◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- 個人LINEのアカウントは本人に帰属し、譲渡も他人による使用もできないため、担当者が替わると注文の窓口と履歴を会社で引き継げません。
- LINE公式アカウントのチャット履歴は無料範囲で半年、チャットProで5年です。長く見返す必要があるなら、有料オプションの要否を先に決めます。
- 窓口は、履歴を見返す年数、受注に関わる人数、社内でLINE WORKSを使っているかで選び、注文が定型なら書式の案内やフォームも検討します。
- 切り替えは案内、並行運用、受付終了の順に進め、取引先ごとの一覧で個人LINE経由の注文が残っていないかを確かめます。
- 確認返信を送るまで手配しないルールにすると、取引先による取り消しや読み違いに手配前に気づけます。
目次

個人LINEのまま受発注を続けると、どの場面で止まるのか
取引先からの注文が担当者のスマートフォンの個人LINEに届き、その人が読んで手配する。
電話やFAXより聞き間違いは減っても、担当者が異動や退職をすれば、注文の履歴も取引先とのつながりも、その人のアカウントと一緒に会社を離れます。
LINEの利用規約では、アカウントは本人だけに帰属し、譲渡も他人による使用もできません4。
注文の窓口を会社のものにするなら、LINE公式アカウントか、LINE WORKSで取引先のLINEとやり取りする形へ移すのが無理のない方法です。
どちらにするかは履歴を残したい年数と担当者の人数で選びます。
切り替えは、取引先に新しい窓口を友だち追加してもらう並行運用から始めます。
アカウントが個人に帰属するとどうなるか
個人LINEで注文を受けている状態を、取引先の側から見てみます。
取引先のスマートフォンには御社の担当者の個人アカウントが友だちとして登録されていて、注文はそのトークに送られます。
取引先にとっての窓口は会社ではなく、その担当者本人です。
この形は、担当者が変わる場面で止まります。
LINEの利用規約は、アカウントを利用者本人に一身専属的に帰属するものとし、第三者への譲渡や貸与、相続を認めていません4。
他人のアカウントを使うことや、他人からアカウントやパスワードを受け取ることも禁止されています4。
退職する担当者に「スマートフォンごと置いていってほしい」「ログイン情報だけ残してほしい」と頼んで窓口を続ける方法は、規約の上で成り立ちません。
結果として会社に残るのは、取引先一社ずつに新しい連絡先を伝え直す作業です。
その間、事情を知らない取引先は前の担当者のアカウントへ注文を送り続けるかもしれません。
異動であれば社内で声をかけて転送してもらえても、退職した後はそれも頼めなくなります。
なお、個人LINEで取引先と注文をやり取りすること自体が規約違反かというと、条文からはそこまで言えません。
規約は営業や勧誘など営利を目的とする行為を禁じていますが、同じ箇所で「当社の認めたものを除く」としており、取引先との注文連絡がどちらに当たるかは書かれていないためです4。
ここで問題にしているのは違反かどうかより、会社として窓口を引き継ぐ仕組みが用意されていないという点です。
履歴のバックアップと誤送信への備え
引き継げないのはアカウントだけではありません。
規約は、LINEのサーバーに保存されたデータについて同社がバックアップの義務を負わず、利用者自身がバックアップを行うと定めています4。
個人LINEに届いた注文の記録を残す責任は、担当者個人の端末と操作に預けられていることになります。
受発注では、過去の注文を見返す場面が少なくありません。
「前回と同じものを」と言われたとき、数量の食い違いを確かめるとき、請求の前に注文の数を数え直すとき。
そのたびに担当者本人のスマートフォンを開いてもらう必要があり、機種変更や紛失でトークが消えていても、会社の側ではそれに気づけません。
誤送信への備えも、個人の操作に頼る部分が大きくなります。
個人向けLINEで送ったメッセージを取り消せるのは、標準の利用者で送信から1時間以内です3。
家族や友人とのトークと取引先とのトークが同じ一覧に並ぶので、納期の回答を別の相手に送ってしまうといった取り違えも起こり得ます。
1時間を過ぎれば取り消せず、訂正のメッセージを追って送るしかありません。
