◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- 5階層までが得意先の組織階層に応じた卸価格切替の対応上限で、段ごとに稟議を立て直さずに済みます1
- 41.0%が稟議の承認に関わる人の多さを課題に挙げ、35.9%が起案前の相談や根回しの時間を挙げています5
- 53.5%の価格転嫁率は全業種の平均で、卸売業だけを取り出した値ではありません4
- 100,000円(税抜)がEC-Rider Primoの初期費用、20万円がStandard・Proの初期費用で、扱う規模で選び分けられます23
- 3日が申込から利用開始までの最短日数で、設計を試してから本番の稟議へ進めます2
目次

卸価格改定の稟議はなぜ止まるか
卸価格改定の稟議とは、得意先ごとの卸価格の変更内容を社内で承認する手続きです。卸価格改定の稟議が止まる原因は、価格の中身ではなく「承認の経路」にあります。数字を見ます。73.5%、つまり10社のうち7社を超える割合が、承認までに1日以上を要していました5。得意先の組織階層を受発注システムへ持たせ、稟議へ回す対象を絞る手が先に立ちます。
価格転嫁率の全体像
火曜の午後、営業企画の島に響く紙をめくる音。得意先ごとの新しい卸価格を並べ、「決裁の順路」を鉛筆でなぞる手が進みます。数字を置きます。53.5%が価格交渉促進月間フォローアップ調査における価格転嫁率で、これは全業種の平均であり、卸売業だけを取り出した値ではありません4。費目で見ます。55.0%が原材料費、50.0%が労務費の転嫁率で、同じ調査の中でも水準が分かれていました4。
稟議承認までの所要日数
承認そのものに要る日数も、改定の実施日を左右します。社内稟議の実態調査を見ます。73.5%が稟議の承認までに1日以上を要した割合で、10社のうち7社を超える水準にあたります5。52.5%が承認に2〜3日を要した割合で、即日で終わる場合と比べると告知の準備は押されます5。改定が「必ず」遅れるとまでは言えませんが、締切から逆算できる余地は細っていきます。
得意先ごとに稟議を立て直す手間は、担当者が別の商談へ回せたはずの時間という費用として積み上がります。
部門調整に要る日数と関与者の数
承認関与者が多いという課題
卸価格の改定は、営業・経理・システムの三部門が同じ紙を別々の目で確かめる仕事です。営業は得意先との合意価格を、経理は請求書の様式と売掛の計上を、システムは価格マスタの登録と反映日を見ます。同じ得意先の同じ改定を三度確かめる形になり、「重複した確認」がそのまま承認の列を長くします。調査を見ます。41.0%が稟議の承認に関わる人が多すぎるという課題を挙げた割合で、他の課題と並べても高いほうにあります5。
関与者が多いこと自体は、卸価格では避けにくい面があります。得意先ごとの掛率は契約に紐づき、請求の締めや端数処理にも波及します。承認印の欄が増えるほど、稟議書のほうは立派になっていきます。先の割合は2024年に公表された調査の値です。問題は人数そのものより、同じ「確認」が何度も走ることのほうにあります。自社の直近1年の改定稟議を取り出し、1本あたり何人の承認印が並んだかを数えられますね。
根回しにかかる時間
稟議書を出す前の時間も、日数として積み上がります。誰に先に話を通すか、どの部門長の合意を先に取るかで、「差し戻し」の回数が変わります。数字を見ます。35.9%が稟議書の作成前の相談や根回しに時間がかかると答えた割合で、承認に関わる人の多さを挙げた割合よりは低い水準です5。書類に残らない時間である分、集計しても表には出てきません。
社外の価格交渉も、待っていて動くとは限りません。割合を置きます。34.6%が、発注側企業から申し入れがあって価格交渉が行われた割合で、過半には届いていません4。2025年の調査時点の値です。社外へ「申し入れ」を起こしながら、社内では根回しを重ねます。二重の調整が、改定の実施日をじわりと後ろへ寄せます。
