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LINE受発注とメール受発注の違いは?手間・ミスの変化と切り替えの判断基準

◆監修・編集責任者 小園 将隆 

B2B EC-COLUMN

この記事のポイント

  • LINEへの切り替えで減るのは、受信箱から注文を見分ける手間と、相手が受領したかを確認するための往復。注文内容を台帳へ転記する作業は残る
  • LINE公式アカウントの無料範囲は、チャット内容の保存期間が半年、1ユーザーへのタグ付与が1個まで。チャットProオプションでそれぞれ5年、最大30個の追加に広がる
  • LINE WORKSのフリープランはメンバー30人・ストレージ5GBが上限で、有償プランは1ユーザーあたり月額450円または800円(年額契約時、2026年時点)でメンバー数の上限がなくなる
  • 取引先の担当者が個人としてLINEを使っている可能性は高い(全年代の利用率91.1%)が、業務連絡として受け入れられるかは別の問題で、私物端末の利用制限などで断られることもある
  • 注文の年月日・金額・取引先が分かるやり取りは電子帳簿保存法上の電子取引に当たり得るため、トークの保存期間とは別に記録を残す運用を決めておく

50代後半の日本人女性が自席でのスマートフォン併用をしている場面

メールでの受発注に感じる負担は、LINEに変えることで何が変わるのか

仕入先から届く注文メールを一件ずつ開き、数量と納期を社内の管理表へ書き写し、返信して確認を取る。
この流れのどこかで一通見落とすと、気づくのは出荷日の朝ということもあります。
LINE公式アカウントやLINE WORKSのトークに切り替えると、注文が届いたことがスマートフォンの通知で分かり、相手が読んだかどうかも画面上で確認できるため、メールで起きていた「届いたか分からない」「返信を待って別タブで確認する」という往復は減らせます。
ただし無料で使える範囲ではトークの保存期間が半年、1ユーザーに付けられるタグは1個までと決まっており1、取引先が増えたり過去の注文を長くさかのぼりたい場合は有料のオプションが必要になります。
さらにLINEで注文内容をやり取りする場合も、メールと同じく電子帳簿保存法上の保存対象になり得ます。
手間の軽さだけでなく、この記録面まで含めて切り替えを判断したいところです。

メールでの受発注は、どこで手間とミスが生まれているのか

受注担当者の一日は、たいてい受信箱の確認から始まります。
取引先ごとに件名のつけ方が違い、「発注書送付の件」という件名もあれば、前のやり取りに返信する形で「Re:Re:Re:」と続いているものもあります。
注文かどうかは開いてみないと分からず、見積もりの問い合わせや納期の催促と同じ列に並んでいます。

手間が生まれるのは、この「開いてみないと分からない」という構造そのものです。
注文メールを開いたあと、品番と数量を管理表へ転記し、相手へ受領の返信を打ちます。
相手がその返信を読んだかどうかはメール上では分からないので、翌日になっても出荷指示に動きがなければ電話で確認することになります。

見落としも、同じところから生まれます。
一通のメールの中に「先日の件ですが、ついでに型番Bも10個追加でお願いします」と本文の最後に書かれていると、上から読んでいて数量だけを拾った担当者が追加分を取りこぼします。
メールは一通の中にいくらでも情報を詰め込めるため、読み落としが起きる場所が本文のどこにでも存在します。

LINEのトークに変えると、この流れのどこが変わるのか

LINEのトークに置き換えると、まず通知の性質が変わります。
取引先ごとにトークルームが分かれるため、どの相手から連絡が来たかが一覧の時点で分かります。
メールのように他社からの問い合わせや社内連絡と同じ受信箱に混ざることがなく、「注文が来ているのに気づかなかった」という状況は起きにくくなります。

もう一つは、相手が読んだかどうかが画面上で分かることです。
受領の返信を送ったあと、相手側で既読がついていれば、電話で「届いていますか」と確認する必要はありません。
メールでの往復のうち、少なくとも「届いたか確認するための一通」は省けます。

