◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- 受発注システムの初期費用は、月額と別料金に分けて、使い続ける年数の総額で比べる。
- 初期費用の差は、既存の仕組みを使う範囲と自社向けに作る範囲の違いから生まれる。
- 値引きの条件を示す公開資料はないため、まず内訳を分けてもらい、自社で外せる項目を決める。
- 初期費用が下がったときは、その分が月額や契約期間の条件へ移っていないかを見る。
- デジタル化・AI導入補助金は登録ツールが前提で、支援事業者と契約の時期を確かめてから進める。
目次

受発注システムの初期費用は何を指すのか:初期費用と月額・別料金を分けて総額を見る
取引先からFAXやメールで届く注文をExcelに打ち直す手間を減らしたくて見積もりを取ったものの、受発注システムの初期費用が想定より大きく、稟議に出すのをためらっている。
この段階でまず手を付けられるのは、提示額そのものよりも、何にお金を払うのかの線引きです。
初期費用と月額、後から加わる別料金を分けて総額で見ると、削れる項目と相談すべき点が見えてきます。
SaaS型の一例として、竹田印刷調べでは初期費用30~50万円、月額10~20万円という目安が示されています1。
一方、値引きの条件を示す公開資料は見当たりません。
そのため、導入範囲の絞り込みと補助金の条件確認を先に進めるのが現実的です。
初期費用と月額費用の違い
見積書の「初期費用」は、使い始めるまでに一度だけ払う費用を指すのが一般的です。
受発注システムでは、これに毎月払う利用料が続きます。
SaaS型(インターネット経由で提供されるサービスを契約して使う形)について、竹田印刷は自社調べとして、イニシャルコスト(初期費用)30~50万円、ランニングコスト(月額の運用費用)10~20万円という目安を示しています1。
この数字を読むときは、何の目安なのかに注意が要ります。
示しているのは受発注システムを提供する事業者で、対象とした企業の規模や機能の範囲は記事からは分かりません。
特定の製品の料金でも、市場全体の相場でもないため、手元の見積もりが高いか安いかをこの幅だけで判定することはできません。
使い道は、初期費用と月額がどのような関係で並ぶことがあるのかをつかむところまでにとどめるのが妥当です。
その関係を少し具体的に見てみます。
仮にこの目安の範囲で契約したとすると、月額を1年払い続けた額は、初期費用を上回ります。
つまり、初期費用だけを比べて安い方を選ぶと、数年使ったあとの総額では順位が逆になっていた、ということが起こりえます。
稟議書には、導入時に一度出ていく額と、毎年出ていく額を分けて書いておくと、判断する側も比べやすくなります。
月額の決まり方も見ておきます。
同じ記事では、SaaSの月額料金はアカウント数に応じた従量課金が一般的だと説明されています1。
アカウントとは、システムにログインして使う人ごとの利用権のことです。
受注担当者だけが画面を使うのか、営業や出荷の担当者まで注文状況を見るのかによって、同じ製品でも月額は変わります。
見積もりの前提になっている人数が、自社で実際に使う人数と合っているかは、総額を見積もる最初の確かめどころです。
オプション・カスタマイズは別料金になる
初期費用と月額のほかに、もう一つ分けておきたいのが別料金です。
竹田印刷の記事では、オプションの追加や独自のカスタマイズには別途コストがかかるとしています1。
オプションは提供事業者があらかじめ用意している追加機能、カスタマイズは自社の業務に合わせて画面や処理を変える作業を指します。
見積もりで迷いやすいのは、この別料金が初期費用の欄に含まれ、一つの額にまとめられている場合です。
たとえば、標準の受注画面に加えて、取引先ごとの掛け率で価格を表示する仕組みや、既存の販売管理ソフトへ受注データを送る仕組みを依頼していたとします。
見積書に「初期費用一式」としか書かれていなければ、標準の導入作業にいくらかかり、追加した要望にいくらかかっているのかが分かりません。
これでは、高いと感じても、どこを外せば下がるのかを社内で話し合えません。
別料金には、導入時に一度だけかかるものと、月額に上乗せされるものがありえます。
