◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- LINEの注文の読み違い・見落としは、送り手の書き方、受け側の確認・共有の抜け、LINEの仕様上の限界の三つに分けると打ち手が決まる。
- 書式は受け側が補って読む部分を減らし、復唱と相手のOKは最終内容の取り違えを出荷前に拾い、合意を履歴に残す。
- 担当者は既定の動きに任せず返信前に設定し、要対応・対応済みのステータスとログインIDの分け方で引き継ぎの抜けを減らす。
- 履歴は無料範囲で半年、チャットProオプションで5年。半年より後に見返す使い方があるかで要否を決め、グループの画像は2週間で消える点に注意する。
- 変更の往復や転記の時間が運用ルールで減らないときが受付を分ける目安で、分けても転記を自社の管理へつながない限り手入力のミスの余地は残る。
目次

LINEの注文はどの場面で読み違えられ、流されるのか
取引先からLINEで届いた「いつもの、来週分お願いします」を前回の数量のまま出してしまった。
昼に届いた変更の一言に誰も気づかず、元の内容で出荷した。
後から「そう書いたはず」と言われても、どれが最終の注文か追えない。
こうした受注側の読み違いや見落としは、誰が受けたか分からない、自由文で項目が読み取りにくい、履歴が残らない、のどこかで起きやすいものです。
前の二つは、LINE公式アカウントの担当者設定・ステータスと、書式・復唱・引き継ぎのルールでLINEのまま減らせます。
三つ目は無料範囲だと履歴が半年で見られなくなるため、チャットProオプションの要否で考えます。
変更や転記の手間が運用で減らなくなったら、注文の受付を分ける段階です。
商品・数量・納期の取り違え
LINEで届く注文には、受注票のような決まった欄がありません。
取引先の担当者が思いついた順に書くため、商品・数量・納期が一つの文の中に混ざります。
仮に青果を卸している会社に、取引先の飲食店から「いつものトマト、木曜に多めでお願いします」と届いたとします。
受けた側は、「いつもの」が前回の注文なのか定番の品目なのか、「多め」が何ケースなのか、「木曜」が今週か来週かを、自分の記憶や過去のやり取りから補って読むことになります。
この補う作業は、読む人によって結果が変わります。
前回の注文を覚えている人は前回と同じ品目で、覚えていない人は定番の品目で受けるかもしれません。
数量や納期の取り違えは、多くの場合この補った部分で起きています。
文面にない情報を受け側が埋めた時点で、送り手の意図とずれる余地ができる、と捉えると原因を追いやすくなります。
届け先・変更・取消の見落とし
届け先が複数ある取引先では、本文に届け先が書かれないことがあります。
送り手にとっては「いつもの店」でも、受け側には本店か支店かが分かりません。
さらに見落としやすいのが、最初の注文の後から届く変更や取消です。
先ほどの飲食店から、朝に「トマト3ケース」、昼に「やっぱり2で」と届いたとします。
朝の時点で数量を手元の受注表へ書き写していると、昼の一言を目にしても受注表が直らないまま、出荷の手配まで進むことがあります。
変更や取消は、元の注文から離れた位置に、短い文で届きます。
トークの流れの中には最終の内容を一目で示すものがなく、受け側が会話をさかのぼって判断するしかありません。
注文そのものより、後から届く訂正のほうが見落とされやすいのはこのためです。
注文と気づかず流れるケース(雑談・画像・スタンプへの埋没)
LINEでは、注文と同じトークに挨拶やお礼、スタンプ、写真が並びます。
手書きの注文メモを撮った画像で届くと文字として検索できず、通知を見ただけでは注文だと分かりません。
スタンプの直後に短い注文が続いた場合、スタンプを見て既読にしたまま、注文の一文を読み飛ばすこともあります。
既読にした後は未読として目立つ状態ではなくなるため、注文として扱ったかどうかは、見た人の記憶に頼ることになります。
複数人で受けるときの担当不明
二人以上で同じアカウントを見ている職場では、抜けの入口が増えます。
LINE公式アカウントのチャットでは担当者を設定できますが、未設定のままだと、最初にチャットを送信したメンバーが担当者になります1。
