◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- 発注アプリで軽くなるのは伝え直しと打ち直し、控えと納品書の突き合わせの一部で、欠品時の代替相談や納期・価格のやり取りは残る
- 中小企業庁の実証事業では受注側が共通EDI規格対応の仕組みを使った場合に受発注業務時間が平均51.4%削減されたが、発注側や市販アプリ全般の効果を示す数字ではない
- 扱う業務範囲と、会計・決済まで持つかどうかで機能が分かれるため、いま一番時間を取られている工程から必要な範囲を決める
- 費用は初期費用と月額運用費用に分けて比べる。竹田印刷が示す目安は30〜50万円と10〜20万円で、一社の公開目安であり相場ではない
- デジタル化・AI導入補助金2026のインボイス枠(50万円以下の枠)は会計・受発注・決済のうち1機能以上が要件で、導入設定やデータ連携ツールも対象経費に含まれるが、年度や枠で条件が変わるため公募要領の確認が必要
目次

電話・FAX・メールでの発注業務のどこが変わるのか
在庫の棚を見て補充する量を決め、仕入先ごとに電話をかけ、FAXを流し、メールに品番と数量を打ち込む。
送った控えを綴じ、納品書が届いたら注文どおりかを一行ずつ見比べる。
どこかで数量を一桁書き間違えれば、気づくのは荷物が届いた後です。
発注アプリは、この「伝える」と「突き合わせる」の往復を、画面上のデータのやり取りに置き換える仕組みです。
ただし手間がどれだけ減るかは、仕入先がその仕組みに乗れるか、社内の在庫や会計のシステムとつながるかで変わります。
費用は初期費用と月額運用費用が中心で事業者ごとに幅があり、会計・受発注・決済のいずれかの機能を持つソフトなら国の補助金で負担を抑えられる場合もあります。
発注アプリを入れても、何をいくつ仕入れるかを決めるのは人のままです。
変わるのは、決めた内容をどうやって仕入先へ渡し、渡したあとで何を確かめ直すかという部分です。
ここを取り違えると、導入してから「思ったほど楽にならない」という感想になりやすいので、まず手間がどこで生まれているかを分けて見ていきます。
電話での発注は、こちらが口頭で伝え、相手がメモを取り、それぞれの手元に別々の記録が残ります。
数量や納期が食い違ったときに突き合わせられる共通の記録がないため、確認は「言った・言わない」の記憶に頼ることになります。
その場で在庫を聞けるという利点は大きいのですが、記録が残らない分だけ、あとから戻って確かめる作業が増えます。
FAXは紙の発注書が手元に残る点では電話より確かめやすい方法です。
ただし、送った紙を相手が読み取って自社の受注システムへ入力するという工程が相手側に一度発生し、こちらは控えを綴じて保管します。
メールは文字で残るものの書式が自由なので、品番を正式な型番で書く人と現場の通称で書く人が混ざり、受け取った側で読み替えが必要になります。
手段は違っても、同じ注文内容が発注側と受注側で二度、別々に入力されている点は共通しています。
発注アプリを使うと、商品マスタから品目を選んで数量を入れる形になり、品番や単価が決まった形でデータに乗ります。
同じデータがそのまま相手の画面に表示されるので、読み替えと再入力の工程が一つ減ります。
減るのは、伝え直しと打ち直し、そして発注控えと納品書を一行ずつ見比べる作業の一部です。
一方で、欠品したときの代替品の相談や、納期を早めてもらう依頼、価格の交渉といったやり取りは残ります。
これらは画面の上で完結しにくい判断を含むため、電話が完全になくなるわけではありません。
データでつながったときにどのくらい変わるのかを示す公的な報告があります。
EDIとは、注文や納品のデータを企業間で決まった形式でやり取りする仕組みのことです。
中小企業庁が紹介している実証事業(12プロジェクト)では、受注側の企業が中小企業共通EDI規格に対応したプロバイダーや業務アプリを利用した場合に、受発注業務の時間が平均で51.4%削減されたとされています1。
ここで気をつけたいのは、この数字が注文を受ける側の企業が規格対応の仕組みを導入した結果だという点です。
発注する側である自社にそのまま当てはまる割合ではありませんし、市販の発注アプリ全般の効果を保証するものでもありません。
それでも、この結果は効果がどこから生まれるのかを教えてくれます。
時間が減ったのは画面が新しくなったからではなく、同じ注文内容を二度入力しなくて済む状態をつくれたからです。
裏返せば、こちらがアプリで発注しても、相手がその画面を見て自社システムへ手で打ち直しているなら、軽くなるのは自社の送信の手間だけにとどまります。