オプション機能の利用料が毎月かかるのか、カスタマイズ作業が一回限りなのかで、総額への効き方が違います。
見積もりを受け取ったら、初期費用・月額・別料金の三つの欄に組み替えて眺めてみると、会社ごとに初期費用が大きく違う理由も読み取りやすくなります。
| 費用の区分 | 払う時期 | 見積もりで見る中身 |
|---|---|---|
| 初期費用 | 導入時に一度 | 導入設定などの作業ごとの内訳 |
| 月額 | 利用中は毎月 | アカウント数に応じた従量課金が一般的 |
| 別料金 | 機能の追加や変更のとき | オプション追加と独自カスタマイズ |
初期費用の差はどこから生まれるか:SaaS・追加開発・個別開発の作業範囲
SaaSの費用の考え方
見積もりを三つの欄に分けても、提供事業者や導入の仕方によって初期費用の額が大きく違うことがあります。
その差を生む大きな要因の一つが、どこまで既存の仕組みを使い、どこから自社用に作るかという作業範囲の違いです。
SaaSは、提供事業者がすでに作って動かしている仕組みを契約して使う形です。
導入時の作業は、自社の取引先や商品を登録する、画面や項目の設定を業務に合わせるといったものが中心で、システムそのものを作る工程は基本的に含まれません。
竹田印刷の記事でも、SaaSは初期費用・月額とも比較的低い形として示されています1。
そのかわり、使える仕組みは提供事業者が決めた範囲の中に限られます。
標準機能で業務が回るなら初期費用は抑えやすい一方、標準にない処理を求めるほど、オプションやカスタマイズの別料金が積み上がります。
SaaSの見積もりが想定より高いときは、標準の導入作業が高いのか、要望の追加分が高いのかを分けて見ると、理由の見当が付きます。
追加開発・個別開発で費用が上がる理由
既存の仕組みをもとに自社向けの機能を追加開発する形は、ハーフスクラッチと呼ばれます。
一からすべてを自社用に開発する形はフルスクラッチです。
竹田印刷の記事では、フルスクラッチの初期費用は多くの場合数千万円、ハーフスクラッチは数百万~数千万円とされ、追加開発する機能が多いほど高くなる可能性があると説明されています1。
桁がこれだけ変わるのは、開発の作業そのものが初期費用に入るからです。
要望を聞き取って仕様を決め、画面と処理を作り、正しく動くかを試すという工程は、作る範囲が広がるほど人手と時間を要します。
SaaSなら設定で済んでいた部分が、追加開発では作業として見積もりに乗ってきます。
ここで、FAXやメールの注文をExcelに打ち直している会社を例に考えます。
Webで注文を受けたいだけなら、SaaSの標準機能で足りるかもしれません。
しかし、受けた注文をそのまま基幹システムへ流したい、取引先ごとの特別な締め処理も自動にしたい、と要望を重ねていくと、標準の範囲を超える部分が増えていきます。
どこまでを標準の操作で済ませ、どこから作るのかという線の引き方次第で、初期費用の桁が変わりうるわけです。
なお、ここで紹介した桁の目安は同じ一社の見立てで、別の調査で裏付けられたものではありません。
システム同士をつなぐ連携や、旧システムからのデータ移行、操作説明といった作業ごとの費用も、この記事で示せる目安額はありません。
手元の見積もりと比べるときは、金額そのものより、どの作業が含まれているかを照らし合わせる手掛かりとして使うのが安全です。
▼ 図の内容を文字で読む
- 初期費用
- 使い始めるまでに一度だけ払う
- 導入設定などの作業ごとの内訳を見る
- 月額
- 毎月払う利用料
- アカウント数に応じた従量課金が一般的
- 別料金
- オプションの追加
- 独自のカスタマイズ
受発注システムの初期費用は値引きできるか:確認できる範囲と、値引き前に見るべきこと
値引きの前に内訳を分けてもらう
初期費用が想定より高いと、まず値引きを頼めないかと考えるのは自然です。
ただ、値引きがどんな条件で行われるのか、初期費用無料のキャンペーンがどの程度あるのかを示す公的な資料や業界の統計は見当たりません。
値引きの幅や通りやすさは、提供事業者ごとの営業判断と契約条件で決まると考えるほかなく、この記事で目安の率を示すことはできません。
そのうえで交渉の材料になるのは、額の大小より内訳です。