注文を処理するつもりのない人が「ありがとうございます」とだけ返した場合でも、その人が担当として扱われます。
返信した本人は挨拶のつもりで、ほかの人は担当が付いたので任せたと受け取る、というずれがここで生まれます。
もう一つはログインの仕方です。
同じビジネスIDで複数人がログインしていると、「入力中」の表示が出ません1。
別々のビジネスIDでログインしている場合に限って表示されるため、IDを共有している職場では、二人が同時に同じ注文へ返信したり、互いに相手が返すと思って誰も返さなかったりする余地が残ります。
ここまでの場面を、注文が届いてから出荷するまでの流れに置くと、抜けの起きる箇所は一つではないことが分かります。
原因は書き方か、確認・共有の抜けか、LINEの限界か
送り手の書き方に起因するもの
同じ数量違いでも、どこに手を打つかは原因によって変わります。
前の節の場面は、送り手の書き方、受け側の確認と共有、LINEの仕様そのもの、の三つに分けて考えられます。
どれが多いかは職場ごとに違うため、最近起きた件を一つずつ振り分けてみると、自社の打ち手が見えてきます。
一つ目は、送り手の書き方です。
「いつもの」「多め」のように数量や品目が書かれていない、届け先が省かれている、手書きのメモを撮った画像で届く、一つのメッセージに二つの納品日の注文が混ざっている、といった形です。
受け側がどれだけ注意しても、書かれていない情報は補うしかありません。
ここへの手当ては、書く側に項目をそろえてもらうことになり、取引先へのお願いが必要になります。
受け側の確認・共有の抜け
二つ目は、受け側の中で起きる抜けです。
既読にしたまま処理していない、担当が付いたので誰かが対応したと思い込む、午前と午後で見る人が替わるのに引き継ぎがない、変更の連絡を受注表に反映していない、といった形がこれに当たります。
送り手の文面が整っていても起きるもので、取引先に頼らず自社の中だけで手を打てる部分です。
手を付けやすいのはこの二つ目で、次の節で扱うルールの多くもここに向けたものです。
LINEの仕様上の限界(保存期間・ノート・タグの上限)
三つ目は、運用をどれだけ整えても越えられない枠です。
LINE公式アカウントのチャットでは、メモを残すノートが無料範囲で1つのチャットルームにつき1件、チャットProオプションで最大1000件です1。
ユーザーを分類するタグは、無料範囲で1ユーザーに1個、Proで最大30個まで付けられ、作れるタグの種類は無料範囲で5個、Proで300個までです1。
この枠は、注文の記録の残し方に直接響きます。
ノートが1件だと、注文ごとの確定内容をノートに積み重ねることはできず、書き換えるたびに前の内容が消えます。
タグが1ユーザー1個なら、「定期注文の取引先」と「確認待ち」を同時に付けることもできません。
やり取りそのものを見返せる期間にも限りがあり、これは「言った言わない」に直結します。
こうした枠を超える記録は、運用ルールではなく、オプションの契約か、記録の置き場所を自社で別に持つかで考える部分です。
▼ 図の内容を文字で読む
- 注文が届く(雑談・画像・スタンプに埋もれる)
- 担当者が付く(未設定なら最初に送信した人)
- 文面から補って読む(書かれていない数量や納期)
- 受注表へ書き写す(後から届いた変更が直らない)
- 出荷の手配
LINEのまま防げる範囲:書式・復唱・引き継ぎとチャット機能
書式指定でなくせるもの
書式を決めて取引先に使ってもらうと、受け側が文面にない情報を補う場面が減ります。
決める項目は、取り違えが起きた項目に合わせるのが基本です。
たとえば次のような形です。
<ul><li>品名(「いつもの」ではなく品目名で)</li><li>数量(ケース・個などの単位まで)</li><li>納品日(曜日だけでなく日付で)</li><li>届け先(複数ある取引先の場合)</li><li>変更・取消のときは、先頭に「変更」「取消」と書く</li></ul>
最後の一行は、前の節で触れた「後から届く訂正」を目立たせるためのものです。
先頭に「変更」とあれば、読み流しやすい短い一言でも、受注表を直す必要があると分かります。
