◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
目次

電子受発注システムの月額費用はいくらか(相場と初期費用の目安)
電子受発注システムの月額費用は1,000円〜90,000円程度、初期費用は0円〜100万円前後が目安です1。まず標準機能のプランで見積もり、使わない機能を外せば月額は下げられます。ただし基幹システムとの連携など個別開発が要る場合は月額7万円〜15万円規模になります3。
月額費用の相場(1,000円〜90,000円程度)
受発注管理システムの月額費用は、2026年時点で1,000円〜90,000円程度が相場とされています1。下限と上限で90倍近い開きがあるため、「相場はいくらか」という問いに単一の金額で答えることはできません。
この幅は、システムを使う人数、使う機能の範囲、取引先とのデータのやり取りをどこまで自動化するかといった条件の違いから生まれます。
自社がこの幅のどのあたりに入るのかを先に見当づけることが、月額費用を抑える作業の出発点になります。
相場の下限に近い水準は、使う人数が限られ、注文の受付と履歴の管理といった基本的な範囲で運用する構成で提示されることがあります。反対に上限に近い水準は、利用者が多い、扱う商品や価格の設定が複雑、複数の拠点や部門で使うといった条件が重なったときに現れます。
ただし、今回参照した相場情報が示しているのは金額の幅そのものであり、どの条件のときにいくらになるかという内訳までは示されていません1。
したがって、自社の金額は「相場のどこか」ではなく、自社の条件を伝えたうえで取得した見積もりで確かめる必要があります。
月額だけを見ていると、負担の大きさを見誤ります。相場の下限である1,000円は年額に直すと1万2,000円、上限の90,000円は年額108万円で、どちらも同じ「月額の相場の中」でありながら、年間の負担は100万円近く違います1。
社内で予算を通すときは、月額に12を掛けた年額と、次に述べる初期費用を足した初年度の総額を並べて示すと、判断材料がそろいます。
複数のサービスを比べるときも、月額の数字だけを横に並べるのではなく、同じ期間(たとえば初年度と3年分)で総額に直してから比べると、見かけの安さに引きずられにくくなります。
初期費用の相場(0円〜100万円前後)
初期費用の相場は0円〜100万円前後とされています1。月額と同じく幅が広く、初期費用を取らないサービスと、初期設定に100万円規模がかかるサービスが、同じ「受発注管理システム」という括りの中に並んでいます。
初期費用が0円であっても、それは「導入時の作業が発生しない」という意味とは限りません。初期設定を自社で行う前提になっているのか、提供元が代行するのかで、社内にかかる手間は変わります。
見積もりを受け取ったら、初期費用の欄に何が含まれているかを項目で確認してください。確認したい代表的な項目は、初期設定、商品や取引先などのマスタ登録、既存データの移行、担当者向けの操作説明です。
これらが初期費用に含まれるのか、別料金なのか、あるいは自社作業を前提としているのかは提供元によって異なります。
含まれない項目が後から別見積もりで出てくると、当初の比較が成り立たなくなるため、金額の大小より先に内訳の粒度をそろえることが実務上は効きます。
初年度の負担は、初期費用と月額の合計で見ます。相場の端どうしで計算すると、初期費用0円・月額1,000円なら初年度は1万2,000円、初期費用100万円・月額90,000円なら初年度は208万円になります1。
同じ相場情報の中でこれだけの差があるということは、「相場より高い・安い」という言い方自体があまり役に立たないということでもあります。
比べるべきは相場との距離ではなく、自社が必要とする機能範囲に対してその金額が妥当かどうかです。
費用の重さは、導入をためらう理由として実際に上位に挙がっています。東京商工会議所の調査では、デジタルシフト・DXの課題として「コスト負担」を挙げた中小企業が31.9%で最多でした(2024年)4。
