◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- ASPサービス型の月額は、標準機能の利用権にあたるベースエンジン利用料が月額170,000円からという公表値を土台に、従量分とオプションが積み上がります(2026年時点)。
- 補助制度の通常枠では補助額が5万円から450万円までで、クラウド利用料は2年分までが補助対象になります。
- 2025年度にIT予算を増やした理由の首位は既存システム・基盤の刷新・更新・増強で66.3%、値上げ等の影響が46.6%と続きます。
- クラウドサービスを利用する企業は2024年に80.6%へ広がっており、設置形態の選び方が月額の前提そのものを変えます。
目次

月額費用を決める基本料と従量と保守
受発注システムの月額費用とは、基本利用料と取引量に応じた従量分、保守運用費を合算した毎月の支払額を指します。ASPサービス型ではベースエンジン利用料が月額170,000円からという公表値があり4、ここにオプションと自社仕様の改修分が加わります。
朝9時、受注担当の机にはFAXの紙が重なり、受話器を置いた手がそのまま基幹システムへ数字を打ち直しています。電話とメールと紙が同じ注文を三度運んでくるため、担当者は同じ品番を一日に何度も入力します。ここで起きているのは入力の遅さではなく、確認が終わるまで次へ進めない待ち時間です。心当たりはないでしょうか。
待ち時間を解く費用を稟議へ出しても決まらない理由は、見積書の月額が一行で示されることにあります。基本利用料と従量分と保守運用費が分かれていないため、取引先や商品を増やしたときにどこがいくら動くのかを社内で説明できません。株式会社ポディウムの導入時には、登録商品約2万点を精査したうえで移行しています5(2025年)。商品数のような自社の量を先に押さえておくと、月額のどの項目が動くのかを見積もりの前に指定できます。
見積書のどの行にも現れないのが、FAXと電話を追いかけて溶けていく毎日の1時間で、この時間は給与という形で毎月支払われています。
月額17万円からのASP型の料金構成
ベースエンジン利用料の位置づけ
ASPサービス型の月額は、ベースエンジン利用料を土台に積み上がります。公表されているモデルケースでは、この利用料が月額170,000円からと示されています4(2026年時点)。含まれるのは受注・見積・得意先別価格といった標準機能の利用権で、自社仕様の作り込みは含まれません。土台の額だけを見て「月額17万円で入る」と読むと、稟議の途中で金額が動きます。
カスタマイズ費用は別見積もり
金額を動かすのは自社の商習慣に合わせる部分で、ここは別見積もりとして分かれます。掛売の締め日、得意先ごとの単価表、承認の段数は会社ごとに違うため、標準機能の範囲には収まりません。この部分を月額へ寄せるか初期費用へ寄せるかで、毎月の支払額は変わります。受け取る側は、どちらへ寄せた見積もりなのかを先に確かめておくと、後の比較が崩れません。
OCRや検索などオプションの加算
オプションは、使う機能の数だけ月額へ加算されます。FAX注文票の読み取り(OCR。紙の文字を機械が読み取る処理)や商品検索の強化は、標準機能とは別の枠で数えられます。登録IDの数や月あたりの取引量に応じて動く従量分も、この加算の側に入ります。後から足す前提で契約すると、初年度の月額と二年目の月額はずれるのです。
いまの形を据え置く費用は、値上げ等の影響でIT予算が増えた企業46.6%と同じ向きで、毎年上へ動きます3。
初期費用込みで判断する総保有コスト
初期費用と月額を合算した比較
月額だけを並べても、比べたことにはなりません。初期費用と月額の合算を先に作り、同じ年数で割って一つの額に直します。初期に寄せた見積もりと月額へ寄せた見積もりでは、毎月の数字の見え方が逆になるからです。稟議へ出すのは、合算した総額と、その内訳の両方です。
刷新周期を織り込んだ費用試算
次に置くのが刷新周期の反映です。次の更新までの年数を先に決め、その年数分の支払額を並べます。2025年度のIT予算の増減を示すDI値は43.3ポイントで、増やす側へ振れています3。更新の時期を置かないまま月額だけで比べると、更新の年に費用が跳ね、試算そのものが使えなくなります。
