◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- 多頻度小口の負担は、出荷作業・梱包・便数と積載・納品先対応・運賃のどこに出ているかで効く手が変わる
- 伝票の明細行数や出荷間隔、運賃明細の最低料金の件数、便ごとの積載の埋まり具合で、負担の出どころの見当をつけられる
- 件数を減らす手は効く範囲が広いが取引先との調整が要り、1件の手間を下げる手は自社だけで始められるが便数には届きにくい
- 積載効率・荷待ち・荷役等の改善はすべての荷主の努力義務で、見直しを持ちかける理由にはなるが、取引条件の変更を求める根拠にはならない
- 効果は着手前後を同じ期間・条件で比べ、臨時便や欠品などの副作用と併せて確かめる
目次

多頻度小口の注文で、出荷と配送のどこに負担が出るのか
取引先からの注文が、一回あたりわずかな量で毎日のように入ってくる。
出荷する量は増えていないのに、ピッキングや梱包、伝票の作業、便の手配と運賃は、注文の数だけ積み重なっていく。
多頻度小口配送の負担は、こうした形で表れます。
負担が出荷作業・梱包・便数と積載・納品先対応・運賃のどこに出ているかで、効く手は変わります。
まず自社の伝票と運賃の明細で原因を切り分けます。
そのうえで、自社内で進められる手と取引先との調整が要る手を分けて、最初の一手を決めます。
荷主には積載効率の向上や荷待ち・荷役等の時間短縮に取り組む努力義務があり、取引先へ見直しを持ちかける際の足がかりになります1。
出荷作業と梱包
注文の量が小さくなっても、1件の注文を出荷するまでの手順は変わりません。
受注内容を確かめ、ピッキングの指示を出し、棚から商品を集めます。
検品して箱に詰め、送り状と納品書を付けて出荷場に並べます。
この一連の作業は、運ぶ量ではなく注文の件数に比例して積み上がります。
週にまとめて届いていた注文が毎日少しずつ届くようになると、出荷する総量が同じでも、作業の回数だけが増えていきます。
梱包も同じ構造です。
ケース単位で出せていた注文がバラの数個になると、ケースを開けて必要数を取り出し、別の箱に詰め直す工程が加わります。
注文ごとに数量が違えば箱の大きさも揃わず、隙間を緩衝材で埋める手間と資材が増えます。
箱の中に空きが多い荷物は、そのままトラックの荷台の空きにもつながります。
梱包の問題は、次に見る便数と積載の問題と地続きです。
便数と積載
配送は、納品する日ごとに車両を動かす仕組みです。
同じ取引先へ毎日少量ずつ納めるなら、そのたびに車両が走ります。
荷台が埋まらないまま出発する便が増えると、運ぶ量に対して走る回数と距離が大きくなります。
その結果、燃料費や人件費、委託している場合の運賃が、運んだ量の割に重くなります。
ここで出てくるのが積載効率という考え方です。
荷台の容量に対して、実際にどれだけ荷物を積めているかを表します。
物流効率化法の理解促進ポータルでは、国がすべての荷主・物流事業者に求める取組の一つとして「積載効率の向上等」を挙げています1。
荷主の側から見ると、トラックの空きは運送会社の問題に見えがちです。
しかし、空きが生まれるかどうかは、いつ・どれだけ出すかという出荷側の決め方に大きく左右されます。
納品先対応と運賃
荷物が納品先に着いてからの時間も負担になります。
受入口が混んでいて順番を待つ、検品が終わるまで車両を離れられない、指定の場所まで運び込む、といった時間です。
国が求める取組の残り2つは「荷待ち時間の短縮」と「荷役等時間の短縮」です1。
荷役とは、荷物の積み込みや荷降ろしといった作業のことです。
納品の回数が増えれば、待ちと荷降ろしも回数分だけ繰り返されます。
この時間を誰が負担しているかは、配送の形で変わります。
自社配送なら、ドライバーの拘束時間がそのまま自社の人件費と、次の配送に回せない時間になります。
委託していれば、まず運送会社の負担になりますが、契約の更新時に料金や受託条件の見直しとして荷主へ返ってくることがあります。
運賃も、契約の形によって小口の影響の出方が違います。
委託の運賃に1件ごとの基本料金や最低料金が含まれている場合、1件の荷物が小さいほど、運んだ量あたりの運賃は高くなります。
自社配送では、車両と人の費用を便数で割ることになるため、便が増えて1便あたりの荷物が減ると、同じ構造で割高になります。
