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食品の得意先にWeb受発注を定着させる進め方|FAXが残る前提で測り方と並行運用を決める

◆監修・編集責任者 小園 将隆 

B2B EC-COLUMN

この記事のポイント

  • 食品の受注現場ではFAX・電話と受発注システムが併用されており、導入後も並行運用が続く前提で進める
  • 定着は得意先の利用割合と自社の入力・確認作業に分けて測り、どちらか一方だけで判断しない
  • 得意先には切り替えを強いず選べる形で案内し、既存の発注システムを持つ得意先には自社側の受け取り方で対応する
  • 得意先の移行を待たずに、FAXのデータ化と基幹システムへの転記削減で自社の負担を先に下げる
  • 締め切り後の注文の扱いと、商品の表示名・入り数・コードの対応を導入前に決めておく

Business professionals discussing documents in a modern office setting.
▽ 写真の出典元

導入したのにFAXと電話が残る:食品の受注現場で起きていること

Web受発注を案内したのに、得意先からの注文は今もFAXと電話で届き、担当者は届いた注文書をシステムへ打ち直しています。
新しい画面の注文と従来の注文の両方を確かめるため、作業はかえって増えたように感じる。
こうした状態は珍しくなく、食品卸の事例でも導入後にFAXや電話が残り、並行運用が続いています4。
ここで変えられるのは、測り方と進め方です。
定着を「得意先の利用割合」と「自社の入力・確認時間」に分けて測ります。
得意先には切り替えを強いず、選べる形で案内します。
残るFAXは自社側でデータ化し、負担を先に減らします。
旧手段を止める時期は一律には決められないため、得意先ごとに利用が続いているかを見て判断します。

受注方法が重なる実態

食品の小売・卸売で受注業務を担う人を対象にした2023年3月のネット調査では、受注方法(複数回答、n=106)としてFAXを挙げた人が67%で最も多くなりました1。
受発注システムは58.5%、Eメールは55.7%、電話は50%でした1。
複数回答なので、ひとつの会社が複数の経路で注文を受けている状態を表しています。
受発注システムを使っている会社でも、FAXや電話が同時に残っているという読み方になります。

この調査の提供元はFAX受注をペーパーレス化する製品を扱う会社で、回答者は売る側の受注担当者です1。
得意先がなぜFAXを選び続けるのかという、注文を出す側の事情はこの数字からは分かりません。
それでも、仕組みを入れれば注文がそちらへ移るという前提が、食品の受注現場では成り立ちにくいことは読み取れます。

受発注サービスの提供元がまとめた卸企業の事例集でも、導入後にFAXや電話の注文が残り、並行運用が続く企業が目立つと整理されています4。
FAXが減らない原因は、自社の進め方だけにあるとは限りません。
得意先の側に、使い慣れた手段を手放す理由がまだ見えていないことも考えられます。

負担が減らないのは、注文の入口が増えるから

同じ調査で受注業務の課題を尋ねた設問(複数回答、n=90)では、注文書の手入力に手間がかかるという回答が60%、オペレーションの属人化が起きているという回答が38.9%でした1。
Web受発注を入れると、Webから届く注文はデータとして受け取れます。
一方、FAXで届いた注文書は従来どおり担当者が読み取り、基幹システムへ打ち込みます。
電話の注文は聞き取ってメモし、同じように入力します。

入口が三つになると、担当者は朝にWebの受注画面、FAXの受信分、電話のメモをそれぞれ確認し、同じ得意先から重複して注文が来ていないかも見比べることになります。
たとえば、ある飲食店がWebで注文したあと、追加分を電話で伝えてきた場合、どちらが最新の数量なのかを確かめる連絡が必要になります。
導入したのに楽にならないという感覚は、この入口の増加と突き合わせから生まれます。

属人化の回答が一定数あることも見逃せません。
どの得意先がFAXのどこに何を書くのか、電話でどんな略称を使うのかといった知識が担当者個人に残っていると、その担当者が休んだ日に確認が止まります。
移行の進み具合も、担当者ごとにばらつきます。
どこまで移ったのかを共通の物差しで測らないと、進んでいるのか止まっているのかが社内で共有できません。

受注方法(株式会社ハンモック「食品業の受注業務に関する実態調査」)
FAX 67%、受発注システム 58.5%、Eメール 55.7%、電話 50%

出典:株式会社ハンモック「食品業の受注業務に関する実態調査」(2026-11-06取得・同上・食品の小売・卸売の受注担当者、n=106、複数回答、2023年3月)

