◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- オンライン受発注の効果は工数・ミス・コスト・注文機会の4領域に分かれ、現れる順序と時間軸が異なります。
- 企業間取引のEC化率は43.0%に達しており、紙の受発注だけで応じ続けることは難しくなっています。
- 電子取引の注文データは2024年から電子のまま保存する扱いで、日付・金額・取引先の3項目で検索できる設計が要ります。
- 効果は導入前の現状値がなければ示せず、受注件数と処理時間の2つを事前に記録しておく必要があります。
目次

オンライン受発注とは何か
オンライン受発注とは、受注側と発注側がWeb画面や標準化された接続方式を通じて、注文の内容をデータのままやり取りする仕組みです。電話やファクスのように、人が読み取って入力し直す工程が挟まりません。そのため注文の中身が記録として残り、後から集計や照合ができます。効果の出方は取引形態によって変わります。工数・ミス・コスト・注文機会の4つの領域に分けると、自社に当てはまる部分を見極めやすくなるでしょう。本稿は公表された調査の数値を手がかりに、その4領域を順に扱います。
オンライン受発注の仕組みは、3つの部分に分けて捉えると理解しやすくなります。取引先が注文を入力する画面または接続の口、受け取った注文データを保持する仕組み、自社の基幹システムへ渡す連携の3つです。注文の受け取りだけを電子化しても、その先が手入力のままであれば効果は限られます。どこまでをデータのまま流すかが、得られる効果の幅を左右します。
電話・ファクス・メールによる受注との違いは、情報の入り口が定まっているかどうかに現れます。電話では聞き取った内容を担当者が書き取り、ファクスでは紙面を読み取って入力します。メールでも、書式が取引先ごとに異なれば読み替えが要ります。オンライン受発注では品番・数量・納期の入力欄が決まっており、必要な項目が空のまま送信されることを防げます。入力の時点で在庫や単価を照らせるため、受注後に確認の往復が生じる場面も減らせるでしょう。
接続の方式は、EDIとWeb画面型のBtoB ECの2つに大別できます。EDI(電子データ交換。企業間で伝票データを定型の形式でやり取りする方式)は、取引量の多い相手との定常的なやり取りに向きます。流通業界には流通BMSという標準化された接続方式があり、その導入企業数の推計は半年ごとに公表されています*5。Web画面型は、取引先が自社の画面から注文する形で、小口の取引先や新規の相手にも広げやすい方式です。両者は排他ではなく、取引先の規模に応じて併用する設計が現実的でしょう。
オンライン受発注が広がっている背景には、企業間取引そのものの電子化があります。2024年の取引を集計した電子商取引に関する市場調査(2025年公表)によると、企業間取引の市場規模は514.4兆円、EC化率は43.0%でした*1。ここでのEC化率は、調査の対象とした業種の企業間取引のうち、電子化された取引が占める割合を指します。取引先の側でも受発注をデータで扱う前提が整いつつあり、紙の伝票だけで応じ続けることは難しくなっています。
利用環境の面でも下地はできています。企業のクラウドサービスの利用状況を毎年調べている通信利用動向調査(2026年公表)では、利用する企業の割合は8割前後の水準です*2。一方、オンライン受発注は「注文をWebで受ければ完結する」ものではありません。取引先が使い続ける状態をつくり、社内の処理と結び付けて初めて数値に現れます。次の節では、その効果を受注側と発注側に分けて整理します。
効果を試算する前にそろえる確認事項5点(順位根拠:着手の順序)
- 受注経路別の件数を1か月分そろえます。電話・ファクス・メール・既存EDIの内訳が、効果を試算する土台になります。
- 受注1件あたりの処理時間を、受信から基幹システムへの登録まで担当者ごとに測ります。時間帯別に取ると繁忙期の山が見えます。
- 訂正と差し戻しの件数を、受注件数に対する割合として記録します。誤出荷が生じた場合は、返品の回収・再出荷・伝票の訂正の3作業も数えます。