52.5%が承認に2〜3日を要する状況のまま得意先ごとに1本ずつ立て続けるなら、改定の実施日はその本数の分だけ後ろへ並びます5。
得意先の組織階層に応じた卸価格管理
打ち手は、「価格の持たせ方」を変えるところにあります。本部と支社と店舗のように得意先の中で段が重なっている場合、いまは段ごとに別々の稟議を立てているはずです。ここを得意先の組織階層としてシステム側に登録し、階層に応じた卸価格を自動で切り替える形へ移します。切替の上限を確かめます。5階層までが対応できる得意先の組織階層の深さで、本部・支社・営業所・店舗と並べても余地が残ります1。
階層を持たせると、稟議へ回す対象そのものが減ります。改定のたびに得意先の数だけ起案するのか、「階層の定義」を一度決めて掛率だけを差し替えるのか。後者なら、承認を求める先は価格の決裁権を持つ部門へ絞られます。経理とシステムの確認は、階層の定義を決めた時点で済ませておけます。なおこの上限は2026年時点で公表されている値ですので、自社の得意先で本部と支社に卸価格が分かれている先が何件あるかを先に数えてください。
階層を持たせても、部門調整そのものはなくなりません。掛率の考え方が変われば、経理との確認は改めて要ります。ここで効くのは、確認の対象が「得意先ごとの価格」から「階層ごとの規則」へ移ることです。規則は件数が少なく、一度合意すれば次の改定でも使えます。稟議の本数を減らす道筋は、この置き換えから始まりますね。
ここから先は、稟議が止まる理由の順番と、規模ごとの卸価格の運用の細部。
得意先の組織階層を何段まで持たせるかは自社の得意先の組み方を見ないと決められないため、卸価格の稟議を減らす設計は個別の相談から始まります。
本部と支社で分かれている卸価格が階層に収まるか、稟議へ回す範囲をどこまで絞れるかを確かめられます。無料相談で要件を整理する
稟議が止まる理由と手を打つ順番
- 得意先の組織階層をシステムへ登録し、階層ごとの掛率で卸価格を切り替えて、稟議の対象そのものを減らす
- 価格の決裁権を持つ部門を先に決め、参考として回覧する部門と承認する部門を分ける
- 経理との確認事項を階層の規則の合意時にまとめ、改定ごとの再確認を省く
- 価格の反映日をシステム側で予約し、改定ごとの作業依頼を稟議から外す
- 階層から外れる個別価格は件数の上限を決め、上限を超えた分だけ稟議へ回す
この並びに優劣の順序はありません。
どこから着手できるかは扱う取引先の件数で変わりますので、規模ごとの運用を表で並べます。
規模で分ける卸価格の運用段階
| 運用の段階 | 登録できる取引先の数 | 稟議へ回す範囲 |
|---|---|---|
| 無料の試行で卸価格を確かめる段階 | 試行の枠の中 | 階層の定義を試すだけで起案は不要 |
| 営業・経理・システムの三部門で回す段階 | 有料プランの範囲 | 階層ごとの掛率の変更を起案 |
| 全社の取引先を一つの仕組みへ載せる段階 | 10,000件・30,000SKUまで2 | 階層の定義の変更のみ起案 |

無料の試行で卸価格を確かめる段階
得意先の数がまだ多くない段階では、稟議の本数より先に、階層の設計そのものが固まっていない場合が多くあります。ここで先に見るのは、自社の得意先の組み方が階層に収まるかどうかです。試せる範囲を確かめます。50件までが無料の試行で登録できる取引先の数で、代表的な得意先を選ぶには足りる規模です2。段数を決めずに登録を始めると、支社の名前が並んだだけの一覧が出来上がりますので、本部と支社の「掛率の差」を先に置いてから登録します。合わないところが出たら、階層の段数より例外価格の扱いを見直します。難易度は低く、工数は代表的な得意先を選んで登録する分にとどまります。
| 確かめる項目 | 試行での見方 | 本番へ移すときの判断 |
|---|---|---|
| 得意先の組織階層 | 本部と支社で卸価格が分かれる先を登録する | 階層の段数が足りるか |