「初期費用一式」のままでは、下げてほしいと伝えても、何を根拠にどこを下げるのかが双方に見えません。
標準の導入設定、取引先や商品データの登録、追加したオプション、カスタマイズ、操作説明といった単位で金額を分けてもらうと、話の進め方が変わります。
内訳が分かれると、値引きを頼む前に、自社の判断で外せる項目が見えてきます。
先ほどの例でいえば、取引先ごとの締め処理の自動化は初回の導入から外し、運用が落ち着いてから追加する、という判断ができるかもしれません。
商品データの登録を自社で行えば、その分の作業が見積もりから外れる場合もあります。
こうした削り方は相手に一方的な譲歩を求めるものではなく、自社の導入範囲を変える話なので、相談の形で進めやすくなります。
初期費用を下げたときに月額・契約期間で確認すること
初期費用が下がったときは、その分がどこへ移ったのかを見る必要があります。
初期の作業費が月額に分けて上乗せされていないか、一定期間の継続利用が条件になっていないか、といった点です。
初期費用の欄だけが小さくなっても、月額が上がっていたり、途中で解約すると残りの期間分を払う条件が付いていたりすれば、総額の負担は変わらないか、かえって増えることもありえます。
こうした条件の付け方は提供事業者ごとに異なり、一般的な水準を示す資料もないため、見積書の条件欄や契約書の文面で確かめることになります。
比べるべきなのは、値引き前と値引き後の見積もりを同じ期間で並べた総額です。
使い続ける想定の年数を社内で先に決めておき、その年数分の月額と初期費用、別料金を足した額で比べれば、どちらの条件が自社にとって有利かを判断できます。
補助金の利用を考えている場合は、もう一つ気をつけたい点があります。
値引きや無料化があったとき、補助の対象になる額がどう扱われるかは、制度の公募要領で決まる事柄です。
この扱いは記事では確かめられていないため、次に触れる支援事業者に、値引きを含めた見積もりのまま申請に使えるかを確かめてから進めると、後で計画を組み直す手間を避けられます。
▼ 図の内容を文字で読む
- SaaS
- 既存の仕組みを契約して使う
- 初期費用・月額とも比較的低い
- 一例の目安は初期費用30~50万円・月額10~20万円
- ハーフスクラッチ
- 既存の仕組みに自社向けの機能を追加開発
- 数百万~数千万円
- フルスクラッチ
- 一から自社用に開発
- 多くの場合数千万円
値引き以外で初期費用の負担を減らす:機能の絞り込みと補助金(デジタル化・AI導入補助金)
必要な機能から始める
値引きは相手の判断に左右されますが、導入する範囲は自社で決められます。
見積もりの内訳を分けてもらうのは、交渉のためだけでなく、この範囲を決める材料を手に入れるためでもあります。
絞り込むときは、いま一番手間がかかっている作業から考えます。
例の会社でいえば、FAXやメールで届いた注文を受注担当者が読み取り、Excelへ打ち直している部分です。
取引先がWeb画面から直接注文を入れられるようになれば、この打ち直しと、打ち間違いを探す確認の一部が減ります。
一方、受けた注文を販売管理ソフトへ移す作業は、連携の仕組みを作らなければ手作業のまま残ります。
どちらの手間を先に減らすかを決めれば、初回に入れる機能と後回しにする機能を分けられます。
オプションを別料金で追加できる形のSaaSなら、標準機能で始めて、必要になった時点で機能を足していく進め方も選べます。
ただし、初期費用を抑えたぶん、後から追加するときの費用はかかります。
後で追加する見込みが高い機能は、追加時の費用も含めて最初に見積もってもらっておくと、総額の見通しが崩れにくくなります。
補助金の対象・補助額・経費の条件
範囲を絞ったうえで、さらに負担を減らす手段になりうるのが、国の「デジタル化・AI導入補助金」です。
対象は中小企業・小規模事業者等で、ソフトウェアなどの導入にかかる費用の一部が補助されます3。
大企業や、対象の要件に当てはまらない組織は使えないため、まず自社が対象に入るかを公式の要件で確かめるところから始まります。
通常枠の補助額は、業務プロセスを1つ以上持つツールで5万円以上150万円未満とされ、4つ以上の場合は150万円以上のより大きな枠が設けられています2。
補助率は1/2以内が基本で、一定の条件を満たす場合は2/3以内になります2。
