◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- 多頻度小口で増えるのは運賃単価だけでなく、件数に比例する作業と付帯費用。送料総額を出荷件数で割れば、単価と件数のどちらが効いているかを切り分けられる
- 発注量を車格単位で平準化した実証では年間試算でCO2 5.1トン、4トン車158台・10トン車47台の削減が示されたが、3社共同でAIによる需要予測を前提とした値のため、削減率ではなく成立条件のほうを自社に当てはめる
- 令和6年3月告示の標準的な運賃は運送事業者と荷主の間の制度で、8%の引き上げ率を自社から販売先への値上げ幅に流用できない。応用できるのは付随する費用を分けて示すという設計の考え方
- 中継輸送は長距離運行を複数のドライバーで分担する仕組みで、長距離の幹線と中継地点の確保が前提。発着地・月間便数・重量容積・時間指定を示して運送事業者に相談するのが判断の近道
- 条件変更の影響は外部データで代替できないため、直近1年の注文明細から対象件数と取引先の偏りを数え、範囲を限って試してから広げる
目次

多頻度小口配送でなぜ自社の配送コストが増えるのか
取引先からの注文が1回あたり数点になり、同じ相手へ週に何度も出荷している。
送料の合計は毎月上がっているのに、売上はそれほど変わらない。
多頻度小口配送のコストが重く感じられるとき、すぐに動かせるのは運賃単価そのものではなく、発注と納品の条件のほうです。
注文が細かく分かれるほど1便あたりの積載は薄くなり、件数に比例して発生する作業と付帯費用が積み上がります。
打てる手は、発注量やロットを平準化して便数を減らす、配送費を価格や取引条件に反映する、共同配送・中継輸送で輸送そのものを分担する、という3方向です。
どれを選べるかは、取引先とどこまで条件を調整できるか、そして長距離の幹線を抱えているかで決まります。
配送費が増えたと感じるとき、最初に疑うのは運賃の値上げですが、多頻度小口の場合はそれだけでは説明がつかないことがあります。
国の資料では、貨物1件あたりの貨物量は直近20年で半減する一方、物流件数はほぼ倍増したと整理されています3。
宅配便の取扱個数も令和4年度(2022年度)で50億588万個、前年度と比べて約1.1%増えました1。
運ぶ総量が急に増えたというより、同じ量がより多くの件数に分かれて動いている、という変化です。
費用の性質から見ると、この変化が効いてきます。
配送にかかる費用には、重さや容積に比例する部分と、件数に比例する部分があります。
1件ごとの受注処理、ピッキング、検品、梱包、伝票の発行と貼付、集荷の引き渡し、配達先での受け渡しは、中身が1点でも10点でもおおむね同じだけ発生します。
注文が細かく分かれるほど、この件数側がそのまま倍数で効いてきます。
請求明細を見ると、その積み上がり方が分かります。
運賃の本体に加えて、時間帯指定、再配達、地域別の加算、着払い手数料といった項目が並んでいることがあり、これらは件数分だけ計上されます。
1件あたりの単価が据え置きでも、件数が増えれば総額は上がりますし、付帯項目の比率が高い取引先ほど、単価の動き以上に負担が増えます。
社内側も同じ構造です。
出荷件数が倍になれば、梱包資材も伝票も、出荷登録と出荷検品の手間も倍になります。
人を増やさずに回している間は目立った費用として表に出ませんが、残業や繁忙日の応援という形で別の費目に移っているだけ、ということも起こります。
ただし、ここまでの数字は全国を集計した一般的な傾向で、個々の企業の物流費比率や積載率の水準までは示していません3。
自社の負担がどこで膨らんでいるのかは、自社の出荷データで確かめる必要があります。
難しい分析をしなくても、切り分けの入口はいくつかあります。
まず、月次の出荷件数と出荷総量を並べ、1件あたりの出荷量がどう動いているかを見ます。
次に、送料の請求総額を出荷件数で割り、1件あたりの送料が上がっているのか、件数が増えたから総額が増えたのかを分けます。
この2つが分かるだけで、運送会社との単価交渉の話なのか、便数そのものを減らす話なのか、入口が変わります。
もう一つ見ておきたいのが、出荷が何曜日に寄っているかです。
同じ月間件数でも、特定の曜日に集中していれば、その山に合わせて車両と人を押さえることになり、他の日は空いたまま走ります。
件数自体を減らせなくても、山を崩すだけで必要な便数が変わる余地はここにあります。
つまり、動かせる条件は運賃単価だけではありません。
