まずは卸売ECを小規模でスタートしたい方へ。リーズナブルなSaaS(ASP)版『EC-Rider Primo(プリモ)』誕生! 詳しくはこちら

受発注システムと電帳法対応|会計データの保存要件

◆監修・編集責任者 小園 将隆 

B2B EC-COLUMN

この記事のポイント

  • 電子取引データの保存が未対応だった企業は14%で、同じ116社のうち95%が対応済みと答えており、関心は対応の有無から保存の仕方へ移っています2
  • 対応後に経理の手間が増えたとの回答は59%あり、対応の完了が負担の軽減に結び付くとは限らないと見ます2
  • 別の調査では業務量が増えたとの回答が87%、業務効率化が必要との回答が93%を占め、対応を終えた企業ほど次の手間を抱えています3
  • 受発注システムを選ぶときは、日付・金額・取引先名の三項目を保ったまま会計へ渡せるかを確かめます。
  • BtoB中心の免税事業者のうち登録済みは78.6%で、未登録の仕入先を抱える前提で仕訳の分岐を用意しておく必要があります4

50代後半の日本人女性が小会議室での打ち合わせをしている場面
▽ 写真の出典元

電帳法が求める電子取引データの保存

電帳法(電子帳簿保存法)とは、電子取引データの保存要件を定めた法律です。詳しい要件は保存要件ガイドで確認できます。受発注システムと会計の連携を見るときは、電子取引データを日付・金額・取引先名で検索できる状態のまま会計へ渡せるかを確かめます。保存先を一か所に寄せ、二重入力を残さない組み立てになっているかが、対応後の手間を左右すると見ます。

夕方の経理室で、届いたPDFの注文書を一件ずつ開き、印刷してファイルに綴じる音が続きます。電子で受け取った取引情報は、紙に出して保管する形では要件を満たしません。メールの添付も、EDI(電子データ交換)も、取引先のウェブ画面から落とした明細も、等しく電子取引にあたります。「紙のファイルは厚くなるのに、要件は一枚も満たしてくれない」という状態が、どの現場でも静かに積み上がっていきます。

保存に求められるのは、改ざん防止の措置と検索の確保という二つです。まず母集団を確かめます。14%という値は、あるクラウドサービスの導入企業116社のうち電子取引データの保存が未対応だった割合です。同じ116社では、2024年のうちに95%が対応済みと答えています2。ただし「対応済み」は各社の自己申告であり、要件への適合を保証する数値ではありません。

要件を満たしたと申告していても、探し直しに費やす時間は請求書に現れませんが、担当者の残業代と決算前の外注費という形で、毎月きちんと支払われています。

受発注システムと会計システムをつなぐ意味

受発注システムは、見積から請求までの記録が最初に生まれる場所です。会計システムはその結果を仕訳として受け取りますが、両者が切れていると同じ取引を二度入力することになります。「受注は受発注側、請求書は会計側」と保存先が分かれれば、検索の要件も別々に満たさなければなりません。つなぐ意味は入力の省力化ではなく、保存と検索の責任を一か所へ寄せることにあります。

連携の形は大きく二つです。取引データをファイルへ書き出して会計が取り込む方法か、APIで都度受け渡す方法か。前者は会計ソフトを替えずに済む一方、書き出しのたびに人の手が入ります。後者は手が入らない代わりに、双方の項目名をそろえる初期の組み立てが要ります。「手が入る回数」を数えると、選び方は受注経路の数と取引先数で決まると考えられます。

対応を終えることと、経理の手間が減ることとは別の話です。59%、これは電帳法への対応を終えた企業のうち経理の手間が増えたと答えた割合で、先に挙げた対応済みの割合と並べると、完了と軽減が別物だと分かります2。別の調査では「業務効率化が必要」との回答が93%を占め、対応を終えた企業ほど次の手間を探していると見ます3。保存の形を整えるだけでは、入力の重複はそのまま残ります。

87%、これは対応後に業務量が増えたと答えた企業の割合で、保存先を分けたままにするかぎり、自社もこの割合の中に数えられ続けます3

図

対応済み企業でも残る負担

対応済みと答えた企業の割合

対応の進み具合は、誰に聞いたかで変わります。導入企業116社を対象とした調査と、別のベンダーが自社の顧客へ行った調査では、回答する企業の顔ぶれが違います。後者を見ます。86%、これが「電帳法に対応済み」と答えた割合で、先に挙げた116社の値より低く出ています3。いずれも自己申告であり、要件への適合を確かめた数値ではない点は共通しています。

