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卸価格改定リスクと規模別の対応分岐

◆監修・編集責任者 小園 将隆 

B2B EC-COLUMN

この記事のポイント

  • 5階層までの割り当てに対応できるため、得意先ごとの価格表を一枚ずつ作り直す必要はありません2
  • 10,000件がEC-Rider Primoの有料プランで扱える取引先数の上限で、自社の得意先数が内か外かが最初の分かれ目です4
  • 3位という卸売業の位置が示すとおり、価格転嫁のしやすさは業種の並びの上位にあり、据え置きの理由を商習慣に求めにくくなっています1
  • 小規模の卸と大規模の卸では初期費用の桁が一つ違うため、自社がどちらの体系に当たるかを先に決めてください

Close-up of rustic railway tracks intersecting in Norra Skar
▽ 写真の出典元

卸価格を据え置く数量的リスク

卸価格を据え置くとは、原価が変動しても得意先向けの卸価格表を改定せず、旧価格のまま出荷を続けることです。卸価格の改定は、得意先ごとに価格表を作り直すのではなく、得意先の組織階層へ卸価格を割り当てる形へ移すと負担が下がります。扱う品目数と取引先数の上限、そして階層の深さを先に数え、それから費用の桁を選んでください。

朝八時の、倉庫に面した事務所。刷り上がったばかりの卸価格表がまだ温かいまま机に積まれ、担当者が一枚ずつ得意先の名前と照らし合わせています。「この得意先は旧価格のままだ」と付箋を貼り替える動きが、始業前の十数分を占めます。据え置きの怖さは、上げない判断そのものよりも、上げられない状態が固定することにあります。

改定の工数は、品目数と得意先数の掛け算で増えていきます。数で見ます。3,800品種が、法人向け販売サイトで日東電工CSシステム株式会社が扱う製品の品種数で、2018年時点の値です5。一品種ごとに得意先別の卸価格がぶら下がるため、「転記」の量は自社の得意先数を掛けた数になります。手元の価格表の枚数と見比べてみてください。

得意先数と品目数を掛けた回数だけ、毎月の人件費として支払い続けているのが、卸価格を上げられない現場の実態です。

卸売業は価格転嫁の順位で3位にいる意外

価格転嫁が進まない理由を業界の商習慣に置くと、手を打つ先を見誤ります。中小企業庁の調査をJ-Net21の記事で見ると、価格転嫁してもらいやすい業種の並びで卸売業は上位に入っています1。「うちの業界は上げにくい」という前提のほうが、実態と食い違っている場合があります。詰まっているのは交渉ではなく、改定を反映する段取りのほうかもしれません。

順位を確かめます。3位が、全業種の並びの中での卸売業の位置で、2025年の調査に基づきます1。上位にいながら手元の卸価格が動かないのであれば、「交渉は済んだのに価格表が古いまま」という段取りの詰まりに目を向けたほうが早いと見られます。

卸価格の改定は、「原価の確認」から始まり、卸価格表の更新、適用日の設定、得意先への通知という順に進みます。この四つのうち、どれか一つでも人手の照合に頼っていると、そこで全体が止まります。付箋の色だけが増えて正しい卸価格が増えないという、やや報われない事態も起こります。担当が替わったときに手順が引き継がれない弱さも、この人手の工程に集まりますね。

そこで、得意先ごとの価格表を個別に持つ形から、得意先の組織階層へ卸価格を割り当てる形へ寄せます。階層で持てば、改定のときに触るのは階層の数だけで済み、得意先が増えても作業量はほとんど変わりません。「どの階層にどの卸価格を出すか」を一度決めておけば、あとは注文のたびに切り替わります2

400万円という初期費用の下限は、EC-Riderの小規模カスタマイズのモデルケースで示された2026年時点の額で、手作業を続けた場合の毎年の人件費と並べて初めて高いか安いかが決まります3

原価の確認、卸価格表の更新、適用日の設定、得意先への通知の順に進み、人手の照合が入る工程で全体が止まることを表しています。
原価の確認から得意先への通知までを四つの工程に分けて示した図です。

