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LINE受発注の導入と個人LINEからの移行:精肉の取引先を無理なく移す進め方

◆監修・編集責任者 小園 将隆 

B2B EC-COLUMN

この記事のポイント

  • 個人LINEの注文は、取引先の送信取消で担当者側からも消え、担当者の不在や退職のときには社内の誰も見られなくなる。
  • LINE公式アカウントなら、取引先は新しいアプリを入れずに友だち追加だけで会社の窓口へ送れ、取消や担当者の扱いが会社の管理画面へ移る。
  • チャットの送受信や返信は通数に数えないため、受け口を移すだけなら無料のプランから試せる。ただし転記の手間は残る。
  • 精肉の不定貫・取引先別単価・日ごとの単価・欠品代替をLINE受発注システムで扱えるかは、自社の実際の注文でベンダーに試してもらって確かめる。
  • 移行は協力を得やすい取引先から数社ずつ進め、並行運用中に個人LINEへ届いた注文も受け付けて、同じ受注記録へ集める。

50代後半の日本人男性が入荷伝票への署名をしている場面

個人LINEで受ける注文は、どんな場面で業務上のリスクになるのか

取引先の飲食店から担当者のスマートフォンへLINEで注文が届き、それを伝票に写して切り分け・出荷・請求へ回す。
この流れのままでは、担当者が休みの日や、取引先が送った注文を取り消した日に、何を頼まれていたのかを社内の誰も確かめられません。
この受け口は、取引先に新しいアプリを入れてもらわなくても、LINE公式アカウントという会社の窓口へ移せます。
ただしチャットは自由文を受ける窓口です。
注文を品目や重量に分けて請求までつなぎたいなら、LINE受発注のシステムの導入を検討します。
どこまで進めるかは注文の型と件数、転記の負担で選び、並行運用を挟んで取引先ごとに個人LINEから移行していきます。

取引先が送信を取り消すと担当者側からも消える

個人LINEで受けた注文が抜け落ちる経路のうち、LINEの仕様として起きるものが二つあります。
一つは、取引先の操作による送信取消です。
送信取消は、送った本人が自分と相手の両方の画面からメッセージを消す機能です。
個人向けLINEの標準では送信後1時間以内、LYPプレミアム会員は7日以内に使えます3。
この期間は2025年に変更されたとヘルプページに記されており、今後も変わる可能性があります。
社内ルールに期間を書き込むときは、最新のヘルプを見ておきます3。

たとえば、取引先が肩ロースの数量を打ち間違え、送信を取り消してから送り直したとします。
担当者が取消の前に最初の注文を読み、すでに切り分けを始めていたら、手元にはどちらの数量が正しかったのかを示す記録が残りません。
送り直しを忘れて取り消しただけなら、注文そのものが担当者の画面から消えます。
どちらも取引先に悪意があるわけではありません。
個人間の連絡用に作られた機能が、注文の記録という使い方に合っていないために起きることです。

もう一つは、担当者側の削除です。
削除は自分の画面だけからメッセージを消す機能で、消したものは復元できません3。
トーク一覧を整理するつもりで取引先とのトークを消すと、過去の注文を見返す手段がなくなります。
送信取消は取引先の操作で、削除は担当者の操作です。
同じ「消える」でも、防ぐ手立ては異なります。

担当者の不在・退職で履歴が止まる

仕様ではなく業務の側で起きるのが、注文が担当者一人に集まることによる問題です。
個人LINEのトークは担当者のアカウントと端末にあります。
そのため、その人が休んでいる日に届いた注文は、本人が開くまで社内の誰も中身を知りません。
休日に担当者が自宅で注文を見て、翌朝の出荷に間に合うよう同僚へ電話で伝える、という動きが当たり前になっているなら、すでに個人の善意で穴を埋めている状態です。

退職や異動のときは、さらに取り戻しにくくなります。
取引先との過去のやり取りは本人の個人アカウントに残り、会社の記録として引き継ぐ方法がありません。
「先月と同じで」「いつもの量で」という注文は前回の内容を知っている人にしか読めないので、後任は取引先に聞き返すところから始めることになります。
取引先の側から見ても、窓口が担当者個人である以上、担当者が替わるたびに連絡先を登録し直す手間が生じます。

