◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- 納品書の不備の重みは、請求書を兼ねているか、保存期間、取引先が取適法の委託事業者か、の三つで変わる
- 六つの記載事項がそろう納品書は適格請求書等として扱われるため、金額・税額・登録番号の誤りは取引先の処理に直接響く
- 法人税の保存期間は確定申告書の提出期限の翌日から7年、欠損金が生じた年度は10年で、納品書が対象かは税理士に確認する
- 取引先が委託事業者なら、受領日から60日以内の支払期日と2年間の記録保存の義務が相手側にあり、納品書の日付のずれが確認の手間を生む
- 雛形の固定欄、保管場所と期間の一覧、取引先の記録との日付の突合で、転記や調べ直しの手間を減らせる
目次

納品書の間違いや渡し忘れに気づいたら、まず「請求書を兼ねているか」を確かめる
取引先に渡した納品書の数量が違っていた。
先月分を渡し忘れていた。
控えがどこにも見当たらない。
こうした不備に気づいても、どこまで問題になるのか分からず、手が止まりやすい場面です。
納品書のリスクの重さは、書類そのものよりも周りの条件で変わります。
確認できた範囲では、分かれ目は三つです。
納品書が適格請求書を兼ねているか、税法上の保存対象として扱う書類か(法人は原則7年1)、取引先が取適法(旧下請法)の委託事業者か。
この三つを順に見れば、何から直すかが決まります。
なお、納品書そのものの発行義務は、今回確認した公的資料では定めを確認できていません。
納品書が適格請求書になる条件
納品書のリスクを考えるとき、最初に見るのは書類の表題ではなく、そこに何が書かれているかです。
国税庁の説明では、適格請求書(インボイス)は名称を問わず、所定の事項が記載されていればその役割を果たします2。
つまり「納品書」という表題の書類でも、記載事項がそろっていれば、取引先にとっては請求書と同じ重みを持つ書類になりえます。
国税庁が示す適格請求書の記載事項は、次の六つです2。
<ul><li>発行者の氏名または名称と登録番号</li><li>取引年月日</li><li>取引内容</li><li>税率ごとに区分した対価の額と適用税率</li><li>税率ごとに区分した消費税額等</li><li>受領者の氏名または名称</li></ul>
たとえば自社がインボイス発行事業者で、月末に請求書を別に出さず、納品書に登録番号と税率ごとの金額を入れて請求書の代わりにしているとします。
この場合、納品書の数量や単価の誤りは、受け渡しの記録の誤りにとどまりません。
税率ごとの対価の額や消費税額が違えば、取引先が受け取った適格請求書の記載が違っていることになります。
登録番号が抜けていれば、そもそも記載事項がそろっていない書類になります。
小売業・飲食店業・タクシーなど一部の業種には、記載事項の例外があります2。
自社がこうした業種にあたる場合は、例外でどの欄が求められていないかを先に確かめておくと、直さなくてよい欄まで差し替える手間を避けられます。
誤りに気づいたあと、修正した書類を出し直す義務がどう定められているかは、今回確認した資料からは読み取れていません。
取引先の経理がすでに処理を進めている可能性もあるため、差し替えの方法は顧問税理士や取引先の担当者と相談して決めるのが確実です。
兼ねていない場合に見るもの
一方、請求書は月末にまとめて別に発行し、納品書は品物と一緒に渡す受け渡しの確認に使っている、という運用もあります。
この場合、適格請求書としての記載事項がそろっているかは請求書の側で問われ、納品書の誤記の重みは相対的に下がります。
ただし軽くなるのは税の書類としての重みで、納品書の誤りを放置してよいという意味ではありません。
請求書の数量や金額は納品の内容から作るはずなので、納品書の誤りがそのまま請求書へ転記されていないかは見ておく必要があります。
自社の納品書が請求書を兼ねているかどうかの手掛かりは、書式に登録番号と、税率ごとの金額・消費税額の欄があるかです。
ただ、書式に欄があることと、社内で「請求書は別に出している」と認識していることが一致しているとは限りません。
取引先がどちらの書類を適格請求書として保存しているかで扱いが変わるため、迷うときは取引先の経理担当者に、どの書類を保存しているかを聞くのが早道です。