定着は何で測り、旧手段はいつ止めてよいか

得意先の利用割合で見る

事例では、定着の状況がふたつの違う数字で語られています。
長野市で外食産業向けの業務用食材を扱う卸のムロガ商事は、2023年9月に受発注システムへ移行し、取引先約800件のうち約20%が導入済みで、今後約10%増やす方針だと紹介されています2。
すべての取引先が移ったわけではなく、FAXへの依存が大きいことが課題として残っています2。

別の事例集では、スタイルブレッドの会員登録が導入月の12件から100件、240件、300件と増えた一方で、受注の約4割はまだFAXだと語られています4。
登録は順調に伸びても、受注の経路はそれほど速く入れ替わっていません。

ここから分かるのは、登録した得意先の数と、実際に新しい経路で届く注文の割合は別物だということです。
登録は済んでいても、忙しい日や追加注文のときだけFAXに戻る得意先がいれば、受注に占める割合は伸びません。
利用割合は、登録件数だけでなく、得意先ごとに一定期間の注文がどの経路で届いたかを数えて見るほうが実態に近づきます。
経路別の件数が得意先単位で分かれば、どの得意先がどの場面で旧手段に戻るのかまで追えるようになります。

自社の入力・確認時間で見る

もう一方の物差しは、自社の担当者の作業がどれだけ減ったかです。
ムロガ商事の事例では、複合機の月平均出力枚数に占めるFAX出力の比率が、更新前の42%から更新後の2024年3〜5月には1%になったと報告されています2。
ただし、これは複合機で紙に出したFAXの割合で、取引先が受発注システムへ移った割合ではありません。
得意先の移行が約20%にとどまる一方で、紙に出して扱う作業は大きく減っていたことになります。

同じ会社の中で、得意先の利用割合はまだ低いのに、自社の紙の作業は大きく減っている。
この食い違いが、ふたつの物差しを分けて持つ理由です。
利用割合だけを見ていると、定着していないと判断して、自社側でFAXを受け止める工夫の効果を見落とします。
反対に作業量だけを見ていると、どの得意先が旧手段に残っているのかが見えず、次に誰へ声をかけるかが決められません。

作業量の物差しは、事例の数字をそのまま借りる必要はありません。
たとえば、FAXと電話の注文を入力し終えるまでの時間、注文内容を得意先へ問い合わせた件数、締め切り後に届いた注文の件数など、自社で記録できるものを導入前から数えておくと、後で比べられます。
導入後に慌てて測り始めると、減ったのかどうかを判断する基準が残っていないからです。

止める判断に使える条件

旧手段をいつ止めてよいかは、確認できた事例でも期間や基準の数値としては語られていません。
ムロガ商事も、FAXを残したまま利用する取引先を増やしていく方針を示しています2。
全体の利用割合が何%になったらFAXをやめる、という一律の線を引く根拠は今のところありません。

そこで、判断を期日で置かずに得意先ごとに見る形が考えられます。
ある得意先が新しい経路だけで注文を続けているなら、その得意先へFAX用の発注書を送るのをやめる相談がしやすくなります。
逆に、繁忙期や追加注文のときだけ電話に戻る得意先には、止める話の前に、どの場面で戻るのかを聞き取ります。
戻る理由が締め切りや商品の探しにくさにあれば、仕組み側の手直しで解ける場合があるからです。

全体として旧手段を全面的に止めるか、取引条件の変更にまで踏み込むかは、得意先との関係や取引量によって答えが変わります。
測る、戻る場面を聞く、案内や受け皿を直す、もう一度測る、という繰り返しを得意先ごとに回すと、止めてよい得意先と、まだ受け皿が必要な得意先が分かれて見えてきます。

得意先ごとに定着を確かめる繰り返し(模式図)
得意先別に測り、旧手段に戻る場面を聞き取り、案内や受け皿を直してもう一度測る、という一巡を示した図。1得意先別に経路と作業量を測る2旧手段に戻る場面を聞き取る3案内や受け皿を直す4もう一度測る

▼ 図の内容を文字で読む
  1. 得意先別に経路と作業量を測る
    • 注文がどの経路で届いたか
    • 入力と確認にかかった作業
  2. 旧手段に戻る場面を聞き取る
    • 追加注文や繁忙期
    • 締め切りや商品の探しにくさ
  3. 案内や受け皿を直す
    • 選べる形での再案内
    • 自社側でのデータ化
  4. もう一度測る
    • 新しい経路だけで続く得意先から旧手段を減らす相談をする