母集団の広さで言えば、商工団体の実態調査のほうが広く拾っています。3149者、これは2024年に電帳法とインボイス制度について回答した事業者数で、特定のサービスの利用者に限らない点が違います1。数字を並べるより、「どの層に聞いた値か」を毎回確かめるほうが実務では役に立ちます。

対応後に増えた経理の作業量

対応を終えた企業ほど、手間の話が増えています。先に挙げた経理の手間の増加は、要件を満たす保存が新しい作業として足された結果だと考えられます。メールの添付、EDI、取引画面からの取得と経路が分かれれば、保存のルールも経路の数だけ要ります。「対応したのに前より忙しい」という声は、製品ではなく運用に原因が残っている場合が多いと見ます。

負担を減らす手は、保存の入口をそろえることに尽きます。受発注システムで受けた取引を経路にかかわらず同じ項目で記録し、会計へは同じ形で渡します。決め方には先例があります。5つ、これはBtoB ECで与信管理を始めるときに整理された手順の数で、保存の寄せ替えも同じように工程を数えてから担当を割り当てると抜けが減ります5。「誰がどの経路を見るか」を先に決めておくと、月末の探し物は静かに減っていきますね。

図

システム選定で会計連携を見る基準

選ぶときに見るのは、機能の一覧ではなく、自社の取引の形に合う入口の数です。受注が電話とFAXとメールに分かれているなら、そのすべてを同じ項目で記録できるかを確かめます。「電帳法対応」と書かれていても、検索の三項目まで満たすかどうかは製品ごとに違います。確認は資料の記載で済ませず、実際の画面で自社の取引を一件通して行うのが確実です。

確かめる項目は四つに絞れます。取引先ごとの受領経路をすべて登録できるか、日付・金額・取引先名で横断して検索できるか、会計への書き出しが自動か手作業か、訂正削除の記録が残るか。どれか一つでも欠ければ、欠けた分を人が埋めることになります。「あとで運用でカバーする」という判断が、対応後の手間を増やしていると考えられます。

迷ったら、月末に最も時間を取られている経路から載せ替えます。全部を一度に変えるより、一本で確かめるほうが早く戻れます。

ここから先は、取引の受け方ごとの進め方と、選定の際に確かめる項目を順に見ていきます。

受発注システムと会計の連携は、製品の説明だけでは検索の三項目まで満たすかを読み取れず、自社の取引を実際に通して確かめる場が要ります。

自社の受注経路と会計の受け入れ形式を持ち込み、本物のデータで確かめながら選定を進めるのが近道です。無料相談で要件を整理する

会計へ渡すまでに確かめること

  • 受注経路がいくつあっても、日付・金額・取引先名を同じ項目で記録できること
  • 受発注側で付けた検索項目が、会計へ渡った後も欠けずに残ること
  • 会計への書き出しが定期に自動で走るか、人が押す操作なのかが分かること
  • 訂正と削除の記録が、取引先へ再送した分まで残ること
  • 登録番号の有無で仕訳が自動的に分かれる設定を持てること

この並びに優劣の順序はありません。

同じ確認項目でも、取引の受け方によって先に手を付ける場所は変わります。

Minimalist image of a white shopping bag and mini cart on a
▽ 写真の出典元

取引の受け方ごとの進め方

取引の受け方 先に整える保存先 会計へ渡す形
メール添付とEDIが混在する卸売 経路ごとの受領一覧 日次の自動連携
会計ソフトへの手入力が残る製造業 受発注システムの受注データ 書き出しファイルの取り込み
免税事業者の仕入先を多く抱える事業者 取引先情報の登録番号 区分を付けた仕訳データ

メール添付とEDIが混在する卸売の進め方

取引先ごとに受け方が違うと、保存のルールも取引先の数だけ生まれます。共通して勧められるのは「入口をそろえる」ことですが、この場合は経路ごとの一覧を先に作るほうが早く進みます。どの取引先がどの経路で送ってくるかを書き出し、件数の多い順に受発注システムへ寄せていきます。「全部同時に」を狙うと、移行の途中で保存漏れが起きやすくなります。