LINE公式アカウントには、チャットを分類するためのタグを付ける仕組みもあります1。
「未処理」「出荷済」のような状態を相手ごとに記録しておけば、受信箱の中を件名で探し直す作業が、一覧を見るだけで済むようになります。
ただし無料で使える範囲では1ユーザーに付けられるタグは1個までなので1、状態と取引先区分を同時に管理したい場合は制約を受けます。

注意しておきたいのは、この違いが示しているのは操作の構造であって、ミスが何割減るといった効果ではない点です。
確認漏れや入力ミスがどれだけ減るかを測った公的な調査は確認できていません。
通知が分かれ、既読が見え、タグで分類できるという機能上の違いが、自社のどの作業にあたるのかを自分の手順に当てはめて考えることが、判断の出発点になります。

メールとLINEトークで受注時の手順を比べた模式図
メールでの手順とLINEトークでの手順を並べた図

LINE公式アカウント・LINE WORKSとメールで、送受信・確認の流れはどう違うか

メールでの一般的な受発注の流れ

メールでの受発注は、送信・受信・保管のどれもが同じ受信箱の上で行われます。
取引先が注文内容を本文に書くか、発注書のファイルを添付して送り、受注側はそれを開いて内容を確認し、受領の返信を返します。
このやり取りは一本の時系列として積み上がっていくため、あとから「あの取引先の先月の注文」を探すときは、差出人や件名、期間で検索をかけることになります。

この仕組みの利点は、検索がメールソフトの機能として最初から備わっていることです。
差出人で絞り込めば、その取引先とのやり取りが期間を問わず並びます。
添付ファイルも本文と一緒に残るため、発注書のPDFを後から取り出すこともできます。

一方で、相手が読んだかどうかは分かりません。
開封確認の機能を使う方法はありますが、相手側の設定に依存するため確実ではなく、実務では電話やチャットで別途確認することが多くなります。
この「確認のための確認」が、メールでの受発注に残る手間の正体です。

LINE公式アカウントのチャット・タグ機能でできること

LINE公式アカウントは、企業や店舗が個人のLINEユーザーとやり取りするための仕組みです。
取引先の担当者が個人のLINEから自社のアカウントを友だち追加すると、一対一のチャットが開き、そこで注文のやり取りができます。
受注側は管理画面から複数の担当者で同じチャットを見られるため、「担当者が休みで内容が分からない」という状態は起きにくくなります。

チャットの内容には、タグを付けて分類できます1。
相手ごとに「定期便」「スポット注文」といった区分を記録しておけば、トーク一覧の中から該当する相手を絞り込めます。
ただし先に触れたとおり、無料で使える範囲では1ユーザーに付けられるタグは1個までです1。

保存期間にも区切りがあります。
テキストや画像、ファイルといったチャット内容は、無料範囲では半年で保存期間が終わります1。
さらにグループや複数人でのトークの場合、画像やビデオは2週間、ファイルは1週間と、一対一のときよりも短くなります1。
取引先と複数人のグループを作って発注書の画像をやり取りする運用を考えている場合は、この短さが実務に効いてきます。

LINE WORKSのトーク・メンバー管理でできること

LINE WORKSは、社内外の連絡を一つのアプリでまとめる業務用のツールです。
社内のメンバーはLINE WORKS同士でトークし、取引先の担当者とは相手の個人LINEとつながる形でやり取りできます。
社内の在庫担当と取引先を同じグループに入れて、在庫の可否をその場で返すといった使い方ができる点が、LINE公式アカウントとの違いになります。

管理の面では、メンバーごとにアカウントを発行して権限を分けられます。
受注担当、出荷担当、経理担当がそれぞれのアカウントで入り、必要なトークだけを見る形を取れます。
担当者が退職したときにアカウントを止めれば、その人の端末からやり取りが見えなくなるため、個人のLINEで取引先とつながっている場合に起きる引き継ぎの問題を避けられます。

