◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- 取引先は個人LINEのままでよく、分けるべきは自社側の受け口で、公式アカウントなら担当者を後から変更できる。
- 送信取消で注文が画面から消えることがあるため、確認返信への了承をもって注文を確定とし、それまで手配しない。
- 取引先への依頼は、注文の書式、確認返信、締め時刻、担当変更時の連絡の4項目に絞る。
- チャットでの返信は通数に含まれないため、プランは注文の量より一斉に送る案内の回数と取引先の数で考える。
- 公式アカウントの履歴は無料範囲で半年、Chat Proで5年残り、それを超える保存は税務上の扱いを確かめてから決める。
目次

個人LINEで注文が届いたとき、まず何を確かめるか
取引先の担当者から、個人のLINEに「いつもの品を明日の便で追加で」と注文が届く。
FAXより早くて便利な反面、このまま受け続けてよいのか、担当者が休んだら誰が見るのかと迷う場面があります。
LINE受発注で分けて考えたいのは、取引先が個人LINEから送ることと、自社の受け口が担当者個人のLINEになっていることです。
取引先は個人LINEのまま、自社側だけを公式アカウントの窓口に替えれば、担当者の交代や履歴の保存を会社のアカウントで扱えます。
取引先へのお願いは、注文の書式、確認返信、締め時刻、担当変更時の連絡の四つに絞れます。
送信取消の期限と注文の確定のずれ
個人LINEで届いた注文は、画面に表示された時点で確定した記録になるとは限りません。
個人向けLINEでは、標準ユーザーは送信後1時間以内であれば、送ったメッセージを送信取消できます3。
送信取消をすると、送った側だけでなく受け取った側の画面からも消えます3。
似た操作の「削除」は自分の端末から消すだけで、相手の画面には影響しません3。
たとえば、取引先の担当者が朝に注文を送り、数量を打ち間違えたことに気づいて送信取消し、改めて送り直したとします。
受けた側がその間に最初の注文を見て手配を始めていれば、画面に残るのは送り直した注文だけなので、手元の手配と画面の内容が食い違った理由を後から追えません。
取引先が取り消したまま送り直すのを忘れた場合は、注文そのものが画面から消えます。
電話なら聞き取ったメモが、FAXなら紙が受けた側に残りますが、LINEの注文は送り手の操作で受け手の記録まで変わりうる点が違います。
そこで最初に確かめたいのは、注文がどの時点で確定したとみなすのかを、取引先と自社で取り決めているかどうかです。
受けた側が品目や数量を書き写して確認の返信を送り、取引先がそれを了承した時点を確定とするなら、元のメッセージが取り消されても自社の返信に注文の内容が残ります。
この考え方は、後で触れる公式アカウントに窓口を移しても変わりません。
公式アカウントのチャットでも、取引先は自分が送ったメッセージを送信取消できるからです1。
担当者の私物スマホに残る取引情報
もう一つの穴は、注文の記録がどこに残っているかです。
個人LINEで受けている場合、注文は自社の担当者個人のアカウントのトークに残ります。
そのスマホが私物であれば、会社は端末の設定や持ち出しを管理していません。
トークの中身は取引先名、品目、数量、単価、納品先などで、取引先が個人事業主であれば氏名や住所が含まれることもあります。
こうした情報が、家族や友人とのトークと同じ一覧に並ぶことになります。
写真や見積書を別のトークへ転送してしまう、外出先で開いた画面を見られる、といった誤りは、業務用の画面を分けていない分だけ起きやすくなります。
担当者が休んだ日には、ほかの社員がそのスマホを開くわけにはいかないので、届いた注文に誰も気づかないこともあります。
担当者が異動や退職で代わるときも同じです。
トークは担当者個人のアカウントにあるため、会社として引き継ぎの手順を用意しにくく、それまでの注文の経緯は担当者が受注台帳などへ転記した分しか会社に残りません。
