◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- 取適法の対象取引では、支払期日は検収の完了ではなく受領から60日以内で数える
- 支払期日の起算日が動くのは、期日前に不適合を見つけてやり直しや返品になったときで、保留しているだけでは動かない
- 請負の不適合は、検収の日ではなく知った時から1年以内に通知することが、修正などを求める条件になる
- 確認の範囲は契約の検収基準や仕様書に照らして決め、影響の大きい項目から確かめて確認済みの範囲を記録する
- 次の契約では、検収期間、検収基準、受領日の定義、不合格時の手続きを決めておく
目次

検収を急ぐリスクと遅らせる損失を同じ表で比べる
納品物は手元に届いたものの、細かい確認はまだ終わっていない。
リリースや支払の予定は近づいている。
通したあとで見落としが見つかれば自分の責任になりそうで、保留すれば稼働の予定や受注先との関係に響く。
この迷いは、二つの期限を分けて見ると整理できます。
請負で不適合を見つけたときは、知った時から1年以内に通知することが、修正などを求める条件になります3。
取適法の対象取引なら、支払期日は検収の完了ではなく受領から60日以内で数えます1。
この二つと契約書の検収条項を先に確かめれば、確認の範囲と、保留・修正依頼・一部検収の使い分けを決められます。
急ぐ場合に起きること
検収を急いで通すときに気になるのは、確認しきれなかった部分に不備が残っていた場合のことです。
たとえば業務システムの改修を外注して納品を受けたものの、月末の締め処理だけはまだ試していないとします。
そのまま検収を通して本番に移し、翌月の締めで集計の誤りが出れば、現場の作業は止まり、社内では「検収で気づけなかったのか」と問われます。
修正の費用を誰が負担するかについて、受注先と話し合う場面も出てきます。
ただ、検収を通したからといって、その後に見つかった不備を一切申し出られなくなるわけではありません。
民法の請負の規定では、不備を申し出る期限は検収の日からではなく、注文者が不適合を知った時から数えます3。
急ぐことの怖さの中身は、法律上の権利がすぐに消えることよりも、何をどこまで確かめて通したのかを後から説明できないことにあります。
確認した範囲と確認していない範囲を記録しておけば、後で不備が出たときに、検収で見落とした点なのか、検収の時点では確かめようがなかった点なのかを切り分けられます。
遅らせる場合に起きること
検収を保留している間も、止まらないものがあります。
一つは支払期日です。
取適法(中小受託取引適正化法)の対象となる取引では、委託事業者は成果物を受け取ってから60日以内に代金を支払う義務を負います2。
この期日の起点は受領であり、社内の検査が終わった時点ではありません1。
取適法の対象外の取引でも、契約書の支払条件に期日が定められていれば、その日は検収の進み具合とは別に近づいてきます。
もう一つは稼働の予定です。
先ほどの改修の例なら、検収を保留している間は旧来の仕組みを動かし続けるか、新しい機能の利用開始を遅らせることになります。
受注先の側でも、担当者を次の案件へ移せないまま待つことになり、修正の依頼に応じる体制が読みにくくなります。
損失の大きさは案件ごとに違いますが、保留が延びるほど稼働の遅れと調整の手間が積み重なる構造は共通しています。
取適法は、委託事業者による受領拒否や不当なやり直しの要求も禁止しています2。
理由を伝えないまま受け取らない状態が続くと、受注先からは受け取りを拒まれていると受け止められかねません。
保留するなら、何を確認中で、何が足りないのかを相手に示しておくことが、関係を保つうえでも法令の面からも大切です。
判断の分かれ目になる三つの条件
急ぐ側と遅らせる側のどちらが重いかは、案件ごとに入れ替わります。
重さを決めるのは、次の三つの条件です。
・契約が請負か準委任か:不備を見つけたときの通知の期限が、民法の請負の規定で決まるかどうかが分かれる
・取引が取適法の対象か:対象なら受領から60日以内の支払期日が法律で決まり、検収を待たずに進む
