◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- 納品書の費用は、用紙・印刷・郵送・人件費・保管の5項目を通数で掛けて出し、定形郵便50g以内の110円以外は自社で計る。
- 電子データで渡した納品書は電子取引の対象になり、紙での授受とは保存の扱いが分かれるため、取引先が電子データで受け取れるかを先に確かめる。
- 選択肢の違いは価格の高低より、定額の月額・件数で動く月額・通数ごとの課金・件数の上限といった費用の増え方にある。
- 回収月数は初期費用を月の差額で割って出し、時間の削減を含めた差額と現金だけの差額の両方を見る。
- 郵送代行は、自社で郵送する場合との差1通100円を、減る作業時間が埋めるかで判断する。
目次

納品書の費用はいくら?1通にかかる費用を5項目に分けて自社の数字で出す
取引先に納品書を出すたびに、印刷して封筒に入れ、切手を貼って投函し、控えを綴じています。
この手間が気になって電子化を考え始めても、今いくらかかっているかが分からなければ、システムの月額が高いのか安いのかも判断できません。
納品書の費用は、用紙・印刷・郵送・人件費・保管の5項目を自社の通数で掛ければ出せます。
外部の料金で単価が決まっているのは郵送料で、定形郵便なら50gまで110円です1。
残りの項目は自社で数えます。
紙で渡すか電子データで渡すかで保存の扱いも変わるため、先に渡し方を決め、そのうえでシステムの月額と減らせる費用を比べます。
用紙・印刷
納品書1通の費用は、作成から保管までの作業を順に分けると数えやすくなります。
どの工程で何が出ていくかを並べると、用紙、印刷、郵送、人件費、保管の5項目に分かれます。
このうち用紙・印刷・郵送はお金として出ていく費用で、人件費と保管は時間や場所として消えている費用です。
用紙代は、買った用紙の価格を枚数で割れば1枚あたりが出ます。
複写式の納品書用紙なら1組、普通紙に印刷しているならA4の1枚が単位です。
控えを紙で残す、受領書を付けて返送してもらう、送付状を添えるといった運用があれば、1通に使う枚数は1枚では済みません。
まず1通に何枚使っているかを数え、単価に掛けます。
印刷の費用は、トナーやインクの購入額を印刷枚数で割るか、複合機の保守契約で1枚ごとの料金が決まっていればその単価を使います。
どちらも1通あたりにすると小さな額ですが、通数が多い会社では月単位で積み上がります。
また、取引先へ電子データで送るようにしても、社内の控えを紙に印刷していれば、この項目はゼロになりません。
電子化の効果を見る前に、どこまで紙が残るかを押さえておくと、後の試算がずれにくくなります。
郵送
5項目のうち、外部の料金で単価が決まっているのは郵送料です。
定形郵便物は50gまで110円です1。
納品書を定形封筒に入れて普通郵便で送るなら、郵送している通数に110円を掛けた額が毎月の郵送料になります。
定形外郵便や書留、宅配便で送っている場合は料金が別なので、実際に使っている送り方の料金で計算します。
封筒代も郵送の費用に含めます。
窓付き封筒や社名入りの封筒を使っていれば、購入価格を枚数で割った額が1通あたりの封筒代です。
ここで分けておきたいのは、納品書をどう届けているかです。
商品と一緒に箱へ入れて渡している場合、納品書のためだけの郵送料はかかっていません。
この場合は電子化しても郵送料は減らず、減るのは用紙・印刷と作業時間です。
一方、商品とは別に、月末にまとめて納品書や請求書を郵送しているなら、その通数分の郵送料が電子化で減らせる候補になります。
同じ「納品書を電子化する」でも、届け方によって減る費用が変わります。
人件費(時間を計る)
人件費は、金額に直すまでに手間がかかる項目です。
受注データから納品書へ何を書き写しているか、確認や押印を何人で回しているか、ポストまで何分歩くかは会社ごとに違い、決まった目安がありません。
他社の数字を借りるより、自社で1か月ほど計ったほうが、後の試算にそのまま使える数字になります。
工程は、作成、内容の確認、印刷、封入と宛名書き、投函、控えの整理くらいに区切ると、電子化でどの工程が消え、どの工程が残るかを後で当てはめやすくなります。
記載ミスによる再発行や、取引先からの「届いていない」という問い合わせへの対応も、起きた分だけ記録しておきます。
毎日起きることではありませんが、1回の対応に時間がかかるため、月の合計では無視できない場合があります。
