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販売管理システムと受発注システムの違い|機能と選び方

◆監修・編集責任者 小園 将隆 

B2B EC-COLUMN

この記事のポイント

  • 販売管理システムは見積から入金までの5工程を社内で記録する層、受発注システムは取引先との注文のやりとりを電子化する層で、役割が分かれます。
  • 電子でやりとりした注文や請求のデータは2024年から電子のまま保存する扱いが本則で、検索は取引年月日、取引金額、取引先の3項目で行えるようにします。
  • 取引条件の明示を求める法律は2026年に施行された改正で対象が広がり、資本金の区分に加えて従業員数の基準が加わりました。
  • 既存の基幹を残したまま入り口だけを電子化する進め方があり、要件の洗い出しから連携までを3段階に分けて着手できます。

Diverse colleagues engaged in a business meeting in a contem
▽ 写真の出典元

販売管理システムと受発注システムの違い

販売管理システムと受発注システムの違いは、業務が発生する場所にあります。販売管理システムとは、見積から受注、出荷、請求、入金までの5工程を社内で記録し、数字を一元管理する仕組みを指します。受発注システムは、取引先との注文のやりとりそのものを電子に置き換える仕組みです。両者は競合する製品ではなく、役割の異なる2つの層として重ねて使う前提で比べると判断が進みます。同じ注文を扱いながら、データが生まれる時点と使い手が分かれている点が、違いの出発点になります。

販売管理システムが受け持つのは、社内で確定した取引の記録です。見積書の作成、受注残の管理、出荷指示、請求書の発行、入金消込までを1本のデータでつなぎます。在庫や仕入のデータと結び付き、月次の売上計上や与信残高の把握にも使われます。利用者は営業事務、受注センター、経理の3部門が中心で、取引先が直接画面を触ることは想定されていません。社内の帳簿へつながる数字を正しく残すことが、この層の役割です。

受発注システムが受け持つのは、自社と取引先の間を流れる注文の情報です。取引先が発注データを送り、自社が内容を確認し、納期や在庫の回答を返すまでを画面とデータで扱います。電話、FAX、メールという3つの経路で届いていた注文を、同じ形式で受け取れる点が違いになります。画面もデータ形式も取引先が使うため、社外の利用者を前提に設計されます。注文の入り口に立つ層だと考えると、位置付けを取り違えにくくなるでしょう。

違いを一言でいえば、社内の管理か取引先とのやりとりかという分担です。販売管理システムは、確定した数字を正しく記録する側に立ちます。受発注システムは、確定する前の注文を正しく受け取る側に立つと言えます。前者が扱うのは自社の帳簿につながるデータで、後者が扱うのは相手方との合意そのものです。この分担が曖昧なまま片方だけを導入すると、受け取った注文を人手で入力し直す作業が残ります。二重入力は転記の誤りを生み、誤出荷の手戻りにもつながります。

違いの整理は、制度への対応とも結び付きます。取引条件の明示を求める法律は2026年に名称と対象を改め、資本金の区分に加えて従業員数の基準が加わりました1。電子でやりとりした取引情報は、2024年から電子のまま保存する扱いが本則になっています2。注文をどちらの層で受けるかは、この2つの要件の受け皿をどこに置くかという判断にもなります。制度の要件は製品仕様と運用の両方に依存するため、機能の有無だけで対応の可否は決められません。

既存の販売管理システムを入れ替えずに、受発注の入り口だけを電子化する進め方もあります。基幹側の改修を伴わないため、着手までの期間を短くしやすい方法です。この場合は、受け取った注文を基幹へ渡すデータ連携の設計が要になります。連携の粒度と頻度を決めないまま導入すると、電子化した注文が別のファイルとして滞留します。入り口と記録の2層をどうつなぐかを、製品の比較より先に決めておきたいところです。

取引先が送った注文を受発注システムが受け取り、データ連携で項目を対応付けて基幹側へ渡し、販売管理システムが受注として登録するまでの三段の流れを示しています。
取引先の注文が社内の記録として確定するまでの経路

