◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- 卸価格の見直しに営業日がかかるのは、値決めそのものが長いからではなく、決める前の条件確認と決めた後の反映・確認が別々の営業日に分かれて乗るためです
- 工程を書き出すと、規則で決まるため仕組みに任せられる部分と、人の判断が要る部分に分かれます
- 判断が要る工程だけに営業日を充て、反映と通知を仕組みへ寄せ、切替日をまたぐ注文を確かめる手順を残せば、精度を落とさず日数だけを縮められます
目次

卸価格の見直しは何営業日かかっているか
卸価格の見直しに営業日がかかるのは、価格を決める作業そのものが長いからではなく、決める前の条件の確認と、決めた後の反映と確認が、別々の担当・別々の営業日に分かれて乗っているためです。まず見直しの流れを工程に分け、どの工程が誰の手元で何を待っているかを営業日で書き出します。書き出した工程は、取引先ごとの単価の保持や反映のように規則で決まるものと、値引きの可否や例外条件の解釈のように人が判断するものに分かれます。規則で決まる工程を先に仕組みへ移し、判断が要る工程だけに営業日を充てる形へ組み替えると、全体の所要日数は縮みます。縮めた後も、切替日をまたいだ注文の単価が意図どおりかを確かめる手順を残せば、日数だけを減らして精度は保てます。
数える単位は作業時間ではなく営業日
見積依頼が届いてから新しい単価が使える状態になるまでを、時計の時間ではなく営業日で数えます。担当者が実際に手を動かしている時間が短くても、依頼が届いてから着手するまでの待ち、承認者の不在、反映を翌営業日に回す運用が重なれば、営業日は積み上がります。
つまり所要日数を縮める話は、一人ひとりの作業を速くする話ではなく、工程と工程のあいだの待ちを減らす話です。ここを取り違えると、担当者に急がせるだけで日数が変わらないという結果になります。
まず自社の実績を営業日で書き出す
直近の見直しをいくつか取り上げ、依頼を受けた日、条件が確定した日、承認が下りた日、単価が反映された日、反映を確認した日を横に並べます。日付を並べるだけで、どこで営業日が飛んでいるかが見えます。
取り上げる件数は多くなくてかまいません。取引先の規模や見直しの理由が異なる案件を混ぜておくと、あとで自社の取引形態ごとの違いを見分けやすくなります。
工程の並びと継ぎ目が見えたら、次はそのどれを仕組みへ寄せられるかを見極めます。
どの工程に日数がかかっているのか
見直しは受付から確認までの連なりで動く
卸価格の見直しは、見直し依頼の受付、取引条件の確認、単価の算定、社内の承認、単価マスタへの反映、反映結果の確認という順に進みます。ひとつの作業に見えていたものを、この粒度まで割ると、日数の乗り方が工程ごとに違うことが分かります。
日数が乗るのは工程そのものより継ぎ目
書き出してみると、営業日を消費しているのは工程の中身よりも継ぎ目であることが多くなります。条件の確認で取引先へ問い合わせて返信を待つ、承認者の手元で案件が滞る、反映はまとめて処理する運用のため次の処理日まで持ち越す、といった箇所です。
継ぎ目は担当者の努力では縮みません。誰かの返事を待つ継ぎ目は運用の取り決めで、処理日を待つ継ぎ目は仕組みで、それぞれ別の手当てが要ります。
仕組みへ寄せて日数を縮めたあとに残るのが、切替が正しく反映されたかという確認の問題です。
自動化できる工程とできない工程の違いは
分かれ目は規則で決まるか判断が要るか
自動化できるかどうかは、工程の難しさではなく、結果が規則で一意に決まるかどうかで分かれます。取引先ごとの単価を持っておくこと、決まった単価を注文画面や帳票へ反映すること、反映済みであることを関係者へ知らせることは、規則として書けるため仕組みに任せられます。
一方で、値引きをどこまで認めるか、契約書の条件をこの案件に当てはめてよいかといった判断は、規則の外側にあります。ここを無理に自動化しようとすると、例外処理が増えてかえって日数が延びます。
組織の階層で単価が決まる場合
得意先が本社と支店、支店と部門のように階層を持ち、その階層に応じて単価が変わる場合も、階層の構造が決まっていれば規則として扱えます。BtoB向けECサイトで取引先ごとに卸価格を切り替える仕組みでは、得意先の組織階層に応じた卸価格切替の対応上限は5階層です1。