運賃は独立した原因というより、件数・便数・待ち時間の結果として明細に表れる負担と見ると、次の切り分けがしやすくなります。
ここまでの5か所は、負担を見分けるために本記事で整理した分け方です。
国が示す3つの取組と重なる部分もあれば、重ならない部分もあります。
便数と積載は積載効率に、納品先対応は荷待ちと荷役等に対応します。
一方、受注処理やピッキング、梱包の手間、運賃の水準は、3つの取組の名前には直接出てきません。
国の区分を目安にしながら、社内作業と費用は自社の目で見る必要があります。
▼ 図の内容を文字で読む
- 出荷作業
- 注文件数に比例して増える
- 出荷場での積み込みは荷役等時間の短縮
- 梱包
- 箱の空きが荷台の空きにつながる
- 積載効率の向上等
- 便数と積載
- 積載効率の向上等
- 納品先対応
- 荷待ち時間の短縮
- 荷役等時間の短縮
- 運賃
- 件数・便数・待ち時間の結果として明細に表れる
出典:国土交通省ほか「物流効率化法」理解促進ポータルサイト(取組の区分のみ)
自社の負担はどの課題から生じているか。何を見れば切り分けられるか
伝票から見る項目
同じ「出荷が重い」という実感でも、作業の回数が増えているのか、車両が走る回数が増えているのか、納品先で待たされているのかで、効く手は違います。
切り分けに使うのは、すでに手元にある出荷伝票と運賃の明細です。
特別な調査をしなくても、並べ方を変えるだけで負担の出どころが見えてきます。
見る期間は、普段の時期と忙しい時期の両方が入る長さにしておくと、一時的な偏りに引きずられにくくなります。
伝票からは、次の項目を取り出します。
- 1件あたりの明細行数と個数:品目が多く数量が少ない注文がどれだけあるか
- 同じ納品先への出荷間隔:間を空けずに同じ相手へ出していないか
- 曜日・時間帯ごとの受注の偏り:締め時刻の直前や特定の曜日に集中していないか
- ケース出荷とバラ出荷の割合:ケースを開けて詰め直す注文がどれだけあるか
読み方の例を挙げます。
行数が多く個数が少ない注文が目立つなら、負担の中心は出荷作業と梱包です。
ある取引先への出荷を日付順に並べたとき、ほぼ毎日出ているのに中身はわずか、という形なら、便数と納品先対応に負担が出ています。
この取引先は、納品日の集約を話し合う候補になります。
ただし、伝票から分かるのは自社から見た出荷の形だけです。
取引先が毎日少しずつ発注するのは、店頭や倉庫の置き場が狭い、売れ行きの読みが立たないなど、相手側の事情によることもあります。
その事情は伝票には残りません。
候補を絞った段階で、相手に聞く話になります。
運賃・便数から見る項目
運賃と便数のデータは、自社配送か委託かで取り出せる場所が違います。
自社配送なら運行日報や配車表から、便ごとの積み荷の量、回った納品先、納品先での待ち時間を拾えます。
荷台の埋まり具合を正確に測っていなくても、出発時に目分量で記録するだけで、空きの多い便がどの曜日・どの方面に偏っているかは見えてきます。
委託なら運賃の明細が中心で、待ち時間は運送会社への聞き取りや、納品先の受入記録で補うことになります。
運賃・便数から見る項目は次のとおりです。
- 便ごとの積載の埋まり具合:空きの多い便がどの方面・曜日に出ているか
- 運賃明細に占める最低料金・基本料金の適用件数:小さな荷物ほど割高になる料金が、どれだけかかっているか
- 付帯料金の有無:時間指定や待機に追加の料金が発生していないか
- 納品先での待ち時間:どの納品先で、どの時間帯に待ちが生じているか
これらの数字は手掛かりであって、原因の確定ではありません。
たとえば最低料金の適用件数が多くても、契約全体の料金の決まり方(距離、サイズの区分、付帯料金)と照らし合わせないと、件数をまとめれば運賃が下がるのかは判断できません。
荷台の空きも、荷物の形や重さの制約で積めない場合があり、空いているから詰められるとは限りません。
明細と契約条件を照合し、運送会社にも確かめながら判断します。
伝票と運賃・便数の両方を見ると、負担がどこに集中しているかの見当がつきます。
一つの原因に絞れることは少なく、多くは複数の場所に負担が重なっています。
その場合も、どこが最も大きいかが分かれば、次に考える対処の優先順位が付けられます。
▼ 図の内容を文字で読む
