◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- 受発注システムの見積もりは、金額を比べる前にID数・受注件数・利用量・個別見積もりのどれに課金されるかで分けると、同じ土俵で比べられる。
- ID課金は拠点・取引先・担当者の増加で、件数課金は注文件数の増加で月額が上がり、多拠点で総額を押し上げる要因は料金形態によって違う。
- 確認した公式料金表に月額上限の記載はなく、段階単価の逓減も上限とは別物のため、上限の有無と対象費用は見積もりで書面確認する。
- 稟議には現状と増加後の2通りの試算に、年間保守費などの別建て費用と、月額と従量の起算日のずれを加えて載せる。
目次

受発注システムの見積もりが揃わないとき、まず「何に課金されるか」を4つに分ける
拠点ごとにFAXやメール、Excelで受発注してきた組織が受発注システムの見積もりを集めると、表記が揃わないことがあります。
ある見積もりは基本料金とID数、別の見積もりは基本料金と受注件数、さらに別のものは初期費用込みの個別見積もりです。
これでは自社の月額総額が読めません。
確認した公式料金表では、課金はID数・受注件数・利用量・個別見積もりに分かれ、月額の上限(キャップ)を明記したものはありませんでした。
まず課金単位を分け、拠点数・取引先数・件数を仮定して試算します。
上限の有無と超過時の扱いは見積もりで書面確認します。
この順で進めれば、従量課金と月額固定に近い形のどちらが自社に合うかを判断できます。
ID・受注件数・送信枚数・個別見積もりの違い
見積書を横に並べて比べると、最も目立つのは月額の合計欄です。
ですが、合計欄の数字は、見積もりを依頼したときに伝えた拠点数や件数を前提に計算されています。
伝えた前提が見積もりごとに少しずつ違っていたり、提供元が独自に置いた仮定で計算していたりすると、合計欄どうしを比べても意味がありません。
さらに多拠点の組織では、来年以降に拠点や取引先が増えたときにどの見積もりが膨らむのかが知りたいはずです。
それは合計欄からは読み取れません。
金額を比べる前に、見積書の各行が「何の数に連動して増えるのか」を書き出すと、比べる対象がそろいます。
公開されている料金表を見ると、課金の単位は大きく次の4つに分けられます。
<ul><li>ID数:ログインする担当者や、登録する得意先・店舗の数に応じて月額が加わる形です。
らくうけーるは基本料金に加えて、担当者IDと得意先・店舗IDごとの月額を定めています1。</li>
<li>受注件数:月間の受注件数に応じて従量単価が加わる形です。
ネクストエンジンは基本料金に、件数帯ごとの単価を加える仕組みです2。</li>
<li>送信枚数などの利用量:特定の機能を使った量で加算される形です。
らくうけーるではFAX送信が1枚10円です1。</li>
<li>個別見積もり:金額を公開せず、構成を聞いたうえで初期費用と月額を提示する形です。
TS-BASE 受発注は受注+出荷、受注、出荷の3つのプランを示し、金額は見積もり依頼で確認する形をとっています4。</li></ul>
1つの料金表に複数の単位が同居することもあります。
らくうけーるはID数で月額が決まる一方、FAX送信は枚数で加算される作りです1。
見積書の行を4つに振り分け、どの行が毎月変わらない固定分で、どの行が何かの数に連動するのかに印を付けます。
そうすると、比べる対象が「月額いくら」から「何が何個増えたら、いくら増えるか」に変わります。
竹田印刷は、アカウント数に応じて月額料金が加算される従量課金制が一般的だと述べています3。
ただしこれは提供元の見解で、今回確認した料金表には受注件数で加算されるものもありました。
見積もりの説明に「従量課金」という言葉が出てきたら、それが何の量なのかをその場で確かめるほうが確実です。
アカウントの量なのか、注文の量なのかで、多拠点化したときの増え方はまったく違うからです。
初期費用と月額の目安をどう読むか
稟議の前段で「だいたいいくらか」を上司に聞かれたとき、目に入りやすいのが提供元が示す目安です。
竹田印刷はSaaS型受発注システムのコスト目安として、初期費用30〜50万円、月額10〜20万円を示しています3。
