
- 返品した品が、納品書どおりの数量で請求に残っている
- 再納品した品が、最初の納品と再納品の両方で請求されている
- 規格違いを了承して受け取った品の単価が、注文時と違う額のまま請求されている
- 欠品で取り消した品が、請求から外れていない
差額が出たときは、金額の大きさから原因の見当をつけることはできます。
差額がある品の単価とちょうど同じなら、その品の返品が請求に反映されていない可能性を考えます。
ただし、同じ額になる組み合わせは他にもあり得るので、見当で決めずに、該当する納品書の記入と請求書の明細を一行ずつ照らして、どの納品のどの品で食い違っているのかを特定してから仕入先に伝えます。
納品書への記入にはいくつか注意があります。
仕入先が印字した数量や品名を消したり書き換えたりせず、余白や検品欄に受領数と差異を書き足す形にします。
受け取った書類の記載がそのまま残っていれば、仕入先とのやり取りでも、後で書類を確かめるときにも、元の記載と検品の結果を分けて読めます。
検品欄の項目をゴム印などで決めておくと、書く内容が人によってばらつきません。
インボイスの記載事項と保存
検品結果を書き込む納品書は、請求照合の材料であると同時に、税務上の書類として扱われることがあります。
インボイス(適格請求書)は、交付を受ける事業者の氏名や名称、売手の氏名や名称と登録番号、取引年月日、取引の内容、税率ごとに区分した対価の額と消費税額などを記載した書類で、納品書や請求書といった名称を問わず、これらを満たせばインボイスになります3。
このため、仕入先がインボイスとして交付しているのが納品書なのか、締めの請求書なのかで、保存の中心になる書類が変わります。
請求書がインボイスであれば、納品書は請求照合のための記録として残し、請求書をインボイスとして保存します。
納品書がインボイスとして発行されているなら、検品結果を書き込んだその納品書を、照合の記録とインボイスの保存を兼ねた一つの書類として扱えます。
どちらに当たるかは、書類に登録番号や税率ごとの税額が載っているかを見れば見当がつきますが、仕入先に確かめておくのが確実です。
保存がどこまで必要かは、自社の消費税の計算方法によります。
仕入税額控除を受けるにはインボイスの保存が必要ですが、簡易課税制度や2割特例、3割特例を使う場合は、インボイスの保存がなくても控除を受けられます3。
どの方式で申告しているかは経理担当や顧問の税理士が把握しているはずなので、検品の運用を決める前に一度確かめておくと、保存のために増やす手間が必要かどうかが分かります。
税務上の保存が要らない場合でも、検品記録を書き込んだ納品書は、請求のずれを仕入先と確かめるときの根拠として残す意味があります。
保存する期間は、税務上の扱いを含めて税理士や国税庁の資料で確かめ、納品書をいつまで手元に置くかを社内で決めておきます。
▼ 図の内容を文字で読む
- 返品した品
- 納品書どおりの数量で請求に残る
- 再納品した品
- 最初の納品と再納品の両方で請求される
- 規格違いを了承して受け取った品
- 単価が注文時と違う額のまま請求される
- 欠品で取り消した品
- 請求から外れていない
紙・表計算・受発注システムのどれで運用するかは、仕入先数と体制でどう変わるか
仕入先数・品目数・体制で選ぶ
ここまでの照合、連絡、記録、請求の突き合わせは、紙でも表計算でも受発注システムでも回せます。
どれが合うかは、仕入先の数、品目の数、発注と検品を誰が担うかで変わります。
道具によって減る手間と、どの道具でも残る手間が違うからです。
| 方法 | 合いやすい状況 | 減る手間 | 残る手間 |
|---|---|---|---|
| 紙(注文書の控えと納品書を束ねる) | 仕入先が少なく、発注と検品を同じ人が見る | 新しい道具を覚える手間がかからない | 複数の人が同時に見られない。 月末の集計と照合は手作業 |