- 1件あたりの明細行数と個数
- 出荷作業
- 梱包
- ケース出荷とバラ出荷の割合
- 梱包
- 同じ納品先への出荷間隔
- 便数と積載
- 納品先対応
- 便ごとの積載の埋まり具合
- 便数と積載
- 最低料金・基本料金の適用件数
- 運賃
- 納品先での待ち時間
- 納品先対応
事例で使われた対処は、どの課題に効くのか
対処ごとの効く課題と必要条件(表)
他社の取組を参考にするときは、施策の名前より「どの負担に効いたのか」「何が揃っていたから実施できたのか」を読み取ることが大切です。
国土交通省の研究会は2019年(令和元年)に提言「連携による持続可能な物流に向けて」をまとめ、物流の現状と課題、今後の連携のあり方、民間企業の先行事例、課題解決の方向性を整理しています2。
こうした事例集を読むときも、自社と業種・荷物・納品先の数・取引先との関係がどこまで似ているかを見ないと、同じ手が同じように効くかは分かりません。
そこで、効果の大きさではなく、各対処がどの負担に向いた手で、何を前提にしているかを整理します。
表を見比べると、対処は大きく3つの性格に分かれます。
一つ目は、受注締め・納品日の集約や発注ロットの見直しのように、出荷の件数そのものを減らす手です。
件数が減れば、出荷作業も梱包も便数も納品先での待ちも同時に減るので、効く範囲は最も広くなります。
その代わり、取引先の在庫や発注の仕方を変えることになるため、自社だけでは決められません。
二つ目は、出荷締め時刻や作業段取りの整理、梱包の標準化のように、1件あたりの手間を下げる手です。
自社だけで始められ、取引先に迷惑をかけにくいのが利点です。
ただ、件数は変わらないので、便数や納品先での待ちにはほとんど届きません。
注文が今後さらに細かくなれば、手間を下げても件数の増え方に追いつかなくなります。

三つ目は、共同配送、拠点・在庫の見直し、委託先や配送方法の変更のように、運び方そのものを変える手です。
荷台の空きや運賃の構造に直接手を入れられますが、相手探し、契約、場合によっては設備や在庫の置き方まで動くため、準備に時間と費用がかかります。
どの手にも、効く負担と引き換えに生じる負担があります。
納品日を集約すれば取引先の手元に届くまでの日数が延び、拠点を増やせば在庫を置く場所の費用が増えます。
この引き換えをどう確かめるかは、最後の節で扱います。
| 対処 | 主に効く負担 | 実施に必要な条件 | 調整する相手 |
|---|---|---|---|
| 受注締め・納品日の集約 | 便数と積載、納品先対応、運賃 | 取引先が納品間隔の延長を受け入れられる在庫・置き場の余裕 | 取引先 |
| 発注ロット・発注条件の見直し | 出荷作業、梱包、運賃 | 取引先の売れ方や保管場所に見合うロット | 取引先 |
| 出荷締め時刻と作業段取りの整理 | 出荷作業、梱包 | 受注の入り方と作業の流れの把握 | 自社内 |
| 梱包の標準化 | 梱包、便数と積載 | 商品の形と箱の組合せの整理 | 自社内(資材の仕入先) |
| 共同配送 | 便数と積載、運賃 | 配送先・時間帯・荷物の特性が近い相手と、費用・責任の取り決め | 他の荷主、運送会社 |
| 拠点・在庫の見直し | 便数と積載、運賃 | 配送先の分布と、在庫を置く場所の費用 | 自社内(倉庫・運送会社) |
| 委託先・配送方法の変更 | 運賃 | 荷物の量・サイズと料金体系の合致 | 運送会社 |
取引先との調整が要る手と、自社内で進められる手の違い
自社内で進められる手
自社だけで決められる手の代表は、出荷の締め時刻の整理です。
受注が入るたびにピッキングに走るのではなく、社内で締め時刻を決め、それまでに入った注文をまとめて処理します。
同じ納品先への注文が一日に何度か入っていれば、締めた時点でまとめて一つの荷物にできます。
取引先への納期を変えない範囲で組めば、相手との調整は要りません。
梱包の標準化と作業の段取りも自社内で進められます。
使う箱の種類を絞り、商品ごとの詰め方を決めておけば、作業者が箱選びで迷う時間と、詰めたあとの隙間が減ります。
段取りでは、同じ納品先の注文を一緒に引く、ピッキングの順番を棚の並びに合わせる、といった工夫で、1件ごとに歩く距離と確認の回数を減らせます。
委託先や配送方法の見直しも、取引先の合意は要りません。