・契約書の検収条項に何が書かれているか:検収期間、合格の基準、受領日の定義によって、何をいつまでに確認すべきかが変わる
同じ「納品物の検収」でも、請負で取適法の対象になる取引と、準委任で対象外の取引とでは、保留したときに動くものが違います。
この三つを順に確かめてから確認の範囲を決めると、急ぐべきか待つべきかの判断に根拠が持てます。
| 観点 | 急いで検収を通す場合 | 検収を遅らせる場合 |
|---|---|---|
| 主な不安 | 確認しきれなかった不備が本番で表に出る | 支払期日・稼働予定・受注先の体制に影響が出る |
| 支払期日 | 契約や取適法の定めどおりに進む | 取適法の対象なら受領から数えるため保留しても動かない |
| 不備の申し出 | 請負なら不適合を知った時から1年以内に通知できる | 保留中に見つけた不備も同じく通知が必要 |
| 後から問われること | 何をどこまで確認して通したか | なぜ保留したか・理由を相手に伝えたか |
検収で何が確定し、何が確定しないか
民法の請負の通知期間
検収を通したあとで不備が見つかったとき、発注側に何が残るのかを先に整理します。
民法637条は、請負人が契約の内容に適合しない目的物を引き渡した場合、注文者が不適合を知った時から1年以内に請負人へ通知しないと、追完(修正や作り直し)の請求、報酬の減額の請求、損害賠償の請求、契約の解除ができなくなると定めています3。
ただし、請負人が不適合を知りながら告げなかった場合は、この制限の例外とされています3。
押さえておきたいのは、期限の起点が「知った時」であることです。
先ほどの改修の例で、検収から数か月後の締め処理で集計の誤りに気づいたなら、1年はその気づいた時から数えます3。
また、期間内に求められているのは通知であり、その間に修正まで終わらせることではありません。
不備に気づいたら、まず相手に知らせて権利を保ち、対応の中身はその後に話し合うという順番になります。
逆に言えば、不備に気づいていながら通知をしないまま時間が過ぎると、修正などを求める根拠を失うおそれがあります。
検収を急いだことそのものより、通したあとに見つけた不備を放置することのほうが、発注側にとっては取り返しにくい結果につながります。
検収完了と契約条項の関係
では、検収の完了によって何が確定するのでしょうか。
民法637条は通知の期限を不適合を知った時と結び付けており、検収の完了によって権利が消えるとは定めていません3。
検収にどのような効果を持たせるかは、主に契約書の条項で決まります。
契約書は、検収の条項だけでなく関連する条項を並べて読むと、検収で何が確定するのかが見えてきます。
・検収条項:検収の期間、合格の基準、合否を誰がどう通知するか
・支払条項:請求や支払がどの時点を起点にしているか
・契約不適合に関する条項:検収後の不具合をどう扱い、申し出の期間や方法を別に定めているか
契約書に検収後の不具合の扱いが独自に書かれている場合は、民法の規定と並べて、どちらの期間や方法が自社の案件に当てはまるのかを確かめる必要があります。
その読み合わせは法務担当や契約に詳しい専門家に頼るのが確実です。
それでも、検収が支払の起点になっているか、検収後の不具合の申し出に期限があるかの二点を担当者が把握しておくだけで、検収を急ぐべきかどうかの見通しが立ちます。
請負と準委任で確認の対象が変わる点
ここまでの通知期間の話は、請負の規定に基づいています3。
請負は成果物を完成させて引き渡す契約で、システム開発や制作物の納品は、この形で契約されることがあります。
一方、準委任の形で業務を委託している場合、請負の通知期間の規定をそのまま当てはめて考えるのは避けたほうが安全です。
準委任では、何をもって業務が果たされたとするかを契約書がどう定めているかが判断の基準になります。
業務報告書の提出、作業内容の報告、成果物の受け渡しなど、契約書が求めている確認の方法を確かめ、その方法に沿って受け取りを判断します。
