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発注アプリで閉店後の発注時間は短くなる?効く工程と自店で測る方法

◆監修・編集責任者 小園 将隆 

B2B EC-COLUMN

この記事のポイント

  • 発注アプリが短くするのは主に発注書の作成・送信と再発注で、在庫を数える作業は残る
  • 公開されている短縮の数字は提供元の発表や導入店の発言で、「1時間→10分」は売上予測から発注量を出す自動発注の報告
  • 仕入れ先が未対応でもFAX・メールで送れる製品はあるが、FAXの無料枠には上限があり、月の回数を見積もってから選ぶ
  • 閉店後の発注を4工程に分けて記録し、無料枠で同じ記録を取って同じ曜日どうしで比べる
  • 在庫確認が大半なら、発注表の並びや数える品目、数える時間帯の見直しを先に行う

Chef skillfully prepares rotisserie meat in a modern restaurant kitchen.
▽ 写真の出典元

閉店後の発注は、発注アプリでどの工程が短くなるのか

締め作業を終えてから在庫を数え、仕入れ先ごとに電話やFAXで注文していると、帰宅はどうしても遅くなります。
発注アプリで短くなるのは、主に発注書を作って送る工程と、前回と同じ内容を出し直す工程です。
在庫を数える作業は、アプリを入れても残ります。
短縮幅として公開されている数字は提供元の発表や導入店の発言なので、そのまま自店に当てはめることはできません。
まず閉店後の発注を工程ごとに測り、送る作業がどれだけを占めるかを確かめます。
そのうえで無料枠を使って同じ記録を取り、比べて判断するのが確実です。

効く工程:発注書の作成と送信

閉店後の発注はひとまとまりの作業に見えます。
しかし、手を動かしている中身を分けると四つになります。
冷蔵庫や棚の残りを数える「在庫確認」、翌日の予約や仕込みを考えて何をいくつ頼むか決める「内容の整理」、仕入れ先ごとに注文を伝える「送信」、届いたか、欠品はないかを確かめる「確認連絡」です。
発注アプリが手を入れるのは、このうち後ろの工程です。

飲食店向けの発注アプリPlaceOrdersの製品ページでは、二つの機能が示されています。
過去の発注履歴から同じ内容で再発注できることと、FAXやメールで送った発注書の送信結果をメールやプッシュ通知で確認できることです1。
電話での発注なら、相手が出るまで待ち、品名と数量を読み上げ、聞き返しに答える時間がかかります。
手書きのFAXなら、発注書を書いて送信し、送れたかどうかを気にしながら次の仕入れ先へ移ります。
アプリでは、画面で数量を入れて送るところまでが一続きになります。
送れたかどうかは、後から通知で分かります。

再発注の機能がどれだけ効くかは、毎回頼む品目がどれだけ決まっているかで変わります。
同じ仕入れ先に同じ品目を数量だけ変えて頼むことが多い店なら、前回の注文を呼び出して数字を直す作業に置き換わります。
日によって頼む品目が大きく入れ替わる店では、品目を選び直す手間が残ります。
なお、別の発注アプリOrder Timeの掲載ページで確認できるのは、注文履歴が残り、検品にも使える点までです3。
同じ内容を呼び出して出し直す使い方ができるかは、ページからは読み取れません。

効かない工程:在庫を数える作業

一方で、残りを数える作業はアプリを入れても変わりません。
アプリが冷蔵庫の中を見てくれるわけではないので、数えるのはこれまでどおり人の目と手です。
手書きの在庫表を見ながらスマホに数量を打ち込むなら、表からアプリへの書き写しも残ります。

内容の整理は、半分だけ軽くなる可能性があります。
前回いくつ頼んだかを履歴で見ながら決められるので、記憶をたどったりFAXの控えを探したりする時間は減ります。
ただ、判断そのものは店の側に残ります。
明日の予約が多いから多めに頼む、天候で入荷が不安定だから別の仕入れ先にも声をかける、といった判断です。
閉店後の発注時間の大半が在庫確認に使われている店では、送信が速くなっても帰る時刻はあまり動かないことになります。

