まずは卸売ECを小規模でスタートしたい方へ。リーズナブルなSaaS(ASP)版『EC-Rider Primo(プリモ)』誕生! 詳しくはこちら

複数店舗のLINE発注|属人化を防ぐ運用設計と移行手順

◆監修・編集責任者 小園 将隆 

B2B EC-COLUMN

この記事のポイント

  • 複数店舗の発注は、管理単位・権限・運用ルールの3層を前から順に決めると、店舗が増えても設計をやり直さずに済みます。
  • 個人のやり取りのままでは、属人化・誤発注・二重発注・引き継ぎの断絶・取引データの保存という5つの困りごとが順に現れます。
  • 公式アカウント単体と受発注システム連携の違いは、管理単位・履歴・マスタ連携・権限の4軸で比べられます。
  • 全店展開は棚卸しから見直しまでの5段階で進め、定着は記入漏れ・締め遅れ・問い合わせの3つの件数で確かめます。

Clean and organized workspace featuring a laptop, eyeglasses
▽ 写真の出典元

複数店舗のLINE発注とは

複数店舗のLINE発注とは、各店舗の担当者が日常的に使うメッセージアプリの画面から、本部や仕入先へ注文を送る受発注の形です。たとえば閉店後の厨房で、担当者が翌日ぶんの食材をトーク画面へ書き込みます。電話がつながるのを待たずに送れるため、電話とファクスの置き換えとして採用が進んできました。ただし、送る手段が変わっただけでは運用は安定しません。誰が発注し、誰が受注するのかという立場を決めていますか。店舗をどの単位で識別するのかは決まっているでしょうか。注文の記録をどこへ残すのかも、走り出す前に答えを出しておきたい問いです。立場と管理単位と保存の道筋のどれかが空欄のままだと、店舗が増えた段階で運用が詰まります。

発注の流れは、時間の順に追うと分かりやすくなります。まず店舗の担当者が注文を書き込みます。次に本部または仕入先の受注担当が内容を確認します。そのうえで、出荷や配送の指示へ渡します。この間に登場するのは、発注者と受注者、そして両者をつなぐ管理者です。管理者はアカウントの発行や権限の付与を担い、日々の注文には直接関与しません。役割を分けておけば、担当が交代しても窓口の位置は動きません。

同じ発注の仕組みでも、店舗が発注する場合と本部が受注する場合では設計が変わります。店舗が発注する場合は、店舗ごとの入力の揺れをどう抑えるかが焦点になります。本部が複数店舗から受注する場合の焦点は、届いた注文をどの店舗のものとして数えるかという識別と集計です。前者は入力の統一、後者は集計の正確さへ重心が寄ると考えてください。

複数店舗で使うときの前提は、管理単位を先に決めることです。単位の候補は、店舗、部門、法人の3階層に分かれます。1店舗1アカウントで運用すると識別は容易ですが、店舗数に比例してアカウントの管理作業が増えます。逆に法人単位でまとめれば管理は軽くなり、どの店舗の注文かを本文の記載に頼ることになります。

管理単位が決まったら、次は権限の割り当てへ進みます。権限とは、誰が注文を確定でき、誰が金額の大きい注文を確認するのかという役割の分けです。店舗の担当者が全員そのまま発注できる状態にすると、同じ品目が重ねて送られる場面が出てきます。記録の残し方も、この段階で一緒に決めておくと後戻りが減ります。事業者向けの外部連携の仕組みは、公式の開発者向け資料で公開されています6。記録を会話の外へ写す道も、そこから検討できます。

無料の範囲だけで回せるかという問いには、確認すべき条件が2つあります。1つは送信するメッセージの通数、もう1つは利用できる機能の範囲です。いずれもプランごとに定められ、改定もありますので、公式の開発者向け資料や案内で確認できた内容だけを社内の判断材料にしてください6。確認した時点を記録に残しておくと、次の見直しで比較ができます。

店舗側と本部側のどちらの立場でも、決める順番は共通します。管理単位を決め、権限を割り当て、記録の残し方を定める、という3つの順です。順番を入れ替えて道具から選ぶと、店舗が増えた時点で識別の設計をやり直すことになります。設計の入口は道具ではなく単位の決定にあります。