一方で、書式が埋まっていても、受け側が数字を読み違える、受注表へ書き写すときに行を取り違える、といったずれは残ります。
書式がなくすのは「書かれていないことを補う」部分で、それ以外は次の復唱で拾います。
復唱確認で防げるもの
復唱確認とは、受けた側が注文の内容を項目ごとに書き直して返し、相手から「OK」をもらってから処理に進むやり方です。
先ほどの飲食店の例なら、「トマト 3ケース/○月○日(木)納品/本店宛で承ります。
よろしければOKとご返信ください」と返します。
補って読んだ部分がずれていれば、出荷の前に相手が気づいて直せます。
復唱にはもう一つ役目があります。
合意した内容が、相手の「OK」と一緒にトークの履歴に残ることです。
後から「多めと書いたはず」と言われたときに、確定した内容を双方で見返せます。
変更が届いたときも同じように、変更後の内容を全項目で書き直して返すと、どれが最終なのかがトークの中で一目で分かります。
LINE公式アカウントのチャットは、ユーザーからメッセージが届いた後にしか返信できません1。
復唱は届いた注文への返信として送るので、この制約とは衝突しません。
また、送信の取り消しは24時間以内に限られます1。
復唱に誤りがあったときは、取り消して消すより、訂正のメッセージを続けて送るほうが経緯が残り、後から見返したときに混乱しにくくなります。
担当者設定とステータスによる引き継ぎ
受け側の抜けには、公式アカウントのチャット機能が使えます。
ステータスは「すべて」「受信」「未読」「要対応」「対応済み」「担当」「スパム」で絞り込めます1。
これを注文の処理状況に当てはめると、次のようなルールになります。
<ul><li>注文に最初に触れた人が、返信する前に担当者を自分に設定する</li><li>復唱を返して相手のOKを待っている間は「要対応」のままにする</li><li>受注表への転記と出荷の手配まで済んだら「対応済み」にする</li><li>担当が交代するときは「要対応」で絞り込み、残っている注文を一件ずつ引き継ぐ</li><li>ログインは人ごとに別のビジネスIDで行う</li></ul>
一つ目は、担当者が未設定だと最初に送信した人が担当になる、という既定の動きに任せないためのものです1。
五つ目は、別々のビジネスIDでログインしている場合だけ「入力中」が表示される仕様1を、二重返信の防止に生かすためのものです。
「対応済み」を付ける時点を出荷の手配までと決めておくと、既読にしただけの注文がそのまま埋もれることを防げます。
無料範囲のノートは1ルーム1件なので、注文ごとの記録ではなく、届け先や定番の品目など、取引先ごとに変わらない情報を書いておく使い方が向いています。
状態を条件にした細かい絞り込み(カスタムフィルター)は、チャットProオプションが必要です1。
運用で防げないもの
ここまでのルールで減らせるのは、補って読むずれ、最終内容の取り違え、担当の思い込みです。
減らせないものも残ります。
LINEで確定した内容を受注表や販売管理へ手で書き写す作業は、どれだけ復唱しても残ります。
書式を使ってくれない取引先の注文も、受け側が補う部分が残ります。
担当者が増えるほど、ステータスを付け忘れる人が出る余地も広がります。
効果を確かめるには、ルールを始める前と後で、取引先からの訂正連絡と再出荷の件数を数えるのが分かりやすい方法です。
件数が減らないのに転記の手間だけが残っているなら、その手間は運用ではなく受付の仕組みの問題として扱う段階に来ています。
▼ 図の内容を文字で読む
- 送り手の書き方
- 数量や届け先が書かれていない
- 手書きのメモを撮った画像で届く
- 打ち手は取引先への書式のお願い
- 受け側の確認・共有の抜け
- 既読にしたまま処理していない
- 引き継ぎがない、変更を受注表に反映していない
- 打ち手は社内のルール
- LINEの仕様上の限界
- ノートは無料範囲で1つのチャットルームにつき1件
- タグは無料範囲で1ユーザーに1個
- 打ち手はオプションの契約か、記録の置き場所
履歴と証跡:保存期間と、無料範囲で足りなくなる条件
無料範囲の半年で足りるか
復唱と相手の「OK」を履歴に残しても、その履歴を見返せる期間には限りがあります。