注文が抜け落ちる原因は、注文の流れのどの段階で起きるかによって分かれます。

個人LINEで受けた注文が抜け落ちる段階と原因(模式図)
注文の流れの四つの段階ごとに、送信取消・削除・不在・退職の原因がどこで作用するかを結んだ図
▼ 図の内容を文字で読む
  1. 取引先が注文を送る
    • 送信取消:取引先の操作で双方の画面から消える
  2. 担当者の個人LINEに届く
    • 削除:担当者の画面から消え、復元できない
    • 不在:本人が開くまで社内の誰も見られない
  3. 担当者が伝票へ転記する
    • 「いつもの量で」など前回の内容を知る人にしか読めない注文が残る
  4. 出荷・請求
    • 退職・異動:過去のやり取りが個人のアカウントに残り引き継げない

個人LINEのまま運用ルールで対応するのと、会社として受け口を持つのは何が違うのか

ルールで足りる範囲

個人LINEのまま運用ルールを決める方法でも、防げるものはあります。
担当者側の削除は、注文のトークは消さないと決めておけば避けられます。
受けた注文には必ず内容を書き添えて「承りました」と返し、伝票へ写したら印を残すと決めておけば、読んだのに転記していない注文にも気づきやすくなります。
取引先には、数量の訂正は取り消さずに新しいメッセージで送ってほしいとお願いできます。

一方で、ルールでは届かない部分も残ります。
送信取消は取引先が自分の画面で行う操作です。
お願いはできても、担当者側で取消を止める手段はありません3。
担当者の不在と退職の問題も、トークが個人の端末と個人のアカウントにある限り、ルールを書き足しても解消しません。
代わりの人が見られるように端末を預ける運用は、私物の端末であれば現実的ではないでしょう。

ルールだけで足りるのは、注文件数が少なく、取引先ごとの担当者が長く固定されていて、休みの日の注文がほとんどない場合に限られる、というのが本記事の考え方です。
件数の目安を示す根拠はないので、自社で判断するなら、直近1か月の注文のうち見落とし・聞き返し・転記ミスが起きた件数を数えてみるのが近道です。
数えてみてほとんど起きていなければ、ルールの整備から始めればよいでしょう。
担当者の不在日に注文が滞った記録が出てくるなら、受け口を会社に移す段階へ進む理由になります。

受け口を会社化すると変わること

LINE公式アカウントで注文を受けると、取引先は会社のアカウントを友だちに追加して、そこへ送るようになります。
個人LINEの送信取消は、公式アカウントのトークルームでは使えません3。
ただし公式アカウントのチャットにも、送信から24時間以内であれば、アカウント側の送信メッセージもユーザーが送ったメッセージも取り消せる、とマニュアルは説明しています1。
つまり、取消そのものがなくなるわけではありません。
取消の扱いが、個人の端末の仕様から、会社が管理する画面の仕様へ移ります。

この違いが実務で効いてくるのは、注文をいつ確定とみなすかを会社側で決めやすくなる点です。
たとえば、届いた注文を伝票へ写した時点で受付の返信を送り、それより後の変更は新しいメッセージで受ける、と決めておきます。
そうすれば取消があったときも、受付の返信の前か後かで扱いを分けられます。
同じルールは個人LINEでも作れます。
違いは、記録が担当者ごとの端末に散らばるのではなく、会社の管理画面で取引先ごとの流れを追える点にあります。

担当者の扱いも変わります。
公式アカウントのチャットでは、取引先ごとに、管理画面に登録したメンバーの中から担当者を選びます1。
担当者が替わるときは、取引先に連絡先を登録し直してもらう必要はなく、社内で担当者を選び直せば済みます。
取引先から見た窓口は変わりません。
ただし、同じ提供元の二つの仕様を並べたこの比較から言えるのは、取消と履歴の置き場所が変わるところまでです。
見落としや転記ミスがどれだけ減るかは、移したあとに自社で数えて確かめることになります。

LINE公式アカウントでできること・できないことは何で、注文受付にどこまで使えるのか

チャットの保存期間・タグ・担当者

公式アカウントを注文の受け口にするとき、まず気になるのは履歴がどれだけ残るかでしょう。
無料で使える範囲では、テキストや画像などのチャット履歴の保存期間は半年です1。
有料オプションのチャットProにすると保存期間は5年になり(2024年以降の履歴が対象)、履歴のダウンロードもできます1。