取り消しは取引先の側からもできます。
取引先が自分の送った注文を取り消すと、担当者が控えを取る前に文面が見えなくなることがあります。
個人LINEの中だけで注文を受けていると、何を頼まれていたのかを後からたどる手がかりが残りません。
取引先情報の権限管理
取引先とのトークには、注文の内容だけでなく、相手の担当者の氏名や連絡先、届け先の住所も流れてきます。
取引先が個人事業主であれば、事業の情報がそのまま個人の情報でもあります。
個人情報保護委員会のガイドラインは、個人データを取り扱う事業者に対し、担当者と取り扱う情報の範囲を限定するアクセス制御を行い、システムを使う人が正当な権限を持つ人であることを識別・認証するよう求めています5。
あわせて、従業者に適正な取扱いを周知し、教育することも求めています5。
対象は個人情報取扱事業者が扱う個人データで、手法の例としてはIDとパスワードによる権限の付与などが挙げられています5。
担当者の個人LINEにある取引先の情報は、会社が「誰が見られるか」を決めることも、見られる人を後から外すこともできない場所にあります。
規約上アカウントは本人のものであり4、会社側にはそこへ権限を設定する手段がないからです。
ガイドラインの考え方を受発注の窓口で実際に回そうとすると、窓口そのものを会社が管理できるアカウントに分けておく方が筋が通ります。
これはガイドラインが個人LINEの業務利用を名指しで禁じているという意味ではなく、権限を管理できる場所に注文を集めておくという整理です。
▼ 図の内容を文字で読む
- 取引先が担当者の個人LINEへ注文を送る
- 担当者が異動・退職する
- アカウントは本人に帰属し会社が引き継いで使えない
- 取引先一社ずつに新しい連絡先を伝え直す
個人LINE継続・公式アカウント・LINE WORKSは、履歴・担当者・料金でどう違うのか
LINE公式アカウントの履歴・担当者・料金
会社の窓口として最初に候補になるのが、LINE公式アカウントです。
取引先は自分の個人LINEから会社の公式アカウントを友だち追加し、そこへ注文を送ります。
受け取る会社の側では、担当者が公式アカウントの管理画面でチャットを読み、返信します。
取引先の操作は、送り先が担当者個人から会社のアカウントに変わるだけです。
費用で気になるのは、注文のやり取りに通数の料金がかかるかどうかでしょう。
提供元の料金ページでは、チャットの送受信や自動応答メッセージなどの機能は無料で使えるとされています2。
月額のプランは無料のものから有料のものまであり、主な違いは友だち全体へ一斉に送る配信に使える通数です2。
取引先から届く注文に一件ずつ答える使い方なら、プランを上げる理由は配信の量の側にあり、注文の件数そのものではありません。
新商品や休業日の案内を全取引先へ一斉に送る予定があるなら、その通数に合わせてプランを選ぶことになります。
プランごとの月額は、提供元の料金ページに2026年時点の価格が示されています2。
履歴の残り方は、無料のままか有料オプションを付けるかで大きく変わります。
チャットのテキストや画像、ファイルの保存期間は、無料範囲で半年、チャットProオプションを付けると5年です1。
5年の対象になるのは2024年以降の履歴です1。
チャット履歴のダウンロードと、条件を指定して絞り込むカスタムフィルターも、チャットProを購入している場合に限られます1。
無料のままでは、半年より前の注文は画面から見返せず、まとめて書き出しておくこともできません。
グループや複数人のトークで共有された画像・動画・ファイルには、1対1のチャットとは別に、より短い閲覧・保存期間が定められています1。
注文書の写真やファイルは、取引先との1対1のチャットで受け取る形にしておく方が、後から見返しやすくなります。
担当者の割り当ては、チャットごとに設定する形式です1。
設定していない場合は、そのチャットに最初に送信したメンバーが担当者になります1。
マニュアルの説明は一つのチャットに一人の担当者を設定する形で、取引先ごとに主担当を決めて設定する使い方が前提になります1。
LINE WORKSの外部トーク連携の条件と料金
もう一つの候補が、LINE WORKSです。
会社が従業員ごとにアカウントを発行して使う業務用のチャットで、社内の連絡と同じ画面で、取引先のLINEからのトークを受ける使い方ができます。
