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発注アプリの困りごと|よくある原因と解決の進め方

◆監修・編集責任者 小園 将隆 

B2B EC-COLUMN

この記事のポイント

  • 発注アプリの困りごとは機能の不足ではなく運用の設計から生じます。原因はマスタ整備の遅れ、取引先のIT環境の幅、業務フローの据え置きの3つです。
  • 受注側では、アプリと電話とファクスという3つの入口が並走することで二重入力と変換の作業が残ります。
  • 電子で発注する場合は、発注内容の明示と電子取引データの保存という2つの要件を公式資料で確かめる必要があります。
  • 進め方は対象の絞り込み、画面の作り込み、受け口の切り替えの3段階に分け、注文比率など3つの指標で効果を確かめます。

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発注アプリとは何か、導入が広がっている背景

発注アプリとは、取引先が自社の商品を注文するための専用画面を、スマートフォンやパソコンから使えるようにした仕組みです。紙の注文書や電話の代わりに、商品の一覧から数量を入れて送信する形へ置き換えます。導入が広がっている理由は3つあります。クラウドの利用が企業へ行き渡ったこと、受注側の入力工数を減らしたいこと、注文の記録を電子で残す必要が高まったことの3点です。本記事では、この3点を出発点に、現場で起きる困りごとを整理していきます。

発注アプリは、企業間の受発注を電子化する仕組みの一部に位置づきます。企業間データ交換(EDI。決められた書式で注文や請求のデータをやり取りする仕組み)は、システム同士を直接つなぐ形が中心でした。流通業向けの標準仕様である流通BMSは、発注・出荷・受領・請求・支払という5つの業務メッセージを共通の形でそろえています。発注アプリは、この5業務のうち発注の入口を、人が操作する画面として切り出したものと考えると位置づけがつかめます。

導入後も電話とファクスが残るのは珍しくありません。急ぎの追加注文、数量の変更、欠品時の代替品の相談といった例外は、画面の項目に収まりにくいためです。結果として、アプリからの注文と口頭の依頼が並走し、受注側は2つの経路を突き合わせる作業を抱えます。この併存が、後の節で扱う二重入力の起点になります。

後押しになっているのは、クラウド利用の広がりです。2024年時点の企業調査では、クラウドサービスを一部でも利用している企業が約8割に達しています。自社でサーバーを持たずに発注の受け口を用意できるため、初期の負担は以前より軽くなりました。2025年には中小企業のデジタル化を扱う調査結果や冊子も公表され、受発注の電子化が取り上げられています。ただし、利用のしやすさと定着のしやすさは別の話です。

受注側が期待する効果は、入力工数の削減、聞き間違いによる誤出荷の防止、営業時間外の注文受付の3点に整理できます。発注側が期待するのは、注文の控えが手元に残ること、在庫や納期の確認が画面で済むことでしょう。双方の期待が一致していれば定着は進みます。ずれたまま始めると、片側だけが手間を負う形になります。

発注アプリが引き受けられるのは、注文の受け付けと記録までです。価格の取り決め、与信の判断、出荷の順序といった判断は、基幹システムと担当者の側に残ります。ここを混同すると、アプリを入れたのに社内の作業が減らないという受け止めが生まれます。導入の効果は、前後の業務をどこまで組み替えたかで決まるといえます。

以降では、発注側と受注側で起きる困りごとを分けて並べます。前者は画面の使いにくさ、後者は社内の作業量に現れる点が異なります。そのうえで原因を3つに整理し、法令と標準仕様の面から確認すべき点、進め方、選ぶときの視点へ進みます。7つの見出しは、症状から対策へ向かう順に並べました。

着手の順に確認する5点(順位の根拠は、前の段が終わらないと次へ進めない依存の関係)

  1. 対象商品と対象取引先の範囲を決めます。範囲を決めないままマスタ整備へ進むと、作業量が読めません。
  2. 商品名、規格、入数、単位、取引先別の単価という5項目をそろえ、基幹システムとの対応表を作ります。対応表を作れない項目が残る場合は、その商品群を当面は対象から外します。
  3. 注文の確定画面で示す事項と、電子でやり取りした注文データの保存先を確かめます。制度の対象範囲は公式資料で確認し、自社の取引が当たるかを判断します。
  4. 入力の必須項目を数量と納品希望日の2つに絞り、前回の注文を呼び出して数量だけ直せる導線を用意します。
  5. アプリ経由の注文比率、電話とファクスで入った注文の件数、取り込みで人手が入った件数という3つの指標を毎月記録し、見直しの間隔を決めます。