居酒屋の事例に見る「締め作業との並行」

PlaceOrdersの導入事例に、恵比寿の居酒屋「産直かきと炉端焼 恵比寿 牡蠣ツ端」が紹介されています。
牡蠣を中心に扱い、漁業協同組合などの産地から直接仕入れている店です2。
10数種類以上の牡蠣をそろえるため10以上の取引先とやり取りしており、導入前はFAXと電話で発注していました2。
残数を確認しながら発注するので、営業終了後の締め作業と発注が同時並行になっていたと述べています2。

導入後については、発注にかかる時間が短くなり、スマホで場所を選ばずに発注できるようになったと話しています2。
ここから読み取れるのは、在庫を数える作業がなくなったことではありません。
残数を見ているその場で注文を打てるようになり、電話やFAXの前へ移って一社ずつ伝える工程が軽くなった、という変化です。
締め作業との並行そのものは続いていても、送るために場所と時間を取られる部分が外れたと考えられます。

この事例は1店舗の発言で、所要時間の数字はありません。
他の店でも同じだけ短くなるとは言えません。
それでも、一つの見立ては立てられます。
取引先が多く、相手ごとに電話とFAXを使い分けている店ほど、送信の工程の合計が大きくなり、アプリの効きが出やすいということです。
反対に、仕入れ先が2〜3社で、電話一本で数分のうちに済んでいる店では、アプリに置き換えて減る時間は小さくなりそうです。

閉店後の発注の4工程を、アプリで軽くなる度合いごとに分けた模式図
送信と再発注は軽くなり、内容の整理と確認連絡は一部だけ軽くなり、在庫確認と発注の判断は店に残ることを三つに分けた図送信と再発注は軽くなり、内容の整理と確認連絡は一部だけ軽くなり、在庫確認と発注の判断は店に残ることを三つに分けた図軽くなる工程送信(発注書の作成と送信が画面上で一続きになる)前回と同じ内容の再発注一部だけ軽くなる工程内容の整理(履歴で前回の数量を見ながら決められる)確認連絡(送信結果は通知で分かる。返事は相手次第)人の作業として残る工程在庫確認(残りを数えるのは人の目と手)何をいくつ頼むかの判断は店に残る

▼ 図の内容を文字で読む
  • 軽くなる工程
    • 送信(発注書の作成と送信が画面上で一続きになる)
    • 前回と同じ内容の再発注
  • 一部だけ軽くなる工程
    • 内容の整理(履歴で前回の数量を見ながら決められる)
    • 確認連絡(送信結果は通知で分かる。返事は相手次第)
  • 人の作業として残る工程
    • 在庫確認(残りを数えるのは人の目と手)
    • 何をいくつ頼むかの判断は店に残る

発注アプリによる短縮幅の公開数値はどこまで信頼できるのか

「1時間が10分」は自動発注の報告

発注のIT化の効果として、「1日1時間かかっていた発注が10分になった」という数字を目にすることがあります。
その一つが、Goalsが提供する自動発注の紹介記事です。
清修庵の14店舗が導入対象とされ、先行利用店舗では1日につき1時間程度かかっていた発注業務が10分に短縮されたと報告されています4。

ただし、この仕組みは手入力で注文を送るアプリとは違います。
売上予測から発注量を算出するもので、何をいくつ頼むかを決める「内容の整理」の工程を仕組みの側が担います4。
手入力型のアプリでは、数量を決めるのは店の人で、軽くなるのは主に送る作業です。
短くなる工程が違う以上、同じ短縮幅を期待する根拠にはなりません。

報告には測定方法の記載がなく、第三者が検証した数字でもありません4。
もとの1時間に何が含まれていたのかも分かりません。
在庫確認を含む時間なのか、送信や確認連絡までの時間なのかが不明なので、どの工程が何分減ったのかは読み取れません。

数字を自店の見込みに使うときの読み方

先の居酒屋の事例は時間の数字を示しておらず、自動発注の報告は仕組みが違います。
公開されている短縮の話は、いずれも提供元の発表か導入店の発言です。
第三者が多くの店で測った平均値は確認できていません。
「うちも1時間が10分になる」と見込むのは早すぎます。

使い道があるとすれば、条件がそろったときに起こりうる変化の目安としてです。
たとえば閉店後の発注に毎晩40分かかり、そのうち在庫確認が25分だとします。
送信と内容の整理にかかる15分がすべてなくなったとしても、減るのは15分までです。
逆に、在庫確認は10分で、残りの30分を仕入れ先への電話とFAXに使っている店なら、アプリで減らせる余地は大きくなります。
どちらに近いかは、他店の数字ではなく、自店の発注を工程ごとに分けた時間で決まります。