複数店舗のLINE発注で先に決める6項目(順位の根拠:後の決定が前の決定に依存する着手の順序)

  1. 店舗コードの採番規則を決めます。店名の表記ゆれに左右されない記号を用意し、集計時の並び順もここで揃えます。
  2. 発注単位を、店舗・部門・配送先の3通りから1つ選びます。単位が混ざると集計の分母が注文ごとに変わります。
  3. 発注者を店舗ごとに指名し、代理を1名まで登録します。欠勤の日に発注が止まらない状態を先に作ります。
  4. 承認者を置き、金額や数量の上限を超えた注文だけを確認する立場に限定します。全件の承認は締め前の滞留を招きます。
  5. 発注テンプレートの項目を、店舗コード・発注者名・品目コード・数量・希望納品日の5つに固定します。
  6. 締め時間を1つ定め、締めの後に届いた注文の扱いを翌日扱いか個別相談かの2通りのどちらかに決めます。

複数店舗でLINE発注が選ばれる背景

複数店舗でLINE発注が選ばれる理由は、現場の負担と制度の動きの2つに分けて説明できます。現場側では、店舗の担当者が新しい道具を覚え直さずに済み、教育の時間を短くできます。取引側では、電話とファクスに残る転記と待ち時間を減らせます。加えて、2026年に施行された中小受託取引適正化法のように、取引条件の明示や支払い手段の見直しを促す制度の動きが重なっています2。手段の選択は、この2つの流れの上に置かれています。

第一の理由は、連絡手段としての浸透です。国内の月間利用者数が1億人を超えたと公表されており5、店舗の担当者がすでに操作に慣れています。新しい画面を覚える研修が要らないため、導入時の説明は発注の書き方へ集中できます。交代制で働く人が多い職場ほど、この差が効いてきます。

第二の理由は、電話とファクスに残る負担です。電話は相手が出るまで待ち、聞き取った内容を紙や画面へ書き写す2度手間が生じます。ファクスは送信の記録が残る半面、手書きの文字を読み取って入力する工程が挟まります。1件あたりの時間は短くても、店舗数と品目数を掛け合わせると受注側の作業量に積み上がります。

第三の理由は、取引の電子化を後押しする制度面の動きです。2026年に施行された中小受託取引適正化法では、手形払いの禁止など支払い手段に関する見直しが示されています3。取引条件を明示する方法として、電磁的な手段も位置づけられています2。電磁的な手段とは、電子メールやアプリなど電子データでやり取りする方法を指します。適用の範囲は取引の形態で変わりますので、原典にあたって自社の該当関係を確かめてください。

企業側の情報化の流れも背景にあります。ただし受発注は基幹の業務に近く、会計や在庫の仕組みと同時に見直す必要が出てきます。関係する部署が多いほど検討は長引き、着手の順番では後回しになりがちです。その点、連絡手段の側から始める方法であれば、既存の仕組みへ手を入れずに試せます。まず注文の受け渡しだけを電子に置き換え、効果を確かめてから基幹の見直しへ進む順番も選べます。入口の低さは、こうした段階を踏める点にあります。

チェーン展開する事業では、店舗ごとの発注が日次で発生し、月次で集計されます。天候や連休、地域の催しによって、売れ行きは日ごとに振れます。売れ行きが振れれば、翌日の発注量もその分だけ動きます。変動が大きい時期ほど、締め時間の直前に注文が集中します。手元の端末から数分で送れる手段は、この集中を受け止めやすくなります。

2つの流れは向きが違います。現場の負担軽減は速さを求め、制度への対応は記録の確かさを求めます。速さだけを追えば記録が残らず、記録だけを追えば現場が使いません。両方を満たす設計が、複数店舗の発注では前提になります。