自社の得意先の階層がこの範囲に収まるなら、階層ごとの単価の持ち方は人が都度あてはめる作業ではなく、設定として持たせられる部分だと判断できます。
判断が要る工程は残してよい
すべての工程を自動化する必要はありません。狙いは、人が判断すべき工程にだけ営業日を充てることです。判断の工程を残したまま、その前後の受け渡しと反映を仕組みへ寄せれば、待ちの営業日が削れます。
切替後の反映漏れはどう防ぐか
切替日をまたぐ注文を確かめる
日数を縮めたあとに起きやすいのが、切替日をまたいだ注文の単価が旧価格のままになる取り違えです。切替を適用する日を先に決め、その前後に入った注文を抽出して、適用された単価が意図どおりかを一覧で確かめます。
確認の対象は全件でなくてかまいません。単価を変えた取引先と、その取引先が階層を持つ場合の下位の取引先を含めれば、反映漏れは見つかります。
確認は工程の最後ではなく反映の直後に置く
確認をすべての作業が終わったあとに置くと、誤りが見つかったときに手戻りで営業日を失います。反映した直後に確認を置けば、誤りはその日のうちに戻せます。
あわせて、誰が確認したかを記録に残します。記録があると、次の見直しで同じ工程に日数がかかったときに、原因が確認の手順にあるのか、その前の判断にあるのかを切り分けられます。
営業日を縮める順序は、工程を営業日で書き出し、規則で決まる工程を仕組みへ寄せ、判断が要る工程だけに営業日を充て、切替日をまたぐ注文を反映の直後に確かめる、という流れになります。どれかひとつだけを実施しても日数は縮みにくく、書き出しから確認までを一続きの手順として運用に組み込むことが要点です。
工程の切り分けは自社の受発注の運用に踏み込むため、どこまでを設定として持たせられるかは仕組みの側の事情を知る相手と突き合わせたほうが早く決まります。
現在の見直しの工程と営業日の書き出しを持ち込めば、どの工程を設定に寄せられて、どの工程が手元に残るかを線引きした形で確かめられます。無料相談で要件を整理する
営業日が乗りやすい工程
- 取引条件の確認で取引先の返信を待つ時間
- 承認者の手元で案件が滞る時間
- 単価マスタへの反映を処理日まで持ち越す時間
- 反映結果の確認を他の作業のあとに回す時間
- 新しい単価を取引先や営業担当へ知らせる連絡の往復
この並びに優劣の順序はありません。
ここに挙げた工程のうちどれが重いかは、取引先の単価の決め方によって変わります。以下では取引形態の型ごとに見ていきます。

単価の決め方の型ごとに見る切り分け
| 型 | 営業日が乗りやすい工程 | 先に仕組みへ寄せる工程 |
|---|---|---|
| 取引先ごとに単価を固定している | 単価マスタへの反映と反映結果の確認 | 取引先ごとの単価の保持と反映 |
| 組織の階層で単価が決まる | 下位の取引先まで反映が及んだかの確認 | 階層に応じた単価の切替と通知 |
| 都度見積で単価を決める | 取引条件の確認と社内の承認 | 見積内容の受け渡しと承認の記録 |
取引先ごとに単価を固定している場合
判断は少なく、反映と確認に日数が乗る
取引先と単価が一対一で結び付いている場合、値決めの判断そのものは短く終わります。日数が乗るのは、決まった単価をマスタへ入れ直す作業と、それが正しく入ったかを確かめる作業です。
単価の保持と反映を仕組みに持たせれば、この型はほとんどの工程を自動化の側へ寄せられます。人の手元に残るのは、改定の可否を決める判断と、反映後の抜き取り確認だけです。

単価の保持と反映を設定へ移せるかどうかで、この型の所要日数はほぼ決まるため、移せる範囲を先に確かめる価値があります。
取引先の数と単価の管理表を示せば、そのまま設定として持てるか、持ち方を整える必要があるかを確かめられます。無料相談で自社の条件を持ち込む
本社と支店など組織の階層で単価が決まる場合
確認の対象が下位まで広がる
階層を持つ得意先では、本社に適用した改定が支店や部門にも及ぶのか、及ばないのかを取り決めておく必要があります。取り決めが曖昧だと、反映後の確認で一件ずつ照らし合わせることになり、営業日が延びます。
階層に応じた切替に対応する仕組みを使う場合は、自社の得意先の階層の深さが対応範囲に収まるかを先に確かめます。収まるなら階層ごとの単価は設定として持たせられ、確認は下位の取引先を含む抽出で足ります。