たとえば計測の結果が1通あたり10分で、担当者の時給を1,500円と置くと、1通あたりの人件費は250円です。
この10分と1,500円は、説明のための仮の数字です。
時給に給与だけを使うのか、社会保険料など会社の負担分も含めるのかを決め、後で選択肢を比べるときも同じ前提を使います。
もう一つ気を付けたいのは、作業時間が減ることと、支払う額が減ることは同じではない点です。
納品書の作業が月に何時間か減っても、担当者の給与はそのまま支払われます。
浮いた時間を別の業務に回せるなら価値として数えられますが、実際に出ていくお金が減るのは郵送料や用紙代のほうです。
試算では、現金で減る費用と時間で減る費用を分けて書いておくと、後で判断の理由を説明しやすくなります。
保管
紙の控えを残していると、ファイル、キャビネット、保管場所の費用がかかります。
事務所の一角を使っているなら目に見える支払いはありませんが、外部の倉庫や書類保管サービスに預けているなら、その月額が保管費です。
年間の購入額や契約額を12で割り、月あたりにして他の項目とそろえます。
保管で見落としやすいのは、探す時間です。
取引先から過去の納品内容を問われたとき、綴じたファイルから1枚を探し出す時間も、記録しておけば人件費として加えられます。
紙の控えは保存する年数の分だけ積み上がるので、保管の費用は月の通数だけでなく、何年分を手元に置くかでも変わります。
5項目がそろえば、月の費用は次の式で出せます。
(用紙単価+印刷単価)×使う枚数+(郵送料+封筒代)×郵送した通数+1通あたりの人件費×通数+保管費の月割り。
この月額と1通あたりの額が、選択肢を比べるときの出発点になります。
紙で渡すか電子データで渡すかで、納品書の保存の扱いが変わる
紙で授受した場合
現状の費用が出たら、次に考えるのは取引先への渡し方です。
電子化といっても、取引先に紙を渡すのか、PDFなどの電子データで渡すのかで、保存のルールが分かれます。
紙で授受した納品書は、電子帳簿保存法でいう電子取引の対象外です6。
電子取引とは、取引の情報を電子データでやり取りすることを指します。
社内で納品書をシステムから作っていても、印刷して紙で渡しているなら、取引先とのやり取りは紙です。
この場合、作成の手間はシステムで減らせても、紙の控えを保管する費用は残ります。
前の節の5項目でいえば、用紙・印刷・郵送・保管はそのままで、人件費の一部だけが変わる形です。
電子データで授受した場合
PDFをメールで送る、システム上で取引先が受け取るといった形で納品書を電子データで渡すと、そのデータは電子取引の取引情報に含まれ、電子データのまま保存する扱いになります6。
費用の面で影響するのは保管の項目です。
紙のファイルやキャビネットが要らなくなる代わりに、データを決まった場所に整理して残す運用が必要になります。
使う予定のシステムに保存の機能があるか、その費用が月額に含まれるかはプランごとに違うため、比べる前に確かめておきます。
保存の具体的な要件は、制度の説明と顧問税理士に確認したうえで運用を決めます。
取引先ごとに渡し方が混ざる場合も考えておきます。
電子データで受け取れる取引先にはPDFで、そうでない取引先には紙で送る運用にすると、紙の控えとデータの両方を保管することになります。
この期間は保管の費用が二重にかかり、どの取引先の納品書がどちらにあるかを管理する手間も増えます。
切り替えの費用対効果を見るときは、全取引先が切り替わった後の姿だけでなく、混在する期間の費用も見込みに入れます。
受け取る取引先の側から見ても、電子データで受け取った納品書は電子取引の取引情報になります6。
紙で受け取っていたときとは保存の扱いが変わるため、渡し方の切り替えは自社だけでは決められません。
取引先が電子データで受け取れるかどうかが、この後の比較と始め方の分かれ目になります。
保存期間の確認先
保管費を見積もるには、何年分の控えを持つかが要ります。
法人税では、帳簿と取引関係書類は確定申告書の提出期限の翌日から原則7年保存し、欠損金が生じた青色申告の事業年度は10年です7。
ただし、国税庁のこの説明は、納品書という書類名を挙げて年数を示してはいません。
自社の納品書がどの区分に当たり何年保存するかは、顧問税理士に確かめてから保管の見込みを立てます。
年数が決まると、保管量の見当が付きます。
たとえば月80通を紙で出し、控えを7年残すと仮定すると、80通×12か月×7年で6,720通分の控えを抱えることになります。