請求書を兼ねているかどうかで記載ミスの重みが決まったら、次に見るのは、その書類をいつまで残すかと、取引先との関係で別の義務がかかっていないかです。
この順で見ていくと、手元の不備をどこから直すかが整理できます。
| 記載事項 | 誤った場合に起きうること |
|---|---|
| 発行者の氏名または名称と登録番号 | 登録番号が抜けると記載事項がそろわない書類になる |
| 取引年月日 | 取引先の受領や検収の記録と食い違う |
| 取引内容 | 品目の取り違えで取引先の照合が止まる |
| 税率ごとの対価の額と適用税率 | 取引先が受け取った金額の記載が違う状態になる |
| 税率ごとの消費税額等 | 税額の記載が違う状態になる |
| 受領者の氏名または名称 | 宛先違いで取引先の保存書類として扱いにくくなる |
▼ 図の内容を文字で読む
- 請求書を兼ねる納品書
- 登録番号と税率ごとの金額・税額を載せている
- 誤りは取引先が受け取った適格請求書の記載の誤りになる
- 請求書を別に出す納品書
- 適格請求書の記載事項は請求書の側で問われる
- 納品書の誤りが請求書へ転記されていないかは見る
- 迷うとき
- 書式に登録番号と税率ごとの欄があるかを見る
- 取引先の経理担当者にどの書類を保存しているか聞く
納品書の保管は何年か:法人税の保存期間と、対象かどうかの見極め
法人税の保存期間は原則7年
控えをいつまで残しておくかも、紛失や廃棄の判断に直結します。
法人税では、帳簿と、取引に関して作成または受領した書類を保存する決まりがあり、期間はその事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から7年間です1。
ここで間違えやすいのが起算点です。
数え始めるのは納品書を発行した日でも、事業年度の末日でもなく、確定申告書の提出期限の翌日です1。
たとえば申告期限が事業年度末から2か月後の法人を仮定すると、年度の初めに出した納品書の控えは、発行から1年以上たってからようやく7年のカウントが始まります。
実際に手元へ置く期間は8年を超えることになります。
発行日から7年で数えてしまうと、期限より前に廃棄してしまうおそれがあります。
廃棄の判断は一枚ずつではなく事業年度単位で行い、その年度の申告期限がいつだったかを基準にすると取り違えが起きにくくなります。
欠損金がある場合は10年
青色申告で繰越欠損金が生じた事業年度は、保存期間が10年間になります1。
平成30年4月1日前に開始した事業年度については、9年間とされています1。
赤字になった年度だけ期間が延びるため、保管箱やフォルダを年度で分けていないと、どれを何年残すかが分からなくなります。
欠損金が生じたかどうかは、保管を担当する人よりも経理や顧問税理士の方が把握しています。
保管担当者が一人で決めず、年度ごとに「7年」か「10年」かを確認してから、箱やフォルダに保存期限を書いておくのが確実です。
納品書が対象かどうかの確かめ方
注意したいのは、国税庁のこのページが挙げる書類の例に、納品書という語が明示されていないことです1。
そのため「納品書も法律上7年保存」と言い切ることはできません。
一方で、前の節で見たとおり、所定の事項を満たした納品書は適格請求書等として扱われます2。
請求書を兼ねている納品書は、取引先から見れば請求書と同じ役割を果たしている書類です。
その控えを請求書の控えと同じ扱いで保管しておく方が、社内の管理として筋が通ります。
請求書を兼ねていない納品書も、どの品物をいつ渡したかを示す書類であることに変わりはありません。
短く保管して後から必要になる場合と、長めに保管して場所をとる場合を比べると、取り返しがつきにくいのは前者です。
迷う場合は顧問税理士か所轄の税務署に、自社の納品書が保存の対象に入るかを確認し、答えが出るまでは法人税の保存期間に合わせておくのが無難です。
ここでの期間は法人税についてのものです。
個人事業者の保存期間や、会社法上の保存は、今回参照した資料の対象外です。
また、紙で授受することを前提にしているため、納品書をPDFやシステム上でやり取りしている場合の保存方法は、別に税理士などへ確認してください。