LINE公式アカウントのチャット履歴の保存期間は、無料範囲で半年、チャットProオプションで5年間です1。
半年で足りるかどうかは、注文の後に何がどれだけ後まで続くかで決まります。
月末締めで請求し、翌月に入金を突き合わせる程度なら、注文から2〜3か月で確認が済むことが多いでしょう。
一方で、季節ものの品目について前年の同じ時期の注文数量を見返す、半年以上たってから品質の問い合わせや返品の相談が来る、といった取引では、見返したい時点で履歴が残っていないことになります。
自社が注文の記録を何に使っているかを、請求・返品・次の発注の参考、と並べてみると判断しやすくなります。
なお、取引の記録として何をどれだけ保存すべきかは取引の内容によって変わり、LINE側の保存期間とは別の問題です。
LINEの履歴は日々の確認と「言った言わない」の解消に使うもの、と位置づけておくと混同を避けられます。
チャットProオプションの条件
チャットProオプションは月額の追加料金がかかるオプションで、無料のコミュニケーションプランを含むどの月額プランとも併用できます2。
料金は公式ページで最新の額を確かめてください。
5年間の閲覧ができるのは2024年以降の履歴です1。
保存期間のほかに、受注の運用で関係する点があります。
履歴をダウンロードしてバックアップでき、解約した後に再び購入すると最長5年の履歴をもう一度閲覧できます2。
カスタムフィルターやAIチャットボット(β)といった機能も加わります2。
ノートとタグの枠も、前の節で見たとおり大きく広がります。
契約を考えるときの分かれ目は、半年より後に履歴を見返す使い方があるかどうかと、ノート・タグの枠が足りずに記録を自社の別の場所へ逃がしているかどうかです。
どちらにも当てはまらなければ、無料範囲のまま運用を整えるだけで足りる場合があります。
また、ノートとタグはチャットの履歴を削除しても残ります1。
無料範囲のままでも、取引先ごとの固定の条件をノートに書いておけば、やり取りが見られなくなった後も手がかりは残ります。
グループ・複数人トークの保存期間に注意
取引先の複数の担当者を交えたグループや複数人トークで注文を受けている場合は、さらに短い期限があります。
グループ・複数人トークでは、画像・動画の保存が2週間、ファイルが1週間で、Proの有無を問いません1。
手書きの注文書を写真で送ってもらっている場合、2週間たつとその写真は見られなくなります。
注文書のファイルなら1週間です。
画像で届いた注文は、受けた時点で文字に書き直して復唱で返しておくと、画像が見られなくなった後も確定した内容がテキストとして残ります。
▼ 図の内容を文字で読む
- 注文の内容を項目ごとに書き直して返す
- 相手の「OK」を待つ(ずれていれば相手が直す)
- 合意した内容がOKと一緒に履歴に残る
- OKをもらってから処理に進む
受付を分けるべき状況と、移す場合の負担・条件
分ける兆候の見分け方
書式・復唱・ステータスを整え、必要ならProオプションで履歴を延ばしても、なお手間やミスが残ることがあります。
その残り方が、受付を分けるかどうかの目安になります。
<ul><li>注文の後に変更や取消が重なり、最終内容を確かめる往復が一件ごとに何度も起きている</li><li>担当者が複数いて、交代のたびに「要対応」の残りを口頭で説明し直している</li><li>LINEの文面を受注表や販売管理へ書き写す時間が、内容を確かめる時間より長くなっている</li><li>書式をお願いしても、自由文や画像で届く注文が減らない</li></ul>
これらに共通するのは、LINEの機能や運用ルールが手を付けない部分に手間が集まっていることです。
担当者設定もステータスも、注文の内容を受注表へ移す作業は減らしません。
変更の往復が多いのは、自由文で注文を受ける形そのものに原因があります。
何件を超えたら分ける、という線は品目数や取引先数で変わるため、件数より、どの作業に時間が取られているかで見るほうが判断を誤りにくくなります。
3案の比較(同じ5軸)
選択肢は、LINE公式のまま運用を整える、チャットProオプションを加える、注文だけ別の受付手段に分ける、の三つです。
同じ軸で並べると、どこで差が出るかが見えます。