どの得意先から始め、どう案内するか

強制せず選べる形にする

測り方が決まると、次はどの得意先に何を案内するかです。
事例集では、三本珈琲がWeb発注を強制せず、得意先が選べる形で提供していると紹介されています4。
同じ事例集で取り上げられた仕組みには、取引先が無料で使えるものが多く含まれています4。
注文を出す側から見れば、費用がかからず、慣れなければ元の手段に戻れるので、試すことへのためらいが小さくなります。

選べる形には、売る側の負担がしばらく続くという裏面もあります。
得意先が戻れる以上、FAXと電話の受け口は閉じられません。
そのため、選べる形の案内は、旧手段を受け止める自社側の仕組みと組み合わせて考えることになります。

最初に声をかける得意先は、注文の中身が毎回ほぼ同じで、発注の頻度が高いところが候補になります。
決まった品目の数量を入れるだけで済む得意先なら、FAX用紙に毎回書き込む手間との違いが伝わりやすいからです。
ただし、取引量、注文の定型性、ITへの慣れという見方で選ぶことが効果的だと、事例で確かめられているわけではありません。
自社の得意先一覧を眺めるときの仮の切り口として使い、実際にどの層から移りやすいかは自社の記録で確かめていきます。

既存システムを持つ得意先の場合

事例集では、ホテルのように自社の発注システムをすでに持っている得意先は、移行が難しいという声も挙がっています4。
得意先の側から見れば、仕入先ごとに別々の画面へ入力するより、自社のシステムからまとめて発注するほうが手間が少ないと考えられます。
このような得意先に売る側の画面を勧めても、相手の作業はかえって増えてしまいます。

この場合は、得意先に手順を変えてもらう方向ではなく、得意先から届く注文を自社がどの形で受け取れるかを確かめる方向に切り替えます。
相手のシステムから出てくる注文書がFAXやメールで届くのであれば、それを自社側でデータ化するほうが、得意先に移行を頼むより現実的なことがあります。
利用割合の物差しでは移行していない得意先に数えられても、作業量の物差しで負担が減っていれば、その得意先への対応としては十分な場合もあります。

小規模・ITに不慣れな得意先の場合

たとえば、個人経営の飲食店で、ひとりの担当者が仕込みと発注を兼ねている得意先を考えてみます。
注文は営業の合間に出すことになり、新しい画面の操作を覚える時間をとりにくい状況です。
手書きで済むFAXや、口頭で伝えられる電話の利点が大きく感じられるのは自然なことです。

こうした得意先には、操作の説明を別の機会として設けるより、営業担当や配送担当が訪問する場面に重ねる方法が考えられます。
その場で一度だけ実際の注文を一緒に入力してもらえば、次からの手順が具体的に浮かびます。
ログインの方法や、よく頼む商品の探し方など、つまずきやすい点を得意先ごとに記録しておくと、担当者が替わっても同じ説明を繰り返せます。

FAX受注の改善を扱った事例集では、青果卸の山中青果でFAX注文の約7割がシステムに移行したと紹介されています3。
これは一社の、青果の取引の中での結果で、ほかの品目や得意先の構成にそのまま当てはまるものではありません。
事例の移行率を目標に置くより、自社の得意先をいくつかに分けて、どの層が移りやすく、どの層が戻りやすいかを自社の記録で見ていくほうが判断を誤りにくくなります。

得意先の状況 移行で起きやすいこと 案内の考え方
注文が定型的で頻度が高い 書く手間との違いが伝わりやすい 最初の声かけの候補にする
既存の発注システムを持つ 移行が難しいという声がある 自社側で受け取り方を整える
小規模でITに不慣れ 操作を覚える時間をとりにくい 訪問の場面に説明を重ねる
得意先の状況による案内の考え方の違い(模式図)
注文が定型的な得意先、既存の発注システムを持つ得意先、小規模でITに不慣れな得意先について、案内の考え方を分けて比べた図。
▼ 図の内容を文字で読む
  • 注文が定型的で頻度が高い得意先
    • 書き込む手間との違いが伝わりやすい
    • 最初の声かけの候補にする
  • 既存の発注システムを持つ得意先
    • 移行が難しいという声がある
    • 届く注文を自社側でデータ化する
  • 小規模でITに不慣れな得意先
    • 操作を覚える時間をとりにくい
    • 訪問する場面に説明を重ねる