どこまで効果が及ぶかは、次に見る機能の幅と、相手がどこまで乗れるかで決まります。
発注アプリの種類・機能の違いを整理する
受発注に関わる業務範囲(発注・出荷・受領・返品・請求・支払)
同じ発注アプリという名前でも、扱う業務の幅はかなり違います。
発注の送信だけを担うものから、納品や請求のやり取りまで含むものまであり、どこまでを載せるかで社内に残る手作業の量が変わります。
取引のどこまでが電子化の対象になりうるかを示す例として、流通BMSという業界標準があります。
これは発注、出荷、受領、返品、請求、支払の6業務・8種の標準メッセージを2007年4月に「基本形Ver.1.0」として公開したEDI仕様です3。
対象は消費財流通業界(スーパー、アパレル、生鮮、ドラッグストア等)における製造業者・卸売業者・小売業者の三層間のビジネスプロセス効率化で、卸売業者と小売業者の間の取引が主な対象とされています3。
したがって、他の業種の発注アプリがこの6業務をすべて備えていなければならない、という話ではありません。
この並びが役に立つのは、自社の手間がどの段で止まっているかを確かめるときです。
発注の送信だけを電子化しても、納品時の検品記録が紙のままで、月末に請求書と発注控えを突き合わせているなら、その照合作業はそのまま残ります。
逆に請求や支払まで載せようとすると、経理の締めの手順や承認の流れまで変えることになり、導入の範囲が一段広がります。
どこまでを対象にするかは機能の多さではなく、いま一番時間を取られている工程がどこかで決めるほうが判断しやすくなります。
会計・決済機能との連携有無
もう一つの分かれ目は、受発注の周辺をどこまで一つのソフトで持つかです。
国の補助制度では、対象になるソフトウェアを「会計」「受発注」「決済」という区分で扱い、このうち1機能以上を有することを要件としています(デジタル化・AI導入補助金2026のインボイス枠、補助額50万円以下の枠)2。
これは補助の対象を決めるための線引きであって、機能の優劣や望ましい組み合わせを示すものではありません。
ただ、候補を見比べるときの区切りとしては使いやすく、受発注だけを担うのか、会計や決済まで含むのかで、社内の他のソフトとの関係が変わります。
受発注だけを担うアプリを選ぶ場合は、いま使っている会計ソフトや在庫管理とどうつなぐかが設計の中心になります。
会計まで含むものを選ぶ場合は、既存の会計ソフトを置き換えるのか併存させるのかという別の判断が発生します。
顧問税理士との受け渡しの都合などで置き換えが難しい事情があるなら、連携できる範囲で選んだほうが現実的です。
連携という言葉を見たときは、データが存在することと、そのデータを自動で渡す機能が実装されていることを分けて確かめてください。
発注履歴を画面で見られることと、CSVで書き出せることと、会計ソフトへ自動で渡ることは、それぞれ別の機能です。
書き出しまでしか対応していない場合、ファイルを取り込む作業が誰かの手元に残ります。
その作業が月に何回発生するのかまで想像しておくと、機能表の「連携可」という表記だけに判断を預けずに済みます。
自社の取引先数・業務フローに合った発注アプリの選び方の基準
機能の幅が分かると、次は自社のどこに合わせるかという話になります。
ここで効いてくるのは製品の機能一覧よりも、発注の情報が誰の手を通って、どこで止まっているかという事実のほうです。
まず、取引先の数と偏りを見ます。
仕入の大半が二、三社に集中しているなら、判断のほとんどはその相手が何で受けられるかで決まります。
相手がすでに受注システムを持っていて指定の方法があるなら、こちらが新しい画面を用意するより、その方法に合わせたほうが早く落ち着くこともあります。
反対に、小口の仕入先が数十社に散っている場合、全社が同じ画面に乗ってくれると考えるのは無理があります。
この場合は、発注量の多い数社から始めて、残りは当面これまでの手段を続ける前提で範囲を決めることになります。
次に、発注の起点がどこにあるかです。
在庫を見て補充を決めているのか、店舗や現場から上がってきた要求をまとめているのか、受注が入ってから引き当てて足りない分を発注しているのかで、必要な画面が変わります。
起点が在庫管理や販売管理といった別のシステムにあるのに、そこから数字を目で読んで発注アプリへ打ち直しているなら、手間は形を変えて残ります。
このとき比べるべきなのは発注画面の使い勝手ではなく、起点のシステムから発注のもとになるデータを受け取れるかどうかです。
品目の性質も判断を分けます。
