◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- 取引先ごとに卸価格を切り替えるとき、要るのは値引率の一覧よりも「どの取引先に・どの商品に・どの値を当てるか」を一意に決められる材料です。
- 取引先側の段の違いは仕組みで受けられます。得意先の組織階層は5階層まで構成できるため、本社と支店で違う値を持たせる形も設計の範囲に入ります1。
- 山場は商品側にあります。欧州を中心としたスポーツ自転車部品の輸入・卸売りを手がける株式会社ポディウムでは、導入時に約2万点あった商品登録を精査しています2。
目次

「取引先ごとに卸価格を切り替える」とは、何を切り替えることか
取引先ごとに卸価格を切り替えるために本当に要るのは、値引率の表そのものではなく、「どの取引先に」「どの商品に」「どの値を」当てるかを迷いなく決められる材料です。取引先側では、価格をどの単位で持つのかを決める台帳と、組織の形が要ります。得意先の組織階層は5階層まで構成できるため、本社・支社・店舗と段が分かれていても、仕組みの側で受けられます1。商品側では、価格を当てる対象がそのまま数として効きます。売っていない商品や重複した登録を抱えたまま移すと、切替の規則が必要以上に込み入ります。株式会社ポディウムが導入時に約2万点あった商品登録を精査したのは、この対象を減らす作業にあたります2。そして導入から定着までは一度の設定では終わりません。要件定義、テスト、本番、改定という往復のなかで規則が固まっていきます。各種工業用粘着テープやテープ貼り機器を中心に約3,800品種の製品を提案・販売する日東電工CSシステム株式会社では、要件定義からテストサイト開設までを約10カ月に短縮したと報告されています4。つまり、材料は「取引先」「商品」「価格の規則」「段取りと期間」の四つに分かれ、このうち先に効くのは前の二つです。
切り替えているのは値ではなく、値の割付の規則
取引先ごとの卸価格というと、取引先の数だけ価格表を持つ姿を思い浮かべがちです。実際に動いているのは、取引先を何らかの区分に結び付け、その区分と商品の組み合わせから表示する価格を決める規則です。規則の側を持てば、取引先が増えても価格表が増え続けることはありません。
逆に言えば、規則を決められない取引先が残ると、そこだけ個別の値を抱えることになります。導入の前に「区分で説明できる取引先」と「個別の約束が残る取引先」を分けておくと、後の作業が軽くなります。
取引先の段をどこまで見るかを決める
本社が価格を決め、支店や店舗が発注する取引では、価格を持つ段と注文する段が一致しません。得意先の組織階層は5階層まで構成できるため、段を分けたまま上位の価格を下位へ引き継ぐ形が取れます1。
ここで決めるのは、自社が何段まで実際に使うかです。仕組みが5階層まで受けられることと、自社の取引に5階層が要ることは別の話です。使う段を少なく決められるほど、登録も点検も短くなります。
材料が揃っても、揃えた日から運用が回るわけではありません。導入から定着までを段取りと期間で見ておきます。
導入までに要る材料は、取引先・商品・価格の三つに分かれる
取引先の材料:台帳と段と、個別の約束
取引先の材料は、名寄せの済んだ台帳と、先に決めた段の使い方、そして区分では説明できない個別の約束の一覧です。同じ取引先が複数の名前で登録されていると、どの名前に価格が付いているかが分からなくなります。
個別の約束は、なくすことが目的ではありません。どこに何件あるかを数えられる状態にしておくことが、導入の可否を決めます。
商品の材料:価格を当てる対象を先に絞る
商品側は、価格を当てる対象そのものです。扱いをやめた商品や重複した登録が残っていると、区分ごとの価格を決める作業がその分だけ増えます。少量多品種で在庫を持たない輸入卸である株式会社ポディウムでも、導入時に約2万点あった商品登録の精査が作業として挙がっています2。
精査は導入後にも続けられますが、切替の規則を決める前に一度通しておくと、規則そのものが単純になります。
価格の材料:何を基準に差を付けるかを言葉にする
区分ごとの価格は、掛率で持つのか、品目ごとの値で持つのかで、必要な材料が変わります。掛率なら基準となる価格が一つ要り、品目ごとの値なら区分と商品の組み合わせの数だけ値が要ります。
どちらが正しいということはありません。自社の営業が普段どちらの言葉で価格を説明しているかに合わせると、登録後の点検が現場の感覚と食い違いません。
段取りの見通しが立ったら、自社の規模と費用に当てて可否を判断します。
定着までは段取りと期間で見る
一度の設定では終わらないと決めておく
卸価格の切替は、登録が終わった時点ではまだ動きません。テストで実際の取引先の目から見た価格を確かめ、本番へ移し、改定を一度通してはじめて運用に乗ります。