難易度はやや高く、経路の洗い出しから寄せ替えまで、繁忙期を避けた期間を確保しておくと安全です。

受け方 保存の担当 会計へ渡す時期
メールの添付 受注担当 受領した当日
EDI システム担当 日次の自動連携
取引画面からの取得 購買担当 週次のまとめ

取引先ごとに受け方が分かれている場合、どの経路から寄せ替えるかを社内だけで決め切るのは難しく、移行の順序を一緒に組む相手が要ります。

経路ごとの受領一覧を持ち寄って、寄せ替えの順番と時期を最初の設計から詰めていくのが近道です。無料相談で自社の条件を持ち込む

会計ソフトへの手入力が残る製造業の進め方

会計側を替えられない事情があるなら、連携はAPIではなく書き出しファイルで考えます。共通の進め方では自動連携を勧めましたが、この場合は書き出しの項目名を会計の受け入れ形式に合わせることが先です。品番や納期の項目が増えても、会計へ渡すのは仕訳に要る項目だけに絞ります。「一度作れば毎月同じ」の状態にできれば、手入力は締めの例外分だけに減っていきます。

この書き出しでの対応は難易度が低く、項目の突き合わせさえ終われば、あとは書き出しの手順と担当を決めるだけで済みます。

会計へ渡す項目 受発注側の呼び名 渡し方
取引先名 得意先マスタ 書き出しファイル
取引年月日 受注日 書き出しファイル
金額 受注金額(税区分付き) 書き出しファイル
摘要 注文番号 書き出しファイル
Massive concrete pipes aligned at a construction site during
▽ 写真の出典元

既存の会計ソフトを残したまま受発注データを渡すには項目名の対応を作る手間があり、同じ会計ソフトでの実績を持つ相手に聞くのが確実です。

いま使っている会計ソフトの取り込み仕様を見せながら、渡す項目を必要な分だけに絞り込むのが近道です。無料相談で自社の条件を持ち込む

免税事業者の仕入先を多く抱える事業者の進め方

仕入先に免税事業者が多いと、保存だけでなく仕訳の分岐も増えます。まず登録の広がりを見ます。78.6%、これはBtoB中心の免税事業者のうち登録を行った割合で、BtoB以外を含む事業者全体の傾向とは分けて読む必要があります4。未登録の理由は「取引先からの要請がなかった」が41.3%、「新たな事務負担が発生する」が34.8%、「新たな税負担が発生する」が30.4%と続きます4。共通の進め方に加えて、登録番号があるかどうかで仕訳を自動的に分ける設定を先に入れておきます。

難易度は高めで、仕入先への確認と会計側の設定変更が同時に要るため、決算期をまたがない時期に着手するのが現実的であり、ここまで見てきた三つの型に共通する確認事項を、次の一覧で通して見ておきます。

仕入先の区分 受発注システムでの持ち方 会計での扱い
登録済みの課税事業者 登録番号を取引先情報に保持 仕入税額控除の対象
未登録の免税事業者 未登録の印を付けて受注 経過措置の区分で仕訳
登録状況が未確認の先 確認待ちとして受注を保留 確認後に区分を確定
図

登録番号の有無で仕訳を分ける設定は受発注側と会計側の両方へ同時に手を入れる必要があり、片方の担当者だけでは決め切れません。

仕入先の登録状況の一覧を用意したうえで、受注から仕訳までの分岐をまとめて相談するのが近道です。無料相談で自社の条件を持ち込む

要点の整理

確かめること 満たしている状態
受注経路の登録 電話・FAX・メール・EDIを同じ項目で記録できる
検索 日付・金額・取引先名で横断して探せる
会計への受け渡し 人が触らずに同じ形で渡る
訂正と削除 履歴が再送した分まで残る
登録番号 有無で仕訳が自動的に分かれる
対応の確認 表示ではなく自社の取引一件で確かめている

電帳法への対応と経理の省力化は別の作業であり、どこまでを仕組みに任せるかは自社の取引量と受注経路の数によって変わります。 受注から仕訳までの流れを一度見てもらい、手作業が残っている場所から順に外していくのが近道です。