件数、1件あたりの量、出荷日の偏り、そしてそれぞれを誰と相談すれば変えられるのか。
ここから先は、変え方の性格が違う3つの方向を順に見ていきます。
| 確かめる数字 | 分かること |
|---|---|
| 月次の出荷件数と出荷総量 | 1件あたりの出荷量が小さくなっているか |
| 送料総額÷出荷件数 | 単価が上がったのか件数が増えたのか |
| 出荷日の曜日別件数 | 便が特定の曜日に偏っていないか |
| 請求明細の付帯項目 | 時間指定や再配達など件数分だけ増える費用があるか |
配送頻度を減らす・発注ロットを見直すとどれだけ効果があるか
発注データを共有できる場合の実証効果
便数を減らす一番素直な方法は、1回あたりの量を増やして回数を減らすことです。
ただ、発注単位を大きくするだけだと、受け取る側が一度に多く抱え込むことになり、在庫と資金の負担がそちらへ移るだけになります。
そこで出てくるのが、量そのものを増やすより、いつどれだけ積むかを車両の積載単位に合わせる、という考え方です。
アスクルは花王・コクヨと共同で、小売起点のAIを用いて発注量を車格単位で平準化する実証実験を2022年4月から2023年1月にかけて行い、令和5年度グリーン物流パートナーシップ会議で経済産業大臣表彰を受けました5。
年間試算では、CO2排出量5.1トン、4トントラック158台、10トントラック47台の削減効果が示されています5。
ここで減っているのは注文量ではなく、走った車の台数です。
半端な積載のまま走る便をなくし、車格に合う量にまとめた結果として、必要な車両そのものが減っています。
裏返すと、この方法が効くのは、発注する側と供給する側が「次にどれだけ必要か」を事前に突き合わせられる場合に限られます。
当日に注文が確定して翌日出さなければならない取引では、まとめる余地がそもそも生まれません。
納品回数の集約も同じ発想です。
週3回納品を週2回にすれば便は3分の2になりますが、相手は1回あたり1.5倍を受け取ることになります。
相手の保管スペースや在庫の回り方が許すかどうかが条件になり、許すのであれば、相手にとっても入荷の受け入れ作業が減るという利点が出ます。
交渉の入口としては、値上げ・値下げの話より持ち出しやすい部分です。
自社にそのまま当てはめる際の注意点
注意したいのは、先の数値の前提です。
これは3社が共同で行い、AIによる需要予測システムを前提とした実証実験の年間試算値で、同じ仕組みへの投資をしない規模の荷主が同じ削減率を再現できるかどうかは、この報道からは分かりません5。
「実証では何台減ったから、うちも同じくらい」と見積もると、根拠のない前提のまま取引先と交渉することになります。
当てはめるべきなのは数値ではなく、成立条件のほうです。
自社に置き換えると、取引先が発注予定を事前に教えてくれる関係があるか、納品日を数日単位でずらせる取引か、現状1便あたりどれだけ空きがあるか。
この3つが揃っていれば、システムを導入する前でも、発注曜日をまとめる、次回分を合わせて積む、といった形で部分的に試せます。
逆にどれか一つでも欠けていると、仕組みを入れても積む量が揃わず、便は減りません。
最低注文数量や最低注文金額の設定も、便数を減らす手です。
ただしこちらは相手の発注の仕方を直接縛るため、一方的には動かせません。
条件を変える前に、その数量を下回る注文が実際にどれだけあるのかを数えておく必要があり、その数え方は後半で扱います。
| 指標 | 年間試算の削減量 |
|---|---|
| CO2排出量 | 5.1トン |
| 4トントラック | 158台 |
| 10トントラック | 47台 |
配送費を価格や取引条件に反映する設計は現実的か
運送業界での費用転嫁の考え方
発注の条件を動かせない取引先もあります。
その場合に残るのは、かかっている配送費を価格や取引条件のほうへ反映する道です。
ここで参考になるのが、運送の側で費用の立て方がどう見直されたかという話です。
国土交通省が令和6年3月に告示した新たな標準的な運賃では、運賃水準を8%引き上げるとともに、荷役の対価等を加算しました2。
見直しの趣旨は、荷待ち・荷役に係る費用、燃料高騰分、下請けに発注する際の手数料等を含めて、荷主等へ適正に転嫁できるようにすることにあります2。
注目したいのは引き上げ率そのものより、費用の分け方です。
運ぶ距離と重さだけを一本の運賃に丸め込むのではなく、待ち時間や積み下ろしのように、件数や作業に応じて発生する部分を別の対価として示す。