着手順序の依存関係で並べた、選定前に確認する5項目

  1. 注文の受け取り経路を電話、FAX、メール、EDIの4区分で数え、件数の多い順に並べます。件数の多い経路から着手すると、同じ工数で減らせる転記の量が変わります。
  2. 取引先数と、そのうち継続取引の割合を把握します。取引が上位の数社に集中する場合と広く分散する場合とで、EDI型とWeb受発注型の向きが変わります。
  3. 取引条件の明示が求められる取引に当たるかを確認します。資本金では製造委託などの3億円、役務の委託などの5,000万円が境目で、2026年の改正では300人と100人の従業員数の基準も加わりました*1
  4. 電子取引データの保存の方法を決めます。改ざん防止の措置は4つの方法から選び、検索は取引年月日、取引金額、取引先の3項目で行えるようにします*2
  5. 基幹側と受け渡す項目の対応付けを決めます。品番、取引先コード、単価、数量、納期の5項目が揃わないと、受注が登録できずに滞留します。

販売管理システムが担う機能と業務範囲

販売管理システムが担うのは、見積から入金までを1本の線でつなぐ社内の記録です。見積、受注、出荷、請求、入金の5工程が同じ受注番号でひも付き、在庫と仕入のデータに接続します。取引先とのやりとりは範囲の外にあり、注文がどう届いたかは問いません。そのため、注文の入り口が紙や口頭のままだと、この層への入力は人手に頼ることになります。機能の広さと、入り口の弱さを分けて見る必要があります。

業務の流れは、見積の作成から始まります。単価と数量、納期の条件を提示し、合意した内容を受注として登録します。受注が確定すると在庫の引き当てが立ち、出荷指示と納品書の発行につながります。締め日ごとに売上を集計して請求書を発行し、入金の消し込みで1件の取引が閉じます。5工程のどこで止まっているかを見れば、遅延の原因を絞り込めます。受注残、出荷済み、請求済みという3つの状態を分けて持てる点が、この層の効き目です。

販売管理システムは、在庫と仕入のデータと同じ土台の上で動きます。受注の引き当てが在庫を減らし、仕入の入荷が在庫を戻すという対応で数字が変わります。売上は計上の基準に従って月次で締められ、与信の残高と突き合わせられます。ここが崩れると、在庫は余っているのに引き当てができないという食い違いが起きます。数字の整合を保つことが、この層に求められる働きです。取引先ごとの与信枠と売掛の残高を持てるかどうかも、選定の観点になります。

一方、販売管理システムだけでは補いにくい領域もあります。注文がどの経路で届くかは製品の範囲の外にあり、電話やFAXの受注は人が入力する前提で設計されています。取引先へ在庫や納期を見せる画面を持つ製品は限られ、持っていても社外公開の設定は別に要ります。受注のたびに担当者が転記していると、繁忙期の入力待ちが出荷の遅れに直結します。入り口の弱さは、機能一覧の比較では見えにくい部分です。

この層を刷新する場合、必要になる知識の幅は広くなります。受注と出荷の業務設計、在庫と原価の会計処理、既存データの移行、権限設計という4領域を並行して扱います。品番や取引先コードの重複を整理する作業は、機能の設定より時間がかかる部分です。移行の期間は取引先数とコードの整理量で変わるため、要件の洗い出しの段階で見積もる必要があります。社内の担当者だけで進めると、通常業務と並行するために判断が滞りやすくなります。

移行の設計を誤ると、影響は帳簿にまで及びます。売上の計上基準を取り違えれば、月次の締めをやり直すことになり、監査での指摘にもつながります。在庫の引き当ての条件を間違えると、実在庫のない注文を受けてしまい、欠品と再手配の費用が発生します。電子でやりとりした請求や領収の情報は、電子のまま保存する扱いが本則です*2。保存の受け皿を決めずに移行すると、後から保存の方法を作り直すことになります。

