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買掛金とは?未払金との違い・仕訳の具体例と支払管理のリスクをわかりやすく解説

◆監修・編集責任者 小園 将隆 

B2B EC-COLUMN

この記事のポイント

  • 買掛金と未払金の分かれ目は、その購入が商品や原材料の仕入れなど通常の取引によるものかどうかで、設備や固定資産の購入による未払いは未払金に区分される
  • 仕入時は仕入/買掛金、支払時は買掛金/預金、値引き・返品時は買掛金/仕入が基本の形で、計上は支払日ではなく商品を受け取って検収した日に行う
  • 資本金の要件と製造委託等の類型を両方満たす取引では、給付を受領した日から起算して60日の期間内に支払期日を定める義務があり、超えた場合は遅延利息の規定が適用される
  • 取引先ごとの買掛金元帳は差額をなくす仕組みではなく、差額が出たときに原因を探す範囲を狭める仕組みとして使う
  • インボイスがない仕入れは原則として仕入税額控除ができないが、令和13年9月末までは一定割合を控除できる経過措置があるため、影響の大きい取引先から順に条件を検討できる

オフィスで段ボール箱の中身とタブレットを見比べる日本人の会社員

買掛金とは何か──未払金との違いと判断基準

仕入先から届いた請求書を前に、これは買掛金なのか未払金なのかで手が止まる——掛け取引の記帳でつまずきやすいのは、金額でも仕訳の形でもなく、最初の科目選びです。
財務諸表等規則の第47条第二号は、買掛金を「通常の取引に基づいて発生した営業上の未払金」と定義しています1
一方、設備の建設や固定資産・有価証券の購入など通常の取引以外から生じた未払いは、その他の負債に区分されます2
つまり分かれ目は、その購入が商品や原材料の仕入れという営業活動の一部かどうかです。
ここが決まれば、仕入時は「仕入/買掛金」、支払時は「買掛金/預金」と記帳が進み、取引先が増えたときは買掛金を補助科目にした買掛金元帳で残高を追う、という順番で整理できます5

買掛金の定義(財務諸表等規則の基準)

買掛金は、商品や原材料を仕入れて、その代金を後日まとめて支払う約束をしたときに使う負債の勘定科目です。
納品を受けた時点で支払う義務はすでに生じているのに、実際にお金が口座から出ていくのは翌月末などの支払日になります。
この、義務は発生しているけれどもまだ支払っていない金額が買掛金です。
財務諸表等規則の第47条第二号は、買掛金を「通常の取引に基づいて発生した営業上の未払金」と定義しています1

判断の軸になるのは「通常の取引」という部分です。
ここでいう通常の取引とは、その事業者が本業として繰り返している営業活動を指します。
小売業なら販売する商品の仕入れ、製造業なら製品に投入する原材料の調達が代表例で、これらを掛けで購入したときの未払いが買掛金にあたります。
財務諸表等規則そのものは有価証券報告書などを作成する会社に向けた開示のルールですが、通常の取引かどうかで仕入債務とそれ以外を分けるという考え方は、事業の規模を問わず勘定科目を選ぶときの基準として広く参照されています1

この第47条は流動負債の範囲を定めた条文で、買掛金はその中に掲げられています1
短い期間のうちに支払って消えることが前提の債務だという位置づけで、借入金のように長く残ることを想定した負債とは扱いが異なります。
買掛金の残高が毎月おおむね同じ水準で入れ替わっていくのは、この性質の表れです。

同じ仕入れでも、その場で現金を払ったり、購入と同時に口座から引き落とされたりする場合には買掛金は登場しません。
買掛金が生まれるのは、先に商品を受け取り、支払いを後日に回す取引条件を結んでいるからです。
そのため買掛金の残高は、仕入の量そのものではなく、仕入れてから支払うまでの期間にどれだけの取引が積み上がっているかを表しています。

請求書や納品書を前にしたときの判断も、この定義の順序をたどれば整理できます。
まず購入の中身が営業活動によるものかどうかを見て、そのうえで科目を決める、という順番です。

掛け取引では、納品のたびに支払うのではなく、月末締め・翌月末払いのように一定期間の取引をまとめて決済する形がよく使われます。
締め日から支払日までの間、代金は自社の帳簿に買掛金として残り、支払いが済んだ時点で消えます。
言い換えれば、買掛金の残高は「すでに受け取ったのに、まだ払っていない仕入れの合計」であり、近い将来にほぼ確実に出ていく金額です。
この性質があるため、買掛金は資金繰りを考えるときの手掛かりにもなります。