ただし交渉の相手は運送会社になり、料金や条件は相手の事情とのすり合わせで決まります。
自社内の手は始めやすい反面、前の節で見たとおり件数と便数には届きにくい手です。
切り分けで便数や納品先での待ちが大きいと分かっているなら、自社内の手だけで終わらせず、取引先との調整まで視野に入れる必要があります。
取引先との調整が要る手
納品日の集約、発注ロットや発注条件の見直し、納品先の受入時間の見直しは、取引先の合意がなければ進みません。
納品の間隔が延びれば、取引先は一回に受け取る量が増え、置き場と在庫を持つ負担が出ます。
ロットが変われば、取引先の発注担当者の発注の仕方も変わります。
相手の業務を変える話なので、自社の都合だけを理由に決めることはできません。
見直しを持ちかける理由として、物流効率化法の努力義務があります。
この努力義務は、規模にかかわらずすべての荷主・物流事業者に課されています1。
取扱貨物の重量が9万トン以上の荷主は、特定荷主として別に指定されます1。
この基準に届かない事業者は特定荷主には当たりませんが、努力義務の対象からは外れません。
積載効率、荷待ち時間、荷役等時間の改善は、規模の小さい荷主にとっても国が求める取組です。
ただし、努力義務は見直しを話し合う理由にはなっても、個別の取引条件を変えるよう相手に求める根拠にはなりません。
受け取る側の取引先が法の上でどの立場に当たり、何を求められているかは、法の判断基準や解説で確かめる必要があります。
取引上の立場に差がある相手であれば、条件の変更を押しつける形にならないよう、合意の内容を書面に残しておくことも欠かせません。
切り出し方で大切なのは、前の節までで集めたデータを具体的に見せることです。
「この納品先へは毎日出ていますが、一回の中身はわずかです」と示せば、話が抽象論になりません。
そのうえで、取引先にとっての利点と負担を両方並べます。
受入と検品の回数が減るという利点がある一方、置き場と在庫の負担が増える可能性があることも伝えます。
試す期間と、うまくいかなかったときに元へ戻す条件を先に決めておくと、相手も応じやすくなります。
取引先の置き場や売れ方の事情を聞けば、納品日を週の何日に絞るか、どの品目だけロットを変えるかといった、相手が受け入れられる形が見えてきます。
自社の状況では、どの手から試すか。共同配送は何が揃えば成り立つか
原因別の最初の一手
切り分けで見えた負担の出どころと、自社内か調整が要るかの区別を組み合わせると、最初の一手の候補が絞れます。
ここで示すのは、原因の組み合わせに応じた手の選び方の提案です。
どれだけ効くかは、自社の荷物と取引先の事情によって変わります。
- 同じ納品先への便が多い:まず社内の出荷締めを揃え、同じ日の注文を一便にまとめる。
次に、その納品先との間で納品日の集約を話し合う - 1件の量が小さく、明細行数が多い:社内の段取りと梱包で1件あたりの手間を下げながら、発注ロットや発注条件の見直しを取引先に相談する
- 委託の運賃が重い:運賃明細を料金体系と照合し、最低料金や付帯料金のかかり方を確かめたうえで、委託先や配送方法を見直す
- 納品先での待ちが長い:待ちが生じている納品先と時間帯を特定し、受入時間の調整を相談する
負担が複数の場所に重なっているときは、金額か時間で最も大きいところから手を付けるのが基本です。
迷ったときは、件数を減らす手を候補に入れて考えます。
件数が減れば、作業・梱包・便数・待ちのいくつかに同時に効くからです。
一方で、件数を減らす手は取引先との調整が要ります。
そのため、先に自社内の手を試して記録を取り、その記録を持って取引先と話す、という順番にすると、相手に示す材料が揃います。
共同配送で事前に決める項目
共同配送は、複数の荷主の荷物を同じ車両に載せて運ぶ方法です。
自社の荷物だけでは荷台が埋まらない便でも、配送先の近い他社の荷物と合わせれば空きを減らせる、という点に魅力があります。
ただ、相手が見つかれば始められるものではありません。
荷物の性質や納品の条件が合わなければ、混載によって積み込みや仕分けの手間が増え、かえって負担が増えることもあります。
共同配送を検討する前に、参加者の間で決めておきたい項目は次のとおりです。
- 荷物の特性:温度帯、形や重さ、ほかの荷物と一緒に積めるか
- 配送エリアと納品時間帯:配送先がどれだけ重なり、時間指定が両立するか