見積で条件を示し、受注で内容を確定させ、出荷の指示を出し、請求で締め、入金の消し込みまでを同じデータでつなぐ五段の流れを示しています。
見積から入金までを同じデータでつなぐ販売管理の流れ

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受発注システムが担う機能と業務範囲

受発注システムが担うのは、注文の受け取りと発注の送信を電子に置き換える働きです。取引先が入力または送信したデータをそのまま取り込み、確認と回答までを画面上で完結させます。電話、FAX、メールの3経路で届く注文を1つの入り口へ寄せることで、転記の作業をなくせます。扱う範囲は取引の入り口に絞られ、売上の計上や請求の管理は範囲の外にあります。入り口を電子化する層だと理解すると、販売管理システムとの重複を避けられます。

機能の中心は、注文データの受け取りと発注データの送信です。受け取り側では、注文の内容、数量、納期を確認し、在庫の可否と出荷予定を回答します。送信側では、仕入先への発注を同じ仕組みで送り、納期回答を受け取ります。受注と発注の双方を1つの仕組みで扱えると、社内の運用ルールを揃えやすくなるでしょう。取引先ごとの単価表や出荷単位を持たせられるかどうかも、確認する観点になります。

紙と口頭の受注が残る現場では、注文の内容が担当者の手元に留まります。FAXの文字が読み取れずに数量を取り違えれば、誤出荷と返品の費用が積み上がります。電話で受けた条件が記録に残らないと、後日の確認に時間を取られます。注文の証跡が個人の手元にあると、担当者の不在がそのまま受注の停止につながります。企業がどの通信手段を業務に使っているかは、年次の調査として継続的に公表されています*4。入り口の属人化は、繁忙期の欠員時に影響が表れます。

注文の入り口は、制度の要件が最初に当たる場所でもあります。電子でやりとりした注文書や請求書のデータは、電子のまま保存する扱いが2024年から本則になりました2。保存にあたっては真実性と可視性の2つの区分で要件が定められ、検索は取引年月日、取引金額、取引先の3項目で行えることが求められます2。受発注システムがこの保存の要件をどこまで満たすかは、製品の仕様と運用の取り決めで決まります。

入り口の作り方は、EDI型とWeb受発注型の2つに大きく分かれます。EDI(電子データ交換。企業間で受発注などの取引データを定められた形式でやりとりする仕組み)型は、取引先の基幹システムとデータを直接やりとりするため、件数の多い継続取引に向きます。Web受発注型は、取引先が画面から注文を入力する方式で、取引先の数が広く分散する場合に合うでしょう。どちらか一方に寄せず、経路ごとに使い分ける設計も採れます。

入り口の電子化を内製で進める場合、扱う知識は通信と業務の両方にまたがります。データ形式の設計、通信方式の設定、取引先ごとの項目の読み替え、保存の要件への対応という4点を並行して進めます。取引先の基幹側の担当者との調整が入るため、社内の都合だけでは日程を決められません。外部に委ねる場合との違いは、取引先との接続試験を経験した人が設計に入るかどうかにあります。

Close-up of a hand holding a brown paper shopping bag, empha
▽ 写真の出典元

機能・データ・利用者から見た違いの比較

二層の違いは、扱うデータ、発生の起点、利用者、制度への対応、連携の要点という5つの観点で並べると見分けやすくなります。販売管理システムは社内で確定した数字を扱い、受発注システムは確定前の注文を扱います。前節では入り口の働きを見ましたが、本節では両者を同じ物差しで比べます。重なる機能があっても、データが生まれる時点が違えば置き換えは効きません。

扱うデータの範囲は、両者で重なりながらずれます。販売管理システムが持つのは、受注、出荷、請求、入金と、それにひも付く在庫と仕入の記録です。受発注システムが持つのは、取引先から届いた注文と、それに対する回答の情報になります。発生の起点も違い、前者は社内で受注を登録した時点、後者は取引先が発注を送った時点でデータが生まれます。同じ注文でも、記録として確定する前と後で持ち主が変わると考えると整理できます。