並行運用中に自社の負担を先に減らす:FAXが残る前提の設計

FAX注文書のデータ化

選べる形で案内すると、FAXと電話はしばらく残ります。
並行期間がどれくらい続くかを事例から見積もることはできないため、残っている間の負担を自社側で下げることを先に考えます。

FAX受注の改善を扱った事例集では、新栄商行で1日約100枚あったFAX受注のうち、多い日は約90枚がシステムでの注文に切り替わったと紹介されています3。
同じ事例集では、フカベエッグがOCRを導入したうえで、FAXの判読しにくい文字の修正が必要だと述べています3。
OCRは、紙やFAX画像の文字を読み取ってデータに変える技術です。

OCRでデータ化しても、読み取り結果を人が確かめる作業は残ります。
減るのは、注文書を見ながら品名と数量を一行ずつ打ち込む転記です。
残るのは、かすれた数字や手書きの癖を確かめ、必要なら得意先に問い合わせる確認です。
読み取りやすくするために、記入欄の決まった発注書を使ってもらう工夫も考えられますが、それも得意先に用紙を変えてもらう依頼であることは変わりません。

ムロガ商事も、受発注システムへの移行とあわせて、FAX送受信のペーパーレス化を進めています2。
得意先がFAXを使い続けていても、届いたFAXを紙に出して手で回す作業は減らせます。
先に見た42%から1%への変化は、複合機を更新した後のこの側の変化です2。

受け取った注文を基幹システムへつなぐ

Webで受けた注文も、FAXをデータ化した注文も、請求や出荷指示を出す基幹システムへ入らなければ転記は残ります。
受注データを基幹システムへ取り込める形で出せるかどうかで、担当者が画面を見ながら打ち直す作業が残るかが決まります。
導入した仕組みにどんな出力の形があり、基幹システムがどの形を受け付けるかは、各社の契約と構成によって違うため、提供元に具体的に確かめることになります。

並行運用の負担を下げる順番として、まず届く経路を問わず注文を一か所に集め、次に基幹システムへの転記を減らし、そのうえで得意先の移行を進める、という並びが考えられます。
得意先の移行は相手の都合で進み方が変わりますが、自社側の受け皿は自社の判断で整えられるからです。
受け皿が整っていれば、得意先がFAXに戻っても、担当者の作業が元の量に戻ることはありません。

並行運用中の注文の入口と、転記や確認が残る位置(模式図)
FAX、電話、Web受発注の入口から届く注文を一か所に集め、基幹システムへ渡し、そのあとで得意先の移行を進める順を示した図。FAXと電話には確認や入力が残る。
▼ 図の内容を文字で読む
  1. 届く注文の入口
    • FAXはOCRで読み取れるが判読しにくい文字の確認が残る
    • 電話は聞き取りと入力が残る
    • Web受発注はデータとして届く
  2. 注文を一か所に集める
    • 重複や最新の数量を突き合わせる
  3. 基幹システムへの転記を減らす
    • 取り込める形で渡せれば打ち直しが減る
  4. 得意先の移行を進める
    • 自社側の受け皿が整っていれば、戻っても作業は元の量に戻らない

食品特有の注文事情を、仕組みにどう反映するか

締め切りの扱い

得意先が新しい経路から旧手段に戻る理由は、操作の難しさだけではありません。
食品の注文には、締め切りや入り数、商品名の細かな取り決めがあり、それが画面の上でうまく扱えないと、得意先は話の早い電話やFAXへ戻ります。

FAX受注の改善事例では、健食が締め切りの遵守不足を、山中青果が締め切り管理を課題として挙げています3。
FAXや電話では、締め切りを過ぎて届いた注文を受けるかどうかを、担当者がその都度判断することになります。
その判断が担当者ごとに違えば、得意先は「この人なら受けてくれる」と覚え、注文の経路も人に結び付きます。

Web受発注に移すときは、締め切り後の注文を画面で受け付けないのか、受け付けたうえで担当者が確認するのかを先に決めておきます。
受け付けない運用にすれば、得意先は締め切り後に電話へ戻ります。
受け付ける運用にすれば、担当者の個別判断は残りますが、注文がデータとして届くので、遅れて届いた注文の記録は残ります。
仕組みでどこまで制御できるかは製品によって違いますが、どちらを選ぶかで旧手段がどこまで残るかが変わります。