分けて示せるから、どこがどれだけ増えたのかを相手に説明でき、交渉の対象がはっきりします。
多頻度小口で膨らむのはまさにこの件数側の費用なので、荷主と販売先の間でも同じ整理の仕方が使えます。
自社の送料設計に応用する際の違い
一方で、制度としての対象範囲は押さえておく必要があります。
標準的な運賃は、一般貨物自動車運送事業者が国土交通省へ届け出る運賃の告示制度で、運送事業者が荷主に請求する運賃・料金の参考指標です2。
荷主である自社が自社の販売先へ請求する送料の設計は、この制度の外側にあります。
8%という引き上げ率も、自社の送料や卸価格の値上げ幅としてそのまま持ち出せる数字ではありません。
使えるのは、費用を分けて把握し、根拠として示すという設計の考え方のほうです。
自社であれば、1件あたりの支払送料、梱包資材費、出荷作業にかかる人手を、取引先別・注文単位別に割り付けていきます。
注文金額に対する配送関連費の比率を並べると、少額で頻度の高い注文ほど比率が高く出てくるはずで、条件を変える対象はそこに絞られます。
反映のさせ方は、送料そのものを上げる以外にもあります。
一定金額以上の注文は送料込みとし、それを下回る注文には配送費相当を加算する。
週あたりの納品回数を決めて、それを超える追加の便には別料金を設ける。
こうした形であれば、値上げというより条件の整理として提示でき、相手も発注をまとめることで回避できます。
どの形が通るかは取引条件によります。
既存の基本契約や覚書で送料の扱いが決まっている場合は、改定の手順と予告期間が先にあり、価格表を書き換えるだけでは済みません。
相場の金額を先に決めるのではなく、自社の実費の内訳と、いつから適用するかという段取りを用意するところから始めるほうが、話は進みます。
| 比べる点 | 標準的な運賃(令和6年3月告示) | 自社から顧客への送料 |
|---|---|---|
| 当事者 | 運送事業者と荷主 | 自社と販売先 |
| 位置づけ | 国土交通省へ届け出る運賃の参考指標 | 自社が決める取引条件 |
| 見直しの中身 | 荷役の対価等を加算し運賃水準を8%引き上げ | 自社で把握した実費の内訳を根拠にする |
| 応用できる部分 | 付随する作業を分けて示すという考え方 | 送料区分・最低注文金額・納品回数の条件設計 |
共同配送・中継輸送は自社の条件でも使えるか
中継輸送の基本的な仕組み
発注条件も価格条件も動かしにくい場合、輸送そのものを他と分け合う方向が残ります。
他の荷主と車両を共有する共同配送と、長距離の運行を区間ごとに分担する中継輸送です。
このうち、国の資料として仕組みと事例が整理されているのは中継輸送のほうです。
中継輸送は、トラックの長距離運行を複数のドライバーで分担する輸送形態で、日帰り勤務を可能にし、労務負担の軽減や人手不足の緩和に資する取り組みとして、国土交通省が取組事例集を公表しています4。
中継地点で車両やドライバーを交代することで、1人が泊まりがけで往復していた運行を、それぞれが日帰りで戻れる区間に分ける形になります。
荷主の側から見ると、これは運賃を直接下げる手段というより、長距離の便を確保しやすくするための仕組みです。
日帰りで戻れる運行であれば、引き受けてもらえる事業者の幅が広がります。
便数が多く、かつ距離の長い幹線を抱えている場合に、検討の余地が出てきます。
逆に、同一県内の配送が中心で1便あたりの距離が短い場合は、中継という発想自体が噛み合いません。
その場合は、他の荷主の荷物と一緒に積む混載便や、帰り便の活用のように、同じ車をどう埋めるかという話に寄っていきます。
導入可否は個別相談が必要な理由
自社が対象になるかどうかを、公開資料だけで判断するのは難しい領域です。
前提として長距離の幹線輸送と中継地点の確保が必要で、どの程度の荷量があれば成立するかは、発着地や既存の運行ルートとの組み合わせ次第になります4。
一律の目安を置ける種類の話ではないため、ここでは仕組みの理解までにとどめ、削減の見込みは自社の条件で見積もるものとして扱います。
結論を自社で出すより、いま取引している運送事業者に、自社の便の実態を示して相談するほうが早く進みます。
相談の前に揃えておくと話が具体化するのは、発地と着地、月間の便数、1便あたりの重量と容積、納品先の時間指定の有無です。
この4つが分かれば、中継や他荷主との積み合わせが成立しうる区間かどうかを、相手側で判断できるようになります。
共同配送についても、入口は同じです。