社内で既にLINE WORKSを使っているなら、注文のための窓口を別に増やさずに済むのが大きな違いです。
取引先のLINEとやり取りするには、管理者が外部のユーザーとのトークを許可する設定をし、取引先の側からも友だち追加をしてもらう流れになります。
どのプランでこの機能が使えるかは、契約前に提供元の最新の案内で確かめておく必要があります。
料金は、有料のスタンダードが450円、アドバンストが800円で、いずれもユーザー1人あたりの月額(年額契約・税抜)です6。
小規模で使える無料のフリープランもあります6。
トークの送受信データを長期間保存したい場合はアーカイブ(トーク)というオプションがあり、ユーザー1人あたり月額300円(年額契約・税抜)です6。
公式アカウントが窓口となるアカウント単位でプランを選ぶのに対し、LINE WORKSは注文に関わる人数分で費用が積み上がります。
ここで挙げた金額は、どちらも提供元が2026年時点で公開している特定プランの価格です。
受発注の窓口にかかる費用の相場を示すものではありません。
4つの窓口を同じ軸で並べる
ここまでの違いを、個人LINEを続ける場合と、LINE以外の別手段も含めて同じ軸で並べます。
フォームのような別手段は、取引先に決まった項目を入力してもらう種類の手段として並べ、特定の製品の機能や料金は扱いません。
表で判断が分かれるのは、履歴の行と担当者の行です。
取引先側の操作は、公式アカウントでもLINE WORKSでも友だち追加から始まり、使い慣れた自分のLINEで送る点は変わりません。
違いが出るのは受ける会社の側で、注文を窓口専用の管理画面で受けるのか、社内連絡と同じチャットの中で受けるのか、という点です。
個人LINEの列は、費用がかからない代わりに、履歴と引き継ぎの行が会社の手を離れています。
前の節で見たとおり、これは設定の工夫で補える性質のものではありません。
| 比べる点 | 個人LINE継続 | LINE公式アカウント | LINE WORKSの外部トーク | フォームなどの別手段 |
|---|---|---|---|---|
| 履歴の保存 | バックアップは利用者自身が行う | 無料範囲で半年・チャットProで5年 | アーカイブ(トーク)オプションで長期保存 | 選ぶ手段の仕様による |
| 担当者の割り当て | 会社では割り当てられない | チャットごとに担当者を一人設定 | 会社が発行したメンバーのアカウントで対応 | 選ぶ手段の仕様による |
| 料金 | 会社としての契約なし | チャットの送受信は無料・配信の通数でプランを選ぶ | 450円・800円/ユーザー/月(年額・税抜)+アーカイブ300円 | 製品により異なる |
| 取引先側の操作 | 今のまま担当者へ送る | 公式アカウントを友だち追加して送る | 友だち追加して送る(外部トークの許可設定が前提) | 決まった項目を入力する |
| 担当者が替わるとき | アカウントは本人に帰属し引き継げない | 窓口は会社のアカウントとして残る | 窓口は会社のアカウントとして残る | 受け取る仕組みを会社が管理していれば残る |
▼ 図の内容を文字で読む
- LINE公式アカウント
- チャットの送受信は無料
- プランの違いは一斉配信に使える通数
- 5年の保存はチャットProオプション
- LINE WORKS
- スタンダード450円・アドバンスト800円(ユーザー1人あたり月額・年額契約・税抜)
- アーカイブ(トーク)は300円(ユーザー1人あたり月額)
- 費用は注文に関わる人数分で積み上がる
- 個人LINE継続
- 費用はかからない
- 履歴と引き継ぎは会社の手を離れる
取引先の数・慣れ・注文の形式で、どれを選ぶか
履歴を何年残したいか
窓口を選ぶ最初の軸は、注文の履歴をどこまで遡って見返す必要があるかです。
たとえば、毎月ほぼ同じ品目を発注してくる取引先が多く、確認するのは直近数か月の注文がほとんどだという場合。
この使い方なら、公式アカウントの無料範囲の半年1でも日々の確認には足りる可能性があり、まず無料のまま始めて、運用の中で困るかどうかを見る進め方ができます。
一方で、季節ごとの注文を前年と比べたい、取引先との間で過去の数量や単価の食い違いを確かめたいといった用途があるなら、半年では足りません。