無料のフリープランには、メンバー数とストレージの上限があります。
メンバーは30人まで、保存できる容量は合計5GBまでです4。
受注に関わる社内の人数が少なく、やり取りが文字中心であれば当面は収まりますが、発注書の画像やPDFが日々積み上がる運用だと容量の方が先に効いてきます。

メール・LINE公式アカウント・LINE WORKSの機能面の違いを比べた模式図
三つの手段の検索・既読・分類・権限の違いを並べた図

取引先はLINEでの発注に抵抗なく移行できるか

個人としてのLINE利用はどこまで広がっているか

切り替えを考えるとき、自社の都合より先に気になるのは取引先の反応です。
新しいツールを使ってほしいと頼んで、「うちは対応できない」と言われれば、結局メールとの二重運用になります。

その点で参考になるのが、LINEそのものの利用の広がりです。
LINEの国内月間利用者数は、2025年12月末時点で1億人を超えています2。
この数字は、スマートフォンに紐付くLINEアカウントを持つ人のうち、1か月の間に一度でもLINEを起動したアカウントの数として定義されています2。

年代をまたいだ利用状況も確認できます。
総務省情報通信政策研究所の令和6年度の調査では、全年代におけるLINEの利用率は91.1%でした3。
この調査は13歳から79歳を対象に、全国125地点で調査票を配布し本人記入で回収したものです3。
特定の年代に偏ったサービスではなく、取引先の担当者が50代でも60代でも、個人としてLINEを使っている可能性は相応に高いと見ておけます。

この数字から言えること、言えないこと

ここで区別しておきたいのは、これらが個人の生活者としての利用状況を示した数字だということです。
総務省の調査も、業務連絡でLINEを使うことに企業がどう反応するかを測ったものではありません3。
「操作を覚えてもらう負担は小さい」ことと、「ビジネスの連絡手段として受け入れてもらえる」ことは、別の話です。

実際、取引先側の事情で断られることはあります。
社内規定で業務連絡に私物のスマートフォンを使うことを禁じている会社、発注履歴を自社のメールサーバーに残す運用を決めている会社では、LINEへの移行は担当者の一存で決められません。
「相手も使っているから大丈夫だろう」と見込んで一斉に案内を出すと、こうした取引先から個別に説明を求められることになります。

現実的なのは、全取引先を一度に切り替えようとしないことです。
やり取りの頻度が高く、注文の形が決まっている相手から声をかけ、メールと並行して運用しながら様子を見る。
そのうえで、断られた相手はメールのまま残すという形にすれば、二重運用の範囲を自分で管理できます。

確認する事柄 LINEへ移りやすい状態 メールのままが現実的な状態
担当者の端末 業務でスマートフォンを使っている 社内規定で私物端末の業務利用を制限している
注文の形 品番と数量が決まった定型の注文が中心 仕様の相談や図面のやり取りを伴う
発注側の記録方針 受領の控えが確認できれば足りる 自社のメールサーバーに履歴を残す運用を決めている
やり取りの頻度 週に何度も注文がある 年に数回の発注にとどまる
LINEの利用状況の数字が示すことと示さないことを分けた模式図
個人利用の広がりと業務受け入れの可否を分けた図

どんな取引先・注文パターンならLINEが向き、メールのままで十分か

少数の取引先・定型的な注文が中心の場合

向き不向きを分けるのは、取引先の数と、過去の注文をどこまでさかのぼって確認する必要があるかの二点です。
まず、やり取りする相手が限られていて、注文の形が決まっている場合を考えます。

たとえば地域の飲食店数軒から、毎週決まった曜日に食材の注文を受けている卸の受注担当であれば、注文の内容は品番と数量と納品日に収まります。
相手は店舗にいる時間が長く、パソコンの前に座ってメールを打つより、スマートフォンで短く送る方が早い。
この場合、LINE公式アカウントの無料で使える範囲でも実務は回ります。
チャットの内容は半年保存されるため1、「先月の注文と同じ内容で」という問い合わせにもさかのぼって答えられます。

