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発注アプリ導入の基本|効果・選び方・進め方

◆監修・編集責任者 小園 将隆 

B2B EC-COLUMN

この記事のポイント

  • 発注アプリは、取引先が入力した内容をそのまま受注データにする仕組みで、電話・FAX・メールの転記工程を減らせます。
  • 導入前の整理は、商材の棚卸し・取引先の確認・連携範囲の確定という3段階で進めると、契約後の手戻りを抑えられます。
  • 選定は、利用形態・入力方式・標準EDIとの接続・費用構成・サポート体制の5つの観点で比べます。
  • 委託取引では支払期日を60日以内に定める必要があり、電子で受け取った注文データは取引年月日・取引金額・取引先の3項目で検索できる状態にします。

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発注アプリとは何かと導入が広がる背景

発注アプリとは、取引先が手元の端末から発注データを直接入力し、受注側が転記せずに受け取れる仕組みです。電話やFAXで受けた内容を人が打ち直す工程がなくなり、注文は入力された時点で1つのデータになります。企業間取引の電子化は統計でも確かめられ、電子商取引に関する市場調査では、企業間取引のEC化率は4割を超える水準にあります1。導入が広がる背景には、この電子化の進展と、スマートフォンやクラウドの普及という2つの動きがあります。

発注アプリは、受発注システムやEDIと別物ではなく、その入口を取引先側に置いたものです。EDI(電子データ交換。企業間で発注や請求のデータを決まった形式でやり取りする仕組み)は、基幹システム同士をつなぐ用途で使われてきました。これに対して発注アプリは、担当者が画面を見て操作する前提で作られています。両者は排他の関係になく、取引先の規模や体制に応じて使い分けられます。

規模の大きい取引先とは、標準仕様に沿ったデータ連携が求められる場合があります。流通ビジネスメッセージ標準(流通BMS。流通業界の企業間取引で使うデータ項目と通信手順をそろえた標準仕様)は、発注から支払までの業務の流れに沿ったメッセージを定めています5。発注アプリを選ぶときは、この標準との接続可否が論点になります。片方だけを整えると、経路をまたいだ手作業の突き合わせが残ってしまいます。

企業間の電子商取引の規模は、年度ごとの調査で継続して把握されています。2025年に公表された令和6年度の電子商取引に関する市場調査は、国内の事業者を対象に、業種別の市場規模とEC化率を推計したものです1。金額の水準だけでなく、業種によって電子化の進み方が異なる点も示されています。自社の業界がどのあたりに位置するかを確かめてから、投資の判断に進むのが順当な流れでしょう。

端末とネットワークの前提も変わりました。企業のインターネット利用やクラウドサービスの利用状況は、通信利用動向調査で毎年調べられています2。専用の端末や回線を用意しなくても、手持ちのスマートフォンとブラウザで発注できる環境が整ってきました。取引先に新しい機器の購入を求めずに済む点は、切り替えの障壁を下げる要素です。

社内の体制づくりも同時に問われます。企業のデジタル化の取り組み状況は、DX動向として継続的に調査され公表されています6。受発注の電子化は部門をまたぐ業務の見直しを伴うため、担当者1人の工夫では完結しません。営業・受注センター・情報システム・経理の4部門が関わる前提で計画を立てる必要があります。

導入の判断では、道具の機能より先に、自社の受注がどこで滞っているかを見極める順序が働きます。電話とFAXの本数、締め時間の集中、訂正の発生箇所を並べると、電子化する対象が具体化します。発注アプリはこの滞りを解く手段の1つであり、目的そのものではありません。次の節では、現状の業務に残る課題を3つの角度から整理します。

導入前に確認する優先順5点(順位根拠:着手順序の依存関係)

  1. 発注件数と経路の実測。電話・FAX・メール・標準EDIの4経路について、1か月分の件数と1件あたりの処理時間を記録します。
  2. 商材と発注パターンの棚卸し。定番発注と臨時発注、ケースとバラの出荷単位を分けて一覧にまとめます。
  3. 取引先の端末環境とデジタル対応の度合いの確認。標準EDI・発注アプリ・FAX継続の3群に分けて受け口を決めます。
  4. 既存システムとの連携範囲の確定。商品マスタと得意先マスタのどちらを正とするか、在庫引き当てをどこで処理するかを決めます。
  5. 法令要件の確認。委託取引の支払期日は60日以内とされ、電子取引データは取引年月日・取引金額・取引先の3項目で検索できる状態が求められます。