ただしこの数字は同社の調べによるもので、どの規模・業種の企業を前提にしたかは書かれていません。
同じ記事の中でも、本文で述べている金額と表に示した範囲が一致していません3。
こうした目安は、桁の感覚をつかむ材料にはなります。
しかし、自社の予算額としてそのまま載せられる数字ではありません。
目安には「何IDで」「月何件で」という前提が付いていないからです。
前の項で分けた課金単位に自社の数を当てはめる作業を、目安が代わりにしてくれるわけではありません。
開発の形態によっても、費用の幅は大きく変わります。
竹田印刷の別の解説では、クラウド型は初期費用・月額とも低い金額から始まる一方、ハーフスクラッチ、フルスクラッチと独自開発の比重が増すほど初期費用の桁が上がると整理しています5。
同じ解説は、カスタマイズの範囲とそのコストを事前に確かめるよう勧めています5。
オプションや独自カスタマイズに別途費用がかかることは、先の記事でも述べられています3。
拠点ごとに業務のやり方が違う組織ほど、標準の機能に合わせきれない部分が出て、カスタマイズの話になりやすい面があります。
そうなると、目安のどこに自社が位置するかはさらに読みにくくなります。
目安の数字を見たら、「この金額は、どの課金単位にどんな数を入れた結果か」と問い直します。
そのうえで、自社の拠点数・担当者数・取引先数・月間件数で計算し直します。
次の節では、その計算を公開されている料金表で実際に試します。
多拠点で月額を押し上げるのはID数か、受注件数か
ID課金型の試算(らくうけーる料金表の条件)
らくうけーるの料金表では、基本料金が月額20,000円で、ここに管理者IDと得意先・店舗IDが1個ずつ含まれます1。
これに担当者IDが1IDにつき月額2,000円で加わります1。
得意先・店舗IDは99個まで1IDにつき月額600円、100個以上は1IDにつき月額100円です1。
いずれも税別で、生鮮品向けの基本機能の料金です。
非生鮮向けの機能は別途問い合わせとされています1。
ここで気をつけたいのは、得意先・店舗IDが「受注する側が、注文をくれる取引先を登録する単位」だという点です。
自社が卸や製造の立場で、各地の得意先や店舗から注文を受けるなら、取引先が増えるたびにこのIDが増えます。
反対に、自社が複数の拠点から仕入先へ発注する立場なら、自社の拠点数がそのままこのIDの数になるわけではありません。
発注側の拠点をどの単位で数えるかは料金表からは分からないため、自社の立場を伝えたうえで提供元に聞く必要があります。
以下は、受注側の立場で仮の条件を置いた試算です(編集部の試算・税別)。
<ul><li>受注を処理する担当者:4名(担当者ID 4個)</li><li>注文をくれる得意先・店舗:50か所(基本料金に含まれる1個を除き、追加49個)</li></ul>
20,000円+2,000円×4+600円×49=57,400円になります。
基本料金よりも、取引先の数に連動する部分のほうが大きくなっている点が目を引きます。
この条件から得意先・店舗が10か所増えれば6,000円、担当者を1名増やせば2,000円が毎月上乗せされます。
注文の件数が倍になっても、IDの数が変わらなければこの部分は動きません。
100個以上の単価には注意が要ります。
料金表からは、100個目以降のIDだけが月額100円になるのか、100個以上になった時点で全IDが100円になるのかが読み取れません。
どちらの読み方かで、取引先が100か所前後の組織の月額は大きく変わります。
取引先が100か所に近い、または超える見込みなら、この適用方法は見積もりの段階で確かめておきたい点です。
件数課金型の試算(ネクストエンジンの帯別単価)
ネクストエンジンは、受注件数200件までを対象とする基本料金月額3,000円(税抜)に、201件目以降の件数を帯ごとの単価で加える仕組みです2。
201〜400件の帯は1件35円、最上位の10,001件以上の帯は1件5円で、その間の帯にもそれぞれ単価が定められています2。
読み違えやすいのが、単価のかかり方です。
各帯の単価は、その帯に入った件数にだけ適用されます2。