なお、同じ第47条の第一号には、支払手形が「通常の取引に基づいて発生した手形債務」として定義されています1
買掛金と支払手形は、どちらも営業取引から生じた仕入債務という点で共通していて、手形を振り出したかどうかで科目が分かれます。

未払金に区分されるケース

では、通常の取引以外の後払いはどこへ行くのでしょうか。
財務諸表等規則のガイドライン47-6は、設備の建設、固定資産又は有価証券の購入その他通常の取引以外の取引に基づいて発生した手形債務及び未払金を、その他の負債に属するものとしています2
営業活動そのものではない購入から生じた未払いは、買掛金とは別の区分に置かれるということです。

たとえば、倉庫に設置する棚や事務所のパソコン、配送に使う車両を後払いで購入した場合がこれにあたります。
これらは販売するために仕入れた商品でも、製品に投入する原材料でもなく、事業を営むための設備です。
同じ「まだ払っていない代金」でも、買掛金ではなく未払金として記帳することになります。
金額が大きく、支払いも一度きりであることが多いので、毎月の仕入れと同じ場所に並べてしまうと、残高の意味が読み取りにくくなります。

迷いやすいのは、営業活動に伴って発生するけれども、そのまま販売するわけではない購入です。
梱包資材や事務用の消耗品を後払いで買ったときなどが当てはまります。
このときも戻る先は同じで、その購入が自社の通常の取引として繰り返される仕入れにあたるかどうかを見ます12
判断がつきにくい品目については、商品と原材料の仕入れは買掛金、それ以外の後払いは未払金、というように自社の中で線引きを決めておくと、担当者が変わっても処理が揺れません。

同じ品目を月によって違う科目で処理してしまうと、残高が動いた理由が仕入の増減なのか処理の違いなのか、後から追えなくなります。
どちらの科目に入れるかで迷った品目ほど、判断した理由を短く残しておくと、翌月以降の記帳が速くなります。
科目の選択に唯一の正解を求めるより、同じ取引を同じ扱いで続けられる状態をつくるほうが、実務では効いてきます。

科目を分ける意味は、記帳の形式を整えることよりも、後から数字を読むときに現れます。
買掛金は仕入と連動して増減する債務なので、残高を毎月の仕入高と並べて眺めれば、支払いのサイクルが例月どおりかどうかを追いかけられます。
ここに設備購入の未払いが混ざると、仕入の規模とは無関係な金額が積み上がり、残高が増えた理由を後から説明しにくくなります。
どちらも負債であることに変わりはありませんが、区分を保っておくほうが、残高の変化を仕入や支払条件の変化として読めるようになります。

通常の取引かどうかで買掛金と未払金を分ける
納品書や請求書の受領から、通常の営業活動によるものかを判断し、買掛金または未払金へ振り分ける流れを示した図

買掛金の仕訳はどう記帳するか(仕入時・支払時の具体例)

仕入時の仕訳例

科目が決まれば、記帳そのものは複式簿記の基本形に沿って進みます。
掛け仕入れで使う仕訳は、仕入れたとき、支払ったとき、値引きや返品があったときの三つの形が基本です5
次の表の金額はいずれも説明のための仮の例で、実際には自社の仕入額に置き換えて記帳してください。

掛けで商品を仕入れたときは、借方に「仕入」、貸方に「買掛金」を立てます5
この一行で費用である仕入が増え、同時に負債である買掛金が増えます。
支払っていないのに費用を計上することに違和感があるかもしれませんが、商品を受け取った時点で支払う義務は確定しているので、その事実をそのまま帳簿に写していると考えると納得しやすくなります。

金額よりも迷いやすいのが、どの日付で計上するかです。
掛け仕入れでは代金を払うより先に商品を受け取っているため、支払日ではなく、商品を受け取って検収した日に仕入と買掛金を計上するのが基本になります。
請求書が届いてから初めて記帳する運用にしていると、月末近くの納品が翌月の仕入として記録され、月ごとの仕入高と買掛金残高が実際の取引とずれていきます。
納品書を受け取った時点で計上し、後から届く請求書はその合計を確かめるために使う、という順序にしておけば、締め日をまたぐ取引でも計上月が動きません。