利用者の違いは、権限の設計に直結します。販売管理システムを使うのは営業事務、受注センター、経理といった社内の担当者です。受発注システムは取引先の購買担当者が画面を開くため、社外向けの認証と権限の設計が要ります。取引先ごとに見せる単価や在庫を分ける設定は、社内向けの製品には備わっていないことがあります。社外の利用者が増えるほど、問い合わせの窓口をどこに置くかも決めておく必要があります。

重なるのは、受注データの一覧と納期の回答を扱う部分です。分かれるのは、売上の計上、請求と入金の管理、在庫の引き当てで、これらは販売管理システムの側にあります。取引先との認証や通信方式の管理は受発注システムの側に残ります。重なる部分をどちらで持つかを決めないと、同じ受注データが2か所で更新されます。更新の権限を片側に寄せる取り決めが、連携の要点になります。

制度への対応の当たり方も分かれます。取引条件の明示を求める要件は、注文の受け渡しを担う受発注システムの側で受けやすい部分です1。電子取引データの保存の要件は、注文だけでなく請求や領収にも及ぶため、両方の層にまたがります2。どちらの製品が要件を満たすかではなく、要件ごとに受け皿を割り当てる考え方が要ります。システムの導入そのものが義務の履行になるわけではなく、運用の取り決めと合わせて満たすものです。

連携の設計は、どの項目を、どの頻度で受け渡すかの2点に集約されます。品番、取引先コード、単価、数量、納期の5項目が揃わないと、受注は基幹側で登録できません。即時に渡すか日次でまとめるかは、出荷の締め時刻と在庫の引き当ての運用で決まります。設計が抜けると、電子化した注文を再び人が入力する作業が残ります。

比べる観点 販売管理システム 受発注システム
扱うデータ 社内で確定した受注・出荷・請求・入金の記録 取引先から届く注文と回答の情報
発生の起点 社内で受注を登録した時点 取引先が発注を送った時点
利用者 営業事務・受注センター・経理の担当者 取引先の購買担当者と自社の受注担当者
制度への対応 帳簿への計上と電子データの保存 取引条件の明示と標準仕様への適合
連携の要点 受け取った注文の登録と更新の権限 受け渡す項目と頻度の取り決め

法令とデータ標準から見た受発注業務の要件

受発注の仕組みを選ぶときは、機能の一覧より先に3つの要件を確認します。取引条件を明示して交付する要件、電子取引データを保存する要件、業界の標準仕様に沿ってデータを送受信する要件の3点です。前節が二層の違いを比べる話だとすれば、本節は満たすべき条件の話になります。要件を満たす主体は製品ではなく、製品と運用を組み合わせた自社の業務です。そのため、仕様の確認と運用の取り決めを同時に進める必要があります。

取引条件の明示は、発注する側に課される要件です。取引の内容、代金の額、支払期日、支払方法などを記載した書面または電磁的記録を、発注のときに交付します1。支払期日は、給付を受け取った日から起算して60日以内で定めることとされています1。取引の記録を残した書類は2年間保存する取り扱いです*1。電磁的記録で交付できる点は、受発注システムの画面やデータをそのまま使える根拠になります。

適用の対象は、事業者の規模で決まります。従来は資本金の区分で判断し、製造委託などでは3億円、情報成果物や役務の委託では5,000万円といった境目が置かれてきました1。2026年に施行された改正では、資本金の区分に加えて従業員数の基準が加わり、製造委託などは300人、役務の委託などは100人が目安になります1。自社が発注する側か受注する側かで確認する要件が変わるため、取引ごとに判断します。