電話・FAX中心の発注業務に残る課題

電話とFAXを中心にした発注業務には、入力ミス・属人化・履歴の欠落という3つの課題が残ります。いずれも担当者の注意力で抑える運用になりやすく、繁忙期に負荷が集中したときに表面化します。1件の受注が完了するまでに、聞き取り・メモ・システム入力・確認の返信と4回の手作業が挟まる場合もあります。この回数が減らない限り、処理時間と誤りの発生源は残り続けます。

入力ミスは、情報が人の手を経由する回数に応じて増えます。FAXの手書き文字の判読、電話での商品コードの聞き取り、単位の取り違えが典型です。1箱と1ケースのように、単位の解釈が取引先と社内で食い違うと、出荷数量がそのままずれます。誤って出荷すると、返品の引き取り・再出荷・請求の訂正と3つの後処理が発生し、費用と時間の両方を失います。

ミスを防ぐための確認作業そのものも負荷になります。受注内容の復唱、FAX原本との突き合わせ、疑わしい注文への折り返し連絡は、いずれも記録に残りにくい時間です。処理時間を測ると、入力よりも確認と問い合わせ対応に時間が割かれている場合があります。改善の対象を入力の速さだけに絞ると、この部分が手つかずで残ります。

受注担当者への集中は、業務の停止リスクに直結します。取引先ごとの発注の癖、略称、締め時間の例外を頭の中で覚えている担当者がいると、その人が休んだ日に処理が滞ります。引き継ぎ資料を作ろうとしても、判断の根拠が本人の経験にあるため、文書化が進みません。採用や異動で人が入れ替わるたびに、同じ習熟の期間をやり直すことになります。

この状態を社内だけで解こうとすると、必要な知識の幅が広がります。受注実務、販売管理システムのデータ項目、取引先ごとの商習慣、法令上の保存要件という4領域を、同じ人が把握しなければなりません。1人でこれらを兼ねる体制は、その人の離脱時に受注が止まる点で危うい状態と言えます。

発注履歴が残らないと、差異が起きたときの解決に時間がかかります。電話の受注は録音がなければ証跡になりませんし、FAXの原本は紙で保管され、探すのに手間がかかります。数量や納期の言い分が食い違ったとき、双方が過去の書類を探す往復が生まれます。取引先との関係にも影響するため、記録の残し方は処理の速さと同じくらい効いてきます。

3つの課題は独立して見えて、原因は同じところにあります。発注の内容が、入力された時点でデータになっていないことです。紙と口頭を起点にする限り、転記・確認・保管の各段階で人手が要ります。発注アプリの検討は、この起点を取引先側へ移す判断だと言い換えられます。

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自社の商流に合わせた要件整理を進めたい場合は、無料相談で要件を整理するのが近道です。

導入前に整理しておく業務要件と取引先の条件

導入の可否は、製品の機能を見る前に、自社の発注パターンと取引先の条件を並べた段階で見通せます。整理する対象は、商材の棚卸し・取引先の確認・連携範囲の確定という3段階です。この3段階を飛ばして選定に入ると、契約後に例外処理が次々と見つかり、追加の費用と稼働の遅れを招きます。要件は文書にして、社内と委託先の双方が同じ資料を見られる状態にしておきます。

最初に、商材の棚卸しから始めます。定番発注と臨時発注では、必要な画面も承認の流れも変わります。定番発注は前回の履歴を呼び出す方式が向き、臨時発注は検索と在庫の確認を伴います。出荷単位がケースとバラで混在する商材では、1ケースに10個入るなら単位の取り違えが10倍の数量差になるため、入力段階での制限が要ります。

拠点や部門ごとに発注のやり方が分かれている場合は、その差も記録します。同じ商材でも、店舗からの発注と本部の一括発注では、締め時間と承認者が異なります。発注の時間帯が営業時間外に集中しているなら、24時間受け付けられる仕組みの価値は高まります。棚卸しの結果は、対象と対象外を線引きした一覧にまとめておきます。