契約書の題名が「業務委託契約」となっていても、それだけでは請負か準委任かは分かりません。
条項の中身を法務担当と一緒に確認してから検収の進め方を決めると、後からの食い違いを防ぎやすくなります。
なお、取適法の対象取引には役務提供委託も含まれるため2、準委任の形であっても支払期日の確認は省けません。
支払期日は検収を待たずに進む:取適法の対象かどうかを先に確認する
取適法の対象か
保留したときの損失のうち、最も動かしにくいのが支払期日です。
その期日が法律で決まっているかどうかは、取引が取適法の対象かどうかで分かれます。
取適法は2026年に施行された法律で、資本金または従業員数の条件を満たす委託事業者と中小受託事業者の間の取引を対象にしています2。
対象となる取引には、プログラムなどの情報成果物の作成委託や、役務の提供委託が含まれます2。
自社の発注が対象になるかは、自社と受注先それぞれの資本金や従業員数、取引の内容を、公正取引委員会の「取適法の概要」に示された条件と照らして確かめます2。
受注先の規模は検収の担当者の手元にない情報であることも多いため、取引を始める段階で経理や法務の担当と確認しておくと、検収の場面で慌てずに済みます。
対象外の取引であれば、支払期日は契約書の支払条件が基準になり、不備の扱いは民法と契約書の定めで判断します。
対象となる取引では、委託事業者には支払期日を守る義務に加えて、書類を保存する義務もあります2。
保存の対象となる書類の範囲は公正取引委員会の資料で確かめる必要がありますが、検収の経緯を記録に残しておく習慣は、後で不備をめぐって話し合うときの材料にもなります。
受領後60日の支払期日
取適法の対象となる情報成果物の作成委託では、委託事業者は成果物を受領した日から60日以内に代金を支払う必要があります1。
検収に時間がかかっても、支払期日の起点は受領の日であり、検収が終わった日ではありません。
受領の時点については、あらかじめ決めておける扱いがあります。
受注先と事前に合意していれば、提出された成果物が一定の水準を満たしているかを確認した時点を受領とし、そこから60日を数えることができます1。
ただし、この扱いは水準の確認をした時を受領とするものであり、検査がすべて終わった後を受領とする趣旨ではないと、公正取引委員会のQ&Aは説明しています1。
つまり、取適法の対象取引で社内の検収を長引かせても、支払期日を後ろへずらす理由にはなりません。
先ほどの改修の例で言えば、納品を受けた日から60日の範囲で、締め処理の確認を含めた検収を終え、支払の手続きまで済ませる段取りが必要です。
検収の日程は、支払期日から逆に数えて組むほうが現実に合います。
やり直し時の起算日の扱い
では、検収の途中で不備が見つかった場合はどうなるのでしょうか。
公正取引委員会のQ&Aでは、成果物のやり直しが必要で、支払期日が来る前に不適合を見つけた場合、当初の受領日から60日以内に支払う必要はなく、やり直し後の成果物を受領した日が新たな起算日になるとしています1。
成果物を返品して再納品を受ける場合も、再納品の時点から数えます1。
ここで支払期日を動かしているのは、不適合の発見とやり直しという事実です。
検収を保留していること自体ではありません。
不備を特定しないまま「まだ確認中なので」と待ってもらっても、起算日が動く根拠にはなりません。
また、不当なやり直しの要求は禁止されているため2、やり直しを求めるなら、仕様書や検収基準のどこに合っていないのかを示せることが前提になります。
ここで見た支払期日と、前の節で見た通知の期限は、別々の制度に属しています。
二つを足し合わせたり、同じ日から数えたりはしません。
取適法の対象外の取引や準委任の契約、契約書に別の定めがある場合には、この対比がそのまま当てはまらない点にも注意が必要です。
| 比べる点 | 取適法の支払期日 | 民法の不適合の通知 |
|---|---|---|
| 当てはまる取引 | 取適法の対象となる委託取引 | 請負契約 |
| 期間の起点 | 成果物の受領(事前合意があれば水準を確認した時) | 注文者が不適合を知った時 |