月に300件なら、200件までは基本料金に含まれ、201件目から300件目までの100件に35円がかかります。
計算は3,000円+100件×35円=6,500円です。
400件なら3,000円+200件×35円=10,000円になります(いずれも編集部の試算・税抜)。
400件を超えると、超えた分には次の帯の単価がかかり、すでに35円で計算した200件分の単価は変わりません。
この仕組みでは、件数が増えるほど1件あたりの平均単価は下がっていきます。
それでも、月額そのものは件数とともに増え続けます。
さらに月額とは別に、年間保守費用15,000円(税抜)が、契約から1年経過後に毎年の契約月に前年分として請求されます2。
月額だけを12倍しても年間の支払額にはならない点は、稟議の金額を組むときに効いてきます。
ネクストエンジンが数える受注件数は、同社のサービス上で処理する受注の件数です。
拠点間の注文や取引先ごとの注文をどの件数として数えるかは使い方によって変わり得るため、自社の注文の流れを説明して確認します。
拠点・取引先・注文増のどれが効くか
2つの試算を並べると、総額を押し上げる要因が提供元によって違うことが分かります。
ID課金のらくうけーるでは、注文が増えてもIDの数が変わらなければ月額は動きません(FAX送信のような従量分は除きます)。
一方で、得意先・店舗や担当者が増えるたびに月額が階段状に上がります。
件数課金のネクストエンジンでは、取引先や拠点が増えても、受注件数が同じなら月額は変わりません。
代わりに、取引が増えて件数が伸びた月は、その分だけ請求が増えます。
自社に当てはめるときは、今後増えそうなものを次の3つに分けて考えると整理しやすくなります。
<ul><li>拠点:自社の営業所・店舗・倉庫などを増やす計画があるか</li><li>取引先:注文をくれる得意先、または注文を出す仕入先の数が、新規開拓や統合で変わるか</li><li>注文:1か月あたりの件数と、季節による振れ幅がどのくらいあるか</li></ul>
拠点や取引先の増加が見込まれるのに、ID課金の見積もりへ現在の数だけを入れて試算すると、増えた後の月額が予算から漏れます。
件数課金で、繁忙月を考えずに平均の件数だけで試算した場合も同じです。
多拠点の組織では、拠点を1つ増やすと担当者・取引先・注文がまとめて増えることもあります。
試算には現状の数と増加を見込んだ数の2通りを入れておくと、その料金がどの要因に敏感かが数字で見えます。
▼ 図の内容を文字で読む
- ID数
- 担当者や得意先・店舗の登録数に応じて月額が加わる
- 受注件数
- 月間の受注件数の帯ごとに従量単価が加わる
- 送信枚数などの利用量
- 特定の機能を使った量で加算される(FAX送信は1枚10円)
- 個別見積もり
- 金額を公開せず、構成を聞いて初期費用と月額を提示する
従量課金に上限(キャップ)はあるのか:確認できた範囲
公式料金表で確認できたこと
従量課金で最も気になるのは、「件数やIDが想定より増えた月に、請求がどこまで膨らむのか」でしょう。
月額の上限(キャップ)があれば、稟議には上限額を載せておけば説明がつきます。
しかし、今回確認した公式料金表には、月額の上限を定めた記載はありませんでした。
ネクストエンジンは月額の上限額を示しておらず、最上位の10,001件以上の帯には件数の上限もありません2。
件数が増え続ければ、1件5円の単価で月額も増え続ける仕組みです。
らくうけーるの料金ページにも、利用料の上限は書かれていません1。
TS-BASE 受発注は金額を公開しておらず、課金単位や上限についての記載もありません4。
これは、上限付きのプランがどこにも存在しないという意味ではありません。
確認したのは3つの提供元の公開ページに限られ、個別の契約で上限を設けられるかどうかは公開情報からは判断できません。
そのため費用を見積もる段階では、上限がある前提で予算を組まないほうが安全です。
上限がない場合にどこまで増えうるかを試算し、上限の有無は提供元に直接確かめます。
確かめるときは、「上限はありますか」とだけ聞くより、何が上限の対象になるのかまで聞いておくと後で食い違いません。
仮に月額の利用料に上限があっても、FAX送信のような従量分や保守費が対象外であれば、支払総額はその分だけ上限を超えます。