見積もり項目の抜けを防ぐ確認点
最後が見積もり項目の確認です。基本利用料、従量分、保守運用費、オプション、カスタマイズ費用の5項目が、それぞれ別の行で書かれているかを見ます。行が足りない見積もりは、後から差分の請求として戻ってきます。「一式」の行を残さない見積もりが手元にあれば、総額のうちどこを補助で賄えるかまで読めます。
クラウド利用料2年分が使える補助制度
通常枠の補助額5万円から450万円
補助制度を前提に置くときの判断軸の一つ目は、補助額の幅です。通常枠では、1プロセス以上で5万円から150万円、4プロセス以上で150万円以上450万円以下が補助額の範囲になります2(2026年時点)。クラウド利用料については、2年分までが補助対象です2。自社の刷新範囲がどちらの枠に入るかで、初期費用の自己負担の見込みが決まります。
補助率1/2と2/3の分かれ目
二つ目は補助率の分かれ目です。通常枠の補助率は原則1/2以内で、特例の要件を満たす場合に2/3以内となります2。同じ補助額の枠に入っても、この分かれ目で自己負担額は変わります。補助額と要件は年度ごとに改定されますので、申請の前に公募要領の最新版で確かめてください。
申請前に整える費用内訳の粒度
三つ目は費用内訳の粒度です。申請の書類では、初期費用とクラウド利用料、保守運用費を分けて書きます。見積もりが月額の一行だけでは、どこまでが補助対象なのかを示せません。基本利用料と従量分と保守運用費に分けた見積もりを先に受け取っておけば、申請と稟議に同じ書類を使えます。
ここまでで稟議に必要な内訳と総額の見方は揃いましたので、ここから先は自社の条件が標準から外れると感じた方に向けた内容です。
ここまでの手順を自社の条件で確かめたい場合は、無料相談で要件を整理するのが近道です。
IT予算増の理由は刷新66.3%が首位
IT予算を増やす理由の順位は公表された調査に依りますが3、自社の条件が調査の前提と違うなら、次に並べる型のどれに当たるかを先に決めます。

順位根拠:公表された調査
- 2025年度にIT予算を増やした理由として回答割合が最も高かったのは既存システム・基盤の刷新・更新・増強で、66.3%です3。受発注の見直しは、この首位の理由に重なります。
- 円安・人件費高騰・ベンダー提供価格の値上げ等の影響を挙げた企業は46.6%です3。据え置いても支払いが動く側の理由です。
- クラウドサービス増加を挙げた企業は45.0%です3。月額として毎年払う形が予算に定着してきた表れです。
自社の事情がこの3つの行に無い場合は、次の型の表から条件で探せます。
設置形態・刷新範囲・導入時期 — 条件別の3つの型
| 型名 | 条件 |
|---|---|
| 別途見積もりのオンプレミス型 | 自社設置を前提とし、公表料金がそのまま当たらない条件 |
| 補助対象4プロセス以上の一括刷新 | 受発注と周辺業務を同時に刷新し、150万円以上450万円以下の枠を見込む条件 |
| 2年区切りのクラウド段階導入 | クラウド利用料が補助対象となる2年を区切りに、範囲を分けて入れる条件 |
別途見積もりのオンプレミス型
公表料金が適用されない条件
自社設置を選ぶと、公表されている料金がそのまま当たりません。ベースエンジン利用料が月額170,000円からという公表値は、提供側の環境で動かす前提の金額です4(2026年時点)。自社設置では機器と回線、稼働監視の分担が会社ごとに変わるため、月額は別途見積もりになります。先に示した内訳の分け方は使えますが、土台の額を公表値から借りることはできないのです。
自社設置で増える保守の負担
自社設置では、保守運用費の中身が入れ替わります。提供側が持っていた稼働監視と更新の作業が自社側へ移り、機器の入れ替え時期も自社で管理します。クラウドサービスの利用が2024年に80.6%まで広がった環境では1、自社設置を続ける会社ほど保守の担い手を社内に置く前提が要ります。この型の判断軸は月額の高低ではなく、保守を誰が持つかの分担ですね。
見積もり依頼時に渡す前提条件
別途見積もりを頼む側は、前提条件を先に渡すと金額の幅が縮みます。取引先数、月あたりの受注件数、商品数、基幹システムの連携方式、承認の段数を書き出して渡します。前提条件が欠けたままだと見積もりは広い幅で返り、比較の土台になりません。