| 掛率の切替 | 代表的な得意先で表示価格を確認する | 例外価格の件数 |
| 稟議の範囲 | 階層の定義だけを起案する | 決裁権を持つ部門の絞り込み |
試行の枠の中で階層の設計を試すには、どの得意先を選んで登録するかの見当が要るため、卸価格の切替を実際に触る前に相談しておくと手戻りが減ります。
代表的な得意先だけで掛率の切替を再現できるか、例外価格をどこへ置くかを整理できます。無料相談で自社の条件を持ち込む
営業・経理・システムの三部門で回す段階
三部門が同じ改定を別々に確かめている段階では、階層を入れてもすぐには確認の回数が減りません。営業は得意先との合意、経理は請求書の様式と売掛の計上、システムは価格マスタの登録と反映日を見ています。同じ得意先の同じ改定に「三度の確認」が残る限り、稟議の列は短くなりません。
ここでの基準は、稟議の本数ではなく、部門ごとに「確認する対象」が何に変わるかです。経理が見るのは得意先ごとの価格ではなく階層の規則、システムが見るのは個別の登録ではなく反映日の予約になります。合意の場を改定のたびに設けるのではなく、階層の定義を決める時にまとめて置けば、以後は差分の確認で足ります。難易度は中程度で、工数は三部門の合意の場を設ける分が中心です。
| 部門 | 改定のたびに確認していたこと | 階層を持たせた後に確認すること |
|---|---|---|
| 営業 | 得意先ごとの合意価格 | 階層ごとの掛率 |
| 経理 | 請求書の様式と売掛の計上 | 階層の規則の変更点のみ |
| システム | 価格マスタの登録と反映日 | 反映日の予約設定 |
三部門の確認が重なっている状態では、稟議の順路と確認の対象を同時に組み替える必要があり、部門調整の組み立てを外から見てもらう値打ちがあります。
経理とシステムの確認をどこへ寄せれば改定ごとの再確認を省けるか、順序の案を持ち帰れます。無料相談で自社の条件を持ち込む
全社の取引先を一つの仕組みへ載せる段階
全社の取引先を一つの仕組みへ載せる段階では、例外の多さが効いてきます。ここでの基準は、階層を持てるかではなく、階層から外れる個別価格をどこまで許すかです。「例外価格の上限」を設けずに受け入れると、階層の規則があっても結局は得意先ごとの稟議へ戻ります。上限の内側は登録だけで済ませ、超えた分だけ稟議へ回す形に決めておきます。難易度は高く、工数は例外価格の棚卸しと上限の合意へ最も多く割かれます。
| 運用の対象 | 全社運用での扱い | 稟議の要否 |
|---|---|---|
| 階層の定義 | 全得意先へ共通で適用 | 要 |
| 階層ごとの掛率 | 改定時に差し替え | 要 |
| 個別の例外価格 | 上限の内側は登録のみ | 上限内は不要 |

全社へ広げると例外の個別価格が一気に表へ出るため、どこまでを階層で束ね、どこから稟議へ回すかを詰める場が要ります。
例外価格の上限をどの水準に置けば運用が保つか、想定の件数を持ち込んで試算してもらえます。無料相談で自社の条件を持ち込む
要点の整理
| 決めること | 目安にする値 |
|---|---|
| 得意先の組織階層を持たせるか | 本部と支社で卸価格が分かれる得意先の件数 |
| 階層の段数 | 5階層の上限に収まるか1 |
| 稟議へ回す範囲 | 階層の定義と掛率の変更に限るか、得意先ごとに起案するか |
| 試行で確かめる規模 | 無料で登録できる取引先50件の範囲2 |
| 利用開始までの日数 | 申込から最短3日で始められるか2 |
| 社外の交渉との兼ね合い | 発注側からの申し入れを待つか、自社から起こすか |
卸価格の稟議に要る日数は部門の数だけでなく得意先の階層の持ち方でも変わるため、自社の条件を並べたうえで判断する場面が来ます。 稟議の本数がいまどれだけあり、階層を持たせると何本まで減らせるかの見積もりを引き出せます。
よくある質問
卸価格の改定稟議は必ず遅れるものですか