| 期間 | 受領から60日以内 | 知った時から1年以内 |
| 起点が動く場合 | 支払期日前に不適合を見つけてやり直し・返品したとき | 知った時が起点のため検収の日には左右されない |
| 守らない場合 | 委託事業者の支払義務に反する | 追完・減額・損害賠償・解除を求められなくなる |
期限内に確認する範囲:契約上の検収基準に照らして足りる確認とは
契約の検収基準を先に読む
支払期日から逆算すると、検収にかけられる時間には限りがあります。
その中で全項目を確かめきれないとき、どこまで確認すれば検収の判断として足りるのかを、法律が一律に決めているわけではありません。
基準になるのは、契約書の検収基準、仕様書、受入条件など、受注先と合意した内容です。
検収基準に「仕様書記載の機能を満たすこと」とあれば、確認の対象は仕様書に書かれた機能です。
受入テストの項目を別紙で合意しているなら、その項目を消化できたかどうかが判断の中心になります。
反対に、基準が曖昧な契約では、何をもって合格とするかを担当者が一人で決めることになり、通しても保留しても後から説明が難しくなります。
その場合は、発注書と仕様書に書かれた要件を確認の範囲の上限と考え、合意していない品質まで求めて保留を長引かせないよう気をつけます。
受領とする確認水準の事前合意
取適法の対象取引では、受領の時点を契約で決めておく余地があります。
一定の水準を確認した時点を受領とする事前の合意があれば、その確認時が支払期日の起算日になります1。
この確認は検収のすべてではなく、検査の終了を待つ趣旨のものではありません1。
プログラムの作成を委託する場合、納品時に証拠資料がまだ提出されていなければ、資料が提出された後を受領とする扱いも問題ないとされています1。
ただし、資料の提出が給付の内容に含まれていることが前提です1。
テスト結果などの提出を契約で求めていなければ、納品後に資料を求めても、それを理由に受領の時点を遅らせることはできないと考えておいたほうが安全です。
受領時に確かめる水準と、その後の検収で確かめる範囲を分けて契約に書いておけば、受領から支払期日までの間に何を終えるべきかがはっきりします。
優先して確認する項目の決め方
時間が足りないときの確認の順番について、法令や公的なQ&Aが具体的な項目を示しているわけではありません。
ここでは、検収基準を前提にしつつ、確認しきれなかったときの影響が大きいものから並べる考え方を提案します。
・業務の停止につながる不具合:本番で使えなくなる機能やデータの誤りがないかを、運用に近いデータで主要な処理を通して確かめる
・契約要件への適合:仕様書や受入テスト項目に書かれた要件を満たしているかを、合意した項目ごとに結果を残しながら確かめる
・運用に必要な書類:受け取った後に自社で運用するための手順書や設定情報がそろっているかを、給付の内容として合意したものに限って確かめる
先ほどの改修の例なら、まだ試していない月末の締め処理は、業務の停止につながる項目に当たります。
まず締め処理を検証用のデータで動かし、次に仕様書の帳票要件と照らし、最後に手順書がそろっているかを見る順に進めれば、時間が尽きたときに残るのは影響の小さい項目になります。
どの順で進めても、確認した項目と確認していない項目を記録しておくことが、次の判断の土台になります。
確認しきれなかった範囲が分かっていれば、一部だけ検収するのか、修正を依頼するのかを選べます。
確認しきれない・不備が見つかったときの選択肢と、次の契約で決めておく項目
状況別の選択肢の比較表
確認の結果は、大きく三つの状況に分かれます。
期限内に確認しきれない、不備がはっきりしている、軽微な不備だけが見つかった、のいずれかです。
それぞれに向く選択肢と、支払期日、不適合の通知、契約書の根拠への影響を並べると次のようになります。
表のうち判断が分かれやすいのは、支払期日の列です。
起算日が動くのは、支払期日の前に不適合を見つけてやり直しや返品になったときです1。
確認が終わらないだけで不備を特定していない状況では、保留しても起算日は動きません。