入り数・商品名・商品コード

那覇酒類販売は、入り数や商品名の細かな違いへの対応を課題に挙げています3。
入り数は、1ケースや1箱に何個入っているかを示す数です。
FAXや電話なら、得意先がいつもの商品を略して書いても担当者が経験から補えます。
Webの画面では得意先が自分で商品を選ぶため、似た名前や入り数違いの商品が並んでいると、取り違えや探しにくさが起きやすくなります。

商品コードの付け方も同じ問題につながります。
得意先が呼んでいる名前、画面に出す表示名、基幹システムのコードが対応していないと、Webで受けた注文を基幹システムへ入れる段階で、担当者がまた対応表を見ながら置き換えることになります。
導入前に、得意先ごとによく出る商品を洗い出し、表示名と入り数、自社のコードの対応をそろえておくと、受注後の照合が減ります。

締め切りと商品の表し方は、得意先にとっては使い続けるかどうかを左右する部分であり、自社にとっては受注後の確認の量を左右する部分です。
どちらも導入してから直すより、最初の得意先に案内する前に決めておくほうが、旧手段への戻りを抑えやすくなります。

40代前半の日本人男性が倉庫事務所での受注対応をしている場面

事例が示す、定着の要因と残った課題

ムロガ商事の経緯

ムロガ商事の事例を、ここまでのふたつの物差しに当てはめて読み直します。
2023年9月に受発注システムへ移行し、取引先約800件のうち約20%が導入済み、今後さらに約10%増やす方針です2。
利用割合の物差しで見れば、移行はまだ途中です。

一方で、複合機の月平均出力枚数に占めるFAX出力の比率は42%から1%へ下がっています2。
作業量の物差しで見れば、紙の扱いは大きく変わりました。
得意先の移行を待たずに、自社側でFAXの受け止め方を変えたことが、この差として表れたと読めます。

残った課題として、FAXへの依存の大きさが挙げられています2。
この事例の記事は、複合機やITを提供する会社がまとめたもので、成果を中心に述べる性格があります。
移らない取引先の事情までは語られていないため、自社に置き換えるときは、その部分を自分の得意先に聞いて補う必要があります。

他社事例との比較

事例集の各社を並べると、移行が進んだ話からは、注文を出す側の手間が少ないこと、無料で使えること、そして強制されず選べることが要因として読み取れます4。
どれも、得意先が新しい手段を試すときの負担を下げる方向の工夫です。

残った課題も似ています。
スタイルブレッドでは受注の約4割がFAXのままで、ホテルのように既存の発注システムを持つ得意先は移りにくいとされています4。
山中青果の約7割、新栄商行の多い日で約100枚中約90枚という数字は、それぞれ条件の違う一社の結果で、並べて平均を取れるものではありません3。
どの事例も、売る側の発言をもとにしたもので、得意先側の評価は含まれていません。

自社の判断に置き換えるなら、目標を「FAXをなくす」に置くより、旧手段が残っていても自社の転記と確認が減っている状態を先に作り、そのうえで得意先ごとの利用割合を少しずつ上げていく順番のほうが無理が少ないと考えられます。
得意先が移らない理由を聞いてみると、操作の難しさ、相手側のシステム、締め切りや商品名の分かりにくさなど、ここまで見てきた点に思い当たる場合があります。
理由が分かった得意先から手を打てば、測る物差しの上でも変化が見えやすくなります。

得意先ごとの注文経路や作業量を自社だけで切り分けようとすると、どの得意先から案内し、どの転記を先に減らすかの判断が担当者の感覚に頼りがちです。

相談では、自社の受注方法の内訳と得意先の状況を照らし合わせ、最初に案内する得意先と、並行運用中に先に減らせる転記を整理できます。無料相談で要件を整理する

要点の整理

軸 基準
定着の測り方 得意先の利用割合と自社の入力・確認作業を分けて記録する
利用割合の数え方 登録件数ではなく、得意先ごとに注文がどの経路で届いたかで見る
旧手段を止める判断 一律の期日ではなく、新しい経路だけで注文が続く得意先から相談する
最初の案内先 注文が定型的で頻度が高い得意先を候補にし、自社の記録で確かめる
既存システムを持つ得意先 移行を頼むより、届く注文を自社側でデータ化する
並行運用中の負担 注文の集約と基幹システムへの転記削減を、得意先の移行より先に整える
導入前に決めること 締め切り後の注文の扱い、商品の表示名・入り数・コードの対応
50代前半の日本人男性が立ち会議をしている場面