いま個人LINEで注文を受けているなら、誰のアカウントで受けているか、受けた注文をどこへ転記しているか、転記する前に取り消されたら気づけるか、の三点を確かめると、次に何を直すべきかが見えてきます。
▼ 図の内容を文字で読む
- 送信した時点
- 送信後1時間まで:個人LINE(標準ユーザー)は送信取消できる
- 送信後24時間まで:公式アカウントから送ったチャットは送信取消できる
出典:LINEヤフー株式会社「LINEヘルプセンター:メッセージの取り消し(送信取消)と削除」(個人向けLINEの標準ユーザー・2026年)、LINEヤフー株式会社「LINE公式アカウント マニュアル(チャット)」(公式アカウントから送ったチャット・2026年)
▼ 図の内容を文字で読む
- 取引先の担当者が個人LINEで注文を送る
- 自社担当者の個人アカウント(私物スマホ)に届く
- 担当者が受注台帳へ転記する
- 会社に残るのは転記した分だけ
個人LINEのまま続けてよいのは、どんな条件のときか
利用規約の営利目的の禁止と「当社の認めたもの」
個人LINEのまま続けてよいかを考えるとき、まず気になるのがLINEの利用規約です。
規約の禁止事項には「営業、宣伝、広告、勧誘、その他営利を目的とする行為」が挙げられ、「当社の認めたもの」は除くとされています4。
この条文は、個人アカウントを含むLINE全体に向けた規約です。
ただ、すでに取引のある相手と注文をやり取りすることがこの禁止事項に当たるのかは、条文を読むだけでは決まりません。
新しい客を勧誘するのとは性質が違うとも読めますし、会社の事業として継続的に使っている点を重く見ることもできます。
どちらに読むかは個別の事情で変わるため、「規約違反だからすぐにやめるべき」とも「問題ない」とも言い切れないのが正直なところです。
言い切れないこと自体が、窓口を分ける理由の一つになります。
受発注は会社の売上に直結する業務で、取引先が増えるほど止めにくくなります。
その土台を、事業での使い方が条文上はっきりしない個人アカウントに置き続けるより、事業者向けに用意された公式アカウントへ移しておくほうが、後から解釈に悩む場面を減らせます。
個人LINEで足りる条件と足りなくなる条件
規約とは別に、会社として情報をどう管理するかという面からも考えます。
個人情報保護委員会は、中小規模事業者も必要かつ適切な安全管理措置を講じる必要があるとしたうえで、大企業と同等の措置までは求めず、事業の規模や性質、個人データの取扱状況に応じて手法を決めればよいとしています5。
小さな会社が個人LINEで少数の注文を受けていること自体を、一律に否定する考え方ではありません。
では、どこまでなら個人LINEで回り、どこから足りなくなるのか。
編集部では、次の四つの条件で見ることを提案します。
<ul><li>注文の量:受けたその場で受注台帳へ移せる量なら回りますが、転記が後回しになるほど、送信取消できる1時間のうちに控えられない注文が出てきます。</li>
<li>取引先の数:一、二社なら注文のトークを見分けられますが、増えるほど私用のトークと混ざって見落としやすくなります。</li>
<li>情報の中身:法人名と品番、数量だけなら扱いは軽く済みますが、個人事業主の氏名や住所、単価が並ぶと私物スマホに置いておく重みが変わります。</li>
<li>受ける人数:一人が常に見られるなら回りますが、休みの日の代わりや複数人での対応が必要になると、個人のアカウントでは注文を共有できません。</li></ul>
四つとも前者に収まるなら、個人LINEのままでも、確認返信と転記のルールを決めれば回せる余地があります。
一つでも後者に当てはまるなら、問題は担当者の注意力ではなく、窓口が個人に属していることにあります。
担当を付け替えられる仕組みと、会社のアカウントとして履歴が残る仕組みがあるかどうかが、次に比べる公式アカウントとの違いになります。