半年が注文の記録として足りるかは、履歴を何に使うかで答えが変わります。
前回の注文を見返して「いつもの量」を確かめる程度なら、半年で足りる場面もあります。
一方、季節で注文が変わる取引先の前年の注文を見たい、請求の問い合わせに過去の注文で答えたい、という使い方では半年では足りません。
伝票や販売管理に転記した内容を正式な記録とし、チャットは受け口として割り切るのか、チャットそのものを長く残すのかを先に決めておけば、Proが必要かどうかも決まります。
受けた注文のデータを税務上どう保存するかは、顧問の税理士か、国税庁の最新の一問一答で確かめてください。

タグは取引先を分類するための目印です。
無料範囲では1人のユーザーに1個、Proでは最大30個まで付けられます1。
精肉の受注なら、配送ルート、締め時間、飲食店か小売店か、といった分け方が考えられますが、無料範囲では一つの軸しか持てません。
担当者は、マニュアル上はユーザーごとに一人を選ぶ形で説明されており、複数の担当者を同時に割り当てる方法は読み取れません1。
営業担当と受注係の二人で一つの取引先を見ている場合は、チャットの担当者をどちらにするかを決め、もう一人へどう伝えるかを社内の手順として持っておく必要があります。

料金プランと通数に数える・数えない操作

料金は、2026年11月時点の料金ページで次のとおりです。
いずれも税別です2。
コミュニケーションプランが月額0円(無料メッセージ200通)、ライトプランが月額5,000円(同5,000通)、スタンダードプランが月額15,000円(同30,000通)です2。
無料分を超えて従量課金で送れるのは、スタンダードプランだけです2。

注文の受け口として見るときに大事なのは、何が通数に数えられるかです。
取引先とのチャットの送受信、応答メッセージ、あいさつメッセージ、Reply APIによる返信は、通数に数えません2。
一方、Push・Multicast・Broadcast・Narrowcastの各APIによる配信は数えます2。
取引先から届いた注文を受けて返事をするだけなら、通数は減らないということです。

通数が問題になるのは、会社の側から一斉に送る場面です。
本日入荷した部位の案内、相場が動いた品目の値段の知らせ、年末の締め時間の変更などを取引先全体へ送れば、それは配信として数えられます。
受発注システムを組み合わせる場合も、受け付けた注文への返事をReply APIで返すのか、時間を置いて出荷の連絡をPushで送るのかで、数えられ方が変わります。
プランを選ぶときに見るべきなのは、注文の件数よりも、会社から送る知らせの回数と宛先の数です。

注文の構造化はどこから足りなくなるか

公式アカウントのチャットは、取引先が普段どおりの文章で送れる受け口です。
「明日分、ロースいつもの、バラは少なめで」という注文は、そのままの文章で届きます。
取引先にとっては書き方を変えなくてよいのが利点です。
一方、受ける側では誰かがその文章を読み、品目・数量・納品日に分けて伝票へ写す作業がそのまま残ります。

チャットのマニュアルで説明されているのは、保存・タグ・担当者・取消といった会話の管理です。
注文を品目や数量の欄に分けて受けたり、販売管理や請求の仕組みへ渡したりする機能は説明されていません1。
受け口を会社に移せば、注文が消える・見られないという問題には手が届きますが、転記の手間は変わらないと考えておくのが安全です。
毎朝の転記にかなりの時間を取られている、転記の段階で単位や部位を取り違える、という悩みが中心にあるなら、次に検討するのは注文を構造化して受ける仕組みです。

公式アカウントで通数に数える操作と数えない操作(2026年11月時点の料金ページに基づく)
チャットの送受信や返信は通数に数えず、各種配信は数え、従量課金はスタンダードプランだけであることを分けた図チャットの送受信や返信は通数に数えず、各種配信は数え、従量課金はスタンダードプランだけであることを分けた図通数に数えない操作取引先とのチャットの送受信応答メッセージ・あいさつメッセージReply APIによる返信通数に数える操作Push APIによる配信Multicast・Broadcast・Narrowcastの各API無料分を超えて従量課金で送れるプランスタンダードプランだけ

▼ 図の内容を文字で読む
  • 通数に数えない操作
    • 取引先とのチャットの送受信
    • 応答メッセージ・あいさつメッセージ
    • Reply APIによる返信
  • 通数に数える操作
    • Push APIによる配信
    • Multicast・Broadcast・Narrowcastの各API
  • 無料分を超えて従量課金で送れるプラン
    • スタンダードプランだけ