コストが障害になりやすいからこそ、総額を漠然と恐れるのではなく、月額・初期費用・オプションに分解して、削れる部分と削れない部分を分けて考える進め方が現実的です。
次の節では、その月額が何によって決まるのかを整理します。
月額費用は何で決まるのか(取引先数・機能・カスタマイズの有無)
システムタイプによる違い(ASP型・受発注ポータル型・販売管理連動型)
電子受発注システムは、提供のされ方によって費用の考え方が変わります。ASP型は、提供元が用意した既製のサービスをインターネット経由で月額を払って使う形です。
受発注ポータル型は、自社が注文用の画面を用意し、取引先にそこから発注してもらう形を指します。
販売管理連動型は、自社の販売管理システムや基幹システム(受注・在庫・請求などを扱う社内の中核システム)と注文データを連動させる形で、既存システムとのつなぎ込みが前提になります。
費用の差は、既製のものをそのまま使うか、自社の業務に合わせて作り込むかで大きく開きます。株式会社アイルが公開している受発注システムの料金プランでは、小規模なカスタマイズを伴う構成で月額7〜10万円・初期費用400〜800万円、中規模のカスタマイズを伴う構成で月額10〜15万円という水準が示されています3。
これは特定の製品の公開価格であり、すべてのカスタマイズがこの金額になるという意味ではありません。
ただし、標準機能の範囲を超えて自社向けの作り込みを求めると、月額よりも初期の開発費のほうが大きくなりやすいという構造は読み取れます。
どのタイプを選ぶかは、社内の希望よりも先に、取引先との関係で決まる部分があります。取引先が指定する形式でデータを受け渡す必要があるのか、自社の画面から発注してもらえれば足りるのか、社内の基幹システムに手入力で転記している工程を無くしたいのか。
この三つのうちどれが主目的かによって、検討すべきタイプと価格帯が変わります。
目的が「社内の転記をなくすこと」なら基幹システムとの連携が論点になり、「取引先からの電話・FAXを減らすこと」なら標準機能のASP型でも要件を満たせる場合があります。
料金体系(アカウント数・取引件数・追加オプション)
同じ月額でも、何を単位に課金するかはサービスによって異なります。よくある単位は、システムを使う社内アカウントの数、月間の取引件数や伝票数、登録する取引先の数、そして基本料金に含まれない追加オプションです。
アカウント課金なら人を増やすと月額が上がり、取引件数課金なら受注が増えた月に月額が上がります。
自社の増え方がどちらに近いかを踏まえないと、導入時点では安くても、事業が伸びた局面で想定外の負担になることがあります。
見積もりを依頼する前に、自社の数字を先に出しておくと比較が正確になります。用意したいのは、システムを使う社内の人数、月間の注文件数、取引先の数、そして繁忙期のピーク時の件数です。
特にピーク時の件数は、件数課金の体系では月額を押し上げる要因になるため、平常月の数字だけで見積もると実際の請求額とずれます。
オプションについても、どの機能が基本料金に含まれ、どれが追加料金なのかを一覧にしてもらうと、後からの上振れを防げます。
複数社を比べるときは、条件をそろえることが前提です。A社は10アカウント込み、B社は5アカウントで超過分は従量、といった違いがあると、表示上の月額を並べても意味のある比較になりません。
同じ利用人数・同じ取引件数・同じ機能範囲で見積もりを取り、初期費用を含めた初年度総額と、2年目以降の年額の二つを並べるのが実務的な比較方法です。
この整理ができると、次に述べる「どこを削れば月額が下がるか」の判断もしやすくなります。
月額費用を抑える具体的な方法(機能の絞り込みと補助金の活用)
不要な機能・オプションを削って月額を抑える
月額を下げる方法として最初に検討できるのは、機能の範囲を絞ることです。現在の受発注業務を工程ごとに書き出し、注文の受付、内容の確認、在庫の引き当て、納期回答、出荷指示、請求といった各工程のうち、システムで置き換えたい工程を特定します。