- 通信費・用紙・保管の費用を月ごとに費目別へ分けて集計します。合計だけを見ると、効いていない費目を見落とします。
- 電子取引データについて、取引年月日その他の日付・取引金額・取引先の3項目で検索できる状態かを確かめます*4。個別の判断は所轄の税務署や税理士に確認してください。
オンライン受発注の効果の全体像
オンライン受発注の効果は受注側と発注側の双方に現れますが、現れる順序が違います。受注側では受注処理の工数と受注ミスが先に動き、コストと注文機会は後から動きます。発注側では発注の手間と在庫確認の待ち時間が縮みます。効果は導入した翌日から一様に出るものではなく、取引先の利用率が上がるにつれて積み上がるものです。まず4つの領域に分けて全体像を押さえ、そのうえで自社の数値に当てはめていく順序が現実的でしょう。
受注側に生じる効果は4つの領域に整理できます。第一は受注処理の工数で、転記と確認の作業が減ります。第二は受注ミスで、品番違いや数量の取り違えが起きにくくなります。第三はコストで、通信費と用紙代、保管にかかる費用を見直せます。第四は注文機会で、受付時間の制約が外れることにより注文の入り口が広がります。この4つは同じ時間軸では動かないため、分けて測る必要があります。
発注側に生じる効果は、発注の手間と待ち時間に現れます。在庫と納期を自分で確認してから発注できれば、電話で問い合わせて折り返しを待つ時間がなくなります。過去の履歴から繰り返し発注ができるため、発注の入力操作も短くなります。発注した内容が記録として残るため、社内での確認や照合にも使えるでしょう。
効果が現れるまでの時間軸は、領域によって差があります。工数とミスは、対象とした取引先が使い始めた時点から動き始めます。コストは、紙とファクスの運用を並行して残している間は下がりません。注文機会と売上への影響は、利用する取引先が増えて初めて見えてきます。並行運用を長く続けるほど、効果の確認は遅れると考えてください。
効果を得るには3つの前提が要ります。取引先がオンラインで注文する状態になっていること、基幹システムと注文データがつながること、そして商習慣上の例外を処理する手順が決まっていることです。この3つが欠けたまま導入すると、注文の受け口が1つ増えるだけで工数は減りません。失敗した場合の費用は、追加した受け口の分だけ確認作業が増える点に現れます。
効果を検討する動機は、人手の制約にもあります。人手不足の状況に関する調査(2024年公表、中小企業を中心とした会員企業が対象)では、人手が不足していると答えた企業が6割を超えました*6。受注業務は繁忙期に負荷が集中しますが、その山に合わせて人員を確保し続けることは容易ではありません。処理の一部をデータのまま流せれば、山の高さそのものを下げられるでしょう。
| 効果の領域 | 受注側に現れる変化 | 発注側に現れる変化 |
|---|---|---|
| 受注処理の工数 | 転記と確認の作業が減ります | 発注の入力操作が短くなります |
| 受注ミス | 品番違いと数量の取り違えが減ります | 発注内容が記録として残ります |
| コスト | 通信費と用紙代を見直せます | 問い合わせの電話が減ります |
| 注文機会 | 受付時間の制約が外れます | 在庫と納期を自分で確認できます |
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業務工数と受注ミスに対する効果
業務工数への効果は、注文1件あたりの処理から重複作業が抜けることで生まれます。電話やファクスで届いた注文は、読み取り、転記、確認、返信という順に人の手を通ります。オンライン受発注では、このうち転記と確認の往復が減ります。受注ミスの側では、入力欄と選択肢が定まっていることが効きます。品番の取り違えや数量の桁違いが起きにくくなり、誤出荷による返品や再配送の手戻りも抑えられるでしょう。