旧手段を止める時期や、既存システムを持つ得意先との調整には一律の答えがなく、自社の取引構成に合わせた判断が必要になります。 相談では、締め切りや商品の表し方を含めて導入前に決めておく項目と、定着を測るための記録の取り方を確かめられます。

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よくある質問

FAX注文を完全にやめるには、取引条件を変える必要がありますか。

確認できた事例では、FAXを取引条件で禁止した例は語られておらず、旧手段を残したまま利用する得意先を増やす進め方が中心でした。
取引条件の変更まで踏み込むかは、得意先との関係や取引量によって答えが変わります。
まずは得意先ごとに新しい経路だけで注文が続いているかを見て、続いている得意先からFAX用発注書の送付をやめる相談をする形が、関係を崩しにくい進め方です。

得意先がITに不慣れな場合は、どう案内すればよいですか。

操作を覚える時間をとりにくい得意先には、別の説明会を設けるより、営業担当や配送担当の訪問に説明を重ね、一度実際の注文を一緒に入力してもらう方法が考えられます。
あわせて、慣れなければFAXに戻れる選べる形にしておくと、試すことへのためらいが小さくなります。
つまずいた点を得意先ごとに記録しておけば、担当者が替わっても同じ説明ができます。

FAXをOCRでデータ化する方法は、Web受発注の代わりになりますか。

OCRで減らせるのは、注文書を見ながら品名と数量を打ち込む自社側の転記です。
事例でも、判読しにくい文字の修正が必要だと述べられており、読み取り結果の確認は残ります3。
締め切り後の注文や商品名の取り違えといった、注文を出す段階で起きることは解けないため、代わりというより、移行しない得意先の注文を受け止める手段として並べて考えるのが適しています。

利用率が上がらない得意先には、どんな確認をすればよいですか。

まず、どの場面で旧手段に戻っているかを得意先単位の記録で確かめます。
追加注文や繁忙期だけ電話に戻るのか、締め切り後に戻るのか、商品が見つけにくくてFAXに戻るのかで、手を打つ場所が変わります。
締め切りの扱いや商品の表示名と入り数の対応は仕組み側で直せることがあり、操作の不慣れなら説明の機会を変えます。

既存の発注システムを使う得意先とは、どう調整すればよいですか。

事例集でも、ホテルのように既存の発注システムを持つ得意先は移行が難しいとされています4。
得意先に売る側の画面を使ってもらうより、相手のシステムから届く注文書をどの形で受け取れるかを確かめ、自社側でデータ化する方向で調整するほうが現実的なことがあります。
利用割合には数えられなくても、自社の転記が減っていれば、その得意先への対応としては十分な場合があります。

◆監修・編集責任者

小園 将隆

株式会社フライトソリューションズ ECサービス部 マネージャー

BtoB通販のパッケージシステム「EC-Rider B2B Ⅱ」の導入支援をはじめ、製造業、卸売業をはじめとした法人向け通販サイト構築を多数手掛ける。卸売領域の専門知識をもとに、日本の商習慣に固有の課題をパッケージシステムの機能追加によって解決。BtoB流通の販路拡大を支援する。

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  1. 1 出典:株式会社ハンモック「食品業の受注業務に関する実態調査」(2023年)
  2. 2 出典:リコージャパン株式会社「受発注業務のデジタル化とFAX送受信のペーパーレス化を加速する業務用食材卸 ムロガ商事(長野県)」(2024年)
  3. 3 出典:インフォマート(フーズチャネル)「卸企業の事例まとめ~FAX受注の改善編~」(2022年以降)
  4. 4 出典:インフォマート(フーズチャネル)「卸企業の事例まとめ~受注のデジタル化編~」(2022年以降)

画像の出典元

  1. Business professionals discussing documents in a modern office setting./Photo by Pavel Danilyuk on Pexels

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◆この記事について

独自調査以外の一次情報は、省庁・公的機関を中心とした信頼性の高い情報源から引用し、出典を明記しています。
年次更新される統計については、引用元の最新版を確認したうえで掲載しています。

※この記事は上記の監修・編集責任者がAIの協力を得て制作しています。

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