そのうえで、置き換えたい工程に直接関わる機能を「必須」、将来使うかもしれない機能を「保留」に分けます。
保留に回した機能をオプション契約から外せば、その分だけ月額は下がります。
絞り込みを機能単位ではなく段階で行う方法もあります。最初は注文の受付と履歴管理だけを電子化し、運用が定着してから在庫連携や請求連携を追加する進め方です。
この場合、追加時に月額がいくら上がるのか、追加に初期費用がかかるのかを契約前に確認しておくことが条件になります。
後から追加できない構成だと、段階導入のつもりが結局は入れ替えになり、初期費用を二重に払うことになりかねません。
一方で、削りすぎると社内の手作業が残り、システム化の効果が出ないという逆向きの問題も起こります。たとえば注文データを受け取れても、基幹システムへの入力が手作業のまま残るなら、転記の手間と入力ミスの確認作業は減りません。
削る対象を決めるときは、その機能を外した場合に誰がどの作業を手で行うことになるかを具体的に書き出し、その手間と削減できる月額を並べて判断してください。
月額数千円を削るために担当者の作業が毎日発生するなら、割に合わない場合もあります。
デジタル化・AI導入補助金2026の活用
初期費用や導入時の負担を軽くする手段として、公的な補助制度の利用を検討できます。独立行政法人中小企業基盤整備機構が実施するデジタル化・AI導入補助金2026には、インボイス枠(インボイス対応類型)が設けられています2。
この類型では、対象となるソフトウェアが備えるべき機能が定められており、会計・受発注・決済のうち、補助額50万円以下の場合は1機能以上、補助額50万円超〜350万円以下の場合は2機能以上を有することが機能要件とされています(2026年度)2。
つまり、受発注の機能だけを持つソフトウェアと、受発注に加えて会計や決済の機能を持つソフトウェアでは、狙える補助額の区分が変わる可能性があります。
この機能要件は、費用を抑える検討そのものに影響します。月額を下げるために機能を絞り込んだ結果、備える機能が一つだけになると、2機能以上が求められる補助額の区分には合わなくなるためです2。
補助制度を使う前提で検討しているなら、「どこまで削るか」を決める前に、狙う補助額の区分と必要な機能数を先に確認しておくほうが、手戻りが少なくなります。
逆に補助制度を使わないと決めているなら、機能数の制約にとらわれず、自社に必要な機能だけで構成して構いません。
本記事で確認できたのは上記の機能要件までで、補助率、対象経費の具体的な範囲、公募回ごとの締切や交付までのスケジュールは、この記事の調査では確認していません。
これらは公募の回ごとに定められるため、申請を検討する場合は事務局が公開する公募要領で、対象経費に月額利用料が含まれるか、何年分まで対象になるかを必ず確認してください。
補助制度を前提に予算を組む場合でも、採択されなかったときに自社負担で導入できる金額かどうかを先に決めておくと、判断が止まりません。
安さだけで選ぶ際の注意点(機能要件と取引先対応)
補助金の機能要件(会計・受発注・決済)を満たせるか確認する
無料プランや低価格プランを用意しているサービスもあり、費用だけを見れば選択肢に入ります。ただし、そのプランで実現できる範囲が、自社が必要とする要件と補助制度の要件の両方を満たすかは別の問題です。
補助額50万円超〜350万円以下の区分では会計・受発注・決済のうち2機能以上が求められるため2、受発注の機能だけの安価なプランでは、その区分の要件に合わない可能性があります。
補助制度の利用を前提にしているなら、価格表を見る前に機能要件との照合を済ませてください。
実務的には、見積もりを二通り取ると判断しやすくなります。一つは自社に必要な機能だけを入れた最小構成、もう一つは補助制度の機能要件を満たす構成です。
二つの初年度総額を比べ、補助が受けられた場合と受けられなかった場合の自社負担を並べれば、どちらを選ぶかの根拠が社内で共有できます。