電話とファクスによる受注では、1件の注文が5つの工程を通ります。注文内容の受信から始まり、基幹システムへの転記、在庫と価格の確認、不明点の問い合わせ、受注確定の返信と続きます。このうち人の判断が要るのは在庫と価格の確認と不明点の問い合わせで、残りは転記と伝達の作業です。オンライン受発注では、注文内容の受信と基幹システムへの転記が1つにまとまります。
転記が減ることの効果は、時間だけではありません。同じ内容を2度入力すれば、2度とも誤りうるからです。注文データが基幹システムへそのまま渡れば、入力の回数は1回になります。取引先が入力した内容がそのまま出荷指示につながるため、社内での読み替えも不要になるでしょう。ただし連携の設計を誤ると、項目の対応が取れずに手作業の突き合わせが残ります。
電話応対の削減は、受注担当者の時間の使い方を変えます。在庫や納期を画面で確認できれば、問い合わせの電話そのものが減ります。注文の受付状況や出荷予定を取引先が自分で参照できる状態にすると、確認の往復はさらに短くなるでしょう。電話が減ることで、担当者が中断されずに作業を続けられる時間も増えます。繁忙期に負荷が集中する業務ほど、この差は効いてきます。
誤受注と欠品による手戻りは、費用の面で見落とされがちです。誤った品番で出荷すれば、返品の回収、再出荷、伝票の訂正という3つの作業が追加で発生します。取引先の生産や工事の予定に影響が出れば、値引きや今後の取引条件の見直しにつながることもあります。入力の時点で在庫を引き当てられれば、欠品を知らないまま受注する事態を避けられます。
この効果を得るには、社内で3つの役割が要ります。取引先ごとの価格と在庫の見せ方を決める業務側の役割、基幹システムの項目と注文データを対応づける情報システム側の役割、取引先へ利用を案内する営業側の役割です。3つのうちどれが欠けても、注文の受け口が増えるだけで工数は動きません。外部の支援を受ける場合との違いは、項目設計と例外の洗い出しをどこまで自社で担うかにあります。
コストと法対応の面での効果
コスト面の効果は、通信費・用紙・保管という3つの費目に現れます。ファクスの送信料、注文書の印刷、控えの保管場所と保管の手間が、データでのやり取りに移ることで見直せます。ただし紙の運用を残したままでは費用が二重に発生するため、対象取引先を絞って切り替えを進める判断が要ります。法対応の面では、電子取引で授受したデータの保存が関わります。要件の充足や税務上の可否は個別の事情で変わるため、所轄の税務署や税理士への確認が前提です。
費目ごとに見ると、削減の効き方は違います。通信費は送信件数に比例するため、切り替えた取引先の割合がそのまま効きます。用紙と印刷の費用も同じく件数に連動するものです。保管の費用は、書類の量が減っても保管場所の契約が残る間は下がりません。費目を分けずに合計だけを見ていると、効いていない費目を見落とします。
電子取引で授受した注文データの取り扱いには、決まりがあります。電子帳簿保存法の一問一答*4では、電子取引の取引情報は電子データのまま保存することとされ、2024年からは書面に出力して保存する方法によることが認められない扱いになりました。保存にあたっては、真実性の確保と可視性の確保という2つの区分の要件が示されています。検索の要件としては、取引年月日その他の日付、取引金額、取引先という3つの項目で検索できることが挙げられています。
同じ一問一答では、要件を緩和する取り扱いも示されています*4。判定期間の売上高が5,000万円以下である場合など、条件を満たすときは検索の要件が不要となる取り扱いがあります。オンライン受発注の仕組みで注文データを保持する場合、日付・金額・取引先で検索できる設計になっていれば、この考え方に沿った運用がしやすくなるでしょう。ただし自社の保存方法が要件を満たすかどうかの判断は、所轄の税務署や税理士に確かめてください。
標準化された接続方式を用いる場合の考え方も押さえておきましょう。流通業界には流通BMSという標準の接続方式があり、その導入企業数の推計は半年ごとに公表されています*5。標準の方式に合わせると、取引先ごとに個別の取り決めを作る手間が減ります。一方、標準の外にある自社固有の項目は、別の手段で受け渡す設計が要ります。