日東電工CSシステム株式会社では、要件定義からテストサイト開設までを約10カ月に短縮できたと報告されています4。要件定義からテストまでで一つの区切りであり、そこから先に定着の期間が続くという見方が、社内の期待を合わせるうえで役に立ちます。
定着したと判断する材料を先に決める
定着の判断を感覚に任せると、いつまでも旧来の方法が並走します。区分で説明できない価格の問い合わせが減ったか、改定を一度自社の手で通せたか、といった確かめ方を先に決めておきます。
判断の材料は多くある必要はありません。数えられるものを二つか三つ持っておけば足ります。
自社に当てはめる:規模の上限と初期の費用から逆算する

取引先の数と商品の数が収まるかを先に見る
材料が揃っても、扱える規模を超えていれば設計をやり直すことになります。EC-Rider Primoの有料プランでは、取引先が10,000件、商品が30,000 SKUまでとされています3。
自社の取引先数と、精査後に残る見込みの商品数をこの枠に当てて、収まるかどうかを先に確かめます。精査の前の数で判断すると、実際より大きく見積もることになります。
初期の費用を、材料を揃える手間と並べて見る
EC-Rider Primoの初期費用は100,000円(税抜)とされています3。仕組みの側の費用はこのように示せますが、取引先台帳の名寄せと商品登録の精査にかかる自社の手間は、これとは別に見積もる必要があります。
導入の可否を決めるときは、この二つを並べて見ます。仕組みの費用だけで判断すると、材料を揃える工数が後から効いてきます。
取引先ごとに卸価格を切り替える仕組みは、取引先・商品・価格の規則という三つの材料と、定着までの段取りで決まります。仕組みが受けられる段や規模は先に確かめられますが、台帳の名寄せと商品の精査は自社の手でしか進みません。まずは個別の約束が何件あるかを数えるところから始めると、以降の判断が具体的になります。
取引先の段の使い方と個別の約束の扱いは、自社の商習慣に踏み込む判断のため、同じ設計を何度も通してきた側と突き合わせたほうが早く決まります。
現在の取引先台帳と価格の決め方を持ち込めば、区分で説明できる取引先とそうでない取引先の切り分け方、使う段の数をその場で確かめられます。無料相談で要件を整理する
導入の前に手元へ揃えておく材料
- 名寄せの済んだ取引先台帳
- 自社が実際に使う組織の段の数(仕組みは5階層まで構成できる)
- 区分では説明できない個別の約束の一覧と件数
- 扱いをやめた商品と重複した登録を除いた商品一覧
- 区分ごとの価格を掛率で持つか品目ごとの値で持つかの方針
- 改定を誰がいつ通すかという運用の受け持ち
- 定着したと判断するための数えられる確かめ方
この並びに優劣の順序はありません。
この一覧のうち、上の二つが決まらないと残りは決められません。ここからは事業の型ごとに、どこから手を付けるかを見ていきます。
事業の型ごとに、先に手を付ける材料は変わる
| 型 | 事業の見え方 | 先に手を付ける材料 |
|---|---|---|
| 少量多品種・在庫を持たない輸入卸の型 | 商品点数が多く、扱いの増減が速い | 商品登録の精査 |
| 多品種の製造・販売の型 | 品種は比較的固定で、取引先の段が深い | 取引先の段の使い方と段取りの見通し |

商品を絞ってから、価格の規則を決める
価格を当てる対象を減らすことが最初の仕事
欧州を中心としたスポーツ自転車部品の輸入・卸売りのように、少量多品種で在庫を持たない事業では、商品登録が実際の取り扱いより先に膨らみがちです。株式会社ポディウムの導入では、約2万点あった商品登録の精査が行われています2。
対象が減れば、区分ごとに決める値の組み合わせもそのまま減ります。価格の規則を先に決めてから商品を絞ると、決めた規則をもう一度当て直すことになります。
商品数の枠に当てて可否を見る
精査後に残る見込みの商品数を、扱える枠に当てます。EC-Rider Primoの有料プランは商品が30,000 SKUまでとされています3。
精査前の数で判断しないことが、この型では特に効きます。
| 手順 | 決めること |
|---|---|
| 商品登録の精査 | 扱いをやめた商品と重複を除く |
| 残る商品数の確認 | 扱える枠に収まるかを見る |
| 価格の規則の決定 | 掛率か品目ごとの値かを選ぶ |
商品登録の精査は、どこまで落とすと運用が軽くなるかの見当が付きにくく、他社の整理の進め方を知っている側に当たると判断が定まります。
現在の商品登録の状態を見せれば、精査後に残る見込みの数が扱える枠に収まるか、規則を決める前にどこまで絞るべきかを確かめられます。無料相談で自社の条件を持ち込む