BtoB通販システムのご相談

貴社の商習慣に合わせたご提案をいたします。

無料相談はこちら

よくある質問

受注のメールをPDFで印刷して保管していますが、これだけでは足りませんか。

電子で受け取った取引情報は、電子のまま保存することが求められます。印刷した紙を残すこと自体は差し支えありませんが、それが保存の本体にはなりません。検索の三項目を満たす形で元のデータを残し、紙は社内の確認用と位置づけるのが安全です。

取引先ごとに受け取り方が違い、送り方の統一を頼めません。

送り方をそろえてもらうのは現実には難しく、受け取った後の記録の仕方をそろえるほうが早く進みます。経路が違っても、受発注システムへ登録する項目を同じにすれば、会計へ渡す形は一本にできます。相手に負担を求めずに済む点も利点です。

「電帳法対応済み」と書かれたシステムなら安心でしょうか。

対応済みという表示は各社の説明に基づくもので、要件への適合を第三者が保証したものではありません。検索の三項目、訂正削除の記録、保存期間の扱いを個別に確かめてください。自社の取引を一件通して画面で確認するのが確実です。

会計ソフトを替えずに受発注データと連携できますか。

書き出したファイルを取り込む方式であれば、会計ソフトを替えずに連携できる場合が多くあります。確かめるのは、取り込める形式と項目名の対応です。受発注側の呼び名と会計側の呼び名がずれていると、毎回の手直しが残り続けます。

対応を終えたのに経理の残業が減りません。

対応後に手間が増えたという回答は珍しくなく、要件を満たす作業が新しく足された結果だと考えられます。減らすには、保存先を一か所へ寄せ、検索と会計への受け渡しを人手から外すことが要ります。対応と省力化は別の作業だと分けて考えてください。

免税事業者の仕入先とは取引をやめるべきでしょうか。

取引の継続は、価格や供給の安定を含めて判断する話です。事務の面では、登録番号の有無で仕訳を分ける設定を入れておけば、未登録の相手とも無理なく続けられます。未登録の理由には事務負担や税負担を挙げる声もあり、一方的な要請は関係を損ないます。

◆監修・編集責任者

小園 将隆

株式会社フライトソリューションズ ECサービス部 マネージャー

BtoB通販のパッケージシステム「FSOL B2B Ⅱ」の導入支援をはじめ、製造業、卸売業をはじめとした法人向け通販サイト構築を多数手掛ける。卸売領域の専門知識をもとに、日本の商習慣に固有の課題をパッケージシステムの機能追加によって解決。BtoB流通の販路拡大を支援する。

  1. 1 出典:日本商工会議所「中小企業におけるインボイス制度、電子帳簿保存法、バックオフィス業務の実態調査」(2024年) 経路
  2. 2 出典:株式会社NTTデータビジネスブレインズ「電帳法対応状況に関する調査(ClimberCloud導入企業対象)」(2024年) 経路
  3. 3 出典:リコージャパン株式会社「電帳法対応に関する実態調査」(2024年) 経路
  4. 4 出典:日本商工会議所・東京商工会議所「中小企業におけるインボイス制度等に関する実態調査」(2025年) 経路
  5. 5 出典:株式会社フライトソリューションズ「BtoB ECの与信管理の進め方|取適法対応の手順」(2026年) 経路

画像の出典元

  1. 50代後半の日本人女性が小会議室での打ち合わせをしている場面/画像:生成AI(自社)
  2. Minimalist image of a white shopping bag and mini cart on a/Photo by https://kaboompics.com/ on Pexels
  3. Massive concrete pipes aligned at a construction site during/Photo by Quang Nguyen Vinh on Pexels

Photos provided by Pexels

◆この記事について

独自調査以外の一次情報は、省庁・公的機関を中心とした信頼性の高い情報源から引用し、出典を明記しています。
年次更新される統計については、引用元の最新版を確認したうえで掲載しています。

※この記事は上記の監修・編集責任者がAIの協力を得て制作しています。

監修確認日:

記事内容に関するお問い合わせ:お問い合わせフォーム

BtoB EC(受発注)サイト構築システム「EC-Rider B2B Ⅱ」への
各種お問い合わせ

ページTOPへ戻る
無料相談を予約 お見積
平日10:00~18:00
page
top