定番品を毎週同じように補充しているなら、前回の注文内容をそのまま呼び出せるかどうかで入力の時間が変わります。
都度見積もりを取ってから発注する品目が多いなら、見積もりのやり取りがアプリの外に残り、結局メールと画面の両方を見ることになりかねません。
自社の発注のうち、繰り返しと都度がどのくらいの比率かを数えておくと、候補の絞り込みが具体的になります。
そして、どの基準よりも先に確かめる必要があるのが、相手が乗れるかどうかです。
取引先側がデータでのやり取りに対応できない場合、想定した効果は得られません。
先に触れた実証の結果も、受注する側が規格に対応した仕組みを使っていることが前提の数字でした1。
機能表を見比べる前に、取引先ごとに現在の発注手段と、データで受けられそうかどうかを並べた一覧をつくるほうが、比較の精度は上がります。
発注アプリの費用相場と内訳(初期費用・月額費用)
初期費用(イニシャルコスト)の目安
発注アプリの費用は、導入時にかかる初期費用と、使い続ける間かかる月額運用費用という二つの区切りで案内されることが多くなっています。
この二つを分けて見ないと、金額の大小だけが目について比較になりません。
竹田印刷が運営するSaaS型受発注システムTS-BASEの解説では、導入時のイニシャルコストの目安として30〜50万円という金額が示されています4。
同社は、記載の金額はサービス事業者によって異なり、オプションの追加や独自のカスタマイズを行う場合は別途コストがかかるとしています4。
つまりこれは一つのサービスが公開している目安であり、市場の相場や他社の価格を代表する数字ではありません。
桁の感覚をつかむための出発点として扱い、自社の金額は見積もりで確かめる必要があります。
初期費用の中身は事業者によって切り分けが違います。
そのため、見積もりを依頼するときは「この初期費用にどこまでの作業が含まれるか」を同じ言い方で各社に尋ね、範囲を揃えてから金額を並べてください。
含まれる範囲が違うまま総額だけを比べると、安く見えたほうが後から追加になることがあります。
自社の発注に必要な条件、たとえば商品の点数や取引先の数、既存システムとの受け渡しの有無を先に伝えておくと、比較できる形の見積もりが返ってきやすくなります。
月額運用費用(ランニングコスト)の目安
同じ解説では、月額の運用費用にあたるランニングコストの目安が10〜20万円とされています4。
これも同社が示す目安であり、事業者によって金額が異なる点は初期費用と同じです4。
月額は使い続ける限り発生し続けます。
導入の判断をする場面では初期費用の差に目が向きやすいのですが、数年単位で見ると月額の差のほうが大きくなることがあります。
また、料金が何の単位で増えるのかは事業者ごとに決め方が違うため、利用する人数や取引先の数、扱う品目の数といった自社の実数を伝えたうえで金額を出してもらうほうが確実です。
導入後に取引先を増やしていく計画があるなら、増えたときにどう変わるかもあわせて聞いておきます。
気になりやすいのが、取引先側にも費用の負担が生じるのかという点です。
中小企業庁の記事では、受注側の企業が中小企業共通EDI標準に対応したプロバイダーや業務アプリを利用する場合、大きな費用はかからないとされています1。
ただしこれは注文を受ける側がその標準に対応した仕組みを使う場合の説明で、発注側である自社の費用や、個別の発注アプリの価格を示すものではありません。
相手に新しい負担が生じるかどうかは、こちらが選ぶ方式と相手の既存の環境によって変わるので、声をかける前に自社側で確かめておくと話が進めやすくなります。
| 費用の区切り | 竹田印刷が示す目安 | 見積もりで確かめること |
|---|---|---|
| 初期費用(イニシャルコスト) | 30〜50万円 | どの作業までが金額に含まれるか |
| 月額運用費用(ランニングコスト) | 10〜20万円 | 金額が何の単位で増えるか |
補助金で発注アプリの導入費用を抑える方法
初期費用と月額の見当がついたら、その負担を制度で軽くできないかを見ます。
デジタル化・AI導入補助金2026のインボイス枠(インボイス対応類型)では、補助額50万円以下の枠について、対象となるソフトウェアが「会計」「受発注」「決済」のうち1機能以上を有することを要件としています2。
発注アプリは受発注の機能を持つものが中心ですから、この機能要件だけを見れば対象になりうる位置にあります。
もっとも、機能要件を満たすことと実際に交付を受けられることは別で、申請者側の要件や手続きの順序もあります。
実務で効いてくるのは、対象になる経費の範囲です。