LINE連携の受発注システムは、精肉の注文(規格・重量・単価・欠品対応)をどう扱えるのか

Messaging APIで何ができるか

LINEで受けた注文をそのまま受注データにする仕組みの土台になるのが、LINE公式アカウントのMessaging APIです。
取引先が公式アカウントへメッセージを送ると、Webhookという仕組みによって、受注側のサーバー(ボットサーバー)へその知らせが送られます4。
サーバー側からは返信メッセージを返せるほか、トーク画面の下に常に表示するメニュー(リッチメニュー)も用意できます。
取引先が送った画像・動画・音声・ファイルも取得できます4。

ここで押さえておきたいのは、APIで受け取れるのは公式アカウントへ送られたメッセージだという点です。
担当者の個人LINEに届いているトークをこのAPIで取り込める、という説明は概要ページにはありません4。
LINE連携の受発注システムへ進む場合でも、取引先が送り先を公式アカウントへ移すことが前提になります。
そのため、先に公式アカウントで受け口をつくっておけば、後でシステムを入れるときの準備にもなります。
ただし、受発注サービスによって、自社の公式アカウントにつなぐ形か、提供元が用意するアカウントを使う形かが異なる可能性があります。
導入を比べるときの確認点に加えておきます。

もう一つ、取引先が送ったコンテンツは、一定期間が過ぎるとLINE側で自動的に削除されます4。
システムで受けるなら、届いた注文を受注側のデータとして保存する作りになっていることが、履歴を残すための前提になります。
注文が届き、受注側に保存され、返信で受付を知らせ、次の注文がまた届く。
この往復のどこに記録が残るのかを図にすると次のようになります。

食品卸向けLINE受発注の一例

食品卸向けにLINEを使った受発注を提供している例として、クロスオーダーがあります。
提供元の公式ページは、卸売業者向けに、FAX注文の削減と業務効率化を目的とした受発注・販促・請求の機能を掲げています。
飲食店向けには、お得情報をLINEで受け取れると記しています5。
ただし同じページからは、取引先がどの方法で注文するのか、取引先側にアプリが要るのか、料金はいくらかは読み取れません。

2020年の報道では、オンラインとFAXの受注を一元管理でき、FAXの注文を読み取るFAX-OCRの機能は追加料金なしで使えると伝えられました6。
同じ記事は、飲食店の店長がスタッフをLINEグループに招待すると、スタッフの注文履歴を店長のLINEで確認できる仕組みも紹介しています6。
数年前の報道なので、現在の仕様とは異なる可能性があります。

この例から分かるのは、食品卸のLINE受発注では、LINE以外の経路の注文も同じ画面で扱うことや、取引先の店舗で複数のスタッフが注文する状況が想定されてきた、という点です。
精肉の取引先にLINEで送る店とFAXや電話で頼む店が混ざっているなら、LINEの注文だけを構造化しても、受注の確認先は二つに分かれたままになります。
製品を選ぶときは、LINE以外の経路をどう一緒に扱うかも見ておくと、導入後に残る作業が見えやすくなります。
ここで挙げた製品は一例です。

精肉の注文でベンダーに確認する項目

LINE連携の受発注システムが、精肉の注文に固有の条件をどこまで扱えるかは、公開されている資料からは判断できません。
導入を比べる段階では「対応しています」の一言で済ませず、自社の実際の注文を見せて、どう処理されるかを確かめることになります。
判断が分かれるのは、主に重量、単価、欠品と代替の扱いです。

まず重量の扱いです。
精肉は「ロース何キロ」と重量で頼まれることもあれば、「ブロックを何本」と個数で頼まれ、出荷時に量った実際の重量で金額が決まることもあります。
このように個体ごとに重量が違い、出荷後に実重量で代金を確定させる取引を不定貫と呼びます。
注文時の数量と出荷時の実重量を別々に持ち、請求に実重量を使えるのか、それとも注文時の数量のまま請求書まで進んでしまうのか。
どちらかによって、転記がなくなるのか、請求の手前で直す作業が残るのかが変わります。

次に単価です。
取引先ごとに決めた単価があり、さらに相場で日々動く品目があるなら、取引先別の単価を持てるか、単価を日付ごとに切り替えられるか、注文日と出荷日のどちらの単価を使うのかを確かめます。
単価の変更を担当者が毎日手で入れる必要があるなら、その作業も転記の一種として数えておくと、導入前後を比べやすくなります。