項目 牡蠣ツ端(PlaceOrders導入事例) HANZO 自動発注(先行利用店舗)
仕組み 手入力で発注書を作り送信する 売上予測から発注量を算出する
主に軽くなる工程 送る作業(スマホで場所を選ばず発注) 発注量を決める工程を含む
時間の数字 記載なし 1日1時間程度が10分に
対象 居酒屋1店舗の発言 清修庵14店舗が導入対象の先行利用店舗
測定方法 記載なし 記載なし
公開されている二つの短縮の話と、自店の見込みへの使い方の整理(模式図)
1店舗の発言、先行利用店舗の報告、自店の見込みへの使い方の三つに分け、仕組みと測定の違いを示した図1店舗の発言、先行利用店舗の報告、自店の見込みへの使い方の三つに分け、仕組みと測定の違いを示した図手入力で送る発注アプリの事例居酒屋1店舗の発言主に軽くなるのは送る作業所要時間の数字は記載なし売上予測から決める自動発注の報告先行利用店舗の報告(1日1時間程度が10分に)何をいくつ頼むかを決める工程を仕組みが担う測定方法の記載なし・第三者の検証なし自店の見込みへの使い方仕組みと対象を見てから目安にする自店の発注を工程ごとに分けた時間で決める

▼ 図の内容を文字で読む
  • 手入力で送る発注アプリの事例
    • 居酒屋1店舗の発言
    • 主に軽くなるのは送る作業
    • 所要時間の数字は記載なし
  • 売上予測から決める自動発注の報告
    • 先行利用店舗の報告(1日1時間程度が10分に)
    • 何をいくつ頼むかを決める工程を仕組みが担う
    • 測定方法の記載なし・第三者の検証なし
  • 自店の見込みへの使い方
    • 仕組みと対象を見てから目安にする
    • 自店の発注を工程ごとに分けた時間で決める

仕入れ先が発注アプリ未対応だと、閉店後の作業はどう変わるのか

未対応先へFAX・メールで送れる製品

仕入れ先がアプリを使っていなければ、結局は電話やFAXに戻るのでは、という心配もあるはずです。
Order Timeは、アプリに対応していない食品卸・メーカーにも、メールアドレスかFAX番号があればアプリから直接注文できるとしています3。
対応している食品卸・メーカーは全国約1,000社以上とされています3。
自店の取引先がその中に含まれていなくても、送る手段は残ります。

PlaceOrdersも、発注書をFAXやメールで送り、その送信結果を通知で確認できる仕組みです1。
製品ページには「飲食店側の登録のみで利用できる」という見出しがあります1。
どちらも、受け取る仕入れ先に新しい作業を求めずに、店の側の送る手間をまとめる考え方です。

送り手である店の作業は、次のように変わります。
これまでは、A社には電話、B社には手書きのFAX、C社にはメッセージアプリ、というように相手ごとに手段と時間を使い分けていたはずです。
アプリを使うと注文を入れる場所が一つになり、仕入れ先ごとに登録した宛先へ発注書が届きます。
受け手の仕入れ先は、これまでどおりFAXやメールで注文を受け取ります。

一方で、受け取ったあとの仕入れ先の動きは変わりません。
欠品や数量の変更を電話で返してくる仕入れ先なら、その連絡は今までどおり電話で来ます。
当日の入荷状況を口頭で相談しながら量を決めるような取引も、注文書を送るだけでは済まないことがあります。
仕入れ先からの返事がどの経路で戻ってくるかは、製品の掲載情報からは分かりません。
確認連絡の工程が残るかどうかは、取引先ごとに違います。

FAX回数の上限と仕入れ先数の関係

未対応の仕入れ先へアプリ経由でFAXを送る場合は、回数の上限が見落としやすいところです。
Order TimeのFAX発注は累計20回まで無料とされています3。
月ごとに回数が戻る枠ではなく、使い始めてからの合計です。
PlaceOrdersは月あたりの回数で枠が決まり、無料プランは月30回、ライトプランは月150回、プレミアムプランは無制限です(いずれも1店舗)1。