| 表計算(注文と検品結果を一覧にする) | 仕入先や品目が増え、発注者と検品者が分かれている | 仕入先別に絞り込んで請求と照合できる。 注文内容を共有しやすい |
注文を出した後に同じ内容を表へ入力し直す。 同時編集の扱い |
| 受発注システム | 仕入先がシステムで受注でき、発注データを検品に引き継げる | 注文内容を検品用の記録へ書き写す作業 | 現物を数え、状態と温度を見る確認。 仕入先ごとに対応状況が違う |
紙で回せるのは、注文した本人がそのまま受け取り、月末の照合も自分でできる規模です。
注文書の控えと記入済みの納品書を仕入先ごとにクリップで留め、日付順にファイルするだけでも、照合に必要な材料はそろいます。
発注者と検品者が分かれた途端、控えを検品の場所へ持っていく手間と、どこに置いたかを共有する手間が生まれます。
表計算に移ると、注文内容を一覧にして検品者と共有しやすくなり、月末には仕入先ごとに受領数と単価を集計して請求書と並べられます。
その代わり、電話やFAXで注文を出した後に、同じ内容を表に打ち込み直す作業が増えます。
この二度手間が負担になってくると、発注そのものを表やシステムの上で行う方向が検討に上がります。
受発注システムで、発注したデータをそのまま検品の画面に引き継げるなら、注文内容を書き写す作業は減ります。
ただし、仕入先がその仕組みで受注できるか、発注データを取り込めるかで、使える範囲が仕入先ごとに変わります。
どの道具を使っても、現物を数え、状態と温度を見る確認は人の作業として残ります。
道具を選ぶときは、自店のどの転記が減り、どの確認が残るかを先に書き出しておくと、期待と実際のずれが小さくなります。
個別の製品がどこまで対応しているかは、それぞれの公式の仕様で確かめてください。
どの方法を選んでも、運用が合っているかは記録で確かめられます。
一定の期間ごとに、差異の件数と、請求照合で見つかったずれの件数を数えてみると、どの仕入先のどの品目で差異が続いているかが見えてきます。
同じ規格違いが続くなら注文書の規格の書き方を、欠品で毎回電話しているなら代わりの品を受け入れてよい品目を、遅れが仕込みに響くなら納品の時間帯を見直し、次の発注に反映します。
データ連携の公的な標準とその対象範囲
発注から請求までをデータでつなぐ仕組みには、業界や公的機関が整えた標準があります。
小売の分野では、流通BMSの基本形が、発注・出荷・受領・返品・請求・支払の6業務を標準のメッセージとして定め、2007年に公開されています1。
受領と返品が独立した業務として並んでいる点は、検品の結果を発注と請求のあいだに位置付けるこの記事の流れと同じ考え方で整理されていることを示しています。
ただし、流通BMS基本形の対象は、スーパー業界とグロサリー業界のターンアラウンド型取引、つまり発注に対応して出荷や受領のデータを返していく形の取引です1。
飲食店や給食、ホテルの食材仕入にそのまま使えるかどうかは、取引先がこの形式に対応しているかによります。
業界を限らない取り組みとしては、中小企業共通EDIがあります。
取引先ごとに異なるEDIのデータ形式を国際標準に準拠して共通化し、導入の手間とコストを下げることを目的とした標準で、2018年に初版が公開されました2。
もっとも、公的な実証の対象業界に飲食店の食材仕入は含まれていません2。
二つの標準から言えるのは、受発注のデータを共通化する枠組みが公的・業界の側にあるところまでです。
どちらも、検品の手間がどれだけ減るかを示す資料ではありません。
自店で検討するなら、まず主な仕入先に、発注をどの方法で受けているか、データで受け取れる形式があるかを尋ねてみると、自店から選べる範囲が見えてきます。
▼ 図の内容を文字で読む
- 発注(注文書に5項目を書く)
- 納品時の検品と差異の記録
- 仕入先への連絡と対応の確定
- 請求書との突き合わせ
- 差異の件数と照合のずれを数える