受注先と検収期間の延長を話し合う場合も、取適法の対象取引では受領から数える支払期日は別に進むことを前提に段取りを組む必要があります。
一部検収や条件付き検収は、契約書に定めがあるか、受注先と合意したうえで使う選択肢です。
どの部分を検収したのか、どの不備を条件として残したのかを書面に残しておかないと、後で支払の範囲や修正の約束をめぐって解釈が分かれます。
契約で定めた期間内に結果を伝えなければ合格とみなす、いわゆるみなし検収の条項がある場合は、保留のつもりでいるうちに検収が成立してしまうことがあるため、検収期間の末日を先に確かめておきます。
不備を書面で通知する
不備を見つけたら、検収の結論を出す前でも、受注先へ知らせるのが先です。
民法637条が求めているのは不適合の通知であり、通知をしておけば、修正の進め方を話し合っている間に請負の通知期限を過ぎてしまう心配がなくなります3。
民法637条の規定は「通知」を求めるもので、その方法までは定めていません。
それでも、いつ何を知り、何を伝えたのかを後から示せるように、メールや書面で残すことを勧めます。
書いておくとよい内容は次のとおりです。
・対象の成果物と納品を受けた日
・不備に気づいた日と、その内容・再現の条件
・仕様書や検収基準のどの項目に合っていないか
・求める対応(修正、再納品など)と回答の期限
仕様書のどこと違うのかを書くことは、受注先にとって修正の範囲が分かるだけでなく、そのやり直しの要求が仕様に基づくものであることを示すことにもなります。
取適法の対象取引では不当なやり直しの要求が禁止されているため2、要求の根拠を通知の中で明らかにしておくことは、発注側を守ることにもつながります。
次の契約で決めておく項目
今回の検収で迷った点は、次の契約で条項にしておけば判断の負担を減らせます。
ここで挙げる項目は、いずれも今回の迷いの元になった「いつまでに」「何を基準に」「不合格ならどうするか」を前もって決めておくためのものです。
・検収期間:受領から何日以内に結果を通知するか(取適法の対象取引では、受領から60日以内の支払期日に間に合う長さにする1)
・検収基準:仕様書や受入テスト項目のどれを満たせば合格とするか
・受領日の定義:一定の水準を確認した時を受領とするか、テスト結果などの資料提出を給付の内容に含めるか
・不合格時の手続き:不備の通知の方法、修正の期限、再検査の期間
・一部検収と条件付き検収:認めるかどうか、認める場合の支払の範囲と記録の方法
・期間内に通知がない場合の扱い:みなし検収を置くか、置くならどの程度の期間にするか
みなし検収の期間を何日にするかは、成果物の規模や確認に必要な作業によって変わり、一律の目安を示せるものではありません。
検収の担当者が実際に確認を終えられる日数を見積もり、取適法の対象取引なら支払期日との関係も踏まえて決めることになります。
受領日の定義と検収期間を合わせて決めておけば、支払期日と確認の進み具合の間で板挟みになる場面を減らせます。
| 状況 | 向く選択肢 | 支払期日への影響 | 不適合の通知 | 契約書上の根拠 |
|---|---|---|---|---|
| 期限内に確認しきれない | 確認済み部分の一部検収、または受注先との協議 | 不適合を特定していないため取適法の対象なら受領からの期日は動かない | 後で不適合を知ればその時から1年以内に通知(請負) | 一部検収の定めがあるか、なければ合意を書面に残す |
| 不備が明確 | 書面で通知したうえで修正依頼・やり直し | 支払期日前の発見ならやり直し後の受領日が起算日 | 不適合を知った時点で速やかに通知 | 不合格時の手続き・再検査の定め |
| 軽微な不備のみ | 修正を条件として記録する条件付き検収 | やり直しを求めない限り当初の期日で支払う前提 | 残した不備を書面に記録して通知 | 条件付き検収を認める定め(効果は契約次第) |
受領日の定義や検収条項の読み方は契約書の文言と取引の条件で答えが変わり、担当者だけで判断すると支払期日や通知の期限を読み違えるおそれがあるため。