自店でどれくらい送るかは、次の式で見積もれます。
月あたりのFAX回数 = FAXで送る仕入れ先の数 × 週の発注日数 × 4
枠はFAXの送信回数で決まっているので、FAXで受ける仕入れ先だけを数えます。

たとえば、FAXで受ける仕入れ先が3社あり、週6日発注しているとします。
3×6×4で月72回になり、PlaceOrdersの無料プランの30回を超え、ライトプランの150回には収まります。
同じ条件でOrder Timeの無料分を使うと、1週間で18回送るので、20回の枠は2週目の早いうちに尽きます。
21回目以降の料金は掲載ページに書かれていません。
続けて使う前に、提供元へ確かめることになります。

二つの製品は、枠の単位が「累計」と「月あたり」で違います。
無料の回数を並べて、どちらが得かを比べることはできません。
自店の月あたりの回数に置き換えてから、それぞれの条件に当てはめるのが比べ方です。

送り方 店側の作業 送ったあとに残ること
電話 相手が出るまで待ち、品名と数量を読み上げる 聞き違いがないかの確認
手書きのFAX 発注書を書いて一社ずつ送信する 届いたかどうかの確認
アプリ経由のFAX・メール 画面で数量を入れて送信する 送信結果は通知で確認。欠品などの返事は仕入れ先の運用次第
月あたりのFAX回数を見積もる手順
FAXで受ける仕入れ先の数に週の発注日数と4をかけて、月あたりのFAX回数を出す四つの手順1FAXで受ける仕入れ先の数を数える2週の発注日数をかける34をかけて月あたりにする4月あたりのFAX回数を各製品の枠に当てはめる

▼ 図の内容を文字で読む
  1. FAXで受ける仕入れ先の数を数える
  2. 週の発注日数をかける
  3. 4をかけて月あたりにする
  4. 月あたりのFAX回数を各製品の枠に当てはめる

費用と導入の手間:時間以外に増える負担

月額はFAXの回数で決まる

時間が短くなっても、そのために払う費用が見合うかは別の問題です。
PlaceOrdersの掲載価格は、無料プランが0円、ライトプランが月980円、プレミアムプランが月3,900円で、いずれも税抜・1店舗あたりです1。
プランの違いはFAXを送れる回数なので、先ほどの式で出した月あたりの回数が、そのままプラン選びの目安になります。

先ほどの月72回の例ならライトプランの範囲で、月980円(税抜)です。
これを時間と比べてみます。
仮に毎晩の発注が10分短くなり、月に26日営業する店なら、月に約4時間20分の差になります。
その時間を店主自身の帰宅に充てるのか、スタッフの残業として見るのかで、980円の重みは変わります。
10分という数字は計算のための仮置きなので、実際の短縮幅は自店で測った結果に置き換えて考えます。

この料金はPlaceOrdersという一つの製品の、1店舗の掲載価格です。
発注アプリ全体の相場ではありません。
Order TimeはFAXの無料分を超えたあとの料金が掲載ページで分からないため、同じ条件で金額を並べることはできません。

最初に入力する情報と、慣れるまでの手間

費用のほかに増えるのは、使い始めの入力です。
PlaceOrdersの導入手順は、アプリを取得し、発注先を登録し、発注するという3段階で示されています1。
発注先の登録では仕入れ先ごとの宛先を入れることになるので、10社と取引していれば10件の登録が要ります。

もう一つは品目の入力です。
履歴からの再発注は、前に一度送った注文があって初めて使えます。
最初の一巡は品目と数量を一つずつ入れていくため、使い始めの数日はむしろ時間がかかる可能性があります。
導入して最初の週の手ごたえだけで、短くなったかどうかを決めないほうがよいのはこのためです。

仕入れ先の側でも、届く発注書の書式が変わります。
最初にアプリから送る前に、注文の届き方が変わることを一言伝えておくと、行き違いを減らせます。
見慣れない書式に戸惑った相手から、確認の電話がかかってくるような場面です。
発注をスタッフに任せている店なら、そのスタッフが操作を覚える時間も、導入の手間に含めて見ておくと実態に近くなります。