- 参加者:誰と組むか。
同業か異業種か、取引先を巻き込むか - 費用負担:運賃を容積・重量・件数のどれで分けるか
- 責任分担:破損・遅延・誤配が起きたとき、誰がどこまで負うか
- 情報の扱い:出荷データをどこまで共有するか
- 抜けるときの扱い:参加者が離れるときの予告と精算
このうち揉めやすいのは費用負担と情報の扱いです。
軽くてかさばる荷物を出す会社と、小さくて重い荷物を出す会社では、容積で分けるか重量で分けるかで負担が大きく変わり、どちらかに不満が残ります。
同業の会社と組む場合は、出荷データから自社の取引先や出荷量が相手に見えてしまうため、運送会社が間に入ってデータを預かるなどの扱いを決めておく必要があります。
これらは検討の前に確かめる項目の提案であり、全部が揃えば共同配送が成り立つと保証するものではありません。
また、相手と話す前提として、自社の出荷がどの方面へ、どの曜日に、どれだけ出ているかを示せる必要があります。
切り分けの段階で整理した伝票と運行のデータが、そのまま共同配送の相手探しの材料になります。
▼ 図の内容を文字で読む
- 伝票と運賃で負担の出どころを切り分ける
- 明細行数と個数、出荷間隔
- 積載の埋まり具合、最低料金の件数、待ち時間
- 自社内の手を試して記録を取る
- 出荷締め時刻の整理
- 作業段取りと梱包の標準化
- 記録を持って取引先と調整する
- 納品日の集約
- 発注ロット・条件の見直し
- 受入時間の見直し
- 必要に応じて運び方を変える
- 委託先・配送方法の変更
- 共同配送
- 拠点・在庫の見直し
着手後、効果と副作用をどう確かめるか
見る指標
手を打ったあとに効いたかどうかを判断するには、着手前の状態を同じ物差しで記録しておく必要があります。
土台にしやすいのは、国が荷主に求める3つの取組、つまり積載効率の向上等、荷待ち時間の短縮、荷役等時間の短縮です1。
これに、社内の作業と費用を見る指標を加えます。
次に挙げる指標の選び方は本記事の提案で、自社のデータの取りやすさに合わせて絞って構いません。
- 出荷件数:同じ量を何件に分けて出しているか
- 便数:同じ期間に何便出したか
- 積載の埋まり具合:便ごとの荷台の空き
- 運賃:総額と、出荷した量あたりの金額
- 作業時間:出荷作業と、納品先での待ち・荷降ろし
- 納品先の受入への影響:受入回数、検品の手間
比べるときは、着手前と着手後で期間の長さと条件を揃えます。
注文の総量が増えれば運賃の総額も増えるので、総額だけを見ると効いていないように見えることがあります。
総額と並べて、出荷した量あたりや一便あたりの数字で見ると、手の効き目と注文量の変化を分けて読めます。
季節で注文が大きく動く商品なら、前年の同じ時期と比べるほうが条件を揃えやすくなります。
いくつもの手を同時に打つと、どの手が効いたのかが分からなくなります。
可能なら一つずつ始めるか、少なくともいつ何を変えたかを記録しておきます。
その記録があれば、次に取引先へ別の見直しを持ちかけるとき、前回の結果を根拠として示せます。
副作用の確認
多頻度小口への対処には、負担を別の場所へ移すだけになる危険があります。
納品日を集約すれば、取引先は一回に受け取る量が増え、置き場が足りなくなったり、次の納品日までに欠品したりすることがあります。
自社の側でも、出荷日をまとめた分、その日の作業の山が高くなり、締め時刻に間に合わない注文が出るかもしれません。
副作用は、効果の指標とは別に見ておきます。
見るのは、納品の遅れ、取引先からの緊急の追加注文、臨時便や急ぎの便の利用、取引先からの問い合わせや不満、自社の在庫の滞留です。
なかでも臨時便には注意が必要です。
定期便を減らした代わりに臨時便が増えていれば、便数は見かけほど減っておらず、運賃も割高になっている可能性があります。
確かめた結果、副作用が効果を上回るなら、集約の幅を緩める、対象の品目や納品先を絞るなど、手を調整します。
試す前に決めておいた戻す条件に当たれば、元に戻します。
そのうえで、次に大きい負担へ別の手を打ちます。
測る、打つ、比べる、副作用を確かめる、という流れを一巡させるたびに、取引先と話すための材料が増えていきます。
▼ 図の内容を文字で読む
- 着手前の状態を測る
- 手を一つ打つ