自社の商流に合わせた要件整理を進めたい場合は、無料相談で要件を整理するのが近道です。

個人LINE・グループLINEのままで起きる課題

個人のアカウントやグループのやり取りのまま発注を続けると、5つの困りごとが順に現れます。属人化、誤発注、二重発注、引き継ぎの断絶、そして取引データの保存です。これらは違法という話ではなく、業務の要件を満たしにくいという話です。どの要件を満たしにくいのかを1つずつ言葉にすると、対処の順番が決まります。店舗数が増えるほど、影響は受注側へ集まります。

最初に現れるのは属人化です。個人のアカウントで注文をやり取りすると、注文の履歴が担当者の端末に紐づきます。担当者が休んだ日に、別の担当が過去のやり取りを参照できません。窓口が個人に貼り付いた状態では、本部が発注の状況を横から確認する手立てもなくなります。

次に、誤発注と二重発注が起こります。グループの画面では、注文の書き込みと連絡事項が同じ列に並び、発注の指示が会話に埋もれます。読み落としに気づいた店舗が電話で追いかければ、同じ内容が2つの経路から届きます。受注側は、どちらが最終の指示かを判断する作業を追加で背負うことになります。

3つ目は、履歴を後から追えなくなることです。会話の検索は文字列に頼るため、品目名の表記が店舗ごとに違うと目的の記録へ届きません。「いつもの」「前回と同じ」といった書き方が混じると、注文の内容は前後のやり取りを読まなければ復元できません。数か月前の取引を確認する場面で、この差が時間の差になります。

4つ目は引き継ぎの断絶です。異動や退職で担当が替わると、個人の端末に残った記録は引き継げません。5つ目の取引データの保存も、同じ根から生じます。電子的にやり取りした注文の記録は、電子帳簿保存法第7条が定める電子取引の保存の対象になります。同条の下では、電子で受け渡した取引情報を紙へ印刷して残すだけでは足りず、電子データのままの保存が求められます。保存の期間は帳簿書類と同じ扱いで、法人税では原則として7年間です。要件は真実性の確保と可視性の確保の2つに分かれます。前者は訂正や削除の履歴が残る仕組みや事務処理規程の備え付けで満たし、後者は日付・金額・取引先で探し出せる状態を保って満たします。自社の該当関係は、国税庁の公表資料で確かめてください。

影響の重さは、誤りが見つかる時点で決まります。発注の締め時間の前に気づけば訂正で済み、出荷の後に気づけば返品と再配送の費用が発生します。欠品のまま営業日を迎えれば、その日の販売機会そのものを失います。連絡手段のままの運用は、この3段階のどこで気づけるかを担当者の注意力へ委ねている状態です。

これらは道具の善しあしではなく、決めごとの不足から生じます。誰がどの店舗の代表として注文を出すのか、どの表記で品目を書くのか、どこへ記録を残すのか。3つの決めごとが空欄のまま件数だけ増えると、確認の手間が件数に比例して膨らみます。本節は起きる事象を並べました。次節では、同じ事象を起こさないための決めごとを扱います。

個人のアカウントやグループのやり取りのまま発注を続けると、属人化、誤発注、二重発注、引き継ぎの断絶、取引データの保存という5つの困りごとが順に現れます。属人化では、注文の履歴が担当者の端末に紐づき、別の担当が参照できません。誤発注では、発注の指示が会話に埋もれ、読み落としが起こります。二重発注では、電話で追いかけた同じ内容が2つの経路から届きます。引き継ぎの断絶では、異動や退職で個人の端末に残った記録を引き継げません。取引データの保存では、電子で受け渡した記録を電子データのまま残すことが求められます。
連絡手段のままの運用で順に現れる5つの困りごと

複数店舗のLINE発注を回す運用設計

複数店舗の発注を回す設計は、管理単位の設計、権限の設計、運用ルールの設計という3層に分けると崩れにくくなります。管理単位の設計では店舗コードと発注単位を決め、権限の設計では発注者と承認者を分け、運用ルールの設計では発注テンプレートと締め時間を固定します。決める順番は前から後ろへの一方向です。後ろから決めると、店舗の追加のたびに前の層をやり直すことになります。