プラン 月額(税抜・1店舗) FAX送信回数
無料プラン 0円 月30回
ライトプラン 980円 月150回
プレミアムプラン 3,900円 無制限
発注アプリの導入で時間のほかに増える負担を三つに分けた模式図
月額の費用、使い始めの入力、仕入れ先とスタッフへの対応の三つに負担を分けた図月額の費用、使い始めの入力、仕入れ先とスタッフへの対応の三つに負担を分けた図月額の費用プランの違いはFAXを送れる回数月あたりの回数がプラン選びの目安になる使い始めの入力仕入れ先ごとの宛先の登録最初の一巡は品目と数量を一つずつ入力使い始めの数日は長くなる可能性仕入れ先とスタッフへの対応発注書の書式が変わることを仕入れ先に伝えるスタッフが操作を覚える時間を見ておく

▼ 図の内容を文字で読む
  • 月額の費用
    • プランの違いはFAXを送れる回数
    • 月あたりの回数がプラン選びの目安になる
  • 使い始めの入力
    • 仕入れ先ごとの宛先の登録
    • 最初の一巡は品目と数量を一つずつ入力
    • 使い始めの数日は長くなる可能性
  • 仕入れ先とスタッフへの対応
    • 発注書の書式が変わることを仕入れ先に伝える
    • スタッフが操作を覚える時間を見ておく

導入前に自店の発注時間を測り、試して判断する

4工程で記録する

アプリを入れるかどうかを決める前に、今の発注に何分かかり、そのうちどこが長いのかを数日分記録してみると、判断の材料が手元にそろいます。
ここからは編集部としての提案で、決まった調査手法があるわけではありません。
ただ、アプリが軽くするのは送る工程で、数える工程は残ります。
工程を分けて測らないと、自店で効くかどうかが見えません。

記録の仕方は単純です。
閉店後に在庫確認を始めた時刻、何をいくつ頼むか決め終えた時刻、仕入れ先ごとに送り終えた時刻、確認の連絡まで済んだ時刻を、メモ帳やスマホに残します。
仕入れ先ごとに送り終えた時刻を分けておくと、電話の相手、FAXの相手でそれぞれ何分かかっているかが分かります。
どの取引先をアプリに移すと効くかまで見えてきます。

締め作業と並行して発注している店では、工程がきれいに分かれないこともあります。
その場合は厳密に分けようとせず、「主に数えていた時間」「主に送っていた時間」とおおまかに区切れば十分です。
週末前は量が多いなど、曜日で差が出やすいところです。
少なくとも平日と週末前の両方を含めて記録すると、ふだんの姿に近くなります。

記録がそろったら、送信と内容の整理の時間を足し、全体の何割かを見ます。
この二つが大きく、取引先の数も多いなら、アプリで減る余地があります。
在庫確認が大半を占めているなら、先に数え方を見直したほうが帰宅の時刻は動きやすくなります。

無料枠で同じ記録を取る

記録をもとにアプリを試すなら、無料で使える範囲で同じ記録を取り、導入前と比べます。
PlaceOrdersなら月30回までFAXを送れる無料プランがあり1、Order Timeなら累計20回までFAX発注が無料です3。
自店の回数が無料の枠に収まらないと分かっている場合は、FAXで送る仕入れ先を1〜2社に絞って試すと、枠の中で比べられます。

比べるときは、同じ曜日どうしで並べます。
月曜の導入前と金曜の導入後を比べても、量の違いで差が出てしまうからです。
使い始めの数日は品目の入力がある分だけ長くなりやすいので、その期間は分けておき、二巡目以降の注文で比べます。

見るのは発注全体の時間だけではありません。
送信の工程が短くなったか、確認連絡の電話が減ったか、仕入れ先から戻ってくる連絡の手段が変わったか、FAXの送信回数が見込みどおりだったか。
これらも合わせて見ると、続けるかどうか、どのプランが合うかまで決めやすくなります。
送信は短くなったのに確認の電話が残り、全体があまり変わらなかった場合もあります。
そのときは、アプリより仕入れ先との連絡の取り方のほうに課題がある、という読み方ができます。

導入前の測定から判断までの進め方
測る、試す、比べる、決めるの4段階を順に並べた図1測る4工程の時刻を平日と週末前で記録する2試す無料枠で同じ記録を取る3比べる同じ曜日どうし、使い始めの入力期間は分ける4決める続けるかどうかとプランを判断する

▼ 図の内容を文字で読む
  1. 測る(4工程の時刻を平日と週末前で記録する)
  2. 試す(無料枠で同じ記録を取る)
  3. 比べる(同じ曜日どうし、使い始めの入力期間は分ける)
  4. 決める(続けるかどうかとプランを判断する)