同制度の対象経費には、ソフトウェアの購入費のほか、機能拡張やデータ連携ツール、導入コンサルティング、導入設定、保守サポートの費用等が含まれるとされています2。
既存の在庫管理や会計ソフトとつなぐためのツールや、導入時の設定作業まで含まれるのであれば、初期費用のうち値引きでは下がりにくい部分に充てられる可能性があります。
前の節で見たとおり、初期費用は含まれる作業の範囲で金額が変わりますから、どの作業が補助の対象になるのかを見積もりの項目と照らして確認しておくと判断しやすくなります。
ここで挙げた内容は2026年度のインボイス枠における要件です。
補助金は年度や枠によって対象の要件や補助率が変わることがあるため、申請を考える時点で最新の公募要領を確認してください。
公募の回ごとに締切も決まっているので、導入したい時期と申請の手続きがずれないよう、スケジュールも先に見ておく必要があります。
順番として注意したいのは、補助が使えるかどうかを先に置いて候補を絞らないことです。
制度の要件に合うものから選び始めると、自社の発注の起点や取引先の対応状況に合わないアプリが残ってしまうことがあります。
機能の範囲と運用のしやすさで二、三の候補まで絞り、そのうえでそれぞれが制度の要件に当てはまるかを見る。
この順番なら、補助が使えなかった場合でも選んだ理由は残ります。
導入前に確認しておくべき条件(取引先対応・契約期間・サポート)
候補が絞れてから効いてくるのは、機能表には出てこない条件です。
ここを詰めないまま契約すると、稼働してから社内の誰かが調整を引き受けることになります。
最初に決めておきたいのは、取引先側の運用です。
誰がログインするのか、担当者が代わったときにアカウントをどう引き継ぐのか、すでに受注システムを持っている相手にはどの形でデータを渡すのか。
切り替えは一斉には進まないので、しばらくは電話とFAXが並行して残ります。
その二重運用をいつまで、どの相手まで許容するのかを先に決めておくと、社内への説明も、取引先への依頼の文面も書きやすくなります。
契約の条件では、期間の定めと、やめるときの扱いを見ます。
契約期間や更新のしかた、解約を申し出る時期が決められているかどうかは、見積書だけでは分からないことがあります。
あわせて確かめたいのが、発注履歴や商品マスタを外に取り出せるかどうかです。
データが画面で見られることと、あとから使える形式で持ち出せることは別なので、書き出せる範囲を具体的に聞いておきます。
サポートは、導入時と稼働後を分けて確認します。
初期設定やマスタの登録を手伝ってもらえるのか、稼働後の問い合わせはどの時間帯に受け付けるのか。
とくに見落としやすいのが、取引先が画面の操作で困ったときの問い合わせ先です。
提供元が直接受けるのか、自社の担当者がいったん受けて取り次ぐのかで、日々の負担がまったく違ってきます。
社内の役割分担も条件のうちです。
商品マスタの品番や単価を誰が直すのかを決めておかないと、単価改定のたびに更新が滞り、画面上の金額と実際の取引条件がずれていきます。
ずれたまま発注が積み重なると、結局は人が納品書と照らして直すことになり、最初に減らしたはずの照合作業が戻ってきます。
これは機能の問題ではなく担当の問題なので、契約前の段階で名前まで決めておくほうが確実です。
こうして条件を並べていくと、発注アプリで軽くなるのは、同じ内容を二度入力しなくて済むようにできた範囲だけだと分かります。
相手が乗れなかった分、社内システムとつながらなかった分は、これまでどおりの確認が残ります。
その残る範囲を分かったうえで導入するかどうかが、費用に見合ったかどうかの分かれ目になります。
機能の幅、費用の区切り、制度の使いどころが揃いました。
あとは取引先の一覧に当てはめて、どこから切り替えるかを決める作業です。
取引先ごとに使っている手段がばらばらな段階では、機能一覧を見比べても自社に必要な範囲が決まらず、比較そのものが前に進まないためです。
現在の発注のやり取りを取引先ごとに書き出し、データで受けられそうな相手と当面は従来の手段が残る相手に分けたうえで、どこから切り替えると確認と転記が減るのかを一緒に整理できます。無料相談で要件を整理する
自社に合うかを見分けるときの観点
発注の情報が通る順に、取引先側から社内システム側へ並べた観点です。
- 取引先のうち、データで発注を受けられそうな相手が何社あるか
- 相手に新しい画面を使ってもらうのか、相手の既存の受注方法に合わせるのか
- 発注の起点になる数字(在庫・販売・現場からの要求)がどこにあるか
- 定番の繰り返し発注が多いか、都度見積もりを伴う品目が多いか