▼ 図の内容を文字で読む
- 個人LINEで回る
- 受けたその場で受注台帳へ転記できる
- 取引先が少なく私用のトークと混ざらない
- 法人名と品番、数量だけのやり取り
- 一人が常に見られる
- ルールで補う
- 確認返信への了承で注文を確定とする
- 受注台帳に転記してから手配する
- 窓口を分ける
- 転記が後回しになる
- 取引先が増えて私用と混ざる
- 個人事業主の氏名や住所を扱う
- 休みの代わりや複数人で受ける
公式アカウントなど業務用の窓口は、個人LINEと何が違うか
担当者の変更と履歴の保存期間
公式アカウントは、会社やお店が事業用に開設するLINEのアカウントです。
取引先から見れば相手が会社のアカウントになり、自社の側では管理画面のチャットで注文を受けます。
個人LINEとの違いが最もはっきり出るのが、担当者の扱いと履歴の残り方です。
公式アカウントのチャットでは、担当者が未設定の場合は最初にチャットを送信したメンバーが担当者になり、担当者は後から変更できます1。
注文の窓口は会社のアカウントのままで、受け持つ人だけを付け替えられるということです。
前の節で触れた、担当者個人のアカウントに注文の経緯が閉じてしまう問題は、ここで解消に向かいます。
履歴の保存期間は、テキストや画像・動画などのコンテンツ、ファイルのいずれも、無料範囲では半年、Chat Proオプションでは5年です1。
チャットに付けられるタグは、無料範囲では1個まで、Chat Proオプションでは最大30個までです1。
タグは、チャットに付けておく目印と考えると分かりやすいでしょう。
1個しかない無料範囲では「未確定の注文あり」のような一つの状態だけを目印にし、取引先の種類や対応状況を細かく分けたい場合にChat Proを検討する、という使い分けになります。
Chat Proオプションの料金や申込条件は、契約前に公式の案内で確かめておく必要があります。
表で判断が分かれるのは保存期間です。
注文の内容を受注台帳に転記して会社の記録とするなら、チャットはやり取りの経緯を確かめる場所になり、無料範囲の半年で足りる場面もあります。
チャットそのものを長く記録として残したいなら5年のChat Proが候補になりますが、どこまで残すべきかは運用ルールの節で考えます。
取引先の操作は友だち追加と送信だけ
窓口を公式アカウントに移すと聞くと、取引先に新しいアプリやシステムを覚えてもらう必要があるように感じるかもしれません。
実際に取引先がすることは、自分の個人LINEで自社の公式アカウントを友だち追加し、これまでと同じようにトークで注文を送ることです。
取引先の側は個人LINEのままで構いません。
取引先の担当者が代わった場合も、新しい担当者が同じ公式アカウントを友だち追加すれば注文を送れます。
個人LINE同士でつながっていると、どちらかの担当者が代わるたびに連絡先をつなぎ直すことになりますが、窓口が会社のアカウントなら、どちらの側の担当が代わっても宛先は変わりません。
一方で、変わらない点もあります。
取引先は公式アカウントに送ったメッセージも、自分で送信取消できます1。
自社から送ったチャットは、送信から24時間以内であれば送信取消できます1。
個人LINEの標準ユーザーが自分のメッセージを取り消せるのは送信後1時間以内なので3、確認返信を誤って送った場合に取り消せる時間は公式アカウントのほうが長くなります。
ただ、取引先が先に読んでいる可能性はあるため、取り消しで済ませず訂正を送る運用は別に要ります。
メッセージ通数の枠とチャット返信
公式アカウントの料金プランは、月額固定費と無料メッセージの通数で分かれています。
コミュニケーションプランは0円で200通、ライトプランは5,000円(税別)で5,000通、スタンダードプランは15,000円(税別)で30,000通です2。
メッセージ数は「送った回数×送った友だちの数」で数え、チャットでの返信や自動のあいさつメッセージは通数に含まれないとされています2。