この場合は、5年保存のチャットPro1か、LINE WORKSのアーカイブオプション6が選択肢になります。
チャットProでは履歴のダウンロードもできるため1、社内の別の台帳に書き出して保管する運用とも組み合わせられます。
ここで気をつけたいのは、LINEの中の履歴を正式な注文記録の代わりにするかどうかです。
チャットの保存期間は提供元の仕様で決まっていて、会社が任意に延ばせるものではありません。
受注した内容を別の台帳や受注の仕組みへ転記している会社なら、LINEに残すのはやり取りの経緯であり、必要な年数はその分短くなります。
反対に、LINEのトークそのものが唯一の記録になっているなら、保存期間は窓口選びの中心の条件になります。
担当者の人数と社内の連絡手段
二つ目の軸は、注文を受ける人が何人いて、社内でどう連絡を取り合っているかです。
受注を少人数で回しているなら、公式アカウントのチャットごとの担当者設定1で分担できます。
取引先が増えて担当を分けたいときも、取引先ごとに主担当を決めて設定していけば、誰がどの取引先の注文を受け持っているかがチャットの上で分かります。
社内の連絡に既にLINE WORKSを使っていて、受注の後に倉庫や配送の担当へ指示を回しているなら、外部トークで受ける形が合います。
社内連絡と同じチャットの中で注文を受けられるので、公式アカウントの管理画面を見て社内チャットへ書き写すという一段が要りません。
ただし費用は使う人数分かかるため6、受注に関わらない社員まで含めて契約するかどうかは、社内連絡の用途と合わせて考えることになります。
取引先の慣れについては、どちらを選んでも取引先が使うのは自分の個人LINEで、送り先が変わるだけという点が共通しています。
ITに不慣れな取引先が多いほど、操作が増えないLINEの窓口にしておく利点は大きくなります。
判断を分けるのは、むしろ注文の形式の方です。
注文が定型か自由記述か
注文が毎回、品番・数量・納品希望日のように同じ項目でできているなら、LINEの自由な文章で受けること自体を見直す余地があります。
自由記述では取引先によって書き方がばらばらで、納品日が抜けていたり、品名が略称だったりします。
そのたびに聞き返しが発生し、返事を待つ間は手配が止まります。
決まった項目を入力してもらうフォームのような手段なら、項目の抜けはその場で分かります。
その代わり、取引先には新しい入力画面に慣れてもらう必要があり、LINEのように一言書き添える気軽さはなくなります。
どちらが優れているかではなく、注文の項目がどれだけ決まっているかで向き不向きが分かれます。
中間の方法として、LINEの窓口のまま注文の書式を決め、取引先に貼り付けて埋めてもらう形もあります。
たとえば「品番/数量/納品希望日/届け先」の順に書いてもらうよう案内しておけば、聞き返す項目は減ります。
注文はフォーム、相談や急ぎの変更はLINEと使い分けるなら、窓口が二つになるため、どちらに届いたものを正式な注文とするかを決めておく必要があります。
▼ 図の内容を文字で読む
- 履歴は半年分を見返せれば足りる:公式アカウントの無料範囲から始める
- 数年分の履歴を残したい:チャットPro(5年)かLINE WORKSのアーカイブ
- 社内連絡にLINE WORKSを使っている:外部トークで受ける
- 注文が毎回同じ項目:書式の案内かフォームなどの別手段を考える
取引先に切り替えを頼む順序と、並行運用の進め方
案内文に入れる項目
公式アカウントでもLINE WORKSでも、取引先に最初にしてもらうのは新しい窓口の友だち追加です。
ここで取引先が迷うのは、なぜ変えるのか、何をすればいいのか、いつから送り先を変えるのか、の三点です。
案内文はこの三点に答える形で組み立て、そこに注文の書き方と連絡先を添えます。
- 切り替える理由:担当者が替わっても注文の窓口と履歴が会社に残るようにするため
- 追加の方法:友だち追加用のQRコードやURL(公式アカウントなら管理画面から発行できます)
- 新しい窓口へ送り始める日と、個人LINEで受け付ける最終日
- 注文の書き方:品番・数量・納品希望日など、書いてほしい項目
- 追加したら会社名と担当者名を一言送ってほしいというお願い
- 困ったときの連絡先:会社の電話番号など