- 規格の書き方・代わりの品・納品の時間帯を見直す
注文書・納品書・請求書の形や受け渡しは仕入先ごとに違い、どこで照合が抜けたり転記が重なったりしているかは、日々の業務の内側からは見えにくいものです。
いまの発注から請求までの書類の流れを並べ、検品の基準や記録の置き場所をどこで決めれば照合が一本につながるかを整理できます。無料相談で要件を整理する
要点の整理
| 照合の基準 | 注文書の品目・規格・数量・納品日・単価を、納品書と現物の両方に当てる |
|---|---|
| 対応の選び方 | 品質・温度に関わるか、当日使うか、代わりが利くかで受領・一部受領・返品・再納品を選ぶ |
| 仕入先への連絡 | 当日中に、品目・数量・状態・希望する対応を、記録が残る手段でも送る |
| 記録の残し方 | 写真と、納品書の余白への受領数・差異・対応・検品者の記入 |
| 請求の突き合わせ | 検品後の数量と単価で、請求書の明細を納品ごとに照らす |
| インボイス | どの書類がインボイスかと、自社の課税方式で保存の要否を決める |
| 運用の道具 | 仕入先数・品目数・発注者と検品者の体制で、減る転記と残る確認を比べて選ぶ |

紙・表計算・受発注システムのどれに進むかは、自店の体制だけでなく、主な仕入先がどの方法で受注しているかにも左右されます。 仕入先ごとの発注方法と自店の体制を踏まえて、どの転記が減り、どの確認が人の作業として残るかを具体的に確かめられます。
よくある質問
納品書に検品結果を書き込んだものを、請求書との突き合わせとインボイスの保存に使えますか。
請求書との突き合わせには使えます。
インボイスとして保存できるかは、その納品書が売手の登録番号や税率ごとの対価と税額などの記載事項を満たしているかで決まり、納品書という名称でも記載事項を満たせばインボイスになります3。
仕入先が納品書と請求書のどちらをインボイスとして交付しているかを確かめ、検品結果は印字された記載を消さずに余白へ書き足してください。
保存期間は税理士や国税庁の資料で確かめます。
簡易課税や2割特例を使っている場合、受け取ったインボイスの保存は不要ですか。
仕入税額控除のためのインボイスの保存は、簡易課税制度、2割特例、3割特例を使う場合には不要で、保存がなくても控除を受けられます3。
ただし、検品結果を書き込んだ納品書は、請求のずれを仕入先と確かめるときの根拠として残しておく意味があります。
自社がどの方式で申告しているかは、経理担当や顧問の税理士に確かめてください。
受発注と受領のデータ連携の公的な標準は、飲食店の食材仕入にも使えますか。
流通BMS基本形は発注から支払までの6業務を対象にしていますが、想定している取引はスーパー業界とグロサリー業界のものです1。
中小企業共通EDIは取引先ごとに異なるデータ形式の共通化を目的とした標準ですが、公的な実証の対象に飲食店の食材仕入は含まれていません2。
使えるかどうかは仕入先の対応次第なので、主な仕入先に受け付けている発注の方法とデータの形式を尋ねるところから始めます。
発注する人と検品する人が別のとき、注文内容をどう共有すればよいですか。
注文した品目・規格・数量・納品日・単価を、検品する人が納品の場で見られる状態にします。
FAXなら送信した控えを、電話なら内容を書き起こした注文書を納品場所に置き、画面や共有の表で注文しているなら検品者が開けるようにします。
発注後に代わりの品を了承したなど、変わった内容も誰がいつ了承したかと合わせて書き足しておくと、検品者が規格違いと取り違えずに済みます。
- 1 出典:流通BMS協議会(GS1 Japan)「流通BMS標準仕様 基本形」(2026年閲覧)
- 2 出典:中小企業庁(ミラサポplus)「企業間のデータ連携で、受発注の業務コストを削減する!」(2020年)
- 3 出典:国税庁「適格請求書等保存方式(インボイス制度)の概要」(2026年閲覧)