この比較をせずに「安いほう」を選ぶと、補助の対象外だったことが後から分かり、結果的に高い買い物になることがあります。
取引先が求める連携・EDI要件に対応できるか
取引先から電子化を求められて検討している場合は、取引先側の要件が事実上の必須条件になります。EDI(電子データ交換:企業間で注文や出荷のデータを決められた形式でやり取りする仕組み)では、使用する通信手順やデータの項目が指定されることがあります。
この指定に対応できないシステムを選ぶと、月額が安くても目的を果たせません。
検討の早い段階で、取引先にデータ形式・通信手順・送受信のタイミングを確認し、その条件を候補サービスの提供元に提示して対応可否を聞くのが確実です。
将来の拡張も、契約前に確認する項目です。今は取引先が数社でも、対象を広げる予定があるなら、取引先を追加したときに月額がどう変わるか、追加作業に費用がかかるかを聞いておきます。
基幹システムとの連携を後から追加する可能性があるなら、その構成に対応できるか、対応する場合に何が必要になるかも同時に確認します。
個別の作り込みを伴う構成では月額7万円〜15万円、初期費用400万円〜800万円という公開価格の例があり3、標準機能のプランとは桁が変わります。最初から高い構成を選ぶべきという意味ではなく、将来その水準の投資が必要になる可能性を織り込んで、今の選択を決めるという意味です。
安いプランを選ぶこと自体が問題なのではありません。問題になるのは、自社の要件と取引先の要件を確かめないまま価格だけで決めてしまい、必要な機能が使えないと分かってから選び直す状況です。
要件が満たせることを確認したうえで最も安い選択をするなら、それは合理的な判断です。
確認すべきは、必要な機能が標準で含まれるか、含まれない場合の追加費用はいくらか、取引先の指定形式に対応できるか、将来の拡張時に何が起きるかの四点です。
ここまでで、月額費用の相場は1,000円〜90,000円程度、初期費用は0円〜100万円前後という幅があること1、その幅は利用者数・機能範囲・カスタマイズの有無で決まること、削る前に補助制度の機能要件2と取引先の要件を確認する必要があることを整理しました。ただし、この幅をひとつの連続した相場として捉えると、自社が見るべき水準を見誤ります。次に、確認できた価格情報を並べて、価格帯がどのように分かれているかを見ていきます。

月額費用の相場には90倍近い幅があり、自社がどの水準に入るかは、利用者数・取引件数・取引先が指定するデータ形式・基幹システム連携の要否を組み合わせて初めて絞り込めます。この組み合わせを社内だけで整理すると、見積もりの条件がそろわず比較が成り立たないことがあります。
現在の受発注の工程と取引先の要件をお聞きしたうえで、標準機能で足りる範囲と、追加費用が必要になる範囲の線引きを一緒に確認できます。無料相談で要件を整理する
受発注システムの価格帯はどう分かれるか
月額費用の水準が低いほうから順に、対象となる機能範囲とカスタマイズの規模で並べています。
- 月額1,000円前後から数万円の標準機能クラス:受発注管理システム全体の月額相場は1,000円〜90,000円程度とされ、この幅の下側が既製のクラウドサービスを標準機能のまま使う構成にあたります1。
- 初期費用0円〜100万円前後:同じ相場情報では初期費用にも大きな幅があり、初期費用を取らないプランと、100万円規模の初期設定費がかかるプランが同じ相場の中に含まれます1。
- 月額7万円〜10万円・初期費用400万円〜800万円の小規模カスタマイズ:株式会社アイルが公開する受発注システムの料金プランで示されている水準で、標準機能の相場帯とは初期費用の桁が異なります3。
- 月額10万円〜15万円の中規模カスタマイズ:同じ公開料金で、カスタマイズの規模が上がった場合の月額水準として示されています3。
- 組み合わせから読めること:受発注システムの費用は、低価格帯の標準機能サービスと、個別カスタマイズを伴う中〜大規模案件とで価格帯が分かれる傾向が読み取れます。ただしこれは統計的な分布調査ではなく、対象企業規模も機能範囲も異なる二つの情報源を並べた参考情報であり、中間の価格帯が存在しないという意味ではありません。