欠品と代替も、精肉では避けて通れません。
頼まれた部位が足りないときに別の部位や規格を提案し、取引先の了承を得て注文を書き換える流れを、システム上で記録できるのか、チャットで相談して担当者が手で直すのかを見ます。
あわせて、締め時間を過ぎて届いた注文がどう扱われるか、カットの厚みや脂の残し方のような指定をどこに書けるかも、普段の注文に照らして確認しておきたいところです。

確かめ方として手堅いのは、過去の実際の注文を何件か選び、デモの場でベンダーに入力してもらうことです。
定番の注文だけでなく、重量で頼まれたもの、途中で数量が変わったもの、欠品で代替を出したものを混ぜておくと、機能一覧では見えない手作業の残り方が分かります。

公式アカウントへ届いた注文をシステムで受ける往復(模式図)
取引先の注文がWebhookで受注側へ届き、保存され、返信で受付を知らせて次の注文へ戻る流れの図1取引先が公式アカウントへ注文を送る2Webhookで受注側のサーバーへ届く3受注側のデータとして保存する4返信メッセージで受付を知らせる

▼ 図の内容を文字で読む
  1. 取引先が公式アカウントへ注文を送る
  2. Webhookで受注側のサーバーへ届く
  3. 受注側のデータとして保存する
    • LINE側の送信コンテンツは一定期間が過ぎると自動で削除される
  4. 返信メッセージで受付を知らせる

自社の注文の型と取引先の使い方に応じて、どの段階を選べばよいのか

注文の型と件数で見る

ここまでの内容を、三つの段階として並べ直します。
個人LINEのまま運用ルールを整える段階、LINE公式アカウントのチャットを会社の受け口にする段階、LINE連携の受発注システムで注文を構造化して受ける段階です。
後の段階ほど優れているという話ではありません。
自社がいま困っていることがどこで起きているかで、選ぶ段階が決まります。

注文の型から見ると、定番の繰り返しが多い取引先ほど、システムで構造化する効果を見込みやすくなります。
同じ品目を同じような量で頼む注文は、品目を選んで数量を入れる画面に置き換えやすく、担当者が文章を読み解く作業そのものを減らせる可能性があるからです。
反対に、相場や入荷を見ながら毎回相談して決める注文は、選ぶ画面に落とし込みにくく、チャットでのやり取りが残ります。
その場合、システムを入れても相談はチャットで続き、決まった内容だけを受注データにする形になります。
そうなると、単価や代替の扱いが判断の分かれ目になります。

件数と転記の負担は、自社で測るしかありません。
一定の期間、毎朝の転記にかかった時間と、聞き返しや訂正が起きた件数を記録してみると、課題が「消える・見られない」側にあるのか、「写す手間と写し間違い」側にあるのかが分かります。
前者が中心なら公式アカウントのチャットで足りる可能性があり、後者が中心ならシステムの比較に進む理由になります。
固定費の面では、チャットの送受信は通数に数えられないので、受け口を移すだけなら無料のプランから試せます2。
受発注システムの費用は資料から相場を示せないので、見積りで確かめます。

取引先ごとの使い方で見る

段階は、会社全体で一つに決めなくてもかまいません。
文章で細かく書く店、手書きのメモを写真で送る店、FAXや電話を使い続けたい店が混ざっているなら、全員を同じ形にそろえようとするほど、移行は進みにくくなります。

たとえば、LINEに慣れた取引先は公式アカウントのチャットへ移し、FAXの取引先は当面そのまま受ける、という組み合わせも取れます。
手書きメモの写真で届く注文は、公式アカウントでもそのまま受け取れますし、APIを使う仕組みでも画像を取得できます4。
ただし、画像を受け取れることと、画像の中の文字を読み取って品目に変換できることは別の話です。
後者はシステムごとに確かめる必要があります。

取引先の店舗で複数のスタッフが注文する場合は、誰が送った注文かを受ける側で見分けられるかも見ておきます。
公式アカウントのチャットでは、担当者もタグもユーザーごとに設定するので、同じ店の別のスタッフは別のユーザーとして扱われます1。
無料範囲のタグ1個を店舗の識別に使うと、配送ルートなど他の分類には使えなくなります。
店舗単位で注文をまとめたいなら、Proでタグを増やすか、店舗ごとに注文をまとめられるシステムを選ぶかの判断になります。