次に、取引先の確認へ進みます。端末環境がパソコン中心か、スマートフォン中心かで、画面の作り方が変わります。共有のパソコンを1台だけ置いている取引先では、個人ごとのアカウント運用が現実的でない場合もあります。発注担当者が交代する頻度も聞いておくと、アカウントの管理方法を決めやすくなるでしょう。

取引先のデジタル対応の度合いには幅があります。全社で標準EDIを使う相手から、FAX以外の手段を持たない相手までが、同じ得意先の一覧に並びます。相手を3群に分け、標準EDI・発注アプリ・FAX継続のどれで受けるかを決めておくと、切り替えの計画が立てやすくなります。すべてを1つの手段へ統一しようとすると、移行そのものが止まります。

最後に、既存システムとの連携範囲の確定です。商品マスタと得意先マスタをどちらのシステムで正とするかを先に決めないと、二重管理が始まります。在庫引き当てをアプリ側で見せるのか、受注取り込み後に基幹側で処理するのかも、早い段階で決める必要があります。取り込みの頻度が日次か即時かによって、取引先に示せる情報の鮮度も変わります。

3段階の整理には、受注実務・システム・取引先営業の3者が関わります。誰か1人の記憶に頼って要件を書くと、例外の抜けが後工程で費用に変わります。ここで整理した内容は、次の節の比較の観点にそのまま使えます。

導入前の整理は3段階です。商材の棚卸しでは、定番発注、臨時発注、出荷単位を確かめます。取引先の確認では、端末環境、発注担当者、発注の時間帯を確かめます。連携範囲の確定では、商品マスタ、得意先マスタ、在庫引き当ての扱いを決めます。
発注アプリの導入前に整理する3段階の確認項目

発注アプリの選び方と比較の観点

選定では、利用形態・入力方式・標準EDIとの接続・費用構成・サポート体制の5つの観点で並べると、比較が具体的になります。この順序は着手の依存関係に沿ったものです。利用形態が決まらなければ費用構成も見積もれませんし、接続方式が決まらなければ連携の追加費用も出せません。機能の一覧を横に並べるより、自社の発注パターンに当てはめて評価するほうが判断を誤りにくくなります。

利用形態は、大きく3つに分かれます。既製のサービスをそのまま使う形、既製品に自社向けの設定を加える形、個別に開発する形です。取引先の数が多く、発注の型が定番中心であれば、既製のサービスで足りる場合があります。商習慣の例外が多い業種では、設定や開発の余地がある形を選ばないと運用が回りません。

入力方式は、取引先が迷わず使えるかどうかを左右します。前回発注のコピー、カタログからの選択、商品コードの直接入力、CSVの取り込みという4通りが代表的です。発注の型に合わない方式だけを用意すると、取引先は結局FAXへ戻ります。入力項目を絞り、迷いやすい選択肢を減らす設計が求められます。

標準EDIとの接続は、取引先の構成によって重みが変わります。大手の取引先が流通BMSなどの標準仕様を使っている場合、アプリ側だけを整えても受注は分断されたままです5。標準EDI・発注アプリ・FAXの3経路から入った注文を、1つの受注データに束ねられるかを確かめます。束ねられない製品を選ぶと、経路ごとの手作業が残ります。

費用構成は、初期費用と月額費用だけでは比べられません。取引先の数に応じた課金か、注文件数に応じた課金かで、取引先を増やしたときの総額が変わります。基幹システムとの連携部分は個別の見積もりになりやすく、この部分が総額を左右します。契約期間、解約時のデータの返却、価格改定の条件も、契約前に文書で確かめておきます。

サポート体制では、自社向けの支援と取引先向けの支援を分けて見ます。取引先から操作の問い合わせが来たとき、自社の受注担当者が一次対応を担うのか、提供元の窓口が受けるのかで負荷が変わります。導入時の説明資料や操作の案内を用意してもらえるかも、切り替えの速さに効いてきます。障害時の連絡経路と復旧の目安も、契約前に確かめる項目です。

5つの観点は、どれか1つが際立って優れていれば足りるものではありません。取引先が使えない画面では、連携がどれだけ整っていても注文が入りません。自社の発注パターンを軸に、5つを同じ表へ並べて評価する進め方が現実的でしょう。