自社設置の見積もりを読み解くには、機器と回線の費用、保守の分担、更新時期を同時に置ける担当と、複数部門にまたがる確認の手間が要ります。
| 渡す前提条件 | 記載する内容 | 抜けたときに動く費用 |
|---|---|---|
| 取引先と受注の量 | 取引先数と月あたりの受注件数 | 従量分と機器・回線の見積もり |
| 商品の量 | 登録商品数と価格表の本数 | 初期の移行費用と保守運用費 |
| 基幹連携の方式 | 連携する対象と受け渡しの形 | カスタマイズ費用の別見積もり |
| 承認の段数 | 承認者の数と差し戻しの扱い | カスタマイズ費用の別見積もり |
補助対象4プロセス以上の一括刷新
150万円以上450万円以下の枠
補助制度の通常枠では、対象プロセスが4プロセス以上のときに補助額が150万円以上450万円以下の枠になります2(2026年時点)。1プロセス以上の枠は5万円から150万円です2。受発注だけでなく在庫や請求も同時に見直す会社は、上の枠に入る見込みがあります。枠が変われば、初期費用の自己負担の見込みも変わります。
刷新と同時導入で膨らむ月額
同時に刷新する範囲を広げると、月額の側も膨らみます。2025年度にIT予算を増やした理由の首位は既存基盤の刷新で66.3%でした3。ただし範囲を広げた分だけ、オプションと保守運用費は積み上がります。補助の対象は初期費用とクラウド利用料2年分までで、三年目以降は自社負担です2。補助額の枠を狙って範囲を広げると、三年目の月額が想定を超えることがあります。
対象プロセス数の数え方の確認
対象プロセス数は、自社の数え方と公募要領の数え方が一致しているかを確かめます。4プロセス以上という区切りは補助額の枠を分ける条件ですから2、数え方を誤れば想定した枠に入りません。要件と回次は見直されますので、申請の前に最新の公募要領で確かめてください。この型の判断軸は、枠に合わせて範囲を広げるのではなく、必要な範囲が結果としてどの枠に入るかを確かめる順序です。
一括刷新の申請では、プロセスの数え方、初期費用と月額の切り分け、三年目以降の負担を同時に整える必要があり、経理と情報システムの双方の手が要ります。

2年区切りのクラウド段階導入
クラウド利用率80.6%という前提
クラウドサービスを利用する企業は2024年に80.6%です1。自社設置に限る理由が薄い会社では、月額を毎年払う形が前提になります。段階導入は、その前提のうえで払う範囲を年ごとに分ける進め方です。初年度から全部門へ広げないため、支払いの立ち上がりを緩やかにできます。
2万点の商品登録を精査した例
商品数の多い会社では、移行前の精査が月額の前提を決めます。株式会社ポディウムの導入時には、登録商品約2万点を精査しています5(2025年)。商品登録の精査を先に済ませておくと従量分の見込みが立ち、初年度の範囲を決めやすくなります。取引先が数社で商品数も限られる場合は、既存の基幹システムの受注入力を共有したまま、外部へ委託せずに運用を続ける選択も残ります。
補助対象期間で区切る導入計画
導入計画は、クラウド利用料が補助対象となる2年を区切りに置きます2。初年度の範囲では受注の移行を先に進め、二年目の範囲で基幹連携の追加を足します。補助対象期間の後は、利用料の自社負担を前提に月額を置き直します。三年目の支払額を先に置いておけば、稟議の場で「補助が切れたらどうなるのか」に答えられます。
範囲を年ごとに切り分けるには、受注量と商品数の実測、基幹側の連携仕様を読める担当、複数部門との調整の3つが要ります。
| 区切り | 移す範囲 | 月額に効く項目 |
|---|---|---|
| 初年度の範囲 | 電話とFAXの受注と商品登録の精査 | 基本利用料と従量分 |
| 二年目の範囲 | 在庫と請求の基幹連携の追加 | オプションと保守運用費 |
| 補助対象期間の後 | 運用の定着と改修の平準化 | 利用料の自社負担分 |
この型に当てはまる場合は、判断の抜けによる手戻りを防ぐために、無料相談で自社の条件を持ち込むのが確実です。
要点の整理
| 判断軸 | 基準 |
|---|---|
| 月額の内訳 | 基本利用料・従量分・保守運用費に分けた見積もりで受け取る |