20代前半の日本人男性がタブレットへの入力をしている場面

迷ったときは、まず公式アカウントのチャットで受け口を会社へ移し、転記の負担を測ってからシステムが必要かを判断する順が、無理が少ないと考えます。
取引先にとっては送り先が変わるだけで書き方を変えずに済みますし、会社にとっては受け口を移したあとの注文の実態が、そのまま比較の材料になるからです。

観点 個人LINEと運用ルール 公式アカウントのチャット LINE連携の受発注システム
受け口の持ち主 担当者個人 会社 会社
取消・削除の扱い 取引先の送信取消は止められない 会社の管理画面の仕様に移る 受注側で保存する作りかを確認
担当者の交代 取引先が連絡先を登録し直す 社内で担当者を選び直す 製品ごとに確認
履歴の残り方 担当者の端末とアカウントに残る 無料範囲とProで保存期間が異なる 受注データとして残るかを確認
転記の作業 残る 残る 減らせるかをデモで確認
固定費 新たな契約なし プランにより月額が異なる 要見積り

取引先を個人LINEから新しい窓口へ無理なく移すには、どの順で案内し、いつ切り替えるのか

案内の順と文面の考え方

取引先にとって、送り先が変わるのは小さくない変化です。
新しいアプリを入れる必要はなく、普段使っているLINEで会社の公式アカウントを友だちに追加すれば送れるようになります。
ただし、友だち追加という一手間は必ず発生します。
しかも公式アカウントのチャットは、取引先からメッセージが届いた場合にだけ始められます。
友だちに追加していない相手には、最後にメッセージを受け取ってから7日以内しか返信できません1。
会社の側から先に話しかけて切り替えを進めることはできないので、案内では友だち追加と、最初の一通を送ってもらうところまでをお願いすることになります。

案内は一斉に知らせるより、協力を得やすい取引先から数社ずつ進めるほうが、問題が起きたときに直しやすくなります。
普段からLINEのやり取りがこまめで新しいことを試してもらえそうな取引先や、注文件数が多く変化が分かりやすい取引先を最初の組にします。
注文が不規則な取引先や、LINEの操作に不安がある取引先は後の組に回します。
この順番は編集上の提案で、決まった手順があるわけではありません。

案内の文面では、取引先にとって何が良くなるのかを先に伝えます。
担当者が休みの日でも会社で注文を受けられること、担当者が替わっても送り先が変わらないことは、取引先の利点として説明できます。
そのうえで、友だち追加の方法、切り替えの開始日、注文の書き方はこれまでどおりでよいこと、しばらくは個人LINEに届いた注文も受け付けることを添えます。
そうすれば、取引先が「間違えたら注文が通らないのでは」と心配する余地が減ります。

並行運用の期間と注文の転送

切り替えを始めても、しばらくは個人LINEにも注文が届きます。
習慣で以前のトークに送ってしまう取引先もいれば、案内を見落としている取引先もいるからです。
この期間に個人LINEで届いた注文を断ると、取引先には「注文が通らなかった」という経験だけが残り、移行そのものへの反発につながりかねません。

並行運用の間は、個人LINEに届いた注文もその場で受け付け、同じ日のうちに社内の受注記録へ写します。
取引先には「次回から公式アカウントへお送りください」と添えて返す、という扱いを決めておきます。
大事なのは、個人LINEで受けた注文を担当者の手元で止めず、公式アカウント経由の注文と同じ場所に集めることです。
受注記録が二か所に分かれると、移行前より確認先が増えてしまいます。

並行運用をいつまで続けるかに、決まった期間はありません。
取引先ごとに、公式アカウントからの注文が続くようになったら個人LINEでの受付を終える、という区切り方が自然です。
終える前にはその取引先へ、個人LINEでは注文を受けなくなることを改めて伝えます。
それでも個人LINEに届いた場合の扱い(受けたうえで公式アカウントへ案内し直すのか、電話で確かめるのか)も決めておきます。

切替後の確認

取引先の大半を移し終えたら、移す前と同じ物差しで比べます。
試行の前に数えた見落とし・聞き返し・転記ミスの件数を同じ長さの期間で数え直し、担当者が休みの日に届いた注文が翌朝までに処理されたかを見ます。
減っていればその理由を、減っていなければどこで止まっているのかを、公式アカウントの履歴をたどって確かめられます。
これも受け口を会社に移した利点です。