半年という区切りが問題にならないのは、注文内容を自社の販売管理システムや受注台帳に転記していて、トーク自体は確認用の控えとして使っている場合です。
逆に、トークのやり取りそのものを唯一の記録にしているなら、半年を過ぎた分は画面からたどれなくなります。
この違いは、次の節で触れる保存義務とも直結します。

取引先数が多く長期保存や検索性が必要な場合

一方、取引先が数十社あり、担当者も複数人で分担している場合は、無料の範囲だけでは手が足りなくなります。
タグが1ユーザーに1個までだと1、「今月の未処理」という状態を付けたら「関西エリア」という区分は付けられません。
取引先が増えるほど、トーク一覧をスクロールして探す時間が戻ってきます。

保存期間も同じです。
前年の同時期にどれだけ注文があったかを確認したい、あるいは数量の行き違いが後から判明して当時のやり取りを示す必要がある。
こうした場面で半年の区切りにぶつかると、トークの画面からは根拠を出せません。

社内の人数が多い場合は、LINE WORKSのフリープランでも上限に当たります。
メンバー30人という枠は4、受注担当だけなら十分でも、出荷・在庫・経理まで同じ環境に入れると届くことがあります。
ストレージの5GB4も、発注書の画像を日々受け取る運用では消費が早くなります。
有償のプランではメンバー数の上限がなくなり、ストレージも基本容量がスタンダードで1TB、アドバンストで100TBへ広がり、1メンバーにつき1GBが加算される形になります4。

無料プランと有料プランの料金・機能を比較する

金額の面で見ると、LINE WORKSのフリープランは月額0円、スタンダードは1ユーザーあたり月額450円、アドバンストは月額800円です(いずれも年額契約時、2026年時点)4。
受注に関わる社内のメンバーが10人なら、スタンダードで月額4,500円という計算になります。

LINE公式アカウント側は、チャットProオプションを付けることで保存期間が5年に、1ユーザーへのタグ付与数が30個まで広がります1。
この5年という期間は、過去の取引を後からたどる必要がある業務では意味を持ちます。

どちらを選ぶかは、取引先とのやり取りを何のために残すかで分かれます。
相手ごとの注文状況を分類して管理したいならLINE公式アカウントのタグ機能が中心になり、社内の複数部署を巻き込んでやり取りしたいならLINE WORKSの方が合います。
この先の比較表で、保存期間とタグ数、メンバー数と費用を並べて確認できます。

なお、ここで挙げた料金とプラン内容は2026年時点の各社公式ページに基づくものです14。
将来の改定や個別の契約条件によって変わる可能性があるため、導入を決める段階では契約時点の内容を確認してください。

LINEが向く条件とメールのままが現実的な条件を分けた模式図
取引先数と注文パターンによる向き不向きを分けた図

LINEでの受発注も、メールと同じく記録として保存する義務があるか

電子帳簿保存法上の電子取引に当たるか

ここまでは手間と費用の話でしたが、切り替えを決める前に確認しておきたいのが記録の扱いです。
メールでの受発注には保存義務があることを知っている担当者でも、LINEのトークが同じ扱いになるかは判断に迷うところです。

電子帳簿保存法では、取引情報の授受を電磁的方式により行う取引を「電子取引」と定めています5。
具体例としてEDI取引、インターネット取引、電子メールにより取引情報を授受する取引(添付ファイルによる場合を含む)などが挙げられています5。
この定義は、使っているツールの名前ではなく、取引情報をやり取りしているかどうかで線を引いています。

メールの場合の扱いも示されています。
本文に取引情報が記載されている場合は、そのメールを保存する必要があり、添付ファイルで取引情報をやり取りした場合は、添付ファイルのみを保存すればよいとされています5。
「発注書を添付したので確認ください」とだけ書いたメールなら、残すのは添付のPDFで足ります。