月間の取引件数と、基幹システムとの自動連携が必要かどうかで、参照すべき価格帯を切り替えます。連携が不要なら標準機能クラスの相場、必要ならカスタマイズを伴う構成の水準を前提に予算を組みます。
自社の条件別の選び方(小規模ASPと中〜大規模カスタマイズ)
| 型 | 向く事情 | 費用の目安 | 契約前に確かめること |
|---|---|---|---|
| 小規模・標準機能(ASP・パッケージ型) | 取引先が少なく、標準機能で受発注業務が完結する | 月額1,000円〜90,000円程度、初期費用0円〜100万円前後1 | 標準機能に含まれる範囲、オプションの追加料金、取引先増加時の月額の変わり方 |
| 中〜大規模・カスタマイズ型 | 取引先が多く、基幹システムとの連携や独自機能が必要 | 月額7万円〜15万円、初期費用400万円〜800万円の公開例3 | 連携対象システムと接続方式、開発範囲の確定時期、保守費が月額に含まれるか |
取引先が少なく標準機能で足りる場合
この型を選べる条件
取引先の数が限られ、注文の受け方が概ね共通していて、社内の基幹システムへの取り込みを手作業のままにしても運用が回るなら、標準機能のクラウド型サービスで足ります。この場合の費用は相場の下側、月額1,000円〜数万円、初期費用0円〜数十万円の範囲に収まることが期待できます1。
ここでの判断の軸は「取引先が指定する形式があるかどうか」です。指定がなく、自社の注文画面から発注してもらう形で合意できるなら、既製のサービスをそのまま使える可能性が高くなります。
逆に、一社でも独自形式を指定する取引先があるなら、その一社への対応方法を先に決める必要があります。
無料プランを用意しているサービスもあり、まず試してから判断する進め方も取れます。ただし無料プランで使える機能の範囲はサービスごとに異なるため、試用の目的を「操作性の確認」に限るのか「本番運用の可否判断」までを含めるのかを決めてから使い始めてください。
本番運用の可否まで判断したいなら、試用期間中に実際の注文データを流し、月末の締めや請求との突き合わせまで一度通してみることが確認方法になります。
この通し確認をしておくと、有償プランに切り替えた後で足りない機能が判明する事態を減らせます。
月額を抑えたまま運用を続けるための確認
契約後に月額が上がる要因は、利用者の追加、取引件数の増加、オプションの追加の三つに集約されます。契約前に、それぞれが発生したときの単価と、上限があるかどうかを確認しておいてください。
特に取引件数で課金される体系では、繁忙期に月額が跳ねることがあります。
平常月とピーク月の両方で試算し、年間の合計で比較すると、実際の負担に近い数字になります。
運用が定着したあとに機能を追加する場合も、追加の可否と費用を事前に把握しておくと判断が速くなります。在庫連携や請求連携を後から足せる構成なら、最初は最小構成で始めて、必要になった時点で広げる進め方が取れます。
追加できない構成の場合は、将来の入れ替えを見込んだ判断が必要になります。
この違いは価格表には書かれていないことが多いため、見積もり依頼の際に質問として投げておくのが確実です。
| 確認項目 | 確認先 | 確認しておくと防げること |
|---|---|---|
| 標準機能に含まれる範囲 | 提供元の見積内訳 | 導入後に必要機能が有償と判明する |
| 利用者・取引件数の追加単価 | 提供元の料金表と契約書 | 繁忙期に月額が想定を超える |
| 取引先が指定するデータ形式 | 取引先の担当部門 | 電子化の目的自体が果たせない |

基幹システム連携など個別カスタマイズが必要な場合
この型が必要になる条件