仕組みを自社で持つか、外部の環境を使うかでも費用の形が変わります。クラウドサービスの導入について効果があったと答えた企業は8割を超えています*3。この割合はクラウド全般に関する調査であり、受発注に限った数値ではありません。調査の対象も設問も異なるため、自社の効果の見込みとして直接使うことはできません。費用の見積もりを誤ると、切り替えの途中で紙と電子の二重運用が長引き、削減した分が相殺されます。

売上と取引継続に対する効果
売上への効果は、受注の入り口が増えることと、提案の材料が増えることの2つから生まれます。受付時間や担当者の在席に縛られない注文の入り口ができると、これまで取りこぼしていた注文を拾えます。取引先ごとの価格と在庫を画面で示せれば、条件の確認に要していた時間が短くなります。蓄積された受発注データは、補充の案内や取扱品目の見直しにも使えるでしょう。ただし売上は取引先の事情にも左右されるため、工数やミスより効果の確認に時間がかかります。
注文機会の広がりは、時間と距離の制約が外れることで生じます。営業時間外や休日に注文したい取引先は、翌営業日を待たずに発注できます。ファクスが届かない、担当者が不在で確認が取れないといった理由による注文の見送りも減ります。企業間取引そのものが電子化に向かっており、2024年の取引を集計した調査ではEC化率が43.0%に達していました*1。
取引先ごとの価格と在庫の提示は、企業間の受発注に固有の要件です。同じ商品でも取引先によって単価や納期の条件が違うため、画面の見え方を取引先ごとに切り替える設計が要ります。この設計ができていれば、見積もりの往復を経ずに注文まで進めます。逆に一律の価格しか出せない場合、条件交渉のある取引先はオンラインを使わず電話に戻ります。
受発注データの蓄積は、提案の材料になります。品目ごとの発注間隔が分かれば、在庫が切れそうな時期に合わせて案内を出せます。過去に取り扱いのない品目を提示し、取扱品目を広げる働きかけもできるでしょう。紙の注文書では集計に手間がかかり、こうした分析は後回しになりがちでした。データが同じ形式で残ることが、分析の前提になります。
取引の継続という観点でも効果があります。発注側の担当者が使い慣れた画面は、切り替えの手間が乗り換えの妨げになります。納期回答や出荷状況を自分で確認できる状態は、問い合わせの手間を減らすものです。ただし使いにくい画面は電話へ戻る動機になるため、入力の手数を減らす設計が前提になります。
売上への効果を見るときは、期間の取り方に注意が要ります。月ごとの受注金額は取引先の需要期に左右されるため、前年の同じ月と比べる形が扱いやすくなります。オンライン経由の受注金額の割合と、取引先1社あたりの注文回数という2つを並べて見てください。入り口が増えた効果と、単価や数量の変動を切り分けられます。
売上への効果には限界もあります。取引先がオンラインへ移らなければ、入り口を増やしても注文は増えません。移行が進まない理由は、担当者の慣れ、社内の承認手順、既存の発注システムとの重複など複数あります。外部の支援を受ける場合との違いは、移行しない取引先への働きかけを設計に含められるかどうかに現れます。
効果の測り方と見直しの観点
効果の測り方は、導入前に現状値を取っておくかどうかで決まります。導入後に「楽になった」という感想が集まっても、稟議に耐える説明にはなりません。測る対象は工数・ミス・コスト・売上の4領域で、それぞれに件数か時間の指標を置きます。現状値の取得、指標の設定、差異の確認という3つの段階で進めると、後から比較できる形が残ります。効果が想定に届かない場合も、どの段階でずれたのかを切り分けられるでしょう。
現状値の取得は、導入を決めた時点で始めます。まず受注件数の記録として、経路別・時間帯別の件数を1か月分そろえてください。次に処理時間の記録として、1件あたりの受信から登録までの時間を担当者ごとに測ります。この2つがないと、導入後の数値を比べる相手がなくなります。