▼ 図の内容を文字で読む
- 事業年度の末日
- 確定申告書の提出期限
- 期限の翌日から7年間保存(原則)
- 青色繰越欠損金が生じた年度は10年間
取引先が取適法(旧下請法)の委託事業者なら、納品日の記録が相手の義務になる
委託事業者の4つの義務
税の話とは別に、取引先との関係で納品書の不備が響く場面があります。
取引先が取適法(旧下請法)上の委託事業者にあたる場合です。
下請法は2026年から取適法として運用されており、公正取引委員会は委託事業者の義務として次の四つを挙げています3。
<ul><li>発注内容等を明示する</li><li>物品等を受領した日から60日以内で支払期日を定める</li><li>取引の内容を記載した書類または電磁的記録を作成し、2年間保存する</li><li>支払が遅れた場合に、年率14.6%を乗じた額の遅延利息を支払う</li></ul>
押さえておきたいのは、この四つの義務を負うのは発注する側の委託事業者で、納品書を出す受託側ではないという点です3。
受託側の自社に、取適法を理由として納品書の発行や保存が義務づけられるわけではありません。
それでも受託側が気にしておく理由は、相手が義務として作る記録と、自社が出す納品書の内容が重なる部分があるからです。
取引先が委託事業者にあたるかどうかは、資本金や取引の内容などの要件で決まります。
要件の詳細はこの記事では扱いません。
取引先から発注内容を明示した書面を受け取っているなら、取引先が自社を取適法の対象として扱っている手掛かりになりますが、確定させたいときは取引先に直接確認するのが確実です。
納品日・検査結果の記録と納品書の関係
委託事業者が作成・保存する記録には、納品日、検査の結果、やり直しをさせた場合はその理由などが含まれます4。
公正取引委員会中部事務所の解説では、発注書面の写しを保存するだけでは必要な事項を満たさないとされています4。
この解説は旧下請法の用語で書かれているため、取適法での扱いは公正取引委員会の最新の説明とあわせて読む必要があります。
たとえば受託側の自社が、品物を取引先に届けた日の2日前、出荷準備をした日の日付で納品書を作っていたとします。
取引先は実際に受領した日を記録しますが、手元の納品書の日付と記録の日付が食い違えば、どちらが正しいかを後から確かめる手間が生じます。
支払期日は受領した日から60日以内で定めることになっているため3、起算日がずれて見えると、支払期日の確認や、遅れがあった場合の遅延利息の計算で、双方の話がかみ合わなくなるおそれがあります。
これは制度の仕組みから導いた見立てで、取引先が納品書を記録の根拠として使うと決まっているわけではありません。
取引先によっては、自社の検収記録だけで受領日を管理していることもありえます。
それでも、受託側が出す納品書の日付が実際に届けた日と一致していれば、食い違いが生まれる入口を一つ減らせます。
▼ 図の内容を文字で読む
- 委託事業者(発注側)の義務
- 発注内容等を明示する
- 受領日から60日以内で支払期日を定める
- 取引内容の記録を作成し2年間保存する
- 支払遅れは年率14.6%の遅延利息を支払う
- 受託側(自社)
- 取適法を理由とする納品書の発行・保存の義務はない
- 重なる点
- 納品書の日付を実際に届けた日と一致させる
- 取引先の受領日の記録との食い違いの入口を減らす
場面別に見直す順番:記載ミス・渡し忘れ・紛失・受領側
記載ミス
ここまでの三つの分かれ目を、実際に不備に気づいた場面に当てはめます。
以下は確認済みの制度をもとにした編集上の整理で、取引先の処理に使われている欄から先に直す、という考え方で並べています。
記載ミスに気づいたら、最初に見るのは誤った欄がどこかです。
数量・単価・金額・税率・消費税額・登録番号・日付・宛名のどれを誤ったかによって、影響が取引先まで及ぶかどうかが変わります。
請求書を兼ねる納品書で、金額や税率、消費税額、登録番号を誤った場合は、取引先が受け取った適格請求書の記載事項そのものが違っている状態です2。
取引先の経理が月次の締めに入る前に連絡できれば、差し替えの手間は小さく済みます。