仮定を置いた計算ですが、紙の保管費が通数と年数の掛け算で増えていくことは、電子データでの保存へ切り替えるかを考える材料になります。
| 項目 | 紙で授受 | 電子データで授受 |
|---|---|---|
| 電子取引の対象 | 対象外 | 対象(納品書の電子データを含む) |
| 控えの保存の形 | 紙の控えを保管 | 電子データのまま保存 |
| 残る費用の例 | 用紙・印刷・郵送・保管 | データの保存と管理 |
| 取引先との調整 | 現状のまま | 電子データで受け取れるかの確認 |
納品書の電子化・効率化の選択肢を、初期費用と月額で比べる
紙のまま効率化
渡し方の見通しが立ったら、選択肢の費用を同じ軸で並べます。
軸は、初期費用、月額、郵送代行の有無と料金、納品書を作れるかどうかの4つです。
ここで挙げる製品の料金は、各社が公開しているそのプランの料金で、市場の相場を表すものではありません。
税抜・税別、年払いといった条件も製品ごとに違うため、表では条件を添えています。
最初の選択肢は、システムを入れずに紙のまま手間を減らす方法です。
表計算ソフトの雛形を整える、宛名をラベル印刷にする、商品に同梱できる取引先は同梱に切り替える、といった工夫がこれに当たります。
新たな月額はかかりませんが、減らせるのは主に作業時間で、別送している分の郵送料と紙の保管費は残ります。
取引先が電子データで受け取れない場合や、通数が少なく月額をかけるほどでない場合の基準線として、比較に残しておきます。
請求書クラウド
請求書クラウドは、請求書を作って送るためのクラウドサービスで、納品書も同じ仕組みで作れるものがあります。
マネーフォワード クラウド請求書は、全プランで見積書・納品書・請求書・領収書の作成に対応し、初期費用は0円です2。
年払い・税別で、ひとり法人プランが月2,480円(年29,760円)、スモールビジネスプランが月4,480円(年53,760円)です2。
紙で送る必要がある取引先向けには、1通210円の郵送代行があります2。
この費用体系の特徴は、初期費用がなく、プランの料金が月あたりの定額で示されている点です。
月の削減額がプランの月額を上回れば、使い始めた月から差額が残ります。
一方、郵送代行を使った分は通数に比例して増えます。
表の月額は年払いの料金なので、月払いで契約する場合の金額や、プランごとに使える範囲の違いは料金ページで確かめます。
帳票配信システム
帳票配信システムは、請求書などの帳票を取引先へまとめて配信する仕組みです。
楽楽明細は初期費用100,000円(税抜)、月額25,000円から(税抜)です3。
月額は帳票の発行件数やオプションで変わり、帳票デザインのカスタマイズは別途費用です3。
郵送代行はオプションとして用意されていますが、料金ページに金額は載っていません3。
請求書クラウドとの違いは、初期費用があり、月額が件数で動く点です。
「25,000円から」は下限なので、自社の通数とオプションを伝えて見積もりを取らないと、試算に入れる月額が決まりません。
初期費用がある分、次の節で扱う回収月数の計算が判断の中心になる選択肢です。
受注システム
受注システムは、取引先からの注文を受ける側が使う仕組みで、受注の管理と合わせて納品書や請求書を作れるものがあります。
COREC の受注側向けの料金では、無料プランは月額0円で納品書・請求書の作成が20件まで、ビジネスプランは月額2,980円(税別)で作成件数の上限がありません4。
請求書クラウドが請求の業務から入る仕組みだとすると、受注システムは注文の受け付けから入る仕組みです。
受注の管理方法そのものに関わるため、料金だけでなく、いまの注文の受け方と合うかを先に見る選択肢です。
月に20件を超えて納品書や請求書を作っている会社では、有料プランの月額で比べることになります。
4つの選択肢を並べると、違いは価格の高低より、費用の増え方にあります。
プランの月額が定額で示される型、件数で月額が動く型、通数ごとに課金される郵送代行、件数の上限を超えると有料になる型です。
どれが得かは、最初に出した自社の通数と費用を当てはめて初めて決まります。
| 選択肢 | 料金の例 | 初期費用 | 月額 | 郵送代行 | 納品書の作成 |
|---|---|---|---|---|---|
| 紙のまま効率化 | なし | システム費なし | システム費なし | 自社で郵送(定形110円) | 現在の方法のまま |