発注する側の現場で起きやすい困りごと

発注側の困りごとは、画面の作りに集中します。品番の特定に手間がかかる、前回と同じ注文を呼び出せない、店舗や外出先の端末で操作しづらい、という3つが代表です。いずれも機能の不足というより、商品情報の持たせ方と画面の設計に原因があります。紙のカタログと注文書で成り立っていた手順を、そのまま画面へ移すと起きやすくなります。導入前にこの3点を想定しておくと、製品を選ぶときの判断材料になるでしょう。

品番の特定は、発注側が最初につまずく場所です。同じ商品でも、社内の呼び名、カタログの型番、取引先の管理番号が一致しないことがあります。さらに、ばら・ケース・パレットのように単位が3種類並ぶと、入数の確認に時間を取られます。検索の入口が型番だけの画面では、通称でしか商品を覚えていない担当者は手が止まります。

繰り返し発注のしにくさも、よく挙がる点です。定番品の補充は毎週ほぼ同じ内容ですが、履歴から呼び出せないと、毎回一覧を最初からたどることになります。過去の注文をたどれない画面では、前回いくつ頼んだかを紙の控えで確かめる手順が残ります。電子化したのに紙が減らないという受け止めは、この段階で生まれます。

端末の操作の問題は、店舗や現場で目立ちます。売場で在庫を見ながら注文する場合、片手で持てる画面かどうかが作業の速さを左右します。列が並ぶ一覧表をそのまま縮小した画面では、指で押す対象が小さくなり、数量の入力を誤ります。締め時間の直前に操作が滞ると、その日の注文を電話へ切り替える判断が起こります。

入力の誤りは、発注側だけの問題では終わりません。単位を取り違えた注文は、入数の分だけ数量が膨らみ、返品と再出荷の2回分の物流費が発生します。生鮮や建材のように返品が難しい商品では、費用の負担先を巡る話し合いが残ります。画面の作りは、取引条件の話へ波及していきます。

使いにくい画面は、利用率の低下という形で表に出ます。発注側は取引先にあたるため、使いにくさを正面から言い出しにくい立場でもあります。不満は要望としてではなく、電話やファクスへの回帰として現れます。利用が伸びない理由を機能の不足だと決めつける前に、操作の記録を見る必要があります。

発注側の困りごとは、症状・場面・確認する点の3列で並べると整理できます。一覧を作る作業自体は、取引先へ聞かなくても社内の受注記録から始められます。電話で入る注文の内容を1か月分書き出せば、画面で完結していない項目が見えてきます。

困りごと 起きている場面 確認する点
品番の特定 呼び名と型番と管理番号が一致しない 検索の入口を増やせるか
繰り返し発注 定番品の補充で履歴をたどれない 前回の注文を再利用できるか
端末の操作 売場で在庫を見ながら注文する 片手で操作できる画面か
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受注する側の社内で起きやすい困りごと

受注側の困りごとは、作業量として社内に残ります。アプリと電話とファクスが並走する二重入力、基幹システムへの取り込みでの変換作業、取引先ごとの価格と納期の個別対応の3つが中心です。注文の入口が増えても、突き合わせる先が1つに集約されていなければ、担当者の確認作業はむしろ増えます。導入前より忙しくなったという声は、この経路の分岐から生まれます。以下では、注文が届いてから出荷指示に至るまでの順に沿って見ていきます。

注文の受け付けの段階で、すでに経路が分かれます。アプリからの注文、電話での口頭の依頼、ファクスの注文書という3つの入口が同時に開いている状態です。入口ごとに到着の時刻も書式も違うため、締め時間までにすべてが揃っているかを人が確かめます。この確認は件数が増えるほど重くなり、繁忙期に残業として現れます。

注文内容の確認では、同じ注文が2つの経路で届く事態が起こります。アプリで送ったあとに電話で念押しをする慣習が残っていると、受注側は重複か追加かを判断しなければなりません。判断を誤れば二重出荷になり、取り消しの処理と返送という2工程が追加されます。重複の判定を担当者の記憶に委ねる運用は、引き継ぎの時点で崩れます。