①と②の違いは、主に履歴と記録の枠にあります。
半年より後に見返す必要がなく、ノート・タグの枠で足りているなら、②を加えても読み違いそのものは変わりません。
①でも②でも、LINEで確定した内容を受注表へ書き写す作業は残ります。
③はこの転記と、自由文を補って読む部分に手を入れる案で、その代わりに取引先の操作が変わります。
③の費用や機能は提供元ごとに条件が違うため、取引先にどんな操作をしてもらうか、いまの受注表や販売管理とつながるか、費用が月額か件数に応じるか、の三点を候補ごとに確かめて比べることになります。
分けた場合に残る負担
受付を分けても、すべての手間が消えるわけではありません。
中小企業庁の解説では、電話やFAXでの受発注は経理システムへの手入力が必要で、ミスや書類紛失のリスクが生じ、生産性を下げる原因になると説明されています4。
この説明はLINEを対象にしたものではありませんが、構造は同じです。
フォームで受けるようにしても、届いた内容を人が販売管理へ打ち直すなら、手入力に伴うミスの余地は残ります。
LINEの機能で減らせる範囲と、転記や照合を減らせる範囲は、別の問題として考える必要があります。
企業間でデータを直接やり取りする仕組みにも条件があります。
同じ解説では、中小企業共通EDI標準について、取引先ごとにばらばらだったデータの形式を共通化し、受発注の双方が標準に対応するプロバイダーと契約すれば、各社が自社のアプリで統一したデータをやり取りできる、と説明されています4。
相手側にも契約が必要になるため、取引先が小さな店舗や個人客中心であれば、現実的な選択肢になりにくいこともあります。
もう一つ残るのが、移行期間の二重の窓口です。
受付を分けた後も、慣れたLINEで注文を送ってくる取引先はいます。
LINEに届いた注文を受けて処理するのか、新しい受付手段へ案内し直すのかを先に決めておかないと、同じ注文を両方で処理したり、どちらでも処理しなかったりするずれが新たに生まれます。
企業間データ連携の実証値の読み方
受付を分ける効果を考えるときに、目に入りやすい数字があります。
中小企業庁の実証事業では、受発注データ連携の実証プロジェクト12件で、中小企業の業務時間が平均51.4%削減されたと報告されています4。
削減率の算出方法はページでは示されていません。
また、これは企業間のデータ連携の実証値であり、LINEの運用を整えた場合の効果でも、LINEからフォームへ移した場合の効果でもありません。
この実証から読み取れるのは、別の点です。
同じ解説では、中小企業のほうが限られた期間でも既存の業務フローを変えやすかったことが、削減率が大企業より高かった要因に挙げられています4。
受付の手段を替えるだけでなく、受けた後の転記や照合の流れまで一緒に変えられるかどうかが、手間の減り方を左右する、という見方です。
受付を分けるかを考えるときは、新しい手段の機能より、受けた注文がその後どの画面を通って出荷まで進むのかを先に描いておくと、見込みと実際のずれが小さくなります。
| 軸 | ①LINE公式のまま運用を整える | ②チャットProオプションを加える | ③注文だけ別の受付手段に分ける |
|---|---|---|---|
| 誤認への効き方 | 書式と復唱で読み取りのずれを減らす。転記は残る | ①と同じ。カスタムフィルターで仕分けを足せる | 項目を入力してもらう形なら補って読む部分が減る。自社の管理へ連携しなければ転記は残る |
| 担当者数への耐性 | 担当者設定とステータスで回せるが人が増えるほどルール頼み | ①に加えて絞り込みの条件を増やせる | 受付手段の作りによる |
| 履歴・検索 | 履歴は半年。ノート1ルーム1件・タグ1ユーザー1個 | 2024年以降の履歴を最長5年。ダウンロードで保管できる | 受付手段の保存と検索の仕様による |
| 取引先の負担 | 書式に沿って書く程度 | ①と同じ | 新しい手段の操作を覚えてもらう |
| 導入負担 | 社内ルールの取り決め | 月額の追加料金 | 費用体系・既存システムとの連携・移行期間の窓口の二重化 |
▼ 図の内容を文字で読む
- 無料範囲のチャット履歴:半年
- チャットProオプションのチャット履歴:5年間(2024年以降の履歴が対象)