同じ方向へ荷物を出す企業どうしで車両を分け合う形になりますが、相手探し、納品条件の統一、費用の按分という調整が前提になり、自社の荷量だけでは動かせません。
まずは既存の運送事業者が持っている混載便や共同配送の枠に乗れるかを確かめるほうが、現実的な順番になります。
この方向の対策は、前の2つと性格が違います。
発注の平準化や条件の見直しが自社と取引先の間で決めることなのに対し、輸送の分担は運送事業者側の運行設計に乗る話です。
自社で決められる範囲は小さい代わりに、取引先との交渉を伴わずに進められる場合があります。
対策後に生じうる顧客対応・在庫面の留意点
ここまでの3つは、どれも自社の中だけで完結しません。
発注ロットを大きくすれば、相手は一度に多く仕入れて在庫を持つことになります。
配送費を条件に反映すれば、相手の仕入単価や送料負担が変わります。
対策を決める前にこの跳ね返りをどこまで見ておくかで、実行できるかどうかが分かれます。
最低注文数量を設けたときにどれだけの取引先が離れるか、在庫がどれだけ増えるかについては、多頻度小口配送に固有の形で裏づけられる公開データは見当たりません。
業種も取引形態も違う調査の数字を自社の見込みに当てはめると、判断を誤ります。
ここは外部の数値を探すより、自社の取引データで数えるほうが確実です。
たとえば最低注文数量を検討するなら、直近1年の注文明細を取引先別に並べ、設定しようとしている数量を下回る注文が何件あり、その合計金額がいくらで、どの取引先に偏っているかを出します。
件数では多くても金額では全体の数%ということもあれば、特定の数社に集中していることもあります。
集中しているなら、全体のルールにせず、その数社と個別に納品回数や発注のまとめ方を相談する形へ切り替えられます。
顧客対応の面では、変更そのものより伝え方と時期が効きます。
条件を変える理由、適用の開始時期、相手が回避できる方法をあわせて示せば、相手は発注の仕方を調整できます。
まとめて発注すれば従来どおりの条件になる、という逃げ道が用意されているかどうかで、受け取られ方は変わります。
金額だけが変わったと伝わると、比較検討の対象になりやすくなります。
自社側にも影響は戻ってきます。
便をまとめれば出荷日が特定の曜日に寄り、倉庫のピーク時の人員が上がります。
発注ロットを上げれば自社の在庫も増え、保管スペースと資金が先に出ていきます。
配送費だけを見て下がったと判断すると、別の費目へ移った分を見落とします。
進め方としては、全取引先へ一斉に適用するより、影響の小さい範囲から試すほうが戻しやすくなります。
一部の地域や一部の取引先で条件を変え、数か月分の注文件数・金額・問い合わせの内容を見てから広げる。
その間、便数と送料、倉庫の作業時間、在庫金額を同じ期間で並べておくと、何が効いて何が増えたのかを後から説明できます。
なお、発注を平準化して積載効率を上げることと、配送費用を可視化して条件へ反映することは、別々の対策として同時に進められます。
ただし同時に動かすと、注文の減り方が条件変更によるものか、ロット変更によるものかを切り分けにくくなります。
効果を測りたいなら時期をずらし、早く結果が欲しいなら並行させる、という選び方になります。
この3つの方向を、取引先との調整がどれだけ必要かという順に並べ直すと、どこから着手できるかが見えます。
動かせる条件は取引先との関係ごとに違い、公開されている削減率をそのまま当てはめても自社の判断材料にはなりません。
手元の出荷件数と送料明細をどの単位で並べれば、どの注文が負担になっているかが見えるのか、切り分けの手順を一緒に確認できます。無料相談で要件を整理する
取引先との調整の必要度から見た3つの対策
自社だけで決められることから、相手との合意や外部の運行設計が必要なことへという、調整の必要度で並べています。
- 配送費の内訳を自社で割り付け、送料区分・最低注文金額・出荷曜日など自社で決められる条件から見直す
- 発注量・発注ロットの平準化。発注予定を取引先と事前に突き合わせられる関係かどうかで実行可能性が変わる
- 共同配送・中継輸送による輸送の分担。長距離の幹線と中継地点の確保が前提で、運送事業者への個別相談が要る
長距離の幹線輸送が多い場合は、取引先との交渉を伴わない分、輸送の分担から先に相談したほうが答えが早く返ってきます。
要点の整理
| 軸 | 基準 |
|---|---|
| 増えているのは単価か件数か | 送料総額を出荷件数で割り、1件あたり送料の推移と件数の推移を分けて見る |