2/3が適用される条件は、申請する年度の公募要領で確かめる必要があります。
ここでいう業務プロセスとは、受発注や会計のように、ソフトウェアが受け持つ業務の単位のことです。
補助の対象になるITツールは、1種類以上の業務プロセスを持つソフトウェアで、汎用的なプロセスしか持たないものは対象になりません2。
対象になる経費は、ソフトウェア購入費とクラウド利用料(最大2年分)が必須の区分で、機能拡張・データ連携ツール・セキュリティがオプション、導入設定・マニュアル設定・導入研修・保守サポートなどが役務と整理されています2。
これを見積もりの区分と照らし合わせると、初期費用に含まれる導入設定や研修の作業、月額にあたるクラウド利用料の一部が、補助の対象になりうることが分かります。
ただし、手元の見積もりのどの行が実際に対象になるかは、そのツールが事務局に登録されているか、各項目が要領の区分に当てはまるかで決まります。
補助率が1/2以内であれば、補助されるのは対象と認められた経費の半分までで、残りは自社の負担です。
また補助額には下限があるため、対象経費が小さいと枠に届かないこともあります。
補助後の自社負担を稟議に書くときは、見積もり総額ではなく、対象になる経費だけを抜き出して計算しておくと、後で数字が食い違いにくくなります。
申請前に確認すること
補助金の使い方でまず押さえたいのは、誰を通して申請するかです。
申請する会社は、IT導入支援事業者と呼ばれる登録事業者と相談してツールを選び、事業計画を一緒に作ります3。
補助の対象は事務局に登録されたツールに限られるため3、検討中のシステムが登録されていなければ、この制度は使えません。
見積もりを取る段階で、提供事業者に登録の有無を聞いておくと、候補の絞り込みが早くなります。
次に気をつけたいのが契約の時期です。
交付決定より前に契約や支払いを済ませた場合の扱いは、公募要領で定められている事柄で、この記事では内容を確かめきれていません。
補助金を使うつもりがあるなら、見積もりに納得しても、契約書に押印する前に支援事業者へ順番を確認してください。
契約した時期は後から変えられないため、ここは先に確かめておく価値があります。
申請の時期にも目を向けておきます。
公式ページには2026年の申請回ごとの締切と交付決定の予定時期が示されており、第6次の締切は秋に設定されています2。
締切に合わせて急いで計画を作るより、ツール選びと見積もりの内訳整理を先に済ませ、どの回に申請するかを支援事業者と相談するほうが、計画の中身を詰めやすくなります。
読んでいる時点でどの回が受付中かは、公式ページで確かめてください。
| 補助金上の区分 | 主な経費 | 見積もりで照らし合わせる項目 |
|---|---|---|
| 必須 | ソフトウェア購入費・クラウド利用料(最大2年分) | システムの購入費・利用料 |
| オプション | 機能拡張・データ連携ツール・セキュリティ | 追加機能や連携の費用 |
| 役務 | 導入設定・マニュアル設定・導入研修・保守サポートなど | 初期費用のうち作業の部分 |
▼ 図の内容を文字で読む
- 見積もりを作業ごとに分けてもらう:導入設定、データ登録、オプション、カスタマイズ、操作説明など
- 初回に外せる項目を決める:運用が落ち着いてから追加する判断もできる
- 初期費用・月額・別料金を出し直す:後から追加する機能の費用も合わせて聞く
- 値引きの条件を見る:月額への上乗せや契約期間の条件が付いていないか
- 同じ年数の総額で比べる:使い続ける想定の年数を社内で先に決める
状況別の進め方と、受発注システムの見積もり依頼で確認する項目
発注側と受注側で見るポイント
ここまでの考え方を自社に当てはめるとき、最初に分かれるのは、システム化したいのが注文を受ける側の仕事か、注文を出す側の仕事かです。
同じ「受発注システム」でも、どちらの仕事を受け持つかで、初期の作業の中身が違ってきます。
取引先から注文を受け、在庫や納期を確かめて出荷につなぐ受注側なら、中心になるのは取引先が注文を入れる画面と、受けた注文を社内で処理する流れです。
この場合、システムを使うのは自社の担当者だけでなく、注文を入れる取引先も含まれます。