個人LINEに残っている過去のトークは、急いで消さないようにします。
削除したトークは復元できないので3、移行前の注文について請求の問い合わせや数量の確認が来る可能性がある間は、残しておくほうが安全です。
移行前の注文を会社の記録として扱いたい場合は、伝票や販売管理に転記済みかを確かめたうえで、保存の方法を税理士と相談しておくと、後で迷わずに済みます。

比べてみて転記の負担がほとんど減っていなければ、そこが受発注システムを比べ始める時期です。
その時点では公式アカウントで受けた注文が手元にたまっているので、重量・単価・欠品代替の確認を、実際の注文を使ってベンダーに試してもらえます。

個人LINEから公式アカウントへ移す進め方の例(本記事の提案・模式図)
案内、並行運用、個人LINEでの受付終了、切替後の確認の順に進める移行の流れの図1協力を得やすい取引先から数社ずつ案内する2並行運用で個人LINEの注文も受け付ける3取引先ごとに個人LINEでの受付を終える4切替後に移行前と同じ物差しで確認する

▼ 図の内容を文字で読む
  1. 協力を得やすい取引先から数社ずつ案内する
    • 友だち追加と、最初の一通をお願いする
  2. 並行運用で個人LINEの注文も受け付ける
    • 同じ日のうちに公式アカウントの注文と同じ受注記録へ集める
  3. 取引先ごとに個人LINEでの受付を終える
    • 終える前に改めて伝え、届いた場合の扱いも決めておく
  4. 切替後に移行前と同じ物差しで確認する
    • 見落とし・聞き返し・転記ミスの件数を数え直す

受け口を公式アカウントへ移すだけで足りるのか、受発注システムまで進めるべきかは、自社の注文の書き方と転記の手間を並べてみないと判断しにくいためです。

実際の注文の例をもとに、課題が「消える・見られない」側にあるのか「写す手間」側にあるのかを整理し、どの段階から始めるかを確かめられます。無料相談で要件を整理する

LINE連携の受発注システムを比べるときにベンダーへ聞くこと

精肉の注文が届いてから請求に至るまでの流れに沿って、確かめる順に並べた。

  • 注文時の数量と出荷時の実重量を別に持ち、請求に実重量を使えるか
  • 重量と個数(ブロック・本数)のどちらの単位でも注文を受けられるか
  • 取引先別の単価を持てるか、単価を日付ごとに切り替えられるか
  • 注文日と出荷日のどちらの単価で請求するかを決められるか
  • 欠品時の代替の提案と、取引先の了承を記録できるか
  • 締め時間を過ぎて届いた注文の扱いを設定できるか
  • 自社の公式アカウントにつなぐ形か、提供元のアカウントを使う形か
  • FAXや電話など、LINE以外の注文を同じ画面で扱えるか
  • 取引先側に新たなアプリや登録が必要か、料金はいくらか
Three diverse colleagues discussing documents in a modern office setting from a high angle view.
▽ 写真の出典元

自社で欠かせない項目について、実際の注文で試した答えが得られないうちは、公式アカウントのチャットでの受付を続けながら比較します。

要点の整理

軸 基準
受け口の選び方 消える・見られないが課題なら公式アカウント、写す手間と写し間違いが課題なら受発注システムを比べる
ルールで済む範囲 件数が少なく、担当者が固定され、休日の注文がほとんどない場合
履歴 チャットを正式な記録にするか、伝票・販売管理を正式な記録にするかを先に決める
通数 注文への返信は数えず、会社からの一斉配信が数えられる
精肉の確認点 不定貫・取引先別単価・日ごとの単価・欠品代替・締め時間を、実際の注文で試してもらう
移行の順 協力を得やすい取引先から数社ずつ、並行運用を挟んで取引先ごとに切り替える
個人LINEの履歴 削除は復元できないため、移行前の注文の問い合わせが来うる間は残す

精肉の不定貫や取引先別の単価をどう受注データにするかは製品の資料だけでは見えず、比べる観点を自社の注文に合わせて組み立てる必要があるためです。 ベンダーに聞く項目を自社の注文に合わせて具体化し、並行運用の区切り方を含めた移行の段取りを確かめられます。