追加したら一言送ってもらうのは、取引先のLINEの表示名が会社名と違うことがあるためです。
表示名が個人のニックネームのままだと、新しい窓口に誰が追加したのかを照合できません。
最初のメッセージで会社名を名乗ってもらえば、その時点で追加の確認と取引先の特定が同時に済みます。
案内は、取引先がいま確実に読んでいる経路、つまり担当者の個人LINEから送るのが目に留まりやすいでしょう。
あわせて、納品書に同封する、FAXで送るなど、LINEを見落としがちな取引先にも届く経路を重ねておくと、案内の行き違いが減ります。
並行運用の期間と終了日
案内を送った日から、すぐに個人LINEでの受付をやめる必要はありません。
一定の期間は、個人LINEと新しい窓口の両方で注文を受ける並行運用にします。
期間の長さに決まった目安はなく、自社の取引先がどのくらいの頻度で注文してくるかで決めます。
週に一度注文する取引先が中心なら、その取引先が新しい窓口から何度か注文を送り、送り方に慣れるまでの期間を一つの考え方にできます。
並行運用の間に個人LINEへ届いた注文は、受け付けたうえで、受付の記録を新しい窓口の側にまとめます。
担当者は返信の中で「次回からはこちらへお願いします」と、新しい窓口の追加方法を添えて誘導します。
この期間は記録の付け替えが二重の手間になるため、期間を区切らずに続けると、移行前より作業が増えたままになります。
期間の終わりには、個人LINEでの受付を終える日をあらかじめ告げておきます。
終了日の少し前にもう一度知らせ、終了日以降に個人LINEへ注文が届いた場合の扱いも社内で決めておきます。
たとえば、受け付けたことは返信し、記録は担当者が新しい窓口側へ移したうえで、次回からの送り先を改めて伝える、という扱いです。
こうしておけば、終了日をまたいだ注文が取引先との間で宙に浮きません。
未追加の取引先への個別連絡
切り替えを進めると、すぐ追加してくれる取引先と、案内を見ていない取引先に分かれます。
誰がまだなのかを把握するために、取引先ごとの一覧を作っておきます。
- 取引先名
- 案内を送った日
- 新しい窓口で最初の一言を受け取った日
- 新しい窓口で最初の注文を受けた日
- 個人LINE経由の注文が続いているか
最初の一言の欄が空いたままの取引先には、電話で個別に声をかけます。
操作に不慣れな相手には、案内文をもう一度送るより、通話しながらQRコードの読み取りを案内する方が伝わりやすい場合があります。
どうしても友だち追加が難しい取引先には、無理に新しい窓口へ寄せず、電話やFAXなど会社の番号で受ける例外の経路を残します。
大事なのは、個人LINEを例外の窓口として残さないことです。
例外が担当者の個人アカウントに残ると、引き継げない窓口がまた一つ生まれます。
切り替えが終わったかどうかは、一覧の最後の列で確かめます。
個人LINE経由の注文が一件も残っていない状態になって、はじめて窓口の移行が終わったと言えます。
▼ 図の内容を文字で読む
- 案内
- 切り替える理由
- 友だち追加の方法
- 開始日と個人LINEの受付最終日
- 並行運用
- 両方の窓口で注文を受ける
- 個人LINEの注文は記録を新しい窓口へまとめる
- 次回からの送り先を誘導する
- 受付終了
- 終了日を事前にもう一度知らせる
- 終了後に届いた注文の扱いを決めておく
- 移行の確認
- 取引先ごとの一覧を見直す
- 個人LINE経由の注文が残っていないか確かめる
▼ 図の内容を文字で読む
- 取引先ごとの一覧を作る
- 最初の一言の欄が空の取引先に電話する
- 通話しながらQRコードの読み取りを案内する
- 追加が難しい取引先は電話やFAXで受ける
切り替え後に注文の見落としを防ぐ運用ルールの決め方
担当割りとタグでの状態管理
ここからは、LINE公式アカウントで注文を受ける場合の運用です。
LINE WORKSは機能の作りが異なるため、以下の担当者設定やタグの仕様はそのまま当てはまりません。
公式アカウントでは、担当者が設定されていないチャットは、最初に送信したメンバーが担当者になります1。
手が空いた人が気づいて返信すると、その人が意図せず担当者になり、そのまま担当として表示され続けます。
取引先ごとの主担当は切り替えの時点で決めておき、最初のメッセージが届いたらすぐに設定する順にしておくと、担当のあいまいなチャットが残りません。