- 同じ期間・条件で比べる
- 副作用を確かめる
- 手を調整する、または次の手を選ぶ
伝票や運賃のデータから負担の出どころの見当がついても、どの取引先に何から持ちかけるか、受注の受け方をどう変えるかは、一社の中だけでは判断しにくいところです。
受注の入り方と出荷の負担を一緒に見直す相談で、自社の注文の流れのどこで件数が増えているか、取引先と話す前に揃えておきたい材料は何かを確かめられます。無料相談で要件を整理する
要点の整理
| 軸 | 基準 |
|---|---|
| 負担の切り分け | 件数で増える作業か、便数と積載か、納品先での待ちか、運賃の構造か |
| 使うデータ | 伝票の明細行数・出荷間隔、運行の積載状況、運賃明細の最低料金・付帯料金、待ち時間 |
| 手の性格 | 件数を減らす手/1件の手間を下げる手/運び方を変える手 |
| 調整相手 | 自社内で決められるか、取引先・運送会社・他の荷主の合意が要るか |
| 効果の確かめ方 | 着手前後を同じ期間・条件で比べ、量あたりの数字と副作用を併せて見る |

手を打ったあとの効果と副作用を測り続けるには、受注と出荷の記録を同じ物差しで取り続ける仕組みが要り、その設計は始める前に決めておくほうが進めやすくなります。 相談では、着手前後を比べるためにどの記録を残すか、取引先との発注のやり取りのどこを見直す余地があるかを確かめられます。
よくある質問
特定荷主に当たらない小規模な出荷事業者にも、物流効率化法の努力義務はあるのですか。
あります。
積載効率の向上等、荷待ち時間の短縮、荷役等時間の短縮に取り組む努力義務は、すべての荷主・物流事業者に課されています1。
取扱貨物の重量が9万トン以上の荷主は特定荷主として別に指定されますが、この基準に届かなくても努力義務の対象からは外れません1。
取引先に発注ロットや納品日の見直しを頼むとき、何を根拠に、どう切り出せばよいですか。
中心になる根拠は、自社の伝票と運賃・運行のデータです。
「この納品先へはほぼ毎日出ているが、一回の中身はわずか」といった具体的な形を示し、取引先にとっての利点(受入・検品の回数が減る)と負担(置き場・在庫が増える可能性)を両方伝えます。
物流効率化法の努力義務は話を持ちかける理由にはなりますが、相手に条件の変更を求める根拠にはならないため、試す期間と元に戻す条件を先に決め、合意内容を書面に残して進めます。
共同配送に参加する前に、費用負担と責任分担で何を取り決めておくべきですか。
費用では、運賃を容積・重量・件数のどれで分けるかを決めます。
荷物の形や重さが参加者で違うと、分け方次第で負担が大きく変わるためです。
責任では、破損・遅延・誤配が起きたときに誰がどこまで負うかを決めます。
あわせて、出荷データをどこまで共有するか、参加者が抜けるときの予告と精算も決めておくと、後から揉めにくくなります。
自社配送と委託配送で、小口対策の最初の一手はどう変わりますか。
自社配送では、便数と荷台の空きが車両と人の費用に直結するため、出荷締めを揃えて同じ日の注文を一便にまとめることや、納品日の集約が先に候補になります。
委託配送では、負担が運賃の明細に表れるので、最低料金や付帯料金のかかり方を料金体系と照合し、委託先や配送方法を見直すところから始めやすくなります。
委託の場合、納品先での待ち時間は運送会社への聞き取りで補います。
納品日を集約したときに増えがちな副作用(在庫・納期)は、どう確認すればよいですか。
効果の指標とは別に、納品の遅れ、取引先からの緊急の追加注文、臨時便の利用、取引先からの問い合わせ、自社在庫の滞留を、着手前と同じ期間・条件で比べます。
特に臨時便が増えていると、定期便を減らした分が打ち消されている可能性があります。
副作用が効果を上回る場合は、集約の幅や対象の品目・納品先を絞って調整します。
- 1 出典:国土交通省・経済産業省・農林水産省「物流効率化法」理解促進ポータルサイト(2026年)
- 2 出典:国土交通省 総合政策局物流政策課「共同物流等の促進に向けた研究会 提言『連携による持続可能な物流に向けて』」(2019年)
画像の出典元
- Cardboard boxes behind red metal grid window in warehouse./Photo by Mathias Reding on Pexels