発注アプリを使わない改善と比べるとどうか

在庫確認が長い店で先に見直すこと

工程別に測ってみて在庫確認が長いと分かった場合、アプリより先に手を付けられることがあります。
先の居酒屋の事例でも、問題の中心は、残数を確かめながら発注するために締め作業と重なってしまうことでした2。
数える工程が長いままなら、送る工程を速くしても重なりは解けません。

ここからは編集部の提案で、効果を数字で示す資料は確認できていません。
一つは、発注表の並びを冷蔵庫や棚の並びに合わせることです。
表の順番と物の置き場所がずれていると、表を見ては冷蔵庫を開け直す往復が生まれます。
もう一つは、毎回数える品目を絞ることです。
毎日動く生鮮品と、数日に一度しか減らない乾物や資材を分けた定番品リストを作れば、閉店後に数えるのは前者だけで済みます。

数える時間帯を変える手もあります。
営業中に減らない資材や調味料は、仕込みのあとや営業前の落ち着いた時間に数えておきます。
そうすれば、閉店後に残るのは営業中に動いた品目だけになります。
ただし、仕入れ先の注文締め時刻や、翌朝の納品に間に合う時刻は取引先によって違います。
時間帯を動かせる範囲は、仕入れ先との取り決めの中で決まります。

送信と整理が長い店はアプリと組み合わせる

送信と整理が長かった店では、アプリで減る余地があります。
そのうえで、発注表や定番品リストの整理はアプリと対立するものではありません。
組み合わせると、効き方が変わります。
定番品が決まっていれば、履歴から呼び出した前回の注文を直すだけで済む日が増えるからです。

反対に、仕入れ先が少なく、送る時間もすでに短い店では、アプリに切り替えても減る時間は限られます。
その場合は月額の費用や初めの入力の手間のほうが重くなりやすいので、数え方と時間帯の見直しから始めるのが順当です。
どちらの店に近いかは、数日分の記録を見れば判断できます。

記録で長かった工程 先に試すこと アプリで変わる見込み
在庫確認 発注表の並びを置き場所に合わせる・数える品目を絞る・数える時間帯を見直す 小さい(数える作業は残る)
内容の整理 定番品リストを決める 前回の数量を履歴で見ながら決められる
送信 仕入れ先ごとの送り方を書き出す 出やすい(発注書の作成と送信が一続きになる)
確認連絡 仕入れ先と返事の方法を取り決める 送信結果は通知で分かる。返事の経路は相手次第
記録で長かった工程ごとの、先に試すことの整理(模式図)
在庫確認が長い店、送信と整理が長い店、仕入れ先が少なく送る時間が短い店の三つに分け、先に試すことを示した図在庫確認が長い店、送信と整理が長い店、仕入れ先が少なく送る時間が短い店の三つに分け、先に試すことを示した図在庫確認が長い店発注表の並びを冷蔵庫や棚の並びに合わせる毎回数える品目を絞る数える時間帯を見直す送信と整理が長い店定番品リストを決めるアプリと組み合わせて履歴から前回の注文を直す仕入れ先が少なく送る時間も短い店数え方と時間帯の見直しから始める月額の費用と初めの入力の手間が重くなりやすい

▼ 図の内容を文字で読む
  • 在庫確認が長い店
    • 発注表の並びを冷蔵庫や棚の並びに合わせる
    • 毎回数える品目を絞る
    • 数える時間帯を見直す
  • 送信と整理が長い店
    • 定番品リストを決める
    • アプリと組み合わせて履歴から前回の注文を直す
  • 仕入れ先が少なく送る時間も短い店
    • 数え方と時間帯の見直しから始める
    • 月額の費用と初めの入力の手間が重くなりやすい

工程別の記録を取っても、どの仕入れ先からアプリに移すか、FAXの回数とプランが合うかは、取引先の数や連絡手段が絡むため一人では決めにくいところです。

記録した時間と仕入れ先ごとの連絡手段をもとに、アプリで減らせそうな工程と、手順の見直しを先にしたほうがよい工程を一緒に整理できます。無料相談で要件を整理する

要点の整理

軸 基準
効く工程 発注書の作成・送信と、前回と同じ内容の再発注
効かない工程 在庫を数える作業。何をいくつ頼むかの判断も店に残る
公開数値の扱い 提供元の発表や導入店の発言。仕組みと対象を見てから目安にする
未対応の仕入れ先 FAX・メールで送れる製品がある。返事の経路は相手次第
FAXの回数 FAXで送る仕入れ先数×週の発注日数×4で月の回数を見積もる
判断の材料 4工程の記録を、導入前と無料枠の利用中で同じ曜日どうし比べる