注文の状態を見分けるのに使えるのがタグです。
タグは1ユーザーにつき、無料範囲で1個、チャットProで最大30個まで付けられます1。
「未確認」「確認済み」「出荷済み」のように状態を切り替えて管理するには複数のタグを使い分けることになり、無料範囲の1個では足りません。
タグで状態を管理するなら、チャットProを付けることが前提になります。
もう一つ押さえておきたいのは、タグが付くのは取引先というユーザーであって、一件ずつの注文ではないことです1。
同じ取引先から二件の注文が続けて届くと、タグが示すのは取引先とのやり取り全体の状態で、どちらの注文が出荷済みなのかまでは表せません。
一件ずつの注文の状態は受注台帳など別の記録で管理し、タグは対応が必要な取引先を見つける目印として使うと、役割が混ざりません。
確認返信と取消後の再確認
見落としを減らす中心は、注文を受けたら内容を復唱して返す確認返信です。
品番・数量・納品希望日を書き戻し、「この内容で手配します」と送る。
このルールがあると、取引先は自分の注文が読まれたことを知り、担当者は書き間違いや読み違いをその場で相手に見てもらえます。
チャットの送受信は無料の機能なので2、確認返信を増やしても通数の費用は増えません。
受付時間も決めておきます。
夜間や休日に届いた注文に返信がないと、取引先は届いたのかどうか分かりません。
自動応答メッセージも無料で使える機能です2。
自動応答の文面に受付時間と、確認返信を送るまでは手配前であることを書いておけば、時間外に送った取引先も、翌営業日の返信を待てばよいと分かります。
取り消しの扱いも、確認返信と組み合わせて決めます。
公式アカウントから送ったチャットは、送信から24時間以内なら取り消せます1。
取引先は個人LINEから送っているので、標準の利用者なら送信から1時間以内に自分の注文を取り消せます3。
確認返信を送る前に取引先のメッセージが見えなくなったら、手配に進まずに内容を問い合わせる、というルールにしておくと、取り消された注文をそのまま手配してしまう食い違いが起きにくくなります。
会社側の確認返信を誤って送った場合も、24時間以内なら取り消せますが1、取引先がすでに読んでいる可能性があります。
黙って取り消すより、訂正した確認返信を改めて送る方が、どの内容で手配するのかが記録として残ります。
権限と教育
窓口を会社のアカウントに移した目的の一つは、誰が取引先の情報を見られるかを会社が決められるようにすることでした。
個人情報保護委員会のガイドラインが求める、担当者と扱う情報の範囲を限定するアクセス制御の考え方5に沿えば、窓口にアクセスできる人は受注に関わる人に絞ることになります。
異動や退職で受注から外れる人が出たときに、その人を窓口のメンバーから外す手順と、担当していたチャットの担当者を付け替える手順を、社内で決めておきます。
担当者を付け替えないまま放置すると、チャットの上ではいなくなった人が担当のまま残ります。
メンバーの権限の種類や追加・削除の具体的な操作は、導入前に提供元の最新のマニュアルで確かめておくと、いざというときに手順で迷いません。
教育の面では、ガイドラインは従業者への周知と教育を求めており、手法の例として定期的な研修や就業規則への秘密保持の規定を挙げています5。
受発注の窓口であれば、注文画面を撮影して私的なトークに送らない、注文の写真やファイルは窓口のチャットの中でやり取りする、といった具体的な扱い方を、担当者が入れ替わるたびに伝えます。
扱い方を決めて伝えておけば、窓口を会社のものにした意味が日々の運用の中で薄まりにくくなります。
▼ 図の内容を文字で読む
- 取引先の注文がチャットに届く
- 主担当を担当者に設定する
- タグ「未確認」を付ける
- 内容を復唱して確認返信を送る
- 手配し、タグを「確認済み」から「出荷済み」へ切り替える
履歴を何年残すか、誰がどの取引先を受け持つか、注文をどこまで定型にするかは、自社の取引先の顔ぶれと注文の流れによって答えが変わり、仕様を読むだけでは決めにくい部分です。
いまの注文の届き方と社内での受け渡しを一緒に書き出し、公式アカウントとLINE WORKSのどちらが合うか、有料オプションが必要かを整理できます。無料相談で要件を整理する
要点の整理
| 軸 | 基準 |