支払時の仕訳例

支払日には、借方に「買掛金」、貸方に「当座預金」など支払いに使った資産の科目を立てて、負債を減らします5
貸方の科目は使った口座に合わせるもので、当座預金から振り込んだなら当座預金、普通預金なら普通預金、現金で支払ったなら現金になります。
ここで買掛金が減るのは、仕入時に計上した債務が支払いによって消えたからで、新たに費用が発生したわけではありません。
支払いの仕訳で「仕入」を使ってしまうと、同じ仕入れを二度費用に計上することになり、利益も買掛金残高も合わなくなります。

支払いを終えたあと、その取引先の買掛金残高が想定どおりに動くかどうかは、記帳が正しく流れているかを確かめる手掛かりになります。
残高が思ったより残る場合、締め日以降の仕入れがすでに計上されているのか、過去の計上が取り消されないまま残っているのか、支払額そのものが請求額と違っていたのか、理由はいくつも考えられます。
差額の大きさから原因を決めつけず、納品書と請求明細を並べてどの取引が食い違っているかを特定してから仕訳を直すほうが、結果として早く片づきます。

月末締め翌月末払いのような条件では、支払った直後でも買掛金の残高はゼロにはなりません。
締め日の翌日から支払日までに届いた分が、次回の支払対象としてすでに積み上がっているからです。
残高を確認するときは、どの締め期間の分がいくら残っているのかまで見ておくと、支払漏れと次回請求分の区別がつきます。

複数の請求をまとめて一度に振り込む場合は、振込額と個々の請求が一対一で対応しません。
支払いの仕訳を合計額だけで記帳すると、どの請求が消えたのかが帳簿から読み取れなくなります。
取引先ごとに、どの締め分に対する支払いなのかが分かる形で記録しておけば、後日の問い合わせにも明細をたどって答えられます。

値引き・返品があった場合の仕訳

仕入れたあとに値引きを受けたり、商品を返品したりした場合は、借方に「買掛金」、貸方に「仕入」を立てて買掛金を減額します5
仕入時とちょうど逆向きの仕訳で、支払う義務がなくなった分だけ債務を取り消す処理です。

この処理が抜けていると、先方の請求額と自社の買掛金残高が合わなくなります。
返品のやりとりが営業担当や倉庫と仕入先の間で完結し、経理に伝票が回ってこないまま月末を迎えると、残高だけが説明できない状態になります。
値引きや返品が決まった時点で伝票を経理に回す流れができていれば、月末の突き合わせは原因探しではなく確認で終わります。

オフィスで段ボール箱の中身とタブレットを見比べる日本人の会社員

値引き分を差し引いて振り込む取り決めになっている場合は、支払額と当初の請求額が一致しません。
その差額が値引きによるものなのか、記帳の漏れによるものなのかは、金額を眺めただけでは区別できません。
値引きを受けた時点で買掛金を減らしておけば、支払額と帳簿上の債務が同じ金額になり、振込後に残る差額は本当に確認が必要なものだけになります。

仕入時・支払時・値引き返品時の仕訳
仕入時は借方仕入と貸方買掛金、支払時は借方買掛金と貸方当座預金、値引き返品時は借方買掛金と貸方仕入になることを示した表

買掛金の支払管理を怠るとどんなリスクがあるか

下請法が適用される場合の60日ルールと遅延利息

記帳が正しくできていても、支払期日そのものを守れなければ別の問題が生じます。
取引の性質によっては、支払いの遅れが取引先との関係にとどまらず、法令上の問題になることがあります。
その代表が下請代金支払遅延等防止法、いわゆる下請法です。

下請法では、親事業者は下請事業者の給付を受領した日から起算して60日の期間内において、かつできる限り短い期間内で支払期日を定めなければならないとされています4
起算点が「給付を受領した日」である点は見落とされやすいところで、請求書が届いた日でも、月末の締め日でもありません。
締め日と支払日の組み合わせによっては、月の初めに受領した分が受領日から60日を超えてしまうこともあります。
60日を経過して支払った場合には、遅延利息に関する規定(第4条の2)が適用されます4