取引先の段と、期間の見通しを先に固める
段の使い方を決めてから登録に入る
各種工業用粘着テープやテープ貼り機器を中心に約3,800品種の製品を提案・販売する事業のように、品種が比較的固定で取引先の組織が大きい場合、価格を持つ段と注文する段の切り分けが先に来ます。得意先の組織階層は5階層まで構成できるため、段を分けたまま設計できます1。
仕組みが受けられる段の数と、自社が使う段の数を分けて決めます。使う段が少ないほど、登録と点検が短くなります。
要件定義からテストまでを一つの区切りとして見る
日東電工CSシステム株式会社では、要件定義からテストサイト開設までを約10カ月に短縮できたと報告されています4。この型では関わる部署が多く、要件定義の段階で決めきれるかが期間を左右します。
社内の期待を合わせるときは、テストサイトの開設を終点ではなく区切りとして説明しておきます。
| 決めること | 判断の目安 |
|---|---|
| 価格を持つ段 | 本社か、支店か、店舗か |
| 注文する段 | 実際に発注する部署 |
| 期間の区切り | テストサイト開設までと、その先 |
関わる部署が多い場合、要件定義で決めきれる範囲の見立てが期間を左右するため、同じ規模の設計を通した側と段取りを引き合わせる価値があります。
価格を持つ段と注文する段の想定を持ち込めば、5階層のうち実際に使う段の数と、テストサイト開設までの区切りの引き方を確かめられます。無料相談で自社の条件を持ち込む
要点の整理
| 軸 | 基準 |
|---|---|
| 取引先の材料 | 名寄せが済み、個別の約束の件数を数えられる |
| 商品の材料 | 扱いをやめた商品と重複を除いた一覧がある |
| 価格の材料 | 掛率か品目ごとの値かを一つに決めている |
| 組織の段 | 仕組みは5階層まで構成でき、自社が使う段を決めている1 |
| 規模 | 取引先10,000件・商品30,000 SKUの枠に収まる3 |
| 期間 | 要件定義からテストサイト開設までを区切りとして見ている4 |
| 定着 | 改定を自社の手で一度通せている |
仕組みの費用は先に示せても、台帳の名寄せと商品の精査にかかる自社の手間は事業ごとに違い、並べて見積もるには外からの当てはめが要ります。 取引先数と商品数、個別の約束の件数を持ち込めば、規模の枠に収まるかと、導入から定着までにどの作業が自社側に残るかを確かめられます。
よくある質問
取引先ごとに価格表を作る方法と、区分で持つ方法のどちらがよいですか。
取引先の数だけ価格表を持つと、取引先が増えるたびに表が増えます。区分と商品の組み合わせで規則を持てば、区分に当てはまる取引先が増えても登録は増えません。ただし区分では説明できない個別の約束は残るため、その件数を先に数えておくことをおすすめします。
本社と支店で違う卸価格を持たせられますか。
得意先の組織階層は5階層まで構成できるため、段を分けたうえで価格を持たせる設計が取れます1。決めるべきは、自社の取引で実際に何段まで使うかです。
商品の整理は導入の前と後、どちらで行うべきですか。
価格の規則を決める前に一度通しておくほうが、規則そのものが単純になります。株式会社ポディウムの導入でも、約2万点あった商品登録の精査が作業として挙がっています2。整理は導入後も続きますが、最初の一度は前に置く判断がしやすいです。
導入にはどのくらいの期間を見ておけばよいですか。
事業の形と関わる部署の数で変わります。日東電工CSシステム株式会社では、要件定義からテストサイト開設までを約10カ月に短縮できたと報告されています4。テストサイトの開設は区切りであり、その先に本番と定着の期間が続く点を見ておきます。
自社の規模で扱えるかはどう確かめますか。
取引先の数と、精査後に残る見込みの商品数を枠に当てます。EC-Rider Primoの有料プランでは取引先が10,000件、商品が30,000 SKUまでとされています3。初期費用は100,000円(税抜)です3。
- 1 出典:株式会社フライトソリューションズ「EC-Riderお役立ちコラム「BtoB向けECサイトで取引先ごとに卸価格を切り替える」」(2026年) 経路
- 2 出典:株式会社フライトソリューションズ「EC-Rider B2B Ⅱ 導入事例(株式会社ポディウム様)」(2025年) 経路
- 3 出典:株式会社フライトソリューションズ「EC-Rider Primo サービス紹介ページ・料金プラン条件」(2026年) 経路
- 4 出典:株式会社フライトソリューションズ「EC-Rider B2B Ⅱ 導入事例(日東電工CSシステム株式会社様)」(2018年) 経路
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