観点 確認する内容 見落としたときに起きること
利用形態 既製・設定・個別開発のどれで要件を満たすか 例外処理を運用で吸収できず手作業が残る
入力方式 前回発注のコピーや商品コードの直接入力に対応するか 取引先が使わずFAXへ戻る
標準EDIとの接続 標準仕様の注文と同じ受注データに束ねられるか 経路ごとに突き合わせの手作業が発生する
費用構成 取引先数と注文件数のどちらで課金されるか 取引先を増やした後に総額が想定を超える
サポート体制 取引先からの問い合わせを誰が一次対応するか 受注担当者の負荷が別の形で残る

法令とデータ保存の面で押さえる要件

発注アプリは、法令上の要件を満たす形で運用してはじめて紙の代わりになります。押さえる点は、委託取引での発注条件の明示、電子取引データの保存、アクセス権限の管理という3つです。2026年に施行された取適法は、書面の交付に代えて電磁的方法で発注の条件を示す道を認めています3。電子で授受した注文データは、電子のまま保存する扱いが原則です4

取適法の適用は、取引の区分と当事者の規模の要件で決まります3。すべての企業間取引へ一律に当てはまるわけではないため、自社の取引がどの区分に入るかを原典で確かめます。委託する側に当たる場合、発注時に示す条件の項目、支払期日、禁じられる行為が定められています。支払期日は、給付を受け取った日から60日以内で、かつできる限り短い期間内に定める必要があります3

発注条件の明示は、発注アプリの設計に直接関わります。品名、数量、単価、納期、支払方法といった項目が、発注のたびに記録として残る作りかどうかを確かめます。口頭の追加発注や、後からの数量変更をアプリの外で処理すると、記録が分断されます。変更の履歴を同じ画面で追える設計にしておくと、後日の確認の手間が減ります。

電子で授受した注文データは、電子のまま保存する扱いが原則です4。保存にあたっては、取引年月日・取引金額・取引先の3項目で検索できる状態が求められます4。改ざんを防ぐ手立てとしては、訂正や削除の履歴が残るシステムを使うか、事務処理の規程を定めて運用する方法があります4。要件の細部は一問一答の版ごとに更新されるため、最新版の該当設問を確かめてから運用を決めます。

保存の期間は、税法上の帳簿書類の保存期間に合わせて考えます。法人の場合は原則として7年間の保存が必要で、条件によってはさらに長い保存が求められます4。アプリ側にデータが残っていても、解約後に取り出せなければ保存の要件を満たせません。契約時に、解約後のデータ提供の方法と期限を書面で確かめておきます。

アクセス権限の設計は、取引データの管理方針そのものです。取引先ごとに見える情報を分け、他社の価格や在庫が見えない設定は欠かせません。社内でも、価格の変更、与信の判断、マスタの更新は役割ごとに権限を分けます。退職や異動のときにアカウントを止める手順を決めておかないと、権限だけが残り続けます。

税務と法務の判断は、最終的に原典と専門家への確認が要ります。制度の名称や要件は改正で変わるため、社内の運用手順書に確認先と確認の時期を書き込んでおきます。法令の要件を満たさない運用は、後から紙の保管へ戻す作業を生み、導入の効果を打ち消してしまいます。

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導入の進め方と社内・取引先への定着ステップ

導入は、現状業務の可視化から始めて、適用範囲の決定、試行運用、並行運用、本稼働という5段階で進めます。順番を入れ替えると、切り替えの途中で受注が止まる恐れがあります。とくに並行運用を置かずに一斉へ切り替える計画は、取引先の準備が間に合わなかったときに逃げ道がありません。公的な支援制度を使うなら、公募の時期に合わせて計画を前倒しする必要もあります7

現状業務の可視化では、受注の経路ごとに件数と時間を数えます。電話・FAX・メール・標準EDIの4経路について、1か月分の件数と、1件あたりの処理時間を記録します。この数字が、後で効果を測るときの基準値になります。数えずに始めると、導入後に「速くなった気がする」以上の説明ができません。

適用範囲の決定では、最初に対象とする取引先と商材を絞ります。発注件数が多く、発注の型が定番中心の取引先から始めると、効果が測りやすくなります。例外の多い取引先を初回に入れると、その調整に時間を取られて全体が進みません。対象外とした取引先をいつ検討し直すかも、あわせて決めておきます。