- 発注までで区切るか、受領・請求・支払まで載せるか
- 会計や在庫のシステムへ自動で渡せるか、書き出しまでか
- 使う場所と端末、発注前の承認が必要かどうか
仕入が少数の大口に集中している場合は相手の指定方法が優先され、小口の取引先が多い場合は当面従来の手段が残る前提で範囲を決めます。
要点の整理
| 軸 | 基準 |
|---|---|
| 取引先の対応 | データで受けられそうな相手が何社あるかを、機能比較の前に一覧にする |
| 業務範囲 | 発注までで区切るか、受領・請求・支払まで載せるかを先に決める |
| 社内システム | 在庫や販売の数字を手で打ち直す箇所が残らないかを確かめる |
| 費用 | 初期費用と月額運用費用に分け、含まれる作業の範囲を揃えて比べる |
| 補助金 | 会計・受発注・決済のいずれかの機能と、申請時点の公募要領を確認する |
| 契約とサポート | 契約期間、データの持ち出し、取引先の問い合わせ先を契約前に決める |
費用と制度の条件は、載せる業務範囲と取引先の対応状況が決まってはじめて、比べられる形の見積もりになるためです。 自社の取引先数と発注の起点を前提に、初期費用と月額のどちらに負担が寄るのか、見積もりのどの項目を揃えて確かめるのかを具体的に確認できます。
よくある質問
記事で示した価格を発注アプリの相場と考えてよいですか。
相場としては扱わないでください。
初期費用30〜50万円、月額運用費用10〜20万円という金額は、竹田印刷が運営するSaaS型受発注システムTS-BASEについて同社が示している目安です4。
同社自身が、金額はサービス事業者によって異なり、オプションの追加や独自のカスタマイズを行う場合は別途コストがかかるとしています4。
桁の感覚をつかむ出発点として使い、実際の金額は、商品点数や取引先数、既存システムとの受け渡しの有無といった自社の条件を同じ言い方で伝えたうえで、複数社から初期費用と月額に分けた見積もりを取って比べてください。
取引先が発注アプリでのやり取りに対応してくれない場合はどうすればよいですか。
対応できない相手が残る前提で、切り替える範囲を決めるのが現実的です。
発注アプリで手間が減るのは、同じ内容を二度入力しなくて済むようになった部分なので、相手が画面を見て自社システムへ打ち直しているなら、軽くなるのは自社の送信側だけにとどまります。
中小企業庁が紹介する実証で示された削減の結果も、注文を受ける側が規格に対応した仕組みを使っていることが前提でした1。
発注量の多い数社から始め、残りは従来の手段を続けながら、二重運用をいつまで許容するかを社内で決めておくと進めやすくなります。
会計ソフトと連携できない発注アプリでも補助金の対象になりますか。
デジタル化・AI導入補助金2026のインボイス枠のうち補助額50万円以下の枠では、対象ソフトウェアに求められる機能要件は「会計」「受発注」「決済」のうち1機能以上を有することとされています2。
この要件だけを見れば、受発注の機能を持つアプリは会計との連携がなくても該当しうる位置にあります。
ただし機能要件は要件の一つであり、これを満たせば必ず交付されるわけではありません。
年度や枠によって条件が変わることもあるため、申請の前に最新の公募要領で対象と手続きを確認してください。
流通BMSに対応していない発注アプリは使えないのですか。
取引先から指定されていないのであれば、必須とは限りません。
流通BMSは、消費財流通業界(スーパー、アパレル、生鮮、ドラッグストア等)における製造業者・卸売業者・小売業者の三層間のビジネスプロセス効率化を目的としたEDI標準仕様で、卸売業者と小売業者の間の取引が主な対象とされています3。
この記事では、発注・出荷・受領・返品・請求・支払という6業務の並び3を、自社の手間がどの工程で止まっているかを確かめる物差しとして使いました。
取引先がこの仕様での接続を求めている場合は対応の可否が前提条件になりますが、そうでなければ、自社の業務範囲と社内システムとのつながりで判断して差し支えありません。
- 1 出典:中小企業庁「企業間のデータ連携で、受発注の業務コストを削減する!(ミラサポplus)」(2020年)
- 2 出典:独立行政法人中小企業基盤整備機構「デジタル化・AI導入補助金2026 インボイス枠(インボイス対応類型)」(2026年度)
- 3 出典:一般財団法人流通システム開発センター(流通BMS協議会)「流通BMS標準仕様」(2007年)
- 4 出典:竹田印刷株式会社(TS-BASE運営)「Webの受発注システムの選び方とコストの目安」(2026年)