- グループ・複数人トークの画像・動画:2週間
- グループ・複数人トークのファイル:1週間
取引先に書式と確認を求める伝え方と、始める順序
取引先のIT慣れ別の求め方
書式も復唱も、取引先に一手間を頼むことになります。
同じお願いでも、相手がスマートフォンの操作にどれだけ慣れているかで、受け入れやすい形が変わります。
慣れていない相手には、求めることを一つに絞ります。
品名・数量・納品日・届け先の四項目を並べた定型文を送り、次からはこれをコピーして埋めるだけでよい、と伝える形です。
復唱への返事も「OK」の一言で済むようにしておくと、負担はほとんど増えません。
慣れている相手には、書式に加えて、将来フォームで受け付ける可能性を早めに知らせておくと、受付を分ける段階での抵抗が小さくなります。
取引先が事業者か個人客かでも言い方は変わり、個人客には「お手数ですが」と添えて選択の余地を残すほうが自然です。
書式の案内を、注文のたびの復唱に添えて一件ずつ伝えるなら、追加の費用はかかりません。
全員に一斉に知らせたい場合は配信メッセージを使うことになり、月額プランごとに決まった通数の枠を使います3。
通数はメッセージの送信対象となった人数で数えるため3、友だちの数が多いアカウントでは、一斉案内だけで枠の多くを使うこともあります。
依頼文の考え方
依頼の理由は、相手の書き方の問題としてではなく、自社の読み違いを防ぐため、という自社都合で伝えるのが基本です。
相手の注文の仕方を正す言い方になると、長く付き合ってきた取引先ほど負担に感じます。
たとえば次のような文面です。
「いつもご注文ありがとうございます。
こちらでの読み違いを防ぐため、次回から下の形でお送りいただけると助かります。
品名/数量/納品日/届け先。
いただいた内容はこちらで書き直してお返ししますので、合っていればOKとだけご返信ください」
この文面では、お願いを一回で終わらせず、復唱の流れまで一緒に伝えています。
相手にとっては、書き方を変えるお願いより、確認が丁寧になる知らせとして受け取りやすくなります。
書式を守らない注文が届いたときも、指摘せずに受けて、復唱で項目を補えば、次の注文で書式が使われる余地を残せます。
始める順序
手を付ける順序は、自社の中から外へ、が基本です。
最初に社内の担当者設定・ステータス・ログインIDの分け方と、復唱のルールを整えます。
自社の中だけで完結し、取引先の負担が増えないため、すぐに始められます。
復唱は取引先にお願いしなくても受け側から始められるので、この段階に含めます。
次に、取引先へ書式をお願いします。
社内の復唱が回り始めてからお願いすると、依頼文で「書き直してお返しします」と約束した流れを、すでに実行できている状態で伝えられます。
そのうえで数週間ほど、書式で届いた注文の割合と、訂正連絡の件数を見ます。
半年より後に履歴を見返す必要が出てきたらチャットProオプションを、転記や変更の往復の手間が減らないなら受付を分けることを検討します。
この順に進めると、受付を分けるかどうかを、実際に手間がどこに残ったかを見たうえで決められます。
▼ 図の内容を文字で読む
- 変更や取消の往復
- 最終内容を確かめる往復が一件ごとに何度も起きている
- 引き継ぎの説明し直し
- 交代のたびに「要対応」の残りを口頭で説明し直している
- 受注表へ書き写す時間
- 書き写す時間が、内容を確かめる時間より長くなっている
- 書式が定着しない
- 書式をお願いしても、自由文や画像の注文が減らない
▼ 図の内容を文字で読む
- 社内の担当者設定・ステータス・復唱を整える
- 取引先へ書式をお願いする
- 数週間見て、残った手間で次を決める
LINEのまま整えるか受付を分けるかは、注文の量や変更の多さ、受注表への転記の流れによって答えが変わり、社内だけでは手間の残り方が見えにくい部分です。
相談では、注文が届いてから出荷するまでのどこで確認や転記が重なっているかを一緒にたどり、運用ルールで減らせる部分と受付の仕組みを見直すべき部分を切り分けられます。無料相談で要件を整理する
要点の整理
| 軸 | 基準 |
|---|---|