試行運用は、社内だけで動かす段階と、協力してくれる取引先を数社加える段階に分けます。社内の段階では、受注データが基幹システムへ正しく取り込まれるか、マスタの不一致が起きないかを確かめます。取引先を加える段階では、操作の分かりにくい箇所と問い合わせの内容を記録します。ここで出た指摘は、案内資料の作り直しに直結します。

並行運用では、FAXと発注アプリの両方を受け付けます。片方を止める判断は、取引先ごとの利用率を見ながら個別に決めます。全社で一律に締め切ると、準備の遅れた取引先の注文が入らなくなります。並行の期間は二重の受付になるため、受注側の負荷が一時的に増える点を織り込んでおきます。

取引先への案内は、切り替えの理由と相手側の利点を先に伝えます。入力の手間が減る、発注の控えが残る、営業時間外でも発注できるという3点は、相手にとっての価値です。文書での案内に加えて、既存の営業担当から口頭でも伝えると反応が変わります。本稼働の後も、月次で利用率を確かめ、使われていない取引先には個別に声をかけます。

導入費用の一部には、公的な支援制度を使える場合があります。中小企業向けのデジタル化に関する補助制度では、対象となるソフトウェアや経費の範囲、補助率、上限額が年度ごとの公募要領で定められます7。採択の可否は審査によるため、補助を前提にした資金計画は避けます。申請には事前の登録や事業計画の作成が要るので、選定と並行して準備を始めます。

導入は5段階で進みます。現状業務の可視化では、経路ごとに1か月分の件数と処理時間を記録します。適用範囲の決定では、発注件数が多く型が定番中心の取引先から始めます。試行運用では、社内で確かめた後に協力先を数社加えます。並行運用では、FAXと併用しながら取引先ごとに切り替えを判断します。本稼働の後は、月次で利用率を確かめ未利用の取引先へ声をかけます。
発注アプリの導入から定着までの5段階の進め方

導入効果の測り方とつまずきやすい点

効果は、指標の設定、基準値の記録、月次の確認、運用の見直しという順序で測ります。導入前に基準値を取っていないと、後からの比較ができません。見る指標は、受注1件あたりの処理時間、訂正や誤発注の件数、経路別の受注比率、締め後に入る注文の件数という4つが軸になります。数値が動かないときは、道具ではなく適用範囲や画面の設計を疑います。

指標の設定では、業務の負荷に直結する数字を選びます。受注1件あたりの処理時間は、聞き取りから基幹システムへの取り込みまでを1つの区間として測ります。訂正の件数は、原因を単位違い・数量違い・納期違いの3種に分けて数えると、対策の当てどころが見えます。件数だけを追うと、繁忙期の増減に紛れて改善が読み取れなくなります。

基準値の記録は、導入前の1か月分を目安にそろえます。同じ月の前年分があれば、季節の影響を除いた比較に使えます。記録の担当と方法を決めずに始めると、測り方が途中で変わり、比べられない数字が並びます。集計の様式は、導入後もそのまま使える形にしておきましょう。

月次の確認では、経路別の受注比率を見ます。発注アプリ経由の比率が伸びず、FAXが残り続けているなら、案内が届いていないか、画面が使いにくいかのどちらかです。取引先の数ではなく件数の比率で見ると、影響の大きい相手が特定できます。上位の取引先から個別に確かめる進め方が効率的でしょう。

定着が進まないときは、3つの点を見直します。入力項目が多すぎないか、発注単位が取引先の実務と合っているか、担当者の交代が伝わっているかです。取引先の担当者が変わると、アカウントが引き継がれずに使われなくなることがあります。利用が途切れた取引先には、理由を聞き取ってから対策を決めます。

運用の開始後には、想定していなかった追加対応が出ます。商品マスタの更新、価格改定の反映、取引先の追加登録、繁忙期の一時的な設定変更が代表例です。これらを誰がいつ処理するかを決めていないと、受注担当者の作業として積み上がります。運用の見直しは、担当と頻度を決めた定例の作業として組み込みます。