試用の結果、送信は短くなったのに全体の時間が変わらなかったときは、原因が数え方にあるのか、仕入れ先とのやり取りにあるのかを切り分ける必要があります。 導入前と試用中の記録を並べて、次に見直す工程と、続けるかどうかの判断材料を確かめられます。

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よくある質問

仕入れ先がアプリを使っていなくても発注できますか

使える製品があります。
Order Timeは、未対応の食品卸・メーカーにも、メールアドレスかFAX番号があればアプリから注文できるとしています3。
PlaceOrdersも発注書をFAXやメールで送る仕組みで、「飲食店側の登録のみで利用できる」と掲げています1。
ただし、欠品の連絡などの返事がどの手段で戻るかは、仕入れ先の運用によります。

FAXの無料枠を超えたらいくらかかりますか

PlaceOrdersは月の送信回数でプランが分かれています。
月150回までのライトプランが月980円、無制限のプレミアムプランが月3,900円です(税抜・1店舗)1。
Order Timeは累計20回まで無料とされていますが3、21回目以降の料金は掲載ページに書かれていないため、提供元への確認が必要です。

在庫確認が長い場合、アプリで時間は減りますか

数える作業そのものは、アプリを入れても残ります。
減るのは主に送る工程なので、在庫確認が発注時間の大半を占める店では短縮は小さくなります。
発注表の並びや数える品目の絞り込み、数える時間帯の見直しを先に試すほうが効きやすいと考えます。
なお、売上予測から発注量を出す自動発注は手入力型のアプリとは仕組みが違い、報告されている短縮幅をそのまま当てはめることはできません4。

複数店舗で使うときの料金はどう変わりますか

PlaceOrdersの掲載価格は1店舗あたりの金額です1。
複数店舗をまとめて使うときの条件は掲載からは読み取れないため、店舗数を伝えて提供元に見積もりを取ることになります。
その際、店ごとにFAXで送る仕入れ先の数と月の送信回数を見積もっておくと、プランの話が具体的になります。

発注を忘れたときにスマホで対応できますか

牡蠣ツ端は、導入後にスマホで場所を選ばずに発注できるようになったと述べています2。
PlaceOrdersでは、FAXやメールで送った発注書の送信結果を通知で確認できます1。
ただし、間に合うかどうかは仕入れ先の注文締め時刻で決まります。
アプリで送れても、翌日の納品に間に合うとは限りません。

◆監修・編集責任者

小園 将隆

株式会社フライトソリューションズ ECサービス部 マネージャー

BtoB通販のパッケージシステム「EC-Rider B2B Ⅱ」の導入支援をはじめ、製造業、卸売業をはじめとした法人向け通販サイト構築を多数手掛ける。卸売領域の専門知識をもとに、日本の商習慣に固有の課題をパッケージシステムの機能追加によって解決。BtoB流通の販路拡大を支援する。

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  1. 1 出典:株式会社飲食店ドットコム「PlaceOrders(製品ページ)」(2026年)
  2. 2 出典:株式会社飲食店ドットコム「PlaceOrders導入事例 産直かきと炉端焼 恵比寿 牡蠣ツ端」(2026年)
  3. 3 出典:株式会社インフォマート「Order Time(App Store掲載ページ)」(2026年)
  4. 4 出典:DX Magazine「HANZO 自動発注 先行利用店舗の報告」(2026年)

画像の出典元

  1. Chef skillfully prepares rotisserie meat in a modern restaurant kitchen./Photo by Ömer Derinyar on Pexels

Photos provided by Pexels

◆この記事について

独自調査以外の一次情報は、省庁・公的機関を中心とした信頼性の高い情報源から引用し、出典を明記しています。
年次更新される統計については、引用元の最新版を確認したうえで掲載しています。

※この記事は上記の監修・編集責任者がAIの協力を得て制作しています。

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