管理単位の設計は店舗コードから始めます。店舗コードは、店名の表記ゆれに左右されない識別の記号です。店名で管理すると、同一市内の2店舗や移転後の呼び名で取り違えが起きます。開店の順ではなく、地域や業態の並びで採番しておけば、集計の際の並べ替えが楽になります。

次に発注単位を決めます。1回の注文をどの範囲で締めるかという単位で、店舗単位、部門単位、配送先単位の3通りが候補です。飲食であれば厨房と客席、小売であれば売場ごとに発注する担当が分かれる場合があり、そのときは部門単位が実務に合います。単位を混在させると、集計の分母が注文ごとに変わってしまいます。

権限の設計では、発注者と承認者を分けます。発注者は店舗ごとに指名し、代理を1名まで登録しておけば欠勤の日も止まりません。承認者は、金額や数量の上限を超えた注文だけを確認する立場に置きます。すべての注文へ承認を挟むと、締め時間の直前に承認待ちが滞留します。

運用ルールの設計では、発注テンプレートを先に固めます。項目は、店舗コード、発注者名、品目コード、数量、希望納品日の5つに絞り、順番を変えずに使います。自由記述の欄は1つに限り、そこへ注文の条件を書かせない約束にしてください。項目の順番が揃えば、受注側は目で追う位置を固定できます。

締め時間は、当日出荷の受付を終える時刻として1つだけ定めます。店舗ごとに例外を認めると、受注側は店舗の数だけ締めを覚えることになります。締めの後に届いた注文の扱いも、翌日扱いとするか個別に相談するかの2通りのどちらかへ決めておきます。例外の扱いをあらかじめ決めておけば、例外そのものが減ります。

3層を決めたら、決めた内容を1枚の書面にまとめ、店舗と受注側の双方が同じものを見る状態にします。口頭で伝えた約束は、担当が替わった時点で消えます。書面へ載せるのは、店舗コードの採番規則、発注者と承認者の一覧、締め時間、例外の扱いの4点です。年に1度は見直しの時期を決めておくと、店舗の増減へ追随できます。

複数店舗の発注を回す設計は、管理単位の設計、権限の設計、運用ルールの設計という3層を前から後ろへ一方向に決めます。管理単位の設計には、店名の表記ゆれに左右されない識別の記号である店舗コードと、店舗単位、部門単位、配送先単位の3通りから選ぶ発注単位が入ります。権限の設計には、店舗ごとに指名し代理を1名まで登録する発注者と、金額や数量の上限を超えた注文だけを確認する承認者が入ります。運用ルールの設計には、項目を5つに絞って順番を変えずに使う発注テンプレートと、当日出荷の受付を終える時刻として1つだけ定める締め時間が入ります。
複数店舗の発注を回す運用設計の3層と決める順番

LINE公式アカウント単体と受発注システム連携の違い

公式アカウント単体での運用と、受発注システムと連携した運用の違いは、4つの軸で整理できます。管理単位、履歴の残り方、マスタ連携、権限の4つです。単体は始めやすく、店舗数と品目数が小さいうちは十分に回ります。連携は初期の設定に時間がかかる代わりに、店舗が増えても確認の手間が比例して増えにくくなります。どちらが優れているかではなく、店舗数と品目数のどちらが先に増えるかで選ぶ軸が変わります。

管理単位の軸では、単体の運用は友だちの一覧が管理の起点になります。誰がどの店舗の担当かは、表示名の付け方に依存します。連携した場合は、店舗コードを鍵にして注文と店舗が結びつきます。表示名を変えても紐づけが崩れない点が、店舗数の増えたときの差になります。

履歴の残り方の軸では、単体の運用は会話の並びがそのまま記録です。連携した場合は、注文が1件ずつの伝票として残り、受付済みや出荷済みといった状態が付きます。後から特定の店舗の3か月分を取り出す場面で、この違いが作業時間へ出ます。先に触れた電子帳簿保存法の保存要件を満たせるかどうかも、保存先を選ぶときの判断材料になります。伝票として残す形であれば、日付や取引先での検索に対応しやすくなります。