注文の受け付けで中心になるのは、取引先から届いた注文にチャットで確認を返すやり取りです。
この返信が通数に含まれない以上、注文の件数が増えても、それだけで通数の枠を使い切ることにはなりにくい構造です。
通数に効いてくるのは、休業日の案内や価格改定のお知らせを、友だちになっている取引先全員へまとめて送る場合です。
この場合は送った回数に友だちの数を掛けて数えるため、取引先が多いほど一回の案内で消費する通数が増えます。
そのため、プランを考える手掛かりは注文の量より、一斉に送る案内の回数と取引先の数です。
ここで挙げた金額はLINEヤフーが示す各プランの月額固定費で、受発注の仕組みにかける費用の相場を示すものではありません。
| 比べる点 | 無料範囲 | Chat Proオプション |
|---|---|---|
| 担当者の変更 | できる | できる |
| チャットの保存期間 | 半年 | 5年 |
| タグの上限 | 1個まで | 最大30個まで |
▼ 図の内容を文字で読む
- 取引先の担当者(個人LINEのまま)
- 自社の公式アカウントを友だち追加して注文を送る
- 自社は管理画面のチャットで受ける
- チャットごとに担当者を決め、交代時は変更する
| 比べる点 | 個人LINE(担当者のアカウント) | 公式アカウント 無料範囲 | 公式アカウント Chat Pro |
|---|---|---|---|
| 自社から送ったメッセージを取り消せる期間 | 送信後1時間以内(標準ユーザー) | 送信後24時間以内 | 送信後24時間以内 |
| 取引先がすること | 担当者個人とつながってトークで送る | 公式アカウントを友だち追加してトークで送る | 公式アカウントを友だち追加してトークで送る |
取引先に負担をかけず切り替えてもらうには、何をどう依頼するか
依頼文に入れる4項目
取引先に切り替えをお願いするとき、依頼の中身は取引先の作業として書き直すと伝わりやすくなります。
取引先にしてもらうことは、自社の公式アカウントを友だち追加することと、決めた書式で注文を送ることの二つです。
そのうえで、依頼文には次の4項目を入れることを提案します。
<ul><li>注文の書式:取引先名、納品希望日、品目、数量、納品先を、毎回同じ順で書いてもらいます。</li>
<li>確認返信:自社が内容を書き写した確認を返し、取引先がそれを見て了承した時点で注文を確定とします。</li>
<li>締め時刻:何時までに届いた注文をどの出荷に回すかを、自社の出荷の段取りに合わせて伝えます。</li>
<li>担当変更時の連絡:取引先の担当者が代わるときは、新しい担当者が友だち追加したうえで、そのことを知らせてもらいます。</li></ul>
書式は、取引先がこれまで送ってきた文面に近い形にするほうが、書き方を変える手間が少なく済みます。
確認返信の項目には、注文を直したいときは送信取消ではなく、訂正の文面を送ってもらうお願いも添えておきます。
取引先は公式アカウントに送ったメッセージを自分で取り消せるため1、取り消しと送り直しで直されると、どれが最新の注文かを自社の側で突き合わせる手間が残るからです。
依頼文の例を挙げると、次のような形になります。
「今後のご注文は、弊社のLINE公式アカウントで承ります。
お手数ですが、こちらを友だち追加のうえ、取引先名・納品希望日・品目・数量・納品先をお送りください。
弊社から内容を確認するご返信をお送りし、ご了承をいただいた時点で注文確定とします。
(締め時刻)までのご注文は(出荷日)の出荷とします。
ご注文を直したいときは、取り消しではなく訂正の内容をお送りください。
ご担当の方が代わる際は、新しいご担当の方から友だち追加のうえ一言お知らせください。」
依頼する項目を増やすほど、取引先は何を変えればよいのかを読み取りにくくなります。