得意先階層ごとの卸価格切替という制約

得意先ごとに価格表を持つのではなく、得意先の組織階層へ卸価格を割り当てます。この形なら、本社と支店、支店と店舗のように階層のある得意先でも、階層ごとの卸価格を一度決めるだけで足ります。ただし割り当てられる階層の数には上限があり、「何階層まで分けられるか」は仕組みを選ぶ前に確かめる項目です。

上限を見ます。5階層が、得意先の組織階層に応じて卸価格を切り替えられる対応上限で、2026年時点の値です2。自社の得意先のうち最も階層の深い一社を数えて、この上限の内に収まるかを確かめてください。収まらないなら、「どの階層をまとめるか」を先に決める作業が要ります。

商品数と取引先数にも上限があります。30,000SKUがEC-Rider Primoの有料プランで扱える商品数の上限、10,000件が同じプランで扱える取引先数の上限で、いずれも2026年時点の条件です4。自社の登録品目数と得意先数を直近一年分で数え、この二つと並べると「うちは上限の内か」がその場で判じられます。上限の内なら既成のプランで足り、外なら作り込みの相談になります。

「あといくらかかるか」を決めるのは、階層の数と商品数と取引先数の三つです。ここを数え終えてから、費用の桁を選べますね。

得意先の階層を決め、階層ごとの卸価格を割り当て、商品数と取引先数の上限を確かめる三段階を表しています。
階層の決定から上限の確認までを三段階に分けて示した図です。

多品目卸の卸価格改定にかかる負担

品目数が増えるほど、卸価格の改定は「一度に全部」では回らなくなります。原価の上がった品目だけを先に動かし、残りを次の改定へ回す運用が必要になります。そのとき効くのが、先に品目を絞るか、先に得意先の階層を決めるかという順番の決め方です。

3,800品種・3,000社規模の卸価格運用

規模を数で押さえます。3,000社が日東電工CSシステム株式会社の全国の販売加盟店の数で6、法人向け販売サイトに並ぶ製品は先に挙げた品種数にのぼります5。加盟店一社あたりの取扱いが数品種でも、組み合わせは「掛け算」で膨らみます。

加盟店数は2020年時点の値です。この規模になると、得意先ごとに価格表を作る運用は保ちません。「うちは何社か」を先に数え、桁が一つ小さいなら既成のプランで足りる見込みが立ちます。

2万点規模のBtoB EC移行に伴う卸価格の見直し

移行のときに悩ましいのは、卸価格をどこまで作り直すかという範囲です。点数で見ます。20,000点ほどが、株式会社ポディウムがBtoB ECサイトで扱う商品点数です7。「全点を一度に見直す」か「原価の動いた品目から順に見直す」かで、移行にかかる期間が変わります。

この点数は2025年時点の値です。移行を機に体系をまとめ直すなら、旧システムの価格表をそのまま移さず、階層への割り当てへ置き換える判断が要ります。どちらを取るかは、改定の頻度と、得意先からの「前と同じ値段で」という要望の強さで決めてください。

ここから先は、卸価格の体系を小規模と大規模のどちらで組むかに分けて、費用と手順を詳しく見ていきます。

多品目を抱えたまま卸価格を改定すると、どの品目から手を付けるかを自社だけでは決めきれず、品目数と得意先数の組み合わせを一緒に棚卸しする相手が要ります。

自社の品目数と得意先の階層が既成のプランの上限に収まるのか、作り込みが必要になるのかが分かります。無料相談で要件を整理する

卸価格の改定で先に手を付ける順序

  • 得意先の組織階層へ卸価格を割り当て、得意先ごとの価格表を作り直す運用をやめる
  • 品目ごとの原価と卸価格の対応を一か所へ集め、改定の対象品目を抜き出せるようにする
  • 改定の適用日を得意先ごとに分けて持ち、通知と出荷の締めをそろえる
  • 販売加盟店を全国に持つ体系では、加盟店の階層を決めてから卸価格を割り当てる
  • 手作業の価格表を残す範囲を決め、例外の得意先だけを別に管理する