支払条件を決めるときも、この起算点を基準に考えると判断しやすくなります。
締め日から支払日までの日数だけを見ていると、締め期間の初めに受領した分がどれだけ待たされるかが視野から抜け落ちるためです。
月をまたぐ条件を設定するなら、締め期間の最初の日に受領した取引が期限に収まるかどうかを確かめておくことになります。

ただし、この規定がすべての掛け取引に及ぶわけではありません。
下請法が適用されるのは、資本金の要件を満たす発注者が、下請事業者に対して製造委託・修理委託・情報成果物作成委託・役務提供委託を行う場合であり、資本金の要件と取引の類型の両方を満たす必要があります4
資本金の要件でいえば、製造委託等では、資本金の額又は出資の総額が3億円を超える法人が、個人又は資本金3億円以下の法人に委託する場合が該当します4
自社が発注側としてこれに当てはまるかは、自社の資本金、相手方が個人か法人かとその資本金、委託している内容という三つを順に照らして確かめることになります。

既製品をそのまま購入するような一般的な掛け仕入れが、この四つの委託類型に当たるかどうかは、取引の実態によって判断が分かれます。
仕様を指定して作らせているのか、市販されている規格品を選んで買っているのかで見え方が変わるためです。
自社の取引が対象になるかどうかは、条文の定義に照らして確認する必要があります。
ここで押さえておきたいのは、対象になる取引には受領日から起算して60日という期限があること、そしてその適用には資本金と取引類型という条件が付くことの二点です4

下請法の対象外となる取引で注意すべきこと

では、下請法の対象にならない取引なら支払いが多少遅れても構わないかというと、そうではありません。
支払期日は、取引を始めるときに当事者で取り決めた条件そのものです。
期日に入金がなければ、仕入先は自社の資金計画を組み直すことになり、確認の連絡や督促のやりとりが双方に発生します。
法令上の制裁があるかどうかとは別に、取り決めを守れているかどうかは取引条件の一部として見られるものだと考えておくほうが安全です。

実務で起きやすいのは、意図的な遅延よりも支払漏れと二重払いです。
請求書が担当者の手元で止まったまま支払予定表に載らなかった、月初に振り込んだ分を月末にもう一度振り込んでしまった——どちらも、支払うべき金額がどこにいくつあるのかを一覧で持っていないときに起こります。
支払いは、請求書を受け取る、内容を帳簿と突き合わせる、支払予定に載せる、振り込む、という工程を通ります。
どこか一か所で止まれば期日は過ぎるので、遅れが起きたときは担当者の注意力を問うより、どの工程で止まったのかを見たほうが直す先がはっきりします。

もう一つ見落としやすいのが、支払いの集中です。
買掛金は支払期日までの猶予でもあるため、残高があること自体が資金繰りにとって直ちに悪いわけではありません。
問題になるのは、複数の取引先の支払日が同じ月末に重なり、その時点で用意できる資金で賄えるかどうかを事前に把握していない場合です。
買掛金を合計額でしか見ていないと、いつ、いくら出ていくのかという分布が見えません。
取引先ごと、支払期日ごとに並べ替えられる形で残高を持っておくことが、支払漏れと資金繰りの両方に効いてきます。

オフィスで段ボール箱の中身とタブレットを見比べる日本人の会社員

買掛金台帳での管理方法とインボイス制度への対応

買掛金元帳(補助科目)による管理

総勘定元帳の買掛金は、すべての取引先の合計額です。
合計だけを見ていても、どの取引先にいくら残っているのかは分かりません。
そこで、買掛金を補助科目として取引先ごとに分け、取引先別の残高と取引の明細を確認できるようにしたものが買掛金元帳、いわゆる買掛金台帳です5

買掛金元帳には、取引先ごとに、仕入の日付と内容、金額、支払った日付と金額、差引の残高が並びます。
月末に先方から届く請求書の金額と元帳の残高を突き合わせれば、記帳の抜けや二重計上をその月のうちに見つけられます。
差額が出たときに確認する先も、締め日のずれなのか、返品や値引きが反映されていないのか、そもそも計上が漏れているのかと、取引の明細に沿って絞り込めます。