| 請求書クラウド | マネーフォワード クラウド請求書 | 0円 | 2480円〜4480円(年払い・税別) | 1通210円 | 全プランで対応 |
| 帳票配信システム | 楽楽明細 | 10万円(税抜) | 2万5000円〜(税抜・件数等で変動) | オプション(金額の掲載なし) | 配信する帳票は見積もりで確認 |
| 受注システム(受注側向け) | COREC | 料金ページで確認 | 0円(作成20件まで)または2980円(税別) | 料金ページで確認 | 無料は20件まで・有料は上限なし |
自社の件数で、納品書電子化の損益分岐を試算する
試算式
比べる材料がそろったら、自社の数字を式に入れます。
使う式は2つです。
月の差額=いまの月の費用−切り替え後も残る月の費用−システムの月額。
回収月数=初期費用÷月の差額。
月の差額がゼロ以下なら、何か月使っても初期費用は回収できません。
ここからは仮の数字で式の使い方を示します。
月に80通の納品書を、商品とは別に定形郵便で送っている会社を考えます。
作業時間は1通10分、時給は1,500円と置きます。
郵送料は80通×110円で8,800円です1。
作業時間は80通×10分で800分、時間に直すと約13.3時間で、人件費は20,000円になります。
用紙・印刷・封筒・保管は会社ごとの差が大きいため、この例では入れていません。
入れれば、いまの月の費用はさらに大きくなります。
この例では、いまの月の費用を28,800円とします。
全取引先がPDFでの受け取りに応じ、作業が1通3分に減ったと仮定します。
郵送料は0円、作業は80通×3分で240分、つまり4時間で6,000円です。
切り替え後も残る月の費用は6,000円になります。
マネーフォワード クラウド請求書のスモールビジネスプラン(月4,480円、年払い・税別)に当てはめると、月の差額は28,800円−6,000円−4,480円で18,320円です2。
初期費用は0円なので、回収を待つ期間はありません2。
楽楽明細の月額の下限(25,000円、税抜)を同じ例に入れると、28,800円−6,000円−25,000円で、月の差額はマイナス2,200円です3。
この通数と仮定のもとでは、初期費用の100,000円(税抜)は回収できない計算になります3。
ただし、これは製品の良し悪しを示すものではありません。
通数がもっと多い、1通あたりの作業時間が長い、確認や再発行の手間が大きいといった会社では、削減額が増えるため結果が変わります。
月額は件数で変わるので、見積もりで出た月額を同じ式に入れ直します。
もう一つ、時間の削減を外した計算もしておきます。
現金で減るのは郵送料の8,800円だけで、そこからスモールビジネスプランの月4,480円を引くと4,320円です。
浮いた作業時間を他の業務に回せないなら、実際の効果はこちらに近くなります。
時間を含めた差額と現金だけの差額の両方を出しておくと、社内で説明するときに前提の違いを示せます。
全取引先が切り替えるとは限りません。
80通のうち20通が取引先の事情で紙のまま残ると、20通×110円で2,200円の郵送料が残ります1。
作業も、紙のままの20通が200分で5,000円、PDFにした60通が180分で4,500円残り、切り替え後も残る費用は合わせて11,700円です。
スモールビジネスプランの月4,480円を引いた月の差額は12,620円で、全取引先が切り替えた場合より5,700円小さくなります。
紙で残る通数を見込んでから差額を出すと、試算が実際の運用に近づきます。
郵送代行の分かれ目
紙で残る取引先の分を郵送代行に任せるかどうかも、同じ考え方で決められます。
マネーフォワード クラウド請求書の郵送代行は1通210円です2。
自社で定形郵便を出すと郵送料は1通110円なので1、郵送料だけを比べると代行のほうが1通あたり100円高くなります。
この100円は、提供元の代行料金と日本郵便の料金という、別々の料金を並べた差です。
代行を使う意味があるのは、自社でやっていた作業がこの100円分以上減る場合です。
時給1,500円と仮定すると、100円は4分の作業に当たります。
1通あたりの印刷・封入・投函に4分以上かかっているなら代行のほうが安くなる見込みがあり、4分未満なら自社で出したほうが安い計算です。
代行に任せた後も自社に残る作業がどこまでかは、提供元の説明で確かめてから差し引きます。
通数によって、この判断は変わります。
投函のためにポストや郵便局へ行く時間は、10通でも50通でもあまり変わりません。