修正版をどの形で出すかを取引先と相談し、旧版と修正版のどちらを保存してもらうかまで決めておくと、後で同じ取引の書類が二枚ある理由を説明する手間を減らせます。
日付の誤りは、取引先が委託事業者にあたる場合に優先度が上がります。
前の節で見たとおり、取引先の受領日の記録とずれると、支払期日の起算と食い違うおそれがあるからです。
宛名の表記揺れや品名の書き方の違いで、金額にも日付にも影響しない誤りなら、取引先がその欄を処理に使っているかを聞いたうえで、次回の発行から直せば足りることもあります。
急ぐかどうかは、誤りの見た目の大きさではなく、その欄が取引先の処理に使われているかで決まります。
渡し忘れ
渡し忘れは、請求書を兼ねているかどうかで重みが大きく変わります。
兼ねている場合、取引先の手元には適格請求書がない状態です。
気づいた時点で取引先に連絡し、実際の取引年月日を記載して発行します。
取引年月日を発行した日に合わせて書き換えると、日付の食い違いを自分から作ることになります。
兼ねていない場合でも、取引先の検収担当者が受領の確認に納品書を使っていることがあります。
相手が困っていないかを一言たずね、自社の控えには後日交付したことが分かる記録を残しておくと、後から見返したときに経緯を追えます。
取引先が委託事業者なら、納品日は取引先が作る記録の事項に含まれます4。
納品書が届いていなくても、受領した日の記録自体は取引先の側に残っているはずです。
後から納品書を出すときは、取引先が記録した受領日を聞き、自社の納品書の日付と合っているかを確かめてから渡すと、食い違いを持ち込まずに済みます。
紛失
紛失には二通りあります。
自社の控えを失くした場合と、取引先が受け取った納品書を失くした場合です。
自社の控えを失くした場合は、同じ内容の記録がほかに残っていないかを先に確かめます。
販売管理の入力データ、送付したときのメール、同じ取引の請求書の控えなどです。
請求書を兼ねる納品書の控えは、前の節で見たとおり請求書の控えと同じ扱いで残しておきたい書類です。
失くした範囲と期間を書き出したうえで、ほかの記録で足りるのか、再作成が要るのかを顧問税理士に相談すると、判断の材料がそろった状態で話を進められます。
取引先から失くしたので再発行してほしいと頼まれた場合は、内容を元のとおりにし、再発行であることが分かる表示を入れておくと、元の書類と区別できます。
日付を再発行した日に変えてしまうと、取引年月日の違う書類が同じ取引について二枚存在することになるためです。
受け取る側の確認
納品書を受け取って処理する側でも、見ておくことは同じ三つの分かれ目に沿って整理できます。
受け取った納品書が請求書を兼ねている場合は、受け取った時点で六つの記載事項がそろっているかを見ます2。
とくに登録番号と、税率ごとの金額・消費税額は、抜けや誤りに気づいたら早めに発行元へ連絡する方が、双方の差し替えの手間が小さく済みます。
保管については、法人税で保存の対象とされるのは、取引に関して作成した書類だけでなく受領した書類も含みます1。
ただし納品書が明示されていない点は発行側と同じなので、扱いは税理士に確認しつつ、確認がとれるまでは7年、欠損金が生じた年度は10年を目安に管理しておくのが無難です1。
自社が委託事業者として発注している場合は、さらに取適法上の記録の義務がかかります。
取引の内容を記載した記録を作成して2年間保存する義務があり3、発注書面の写しを残すだけでは必要な事項を満たしません4。
受け取った納品書の日付と、自社が記録する受領日を突き合わせておけば、支払期日の起算を後から確かめるときの材料になります。
税法の保存期間と取適法の記録の保存期間は、目的も期間も別のものです。
短い方の2年に合わせて書類を廃棄してしまわないよう、両方を区別して管理する必要があります。
| 場面 | 最初に見ること | 次に確かめること |
|---|---|---|
| 記載ミス | 誤った欄が金額・税額・登録番号・日付か | 取引先の締め処理が進んでいるか |
| 渡し忘れ | 請求書を兼ねる書類か | 取引先が記録した受領日 |
| 紛失 | 自社の控えか取引先の受領分か | ほかに同じ内容の記録が残っているか |
| 受け取る側 | 請求書を兼ねる場合の記載事項 | 保存期間と受領日の記録との突合 |