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よくある質問

取引先が個人LINEで送った注文を取り消した場合、担当者側の画面からも消えるのか

消えます。
個人LINEの送信取消は、送った本人が自分と相手の両方の画面から消す機能です。
標準では送信後1時間以内、LYPプレミアム会員は7日以内に使えます3。
数量の訂正は取り消さずに新しいメッセージで送ってもらうようお願いしておくと、どの注文が正しいかを後から追えます。

LINE公式アカウントで注文に返信するだけなら、メッセージの通数に数えられるのか

数えられません。
LINEチャットでの送受信、応答メッセージ、あいさつメッセージ、Reply APIによる返信は、無料メッセージ数に含まれません2。
数えられるのはPush・Multicast・Broadcast・NarrowcastのAPIによる配信で2、入荷や相場の案内を取引先全体へ送る場合などがこれに当たります。

取引先は新しいアプリを入れずに、今の個人LINEから公式アカウントへ注文を送れるのか

送れます。
普段使っているLINEで公式アカウントを友だちに追加すれば、新しいアプリは要りません。
ただし、チャットは取引先からメッセージが届いた場合にだけ始められ、友だち未追加の相手には最後に受け取ってから7日以内しか返信できません1。
案内では、友だち追加と最初の一通をあわせてお願いしておきます。

公式アカウントの無料範囲でチャット履歴は何か月残るのか。注文の記録として足りるのか

無料範囲では、テキストや画像などのチャット履歴は半年保存されます1。
有料オプションのチャットProでは5年(2024年以降の履歴が対象)となり、履歴のダウンロードもできます1。
前回の注文を見返す程度なら半年で足りる場面もありますが、前年の注文や請求の問い合わせへの対応まで考えるなら、伝票や販売管理に写した内容を正式な記録とするか、Proで残すかを決めておきます。
税務上の保存については、税理士か国税庁の最新の一問一答で確かめてください。

精肉の不定貫や日々変わる単価を、LINE連携の受発注システムは扱えるのか。導入前に何を確認すべきか

扱えるかどうかは製品ごとに異なり、公開資料からは判断できません。
導入前に、注文時の数量と出荷時の実重量を別に持てるか、請求に実重量を使えるか、取引先別の単価や日ごとの単価の切り替えができるか、注文日と出荷日のどちらの単価を使うかを確かめます。
過去の実際の注文、とくに重量で頼まれたものや欠品で代替を出したものをデモで入力してもらうと、手作業がどこに残るかが見えます。

切替の途中で、個人LINEに届いた注文はどう扱えばよいか

断らずに受け付け、同じ日のうちに公式アカウント経由の注文と同じ受注記録へ写します。
取引先には、次回から公式アカウントへ送ってほしいと添えて返します。
個人LINEでの受付を終えるのは、その取引先から公式アカウントでの注文が続くようになってからにし、終える前に改めて伝えておきます。

◆監修・編集責任者

小園 将隆

株式会社フライトソリューションズ ECサービス部 マネージャー

BtoB通販のパッケージシステム「EC-Rider B2B Ⅱ」の導入支援をはじめ、製造業、卸売業をはじめとした法人向け通販サイト構築を多数手掛ける。卸売領域の専門知識をもとに、日本の商習慣に固有の課題をパッケージシステムの機能追加によって解決。BtoB流通の販路拡大を支援する。

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  1. 1 出典:LINEヤフー株式会社「LINE公式アカウント マニュアル(チャット)」(2026年)
  2. 2 出典:LINEヤフー株式会社「LINE公式アカウント 料金プラン」(2026年)
  3. 3 出典:LINEヤフー株式会社「LINEヘルプセンター:メッセージの取り消し(送信取消)と削除」(2026年)
  4. 4 出典:LINEヤフー株式会社「LINE Developers Messaging API 概要」(2026年)
  5. 5 出典:クロススマート株式会社「クロスオーダー 提供元の公式ページ」(2026年)
  6. 6 出典:THE BRIDGE「クロスマート、クロスオーダーにFAX-OCR機能を追加」(2020年)

画像の出典元

  1. Three diverse colleagues discussing documents in a modern office setting from a high angle view./Photo by Tiger Lily on Pexels

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◆この記事について

独自調査以外の一次情報は、省庁・公的機関を中心とした信頼性の高い情報源から引用し、出典を明記しています。
年次更新される統計については、引用元の最新版を確認したうえで掲載しています。

※この記事は上記の監修・編集責任者がAIの協力を得て制作しています。

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