たとえば往復に15分かかるとして、月5通しか出さないなら1通あたり3分ですが、月50通をまとめて出すなら1通あたり0.3分です。
一方、代行との差の100円は通数に比例して増え、月50通なら5,000円になります。
紙で残る通数が少ないほど代行が見合いやすく、通数が多いほど自社で出すほうが有利になりやすい、という関係です。
帳票配信システムの郵送代行は料金ページに金額が出ていないため3、比べるときは見積もりで1通あたりの金額を確かめ、同じ計算に入れます。
件数と取引先の事情で、納品書の電子化をどこから始めるか
取引先が電子受領できる場合
試算をしても、仮の数字が多いうちは導入に踏み切りにくいものです。
東京商工会議所の調査では、デジタルシフト・DXの課題として「コスト負担」を挙げた企業が31.9%ありました5。
この調査は2024年10月から11月に主に東京23区内の中小企業を対象に行われ、1,218社が回答したもので、納品書に限らずDX全般の課題を聞いています5。
費用が見合うかの迷いは珍しくないため、一度に全部を切り替えず、小さく始めて試算の仮定を確かめる進め方を、取引先と社内の事情ごとに整理します。
取引先の中に電子データで受け取れるところがあるなら、まずその取引先だけをPDFでの送付に切り替えます。
対象を絞ると混在する期間の保管の手間はかかりますが、試算で置いた「1通3分」のような仮定を、実際の作業で確かめられます。
1か月ほど運用して作業時間を計り直し、回収月数の式に入れ直すと、全取引先へ広げたときの差額が実測に近い数字で見えてきます。
このとき、負担の小さい選択肢から試すと、やめる判断もしやすくなります。
初期費用0円の請求書クラウドなら2、試して合わなかったときに初期費用が無駄になりません。
受注システムの無料プランは納品書・請求書の作成が20件までなので4、対象を絞った試行なら上限内に収まる場合があります。
ただし受注側向けの仕組みのため、注文の受け方まで含めて合うかを見る必要があります。
電子データで渡す取引先が増えたら、その分の保存の運用も同時に決めます。
送ったPDFを誰がどこに残すかを決めないまま件数だけ増えると、取引先から問い合わせがあったときに探す手間が、紙のときと同じように戻ってきます。
できない場合
取引先が紙での受け取りを望む場合は、無理に切り替えを求めるより、紙のまま費用を減らす方法から始めます。
商品と一緒に渡せる取引先を同梱に切り替えれば、その分の別送の郵送料はかからなくなります。
別送が残る分は、郵送代行の分かれ目の計算で、自社で出すか代行に任せるかを決めます。
紙で送る取引先が多い会社では、システムを入れても郵送料と紙の保管費が残ります。
その場合の効果は作成の手間の削減が中心になるため、試算の「現金で減る額」はほとんど増えません。
月額を払う価値があるかは、作業時間の削減を価値として数えるかどうかで決まります。
取引先の受け取り方が変わる時期を見ながら、作成と控えの整理の時間を計っておくと、後で切り替えを考えるときの比較に使えます。
既存システムがある場合
会計ソフトや販売管理システムをすでに使っている会社では、新しい仕組みを足す前に、いまの納品書がどこで作られているかを確かめます。
受注の内容を販売管理に入れ、そこから納品書を印刷しているなら、取引先名・品目・数量・金額はすでにデータとして社内にあります。
ここに別の請求書クラウドや帳票配信システムを足すと、同じ受注内容を新しい画面へもう一度入力することになりかねません。
郵送の手間は減っても転記の作業が増えれば、試算で見込んだ作業時間の削減は小さくなります。
既存のシステムから出力したデータを新しい仕組みへ取り込めるか、取り込めない場合にどの項目を手で写すことになるかを、導入前に洗い出しておきます。
写す項目が多いほど、入力とその確認にかかる時間を、試算の「切り替え後も残る費用」に加える必要があります。
既存のシステムで納品書をPDFとして出力できるなら、新たな月額をかけずにメールで送る運用から試す道もあります。
その場合も、電子データで渡した納品書は電子取引の取引情報になるため6、送り方を変えるのと同時に保存の運用を決めます。
自社の通数や作業時間を集めても、どの費用が現金で減り、どれが時間の削減にとどまるかの線引きや、紙と電子データが混在する期間の見込み方で、試算の結果は大きく変わります。