▼ 図の内容を文字で読む
- 記載ミス
- 誤った欄が金額・税額・登録番号・日付か
- 取引先の締め処理が進んでいるか
- 渡し忘れ
- 請求書を兼ねる書類か
- 取引先が記録した受領日
- 紛失
- 自社の控えか取引先の受領分か
- ほかに同じ内容の記録が残っているか
- 受け取る側
- 請求書を兼ねる場合の六つの記載事項
- 保存期間と受領日の記録との突き合わせ
▼ 図の内容を文字で読む
- 請求書を兼ねる書類かを確かめる
- 取引先に連絡し、記録された受領日を聞く
- 実際の取引年月日を記載して発行する
- 自社の控えに後日交付したことが分かる記録を残す
再発を防ぐ運用:記載項目・保管・確認の手順
雛形の固定
一度見直しても、発行のたびに同じ判断を手作業で繰り返していれば、同じ種類のミスが起きる余地は残ります。
ここからは、前の節で確かめた分かれ目を日常の運用に落とすための編集上の提案です。
効果を測った数値があるわけではないので、何の確認や転記が減るのかという観点で説明します。
請求書を兼ねる納品書なら、国税庁が示す六つの記載事項2を雛形の固定欄にし、発行者名と登録番号はあらかじめ印字しておきます。
税率ごとの対価の額と消費税額は、品目の入力から自動で集計される欄にします。
これで減るのは、登録番号の書き忘れや、税率ごとの金額を電卓で集計して手で書き写す作業です。
品目や数量の入力が正しいかどうかは、引き続き人が確認する必要があります。
請求書を別に出していて、納品書に請求書の役割を持たせない場合は、取引先がどちらを保存すべきか迷わない書式にしておくことが大切です。
たとえば納品書に請求書ではない旨を明記しておけば、取引先の経理が納品書と請求書のどちらを適格請求書として扱うかを、そのつど問い合わせる手間が減ります。
保管場所と期間の一覧
保管の取り違えを減らすには、書類ごとに次の項目を一覧にしておくのが手堅い方法です。
<ul><li>書類の種類(請求書を兼ねる納品書、兼ねない納品書、受領した納品書など)</li><li>紙か電子か</li><li>保管場所</li><li>対象の事業年度</li><li>保存期間(原則7年か、欠損金が生じた年度の10年か)</li><li>廃棄してよい時期</li><li>管理の担当者</li></ul>
この一覧で減るのは、「この箱はいつ捨ててよいか」を毎回調べ直す手間と、欠損金が生じた年度の書類を7年で廃棄してしまう取り違えです1。
保存期間の欄を埋めるには、経理や顧問税理士の確認が要ることは変わりません。
一度確認した結果を一覧に残しておけば、担当者が替わっても判断をやり直さずに済みます。
取引先が委託事業者で、自社が受託側にあたる取引では、2年間の記録の義務は取引先のものです3。
自社が別の取引では委託事業者として発注する立場にもあるなら、その記録は税法の保存とは別の行として一覧に載せておくと、二つの期間を混同しにくくなります。
日付の突合
日付の食い違いを減らすには、まず社内で納品書の日付欄が何の日付なのかを決めておくことです。
出荷した日なのか、取引先に届いた日なのかが担当者によって違えば、同じ取引でも書類ごとに日付が揺れます。
取引先の受領や検収の記録と合わせるなら、実際に届けた納品日で書くと決めておくのが分かりやすい方法です。
配送業者を通して届ける場合は、到着の予定日と取引先が実際に受け取った日がずれることもあります。
月に一度、取引先から届く検収の通知や支払の明細と、手元の納品書の控えの日付を照らし合わせておくと、ずれがあれば早い段階で見つかります。
この突合で減るのは、支払期日や請求額の照合のときに、どの取引の分かを後からさかのぼって調べる手間です。
手を付ける最初の一歩としては、直近の納品書を数枚取り出し、記載事項がそろっているか、控えがどこに保管されているか、日付が取引先の記録と合っているかを見比べてみるのが現実的です。
どの欄で揺れが起きているかが分かれば、雛形・一覧・突合のどこから整えるべきかが見えてきます。
▼ 図の内容を文字で読む
- 発行前
- 六つの記載事項を雛形の固定欄にする
- 発行者名と登録番号をあらかじめ印字する
- 発行時
- 日付欄は実際に届けた納品日で書く
- 品目と数量は人が確認する
- 発行後