マスタ連携の軸は、商品マスタ、在庫、請求の3つに分かれます。商品マスタ(取扱商品の一覧データ)とつながっていれば、廃番の品目や店舗ごとの取扱区分を注文の時点で弾けます。在庫とつながっていれば、引き当て(注文分の在庫を確保する処理)のできない数量をその場で知らせられます。請求とつながっていれば、月末の締めで注文と請求を突き合わせる作業が要りません。外部の仕組みと接続する道は、公式の開発者向け資料で公開されています6。接続の可否は、基幹側(会計や在庫を扱う社内の中核の仕組み)の条件で決まります。

権限の軸では、単体の運用は担当者の交代を人手の連絡で吸収します。連携した場合は、発注者と承認者の登録を管理の画面から切り替えます。運用コストは、単体が日々の確認作業に、連携が初期の設定と保守に寄ります。総額の比較は、店舗数と品目数の前提を置かなければ成り立ちません。

連携を自社だけで組む場合、必要になる知識は3領域にわたります。メッセージ配信の仕組みに関する開発の知識、商品マスタと在庫の設計に関する知識、そして受発注の業務そのものに関する知識です。3領域を1人で兼ねる例はまれで、開発と業務の担当を分けた体制が要ります。社内に開発の担当を置けない場合は、設計だけを外部と組み、日々の運用は自社で持つ分担も選べます。

公式アカウント単体 受発注システム連携
管理単位 友だちの一覧が管理の起点 店舗コードを鍵に注文と店舗が結びつく
履歴の残り方 会話の並びがそのまま記録 1件ずつの伝票として残り、受付済みや出荷済みの状態が付く
権限 担当者の交代を人手の連絡で吸収 発注者と承認者の登録を管理の画面から切り替え
運用コスト 日々の確認作業に寄る 初期の設定と保守に寄る

複数店舗へ展開するときの移行手順

全店へ広げる手順は、発注経路の棚卸し、試行店舗での検証、定着の確認、全店展開、運用ルールの見直しという5段階です。最初から全店を切り替えると、書き方の揺れと問い合わせが同じ週へ集中します。まず少数の店舗で試し、記入漏れと問い合わせの件数が落ち着いてから広げる進め方が現実的でしょう。5段階のうち、時間を確保すべきは最初の棚卸しです。

発注経路の棚卸しでは、いま注文がどの道を通っているかを店舗ごとに書き出します。電話、ファクス、メール、個人のアカウント、紙の帳票という5つを列に並べ、店舗ごとに印を付ける形が扱いやすい方法です。ここで、本部の把握していなかった直接の注文が見つかることがあります。棚卸しを飛ばすと、切り替えの後に旧来の経路が生き残ります。

試行店舗での検証では、規模と発注の癖が異なる店舗を選びます。慣れた店舗だけで試すと、うまくいく前提の手順ができあがってしまいます。検証の長さは、発注の周期が2巡する期間を目安に置いてください。1巡目は操作の質問が中心で、2巡目から運用の質問へ変わるためです。

定着の確認は、感触ではなく数で見ます。記入漏れの件数、締め時間を過ぎた注文の件数、受注側からの問い合わせの件数という3つを毎日数えます。3つとも減り続けていれば定着へ向かい、いずれかが横ばいであれば、テンプレートか説明のどちらかに原因があります。数え方は簡単な集計で足り、専用の道具は要りません。

全店展開では、店舗を一度に切り替えず、地域や業態でまとまりを作って順に移します。1つのまとまりを切り替えたら、次へ進む前に問い合わせが収束したかを確認します。旧来の経路は、切り替えた店舗から順に閉じてください。閉じる時期を決めずに併用を続けると、経路が2本のまま固定されます。

運用ルールの見直しでは、例外として処理した注文を集め、例外のままにするか規則へ組み入れるかを判断します。新店の開店や品目の改廃があると、テンプレートの項目は少しずつ実態から離れます。年に1度など時期を決めておけば、ずれの小さいうちに直せます。棚卸しから見直しまでを1周と数え、翌年も同じ順で回します。

移行の失敗は、切り替えの当日ではなく1か月ほど後に現れます。旧来の経路が残っていると、注文の一部が新しい道を通らず、集計の数が合いません。合わない原因を後から追う作業は、棚卸しの作業より時間がかかります。移行の設計を外部と組む場合も、棚卸しの結果は自社で持っておくと判断が早くなります。