電子取引データの保存は、受け取る側にも送る側にも及びます。注文書、請求書、領収書などを電子でやりとりした場合、その電子データのまま保存する扱いが2024年から本則です2。要件は真実性の確保と可視性の確保の2つに分かれ、改ざん防止の措置は4つの方法から選べます2。検索は取引年月日、取引金額、取引先の3項目で行えるようにします2。保存の期間は原則として7年で、書類の種類によって扱いが変わります2。

小規模な事業者には、検索の要件を緩める取り扱いが設けられています。判定期間の売上高が5,000万円以下で、データのダウンロードの求めに応じられる場合には、検索の要件が不要になります*2。ただし、電子データを保存すること自体は変わりません。要件を満たすのは製品の機能だけではなく、事務処理の規程や運用の手順と組み合わせて成り立ちます。導入の前に、どの要件をどの手順で満たすかを文書に落としておきたいところです。

業界の標準仕様に沿うかどうかも、選定の条件になります。流通業界向けの標準メッセージ仕様では、発注、出荷、受領、請求といった業務ごとにデータの形式と項目名が定められています*3。同じ仕様に沿えば、取引先ごとに項目を作り込む作業を減らせるでしょう。仕様には版があるため、取引先が使っている版を確認して合わせます。対応の可否は製品の仕様と接続試験の結果で決まるため、事前の確認が要ります。

Close-up of hands holding credit card, shopping online using
▽ 写真の出典元

自社に適したシステムの選び方と連携の進め方

選び方は、要件の洗い出し、入り口の電子化、基幹との連携という3段階に分けると進めやすくなります。最初に取引形態の整理と取引先数の把握から着手し、次に受注経路の集約と保存要件の確認へ進みます。最後に項目の対応付けと連携頻度の決定まで決めれば、二層はつながります。製品の比較から入ると、自社の要件が固まらないまま機能の一覧を眺めることになります。順序には依存関係があり、前の段が決まらないと次の段の判断ができません。

要件の洗い出しでは、取引の形を数で押さえます。取引形態の整理では、継続取引と単発取引、預け在庫や委託販売の有無を区別します。取引先数の把握では、経路ごとの件数を数え、電話、FAX、メール、EDIの4区分で並べます。件数の多い経路から電子化すると、同じ工数でも減らせる転記の量が変わります。自社の数字で並べれば、どの経路に手を入れるかの順序が見えてきます。

取引先の顔ぶれで、入り口の作り方は変わります。上位の数社に取引が集中し、相手も基幹システムを持つ場合は、EDI型でデータを直接やりとりする方式が向きます。取引先が広く分散し、注文の頻度に差がある場合は、Web受発注型の画面を用意する方式が合うでしょう。両方を併用し、経路ごとに使い分ける設計も採れます。受注経路の集約は、すべてを1つの方式へ寄せることとは違います。

併用する場合は、基幹との連携の設計が要になります。項目の対応付けでは、品番、取引先コード、単価、数量、納期の5項目をどの値で突き合わせるかを決めます。取引先が使う品番と自社の品番が違う場合は、読み替えの表を持たせます。連携頻度の決定では、即時に渡すか日次でまとめるかを、出荷の締め時刻に合わせて選びます。決めた内容は接続試験で確かめ、例外が出た場合の戻し方まで用意しておきます。

移行は、一度に全部を入れ替えない進め方も採れます。既存の販売管理システムを残し、入り口の電子化だけを先に進めれば、基幹の改修を後ろへ回せます。連携の設計を省いて入り口だけを入れると、電子化した注文を人が基幹へ入力し直す作業が残ります。保存要件の確認を後回しにすると、保存の方法を作り直すことになり、過去のデータの移し替えも発生します。後戻りの費用は、最初に決める手間より大きくなりがちです。

進める側に求められる知識は、1つの部署では収まりません。受注と出荷の業務設計、データ形式と通信方式、保存の要件への対応、既存データの移行という4領域にまたがります。取引先との接続試験は相手方の日程に左右されるため、社内の都合だけでは工程を組めません。外部の支援を受ける場合との違いは、接続試験や項目の読み替えでつまずいた経験が設計に反映されるかどうかにあります。自社で抱える範囲と委ねる範囲を分けて決めると、費用の見通しも立てやすくなるでしょう。