| 誰が受けたか分からない | 返信前に担当者を設定し、要対応・対応済みで状態を残す。ログインIDは人ごとに分ける |
| 自由文で読み取りにくい | 品名・数量・納品日・届け先の書式を頼み、受けた側が書き直して復唱する |
| 言った言わないになる | 復唱と相手のOKを履歴に残す。半年より後に見返すならチャットProオプションを検討 |
| 画像やファイルで届く注文 | グループ・複数人トークでは画像2週間・ファイル1週間。受けた時点で文字に起こす |
| 受付を分ける目安 | 変更の往復、引き継ぎの説明し直し、転記の時間が運用ルールで減らないとき |
取引先ごとに頼み方や移し方を変える必要があり、全体の段取りを社内だけで組むと、移行期間の二重の窓口などで抜けが出やすくなります。 相談では、取引先の分け方と始める順序、受付を分ける場合に取引先へ求める操作と社内に残る転記を確かめられます。
よくある質問
LINE公式アカウントではなく個人のLINEで注文を受けている場合、何から変えるべきですか。
書式のお願いと復唱確認から始められます。
どちらもアプリの機能に頼らず、届いた注文への返し方を変えるだけなので、個人のLINEでもそのまま使えます。
一方、この記事で触れた担当者設定やステータスは公式アカウントの管理画面の機能です。
複数人で注文を受けている、誰が処理したか分からなくなる、といった抜けが続くなら、公式アカウントへ受け口を移すことを検討する段階です。
チャットProオプションは、受注のミス防止にどんなときに必要になりますか。
半年より後に注文のやり取りを見返す必要がある場合と、ノート・タグの無料範囲の枠では記録が足りない場合です。
無料範囲の履歴は半年、Proでは2024年以降の履歴を5年見られます1。
読み違いそのものは書式と復唱で減らす部分で、Proを加えても変わりません。
見返す期間と記録の枠が足りているかで判断してください。
取引先が書式を守ってくれないとき、どう対応すればよいですか。
指摘するより、受けた側が項目ごとに書き直して復唱し、相手のOKをもらう形で補うのが現実的です。
復唱の文面が毎回同じ形になっていれば、相手もその形に合わせやすくなります。
それでも自由文や画像の注文が減らず、補う手間が大きいなら、受付の手段を分ける兆候の一つとして扱います。
受付をフォームなどに分けた後も、LINEは問い合わせ窓口として残せますか。
残せます。
ただし、LINEに注文が届いたときの扱いを先に決めておく必要があります。
LINEで受けて処理するのか、フォームへ案内し直すのかが決まっていないと、同じ注文を二重に処理したり、どちらでも処理しなかったりします。
なお、公式アカウントのチャットはユーザーからメッセージが届いた後にしか返信できない1ため、案内は届いた注文への返信として送ることになります。
注文の履歴は、自社側でバックアップしておくべきですか。
半年より後に見返す可能性があるなら、何らかの形で残しておくほうが安心です。
チャットProオプションでは履歴をダウンロードしてバックアップできます2。
無料範囲のままなら、復唱で確定した内容を受注表に転記した時点で、そちらが自社側の記録になります。
グループ・複数人トークの画像は2週間、ファイルは1週間で見られなくなるため1、画像で届いた注文は受けた時点で文字に起こしておきます。
月額プランを上げれば、受注の取り違えは減りますか。
月額プランの違いは、配信メッセージの通数の枠です3。
担当者設定やステータスによる仕分け、復唱による確認とは別の話なので、プランを上げるだけで取り違えが減るわけではありません。
履歴の保存期間やノート・タグの枠を広げたい場合は、どのプランとも併用できるチャットProオプション2のほうが関係します。
- 1 出典:LINEヤフー株式会社「LINE公式アカウント マニュアル(チャット)」(2026年)
- 2 出典:LINEヤフー株式会社「LINE公式アカウント チャットProオプション」(2026年)
- 3 出典:LINEヤフー株式会社「LINE公式アカウントの料金(Messaging APIの料金ページ)」(2026年)
- 4 出典:中小企業庁(ミラサポplus)「企業間のデータ連携で、受発注の業務コストを削減する!」(2020年)