指標の設定では、領域ごとに1つずつ置くと運用が続きます。工数の指標は受注1件あたりの処理時間、ミスの指標は受注件数に対する訂正と差し戻しの件数の割合、コストの指標は月あたりの通信費と用紙代の合計です。売上側は、オンライン経由の受注金額が占める割合を見ます。指標を増やしすぎると集計そのものが負担になり、測定が続きません。
差異の確認は、想定と実績がずれたときの原因の切り分けです。利用率の確認では、対象とした取引先のうち実際にオンラインで発注した先の割合を見ます。例外処理の確認では、オンラインで受けた後に電話やメールで修正が入った件数を数えます。前者が低ければ移行の働きかけに、後者が多ければ画面や項目の設計に原因があります。
外部の数値を自社の見込みに使うときは、対象と方法を確かめてください。企業間取引の市場規模やEC化率1と、クラウド利用の効果に関する割合3は、調査の対象も設問も異なります。母集団と設問が違う数値を並べて比較することはできません。他社の導入事例に載っている削減率も、対象範囲と前提が自社と同じとは限らないものです。自社の現状値を取ることが、結局は近道になります。
見直しの周期は、導入の直後と定着後で変えます。開始からしばらくは、例外処理の件数を週ごとに数えて画面や項目の修正につなげてください。数値が落ち着いた後は、月ごとの集計に切り替えて費用と売上側の指標を見ます。周期を決めずに集計を担当者の判断に委ねると、比較できる形の記録が途切れます。
効果が想定に届かないときは、3つの点を順に確かめます。対象取引先の利用率、基幹システムとの連携範囲、そして例外処理の量です。利用率が低いまま並行運用が続いていれば、費用は二重にかかり削減額は出ません。連携範囲が狭ければ、受け取ったデータを人が転記する作業が残ります。

効果を引き出すための導入ステップ
効果を引き出す進め方は、対象取引先の絞り込み、業務範囲の確定、基幹システムとの連携設計、利用の拡大という4つの段階に分けられます。すべての取引先を同時に切り替えると、例外処理が一度に噴き出して手戻りが増えます。取引件数の多い先から始め、扱う商品と例外の範囲を決めてから連携を設計する順序が現実的でしょう。段階を飛ばすと、注文の受け口が増えるだけで工数は減りません。
対象取引先の絞り込みでは、件数と定型性の2つを見ます。取引件数が多く、注文の内容が定型的な先ほど、切り替えの効果が早く出ます。逆に、都度の見積もりや相談を伴う取引は、電話やメールを残したほうがよい場合もあります。最初の対象を数社に絞り、そこで例外の出方を確かめてから広げてください。
業務範囲の確定では、扱う商品と処理の範囲を決めます。全商品を一度に載せるのではなく、定番品から始めると価格と在庫の整備が追いつきます。受注の後工程である出荷指示や請求までを含めるかどうかも、この段階で決めます。範囲を広げるほど連携の設計は重くなり、開始までの期間も延びるでしょう。
基幹システムとの連携設計は、効果の大きさを左右する部分です。商品コード、取引先コード、単位、価格の適用条件という4つの対応づけを先に固めます。ここが曖昧なままだと、受け取った注文データを人が読み替える作業が残り、工数は動きません。在庫をどの時点で引き当てるかも決めておきます。設計を誤ると、二重の計上や、欠品を知らないまま受注する事態につながります。
利用の拡大は、取引先への働きかけが要になります。案内文だけでは動かないため、説明の場と手順書、そして問い合わせ先を用意してください。発注側にとっての利点、つまり在庫と納期を自分で確認できる点を先に伝えます。従来の方法をいつまで併用するかを示さなければ、切り替えは進みません。
進め方には、社内で3つの力が要ります。受注業務の例外を洗い出す業務知識、基幹システムの項目を扱う技術、取引先へ利用を広げる営業の働きかけです。この3つを兼ねる担当者を社内だけでそろえられない場合、設計の抜けが後工程で表面化します。外部の支援を受ける場合との違いは、他社の移行で起きた例外の型を先に持ち込めるかどうかにあります。失敗した場合の費用は、二重運用の長期化と、切り替え後の再設計という2つの形で現れます。