基幹システムへの取り込みは、変換の作業が残りやすい場所です。アプリ側の商品コードと基幹側のコードが一致しない場合、対応表を見ながらの置き換えが必要になります。表計算ソフトへ書き出して手作業で整える運用は、件数が少ないうちは回りますが、取引先が増えると立ち行きません。連携の方式を決めずに導入すると、この工程が固定の作業として残ります。

出荷指示の段階では、在庫の引き当てと納期の回答が絡みます。欠品が出たときに、代替品の提案を電話で済ませてしまうと、その履歴はアプリの記録に残りません。次回以降、同じ商品で同じやり取りを繰り返すことになります。例外の処理こそ記録に残す仕組みが要ります。

取引先ごとの価格と納期の個別対応は、積み上がると全体の見通しを損ないます。単価が取引先別に分かれ、そこへ数量別の掛け率と期間限定の条件が重なると、画面へ出す価格の判定が込み入ります。判定を人が補うほど、アプリだけで完結する注文の割合は下がります。価格の決め方を先に整理しないまま画面へ載せると、確認の電話が戻ってきます。

この経路を自社に当てはめると、どの工程に人手が残っているかを数えられます。入口の数、変換の手順、例外の件数を1か月分だけ記録すれば、削減できる作業量の見当がつきます。記録を取らずに機能の追加へ進むと、同じ困りごとが別の形で戻ってくるでしょう。

受注側の処理を4段階で示した図です。注文の受け付けではアプリと電話とファクスの3つの入口が並びます。注文内容の確認では重複か追加かを判断します。基幹システムへの取り込みではコードの変換が入ります。出荷指示では在庫を引き当てて納期を回答します。
受注側で注文が出荷指示に至るまでの経路

困りごとが生まれる構造的な原因の整理

ここまでの困りごとは、原因を3つに絞れます。マスタ整備の遅れ、取引先のIT環境の幅、業務フローの据え置きです。いずれもアプリの機能では解けません。商品情報を誰がいつ直すのか、取引先の設備をどこまで前提にするのか、社内の手順をどこで変えるのかという、運用の設計に属する問いだからです。機能の追加で対処しようとすると、画面の項目が増え、かえって使いにくくなります。

マスタ整備の遅れは、開始時点の負荷を見誤ることで起きます。商品名、規格、入数、単位、取引先別の単価という5項目がそろって初めて、画面は注文を受けられます。廃番と新商品の入れ替えが毎月あれば、整備は一度きりの作業では終わりません。更新の担当と頻度を決めずに始めると、画面の情報と実際の在庫がずれていきます。

ずれが起きた画面は、発注側の信頼をすぐに失います。注文したのに欠品だった経験が2回続けば、確認の電話が復活します。マスタの精度は、機能の豊富さより先に効く要素です。整備の見通しが立たない商品群を、当面はアプリの対象から外す判断も選択肢に入ります。

取引先のIT環境の幅は、想定より大きいものです。共有の端末を交代で使う職場、通信が不安定な現場、担当者が固定電話しか使わない事業所が同時に存在します。2024年時点の企業調査でクラウドの利用が約8割へ届く一方、残る2割前後の企業では前提が変わります。全社一律の案内では、こぼれる取引先が出ます。

対応の幅を持たせる方法は3つあります。第一に、紙の注文書を読み取って取り込む経路を残しておく方法です。第二に、代理入力の窓口を受注側へ置く手もあるでしょう。第三に、移行の期限を取引先の区分ごとに分けます。一律の締め切りより、区分ごとの期限のほうが定着しやすいはずです。

業務フローの据え置きは、見落とされやすい原因です。紙の注文書を前提に作られた確認の手順を残したまま、入口だけを画面へ替えると、確認の工程は二重になります。押印を伴う回覧、目視による突き合わせ、控えの綴じ込みという3つの手順は、電子の記録があれば省ける場合があります。手順の見直しを伴わない導入は、作業を足す結果になりがちです。

3つの原因は独立していません。マスタが整わないから確認の電話が要り、電話が残るから紙の手順も残ります。どれか1つだけを直しても、他の2つが元へ戻す力として働きます。着手の順序を決めるうえでは、後半で示す優先順が手がかりになるでしょう。

