◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- 5階層が、EC-Rider B2Bで得意先の組織階層に応じて卸価格を切り替えられる対応上限です
- 20万円がEC-RiderのStandard・Proプランの初期費用で、小規模なカスタマイズを加えると月額70000円が下限になります
- 3800品種を扱う法人向け販売サイトの事例があり、品目数が増えるほど価格表の升目も増えます
- 手を入れる先は、得意先の組織の段に単価を結び付ける持たせ方です
目次

価格改定の週に止まる受発注の現場
得意先別の卸価格で手戻りが起きる場所は、価格表の持たせ方にあります。得意先を一件ずつ並べるかわりに、組織の段へ単価を結び付け、上位で決めた卸価格を下位が引き継ぐ形にします。改定のたびに表を作り直す手順そのものを、設計から外す組み立てです。
朝八時、営業事務の机に積まれたFAXの束。紙をそろえる音が続くなか、担当者は得意先ごとのExcel価格表を開き、単価を一件ずつ照合していきます。価格改定の週になると、この照合が二重に走ります。「旧価格のままの注文書」が届き、自社で単価を書き換え、得意先へ確認の電話を入れる流れです。
手戻りが起きるのは、この確認の往復が終わったあとです。書き換えた単価を価格表へ戻し忘れると、次の受注で同じ照合をやり直すことになります。問われているのは担当者の手の速さではありません。「正しい単価が置かれている場所」が一つに定まっていない状態です。価格表の列は、増やすのは一瞬で、減らすには決裁が要ります。同じ品目の単価が、価格表とメール本文と注文書の三か所へ散らばりますね。
この確認の電話と書き戻しにかかる時間は、そのまま毎月の人件費として積み上がります。
卸価格業務で手戻りが生じる仕組み
手作業による価格表の運用
この人件費のもとには、得意先の数だけ列が増える価格表の持たせ方があります。列が増えた表は、改定のたびに全列へ同じ操作を繰り返す対象になります。ここで生じているのは入力の失敗ではなく、「同じ単価を何度も書く」という手順そのものです。転記が溜まっている場所を、取引先ごとに数えてみてください。
日東電工CSシステム株式会社は、法人向け販売サイトで多くの品種を扱う事例として公開されています。ひとつ、規模の見当を置きます。3800品種が、2018年時点でそのサイトが扱っていた製品の品種数です5。「品種が増えれば升目も増える」という掛け算が、価格表の大きさを決めます。自社の取扱品目と並べて、升目がいくつになるかを数えてください。
受発注に残るFAX・電話
受注の入口が紙と電話のままだと、価格表の更新より先に注文が届きます。旧価格か新価格かを、自社で一件ずつ判別することになります。「電話で確認してから入力する」という手順が、この判別の代わりに置かれています。入口が二つに分かれている限り、確認の往復は残ります。
この形は、いまも広い範囲で続いています。ひとつ、割合を挙げます。70~80%が、2019年の調査で中小企業の受発注をFAXで行う割合として示された数字です2。この割合は受発注の手段を示すもので、卸価格業務の手戻り率そのものではありません。自社の直近1年の受注を、FAX・電話・メール・画面の四つに分けて数えてください。
画面を通る取引が広がっていないわけでもありません。全体の水準を一つ置きます。43.1%が、2024年のBtoB-EC化率です1。1288684億円が、同じ年の卸売業のBtoB-EC市場規模です1。「うちだけが紙に残っている」とも「もう全部が画面へ移った」とも言えない水準ですから、自社の比率を先に出してください。
20万円で示されたEC-Riderの初期費用は一度きりの支出ですが、いまの価格表を続ける限り、改定のたびの作り直しは毎回発生します4。
得意先ごとに卸価格を切り替える階層設計
手を入れる先は、入力の速さではなく価格表の構造です。得意先を一件ずつ並べるのをやめ、本部と支店と事業所という組織の段に単価を結び付けます。上位で決めた単価を下位が引き継ぐ形にすれば、改定で書き換える場所は上位の一か所に寄ります。「どこを直せば全部に効くか」が決まっている状態を先に作ります。