想定を超えた月の請求がどう計算されるのか、プランの変更を求められることがあるのかも、回答を書面で残しておきたい点です。
段階単価の逓減と上限の違い
件数が増えるほど単価が下がる料金表を見ると、たくさん使っても高くなりにくいのだから、実質的に上限があるようなものだと感じるかもしれません。
ですが、単価の逓減(件数が増えるにつれて1件あたりの単価が下がること)と、月額の上限は別のものです。
ネクストエンジンの例でいえば、201〜400件の帯の35円から最上位帯の5円まで、単価は下がっていきます2。
それでも、各帯の件数に単価をかけた額は足し上げられていくので、月額が頭打ちになることはありません。
逓減は「増え方が緩やかになる」仕組みで、上限は「ある金額より上には増えない」仕組みです。
稟議で問われやすいのは、「最大でいくらか」のほうです。
逓減しかない料金表なら、最大額は件数の想定次第で決まります。
そこで、過去の実績から件数が最も多かった月を拾い、その件数で月額を試算して、上限の代わりの目安にしておく方法があります。
ID課金でも考え方は同じで、増加計画の最終年度のID数で試算した額が、その計画のもとでの最大額になります。
根拠のある前提から出した最大額があれば、上限がない料金でも説明の筋道を立てられます。
| 比べる点 | 段階単価の逓減 | 月額の上限(キャップ) |
|---|---|---|
| 仕組み | 件数が増えるほど1件あたりの単価が下がる | ある金額より上には請求が増えない |
| 件数が増え続けたとき | 月額は増え続ける(増え方は緩やか) | 上限額で止まる |
| 確認した公式料金表での記載 | ネクストエンジンに帯別単価あり | 3提供元とも記載なし |
| 稟議での扱い | 件数が最も多い月で試算し想定最大額にする | 上限額と対象費用を書面で確認する |
▼ 図の内容を文字で読む
- 基本料金 20,000円(管理者IDと得意先・店舗ID各1個を含む)
- 担当者ID 4個 × 2,000円 = 8,000円
- 得意先・店舗ID 追加49個 × 600円 = 29,400円
- 合計 57,400円/月(税別)
月額固定・従量・個別見積もりを、拠点数と取引量でどう選び分けるか
3形態の比較表
ここまで見た3つの提供元を、同じ軸で並べます。
月額はいずれも税抜(税別)の表示で、ネクストエンジンの年間保守費は年額のため月額とは分けて記しました。
並べているのは料金の組み立て方の違いで、どれが優れているかの順位ではありません。
表の中で判断が分かれるのは、「月額が増える要因」の行です。
前の節で見たとおり、同じ多拠点化でも、ID課金では拠点や取引先の増加が、件数課金では注文の増加が月額に効きます。
自社で今後増えるものがどちらなのかによって、同じ料金表が読みやすくも読みにくくもなります。
個別見積もり型は料金表がないぶん、提供元が掲載している事例が手がかりになります。
TS-BASE 受発注の料金ページには6件の事例が載っており、初期費用は50万〜150万円、月額は14万〜40万円と幅があります4。
いずれも匿名の見積もり例で、プランの組み合わせや構成によってこれだけ差が出る、という例として読むものです。
自社の構成がどの事例に近いかは、事例の金額ではなく、見積もりの内訳から判断することになります。
拠点数・取引量別の考え方
月額固定と従量課金は、対立する2つの型のように語られることがあります。
ですが、確認した料金表はどれも、固定の基本料金に何かの数で加算する組み合わせでした。
違いは、加算の対象が契約時に決めやすい数か、月ごとに変わる数かにあります。
IDの数は担当者や取引先を登録した時点で決まり、増やさない限り毎月同じです。
受注件数は、注文の多い月と少ない月で変わります。
つまりID課金は、数を変えない限り月額固定に近い動き方をします。
この見方から、選び分けの手がかりを次のように整理できます(編集部の考え方)。
<ul><li>拠点や取引先が増える見込みがあり、注文の量は月によって大きく振れる:ID課金のほうが月ごとの請求は読みやすいです。
ただし拠点・取引先を増やすたびに月額が上がるので、増加計画を試算に入れます。</li>