突き合わせで差額が出やすいのは、締め日の前後に納品された取引です。
先方の締め日と自社の計上日が一日ずれているだけで、同じ取引が別の月に入ってしまいます。
この場合は記帳の誤りではなく期間の区切りの違いなので、原因が分かっていれば毎月同じ説明で処理できます。
差額を見つけるたびにゼロから調べ直さずに済むよう、過去に判明した原因は取引先ごとにメモとして残しておくと確認が短くなります。

取引先が数社のうちは表計算ソフトの一覧でも追えますが、取引先と月あたりの仕入回数が増えるほど、合計額だけを見て残高の妥当性を判断するのは難しくなります。
取引先ごとに残高を分けておくと、差額が出たときに調べる範囲がその取引先の明細だけに狭まります。
これは差額そのものをなくす仕組みではなく、原因を探す範囲を限定する仕組みです。
会計ソフトを使う場合も、買掛金に補助科目を設定して取引先別に集計できる形にしておくかどうかで、月末に見える情報が変わります。

支払管理の面では、この元帳を支払期日の順に並べ替えられるようにしておくと役に立ちます。
取引先ごとの残高は「誰にいくら」を、支払期日順の並びは「いつ、いくら」を教えてくれます。
二つの見方を同じ記録から取り出せれば、支払予定表を別に作り直す手間が減り、書き写しの際の取り違えも入り込みにくくなります。

インボイス制度の経過措置と実務対応

取引先ごとに把握しておきたい情報は、残高だけではありません。
インボイス制度のもとでは、インボイスがない仕入れや経費については、原則として仕入税額控除ができないとされています3
買掛金という勘定科目の立て方がこれで変わるわけではありませんが、同じ掛け仕入れでも、消費税の扱いが取引先によって変わることになります。

ただし、今すぐすべての取引を見直さなければならないわけではありません。
令和13年(2031年)9月末までは、インボイスの保存がなくても、仕入税額相当額の一定割合を仕入税額とみなして控除できる経過措置が設けられています3
控除できる割合は、自社が適用する時期のものを国税庁の案内で確認してください。

実務として押さえておきたいのは、取引先ごとに登録の有無を記録しておくことと、経過措置には期限があることです3
取引先別に買掛金を管理していれば、登録の有無もその取引先の情報として同じ場所に持てます。
どの取引先からの仕入れがどれくらいの金額を占めているかが分かれば、期限が近づいたときに影響の大きい取引から順に検討できます。

期限までに時間があるうちなら、仕入条件をどうするか、取引を続ける前提で自社がどこまで負担を引き受けるのかを、相手と話し合う余地が残されています。
期限が迫ってから慌てて判断するより、影響する仕入額を先に把握しておくほうが、選べる幅は広くなります。
買掛金を取引先ごとに管理しておくことは、日々の支払漏れを防ぐだけでなく、こうした制度への対応を考えるときの材料にもなります。

買掛金元帳で取引先ごとの残高を追う流れ
仕入の計上から値引き返品の反映、請求書との突き合わせ、支払予定の確認、支払後の残高確認までの手順を縦に並べた図

買掛金と未払金の線引きも、計上する日付の決め方も、条文と仕訳の形だけでは決まりきらず、扱う商品や取引先の数、締め日と支払日の組み合わせによって落としどころが変わります。

仕入から支払いまでを今どの順序で記録しているかを共有いただければ、どの工程で突き合わせが滞っているのか、取引先別に残高を分けると何の確認が減るのかを一緒に整理できます。無料相談で要件を整理する

後払いの債務を三つの区分で整理する

取引が通常の営業活動によるものかどうかと、手形を振り出したかどうかという二つの条件で並べています

  • 買掛金:通常の取引に基づいて発生した営業上の未払金。商品や原材料の仕入れを掛けで行い、期日に口座から支払う場合
  • 支払手形:通常の取引に基づいて発生した手形債務。同じ仕入債務でも、手形を振り出して支払う場合
  • 未払金(その他の負債):設備の建設、固定資産又は有価証券の購入など、通常の取引以外の取引に基づいて発生した未払い