対応できる深さには上限があります。5階層が、EC-Rider B2Bで得意先の組織階層に応じて卸価格を切り替えられる対応上限です(2026年時点)3。「本部・支社・支店・事業所」のように段を書き出すと、深さはすぐに出ます。自社の得意先のうち、最も段の深い一社が何段になるかを数えてください。上限を超える得意先があるかどうかが、この持たせ方を選べるかの分かれ目になります。
単価の置き場所が決まったら、次は商品点数の整理です。もう一つ、規模を置きます。25000品が、2020年時点で業務用通販サイトへ当初から揃えられた商品点数です5。「点数が多いほど当てはめる対象も増える」という関係は、価格の階層でも変わりません。自社の登録点数を先に数えておくと、着手の順番が決めやすくなりますね。
持ち込む点数を先に絞るかも、着手前に決めます。株式会社ポディウムの事例を借ります。20000点が、精査の前にBtoB ECへ登録していた商品点数です(2025年時点)6。「まず全部載せる」と決めると、価格の階層を当てはめる作業も全点に及びます。売れ筋から順に載せる進め方と、全点を載せてから整理する進め方があります。
卸価格の切替と初期費用の目安
選ぶときに見る場所は、機能の一覧よりも自社の段の深さと品目数です。得意先の段が浅く品目も少ないなら、価格表を丁寧に作り直す運用で足りる場面もあります。段の深さと品目数のどちらかが大きいとき、切替の仕組みを備えた形へ寄せる判断になります。「いくらかかるか」を出す前に、「何段必要か」を出します。
段数の見当がついたところで、費用の見当も置いておきます。70000円が、EC-Riderで小規模なカスタマイズを加えたときの月額の下限です(2026年時点)4。先に挙げた初期費用は導入の時だけの支出で、月額は使い続ける間ずっと続きます。「総額いくらか」を出すときは、一度きりの支出か毎月の支出かを分けて見てください。
最後に残るのは、取引先数と連携の有無の二つです。既存の販売管理と単価を突き合わせる必要があるかどうかで、必要なカスタマイズの範囲が変わります。まず取引先の数を数え、次に連携先を書き出してください。「数えてから決める」順番にすると、確かめる項目が具体的になります。
ここから先は、手を付ける順番と、得意先の条件ごとの進め方を詳しく見ていきます。
自社の得意先が何段の組織階層を持ち、どこまでを共通の卸価格でまとめられるかは、手元の価格表を眺めているだけでは切り分けきれない部分が残ります。
現在の価格表と得意先の一覧を持ち込めば、階層の上限に収まるか、どこから先を個別の単価として残すのかを確かめられます。無料相談で要件を整理する
卸価格の運用を整える順番
- 得意先の組織の段に卸価格を結び付ける持たせ方へ切り替える
- 最も段の深い得意先が何段になるかを数え、対応上限に収まるかを確かめる
- 品目数と得意先数を掛け合わせ、価格の組み合わせが何通りになるかを出す
- 受注の入口をFAX・電話・メール・画面に分け、直近1年の件数を数える
- 既存の販売管理と単価を突き合わせる必要があるかを決める
- 初期費用と月額を、導入時の支出と毎月の支出に分けて並べる
この並びに優劣の順序はありません。
その着手する場所は、得意先の条件によって次の表のように分かれます。

得意先の条件ごとに変わる卸価格の整え方
| 得意先の条件 | 先に決めること | 工数がかかる作業 |
|---|---|---|
| 得意先ごとの個別単価が多い卸売 | 共通化できる単価の割合 | 価格表の棚卸し |
| 本部と支店で価格が分かれる取引先 | 単価の決裁がある段 | 得意先の組織図の書き出し |
| FAX・電話の受注が残る小規模事業者 | 画面へ移す得意先の範囲 | 主要得意先の品目登録 |
個別単価が多い卸売での卸価格の持たせ方