この4項目は、注文が漏れる、誤る、引き継げないという自社の困り事に直接つながるものに絞ったもので、受け入れてもらえるかどうかは取引先との関係にもよります。
切り替え中の暫定運用
依頼を送った翌日から、すべての取引先が公式アカウントに移るとは限りません。
友だち追加を後回しにする取引先もいれば、急ぎの注文をつい担当者の個人LINEに送ってくる取引先もいるでしょう。
切り替えの途中は、個人LINEに届いた注文も受ける前提で段取りを組むほうが現実的です。
このとき漏れやすいのは、注文の入口が二つになることです。
そこで、どちらに届いた注文も受注台帳の一か所へ転記し、手配は台帳を見て行うことにします。
個人LINEに届いた注文には、受けたことを返したうえで、次回から公式アカウントへ送ってほしいと一言添えます。
暫定の期間には終わりを決め、取引先にも伝えておきます。
終わりがないと、個人LINEでも受けてもらえるという状態が続き、窓口を分けた意味が薄れます。
期間の長さに決まった目安はないので、取引先の数や注文の頻度を見て、すべての取引先から一度は公式アカウント経由の注文が届いたかを確かめてから閉じる、といった決め方が考えられます。
▼ 図の内容を文字で読む
- 公式アカウントを用意し、受けるメンバーを決める
- 取引先へ依頼文を送る(書式・確認返信・締め時刻・担当変更時の連絡)
- 暫定期間は、個人LINEと公式アカウントのどちらに届いた注文も受注台帳へ転記する
- 終了日を伝え、個人LINEでの受付を閉じる
漏れ・誤り・担当交代に備えて、最低限決める運用ルール
確認返信と取消後の再確認
取引先へのお願いとは別に、自社の中で決めておくルールがあります。
一つ目は、注文を受けてから確定させるまでの手順です。
流れは、注文が届いたら内容を書き写して確認返信を送り、取引先の了承を受けてから受注台帳へ転記して手配に回す、という順です。
確認返信を送る前の注文は未確定として扱い、手配を始めません。
こうしておくと、取引先が確認前に送信取消した場合でも、未確定の注文が一つ消えただけで済み、手配との食い違いが起きにくくなります。
取り消されたことを画面で確実に見つけられるかどうかに頼らず、手配の側で守る考え方です。
確認返信の後に取引先から訂正が届いた場合は、訂正後の内容で改めて確認返信を送り、了承を受けてから台帳を直します。
自社の確認返信に誤りがあったときは、送信から24時間以内なら送信取消できますが1、取引先がすでに読んでいるかもしれません。
取り消したうえで正しい内容を送り直し、誤りがあったことを一言伝えるほうが、どちらの内容が正しいかを取引先が迷わずに済みます。
担当者変更時の引き継ぎ
公式アカウントでは担当者を変更できるので1、窓口そのものを引き継ぐ作業は担当の付け替えで済みます。
残るのは、付け替えだけでは伝わらない事柄です。
具体的には、確認返信を送ったがまだ了承が来ていない注文、締め時刻の後に届いて次の出荷に回した注文、取引先ごとに書式から外れやすい書き方の癖です。
未確定の注文は、チャットを読み返せば分かるとはいえ、件数が多いと見落とします。
無料範囲でもタグは1個付けられるので1、「未確定」の目印として使い、了承が来たら外す、と決めておくと、後任者が最初に見るべきチャットを絞りやすくなります。
取引先側の担当者が代わった場合は、担当変更の連絡を受けた時点で、新しい担当者からの注文が同じ取引先の注文として台帳に入るよう、取引先名の書き方を揃えておきます。
履歴を半年より長く残す場合の考え方
公式アカウントのチャットの履歴は、無料範囲では半年、Chat Proオプションでは5年残ります1。
半年で足りるかどうかは、チャットを何の記録として扱うかで変わります。
確定した注文を受注台帳に転記し、台帳を会社の正式な記録とするなら、チャットは注文までの経緯を確かめる場所です。
数量の行き違いを半年以上たってから確かめる場面がほとんどない取引なら、無料範囲で回る可能性があります。