取引先が多く、それぞれ異なる形式で注文が届く、価格や掛率が取引先ごとに設定されている、注文データを基幹システムへ自動で取り込みたいといった要件があると、標準機能だけでは収まりません。株式会社アイルが公開する料金プランでは、小規模なカスタマイズを伴う構成で月額7〜10万円・初期費用400〜800万円、中規模のカスタマイズを伴う構成で月額10〜15万円という水準が示されています3。
これは一社の公開価格であり、すべての案件がこの金額になるわけではありませんが、標準機能のプランとは前提が異なることは押さえておく必要があります。
この型を検討する段階では、月額の比較よりも、初期の開発費と、その費用を何年で回収する想定なのかという視点が中心になります。
注意したいのは、データが存在することと、機能が動くことは別だという点です。基幹システムに取引先ごとの価格データが入っていても、受発注画面でその価格を取引先別に表示するには、連携の実装とその動作条件の設定が必要になります。
同様に、受注の窓口を一本化しても、請求のまとめ方や締め日が取引先ごとに違うなら、請求側の処理は自動的には一本化されません。
見積もりを取る前に、どのデータを、どの画面で、どのタイミングで使いたいのかを一覧にしておくと、開発範囲のずれによる追加費用を減らせます。
費用の見通しを立てる進め方
カスタマイズ型では、初期費用が確定するのが要件を固めた後になることが一般的な進め方です。そのため、概算の段階で契約まで進めず、要件定義の範囲と費用、その後に初期費用が変動する条件を書面で確認しておくことが重要になります。
変動条件が曖昧なままだと、開発の途中で追加要望が出るたびに費用が積み上がります。
要件を出す側として、譲れない要件と、実現方法を提供元に任せてよい要件を分けて伝えると、無駄な作り込みを避けやすくなります。
月額の内訳も確認が必要です。保守、サーバー利用料、問い合わせ対応が月額に含まれるのか、別建てなのかで、年間の負担は変わります。
また、カスタマイズした部分についてシステムの更新時に追加費用が発生するのかも、長期の費用に影響します。
これらを含めた3年分の総額を、標準機能のプランを使い続けた場合の総額と並べて、差額に見合う効果があるかを社内で議論するのが現実的な進め方です。
なお、補助制度を使う場合は、この型でも会計・受発注・決済のうち必要な機能数の要件を満たすかどうかが論点になります2。カスタマイズの内容によって対象経費の扱いが変わる可能性もあるため、申請を前提にするなら、開発範囲を固める前に事務局の公募要領で対象範囲を確認してください。
| 決めておく項目 | 決める時期 | 未確定のまま進めた場合の影響 |
|---|---|---|
| 連携する社内システムと連携方式 | 見積依頼の前 | 初期費用の見積もりが概算のまま動かない |
| 取引先ごとの価格・締め日の扱い | 要件定義の段階 | 開発途中の追加要望で費用が積み上がる |
| 保守・サーバー費が月額に含まれるか | 契約前 | 2年目以降の年額が想定と合わない |

要点の整理
| 軸 | 基準 |
|---|---|
| 月額費用の目安 | 1,000円〜90,000円程度(2026年時点の相場)1 |
| 初期費用の目安 | 0円〜100万円前後。初期設定やデータ移行が含まれるかは見積内訳で確認1 |
| カスタマイズを伴う構成の水準 | 月額7万円〜15万円、初期費用400万円〜800万円の公開例がある3 |
| 補助制度の機能要件 | 会計・受発注・決済のうち、補助額50万円以下は1機能以上、50万円超〜350万円以下は2機能以上(2026年度)2 |
| 比較の前提 | 利用者数・月間取引件数・取引先数・連携要件をそろえ、初年度総額と2年目以降の年額で比べる |
| 絞り込みの限界 | 取引先が指定するデータ形式に対応できない構成は、月額が安くても目的を果たせない |
機能を絞って月額を下げる判断と、補助制度の機能要件や取引先のデータ形式を満たす判断は、同時に検討しないと後から選び直しになります。どちらを優先するかは自社の取引条件によって変わります。 最小構成と要件を満たす構成の二通りで初年度総額と2年目以降の年額を並べ、どこまで削れるかの判断材料を整理する相談ができます。