原因を3つ並べた図です。マスタ整備の遅れは、画面の情報と実際の在庫がずれ、確認の電話が戻る形で現れます。取引先のIT環境の幅は、一律の案内ではこぼれる取引先が出る形で現れます。業務フローの据え置きは、紙を前提とした確認の手順が残り、作業が二重になる形で現れます。
困りごとを生む3つの原因と現れ方の関係

法令と業界標準の面から確認しておきたい点

電子で発注する場合に確認しておく点は3つあります。発注内容を電磁的方法で示すときの取り扱い、電子でやり取りした注文データの保存、業界標準の仕様との接続です。いずれも自社の取引が対象に当たるかどうかで結論が変わるため、所管の公式資料と契約内容を突き合わせて確かめる必要があります。制度の適用範囲は業種や取引の形態で異なり、一般化はできません。ここでは、確認の観点を示すにとどめます。

発注の内容を書面ではなく電磁的方法で示す場合、示すべき事項と相手方の承諾の扱いが論点になります。取引の適正化に関する制度では、発注の時点で数量、納期、支払方法といった事項を明らかにすることが求められてきました。電子で示す場合も、記載すべき事項が減るわけではありません。自社の取引がどの制度の対象になるかは、条文と所管機関の資料で確かめてください。

画面の設計は、この点と直結します。注文の確定画面に納期や単価が表示されない仕組みでは、示すべき事項を別の手段で補う必要が生じます。受注側が注文請書にあたる控えを電子で返す運用にしておけば、記録の面でも整合が取りやすくなるでしょう。制度への対応と使いやすさは、同じ画面の上で両立させる課題です。

電子でやり取りした注文データの保存も、確認の対象です。帳簿書類の電子的な保存に関する制度では、電子で授受した取引情報を電子のまま保存する取り扱いが定められています。注文書や注文請書が対象に含まれるか、検索の要件をどう満たすかは、公式資料で対象書類を確かめたうえで判断してください。アプリ側に保存の機能があるか、社内の保管先へ書き出せるかは、選定時の確認項目に入ります。

保存の設計を後回しにすると、移行の時点で費用が発生します。過去の注文データを別の形式で持っていた場合、要件に合う形へ整える作業が追加されるためです。サービスの解約時にデータを取り出せるかどうかも、契約前に確かめておく点でしょう。保存は、制度上の要求であると同時に、取引先との認識合わせの材料でもあります。

業界標準の仕様との接続は、対象範囲の確認から始まります。流通業向けの標準仕様である流通BMSは、発注・出荷・受領・請求・支払という5業務のメッセージを共通の形で定めており、2018年に公開された解説資料で全体像が示されています。自社の取引が流通業の枠に当てはまらない場合、そのまま適用できるとは限りません。標準に寄せる利点と、既存の取引先との調整の手間を比べて決めます。

請求の側では、デジタルインボイスの標準仕様が整備されています。国内向けの仕様は国際的な規格をもとにしており、送り手と受け手がそれぞれ事業者を介してやり取りする4者の枠組みで運用されます。2026年時点でも仕様の更新は続いており、参照する版を固定しないほうが安全です。発注から請求までを1本の流れでつなぐなら、この仕様の動きも選定の視野へ入れてください。

困りごとを解消していくための進め方

進め方は、3つの段階に分けると迷いません。対象の絞り込み、画面の作り込み、受け口の切り替えの順です。全社の全商品を一度に載せる計画は、マスタ整備の量で止まります。売上の上位に入る商品と、協力が得られる取引先という2つで範囲を区切れば、結果を確かめながら広げられるでしょう。段階の順序を入れ替えると、作り直しが発生します。

第一段階の対象の絞り込みでは、対象商品の限定と対象取引先の限定を同時に決めます。対象商品の限定は、定番品で回転が速く、規格の変更が少ない品目から選ぶと整備が追いつきます。対象取引先の限定は、注文の件数が上位に入り、社内に情報の担当がいる先から始めると失敗の影響を抑えられます。2つの限定を同時にかけることで、初期のマスタ整備は現実的な量に収まるはずです。

第二段階の画面の作り込みでは、入力項目の削減と発注履歴の再利用を軸にします。入力項目の削減は、必須の項目を数量と納品希望日の2つに絞り、残りは既定値で埋める方針が有効です。発注履歴の再利用は、前回の注文を呼び出して数量だけ直せる導線を用意する考え方で、繰り返し発注の負担を直接下げます。画面に載せる情報を増やすほど、迷いも増えていきます。