この枠組みに照らすと、LINEのトークで注文の年月日・金額・取引先が分かるやり取りをしている場合も、電子取引に当たると考えられます。
国税庁がLINEのトークを名指しして電子取引だと明言した資料は確認していませんが、判断の基準が「取引情報をやり取りしたかどうか」である以上、ツールの違いで結論が分かれるとは考えにくいところです。
逆に「明日納品でお願いします」とだけ送り、品番や金額は別の発注書で授受しているなら、保存の対象はその発注書の側になります。

検索要件と小規模事業者の例外

保存義務があると分かると、次に気になるのは「どういう形で残せばよいか」です。
電子取引データには検索できる状態で保存することが求められますが、検索要件の対象項目は取引等の年月日・取引金額・取引先の三つに限定されています5。
品番や担当者名まで検索できるようにする必要はありません。

さらに、この検索機能の確保自体が不要になる場合があります。
売上高が5,000万円以下の場合、または出力した書面を日付・取引先ごとに整理して提示できる場合は、検索機能の確保は求められないとされています5。
小規模な事業者であれば、トークの内容を印刷して取引先ごとのファイルに綴じ、日付順に並べておく形でも対応できる余地があります。

ここが、LINEへの切り替えを考える際の現実的な落としどころになります。
トークの保存期間が半年で切れること自体は1、やり取りの内容を別の形で保存していれば直ちに問題になるわけではありません。
注文を受けた時点で自社の受注台帳へ記録し、必要なものは書面や画像として保存しておけば、トーク画面に残っているかどうかとは切り離して記録を保てます。

相当の理由による猶予的な扱い

とはいえ、保存の形を完全に整えてから切り替えようとすると、いつまでも踏み出せません。
この点について、電子取引データを保存要件どおりに保存できなかったことに所轄税務署長が相当の理由があると認める場合は、事前の申請なしで、電子データおよびそれを出力した書面の提示・提出の求めに応じられれば要件違反にはならないとされています5。

この扱いが示しているのは、要件どおりの整理ができていない状態でも、データと書面を出せる状態を保っていれば即座に違反になるわけではないということです。
ただし、相当の理由があるかどうかを判断するのは税務署長であり、これを前提に保存を省略してよいという意味ではありません。
LINEに切り替えるなら、トークの内容をどのタイミングでどこへ残すかを運用として決めておく方が、後から困りません。

具体的には、注文を受けた時点でその内容を受注台帳や販売管理の画面へ入力し、トークは相手との確認に使うものと位置づける。
この形にしておけば、トークの保存期間に関係なく、取引の年月日・金額・取引先は台帳の側に残ります。
LINEに切り替えても減らないのは、この転記の作業です。
減るのは、メールを開いて注文かどうかを判別する手間と、相手が受領を確認したかを別途問い合わせる手間の部分になります。

保存期間とタグ数、メンバー数と費用を並べると、自社がどちらの条件に当たるかが見えやすくなります。

電子取引に当たるかどうかと保存義務を確認する手順
取引情報の有無から保存要否を確認していく流れの図

保存期間やタグ数といった仕様は公開されていますが、自社の注文件数と取引先数でどちらの条件に当たるかは、いまの受注の流れを一度分解してみないと判断できません。

現在のメールでの受注件数と取引先数をもとに、無料の範囲で回る部分と、記録を別に残す必要がある部分の切り分けをご一緒に整理できます。無料相談で要件を整理する

取引先のLINE利用のしやすさの目安

取引先に移行を打診する際の確認しやすさの順に並べています。

  • 取引先の担当者が個人としてLINEを使っている可能性は高く、全年代での利用率は91.1%(令和6年度調査、13〜79歳対象)
  • 国内の月間利用者数は1億人を超えており(2025年12月末時点)、特定の年代に偏ったサービスではない
  • ただしこれらは個人の生活者としての利用状況であり、業務連絡としての受け入れやすさを測った調査ではない
  • 社内規定で私物端末の業務利用を制限している取引先では、担当者の一存で切り替えを決められない
  • 注文の形が定型的で、やり取りの頻度が高い取引先から順に声をかけると、二重運用の範囲を管理しやすい