この並びに優劣の順序はありません。

同じ順序でも、得意先の数と階層の深さによって手の付けどころが変わりますので、次の表で自社に近い体系を選んでください。

40代前半の日本人女性が発送控えのファイリングをしている場面
▽ 写真の出典元

自社の卸価格体系はどちらに近いか

見分ける手がかり 得意先数が上限の内に収まる小規模卸 得意先が階層を持ち全国に広がる大規模卸
得意先の数え方 名寄せせずに一覧で数え切れる 本社と支店を分けて数える必要がある
卸価格の切り替え 得意先ごとの価格表で足りる 組織階層へ割り当てて切り替える
改定の進め方 原価の動いた品目から随時 適用日を決めて一斉に反映
費用の見積り 小規模カスタマイズの範囲 大規模カスタマイズの範囲

小規模卸の卸価格体系

得意先の一覧を名寄せせずに数え切れるなら、階層の作り込みへ急ぐ必要はありません。この規模では、卸価格を「得意先ごとの価格表」で持っても、改定のたびに触る枚数が現実的な範囲に収まります。先に決めるのは、原価が動いたときに誰が価格表を直すかという担当です。

担当を決めたら、費用の桁を見ます。70,000円が、EC-Riderの小規模カスタマイズにおける月額費用の下限で、2026年時点の値です3。付箋と転記に使う時間を時給へ置き換え、「毎月いくら払っているか」をこの月額と並べてください。初期費用を含めた見積りは次の表にまとめます。

作業の難しさは「何枚あるか」を数え直すところが山で、担当が一人でも比較的短い期間で片づく規模とみられます。

確かめる項目 小規模卸での扱い
卸価格の切り替え単位 得意先ごとの価格表を持つ
改定のきっかけ 原価の動いた品目が出たとき
月額費用の下限 EC-Riderの小規模カスタマイズで70,000円3
初期費用の下限 EC-Riderの小規模カスタマイズで400万円3
先に数えるもの 得意先の数と価格表の枚数
50代前半の日本人女性が朝礼での連絡をしている場面
▽ 写真の出典元

得意先の数が限られる卸では、作り込みを増やすほど卸価格の改定が重くなるため、どこまでを既成の機能で済ませられるかを早い段階で確かめておく価値があります。

月額と初期費用の下限に自社の条件が当てはまるか、追加の費用がどこで発生するかを見積りの形で持ち帰れます。無料相談で自社の条件を持ち込む

大規模卸の卸価格体系

本社と支店で卸価格が違う得意先を抱えているなら、得意先の組織階層を洗い出すところから始めます。階層ごとの卸価格を決めておけば、「支店なのに本社の価格が出た」という取り違えが起きません。あわせて取引先数の上限を確かめ、改定の適用日を分けて持てるかも見ておいてください。

桁が変わります。1,500万円が、EC-Riderの大規模カスタマイズのモデルケースで示された初期費用の下限で、2026年時点の値です3。小規模の見積りと比べると初期費用の桁が一つ上がりますので、「どこまで作り込むか」を決めてから相談に入ってください。

作り込みの難しさは「どこで階層を切るか」に集まり、得意先の階層を洗い出す調査だけで数か月かかることも珍しくありません。

確かめる項目 大規模卸での扱い
卸価格の切り替え単位 得意先の組織階層へ割り当てる
階層の持ち方 本社と支店を分けて持てるかを確かめる
商品数の上限 EC-Rider Primoの有料プランで30,000SKU4
初期費用の下限 EC-Riderの大規模カスタマイズで1,500万円3
先に決めるもの 階層の切り方と改定の適用日
得意先の組織階層を洗い出し、階層ごとの卸価格を決め、取引先数の上限を確かめ、改定の適用日を分けるという手順を表しています。
組織階層の洗い出しから適用日の分け方までの手順を縦に並べた図です。

全国の得意先が組織階層を持つ卸では、階層の切り方を決めないまま見積りを取ると金額が動き続けるため、階層の設計から相談する必要があります。

自社の階層が対応上限の内に収まるか、収まらない得意先をどう扱うかまで詰められます。無料相談で自社の条件を持ち込む

要点の整理

決める項目 判断の目安
卸価格の持ち方 本社と支店で価格が違うなら組織階層へ割り当てる
仕組みの選び方 商品数と取引先数が有料プランの上限に収まるかで分ける
費用の見積り 小規模カスタマイズか大規模カスタマイズかで初期費用の桁が変わる
改定の進め方 原価の動いた品目から順に、適用日を決めて反映する
残す手作業 階層に収まらない例外の得意先だけに限る