| 土台の額 | ASPサービス型のベースエンジン利用料は月額170,000円から(2026年時点) |
| 総額の見方 | 初期費用と月額を合算し、次の更新までの年数を反映して比べる |
| 補助の枠 | 通常枠は補助額5万円から450万円、クラウド利用料は2年分まで |
| 設置形態 | 自社設置は公表料金が当たらず、保守の分担で月額が決まる |
| 刷新範囲 | 4プロセス以上で150万円以上450万円以下の枠、範囲拡大は月額に跳ね返る |
| 導入時期 | 補助対象期間の2年を区切りに範囲を分け、三年目の月額を先に置く |
よくある質問
初期費用は月額とは別に必要ですか
別枠で必要になります。ASPサービス型では、標準機能の利用権にあたるベースエンジン利用料が月額170,000円からと公表されており4(2026年時点)、自社仕様の作り込みは別見積もりです。補助制度の通常枠では、初期費用とクラウド利用料2年分までが補助対象になります2。金額は取引量と連携範囲で変わりますので、内訳を分けた見積もりで確かめてください。
月額費用の相場はいくらですか
相場として示せる一次情報は確認できていません。公表されている金額としては、ベースエンジン利用料が月額170,000円からというモデルケースがあります4(2026年時点)。ここに従量分、保守運用費、オプションが加わるため、同じ提供形態でも会社ごとに月額は変わります。相場を尋ねる代わりに、項目ごとの幅を聞く方が比較の土台になります。
補助率はどのように決まりますか
通常枠では原則1/2以内で、特例の要件を満たす場合に2/3以内となります2(2026年時点)。補助額は1プロセス以上で5万円から150万円、4プロセス以上で150万円以上450万円以下の枠です2。要件と枠は年度ごとに改定されますので、申請の前に公募要領の最新版で確かめてください。
オンプレミス型でも月額費用は発生しますか
保守運用費という形で毎月の支払いが残ります。自社設置では公表料金がそのまま当たらず、機器と回線、稼働監視の分担によって別途見積もりになります。クラウドサービスを利用する企業が2024年に80.6%まで広がった環境では1、自社設置を続ける判断ほど保守の担い手を社内に置く前提が要ります。
クラウド利用料はいつまで補助対象ですか
通常枠では、クラウド利用料が補助対象となる期間は2年までです2(2026年時点)。三年目以降は自社負担になりますので、補助が切れた後の月額を先に試算しておくと、稟議の場で説明が通ります。段階導入では、この2年を区切りに移行の範囲を分ける進め方があります。
IT予算そのものは増えていますか
2025年度にIT予算が前年度より増加した企業は52.6%で、増減を示すDI値は43.3ポイントです3。2026年度は、AI関連の投資・利用料の増加を理由に挙げる企業が43.7%という予測になっています3。受発注の刷新は、この予算の動きの中で他の投資と並べて説明することになります。
- 1 出典:総務省「令和7年版 情報通信白書(クラウドサービス)」(2025年) 経路
- 2 出典:独立行政法人中小企業基盤整備機構「デジタル化・AI導入補助金2026 通常枠」(2026年) 経路
- 3 出典:一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会「企業IT動向調査2026 プレスリリース第1弾」(2026年) 経路
- 4 出典:株式会社フライトソリューションズ「EC-Rider B2B Ⅱ 料金プラン・費用」(2026年) 経路
- 5 出典:株式会社フライトソリューションズ「EC-Rider B2B Ⅱ 導入事例(株式会社ポディウム様)」(2025年) 経路
画像の出典元
- A black coffee mug on an office desk with a blurred laptop i/Photo by Pavel Danilyuk on Pexels
- Zhuang women in traditional costumes perform a dance in a sc/Photo by Jaqor Q.I. on Pexels
- 30代後半の日本人女性が見積書の照合をしている場面/画像:生成AI(自社)