全店へ広げる手順は5段階です。発注経路の棚卸しでは、店舗ごとに経路を書き出します。試行店舗での検証では、癖の異なる店舗で試します。定着の確認では、3つの件数を毎日数えます。全店展開では、まとまりを作り順に移します。運用ルールの見直しでは、例外を集めて判断します。
複数店舗へ広げるときの移行手順5段階の並び
Sketchbooks with samples of textile for collection of clothes placed on table near shelves with stationery supplies in light studio
▽ 写真の出典元

現場から届く問いのうち、アカウントの分け方は運用設計の節、記録の残し方は公式アカウント単体と連携の違いの節、旧来の経路との併用は移行手順の節で結論を示しました。ここでは、それらとは別に相談の多い3つを取り上げます。既存の受発注システムと併せて使えるのか、取引先の側に何を準備してもらうのか、費用は誰が負担するのかという3点です。いずれも導入を決める前に線を引いておくと、切り替えの途中で立ち止まらずに済みます。

すでに受発注システムを使っている場合でも、置き換えずに併せて使う形は取れます。よくあるのは、緊急の追加注文や少量の注文だけをメッセージの経路へ寄せる分け方です。この場合は、どの注文をどちらへ流すかの線引きを、品目や金額であらかじめ決めてください。線引きを担当者のその場の判断へ委ねると、同じ品目が2つの経路へ分かれて集計が合わなくなります。既存の仕組みへ取り込む場合は、注文の一覧を1日1回まとめて渡す方法から始めると負担が軽く済みます。

取り込みの深さは、注文の件数を基準に置くと判断しやすくなります。1日あたりの件数が少ないうちは、受注側が手で書き写しても回ります。件数が増えて書き写しの時間が読めなくなった時点が、自動で取り込む仕組みを検討する頃合いです。書き写しにかかる時間を1週間だけ計っておけば、切り替えの判断材料になります。

取引先の側に用意してもらうのは、受注を確認する担当者と、確認の時間帯の2点です。仕入先が小規模な場合、注文を見る端末が1台しかないこともあります。誰がいつ画面を見るのかを決めていないと、送ったのに気づかれない状態が起きます。品目コードの表記も、取引先の呼び名と自社の呼び名を先に突き合わせてください。呼び名がずれたまま始めると、最初の1か月は確認の連絡が増えます。

費用の負担は、誰の作業が減るのかを基準に分けると話がまとまります。仕組みの利用料や初期の設定費は、発注の側と受注の側のどちらにも効果が及びます。一方だけが負担する形にすると、契約の更新の時期に話が止まりやすくなります。取引先が複数の得意先から異なる方式を求められている場合は、その負担の重さも考えに入れてください。決めた分担は、担当者どうしの了解にとどめず、書面へ残しておきます。

取引先の側から見た問いもあります。注文の条件を明示する方法は制度の資料で示されており2、支払い手段については2026年に施行された法律で見直しが示されています3。連絡手段を変えることと、取引条件の明示を満たすことは別の作業です。手段の切り替えに合わせて、条件の明示をどの書面で満たしているかも見直しておくと、後の確認が短く済みます。

3つの問いに共通するのは、決めた内容を書面へ残すかどうかです。口頭の合意は担当の交代で消え、次の担当が同じ問いを最初から検討します。既存の仕組みとの線引き、取引先の準備、費用の分担という3点を1枚にまとめておけば、店舗の追加は同じ手順の繰り返しになります。判断の材料が揃っていれば、外部へ相談する場合も話が早く進みます。管理単位の設計から既存の仕組みとの接続までをまとめて見直したい場合は、受発注の業務設計を支援するサービスへ相談する方法もあります。