取引先に使い方を案内する作業や、取引先ごとの価格や締め日の設定が初期の作業に入るかどうかで、見積もりの中身が変わります。
アカウント数で月額が決まる製品では、取引先に発行するアカウントが課金の数に入るのかも、総額に関わる点です。
仕入先へ注文を出す発注側(購買)なら、社内で誰が発注を起案し、誰が承認するかという流れの設定が中心になります。
使う人の多くは社内の担当者で、部署ごとの承認の段数や、発注書の様式を仕入先に合わせるかどうかが作業量を左右します。
仕入先にもシステムで受けてもらうのか、これまでどおりメールやFAXで発注書を送るのかによっても、必要な機能は違ってきます。
どちらの立場でも、相手の会社がすぐにシステムを使えるかどうかは、自社だけでは決められません。
取引先の対応が遅れれば、システム経由の注文とFAXの注文が並ぶ期間が生じ、その間は二通りの受け方を管理することになります。
この移行期間をどう扱うかを範囲決めの段階で話しておくと、導入後に想定していなかった作業が出てくるのを防ぎやすくなります。
状況に応じた検討の順番
標準機能でいまの業務が回りそうなら、SaaSで範囲を絞って始めるのが、初期費用を抑えやすい進め方です。
既存の販売管理ソフトや基幹システムとの連携が欠かせないなら、SaaSにオプションを足す案と、追加開発する案とを、連携の費用まで含めた総額で比べることになります。
補助金の対象になりうる会社であれば、どちらの場合も、検討中のツールが登録されているかを早めに確かめ、支援事業者と進め方を合わせておきます。
これらは一つを選んで終わりではなく、重なり合う条件です。
連携が必要で、かつ補助金も使いたいなら、連携の部分が補助の区分のどこに当たるかまで含めて相談することになります。
自社がどの条件に当てはまるかを先に書き出しておくと、見積もり依頼で何を聞けばよいかが定まります。
見積もり依頼の確認項目
複数の提供事業者に見積もりを依頼するときは、同じ項目で答えてもらえるよう、依頼の段階で聞くことをそろえておくと比べる手間が減ります。
次の項目は、ここまで扱ってきた費用の区分と条件を、依頼文にそのまま使える形にまとめたものです。
- 初期費用の内訳:標準の導入設定、データ登録、操作説明など作業ごとの金額
- 月額の決まり方:アカウント数での課金か、取引先のアカウントも数に入るか
- オプションとカスタマイズの別料金:一回限りか、月額に上乗せされるか
- 契約期間と解約の条件:最低利用期間の有無、途中解約したときの支払い
- 取引先側の対応:取引先が使う画面の有無、案内の作業が見積もりに入るか
- 補助金を使う場合の扱い:登録ツールか、見積もりのどの項目が対象の区分に当たるか
回答がそろったら、使い続ける想定の年数で総額を出して並べます。
初期費用が最も低い見積もりが、総額でも最も低いとは限りません。
逆に、初期費用の高い案に連携の作業が含まれていて、手作業で残る転記がその分少なくなるのであれば、差額の理由を社内に説明できます。
稟議書に添えるのは、こうして内訳と年数をそろえた比較です。
| 自社の状況 | 先に検討すること | 比べる範囲 |
|---|---|---|
| 標準機能でいまの業務が回る | SaaSで範囲を絞って始める | 初期費用・月額・別料金の総額 |
| 既存システムとの連携が欠かせない | 連携をどう作るかを決める | オプションを足す案と追加開発する案の総額 |
| 補助金の対象になりうる | 登録ツールかと契約の時期を確かめる | 補助の区分に当たる項目と自社負担 |
▼ 図の内容を文字で読む
- 補助額と補助率
- 1プロセス以上の通常枠は5万円以上150万円未満
- 4つ以上は150万円以上の枠
- 補助率は1/2以内が基本、条件により2/3以内
- 対象になる経費の区分
- 必須:ソフトウェア購入費・クラウド利用料(最大2年分)
- オプション:機能拡張・データ連携ツール・セキュリティ
- 役務:導入設定・マニュアル設定・導入研修・保守サポート
- 自社負担の出し方
- 補助されるのは対象経費の半分まで
- 見積もり総額ではなく対象経費だけを抜き出して計算
見積もりの内訳をどう分け、初回にどこまでを入れるかは、自社の注文の受け方や取引先の事情と合わせて考えないと決めにくいためです。