交渉の経緯が得意先ごとに違う卸売では、同じ品目でも単価が一件ずつ分かれます。組織の段でまとめられる部分が少なく、階層をそのまま当てはめると上書きの設定ばかりが残ります。「階層を作れば楽になる」という前提が、そのままでは効きにくい条件です。
ここでの基準は階層の深さではなく、個別単価の件数です。全体の単価のうち何割が得意先固有かを出し、共通化できる分から先に上位へ寄せます。株式会社ポディウムの事例では、精査の前に登録されていた点数の多さが、当てはめの対象の広さにそのまま表れていました。「共通が先、固有が後」という順番を崩さないでください。
手順は三つです。個別単価を一覧へ書き出し、共通化できるものと固有で残すものに分けます。次に共通の卸価格を上位の段へ置き、固有の単価だけを下位で上書きします。最後に、「上書きが何件残ったか」を数えて、想定に収まるかを確かめます。
難易度は中ほどで、工数の山は「価格表の棚卸し」に寄ります。
| 整える対象 | 先に手を付ける順 |
|---|---|
| 共通の卸価格 | 上位の段へ寄せる |
| 得意先固有の単価 | 一覧へ書き出して下位で上書き |
| 商品の登録点数 | 載せる範囲を先に決める |
個別単価がどこまで階層で束ねられるかは、品目と得意先の組み合わせを実際に並べてみないと判断が付きません。
手元の価格表を持ち込むと、共通化できる単価と固有で残す単価がそれぞれ何割になるかを見積もれます。無料相談で自社の条件を持ち込む
本部と支店で卸価格が分かれる取引先への当て方
本部と一括で契約しながら、発注は支店から個別に届く取引先があります。注文書の発行元と単価の決裁者が分かれている取引先では、どちらの単価で処理するかを都度確かめることになります。「確認してから入力する」という手順が、そのまま手戻りの入口になっています。
ここで数えるのは単価の決裁がある段の位置です。得意先ごとに組織図を書き出し、どの段で単価が決まるかへ印を付けます。規模の見当を一つ置きます。3000社が、日東電工CSシステム株式会社の全国の販売加盟店の数です(2020年時点)5。「段が増えても決裁の段は一つ」という取引先なら、印は一か所で済みます。
先に挙げた階層の上限に収まるかを確かめてから、印を付けた段へ卸価格を置きます。上位で決めた単価を下位が引き継ぐ設定にし、支店固有の単価だけを上書きします。改定の連絡が本部から届く取引先なら、書き換えは印の段だけで済みます。「支店から先に連絡が来る」取引先は、別に扱ってください。
難易度はやや高く、工数の山は「得意先の組織図の書き出し」に寄ります。
| 確かめる場所 | 書き出す中身 |
|---|---|
| 本部 | 契約で決めた基準の卸価格 |
| 支店 | 本部と異なる単価があるか |
| 事業所 | 注文書の発行元かどうか |
単価の決裁が本部にあるのか支店にあるのかで、卸価格を置く段の位置が変わってきます。
得意先の組織図を持ち寄れば、どの段に単価を持たせると改定の書き換えが一か所で済むかを整理できます。無料相談で自社の条件を持ち込む
FAXと電話の受注が残る小規模事業者での進め方
受注件数がそれほど多くない事業者でも、入口が紙と電話に寄っていると照合の手間は残ります。得意先の段は浅く、個別単価も多くはありません。それでも「注文書を見ながら価格表を開く」動作が、一件ごとに発生します。担当者が一人か二人という体制では、この動作が止まると受注そのものが止まります。
ここで数えるのは、受注の入口がいくつ開いているかです。FAX・電話・メール・画面のうち、実際に使われている入口を直近1年で数えます。入口の数だけ、単価の確かめ方も分かれていきます。「全部を一度に閉じる」計画は、この規模ではかえって重くなります。
注文の多い得意先から順に、画面での受注へ移します。定番品の注文が電話で来る得意先は、品目を絞って画面へ載せるところから始められます。残りはFAXで受けたまま、価格表の照合だけを画面の単価に合わせていきます。FAXは通知一本で消えてくれる相手ではありませんから、減らす順番から決めます。「多い順に移す」と決めておくと、順番で迷わずに済みます。