遅れると決まっているわけではありません。要る日数は、承認に関わる部門の数と、起案前の相談の量で変わります。得意先ごとに起案する運用では本数がそのまま日数へ効きますが、「階層の規則」だけを起案する運用なら、改定のたびの起案は差分に絞れます。自社の直近1年の起案本数を数えて、どちらに近いかを確かめてください。
価格転嫁率の数字は卸売業の実態として使えますか
先に挙げた転嫁率は全業種の平均であり、卸売業だけを取り出した値ではありません4。同じ調査の中でも原材料費と労務費で水準が分かれていました4。社内の説明資料へ載せる時は、「全業種の平均」であることを添えて使うほうが安全です。自社の業種別の実績があるなら、そちらと並べて示してください。
得意先の組織階層は何段まで持てますか
先に挙げた対応の上限までが、「得意先の組織階層」として登録できる深さです1。これはこの仕組み自身の対応範囲を示した値であり、他社の製品と比べた話ではありません。本部・支社・営業所・店舗のように、自社の得意先で何段が要るかを先に書き出し、収まるかどうかを確かめてください。
承認者を減らすと社内の統制は弱まりませんか
ここで動かすのは承認の対象です。得意先ごとの価格を一件ずつ承認するのか、「階層ごとの規則」を一度承認して以後は差分だけを見るのか。後者でも決裁権を持つ部門は関与し続けますので、確認が抜け落ちる形にはなりません。関与者の多さが課題に挙がっていたことと、統制の要否は別の話として扱ってください。
システム部門への依頼はどれだけ残りますか
価格マスタへ一件ずつ登録する依頼は、階層と掛率の設計へ寄せられます。残るのは「反映日」の予約と、例外価格の登録の確認です。改定のたびに依頼書を起こす運用から、改定日を先に登録しておく運用へ移せるかが分かれ目になります。直近の改定でシステム部門へ渡した依頼の件数を数えて、どこまで寄せられるかを見積もってください。
導入を稟議にかける前に何を固めておくとよいですか
階層の定義と、「例外価格」の扱いです。得意先の組み方を段で書き出し、どの段で掛率が変わるかを一覧にしておくと、費用の稟議と運用の稟議を分けて出せます。先に挙げた最短の利用開始日数を前提に、試行で確かめた結果を添えると、承認する側が確かめる項目は減ります2。
改定の効力日を得意先ごとにずらす必要がある場合はどうしますか
効力日の管理は、階層の設計とは分けて整理してください。まず直近の改定で、効力日が何通りに分かれたかを数えます。通り数が少なければ、「階層ごとの掛率」と組み合わせて扱えます。多い場合は、効力日をまとめられる組から先に寄せるほうが、稟議の本数は減らしやすくなります。
- 1 出典:株式会社フライトソリューションズ「EC-Riderお役立ちコラム『BtoB向けECサイトで取引先ごとに卸価格を切り替える』」(2026年) 経路
- 2 出典:株式会社フライトソリューションズ「EC-Rider Primo サービス紹介ページ・料金プラン条件」(2026年) 経路
- 3 出典:株式会社フライトソリューションズ「EC-Rider(BtoB EC受発注システム)料金プラン・費用ページ」(2026年) 経路
- 4 出典:中小企業庁「価格交渉促進月間(2025年9月)フォローアップ調査結果」(2025年) 経路
- 5 出典:弁護士ドットコム株式会社(プロフェッショナルテック総研)「社内稟議の実態調査」(2024年) 経路
画像の出典元
- 40代後半の日本人女性が備品棚の棚卸をしている場面/画像:生成AI(自社)
- A hand giving a thumbs up gesture symbolizes approval and po/Photo by Donald Tong on Pexels
- 3D rendered cartoon hand showing a thumbs-up with a black ba/Photo by cottonbro CG studio on Pexels