Clean minimalist office desk featuring a bonsai plant for na
▽ 写真の出典元

BtoB通販システムのご相談

貴社の商習慣に合わせたご提案をいたします。

無料相談はこちら

複数店舗のLINE発注に関するよくある質問

導入までにどのくらいの期間を見ておけばよいですか。

期間は店舗数と品目数で変わるため、一律の日数は示せません。目安の置き方としては、棚卸し、試行、定着の確認、全店展開、見直しの5段階それぞれに区切りを設け、発注の周期が2巡する長さを試行へ充てる進め方があります。品目の整理が終わっていない場合、最も時間がかかるのは棚卸しです。

費用はどこに発生しますか。

費用の内訳は、メッセージの利用料、受発注の仕組みの利用料、接続や設定の初期費用、運用の人件費という4つに分けて考えます。料金の条件は改定されますので、公式の資料で確認できた内容だけを見積もりの前提に置いてください6。金額の目安は取引の規模で変わります。

店舗が新しい手順を使ってくれない場合はどうすればよいですか。

使われない原因は、手順の分かりにくさか、旧来の経路が残っていることのどちらかに絞られます。テンプレートの項目が5つを超えて増えていないか、締めの後の扱いが決まっているかを確認してください。旧来の経路を閉じる時期を決めると、利用は進みます。

取引条件の明示は、連絡手段を変えるだけで満たせますか。

手段の変更と、取引条件の明示は別の作業です。条件の明示に関する定めは制度の資料で公開されており2、支払い手段についても2026年に施行された法律で見直しが示されています3。自社の取引が対象に当たるかは原典で確認し、判断の難しい場合は専門家へ相談してください。

端末やアカウントを失った場合の備えはどうしますか。

備えは3つです。発注者と代理の登録を店舗ごとに残すこと、権限の変更を管理者が単独で処理できるようにしておくこと、そして注文の記録を会話の外にも残しておくことです。記録が外にあれば、端末を使えない期間も受注側で内容を確認できます。

◆監修・編集責任者

小園 将隆

株式会社フライトソリューションズ ECサービス部 マネージャー

BtoB通販のパッケージシステム「FSOL B2B Ⅱ」の導入支援をはじめ、製造業、卸売業をはじめとした法人向け通販サイト構築を多数手掛ける。卸売領域の専門知識をもとに、日本の商習慣に固有の課題をパッケージシステムの機能追加によって解決。BtoB流通の販路拡大を支援する。

  1. *1 出典:総務省「令和8年『情報通信に関する現状報告』(令和8年版情報通信白書)の公表」(2026) 経路
  2. *2 出典:公正取引委員会「中小受託取引適正化法(取適法)関係」(2026) 経路
  3. *3 出典:中小企業庁「ミラサポplus 受注者を守る法!手形払い禁止など『取適法』がもたらす変化」(2026) 経路
  4. *4 出典:独立行政法人情報処理推進機構「DX動向2026(企業等におけるDX推進状況等調査分析)」(2026) 経路
  5. *5 出典:LINEヤフー株式会社「LINE、国内月間利用者数が1億ユーザーを突破」(2026) 経路
  6. *6 出典:LY Corporation(LINE Developers)「Messaging APIの概要」(2026) 経路
  7. *7 出典:日本チェーンストア協会「チェーンストア販売統計」(2026) 経路

画像の出典元

  1. Clean and organized workspace featuring a laptop, eyeglasses/Photo by https://kaboompics.com/ on Pexels
  2. Clean minimalist office desk featuring a bonsai plant for na/Photo by Sarah Dorweiler on Pexels
  3. Sketchbooks with samples of textile for collection of clothes placed on table near shelves with stationery supplies in light studio/Photo by Anete Lusina on Pexels

Photos provided by Pexels

◆この記事について

独自調査以外の一次情報は、省庁・公的機関を中心とした信頼性の高い情報源から引用し、出典を明記しています。
年次更新される統計については、引用元の最新版を確認したうえで掲載しています。

※この記事は上記の監修・編集責任者がAIの協力を得て制作しています。

監修確認日:

記事内容に関するお問い合わせ:お問い合わせフォーム

BtoB EC(受発注)サイト構築システム「EC-Rider B2B Ⅱ」への
各種お問い合わせ

ページTOPへ戻る
無料相談を予約 お見積
平日10:00~18:00
page
top