難易度は低めで、工数の山は「主要得意先の品目登録」に寄り、ここまでの条件別の進め方を最後に一つの表で振り返ります。
| 受注の入口 | 先に移す順番 |
|---|---|
| FAX | 注文の多い得意先から画面へ |
| 電話 | 定番品の注文から画面へ |
| メール | 注文書の様式をそろえる |

受注件数が多くない事業者ほど、どこまで作り込むかの線引きがそのまま費用を左右します。
直近1年の受注の内訳を示せば、画面へ移す得意先をどこから始めるかの範囲を絞り込めます。無料相談で自社の条件を持ち込む
要点の整理
| 確かめる事柄 | 数え方 |
|---|---|
| 得意先の段の深さ | 最も深い一社が何段になるか |
| 個別単価の件数 | 全体のうち得意先固有の単価が何割か |
| 受注の入口 | 直近1年のFAX・電話・メール・画面の件数 |
| 商品の登録点数 | 価格の階層を当てはめる対象が何点か |
| 販売管理との連携 | 単価を突き合わせる必要があるか |
| 費用の出方 | 導入時の支出と毎月の支出の内訳 |
卸価格の手戻りは、価格表の直し方ではなく単価をどこに置くかという設計の問題として扱う段階に来ています。 自社の得意先数と品目数を持ち込めば、どの範囲までを標準の仕組みで賄えるかを判断できます。
よくある質問
価格改定のたびに得意先へ送る新しい価格表は、どう作り直せばよいですか
作り直す手順そのものを、単価の置き場所を決めてから書き出す形へ変えます。得意先の段に単価を結び付けておけば、改定の操作は上位の一か所で済み、送付用の表はそこから出力する扱いになります。「表を直してから配る」から「置き場所を直して書き出す」への入れ替えです。
いま使っているExcelの価格表は、そのまま取り込めますか
取り込みの可否より先に、表の並びが段になっているかを確かめてください。得意先が横一列に並んだ表は、そのまま移しても同じ手順が残ります。組み替えの作業をいつ行うかを決めるところが、取り込みより先に来ます。得意先の列を組織の段へ並べ替えてから移す進め方も取れます。
新規の取引先を追加するときの手順はどう変わりますか
どの段に属するかを決める作業へ置き換わります。上位の卸価格をそのまま引き継ぐ得意先なら、単価を一件ずつ登録せず、所属する段を指定する設定で足ります。個別の単価を持つ得意先だけ、上書きする分を登録する形になりますね。
FAXでの受注を残したまま進められますか
残したまま進める形も取れます。入口を一度に閉じる計画にすると着手が遅れますから、注文の多い得意先から画面へ移し、残りはFAXで受ける運用にします。「全部を移してから始める」と決めないことが、小規模な体制では現実的です。
手戻りの原因は、担当者の入力ミスではないのでしょうか
直す先を入力の精度に置くと、対策は確認の回数を増やす方向へ向かいます。同じ単価を何度も書く手順が残る限り、書く回数の分だけ食い違いの機会も残ります。「何回書いているか」を先に数えると、手を入れる場所が見えてきます。まずは一枚の組織図から。
- 1 出典:経済産業省「令和6年度電子商取引に関する市場調査報告書」(2025年) 経路
- 2 出典:日経クロステック「中小企業の8割が「ファクスで受発注」の現実、DX時代に日本の競争力が失われる」(2019年) 経路
- 3 出典:株式会社フライトソリューションズ「EC-Rider B2B「BtoB向けECサイトで取引先ごとに卸価格を切り替える」」(2026年) 経路
- 4 出典:株式会社フライトソリューションズ「EC-Rider(BtoB EC受発注システム)料金プラン・費用ページ」(2026年) 経路
- 5 出典:株式会社フライトソリューションズ「EC-Rider B2B 導入事例(日東電工CSシステム株式会社)」(2026年) 経路
- 6 出典:株式会社フライトソリューションズ「EC-Rider B2B 導入事例(株式会社ポディウム様)」(2025年) 経路
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