<li>拠点や取引先の数は安定していて、注文の量も月ごとの振れが小さい:件数課金でも月額は読みやすいです。
件数の多い月が想定を超えたときの増え方を確認しておきます。</li>
<li>拠点ごとに業務のやり方が違い、標準の料金表に合わない部分が多い:個別見積もり型で構成を詰める余地があります。
その代わり、何に対していくらかかっているかを見積書の内訳で確認する必要があります。</li></ul>
拠点の多い組織では、拠点ごとの業務の違いが課金単位の数え方にも影響します。
たとえば、本部でまとめて発注する拠点と、各拠点の担当者が直接発注する拠点が混在しているとします。
この場合、システムを使う担当者の数も、システム上で数えられる注文の件数も、どちらの運用に寄せるかで変わり得ます。
料金表を比べる前に、拠点ごとに「誰が・どこへ・月に何件くらい」注文をやり取りしているかを書き出しておきます。
そうすれば、どの課金単位の見積もりでも、試算に必要な数を自社の側で用意できます。
| 比べる点 | らくうけーる | ネクストエンジン | TS-BASE 受発注 |
|---|---|---|---|
| 課金単位 | 基本料金+担当者ID・得意先/店舗ID、FAX送信枚数 | 基本料金+月間受注件数の帯別単価 | 構成に応じた個別見積もり |
| 月額が増える要因 | 担当者・得意先/店舗の増加とFAX送信 | 受注件数の増加 | 公開情報からは不明 |
| 公式に確認できた月額上限 | 記載なし | 記載なし(最上位帯は件数上限なし) | 記載なし |
| 月額以外の費用 | FAX送信は1枚10円の従量 | 年間保守費15,000円(年額) | 初期費用を含め見積もりで確認 |
| 料金の公開 | 公開 | 公開 | 非公開(事例6件を掲載) |
▼ 図の内容を文字で読む
- 200件まで
- 基本料金 月額3,000円に含まれる
- 201〜400件
- 帯に入った件数にだけ1件35円
- 401〜10,000件
- 帯ごとの単価(料金表で確認)
- 10,001件以上
- 1件5円
- 件数の上限はない
見積もり依頼で、受発注システムの総額を読み違えないために確認する項目
課金単位と追加単価
ここまでの試算で、公開情報だけでは埋まらなかった空欄がいくつか残りました。
らくうけーるの100個以上の単価の適用方法、ネクストエンジンの受注件数を自社の注文にどう当てはめるか、TS-BASEの課金単位そのもの、そしてどの提供元にも書かれていなかった月額上限です。
見積もり依頼は、こうした空欄を埋める場として使えます。
課金単位については、次の点を聞いておくと試算の前提がそろいます。
<ul><li>基本料金に含まれるIDの種類と数、件数の範囲</li><li>IDや件数を追加するときの単価と、単価が変わる境目</li><li>境目を超えたとき、新しい単価が超えた分だけにかかるのか、全体にかかるのか</li><li>自社の拠点・担当者・取引先が、それぞれどの単位で数えられるか</li></ul>
最後の点は、自社が発注側か受注側かで答えが変わります。
注文を出す側なのか、受ける側なのか、両方なのかを最初に伝えると、提供元も数え方を具体的に答えやすくなります。
拠点ごとのやり取りを書き出したメモがあれば、それをそのまま見積もり依頼に添える方法もあります。
上限・超過・別建て費用
上限と超過、月額以外の費用については、次の点を確かめます。
<ul><li>月額の上限を設けられるか、設けられる場合はどの費用が対象でどの費用が対象外か</li><li>想定した件数やID数を超えた月に、請求がどう計算されるか</li><li>保守費、オプション、FAX送信のような従量分など、月額とは別に請求される費用の有無と請求時期</li><li>表示額が税抜か税込か</li></ul>
上限についての回答は口頭で済ませず、見積書や契約書類に記載してもらうよう依頼しておきます。
そうすれば、稟議で「最大でいくらか」を問われたときに、そのまま根拠として示せます。
上限がないという回答だった場合も、それ自体が判断材料です。
その場合は、件数やIDが最も多くなる月の試算を、稟議の想定最大額として添えます。