取引先数と記録保持の必要性で選ぶ、二つの選択肢

選択肢 向いている状況 判断の分かれ目
LINE公式アカウント(無料/チャットProオプション) 少数の取引先と定型的なやり取りが中心で、注文記録は半年程度さかのぼれれば足りる 長期の履歴保持や、取引先ごとの細かい分類が必要かどうか
LINE WORKS(フリー/スタンダード・アドバンスト) 社内の複数部署や取引先をグループでつなぎ、担当者ごとに権限を分けて管理したい 社内の利用人数が30人を超えるか、保存する容量が5GBを超えるか

相手ごとの注文状況を分類して管理したい場合

無料の範囲でどこまで回るか

LINE公式アカウントを無料の範囲で使う場合、実務上効いてくるのは保存期間とタグ数の二つです。
テキストや画像、ファイルといったチャットの内容は半年で保存期間が終わります1。
1ユーザーに付けられるタグは1個までです1。

この条件で回るのは、注文を受けた時点で内容を自社の台帳へ記録しており、トークは相手との確認のために使っている場合です。
半年あれば、「前回と同じ内容で」という問い合わせにも、季節商品の前回出荷分の確認にも対応できます。
タグが1個でも、「未処理」の相手だけを絞り込めれば当面の優先順位は付けられます。

注意が必要なのは、グループや複数人のトークを使う場合です。
この形式では画像やビデオの保存期間が2週間、ファイルは1週間に短くなります1。
取引先と自社の複数担当者を同じグループに入れて発注書の画像を受け取る運用にすると、月末に先々週の画像を見返そうとしたときには残っていないことになります。
画像で受け取る前提なら、届いた時点で自社側へ保存する手順を組み込んでおく必要があります。

チャットProオプションで広がる範囲

チャットProオプションを付けると、チャット内容の保存期間が5年になり、1ユーザーへのタグ付与数が最大30個まで追加できるようになります1。

保存期間が5年に広がると、トーク画面そのものが過去の取引をたどる手段になります。
数量や納期の行き違いが半年以上あとに判明した場合でも、当時のやり取りを画面で示せます。
先に触れたとおり、電子帳簿保存法上の保存義務に対しては別の形で記録を残しておく必要がありますが、現場での事実確認としては、やり取りした文面が残っていることの意味は小さくありません5。

タグが30個まで付けられると、分類の設計が変わります。
「定期便/スポット」「関東/関西」「未処理/出荷済」といった複数の軸を同じ相手に重ねられるため、トーク一覧から条件で絞り込めるようになります。
取引先が数十社に増えても、一覧をスクロールして探す作業に戻らずに済みます。

項目 無料範囲 チャットProオプション
チャット内容の保存期間 半年 5年
1ユーザーへのタグ付与数 1個 最大30個を追加
グループ・複数人トークの画像・ビデオ 2週間 記載なし
グループ・複数人トークのファイル 1週間 記載なし

社内の担当を分けて管理したい場合

フリープランで始めるときの上限

LINE WORKSのフリープランは月額0円で使えます4。
上限はメンバー数が30人、ストレージが合計5GBまでです4。

受注の現場でこの上限がどう効くかは、誰をメンバーに含めるかで変わります。
受注担当3人だけで使うなら30人の枠は余りますが、在庫の可否をその場で返したくて倉庫担当を入れ、請求の確認のために経理を入れ、営業担当も取引先とのやり取りを見たいとなると、人数は意外と早く積み上がります。
部署をまたいで使う前提なら、始める段階で誰まで入れるかを決めておく方が安全です。

ストレージの5GBは、文字中心のやり取りであれば長く持ちます。
消費が早まるのは、取引先から発注書の写真やPDFを受け取る運用にした場合です。
一件あたりの容量は小さくても、取引先が数十社あって日々届くとなれば、年単位では無視できない量になります。
容量が上限に達したときに古いファイルを消すのか、有償プランへ移るのかは、運用を始める前に方針を決めておきたいところです。