手元の契約書と納品の状況をもとに、支払期日の起点がどこにあるか、保留や修正依頼を選んだときに何が動くかを整理できます。無料相談で要件を整理する
要点の整理
| 軸 | 基準 |
|---|---|
| 契約形態 | 請負なら不適合を知った時から1年以内に通知する |
| 取適法の対象 | 対象なら受領から60日以内に支払う。検収の完了は起点にならない |
| 支払期日が動く場合 | 支払期日前に不適合を見つけ、やり直しや返品になったとき |
| 確認の範囲 | 契約の検収基準・仕様書・受入条件に照らし、影響の大きい項目から確かめる |
| 保留するとき | 理由と不備の内容を書面で受注先へ伝える |
| 次の契約 | 検収期間・検収基準・受領日の定義・不合格時の手続きを決める |
次の契約で検収期間や受領日の定義を決めるには、自社の確認体制と支払の段取りを合わせて考える必要があるため。 検収基準、不合格時の手続き、みなし検収の扱いなど、次の契約で決めておく項目を自社の案件に当てはめて確認できます。
よくある質問
みなし検収の期間は何日にするのが一般的ですか。
一律の目安として示せる日数はありません。
成果物の規模や確認に必要な作業によって、確認を終えられる日数は変わります。
検収の担当者が実際に確認できる日数を見積もり、取適法の対象取引であれば、受領から60日以内の支払期日に間に合うかどうかも合わせて決めます1。
準委任契約では検収をどう考えればよいですか。
民法637条の通知期間は請負の規定のため、準委任にそのまま当てはめて考えないほうが安全です3。
契約書が業務の完了や報告をどの方法で確認すると定めているかを基準に、受け取りを判断します。
取適法の対象取引には役務提供委託も含まれるため、支払期日の確認は準委任でも必要です2。
自社の発注が取適法の対象かは、どこで確認できますか。
公正取引委員会の「取適法の概要」に、対象となる取引の内容と、資本金または従業員数の条件が示されています2。
自社と受注先の規模、取引の内容を照らして確かめます。
受注先の規模は担当者の手元にないことも多いため、経理や法務の担当と取引の開始前に確認しておくと安心です。
一部だけ検収して、残りを保留してもよいですか。
契約書に一部検収の定めがあるか、受注先と合意していれば選べます。
検収した部分と保留した部分、保留の理由を書面に残しておくことが前提です。
取適法の対象取引では、不適合を特定してやり直しを求めていない限り、保留した部分があっても受領から数える支払期日は動かない点に注意してください1。
不備を見つけたとき、通知は口頭でもよいですか。
民法637条は通知を求めていますが、その方法までは定めていません3。
ただ、いつ何を知り、何を伝えたのかを後から示すには、メールや書面で残すのが確実です。
対象の成果物、気づいた日、不備の内容、仕様書のどこと違うか、求める対応を書いておくと、修正の範囲もはっきりします。
検収後に不具合が見つかったら、いつまでに申し出ればよいですか。
請負契約であれば、不適合を知った時から1年以内に通知しないと、修正の請求、報酬の減額、損害賠償、解除ができなくなります3。
起点は検収の日ではなく、不具合に気づいた時です。
請負人が不適合を知りながら告げなかった場合は例外です3。
契約書に検収後の不具合について別の定めがあれば、その条項も合わせて確認します。
- 1 出典:公正取引委員会「中小受託取引適正化法(取適法)よくある質問コーナー」(2026年)
- 2 出典:公正取引委員会「取適法の概要」(2026年)
- 3 出典:法務省(e-Gov法令検索)「民法(明治二十九年法律第八十九号)第637条」(現行)
画像の出典元
- A businesswoman reviews marketing documents with charts at her desk, featuring a computer and office supplies./Photo by Mikael Blomkvist on Pexels