| 自社だけで動かせるか | 送料区分・最低注文金額・出荷曜日は社内で決められる。発注ロットと納品回数は取引先の合意が要る |
| 実証事例の扱い | 削減率は3社共同でAIによる需要予測を前提とした年間試算。数値ではなく成立条件のほうを自社に当てはめる |
| 価格への反映の根拠 | 標準的な運賃は運送事業者と荷主の間の制度。自社から販売先へは実費の内訳と予告期間を根拠にする |
| 輸送の分担を検討する前提 | 長距離の幹線と中継地点の確保。発着地・月間便数・重量容積・時間指定を持って運送事業者へ相談 |
| 実行後に見る数字 | 取引先別の注文件数と金額、出荷の曜日集中、倉庫の作業時間、自社と取引先の在庫水準 |
対策を選んだ後に残るのは、取引先ごとの影響と自社の出荷・在庫への跳ね返りで、この部分は公開資料では埋まりません。 取引先に相談を持ちかける前に自社で何を試算しておくべきか、順番と必要なデータの粒度を具体化できます。
よくある質問
配送費を送料として顧客に転嫁する場合、値上げ幅はどう決めればよいか
外部に使える相場の金額はないため、自社の実費から積み上げます。
1件あたりの支払送料、梱包資材費、出荷作業の人手を注文単位に割り付け、注文金額に対する比率として出すと、どの注文帯が持ち出しになっているかが見えます。
その比率を基準に、送料込みとする下限金額や、少額注文への加算を設計します。
なお、令和6年3月告示の標準的な運賃は運賃水準を8%引き上げていますが2、これは運送事業者が荷主に請求する運賃の参考指標であり、自社から販売先への値上げ幅としてそのまま使える数字ではありません。
最低注文数量を設定すると既存の取引先からどんな反応が出やすいか
反応の出方を一般的な数値で示せる資料は見当たらないため、自社のデータで見込みを立てます。
直近1年の注文明細から、設定予定の数量を下回る注文の件数・金額・取引先の分布を出すと、影響が全体へ薄く広がるのか、数社に集中するのかが分かります。
集中しているなら、一律のルールにせず、その数社と個別に納品回数や発注のまとめ方を相談するほうが取引を維持しやすくなります。
適用の予告期間と、まとめて発注すれば従来どおりの条件になるという回避策を同時に示すかどうかでも、受け取られ方は変わります。
共同配送を始める場合、まずどこに相談すればよいか
最初の相談先は、いま取引している運送事業者です。
自社で相手企業を探す前に、その事業者が持つ混載便や共同配送の枠に乗れるかを確かめるほうが早く、条件も具体的に返ってきます。
相談時には、発地と着地、月間の便数、1便あたりの重量と容積、納品先の時間指定の有無を揃えておきます。
長距離の幹線がある場合は中継輸送も同じ相談の中で検討でき、仕組みと取組事例集が国土交通省から公表されているので、考え方のすり合わせに使えます4。
発注ロットの見直しと配送費の価格転嫁は同時に進めてよいか
両立できる対策です。
発注を平準化して積載効率を上げることと、配送費用を可視化して条件へ反映することは、互いの前提を壊しません。
ただし同時に動かすと、注文件数が減ったときに、それがロット変更の結果なのか条件変更の結果なのかを切り分けられなくなります。
効果を測ってから広げたい場合は時期をずらし、収支の改善を急ぐ場合は並行させる、という判断になります。
中継輸送を使う場合、自社の荷量がどの程度あれば対象になるか
公表されている資料から、一律の荷量基準を読み取ることはできません。
中継輸送は長距離の運行を複数のドライバーで分担する輸送形態で、中継地点の確保が前提になります4。
成立するかどうかは荷量そのものより、発着地が既存の運行ルートと噛み合うか、中継地点を置ける場所があるかで決まる部分が大きく、同じ荷量でも区間によって答えが変わります。
そのため、月間便数と発着地を示して運送事業者に確認するのが、最短の判断方法になります。
- 1 出典:国土交通省「令和4年度 宅配便・メール便取扱実績について」(令和4年度)
- 2 出典:国土交通省「新たなトラックの標準的運賃告示について」(令和6年3月)
- 3 出典:国土交通省「自動物流道路(オートフロー・ロード)特設サイト」(2026年)
- 4 出典:国土交通省(自動車局貨物課)「中継輸送の取組事例集~成功事例に学ぶ中継輸送成功の秘訣~」(令和2年1月策定・令和4年4月改訂)
- 5 出典:日本ネット経済新聞「アスクル、花王・コクヨと発注量を平準化する実証実験 CO2を5.1トン、輸送台数を205台削減」(2023年)