有償プランへ移る判断と費用

スタンダードとアドバンストでは、メンバー数の上限がなくなります4。
ストレージも基本容量がスタンダードで1TB、アドバンストで100TBへ広がり、さらに1メンバーにつき1GBが追加される形です4。

費用は、年額契約の場合で1ユーザーあたりスタンダードが月額450円、アドバンストが月額800円です(2026年時点)4。
受注に関わるメンバーが15人いる場合、スタンダードなら月額6,750円、アドバンストなら月額12,000円という計算になります。
この金額を、メールでの確認作業に費やしている時間と並べて考えることになります。

判断が分かれるのは、社内の人数が上限に近いかどうかよりも、取引先とのやり取りに社内の誰を巻き込む必要があるかです。
受注担当だけで完結する業務なら、LINE公式アカウントのチャット機能で足ります。
在庫の可否や納期の調整を、取引先を含めたグループでその場で解決したいなら、LINE WORKSの形が合います。
この違いは費用の差より先に検討しておく事柄です。

二つを並べたときに見える分かれ目

ここまでの条件を並べると、選択の基準は費用の差ではないことが見えてきます。
LINE公式アカウントは、取引先一社ずつとのやり取りを分類して管理する形に向いています。
LINE WORKSは、社内の複数の担当と取引先を同じ場でつなぐ形に向いています。

どちらを選んでも、注文内容を自社の台帳や販売管理の画面へ入力する作業は残ります。
減るのは、受信箱の中から注文を見分ける手間と、相手が受領したかを確認するための往復です。
この二つがいまの業務でどれだけの時間を占めているかが、切り替えによって得られるものの大きさになります。

項目 フリー スタンダード アドバンスト
月額料金(1ユーザー・年額契約時) 0円 450円 800円
メンバー数 30人まで 上限なし 上限なし
基本ストレージ 合計5GB 1TB 100TB
メンバーごとの追加容量 記載なし 1メンバーにつき1GB 1メンバーにつき1GB
担当を加えるとフリープランの上限に近づく例を示した模式図
受注担当から担当を増やしていく積み上げの図

要点の整理

軸 基準
切り替えで減る手間 受信箱から注文を見分ける手間と、相手が受領したかを確認する往復。注文内容を台帳へ転記する作業は残る
無料で足りる条件 取引先が少数で注文が定型的、トークは確認用の控えで、注文内容は別途台帳に記録している
有料を検討する条件 取引先が数十社で複数の軸で分類したい、または半年を超えてやり取りをさかのぼる必要がある
LINE公式アカウントとLINE WORKSの分かれ目 取引先一社ずつの分類管理か、社内の複数部署と取引先を同じ場でつなぐか
取引先への打診 個人のLINE利用率は高いが業務利用の可否は別。頻度が高く定型的な相手から並行運用で試す
記録の扱い 注文の年月日・金額・取引先が分かるやり取りは電子取引に当たり得る。トークの保存期間とは別に記録を残す

切り替えで減るのは注文を見分ける手間と受領確認の往復で、台帳への転記は残ります。この残る部分をどう扱うかは、既存の受注管理の形によって変わります。 いまの受注台帳や販売管理の運用を踏まえて、トークで受けた注文をどこへどう記録するか、保存義務の面で何を残しておくべきかを具体的に確認できます。

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よくある質問

LINE公式アカウントの無料プランのままだと、注文のやり取りはいつまで確認できるか

テキストメッセージ、画像やビデオなどのコンテンツ、ファイルの保存期間は、無料で使える範囲では半年です1。
ただしグループや複数人のトークの場合は短くなり、画像やビデオは2週間、ファイルは1週間で保存期間が終わります1。
取引先と複数人のグループを作って発注書の画像を受け取る運用にする場合は、届いた時点で自社側へ保存する手順を組み込んでおかないと、月末の確認時には残っていないことになります。
チャットProオプションを付けると保存期間は5年になります1。