卸価格の据え置きが続く場所が交渉なのか、改定を反映する段取りなのかは、いまの価格表と受注の流れを見せて初めて切り分けられます。 改定にかかる工数と費用の桁を、自社の得意先数と品目数に当てはめた形で見極められます。

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よくある質問

得意先ごとに卸価格を変えると、価格を知られたときに問題になりませんか

同じ品目で得意先ごとに卸価格が違うこと自体は珍しくありませんが、根拠を説明できる形にしておく必要があります。取引数量や支払条件など、階層を分ける基準を先に文章にしておくと、「なぜこの価格か」を営業担当が同じ言葉で答えられます。基準のない個別値引きだけは残さないでください。

階層の上限を超える得意先が一社だけある場合はどうしますか

全体を作り直すより、その一社だけを例外として別に管理するほうが安く済みます。先に挙げた上限に収まる得意先は仕組みへ載せ、はみ出す一社は担当者が手で見る運用に残してください。「例外はこの一社だけ」と言えなくなった時点で、改めて仕組みの見直しを検討します。

改定の通知はどこまで自動でできますか

卸価格表の更新と得意先への通知は分けて考えてください。価格の反映が自動でも、「いつから変わるか」の連絡は営業の言葉で届けたほうが納得を得やすくなります。適用日を先に決め、通知の文面と出荷の締めを合わせておくと、旧価格での受注が後から出てくる事態を減らせます。

品目数が上限に近いとき、何から減らせばよいですか

まず、直近一年で一度も注文のない品目を抜き出してください。廃番と季節品を分けて数えると、登録を落とせる品目が見えてきます。そのうえで「同じ品目を色やサイズで細かく登録していないか」を照合すると、品目数は思ったより下がります。

価格転嫁の交渉と、仕組みの見直しはどちらを先にやるべきですか

交渉で価格が決まっても、価格表へ反映できなければ手元の卸価格は動きません。先に挙げたとおり卸売業は転嫁してもらいやすい業種の上位にありますので、交渉と並行して反映の段取りを見直すのが現実的です。小さな改定を一度通してみて、「どこで止まったか」を洗い出してください。

◆監修・編集責任者

小園 将隆

株式会社フライトソリューションズ ECサービス部 マネージャー

BtoB通販のパッケージシステム「FSOL B2B Ⅱ」の導入支援をはじめ、製造業、卸売業をはじめとした法人向け通販サイト構築を多数手掛ける。卸売領域の専門知識をもとに、日本の商習慣に固有の課題をパッケージシステムの機能追加によって解決。BtoB流通の販路拡大を支援する。

  1. 1 出典:中小企業庁(J-Net21掲載)「価格交渉促進月間フォローアップ調査」(2025年) 経路
  2. 2 出典:株式会社フライトソリューションズ「EC-Riderお役立ちコラム『BtoB向けECサイトで取引先ごとに卸価格を切り替える』」(2026年) 経路
  3. 3 出典:株式会社フライトソリューションズ「EC-Rider(BtoB EC受発注システム)料金プラン・費用ページ」(2026年) 経路
  4. 4 出典:株式会社フライトソリューションズ「EC-Rider Primo サービス紹介ページ・料金プラン条件」(2026年) 経路
  5. 5 出典:株式会社フライトソリューションズ「EC-Rider B2B 導入事例(日東電工CSシステム株式会社)」(2026年) 経路
  6. 6 出典:株式会社ロジザード/EC-Rider B2B「導入事例 日東電工CSシステム株式会社様」(2020年) 経路
  7. 7 出典:株式会社フライトソリューションズ「EC-Rider B2B 導入事例(株式会社ポディウム様)」(2025年) 経路

画像の出典元

  1. Close-up of rustic railway tracks intersecting in Norra Skar/Photo by Albin Berlin on Pexels
  2. 40代前半の日本人女性が発送控えのファイリングをしている場面/画像:生成AI(自社)
  3. 50代前半の日本人女性が朝礼での連絡をしている場面/画像:生成AI(自社)

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◆この記事について

独自調査以外の一次情報は、省庁・公的機関を中心とした信頼性の高い情報源から引用し、出典を明記しています。
年次更新される統計については、引用元の最新版を確認したうえで掲載しています。

※この記事は上記の監修・編集責任者がAIの協力を得て制作しています。

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