別建て費用は、年額や一時金で請求されるものが月額の比較から漏れやすい部分です。
ネクストエンジンの年間保守費は、契約から1年たってから前年分として請求されます2。
どの年度の予算に載せるかは、この請求時期を踏まえて決めることになります。
らくうけーるでは税別、ネクストエンジンでは税抜で表示されているため、税込で予算を組む場合は自社の経理ルールに沿って換算します12。
起算日・契約期間
料金がいつから発生するかも、提供元によって違います。
らくうけーるでは、月額料金は利用開始日の翌々月1日から起算され、FAX送信などの従量料金は利用開始日から起算されます1。
導入準備や試験運用の期間には、従量分だけが先に発生し得るということです。
初年度の支払額を月額×12か月で見積もると、こうした起算日のずれが反映されません。
最低利用期間や解約の条件は、らくうけーるの料金ページには書かれていませんでした1。
料金表に載っていない条件は、契約書類で確認することになります。
拠点を段階的に増やす計画があるなら、途中で拠点や担当者を減らした場合にIDを減らせるか、減らした月から請求に反映されるかも合わせて聞いておきます。
そうしておけば、計画が変わったときの費用も読めます。
見積もりの回答がそろったら、各社の見積書の行を、最初の節で分けた4つの単位に振り分け直します。
そのうえで、現状の数と増加後の数の2通りで月額と年額を計算します。
ここまで済めば、稟議に載せる金額を「この前提でこの額、最大でこの額」と説明できます。
▼ 図の内容を文字で読む
- 段階単価の逓減
- 件数が増えるほど1件あたりの単価が下がる
- 月額は増え続ける(増え方は緩やか)
- 月額の上限(キャップ)
- ある金額より上には請求が増えない
- 確認した公式料金表には記載なし
- 稟議での扱い
- 件数が最も多い月で試算し、想定最大額にする
- 上限額と対象費用を書面で確認する
見積もりの課金単位は提供元ごとに違い、自社の拠点・担当者・取引先・注文件数をどの単位に当てはめるかは、発注側か受注側かでも変わるため、手元の資料だけでは整理しきれないことがあります。
手元の見積書と拠点ごとの受発注の流れをもとに、各行の課金単位への振り分けと、現状・増加後の2通りで試算するための前提を一緒に確かめられます。無料相談で要件を整理する
要点の整理
| 軸 | 基準 |
|---|---|
| 課金単位 | 見積書の各行をID数・受注件数・利用量・個別見積もりに振り分けて比べる |
| 増加要因 | 拠点・取引先・注文のどれが増えると月額が上がるかを、現状と増加後の2通りで試算する |
| 上限 | 確認した公式料金表には記載なし。有無・対象費用・超過時の扱いを書面で確認する |
| 別建て費用 | 年間保守費・従量分・オプションを、請求時期とともに月額と分けて計上する |
| 起算日 | 月額と従量で起算日が違う場合は、初年度の支払額に反映する |
▼ 図の内容を文字で読む
- 拠点・取引先が増える見込みで、注文量は月ごとに大きく振れる
- ID課金のほうが月ごとの請求は読みやすい
- 増加計画を試算に入れる
- 拠点・取引先の数が安定し、注文量の振れも小さい
- 件数課金でも月額は読みやすい
- 件数の多い月が想定を超えたときの増え方を確認する
- 拠点ごとに業務のやり方が違い、標準の料金表に合わない
- 個別見積もり型で構成を詰める余地がある
- 何にいくらかかるかを見積書の内訳で確認する
▼ 図の内容を文字で読む
- 拠点ごとに誰が・どこへ・月に何件やり取りしているかを書き出す
- 発注側か受注側かを伝え、課金単位と数え方を聞く
- 上限の有無・対象・超過時の扱いと、別建て費用を書面で確認する
- 起算日と契約期間、IDを減らす場合の扱いを確認する
- 現状と増加後の2通りで月額と年額を計算する
月額上限の有無や対象費用、別建て費用の請求時期、起算日は公開料金表だけでは埋まらず、見積もり依頼の前に聞く項目を自社の事情に合わせて絞っておく必要があります。 確認項目のうち自社の総額に影響の大きいものはどれか、稟議に載せる想定最大額をどの前提で組むかを相談できます。
よくある質問
従量課金の受発注システムは、拠点が増えると必ず高くなりますか?