相談では、自社で計った通数と作業時間を回収月数の式に当てはめ、置いた仮定のうちどこから確かめるべきかを一緒に整理できます。無料相談で要件を整理する
納品書の電子化を判断する前にそろえる数字と条件
試算と始め方の判断で、答えが分かれる条件ごとに並べた。
- 商品と同梱しているか別送しているかと、別送している月の通数
- 自社で計った1通あたりの作業時間と、時給に含める範囲
- 電子データで受け取れる取引先の数と、紙で残る通数
- 検討するシステムの初期費用・月額と、件数による変動や上限
- 既存の会計・販売管理から納品書のデータを移せるか
取引先の受け取り方が変わったら、紙で残る通数を入れ替えて試算し直す。
要点の整理
| 軸 | 基準 |
|---|---|
| 費用の出し方 | 用紙・印刷・郵送・人件費・保管を通数で掛けて月額と1通あたりを出す |
| 郵送料 | 定形50g以内は1通110円。同梱なら納品書単独の郵送料は生じない |
| 保存の扱い | 電子データで授受すると電子取引の対象、紙での授受は対象外 |
| 比較の軸 | 初期費用・月額・郵送代行・件数による変動や上限 |
| 回収月数 | 初期費用÷(いまの費用−残る費用−月額)。差額がゼロ以下なら回収できない |
| 郵送代行 | 自社郵送との差1通100円を、減る作業時間が埋めるか |
既存の会計・販売管理と新しい仕組みを組み合わせるとき、どの項目の転記が残るかは、実際の画面や出力データを見ないと判断しにくい部分です。 相談では、いまの納品書の作り方と取引先の受け取り方を並べ、切り替え後も残る作業と費用を洗い出せます。
よくある質問
メールでPDFを送るだけの納品書は、どのように保存すればよいですか。
PDFで渡した納品書は電子取引の取引情報に含まれ、紙で受け渡したものとは扱いが分かれて、電子データのまま保存する扱いになります6。
送ったファイルを誰がどのフォルダやシステムに残すかを決めておくと、取引先から問い合わせがあったときにも探せます。
保存の具体的な要件と保存年数は、顧問税理士に確かめてから運用を固めてください。
納品書を電子化すると、取引先に追加の負担は生じますか。
受け取る取引先にとっても、電子データで受け取った納品書は電子取引の取引情報になり、紙で受け取っていたときとは保存の扱いが変わります6。
そのため、送り方を変える前に、PDFでの受け取りに応じられるかを取引先に確かめます。
受け取れない取引先は紙のまま残し、混在する期間の費用を試算に入れておくと、無理のない順で切り替えを進められます。
郵送代行(通あたり課金)は、何通から割高になりますか。
通数だけで決まる境目はありません。
マネーフォワード クラウド請求書の郵送代行は1通210円で2、自社で定形郵便を出す110円との差は1通100円です1。
この差を、代行で減る自社の作業時間が埋めるかで判断します。
投函に出向く時間のように通数が増えても変わらない作業があるため、紙で送る通数が多いほど1通あたりの作業時間は小さくなり、代行は割高になりやすくなります。
無料プランで始めて、有料に切り替える目安はどこですか。
COREC 受注側の無料プランは、納品書・請求書の作成が20件までです4。
月の作成件数がこれを超えるようになったら、ビジネスプランの月2,980円(税別)と4、上限を気にせず作れることで減る手間を比べます。
上限を超えないよう一部を手作業に戻す運用になっているなら、その手作業の時間も費用として数えたうえで判断します。
納品書の控えは何年保存すればよいですか。
法人税では、帳簿と取引関係書類は確定申告書の提出期限の翌日から原則7年、欠損金が生じた青色申告の事業年度は10年保存します7。
ただし国税庁の説明は納品書を名指しして年数を示していないため、自社の納品書が何年の保存に当たるかは顧問税理士に確かめてください。
- 1 出典:日本郵便株式会社「国内の料金表(手紙・はがき)」(2026年)
- 2 出典:株式会社マネーフォワード「マネーフォワード クラウド請求書 料金プラン」(2026年)
- 3 出典:株式会社ラクス「楽楽明細 料金プラン」(2026年)
- 4 出典:ラクーンホールディングス株式会社「COREC 受注側(サプライヤー)向け料金」(2026年)
- 5 出典:東京商工会議所「中小企業のデジタルシフト・DX実態調査 集計結果」(2025年)
- 6 出典:国税庁「電子帳簿保存法 一問一答(制度の概要等)」(2026年)
- 7 出典:国税庁「タックスアンサー No.5930 帳簿書類等の保存期間」(2026年)