いまの注文の流れと手元の見積もりをもとに、初期費用・月額・別料金の区分と、初回に入れる機能と後回しにできる機能の候補を確かめられます。無料相談で要件を整理する
要点の整理
| 軸 | 基準 |
|---|---|
| 初期費用の見方 | 初期費用・月額・別料金に分け、使い続ける年数の総額で比べる |
| 費用差の理由 | 既存の仕組みを使う範囲と、自社向けに作る範囲の違い |
| 値引きの前に | 内訳を作業ごとに分けてもらい、自社で外せる項目を決める |
| 値引き後の条件 | 下げた分が月額や契約期間の条件へ移っていないか |
| 補助金 | 対象の要件、登録ツールか、契約の時期を支援事業者と確かめる |
| 見積もり依頼 | 内訳・月額の決まり方・別料金・契約条件・取引先対応・補助金の扱いをそろえる |
▼ 図の内容を文字で読む
- 支援事業者に相談:登録事業者と相談してツールを選ぶ
- 登録ツールか確かめる:事務局に登録されたツールだけが対象
- 事業計画を作る:支援事業者と一緒に作成する
- 契約前に順番を確かめる:契約や支払いの時期の扱いは公募要領で確認する
▼ 図の内容を文字で読む
- 費用の中身
- 初期費用の内訳:作業ごとの金額
- 月額の決まり方:アカウント数、取引先のアカウントの扱い
- オプションとカスタマイズ:一回限りか月額上乗せか
- 契約と取引先
- 契約期間と解約の条件
- 取引先側の対応:画面の有無、案内の作業
- 補助金を使う場合
- 登録ツールか
- 見積もりのどの項目が対象の区分に当たるか
補助金の申請回や契約の時期が絡むと、導入範囲と進める順番を自社だけで判断するのは難しくなります。 見積もりの条件と導入したい時期を並べて、総額の比べ方と、補助金を使う場合に先に確かめる点を整理できます。
よくある質問
初期費用を無料にしてもらう代わりに、月額や契約期間はどう変わりますか。
どう変わるかを示す公開資料はなく、提供事業者ごとに条件が違います。
見るべきなのは、初期の作業費が月額に上乗せされていないか、最低利用期間や途中解約時の支払いが付いていないかです。
無料になった見積もりと通常の見積もりを、使い続ける想定の年数の総額で並べると、どちらが有利かを判断できます。
受発注システムの補助金は、申請前に契約してしまっても対象になりますか。
契約や支払いの時期の扱いは公募要領で定められている事柄で、この記事では内容を確かめきれていません。
補助金を使うつもりがあるなら、契約する前にIT導入支援事業者へ確認し、順番を決めてから進めてください。
契約した時期は後から変えられないため、先に確かめておくことが大切です。
発注側(購買)と受注側(受注・出荷)で、費用の中身はどう違いますか。
受注側では、取引先が注文を入れる画面や、取引先ごとの価格・締め日の設定が初期の作業に入りやすく、取引先に発行するアカウントが月額に関わる場合があります。
発注側では、社内の起案と承認の流れ、発注書の様式の設定が中心です。
どちらも見積もりを作業ごとに分けてもらうと、違いが比べやすくなります。
取引先がシステムに対応していない場合、見積もりに何が加わりますか。
取引先にシステムで注文してもらうための案内や設定の作業、FAXなど従来の注文と並行して受ける期間の扱いが、見積もりや運用の検討に加わります。
取引先のアカウントが課金の数に入るかも製品によって違うため、見積もり依頼の際に確かめておきます。
作業ごとの目安額は示せないので、提供事業者に内訳として出してもらってください。
クラウド利用料が補助対象になる期間はどのくらいですか。
通常枠では、クラウド利用料は最大2年分が対象経費の区分に含まれています2。
補助の期間を過ぎた後の利用料は自社の負担になるため、総額は補助のある期間とない期間を分けて計算しておくと、稟議で説明しやすくなります。
期間の数え方の詳細は公募要領で確かめてください。
- 1 出典:株式会社竹田印刷「Webの受発注システムの選び方とコストの目安」(2026年)
- 2 出典:独立行政法人中小企業基盤整備機構・中小企業庁「デジタル化・AI導入補助金 通常枠」(2026年)
- 3 出典:独立行政法人中小企業基盤整備機構「デジタル化・AI導入補助金(通常枠)の概要」(2026年)