LINE WORKSの無料のフリープランでも受発注のやり取りを始められるか

フリープランは月額0円で使え、メンバー数は30人まで、ストレージは合計5GBまでが上限です4。
受注担当が数人で、やり取りが文字中心であれば当面は収まります。
上限に当たりやすいのは、在庫・出荷・経理まで同じ環境に入れて人数が増える場合と、発注書の画像やPDFを日々受け取って容量が積み上がる場合です。
有償プランへ移るとメンバー数の上限がなくなり、ストレージも基本容量がスタンダードで1TB、アドバンストで100TBへ広がります4。

LINEのトークでのやり取りも、税務調査で保存状況の確認を求められることがあるか

電子帳簿保存法では、取引情報の授受を電磁的方式により行う取引を電子取引と定めており、電子メールにより取引情報を授受する取引も該当するとされています5。
判断の基準はツールの種類ではなく取引情報をやり取りしているかどうかなので、LINEのトークで注文の年月日・金額・取引先が分かるやり取りをしている場合も、同様に電子取引に当たると考えられます。
国税庁がLINEのトークを名指しした資料は確認していませんが、注文内容をトークで授受するなら、内容を別の形で保存しておく運用を決めておく方が安全です。

取引先ごとにタグを付けて注文状況を管理する運用は無料のままでできるか

タグを付けること自体は無料の範囲でもできますが、1ユーザーに付けられるタグは1個までです1。
「未処理」という状態だけを管理するなら足りますが、状態とエリア区分のように複数の軸を同じ相手に重ねることはできません。
チャットProオプションでは1ユーザーにつき最大30個まで追加できるため1、取引先が数十社あって複数の軸で絞り込みたい場合は有料側の検討が必要になります。

メールで受発注をしている場合、メール本文とファイルのどちらを残す必要があるか

電子メールの本文に取引情報が記載されている場合は、そのメールを保存する必要があります5。
添付ファイルで取引情報を授受した場合は、添付ファイルのみを保存すればよいとされています5。
「発注書を添付しました」とだけ書いたメールであれば、残すのは添付のPDFで足りることになります。
LINEへ切り替える場合も、この考え方は変わりません。

受発注データを検索できる形で残す義務は、規模の小さい事業者にも一律にかかるのか

検索要件の対象項目は取引等の年月日・取引金額・取引先に限定されています5。
そのうえで、売上高が5,000万円以下の場合や、出力した書面を日付・取引先ごとに整理して提示できる場合は、検索機能の確保は不要とされています5。
また保存要件どおりに保存できなかったことについて所轄税務署長が相当の理由があると認める場合は、事前申請なしで、電子データとそれを出力した書面の提示・提出の求めに応じられれば要件違反にはならないとされています5。
ただしこれを前提に保存を省略してよいという意味ではありません。

◆監修・編集責任者

小園 将隆

株式会社フライトソリューションズ ECサービス部 マネージャー

BtoB通販のパッケージシステム「EC-Rider B2B Ⅱ」の導入支援をはじめ、製造業、卸売業をはじめとした法人向け通販サイト構築を多数手掛ける。卸売領域の専門知識をもとに、日本の商習慣に固有の課題をパッケージシステムの機能追加によって解決。BtoB流通の販路拡大を支援する。

> プロフィールの詳細を見る

  1. 1 出典:LINEヤフー株式会社「LINE公式アカウント マニュアル(チャット)」(2026年)
  2. 2 出典:LINEヤフー株式会社「LINE、国内月間利用者数が1億ユーザーを突破」(2025年12月末)
  3. 3 出典:総務省情報通信政策研究所「令和6年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」(令和6年度)
  4. 4 出典:ワークスモバイルジャパン株式会社「LINE WORKS 利用料金ページ」(2026年)
  5. 5 出典:国税庁「電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】」(2026年)

◆この記事について

独自調査以外の一次情報は、省庁・公的機関を中心とした信頼性の高い情報源から引用し、出典を明記しています。
年次更新される統計については、引用元の最新版を確認したうえで掲載しています。

※この記事は上記の監修・編集責任者がAIの協力を得て制作しています。

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