よくある質問
無料プランの受発注システムでも、取引先とのEDI連携はできますか。
できるかどうかはサービスごとに異なり、無料プランという理由だけでは判断できません。EDIでは取引先が通信手順やデータ項目を指定することがあるため、まず取引先に指定形式の有無を確認し、その形式を候補サービスの提供元に伝えて対応可否を聞いてください。対応が有償オプションになる場合は、その追加分を含めた月額で比較する必要があります。無料プランは操作性や社内での受け入れやすさを確かめる用途には向きますが、取引先の要件を満たせるかどうかは別途の確認が必要です。
デジタル化・AI導入補助金2026は、申請から入金までどのくらいの期間がかかりますか。
本記事で確認した資料の範囲では、申請から入金までの日数は示されていないため、期間をお伝えすることはできません。公募回ごとに締切や交付のスケジュールが定められるため、事務局が公開する公募要領で確認してください。あわせて先に確認しておきたいのが機能要件で、インボイス枠(インボイス対応類型)では会計・受発注・決済のうち、補助額50万円以下は1機能以上、50万円超〜350万円以下は2機能以上を備えることが求められます(2026年度)2。この要件を先に照合しておくと、対象外のプランで検討を進める手戻りを防げます。
月額費用以外に発生するランニングコストはありますか。
月額に何が含まれるかは契約によって異なるため、見積書の内訳で確認してください。確認したいのは、保守・サポートの費用、サーバーや通信にかかる費用、利用者や取引先を追加したときの単価、オプション機能の月額、そしてシステム更新時の費用の扱いです。これらが月額に含まれている契約もあれば、別建ての契約もあります。初期費用は0円〜100万円前後と幅があるため1、初期費用と月額を分けたうえで、初年度総額と2年目以降の年額の二つを出して比較すると、実際の負担が見えやすくなります。
導入後にプランを変更する場合、追加費用は発生しますか。
変更の可否と費用は契約条件によって決まるため、契約前に確認しておく項目です。アカウント数や取引件数で課金される体系では、利用者や件数の増減に応じて月額が変わります。機能を追加する場合は、追加分の月額に加えて設定作業の費用が発生することがあり、逆に減らす場合も契約期間の残りによっては即座に下がらないことがあります。カスタマイズを伴う構成では、変更が改修作業になり別途の開発費が必要になる場合があります。段階的に機能を広げる前提なら、追加時の単価と作業費を見積もり段階で書面にしてもらってください。
- 1 出典:株式会社スマートキャンプ「BOXIL Magazine 受発注管理システムの費用相場と料金比較・おすすめサービス」(2026年) 経路
- 2 出典:独立行政法人中小企業基盤整備機構「デジタル化・AI導入補助金2026 インボイス枠(インボイス対応類型)」(2026年度) 経路
- 3 出典:株式会社アイル「Web受発注システム・BtoB EC「アラジンEC」料金プラン」(2026年) 経路
- 4 出典:東京商工会議所「中小企業のデジタルシフト・DX実態調査 集計結果」(2025年) 経路
画像の出典元
- 30代前半の日本人女性が発注画面の操作をしている場面/画像:生成AI(自社)
- Close-up of a formal handshake between two businessmen in an/Photo by Kampus Production on Pexels
- Three businessmen in suits reviewing reports and graphs duri/Photo by Gustavo Fring on Pexels
- Spacious and stylish open-plan office with loft and industri/Photo by Proxyclick Visitor Management System on Pexels