反対に、チャットのやり取りそのものを取引の記録として残しておきたいなら、半年では足りません。
Chat Proで5年残すか、半年を過ぎる前に注文の内容を台帳などの社内の記録へ移しておくかを選ぶことになります。
気をつけたいのは、チャットで受けた注文のデータを税務上どう保存するかという点です。
その扱いは事業者の区分や取引の形によって変わりうるため、国税庁の電子帳簿保存法一問一答(電子取引関係)で確かめるか、顧問の税理士に相談するのが先です。
保存の期間と方法が決まってから、それに合わせてChat Proを使うか、別の記録へ移すかを選ぶ順番にすると、後から足りなかったと気づく事態を避けやすくなります。
▼ 図の内容を文字で読む
- 注文が届く
- 品目と数量を書き写して確認返信を送る
- 取引先が了承する(ここで確定)
- 受注台帳へ転記する
- 手配に回す
個人情報や取引情報を扱う会社として押さえる管理上の注意
規模に応じた安全管理措置
会社として情報をどう管理するかを、注文の窓口の切り替えと結び付けて整理します。
まず確かめたいのは、注文のやり取りに個人データが含まれるかどうかです。
取引先が個人事業主で、氏名や住所、電話番号を添えて注文してくる場合は、個人情報として扱う場面が出てきます。
法人名と品番、数量だけのやり取りなら、どこまでが個人データにあたるかを先に整理しておくと、必要以上に構えずに済みます。
個人データを扱う場合も、中小規模事業者には大企業と同等の措置までは求められず、事業の規模や性質、個人データの取扱状況に応じた必要かつ適切な措置を講じればよいとされています5。
この考え方は私物端末やLINEの業務利用を直接定めたものではないため、具体的な線引きは自社で決めることになります。
窓口を公式アカウントに移すと、決めることが具体的になります。
管理画面を扱えるのは誰か、どの端末から開くか、担当者が自宅や外出先で私物のスマホから見ることを認めるか、の三つです。
個人LINEで受けていた頃は、注文が担当者のアカウントに入っていたため、こうした線を会社の側で引けませんでした。
窓口が会社のアカウントになれば、誰が見られるかを会社が決められるようになります。
誤送信・退職時の対応を決めておく
誤送信は、仕組みを替えてもなくなりません。
公式アカウントから送ったチャットは送信から24時間以内なら送信取消でき1、個人LINEの標準ユーザーは送信後1時間以内です3。
ただ、取り消せるのは画面の表示であって、相手がすでに読んだ内容まで戻せるわけではありません。
別の取引先の単価や納品先を送ってしまった場合に、誰に報告し、相手にどう連絡するかを決めておくと、担当者が一人で抱えて取り消しだけで済ませることを防ぎやすくなります。
退職のときは、窓口が会社のアカウントにあるかどうかで手間が大きく変わります。
公式アカウントで受けていれば、担当者を後任へ変更し1、退職者が管理画面を扱えないようにメンバーの範囲を見直すことが中心になります。
個人LINEで受けていた期間の注文は担当者個人のアカウントに残っているため、会社が後から回収することは難しくなります。
切り替え前から続いている取引ほど、受注台帳への転記が済んでいるかを、担当者がいるうちに確かめておく意味があります。
注文の量や取引先の数、受ける人数によって、公式アカウントの窓口だけで足りるのか、受注台帳への転記まで含めて流れを見直すべきかは会社ごとに変わり、自社だけでは線を引きにくいためです。
いまの注文の入口と転記先を一緒にたどり、どこで漏れや二重入力が起きうるかと、窓口の分け方を確かめられます。無料相談で要件を整理する
要点の整理
| 取引先の送り方 | 個人LINEのままでよい。自社の公式アカウントを友だち追加して送ってもらう |
|---|---|
| 自社の受け口 | 転記の遅れ、取引先の増加、個人データ、複数人での対応のどれかがあれば公式アカウントへ分ける |
| 注文の確定 | 確認返信への取引先の了承で確定とし、それまで手配しない |