要件の洗い出しでは取引形態の整理と取引先数の把握を進め、入り口の電子化では受注経路の集約と保存要件の確認を進め、基幹との連携では項目の対応付けと連携頻度の決定を進めるという三段階の並びです。
受発注の電子化を三段階に分けて進める場合の作業の並び

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よくある質問

受発注システムを導入すると、電話やFAXの注文はなくなりますか

すべてがなくなるとは限りません。取引先の体制によっては電話やFAXが残るため、経路ごとに件数を数え、多い順に電子化する進め方が現実的です。残る経路は、受け取った内容を同じ画面へ入力して1本にまとめる運用にすると、基幹へ渡すデータの形を揃えられます。

電子取引データの保存の要件は、どちらの層で満たすのですか

注文だけでなく請求や領収にも及ぶため、両方の層にまたがります。要件は真実性の確保と可視性の確保の2つに分かれ、改ざん防止の措置は4つの方法から選べます*2。検索は取引年月日、取引金額、取引先の3項目で行えるようにします*2。製品の機能だけでなく、事務処理の規程と組み合わせて満たすものです。

取引先ごとにデータの形式が違う場合、どのように揃えるのですか

業界の標準メッセージ仕様に寄せる方法と、読み替えの表を持つ方法の2つがあります。標準仕様では発注や出荷などの業務ごとに項目名と形式が定められているため、対応する取引先とは作り込みを減らせます*3。仕様には版があるので、取引先が使っている版を確認して合わせます。

導入の費用はどのような項目に分かれますか

初期の費用と継続の費用に分かれます。初期は要件の整理、画面や項目の設定、取引先との接続試験、既存データの移行という4項目が対象です。継続は利用料、取引先の追加、仕様の版が変わったときの改修が対象になります。金額は取引先数と連携する項目の数で変わるため、自社の件数を数えたうえで見積もりを取る形が現実的です。

小規模な事業者でも、検索の要件に対応する必要がありますか

判定期間の売上高が5,000万円以下で、データのダウンロードの求めに応じられる場合は、検索の要件が不要になります*2。ただし、電子でやりとりしたデータを電子のまま保存すること自体は変わりません。売上の規模が変われば扱いも変わるため、年度ごとに確認します。

◆監修・編集責任者

小園 将隆

株式会社フライトソリューションズ ECサービス部 マネージャー

BtoB通販のパッケージシステム「FSOL B2B Ⅱ」の導入支援をはじめ、製造業、卸売業をはじめとした法人向け通販サイト構築を多数手掛ける。卸売領域の専門知識をもとに、日本の商習慣に固有の課題をパッケージシステムの機能追加によって解決。BtoB流通の販路拡大を支援する。

  1. *1 出典:公正取引委員会「取適法(中小受託取引適正化法)の概要」(2025) 経路
  2. *2 出典:国税庁「電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】」(2025) 経路
  3. *3 出典:一般財団法人流通システム開発センター「流通BMS標準仕様」(2018) 経路
  4. *4 出典:総務省「令和6年通信利用動向調査の結果」(2025) 経路

画像の出典元

  1. Diverse colleagues engaged in a business meeting in a contem/Photo by Pavel Danilyuk on Pexels
  2. Close-up of a hand holding a brown paper shopping bag, empha/Photo by Cup of Couple on Pexels
  3. Close-up of hands holding credit card, shopping online using/Photo by Mikhail Nilov on Pexels

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◆この記事について

独自調査以外の一次情報は、省庁・公的機関を中心とした信頼性の高い情報源から引用し、出典を明記しています。
年次更新される統計については、引用元の最新版を確認したうえで掲載しています。

※この記事は上記の監修・編集責任者がAIの協力を得て制作しています。

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