必ずではありません。
何に課金されるかで変わります。
ID課金なら、拠点の増加にともなって担当者IDや得意先・店舗IDが増えれば月額が上がります。
件数課金なら、拠点が増えても受注件数が同じなら月額は変わりません。
ただし拠点が増えると注文も増えることがあるため、現状と増加後の2通りで試算すると、どの程度増えるかを数字で確かめられます。
段階単価(件数が増えるほど単価が下がる)は、上限と同じ意味ですか?
同じではありません。
段階単価の逓減は、件数が増えたときの月額の増え方を緩やかにする仕組みです。
各帯の件数に単価をかけた額は足し上げられていくので、月額は件数とともに増え続けます。
上限は、ある金額より上には請求が増えない仕組みです。
確認した公式料金表には月額上限の記載はありませんでした。
見積もり時に「月額の上限」を書面で確認するには、何を聞けばよいですか?
上限を設けられるかどうかに加えて、どの費用が上限の対象でどの費用が対象外か、想定を超えた月の請求がどう計算されるかを聞きます。
保守費やFAX送信のような従量分が対象外だと、支払総額は上限を超えます。
回答は見積書や契約書類に記載してもらうよう依頼しておくと、稟議の根拠として使えます。
初期費用がかからないプランでも、別に発生する費用はありますか?
あり得ます。
たとえばネクストエンジンは初期費用がかからない一方、年間保守費用15,000円(税抜)が契約から1年経過後、毎年の契約月に前年分として請求されます。
らくうけーるではFAX送信が1枚10円の従量で加算されます。
オプションや独自カスタマイズに別途費用がかかるとする提供元の解説もあるため、月額以外の費用の有無と請求時期を見積もりで確認します。
年間保守費や税抜表記は、稟議の金額にどう反映すればよいですか?
月額×12か月とは別の行に、年額の費用として載せます。
請求される時期が契約から1年後などであれば、どの年度の予算に入るかも合わせて示します。
確認した料金表は税抜・税別の表示だったため、税込で予算を組む場合は自社の経理ルールに沿って換算します。
月額と従量で起算日が違う場合は、初年度の支払額にもそのずれを反映させます。
- 1 出典:JFEテクノス株式会社「らくうけーる ご利用料金」(2026年閲覧)
- 2 出典:NE株式会社「ネクストエンジン 料金プラン」(2023年改定、2026年閲覧)
- 3 出典:株式会社竹田印刷「Webの受発注システムの選び方とコストの目安」(2026年閲覧)
- 4 出典:株式会社竹田印刷「TS-BASE 受発注 料金ページ」(2026年閲覧)
- 5 出典:竹田印刷株式会社「初めてでもわかる受発注システムの費用!見方と選び方・注意点」(2024年)
画像の出典元
- Hands organizing business documents and pricing formula papers on an office desk./Photo by Leeloo The First on Pexels