| 取引先への依頼 | 注文の書式、確認返信、締め時刻、担当変更時の連絡の4項目 |
| プランの見方 | チャット返信は通数に含まれない。一斉に送る案内の回数と取引先の数で考える |
| 履歴の保存 | 無料範囲は半年、Chat Proは5年。税務上の保存は一問一答や税理士に確かめて決める |
取引先への依頼文や社内ルールは決められても、切り替え後に注文をどこへ集めて管理するかは出荷や請求の流れとつながるため、判断が残りやすいためです。 取引先の数と注文の流れをもとに、受けた注文を一か所で管理する方法と、切り替えの段取りを整理できます。
よくある質問
取引先が公式アカウントの友だち追加を嫌がる場合はどうすればよいですか。
無理に急がせず、切り替え中の暫定運用として、個人LINEに届いた注文も受注台帳へ転記して受けます。
嫌がる理由が操作の分かりにくさなのか、会社のアカウントとつながること自体への抵抗なのかで対応が変わります。
操作の不安なら友だち追加の手順を依頼文に添え、抵抗が強い取引先にはFAXやメールなどこれまでの方法を残す選択もあります。
どの入口から届いても台帳の一か所に集め、確認返信の手順を揃えておけば、入口が複数あっても漏れを抑えやすくなります。
取引先が送った注文を後から取り消した場合、どう気づいて確認すればよいですか。
取り消しに気づけるかどうかに頼らない運用にするのが現実的です。
個人LINEでは送信取消すると受け取った側の画面からも消え、標準ユーザーは送信後1時間以内なら取り消せます3。
公式アカウントでも、取引先は自分が送ったメッセージを取り消せます1。
確認返信を送り、取引先の了承を受けてから手配する手順にしておけば、了承前に取り消された注文は手配に回らず、了承後の変更は訂正の文面として届くようになります。
公式アカウントの無料プランで、注文のやり取りは何通まで足りますか。
注文への返信が中心なら、通数の枠を気にする場面は少ないと考えられます。
チャットでの返信は通数に含まれないとされ、通数は「送った回数×送った友だちの数」で数えます2。
コミュニケーションプランの無料メッセージは200通です2。
休業日のお知らせなどを全取引先へ一斉に送る場合は友だちの数だけ通数を使うため、一斉に送る回数と取引先の数から必要なプランを見積もります。
担当者が退職したとき、個人LINEで受けていた注文の履歴はどうなりますか。
個人LINEで受けていた注文は退職者個人のアカウントのトークにあるため、会社として引き継ぐ手順を用意しにくく、退職後に会社が中身を確かめることは難しくなります。
退職が決まった段階で、未確定の注文が残っていないか、確定した注文が受注台帳へ転記されているかを本人と確かめ、取引先には新しい窓口を案内します。
公式アカウントに窓口を移しておけば、担当者を後任に変更することで窓口を引き継げます1。
チャットで受けた注文は、書類としてどれくらい保存すべきですか。
税務上の保存の扱いは事業者の区分や取引の形によって変わりうるため、一律には言えません。
国税庁の電子帳簿保存法一問一答(電子取引関係)で確かめるか、顧問の税理士に相談したうえで決めます。
そのうえで、公式アカウントのチャットの保存期間が無料範囲で半年、Chat Proオプションで5年であることを踏まえ1、チャットに残すか、受注台帳など社内の記録へ移すかを選びます。
- 1 出典:LINEヤフー株式会社「LINE公式アカウント マニュアル(チャット)」(2026年)
- 2 出典:LINEヤフー株式会社「LINE公式アカウント 料金プラン」(2026年)
- 3 出典:LINEヤフー株式会社「LINEヘルプセンター:メッセージの取り消し(送信取消)と削除」(2026年)
- 4 出典:LINEヤフー株式会社「LINE利用規約」(2026年)
- 5 出典:個人情報保護委員会「「中小規模事業者」も、大企業と同等の安全管理措置を講じなくてはいけませんか(FAQ)」(2026年)