内製で運用を回す場合、受注実務・システム設定・法令要件という3領域を社内で抱えることになります。外部の支援を使う判断は、作業を丸ごと任せるためではなく、要件の抜けと法令面の見落としを減らすためのものです。効果の大きさを事前に断定はできませんが、測る仕組みを先に作っておくと、続けるか見直すかの判断が早くなります。

効果は4段階で測ります。指標の設定では、負荷に直結する数字を選びます。基準値の記録では、導入前の1か月分をそろえます。月次の確認では、経路別の受注比率を見ます。運用の見直しでは、担当と頻度を決めて組み込みます。
発注アプリの導入効果を測るときの4段階の順序

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よくある質問

発注アプリを入れてもFAXをやめられない取引先がいる場合はどうすればよいですか

併用を前提に設計します。経路別の受注比率を月次で確かめ、件数の多い取引先から順に切り替えるのが現実的です。FAXの受付を残す場合も、受注データへの取り込み口を1つに寄せると、突き合わせの手作業が減ります。全社一律で受付を締め切る進め方は避けます。

既存の販売管理システムと二重入力になりませんか

連携範囲を先に決めれば避けられます。商品マスタと得意先マスタをどちらのシステムで正とするか、受注データの取り込みを日次と即時のどちらにするかを、選定の前に文書で決めます。連携部分は個別の見積もりになりやすく、費用と期間の見通しに影響します。

発注アプリで受けた注文は、紙の注文書を保管しなくてもよいですか

電子で授受した取引データは、電子のまま保存する扱いが原則です4。取引年月日・取引金額・取引先の3項目で検索できる状態と、訂正や削除の履歴が残る仕組みまたは事務処理の規程が求められます4。要件は版ごとに更新されるため、最新版で確かめてください。

導入費用に公的な補助制度は使えますか

中小企業向けのデジタル化に関する補助制度を使える場合があります7。対象経費・補助率・上限額・公募期間は年度ごとの公募要領で定められ、採択は審査によります。補助を前提にした資金計画は避け、事前の登録や事業計画の準備を選定と並行して進めます。

取引先に費用の負担をお願いする必要はありますか

課金の形によって変わります。取引先の数に応じた課金か、注文件数に応じた課金かで総額が動くため、負担の考え方は契約前に整理しておきます。取引先へ新しい機器の購入を求める設計にすると切り替えが進みにくいので、手持ちの端末とブラウザで使える形を優先します。

◆監修・編集責任者

小園 将隆

株式会社フライトソリューションズ ECサービス部 マネージャー

BtoB通販のパッケージシステム「FSOL B2B Ⅱ」の導入支援をはじめ、製造業、卸売業をはじめとした法人向け通販サイト構築を多数手掛ける。卸売領域の専門知識をもとに、日本の商習慣に固有の課題をパッケージシステムの機能追加によって解決。BtoB流通の販路拡大を支援する。

  1. 1 出典:経済産業省「令和6年度 電子商取引に関する市場調査(令和6年度デジタル取引環境整備事業)」(2025) 経路
  2. 2 出典:総務省「令和7年通信利用動向調査の結果」(2026) 経路
  3. 3 出典:公正取引委員会「取適法(中小受託取引適正化法)」(2026) 経路
  4. 4 出典:国税庁「電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】」(最新版) 経路
  5. 5 出典:一般財団法人流通システム開発センター「流通BMS標準仕様(流通ビジネスメッセージ標準)」(2018) 経路
  6. 6 出典:独立行政法人情報処理推進機構「DX動向2026(企業等におけるDX推進状況調査分析)」(2026) 経路
  7. 7 出典:独立行政法人中小企業基盤整備機構「中小企業デジタル化・AI導入支援事業(デジタル化・AI導入補助金2026)通常枠」(2026) 経路

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  1. A neat office setup featuring a laptop, colorful files, and/Photo by Mikhail Nilov on Pexels
  2. A hand holding colorful shopping bags against a white backgr/Photo by Sora Shimazaki on Pexels
  3. Black and white image of a business meeting with diverse pro/Photo by Vlada Karpovich on Pexels

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◆この記事について

独自調査以外の一次情報は、省庁・公的機関を中心とした信頼性の高い情報源から引用し、出典を明記しています。
年次更新される統計については、引用元の最新版を確認したうえで掲載しています。

※この記事は上記の監修・編集責任者がAIの協力を得て制作しています。

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