よくある質問
オンライン受発注の効果は、どのくらいの期間で確認できますか
領域によって時期が異なります。受注処理の工数と受注ミスは、対象とした取引先が使い始めた時点から動き始めます。通信費や用紙代は、紙とファクスの並行運用が終わるまで下がりません。注文機会や売上への影響は、利用する取引先が増えてから見えてきます。導入前に受注件数と処理時間を記録しておくと、どの領域がいつ動いたかを追えます。
取引先がオンラインでの発注に応じてくれない場合は、どうすればよいですか
移行しない理由を先に分けて把握してください。担当者の慣れ、社内の承認手順、既存の発注システムとの重複では、必要な働きかけが違います。まず取引件数が多く注文内容が定型的な先から始め、在庫と納期を自分で確認できる利点を伝えます。従来の方法をいつまで併用するかを示さないと、切り替えは進みません。
既存のEDIがある場合でも、Web画面型の受発注を用意する意味はありますか
取引先の層によって使い分けられます。EDIは取引量の多い相手との定常的なやり取りに向き、流通業界では流通BMSという標準の接続方式があり、導入企業数の推計が半年ごとに公表されています*5。一方でWeb画面型は、小口の取引先や新規の相手にも広げやすい方式です。両者は排他ではなく、取引先の規模に応じた併用が現実的でしょう。
効果を稟議で説明するには、どの数値をそろえればよいですか
現状値と指標を対にしてそろえます。経路別の受注件数、受注1件あたりの処理時間、訂正と差し戻しの件数の割合、月あたりの通信費と用紙代の4つが土台になります。外部の調査値は対象や設問が異なるため、自社の見込みとして直接使うことはできません。企業間取引のEC化率が43.0%である*1といった数値は、前提の説明に用いてください。
受発注システムを導入すれば、電子帳簿保存法への対応は完了しますか
システムの導入だけで完了すると考えないでください。電子取引の取引情報は電子データのまま保存することとされ、真実性の確保と可視性の確保という2つの区分の要件が示されています*4。取引年月日その他の日付、取引金額、取引先の3項目で検索できる設計かどうかも確認が要ります。要件を満たすかどうかの判断は、所轄の税務署や税理士に確かめてください。
- *1 出典:経済産業省 商務情報政策局 情報経済課「令和6年度 電子商取引に関する市場調査」(2025) 経路
- *2 出典:総務省 情報流通行政局「令和7年通信利用動向調査の結果」(2026) 経路
- *3 出典:総務省「令和7年版 情報通信白書 クラウドサービス」(2025) 経路
- *4 出典:国税庁「電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】」(2025) 経路
- *5 出典:流通システム標準普及推進協議会「第28回 卸・メーカーの流通BMS導入企業数推計」(2025) 経路
- *6 出典:日本商工会議所・東京商工会議所「人手不足の状況および多様な人材の活躍等に関する調査」(2024) 経路
画像の出典元
- Hand holding various colorful shopping bags on a striking re/Photo by Max Fischer on Pexels
- A miniature shopping cart placed on a laptop keyboard symbolizing online shopping and e-commerce./Photo by SiljeAO – on Pexels
- Cheerful female friends in elegant clothes loading shopping bags in trunk of car on parking of shopping mall/Photo by Gustavo Fring on Pexels