項目を減らす作業には、社内の合意が要ります。営業の担当が欲しい情報と、物流が要る情報と、経理が要る情報は一致しません。3者が必須だと考える項目を並べ、注文の時点で本当に要るものだけを残します。残りを受注後の確認へ回せば、発注側の手間は軽くなるでしょう。

第三段階の受け口の切り替えでは、受付時間の統一と電話とファクスの縮小を進めます。受付時間の統一は、経路ごとに違っていた締め時間を1つにそろえ、アプリの利点をはっきりさせる手当てです。電話とファクスの縮小は、いきなり止めるのではなく、対象商品の範囲で先に閉じる進め方が現実的でしょう。緊急時の受け口は残し、使われた件数を記録しておきます。

切り替えの時期には、取引先への案内が要ります。案内では、いつから何が変わるのか、困ったときの連絡先はどこか、従来の方法はいつまで使えるのかという3点を示します。説明の場を1回で終わらせず、開始の直後は問い合わせの窓口を厚くしておくと定着が進みます。

効果は、数えられる指標で確かめます。アプリ経由の注文の件数、電話とファクスで入った注文の件数、取り込みで人手が入った件数の3つを毎月記録しましょう。3つの数字が並べば、次にどの段階へ戻るべきかが見えます。指標を決めずに進めると、成果の議論が印象論になります。

進め方を3段階で示した図です。対象の絞り込みには、対象商品の限定と対象取引先の限定が入ります。画面の作り込みには、入力項目の削減と発注履歴の再利用が入ります。受け口の切り替えには、受付時間の統一と電話とファクスの縮小が入ります。
発注アプリの定着に向けた3段階と各段階の作業

自社に合う発注アプリを見極める視点

選ぶときの視点は3つです。基幹システムとの連携方式、取引先への案内と定着支援の体制、運用開始後に見直すための指標です。機能の一覧を比べるより、この3点を先に確かめたほうが判断は速く進みます。どれも導入後の作業量に直結し、後から変えると費用がかさむ項目だからです。特定の製品が常に優れているという結論は出せませんので、自社の取引条件に照らす視点として示します。

基幹システムとの連携方式は、3つの型に分けられます。ファイルの受け渡し、専用の接続口を使う方法、そして人が画面から転記する方法です。転記が残る方式は初期費用を抑えられますが、注文の件数に比例して人手が増えます。件数が伸びる見込みがあるなら、接続口を使う方式の費用を先に見積もっておくべきでしょう。

連携の可否は、項目の対応で決まります。商品コード、取引先コード、単位、単価という4つの項目が両側でそろわなければ、自動での取り込みは成立しません。導入の前に、この4項目の対応表を作れるかどうかを確かめてください。作れない場合、先に要るのはアプリではなくマスタの整理です。

取引先への案内と定着支援の体制は、見積書に現れにくい部分です。案内文の雛形、操作の手引き、問い合わせの一次受けを誰が持つのかを、契約の前に確かめます。自社で抱える場合、担当者の時間が継続して要ります。委託する場合でも、取引条件に関する質問が自社へ戻ってくる点は変わりません。

自社で作る場合と、既製のサービスを使う場合の違いも整理しておきましょう。自社で作れば画面は業務に合わせられますが、制度の改正や標準仕様の更新への追随を自社で引き受けます。既製のサービスなら更新は提供側が担う一方、業務の側を仕様へ寄せる調整が要ります。判断は、取引先の数と例外の多さという2つの軸で分かれます。

内製を選ぶ場合に要る知見は、少なくとも4領域あります。受発注の業務設計、マスタの管理、基幹システムとの接続、そして電子でやり取りした取引情報の保存に関する要件です。加えて、運用開始後の問い合わせ対応と障害時の連絡体制も自社で持ちます。人員を確保できないまま着手すると、稼働後の保守が特定の担当者へ集中します。

運用開始後に見直すための指標は、開始の前に決めておきます。アプリ経由の注文比率、注文1件あたりの受注側の作業時間、例外処理の件数という3つがあれば、改善の当たりをつけられるでしょう。指標が動かない状態が続くなら、原因は画面ではなく手順の側にあるはずです。見直しの間隔と、誰が数字を見るのかも合わせて決めておきましょう。