- 保管場所と保存期間の一覧に登録する
- 取引先の検収や支払の記録と日付を突き合わせる
納品書が請求書を兼ねているか、取引先との関係に取適法がかかるかは、自社の書式と取引先ごとの事情が絡むため、記事の一般論だけでは決めきれないことがあります。
いまお使いの納品書の書式と、発行から保管までの流れを一緒に棚卸しし、どの欄と工程から見直すと手戻りが少ないかを整理できます。無料相談で要件を整理する
要点の整理
| 軸 | 基準 |
|---|---|
| 請求書を兼ねているか | 六つの記載事項がそろう納品書は適格請求書等として扱われ、記載ミスの重みが上がる |
| 保存期間(法人税) | 確定申告書の提出期限の翌日から7年、青色繰越欠損金が生じた年度は10年。納品書が対象かは税理士に確認 |
| 取引先との関係 | 委託事業者なら、受領日から60日以内の支払期日と2年間の記録保存の義務が取引先側にある |
| 直す順番 | 金額・税額・登録番号・日付など、取引先の処理に使われる欄から |
| 再発防止 | 雛形の固定欄、保管場所と期間の一覧、取引先の記録との日付の突合 |
雛形・保管一覧・日付の突合は、一度決めても取引先や担当者が増えるたびに運用がずれやすく、社内だけでは見直しの優先順位を付けにくい作業です。 直近の納品書を例に、記載事項・保管場所・日付のどこで揺れが起きているかを確かめ、税理士への確認が必要な点と社内で直せる点を切り分けられます。
よくある質問
納品書を請求書と兼ねて出してよいのはどんなときですか。
国税庁の説明では、適格請求書は名称を問わず、発行者の氏名または名称と登録番号、取引年月日、取引内容、税率ごとの対価の額と適用税率、税率ごとの消費税額等、受領者の氏名または名称がそろっていれば、その役割を果たします2。
登録番号を記載する前提なので、自社がインボイス発行事業者であることが必要です。
小売業・飲食店業・タクシーなどには記載事項の例外があります2。
兼ねる運用にする場合は、取引先がどの書類を保存するのかを共有しておくと、後の問い合わせが減ります。
納品書の写しを紛失したとき、まず何を確認すればよいですか。
最初に、失くしたのが自社の控えか、取引先が受け取った分かを分けて考えます。
自社の控えなら、販売管理の入力データや送付時のメール、同じ取引の請求書の控えなど、同じ内容の記録がほかに残っていないかを確かめます。
そのうえで、失くした範囲と期間を書き出し、ほかの記録で足りるかを顧問税理士に相談します。
取引先から再発行を求められた場合は、内容と取引年月日を元のとおりにし、再発行であることが分かる表示を入れると元の書類と区別できます。
取引先が取適法の委託事業者かどうかは、どこで見分けられますか。
委託事業者にあたるかは、資本金や取引の内容などの要件で決まります。
この記事では要件の詳細は扱っていないため、公正取引委員会の取適法の説明で要件を確かめるか、取引先に直接確認するのが確実です。
取引先から発注内容を明示した書面を受け取っている場合は、取引先が取適法の対象として扱っている手掛かりになります。
なお、受領日から60日以内の支払期日や2年間の記録保存といった義務を負うのは委託事業者の側です3。
納品書の日付と取引先の受領日がずれていたら、どう直せばよいですか。
まず、どちらが実際に届けた日なのかを、配送の記録や取引先の検収記録と照らし合わせて確かめます。
自社の納品書の日付が誤っていた場合は、取引先と相談したうえで修正版を出し、旧版と修正版のどちらを保存してもらうかまで決めておきます。
納品書が請求書を兼ねていれば取引年月日の誤りにあたるため、早めの連絡が大切です2。
取引先が委託事業者なら、支払期日は受領日から60日以内で定められるため3、受領日の記録と合わせておくことで支払期日の確認がしやすくなります。
- 1 出典:国税庁「タックスアンサー No.5930 帳簿書類等の保存期間」(2026年)
- 2 出典:国税庁「タックスアンサー No.6625 適格請求書(インボイス)の記載事項」(2026年)
- 3 出典:公正取引委員会「委託事業者の義務(取適法)」(2026年)
- 4 出典:公正取引委員会 中部事務所「下請法 知っておきたい豆情報(書類の作成・保存義務)」(2026年)