| 確かめる事柄 | 確かめ方 |
|---|---|
| 階層の深さ | 自社の得意先の組織階層が仕組みの対応範囲に収まるか |
| 改定の及ぶ範囲 | 上位の改定を下位へ引き継ぐか、下位に個別の単価を置くか |
| 反映の確認 | 改定した得意先と、その下位の取引先を含めて抽出する |
自社の得意先の階層の深さと、改定を下位へ引き継ぐ取り決めが、仕組みの対応範囲に収まるかどうかを先に判定する必要があるためです。
得意先の組織図と現在の単価の適用範囲を持ち込めば、階層ごとの切替として表せるか、個別の単価として持つべきかを確かめられます。無料相談で自社の条件を持ち込む
都度見積で単価を決める場合
判断の工程が重く、自動化の余地は前後にある
案件ごとに条件を読み解いて単価を出す型では、値決めの工程そのものは人の判断に属します。ここを自動化しようとすると例外が増えるため、判断は残す前提で組み立てます。
縮められるのは前後です。見積依頼の受け取りと必要な情報の揃え方を定型にし、承認の依頼と記録を仕組みに乗せれば、判断を待つ以外の営業日は減ります。

判断の工程は残す前提になるため、その前後のどこに仕組みを入れれば待ちが減るかは、実際の見積の流れを見ないと決められません。
見積依頼から承認までのやり取りを持ち込めば、定型にできる受け渡しと、人の判断として残す部分の境目を確かめられます。無料相談で自社の条件を持ち込む
要点の整理
| 軸 | 基準 |
|---|---|
| 数える単位 | 作業時間ではなく営業日で数える |
| 切り分けの基準 | 結果が規則で一意に決まるか、人の判断が要るか |
| 仕組みへ寄せる工程 | 取引先ごとの単価の保持、反映、関係者への通知 |
| 人に残す工程 | 値引きの可否の判断、例外条件の解釈、反映後の確認 |
| 階層を持つ得意先 | 自社の階層の深さが仕組みの対応範囲に収まるかを先に確かめる |
| 切替後の確認 | 切替日をまたぐ注文の単価を、反映の直後に抽出して確かめる |
営業日の短縮は仕組みの導入だけでは完結せず、確認の手順をどこに置くかまで含めて設計する必要があるためです。 切替日の決め方と反映後の確認の手順まで含めて、自社の運用に置き換えた場合の流れを確かめられます。
よくある質問
取引先ごとに単価が違っても仕組みに任せられますか
単価の決まり方が規則として書けるなら任せられます。取引先と単価が一対一で結び付いている場合はもちろん、本社と支店のように組織の階層で単価が変わる場合も、階層に応じて卸価格を切り替える仕組みがあります。任せられないのは、値引きの可否のように案件ごとの判断が入る部分です。
営業日を縮めると価格の誤りが増えませんか
縮める対象を待ちの時間に限れば増えません。人の判断の工程を省いたり、確認の手順を外したりすると誤りは増えます。判断と確認は残したうえで、反映や通知といった規則で決まる工程を仕組みへ寄せるのが順序です。
まず何から着手すればよいですか
直近の見直しについて、依頼を受けた日から反映を確認した日までを営業日で書き出すところからです。どの継ぎ目で日数が飛んでいるかが分かってから、自動化の範囲を決めます。書き出す前に仕組みを選ぶと、重くない工程を自動化することになりがちです。
承認の工程は省けますか
承認そのものを省く判断は価格の管理上の話であり、日数の話とは分けて考えます。日数の観点で手当てできるのは、承認を依頼する手順と、承認が下りたことを次の工程へ伝える手順を仕組みに乗せて、待ちを短くすることです。
- 1 出典:株式会社フライトソリューションズ「BtoB向けECサイトで取引先ごとに卸価格を切り替える」(2026年) 経路
画像の出典元
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- A tranquil cascade waterfall flowing over smooth rocks, capt/Photo by Connor Scott McManus on Pexels
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- 50代後半の日本人男性が見積書の照合をしている場面/画像:生成AI(自社)