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よくある質問

発注アプリの費用は、どのような項目で構成されますか

費用は3つの区分に分けて見ると比べやすくなります。第一に初期費用で、マスタの移行と基幹システムとの連携の開発が中心です。第二に月額の利用料で、利用する人数や取引先の数に応じて変わります。第三に運用の費用で、取引先への案内と問い合わせ対応にかかる自社の人件費が含まれます。金額は取引の条件で変わりますので、3区分ごとに見積もりを取って比べてください。

取引先がアプリを使ってくれない場合、どこから手を付けるとよいですか

まず利用の記録を見ることから始めます。誰がどの画面で止まっているかを確かめずに機能を足すと、項目が増えて操作はさらに重くなります。次に、対象商品と対象取引先を絞り、使い始めやすい範囲へ戻しましょう。それでも進まない場合は、受注側で代理入力を受ける窓口を置き、紙や電話の注文を社内で画面へ載せる運用へ切り替える方法もあります。

導入後も電話とファクスを残して構いませんか

当面は残す前提で設計するほうが現実的です。急ぎの追加や欠品時の相談は画面の項目に収まりにくく、受け口を先に閉じると取引そのものが止まります。ただし、残す範囲と期限を決めずに置くと併存が固定化します。電話とファクスで入った注文の件数を毎月記録し、対象商品の範囲から順に閉じていく進め方をおすすめします。

小規模な取引先が中心の場合でも導入できますか

導入は可能ですが、前提を一律に置かない設計が要ります。共有の端末を交代で使う職場や、通信が不安定な現場では、常時の接続を前提にした画面は使いにくくなります。紙の注文書を読み取って取り込む経路を残し、移行の期限を取引先の区分ごとに分けてください。全社で同じ締め切りを置くより、区分ごとの期限のほうが定着しやすくなります。

契約の前に確認しておくべき点は何ですか

確認する点は4つに整理できます。第一に、蓄積した注文データを解約の時点で取り出せるかどうかです。第二に、電子でやり取りした取引情報の保存の要件を満たせるかを、公式資料と照らして確かめます。第三に、仕様の更新の頻度と、更新時の費用の負担です。第四に、取引先からの問い合わせを誰が一次で受けるのかという分担を、書面で決めておいてください。

◆監修・編集責任者

小園 将隆

株式会社フライトソリューションズ ECサービス部 マネージャー

BtoB通販のパッケージシステム「FSOL B2B Ⅱ」の導入支援をはじめ、製造業、卸売業をはじめとした法人向け通販サイト構築を多数手掛ける。卸売領域の専門知識をもとに、日本の商習慣に固有の課題をパッケージシステムの機能追加によって解決。BtoB流通の販路拡大を支援する。

  1. 1 出典:総務省「令和6年通信利用動向調査の結果(報道資料)」(2025) 経路
  2. 2 出典:総務省(政府統計の総合窓口 e-Stat)「令和6年通信利用動向調査 統計表一覧(企業編ほか)」(2025) 経路
  3. 3 出典:デジタル庁「JP PINT(日本におけるデジタルインボイスの標準仕様)」(2026) 経路
  4. 4 出典:一般財団法人流通システム開発センター(GS1 Japan)「流通BMS(流通ビジネスメッセージ標準)標準仕様の解説」(2018) 経路
  5. 5 出典:東京商工会議所「中小企業のデジタルシフト・DX実態調査 集計結果」(2025) 経路
  6. 6 出典:日本商工会議所「デジタル化でつながる中小企業の未来(冊子)の公表について」(2025) 経路

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  1. A striking red X on a glass window with intriguing shadows b/Photo by Helena Jankovičová Kováčová on Pexels
  2. Close-up of a technician’s hands repairing a laptop’s intern/Photo by Jobelle Meana on Pexels
  3. Close-up of a professional meeting setup with hands, laptops/Photo by Pixabay on Pexels

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◆この記事について

独自調査以外の一次情報は、省庁・公的機関を中心とした信頼性の高い情報源から引用し、出典を明記しています。
年次更新される統計については、引用元の最新版を確認したうえで掲載しています。

※この記事は上記の監修・編集責任者がAIの協力を得て制作しています。

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