同じ後払いでも、設備や固定資産、有価証券の購入は通常の取引以外の取引として区分が変わります

要点の整理

確認すること 判断の基準
買掛金か未払金か 商品や原材料の仕入れなど通常の取引によるものか、設備や固定資産の購入かで分ける
仕訳の基本形 仕入時は仕入/買掛金、支払時は買掛金/預金、値引き・返品時は買掛金/仕入
計上する日付 支払日ではなく、商品を受け取って検収した日
支払期日の法令上の制約 資本金の要件と製造委託等の類型を満たす取引は、給付の受領日から起算して60日以内
取引先別の残高把握 買掛金を補助科目にした買掛金元帳で、誰にいくらと、いつ支払うかを分けて持つ
インボイスがない仕入れ 原則は仕入税額控除の対象外、令和13年9月末までは一定割合の経過措置
60代前半の日本人男性が自席での作業場面

取引先が増えるほど、支払漏れや二重払いは担当者の注意力ではなく、支払うべき金額をどう持っているかで決まってきます。 支払予定の作り方と買掛金元帳の突き合わせをどこまで一つの流れにまとめられるか、現在の運用に沿って確かめられます。

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よくある質問

買掛金と支払手形はどちらも仕入債務ですが、何が違うのですか。

財務諸表等規則の第47条では、第一号に支払手形が「通常の取引に基づいて発生した手形債務」、第二号に買掛金が「通常の取引に基づいて発生した営業上の未払金」と定義されています1
どちらも通常の営業取引から生じた仕入債務という点は同じで、違いは決済の手段です。
手形を振り出して支払う約束をしたなら支払手形、手形を使わず期日に口座から支払う約束なら買掛金になります。

買掛金の残高が多いことは、資金繰りにとって悪いことですか。

残高が多いこと自体が直ちに問題とは限りません。
買掛金は支払期日までの猶予を意味するので、その間は資金が手元に残ります。
見ておきたいのは金額の大きさよりも支払期日の分布で、複数の取引先の期日が同じ日に重なっていれば、その日に必要になる資金は月全体の平均から受ける印象より大きくなります。
取引先ごと、期日ごとに残高を分けて、いつ、いくら出ていくのかを先に把握しておくことが判断の材料になります。

下請法の対象にならない仕入れでも、支払期日を書面で決めておいたほうがよいですか。

法令で一律に求められるかどうかとは別に、取り決めを書面で残しておくと実務が楽になります。
締め日、支払日、支払方法が文書で共有されていれば、請求書の金額や入金予定を突き合わせる基準がはっきりし、認識の違いにも早く気づけます。
なお、資本金の要件を満たす発注者が製造委託等を行う取引では、下請法により給付を受領した日から起算して60日の期間内で支払期日を定める義務があります4
自社の取引がこの対象にあたるかどうかは、資本金と取引の類型の両方から確認してください。

インボイス制度に対応していない取引先からの仕入れは、今後どう扱えばよいですか。

インボイスがない仕入れは原則として仕入税額控除ができませんが、令和13年(2031年)9月末までは、保存がなくても仕入税額相当額の一定割合を仕入税額とみなして控除できる経過措置があります3
したがって、直ちに取引そのものを見直さなければならない状況ではありません。
まずは取引先ごとに登録の有無を記録し、登録していない取引先からの仕入れが自社の仕入額のどれくらいを占めるかを把握するところからで十分です。
そのうえで、期限までの間に仕入条件や価格の扱いを相手と話し合うことになります。

◆監修・編集責任者

小園 将隆

株式会社フライトソリューションズ ECサービス部 マネージャー

BtoB通販のパッケージシステム「FSOL B2B Ⅱ」の導入支援をはじめ、製造業、卸売業をはじめとした法人向け通販サイト構築を多数手掛ける。卸売領域の専門知識をもとに、日本の商習慣に固有の課題をパッケージシステムの機能追加によって解決。BtoB流通の販路拡大を支援する。

  1. 1 出典:金融庁「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則 第47条(流動負債の範囲)」
  2. 2 出典:金融庁「財務諸表等規則ガイドライン 47-6」
  3. 3 出典:国税庁「インボイス制度について」(2023年)
  4. 4 出典:公正取引委員会「下請代金支払遅延等防止法」
  5. 5 出典:株式会社マネーフォワード「買掛金とは?未払金との違いや仕訳例をわかりやすく解説」

◆この記事について

独自調査以外の一次情報は、省庁・公的機関を中心とした信頼性の高い情報源から引用し、出典を明記しています。
年次更新される統計については、引用元の最新版を確認したうえで掲載しています。

※この記事は上記の監修・編集責任者がAIの協力を得て制作しています。

監修確認日:

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