|---|---|
| 個人LINEの限界 | アカウントは本人に帰属し、会社で引き継げない |
| 履歴の保存 | 公式アカウントは無料で半年・チャットProで5年、LINE WORKSはアーカイブオプション |
| 担当の分け方 | 公式アカウントはチャットごとに担当者を設定。未設定なら最初に送信したメンバー |
| 窓口の選び方 | 履歴を見返す年数、受注に関わる人数、社内でLINE WORKSを使っているか |
| 切り替えの順序 | 案内、並行運用、受付終了、一覧で個人LINE経由の注文がないか確認 |
| 見落とし対策 | 確認返信を送るまで手配しない。消えた注文は問い合わせる |
窓口を決めた後も、案内文の作り方、並行運用の長さ、終了後に届いた注文の扱いは、取引先との関係を崩さないように自社の事情に合わせて組み立てる必要があります。 取引先への案内文と並行運用の期間、移行を確かめる一覧の項目を、自社の発注頻度と担当者数に合わせて具体的に詰められます。
よくある質問
個人LINEで取引先と注文をやり取りするのは、LINEの規約違反になるのですか。
条文からは断定できません。
LINEの利用規約は営利を目的とする行為を禁じていますが、「当社の認めたものを除く」としており、取引先との注文連絡がどちらに当たるかは書かれていません4。
はっきりしているのは、アカウントが本人に帰属し、譲渡も他人による使用もできないこと4、つまり会社として窓口を引き継ぐ仕組みがないことです。
LINE公式アカウントのチャット履歴は、無料のままでどのくらい残りますか。5年残すには何が要りますか。
無料範囲ではチャットの保存期間は半年です1。
5年残すには有料のチャットProオプションが必要で、対象は2024年以降の履歴です1。
履歴のダウンロードも、チャットProを購入している場合に限られます1。
LINE公式アカウントで注文を受けると、取引先とのやり取りにもメッセージ通数の料金がかかりますか。
チャットの送受信や自動応答メッセージは、無料で使える機能とされています2。
プランごとの通数が関わるのは、友だちへ一斉に送る配信の側です2。
取引先から届く注文に一件ずつ返信する使い方であれば、注文の件数が増えてもプランを上げる理由にはなりません。
取引先が公式アカウントを友だち追加してくれない場合は、どうすればよいですか。
まず電話で個別に声をかけ、通話しながらQRコードの読み取りを案内します。
それでも難しい取引先には、電話やFAXなど会社の番号で受ける例外の経路を残します。
担当者の個人LINEを例外として残すと、引き継げない窓口がまた生まれるため避けた方がよいでしょう。
注文が毎回同じ項目の場合、LINEの自由記述とフォームのような手段はどう使い分ければよいですか。
品番・数量・納品希望日のように項目が決まっているなら、項目の抜けがその場で分かるフォーム型の手段が向いています。
取引先に新しい画面へ慣れてもらう負担が気になる場合は、LINEの窓口のまま注文の書式を案内し、貼り付けて埋めてもらう方法もあります。
両方を使うなら、どちらに届いたものを正式な注文とするかを先に決めておきます。
担当者が退職するとき、LINE公式アカウントでは何を見直せばよいですか。
その人が担当者に設定されていたチャットを、後任に付け替えます。
付け替えないと、チャットの上では退職した人が担当のまま残ります1。
あわせて窓口にアクセスできるメンバーから外し、タグで管理していた対応状況を後任に引き継ぎます。
取引先にとっての窓口は会社のアカウントのままなので、連絡先を伝え直す必要はありません。
- 1 出典:LINEヤフー株式会社「LINE公式アカウント マニュアル(チャット)」(2026年)
- 2 出典:LINEヤフー株式会社「LINE公式アカウント 料金プラン」(2026年)
- 3 出典:LINEヤフー株式会社「LINEヘルプセンター:メッセージの取り消し(送信取消)と削除」(2026年)
- 4 出典:LINEヤフー株式会社「LINE利用規約」(2026年)
- 5 出典:個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」(2026年)
- 6 出典:ワークスモバイルジャパン株式会社「LINE WORKS 利用料金ページ」(2026年)